(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112154
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】養生具及び養生方法
(51)【国際特許分類】
H01R 9/00 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
H01R9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007845
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】新田 将貴
(72)【発明者】
【氏名】澄川 実
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸浩
(72)【発明者】
【氏名】面白 静男
(72)【発明者】
【氏名】水谷 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】足立 俊一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 司
(72)【発明者】
【氏名】松島 泰亘
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC46
5E086DD01
5E086JJ11
5E086JJ12
5E086JJ32
5E086LL01
5E086LL18
(57)【要約】
【課題】作業対象の端子接続部に対する作業の際に、隣りの端子接続部に工具等が誤って接触しないようにする。
【解決手段】作業対象接続部12の隣の保護対象接続部12を養生する養生具10は、セル19に部分的に挿入されて、そのセル19から絶縁隔壁13に沿って前方へ張り出す仕切り部20と、仕切り部20から保護対象接続部12の方へ延出して、絶縁隔壁13に受けられる状態で保護対象接続部を覆う覆い部23と、仕切り部20から作業対象接続部12の脇に延出し、セル19に部分的に挿入されて、そのセル19から絶縁隔壁13に沿って側方へ張り出す側仕切り部21と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を置いて配列される複数の絶縁隔壁と、前記複数の絶縁隔壁の間の複数のセルにそれぞれ設けられる複数の端子接続部と、を有する端子台に取り付けられ、前記複数の端子接続部のうち作業対象接続部の隣の保護対象接続部を養生する養生具であって、
前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入されて、そのセルから前記絶縁隔壁に沿って張り出す仕切り部と、
前記仕切り部から前記保護対象接続部の方へ延出して、前記絶縁隔壁に受けられる状態で前記保護対象接続部を覆う覆い部と、
前記仕切り部から前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の脇に延出し、前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入されて、そのセルから前記絶縁隔壁に沿って前記仕切り部の張り出し方向と交差する方向に張り出す側仕切り部と、
を備える養生具。
【請求項2】
前記仕切り部が透明材からなる請求項1に記載の養生具。
【請求項3】
前記仕切り部の外縁が着色されている請求項2に記載の養生具。
【請求項4】
前記側仕切り部が透明材からなる請求項1から3の何れか一項に記載の養生具。
【請求項5】
前記側仕切り部の外縁が着色されている請求項4に記載の養生具。
【請求項6】
前記覆い部が透明材からなる請求項1から5の何れか一項に記載の養生具。
【請求項7】
前記覆い部の外縁が着色されている請求項6に記載の養生具。
【請求項8】
前記覆い部が粘着テープによって前記端子台に留められている請求項1から7の何れか一項に記載の養生具。
【請求項9】
前記仕切り部が前記作業対象接続部の幅に合わせて伸縮可能で、
前記覆い部が前記保護対象接続部の幅に合わせて伸縮可能な
請求項1から8の何れか一項に記載の養生具。
【請求項10】
間隔を置いて配列される複数の絶縁隔壁と、前記複数の絶縁隔壁の間の複数のセルにそれぞれ設けられる複数の端子接続部と、を有する端子台に養生具を取り付けて、前記複数の端子接続部のうち作業対象接続部の隣の保護対象接続部を前記養生具により養生する養生方法において、
前記養生具の仕切り部を前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入するとともに、前記仕切り部をそのセルから前記絶縁隔壁に沿って張り出させ、
前記仕切り部から前記保護対象接続部の方へ延出した前記養生具の覆い部を前記絶縁隔壁に当てた状態で、前記覆い部によって前記保護対象接続部を覆い、
前記仕切り部から前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の脇に延出する前記養生具の側仕切り部を前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入するとともに、前記側仕切り部をそのセルから前記絶縁隔壁に沿って前記仕切り部の張り出し方向と交差する方向に張り出させる
養生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台の養生に使用する養生具及び養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電盤等の電気設備の制御回路等には、配線接続用の端子台が使用されている。端子台は配線の端子に接続されるバスバー等の端子接続部を複数有するところ、これら端子接続部の何れか1つに端子を着脱したり、その端子接続部を保守・点検したりする際には、別の端子接続部を通電した状態で作業を行うことが多い。作業の際には、作業対象の端子接続部の近くの他の端子接続部の短絡、地絡或いは誤接触等を防止するために、他の端子接続部を養生して適切に保護することが必要である。特許文献1には複数の端子接続部をそれぞれカバーで保護し、作業対象の端子接続部を覆うカバーを取り外す技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、カバーが端子接続部によって覆われていても、端子接続部の側方が開放されていることから、その開放部から工具及び配線等を誤って挿入して、工具及び配線等が端子接続部に誤って接触してしまう。なお、端子接続部の側方の開放部は端子や配線を通されているため、開放部を塞ぐことができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、作業対象の端子接続部に対する作業の際に、隣りの端子接続部に工具等が誤って接触しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、間隔を置いて配列される複数の絶縁隔壁と、前記複数の絶縁隔壁の間の複数のセルにそれぞれ設けられる複数の端子接続部と、を有する端子台に取り付けられ、前記複数の端子接続部のうち作業対象接続部の隣の保護対象接続部を養生する養生具であって、前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入されて、そのセルから前記絶縁隔壁に沿って張り出す仕切り部と、前記仕切り部から前記保護対象接続部の方へ延出して、前記絶縁隔壁に受けられる状態で前記保護対象接続部を覆う覆い部と、前記仕切り部から前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の脇に延出し、前記作業対象接続部又は前記保護対象接続部の存する前記セルに部分的に挿入されて、そのセルから前記絶縁隔壁に沿って前記仕切り部の張り出し方向と交差する方向に張り出す側仕切り部と、を備える養生具が提供される。
【0007】
以上によれば、仕切り部及び側仕切り部がセルから張り出していることから、作業対象接続部に対して工具等によって作業する際に、工具等が仕切り部及び側仕切り部によって遮られ、隣りの保護対象接続部の方への工具等の移動を防止される。また、保護対象接続部が覆い部によって覆われることによっても、工具等が隣りの保護対象接続部に接触しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、作業対象の端子接続部の隣りの端子接続部に工具等が誤って接触しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】養生具10Aが取り付けられる端子台1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているところ、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
〔端子台の構成例〕
図1~
図3を参照して、端子台1について説明する。ここで、
図1は端子台1と対の養生具10の斜視図である。
図2及び
図3は、それぞれ、対の養生具10によって養生された端子台1の上面図及び側面図である。
この端子台1は制御盤のキャビネット内に収容されている。端子台1はベース11と、複数の端子接続部12と、複数の絶縁隔壁13と、中央隔壁14と、複数の座部18とを備える。
【0012】
ベース11は直方体形状に成しているとともに、例えば絶縁性の樹脂材料から構成されている。ベース11はその長手方向が上下方向、より具体的には鉛直方向に沿うように立てられた状態で制御盤のキャビネット内に収容されている。ベース11の厚さ方向が前後方向に沿っており、ベース11の前面がキャビネット内においてキャビネットの開閉扉の開口に向けられている。ベース11の幅方向は長手方向及び厚さ方向に対して直交するとともに、左右方向に沿っている。ベース11の片側の側面からもう片側の側面に向かう方向が幅方向である。なお、以下の説明において上下方向とは鉛直方向のことをいうが、必ずしも鉛直方向でなくてもよい。つまり、ベース11の長手方向が鉛直方向と交差するように端子台1が設置されてもよい。
【0013】
ベース11の前面には、絶縁性の中央隔壁14及び絶縁隔壁13がベース11の前面に対して立った状態に設けられている。中央隔壁14は、ベース11の前面の幅方向中央部においてベース11の長手方向に沿って延在しており、ベース11の前側の領域が中央隔壁14によって左右に区切られている。
【0014】
中央隔壁14の両側方においては、絶縁隔壁13が2列になって間隔を置いてベース11の長手方向に沿って配列されている。絶縁隔壁13はベース11の長手方向及び幅方向に沿って延在するよう板状に設けられている。絶縁隔壁13が中央隔壁14の前端よりも前に突き出ており、絶縁隔壁13の前端と中央隔壁14の前端との間に段差がある。
以上のような中央隔壁14及び複数の絶縁隔壁13がベース11の前側の領域を複数のセル19に区切り、それらセル19はベース11の長手方向に沿って複数列に且つベース11の幅方向に沿って2列に配列されている。セル19は側方及び前方に向かって開放している。
【0015】
座部18は各セル19内においてベース11の前面に設けられ、座部18とベース11が一体成形されている。座部18は絶縁性を有する。これら座部18は、ベース11の長手方向に沿って複数列に且つベース11の幅方向に沿って2列に配列されている。座部18には、ねじ穴又はナットが設けられている。なお、絶縁隔壁13は、座部18の側面18aから側方に突き出ている。
【0016】
各セル19内において端子接続部12が座部18の前面に取り付けられている。これら端子接続部12は、ベース11の長手方向に沿って複数列に且つベース11の幅方向に沿って2列に配列されている。端子接続部12の各々はバスバー15、ねじ16及び導電性クランパ17を有する。バスバー15は座部18の前面に沿って設けられている。中央隔壁14の両側にある対のバスバー15が中央隔壁14を左右に貫通して、互いに一体成形されて1枚の金属板を構成する。バスバー15には、ねじ16を通すための穴が形成されている。導電性クランパ17がワッシャーであり、ねじ16が導電性クランパ17及びバスバー15の穴に通されて座部18に螺旋付けられ 、配線の端子が導電性クランパ17とバスバー15との間に挟み込まれる。ねじ16の緩みにより、配線の端子の着脱が可能となる。端子接続部12がネジアップ式である場合、ねじ16を緩めたり締めたりすると、導電性クランパ17がねじ16の頭部に追従して軸方向に移動する上、ねじ16を最も緩めてもねじ16が導電性クランパ17のストッパによってセル19から離脱しないものをいう。端子接続部12がセルフアップ式である場合、ねじ16を緩めるとねじ16をセル19から離脱可能である。
【0017】
〔養生具の構成例〕
図1~
図4を参照して、養生具10について説明する。ここで、
図4は養生具10の斜視図である。
作業対象となる左右一対の端子接続部12(以下、作業対象接続部12という。)に対する作業の際、例えば作業対象接続部12への配線の端子の着脱作業の際に、養生具10が覆い及び仕切りのために端子台1に取り付けられる。つまり、養生具10は、作業対象接続部12の隣り及びその隣りの端子接続部12(以下、保護対象接続部12という。)を養生して覆うとともに、作業対象接続部12と保護対象接続部12との間の左右一対の絶縁隔壁13の外縁の外側に仕切りを形成する。
【0018】
養生具10は透明な絶縁性材料からなり、例えばアクリル樹脂等の樹脂材料からなる。養生具10は、仕切り部20と、側仕切り部21,22と、覆い部23とを備える。
【0019】
仕切り部20及び側仕切り部21,22は矩形のシート状に設けられている。側仕切り部21,22が仕切り部20の長辺方向に互いに離れているとともに、仕切り部20の長辺から仕切り部20の短辺の延長方向に延出する。仕切り部20及び側仕切り部21,22の組み合わせがU字型のシート状に設けられている。仕切り部20及び側仕切り部21,22の組み合わせはそれを縁取る着色部21aを外縁部に有する。
図4に示す2点鎖線の外側の領域が着色部21aに相当する。着色部21aの内側が無色透明であるため、その部分の視認が難しいものの、着色部21aが有色であるため、仕切り部20及び側仕切り部21,22の視認性が高くなっている。着色部21aの色は単色であってもよいし、複数色であってもよい。また、複数の養生具10を用意する場合、これら養生具10の着色部21aの色を統一してもよいし、これら養生具10の着色部21aの色が多種であってもよい。
【0020】
側仕切り部21と側仕切り部22の間には、矩形状のノッチ24が形成されている。ノッチ24の幅、つまり側仕切り部21と側仕切り部22との間の間隔は、端子台1の幅方向に並んだ対の座部18の側面18aの間の間隔に等しいか、その間隔よりも僅かに広い。そのため、対の座部18及びそれらの間の中央隔壁14をノッチ24に嵌め込むことができる。
【0021】
覆い部23が、仕切り部20の一方の面におけるノッチ24の縁に沿う位置に立設されている。覆い部23は、仕切り部20の長辺方向及び厚さ方向に延びるように矩形のシート状に設けられている。このような覆い部23が設けられているため、対の座部18及びそれらの間の中央隔壁14がノッチ24に挿入された場合、覆い部23が仕切り部20から前記対の座部18の隣り及びその隣りの座部18及び端子接続部12のほうに延出し、それら座部18及び端子接続部12が覆い部23によって覆われる。覆い部23が絶縁隔壁13の前端に受けられて、絶縁性の粘着テープ30が覆い部23ごと端子台1に巻き付けられて、粘着テープ30が絶縁隔壁13の側端面及びベース11の側面に粘着される。これにより、養生具10が端子台1に留められる。粘着テープ30が剥離されると、養生具10を端子台1から取り外すことができる。
【0022】
覆い部23の付け根部はノッチ24の縁から仕切り部20の中央の方へ僅かに離間している。そのため、対の座部18及びそれらの間の中央隔壁14がノッチ24に挿入された場合、仕切り部20のうち覆い部23の付け根部とノッチ24の縁との間の部分21bがセル19に入り込んで中央隔壁14に接する。その部分21bは絶縁隔壁13の上面の縁部にも接している。また、側仕切り部21,22が仕切り部20から座部18の側面18aに沿って座部18の脇に延出し、側仕切り部21,22の縁部がセル19に入り込んで絶縁隔壁13の上面の縁部に接している。仕切り部20及び側仕切り部21,22は絶縁隔壁13に沿ってセル19から外方へ張り出している。具体的には、仕切り部20はセル19から絶縁隔壁13に沿って前方へ張り出し、仕切り部20はセル19から絶縁隔壁13に沿って左方へ張り出し、仕切り部20はセル19から絶縁隔壁13に沿って右方へ張り出す。
【0023】
覆い部23はそれを縁取る着色部23aを外縁に有するため、着色部23aの内側が無色透明となる覆い部23の視認性が向上する。
図4に示す2点鎖線の外側の領域が着色部23aに相当する。着色部23aの色は着色部21aの色と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
〔養生方法〕
図1に示すように、作業者が一方の養生具10のノッチ24を端子台1の前から対の作業対象接続部12に向けるとともに、作業対象接続部12の下隣り及びその下隣りの保護対象接続部12に覆い部23を対向させる。その後、養生具10を端子台1の前面に近づけることによって、対の作業対象接続部12及びその間の中央隔壁14をノッチ24に嵌め入れて、対の作業対象接続部12の両脇に側仕切り部21,22を配置する。これにより、養生具10のベース11に対する左右方向の位置が一義的に決まる。
【0025】
更に養生具10を端子台1のベース11に近づけて、
図3に示すように覆い部23を絶縁隔壁13に接触させて、その覆い部23を作業対象接続部12の下隣り及びその下隣りの保護対象接続部12に覆い被せる。また、作業対象接続部12のあるセル19に仕切り部20の縁の部分21bを入れて、その部分21bを中央隔壁14の前面に接触させる。また、仕切り部20及び側仕切り部21,22の縁部(その縁部はノッチ24を囲う)を作業対象接続部12の下側の絶縁隔壁13の上面の縁部に接触させて引っ掛ける。これにより、仕切り部20及び側仕切り部21,22が絶縁隔壁13に対してほぼ平行に設けられる。
【0026】
次に、粘着テープ30を覆い部23ごと端子台1に巻き付けて、粘着テープ30を絶縁隔壁13の側端面、ベース11の側面及び覆い部23に粘着させる。
【0027】
同様にして、他方の養生具10も端子台1に取り付ける。ここで、他方の養生具10は一方の養生具10に対して上下逆さまの姿勢にして、他方の養生具10の覆い部23を作業対象接続部12の上隣り及びその上隣りの保護対象接続部12に覆い被せる。また、作業対象接続部12のあるセル19の上隣りのセル19に他方の養生具10の仕切り部20の縁の部分21bを入れて、仕切り部20及び側仕切り部21,22の縁部を作業対象接続部12の上側の絶縁隔壁13の上面の縁部に接触させて引っ掛ける。
【0028】
次に、粘着テープ30を他方の養生具10の覆い部23ごと端子台1に巻き付けて、粘着テープ30を絶縁隔壁13の側端面、ベース11の側面及び覆い部23に粘着させる。
【0029】
その後、工具等を用いて作業対象接続部12に対して作業を行う。例えば、配線の端子を作業対象接続部12に接続したり、端子を作業対象接続部12から取り外したりする。養生具10が着色部21a及び着色部23aを除いて透明であるため、作業対象接続部12を視認しやすく、容易に作業を行える。また、着色部21a及び着色部23aが目立ち、着色部21a及び着色部23aを目印にして工具及び端子等を作業対象接続部12に誘導しやすい。
【0030】
以上のように2つの養生具10が端子台1に取り付けられているため、一方の養生具10の仕切り部20及び側仕切り部21,22と他方の養生具10の仕切り部20及び側仕切り部21,22との間の空間が、これら仕切り部20及び側仕切り部21,22によって仕切られる。つまり、作業対象接続部12のあるセル19が、絶縁隔壁13の前端及び側端よりも前方及び側方に拡張される。それゆえ、作業対象接続部12に対して工具等で作業を行っている時、作業対象接続部12のあるセル19から工具及び端子等が離脱しにくい。また、作業対象接続部12のあるセル19以外のセル19に工具及び端子等を誤って入れてしまうことを防止できる。特に、保護対象接続部12のあるセル19が養生具10の覆い部23によって覆われているため、それらセル19に工具及び端子等を誤って入れてしまうことを防止できる。
【0031】
作業対象接続部12に対する作業の終了後、粘着テープ30を剥離して、養生具10を取り外す。
【0032】
〔有利な効果〕
以上に説明したように、2つの養生具10の間のスペースが養生具10の仕切り部20及び側仕切り部21,22によって仕切られるため、作業対象接続部12に対する作業の際のヒューマンエラーが起こりにくい。
【0033】
また、仕切り部20及び側仕切り部21,22がセル19に部分的に挿入されて、仕切り部20及び側仕切り部21,22の縁部が絶縁隔壁13に引っ掛かっているため、作業対象接続部12の存するセル19に工具等を入れて、工具等が仕切り部20及び側仕切り部21,22に当たっても、仕切り部20及び側仕切り部21,22が変形しにくい。よって、工具等がそのセル19から誤って抜けることを防止できる。
【0034】
作業対象接続部12及びその間の中央隔壁14がノッチ24に嵌め入れられるようになっている。それゆえ、作業者が養生具10を端子台1に容易に設置することができる。また、作業者が養生具10を端子台1の適切な位置に設置しやすい。
【0035】
ノッチ24の幅が左右対の座部18の側面18aの間の間隔に等しいため、養生具10と端子台1の間に隙間が無い。それゆえ、セル19に挿入した工具及び端子等が養生具10によって遮られて、隣のセル19に侵入しない。
【0036】
一対の養生具10を作業対象接続部12の上下に設置することで、作業対象接続部12を明確にすると共に、保護対象接続部12を保護することができる。
【0037】
養生具10の仕切り部20、側仕切り部21,22及び覆い部23はシート状に設けられている。それゆえ、養生具10が作業対象接続部12に対する作業の邪魔になりにくい。
【0038】
養生具10は透明な素材で作られている。それゆえ、養生具10を端子台1に設置した後でも、作業領域周辺の状況を確認しやすい。
【0039】
養生具10は縁部を着色している。それゆえ、養生具10の境界がわかりやすい。なお、複数の養生具10の着色部21a,23aの色を多種用意した場合、回路の種類毎に養生具10を使い分けることができる。例えば、着色部21a,23aが赤色に着色された養生具10を直流回路に使用し、着色部21a,23aが青色に着色された養生具10が交流回路に使用すると、色により回路の種類を視覚的に識別しやすい。
【0040】
養生具10は絶縁性樹脂からなる。絶縁性樹脂は安価で入手可能なことから、養生具10を安価に製造することができる。
【0041】
端子台1がネジアップ式端子台の場合、ねじ16を緩めてもねじ16及び導電性クランパ17がセル19内に残る。それゆえ、セル19内の作業スペースがさらに狭くなっているが、養生具10を使用することによって作業スペースをセル19の外にも拡大することができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
図5及び
図6を参照して、第2実施形態における養生具10Aについて説明する。ここで、第1実施形態の養生具10と第2実施形態の養生具10Aとの間で互いに対応する構成要素には同一の符号を付し、養生具10と養生具10Aの相違点について主に説明する。以下に説明する相違点を除いて養生具10と養生具10Aが同様に設けられているため、養生具10と養生具10Aの共通点についての説明を省略する。
【0043】
第2実施形態の養生具10Aは、第1実施形態の養生具10から側仕切り部22を取り除いたものである。端子台1が左右非対称な構造をしている場合でも、例えば左側の列のセル19内において絶縁棒41が絶縁隔壁13間に架設されている場合でも、養生具10Aを設置して保護対象接続部12を隔離することができる。
【0044】
〔変形例〕
第1実施形態及び第2実施形態における養生具10,10Aの仕切り部20及び覆い部23が左右方向に伸縮可能に設けられていてもよい。例えば、仕切り部20が左右方向に伸縮可能な蛇腹構造である。或いは、仕切り部20は、互いに相対的に左右方向にスライド可能に設けられた2枚のシートからなれば、左右方向に伸縮可能である。覆い部23についても同様である。仕切り部20及び覆い部23が左右方向に伸縮可能であれば、養生具10,10Aを様々な幅の端子台に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…端子台
12…端子接続部
13…絶縁隔壁
10、10A…養生具
20…仕切り部
21…側仕切り部
22…側仕切り部
23…覆い部
21a…着色部
23a…着色部