(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112177
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/00 20060101AFI20220726BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20220726BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20220726BHJP
G01K 7/22 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01H73/00 A
H02B3/00 Z
G01K1/14 E
G01K1/14 L
G01K7/22 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007876
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000180966
【氏名又は名称】寺崎電気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛規
【テーマコード(参考)】
2F056
5G030
【Fターム(参考)】
2F056CE01
2F056CL07
2F056QF02
2F056QF05
2F056QF08
5G030XX17
(57)【要約】
【課題】回路遮断器に設けられる遮断器主接点の測温を効果的に行なうことができる温度センサユニットの配置構成を備える回路遮断器を提供する。
【解決手段】内部に遮断器主接点の測温を行なう温度センサユニット200が配置された回路遮断器であって、温度センサユニット200は、遮断器主接点の測温を行なうサーミスタ221と、サーミスタ221に接続されるケーブル220と、サーミスタ221およびケーブル220を収容するケース210とを含み、ケース210は、温度センサユニット200を溝110に収容した際に、サーミスタ221を遮断器主接点が位置する側である溝の底面側に固定する収容空間230を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に遮断器主接点の測温を行なう温度センサユニットが配置された回路遮断器であって、
前記遮断器主接点および前記温度センサユニットが収容され、前記遮断器主接点から見て前記温度センサユニットを背面側に収容するモールドベースを含み、
前記モールドベースは、前記温度センサユニットを収容する溝を有し、
前記温度センサユニットは、
前記遮断器主接点の測温を行なうサーミスタと、
前記サーミスタに接続されるケーブルと、
前記サーミスタおよび前記ケーブルを収容するケースと、
を含み、
前記ケースは、前記温度センサユニットを前記溝に収容した際に、前記サーミスタを前記遮断器主接点が位置する側である前記溝の底面側に固定する収容空間を有する、
回路遮断器。
【請求項2】
前記溝の一対の側壁の間隔は、前記底面に向かうにしたがって徐々に狭くなり、
前記温度センサユニットの前記ケースの一対の側面も、前記側壁に沿うように傾斜している、請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記温度センサユニットは、前記溝に接着部材を用いて仮固定されていて、バックモールドで抑えられている、請求項1または請求項2に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器の主接点温度を測温する温度センサユニットの筐体への搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
過電流による熱上昇から電線を保護する目的、短絡事故の短絡過渡電流による電線溶断の防止、機器焼損の防止などを目的とした回路遮断器が従来から用いられており、例えば、特開平4-230927号公報(特許文献1)及び特開2012-150962号公報(特許文献2)に開示される回路遮断器が挙げられる。
【0003】
このような回路遮断器に、遮断器主接点の測温のために温度センサユニットが搭載されていることは珍しいが、温度センサユニットの搭載に関する技術については、例えば、特開平5-240454号公報(特許文献3)、特開平11-351959号公報(特許文献4)、特開2000-35365号公報(特許文献5)、特開2004-279371号公報(特許文献6)、特開2010-81742号公報(特許文献7)、特開2012-21939号公報(特許文献8)、特開2013-172050号公報(特許文献9)及び特開2018-170924号公報(特許文献10)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-230927号公報
【特許文献2】特開2012-150962号公報
【特許文献3】特開平5-240454号公報
【特許文献4】特開平11-351959号公報
【特許文献5】特開2000-35365号公報
【特許文献6】特開2004-279371号公報
【特許文献7】特開2010-81742号公報
【特許文献8】特開2012-21939号公報
【特許文献9】特開2013-172050号公報
【特許文献10】特開2018-170924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、回路遮断器の小型化が望まれるようになり、その結果、回路遮断器内の機器の配置を再検討する必要が生じている。従来、遮断器主接点の測温のためには、単に温度センサユニットを遮断器主接点の近傍に配置することで良かった。しかし、この回路遮断器の小型化に伴い、温度センサユニットの配置についても再検討する必要が生じている。
【0006】
この発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、回路遮断器に設けられる遮断器主接点の測温を効果的に行なうことができる温度センサユニットの配置構成を備える回路遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく遮断器は、内部に遮断器主接点の測温を行なう温度センサユニットが配置された回路遮断器であって、上記遮断器主接点および上記温度センサユニットが収容され、上記遮断器主接点から見て上記温度センサユニットを背面側に収容するモールドベースを含み、上記モールドベースは、上記温度センサユニットを収容する溝を有し、上記温度センサユニットは、上記遮断器主接点の測温を行なうサーミスタと、上記サーミスタに接続されるケーブルと、上記サーミスタおよび上記ケーブルを収容するケースと、を含み、上記ケースは、上記温度センサユニットを上記溝に収容した際に、上記サーミスタを上記遮断器主接点が位置する側である上記溝の底面側に固定する収容空間を有する。
【0008】
他の形態においては、上記溝の一対の側壁の間隔は、上記底面に向かうにしたがって徐々に狭くなり、上記温度センサユニットの上記ケースの一対の側面も、上記側壁に沿うように傾斜している。
【0009】
他の形態においては、上記温度センサユニットは、上記溝に接着部材を用いて仮固定されていて、バックモールドで抑えられている。
【発明の効果】
【0010】
この開示によれば、回路遮断器に設けられる遮断器主接点の測温を効果的に行なうことができる温度センサユニットの配置構成を備える回路遮断器の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の回路遮断器の背面構造を示す図である。
【
図2】実施の形態の回路遮断器の背面内部構造を示す図である。
【
図3】
図2中のIII-III線矢視断面図である。
【
図4】
図3中のIVで囲まれた領域の部分拡大図である。
【
図5】実施の形態の温度センサユニットの外観構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態の温度センサユニットの内部構成を示す透視図である。
【
図7】
図5中のVII-VII線矢視断面図である。
【
図8】
図5中のVIII-VIII線矢視断面図である。
【
図9】温度センサユニットを溝に装着した第1断面図である
【
図10】温度センサユニットを溝に装着した第2断面図である。
【
図11】
図3中のIVで囲まれた領域に対応する部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本実施の形態における回路遮断器について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。図面においては、実際の寸法の比率に従って図示しておらず、構造の理解を容易にするために、構造が明確となるように比率を変更して図示している箇所がある。
【0013】
(回路遮断器1)
図1から
図4を参照して、本実施の形態における回路遮断器1の背面構造および温度センサユニット200の装着について説明する。
図1は、回路遮断器1の背面構造を示す図、
図2は、回路遮断器1の背面内部構造を示す図、
図3は、
図2中のIII-III線矢視断面図、
図4は、
図3中のIVで囲まれた領域の部分拡大図である。
【0014】
図1を参照して、回路遮断器1は、機器が収容されるモールドベース102を有し、このモールドベース102の上方側は、バックモールド101により覆われている。
図2を参照して、モールドベース102からバックモールド101を取り外すと温度センサユニット200及び温度センサユニット200を収容するためにモールドベース102に設けられた溝110が露出する状態となる。温度センサユニット200の数量および溝110は、回路遮断器1に設けられる遮断器主接点120の数量に対応する数が設けられる。
【0015】
図3および
図4を参照して、遮断器主接点120に近接するようにモールドベース102には、溝110が設けられ、この溝110の内部に温度センサユニット200が収容される。
【0016】
[温度センサユニット200]
図5から
図8を参照して、温度センサユニット200の構成について説明する。
図5は、温度センサユニット200の外観構成を示す斜視図、
図6は、温度センサユニット200の内部構成を示す透視図、
図7は、
図5中のVII-VII線矢視断面図、
図8は、
図5中のVIII-VIII線矢視断面図である。
【0017】
各図を参照して、この温度センサユニット200は、遮断器主接点120の測温を行なうサーミスタ221と、サーミスタ221がその先端に接続されるケーブル220と、サーミスタ221およびケーブル220を収容するケース210と、を含む。
【0018】
説明の便宜上、温度センサユニット200のサーミスタ221が収容される側を先端側210a、ケーブル220が収容される側をケーブル側210bと称する。ケース210の先端側210aは、ケーブル側210bに比べるとその上面側の高さが低く設けられている。ケース210の先端側210aの内部においては、モールドベース102の近接する位置にサーミスタ221を収容するための円筒型の収容空間230が設けられている。
【0019】
このように、ケース210内に、サーミスタ221を収容するための円筒型の収容空間230を設けることで、温度センサユニット200を溝110に収容した際に、サーミスタ221を遮断器主接点120が位置する側である溝110の底面110b側に固定させることができる。
【0020】
これにより、
図7および
図8に示すように、サーミスタ221をより遮断器主接点120の熱が伝わり易い側に配置することが可能となり、遮断器主接点120の測温の精度を高めることが可能となる。
【0021】
[溝110およびケース210の形状]
次に、
図9および
図10を参照して、溝110およびケース210の形状について説明する。
図9および
図10は、温度センサユニット200を溝110に装着した第1および第2断面図である。
【0022】
上記
図7および
図9に示す温度センサユニット200および溝110の断面形状によくあらわれるように、溝110の長手方向に沿った両側の一対の側壁110tの間隔は、溝110の底面110bに向かうにしたがって徐々に狭くなる形態、つまりテーパ形状を有している。さらに、温度センサユニット200のケース210の長手方向に沿った両側の一対の側面210tも、側壁110tに沿うように傾斜している。
【0023】
このように、温度センサユニット200および溝110の双方に、底面側に向かうテーパ形状を採用することで、溝110への温度センサユニット200の装着の向きを一義的に決定させることが可能となる。その結果、温度センサユニット200に設けられたサーミスタ221は、常に、遮断器主接点120の熱が伝わり易い側に配置することが可能となり、遮断器主接点120の測温の精度をより高めることが可能となる。
【0024】
なお、
図10は、温度センサユニット200を上面と底面とを逆にして溝110に装着した場合を模式的に図示したものである。温度センサユニット200を溝110に装着することができず、また、バックモールド101をモールドベース102に取り付けることができない状態となることから、回路遮断器1の組み立て時に、容易に温度センサユニット200の誤装着を確認することができる。
【0025】
[温度センサユニット200の溝110への固定]
次に、
図11を参照して、温度センサユニット200の溝110への固定について説明する。
図11は、
図3中のIVで囲まれた領域に対応する部分拡大図である。
【0026】
図11に示すように、温度センサユニット200は、溝110に接着部材300を用いて固定されるとよい。接着部材300としては、熱伝導性に富んだ材料を用いることが好ましく、また、組み立て性を考慮すると、両面テープ等を用いるとよい。
【0027】
このように、温度センサユニット200を、接着部材300を用いて溝110に固定することで、温度センサユニット200に設けられたサーミスタ221への熱伝導性が向上し、遮断器主接点120の測温の精度をより高めることが可能となる。
【0028】
なお、温度センサユニット200は、溝110への接着部材300等を用いた固定は仮固定であり、バックモールド101をモールドベース102に取り付けることにより、溝110に押さえ付けられることとなる。
【0029】
以上、実施の形態において本開示の遮断器について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 回路遮断器、101 バックモールド、102 モールドベース、110 溝、110b 底面、110t 側壁、120 主接点、200 温度センサユニット、210 ケース、210a 先端側、210b ケーブル側、210t 側面、220 ケーブル、221 サーミスタ、230 収容空間、300 接着部材。