(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112196
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】集光装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20220726BHJP
G02B 19/00 20060101ALI20220726BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220726BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20220726BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220726BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220726BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220726BHJP
【FI】
A61N5/06 A
G02B19/00
F21S2/00 340
F21V7/09 510
F21V8/00 227
F21V8/00 320
F21Y115:10
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007908
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】521031567
【氏名又は名称】株式会社ニューロライテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 一夫
【テーマコード(参考)】
2H052
3K244
4C082
【Fターム(参考)】
2H052BA02
2H052BA03
2H052BA06
2H052BA11
3K244AA04
3K244BA11
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244EA08
3K244EA16
3K244FA03
3K244FA07
3K244FA12
4C082PA01
4C082PE03
4C082PE10
4C082PJ04
(57)【要約】
【課題】生体組織を焼灼するための光を効率よく伝達することが可能な集光装置を提供する。
【解決手段】生体組織が有する光吸収/散乱特性に合わせた光を照射する光源素子及び光学系を有する集光装置であって、前記光学系は、前記光源素子の出射面から出射された光を、導光体に導くための光学系であって、前記光を前記導光体の端部 近傍に集光するための第1の反射面を有する器状の第1のミラーと、前記第1のミラーの内部に配置され、前記第1の反射面で反射した光の一部を、前記導光体に向けて反射させる第2の反射面を有する第2のミラーと、を備え、前記第1の反射面の形状は、前記光源素子から前記導光体に向かう第1の軸上に長軸を有する回転楕円体の表面のうち、前記回転楕円体の原点に対して前記導光体側の半分の表面と同様の形状であることを特徴とする集光装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織が有する光吸収/散乱特性に合わせた光を照射する光源素子及び光学系を有する集光装置であって、
前記光学系は、前記光源素子の出射面から出射された光を、導光体に導くための光学系であって、
前記光を前記導光体の端部近傍に集光するための第1の反射面を有する器状の第1のミラーと、
前記第1のミラーの内部に配置され、前記第1の反射面で反射した光の一部を、前記導光体に向けて反射させる第2の反射面を有する第2のミラーと、
を備え、
前記第1の反射面の形状は、前記光源素子から前記導光体に向かう第1の軸上に長軸を有する回転楕円体の表面のうち、前記回転楕円体の原点に対して前記導光体側の半分の表面と同様の形状であることを特徴とする集光装置。
【請求項2】
前記光学系が、前記出射面と、前記回転楕円体の2つの焦点のうち前記導光体側の焦点である第1の焦点と、の間に配置された凸レンズを更に備える
請求項1に記載の集光装置。
【請求項3】
前記光学系が、前記出射面と、前記凸レンズと、の間に配置され、前記出射面から出射された光の一部を反射させる第3の反射面を有する第3のミラーを更に備える
請求項2に記載の集光装置。
【請求項4】
前記第3の反射面は、前記出射面側に凸であることを特徴とする
請求項3に記載の集光装置。
【請求項5】
前記第3の反射面は、前記第1の軸に対して軸対称な円錐面を構成することを特徴とする
請求項4に記載の集光装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記凸レンズと、前記第1の焦点と、の間に配置され、前記出射面側に凸である第4の反射面を有する第4のミラーを更に備える
請求項1~5のいずれか一に記載の集光装置。
【請求項7】
前記光学系は、前記第1の反射面と、前記第2の反射面と、の間に配置される第5の反射面を有する第5のミラーを更に備え、
前記第5の反射面の形状は、前記第1の軸に対して軸対称であって、前記回転楕円体の短軸の長さを直径とする円柱体の表面と同様の形状、若しくは前記円柱体を内包する多角形であり、一端が、前記回転楕円体の表面のうち、前記短軸が通る円周上で前記第1の反射面と接続される第5の反射面を有する第5のミラーを更に備える
請求項1~6のいずれか一項に記載の集光装置。
【請求項8】
前記第2のミラーは、前記光源素子からの光を前記光学系に入射させるための開口部を有することを特徴とする
請求項1~7に記載の集光装置。
【請求項9】
前記開口部を介して一端が前記第2のミラーに接続され、前記一端が前記出射面であり、他端から前記光源素子からの光が入射される光源側導光体を更に備える
請求項8に記載の集光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射により生体組織を焼灼する際、一般的には赤外領域の光が用いられる(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された光源においては、赤外領域の光は直接的な熱を生体組織に伝えることになる。これは、生体組織を構成する細胞の成分の7割は水分である一方、生体組織の光の吸収/散乱特性を水の吸収/散乱特性で置換えられると仮定した場合、赤外領域における水の光吸収係数は、可視光領域における水の光吸収係数に比べて高いことが理由である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、「“生体組織の光学特性値計測・算出”粟津邦男、大阪大学大学院生命機能研究科、光学41巻8号(2012)」によれば、生体組織を構成する細胞においては、可視光領域における光吸収係数は、近赤外領域における光吸収係数に比べて高くなっている。すなわち、赤外線領域の光の波長の熱を直接的に使用して生体組織を焼灼することは効率が悪く、水の吸収/散乱特性をそのまま代用できないことを示している。
【0005】
また、生体組織の焼灼を行うには、生体組織へ光が照射された部位の温度が60℃以上に上昇させる必要がある。このためには光源から発光される光の光量や波長特性を極力損なわずに焼灼部位へ集める必要がある。
【0006】
更に、インターネットサイト<https://www.mext.go.jp/b#menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/attach/1333543.htm>によれば、ヘモグロビンを含む生体組織においては、紫外、可視光領域における光吸収係数は、近赤外領域における光吸収係数よりも2桁程度高い。
【0007】
従って、光照射により生体組織を焼灼する際、ヘモグロビンを含む生体組織の光吸収/散乱特性や、生体組織を構成する細胞の光吸収/散乱特性に合わせた光(光の波長域)を用いることで、生体組織が光を吸収/散乱することで発生する熱により、効率的に焼灼できると考えられる。
【0008】
本発明の目的は、生体組織を焼灼するための光を効率よく伝達することが可能な集光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明は、生体組織が有する光吸収/散乱特性に合わせた光域の波長の光を照射する光源素子及び光学系を有する集光装置であって、前記光学系は、前記光源素子の出射面から出射された光を、導光体に導くための光学系であって、前記光を前記導光体の端部近傍に集光するための第1の反射面を有する器状の第1のミラーと、前記第1のミラーの内部に配置され、前記第1の反射面で反射した光の一部を、前記導光体に向けて反射させる第2の反射面を有する第2のミラーと、を備え、前記第1の反射面の形状は、前記光源素子から前記導光体に向かう第1の軸上に長軸を有する回転楕円体の表面のうち、前記回転楕円体の原点に対して前記導光体側の半分の表面と同様の形状であることを特徴とする集光装置である。本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、生体組織を焼灼するための光を効率よく伝達することが可能な集光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の照射装置の構成を説明するための断面図である。
【
図2】第2実施形態の照射装置の構成を説明するための断面図である。
【
図3】第3実施形態の照射装置の構成を説明するための断面図である。
【
図4A】第3のミラーの構成を説明するための斜視図である。
【
図4B】第3のミラーの構成を説明するための図である。
【
図5】第3実施形態の変形例による照射装置の構成を説明する図である。
【
図6】第4実施形態の照射装置の構成を説明する図である。
【
図8】第5実施形態の照射装置の構成を説明する図である。
【
図9】第6実施形態の照射装置の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
==照射装置==
図1は、本実施形態の照射装置10の構成を説明するための断面図である。本実施形態の照射装置10は、光源素子20と、導光体30と、光学系40とを備える。なお、光源素子20と、光学系40とによって、集光装置50が構成される。
【0013】
以下では、説明の便宜上、
図1に示すように、第1の軸X1が定義される。第1の軸X1は、光源素子20から導光体30に向かう方向の軸である(詳細は後述)。
図1は、照射装置10を、第1の軸X1を通る任意の平面で切断したときの断面を示す図である。
【0014】
[光源素子]
光源素子20は、照射装置10に可視光領域の光を照射させるための装置である。光源素子20は、可視光領域の光を生成する。具体的には、光源素子20は、400~750nmの波長領域の光を生成する。なお、光源素子20が生成する光は、焼灼する組織の光吸収/散乱特性に合わせて、光の波長領域を選択することが可能である。
【0015】
光源素子20は、出射面20aを有している。光源素子20で生成された光は、出射面20aから光源素子20の外部へ出射される。このとき、光源素子20で生成された光は、出射面20aの法線方向に対して多様な方向に均等に出射されることが好ましい。つまり、光源素子20は、所謂、拡散光源素子であることが好ましい。光源素子20から出射した光が均等でなくても、第1の反射面401aの形状が楕円形状であれば、第1の焦点F1に光源素子20から出射した光は集光される。
【0016】
光源素子20についての制約は上記の他は特に無いが、レーザ光源、LED光源、ハロゲンランプ、キセノンランプ等を用いた光源素子20を用いることができる。また、本実施形態では、出射面20aは、第1の軸X1に対して垂直となっている。
【0017】
[導光体]
導光体30は、例えば光ファイバーのような、光源素子20からの光を生体組織まで伝搬する部材である。導光体30の一端には、光学系40からの光を入射させるための入射面30aが設けられている。入射面30aから入射した光は、導光体30内を伝搬し、導光体30の他端(図示せず)から出射される。導光体30の他端から出射された光によって、生体組織が焼灼される。なお、本実施形態では、入射面30aの面積は、出射面20aの面積よりも小さい。
【0018】
[光学系]
光学系40は、光源素子20の出射面20aから出射された光を、導光体30の入射面30aに導く。本実施形態の光学系40は、第1のミラー401と、第2のミラー402とを備えている。
【0019】
(第1のミラー)
第1のミラー401は、器状の部材である。本実施形態において、第1のミラー401の内部は、楕円関数に基づく形状をしている。なお、前記、楕円関数に基づく形状を近似する直線の組み合わせで代行してもよい。第1のミラー401の外周面の形状は限定されない。本実施例では簡略化のため、外周面の形状は、内周面の形状と同じである。
【0020】
第1のミラー401は、楕円関数に基づく形状をした第1の反射面401a及び出射口部401bを有する。出射口部401bは導光体30を取り付ける部分であるが、導光体30が無い場合は、光源素子20の光を集光した光の出射光の出口となる。
【0021】
第1の反射面401aは、第1のミラー401の内周面に設けられている。第1の反射面401aは、出射面20aから出射された光を、導光体30の入射面30a、又は入射面30aの近傍に集光するための反射面であるが、第1の反射面401aが楕円形状であれば、その楕円形状が持つ第1の焦点F1の位置に集光する。なお、本実施形態において、「入射面30aの近傍」は、入射面30aも含む。
【0022】
ここで、第1の反射面401aの形状について説明する。第1の反射面401aの形状は、回転楕円体の表面のうち、回転楕円体の半分の表面と同様の形状である。
【0023】
具体的には、
図1に示すような回転楕円体Eを定義した場合、第1の反射面401aは、回転楕円体Eの表面のうち、回転楕円体Eの原点に対して導光体30側の半分の表面と同様の形状である。なお、回転楕円体Eの長軸は第1の軸X1となる。つまり、回転楕円体Eは、第1の軸X1に対して軸対称である。また、
図1には、回転楕円体Eの長軸を通る平面で切断したときの断面を破線で示している。
【0024】
出射口部401bは、円筒状の部分である。出射口部401bの一端は、回転楕円体Eの導光体30側の半分の表面と、第1の軸X1と交わる位置の近傍に位置している。出射口部401bの内部には、導光体30が挿通されている。
【0025】
ここで、第1のミラー401と、導光体30の入射面30aとの位置関係について説明する。導光体30の入射面30aは、第1の焦点F1の位置、又は第1の焦点F1の近傍の位置に配置されればよい。
【0026】
図1に示したように、回転楕円体Eの2つの焦点である第1の焦点F1及び第2の焦点F2は、第1の軸X1上に配置される。第1の焦点F1は、回転楕円体Eの2つの焦点のうち導光体30側の焦点である。第2の焦点F2は、第1の焦点F1の他方の焦点である。なお、以下では、「焦点F1の近傍」とは、焦点F1を含むこととする。
【0027】
入射面30aを第1の焦点F1の位置に配置することにより、入射する光の強度が最も高くなる。一方、入射面30aを第1の焦点F1の位置の近傍に配置することにより、入射面30aでの発熱を抑えることができる。
【0028】
図1に示したように、本実施形態では、入射面30aは、第1の焦点F1の近傍の位置に配置されている。
【0029】
(第2のミラー)
第2のミラー402は、円板状の部材である。本実施形態における第2のミラー402は、第1の軸X1に対して垂直に配置されている。
【0030】
第2のミラー402は、第2の反射面402aを有する。第2の反射面402aは、第1の反射面401aで反射した光の一部を、導光体30の入射面30a側に向けて反射させる反射面である。第2の反射面402aは、第2のミラー402の互いに平行な2つの表面のうち、導光体30側の表面に設けられている。また、本実施形態において、第2の反射面402aは、
図1で定義した回転楕円体Eの短軸を通る平面上に配置されている。
【0031】
このような第2のミラー402を設けることによって、光学系40内において、進行する経路の延長線が第2の焦点F2を通る光は、第2の反射面402aで反射した後に、第1の焦点F1に到達する。つまり、第2のミラー402を設けることによって、仮に第2のミラー402が存在しない場合に第2の焦点F2に集光する光を、第2の反射面402aで反射させることによって第1の焦点F1に集光させることができる。
【0032】
以上から明らかなように、本実施形態の照射装置10において、第1の反射面401aの形状は、第1の軸X1上に長軸を有する回転楕円体Eの表面のうち、回転楕円体Eの原点に対して導光体30側の半分の表面と同様の形状である。
【0033】
このような構成によって、出射面20aから出射された光の一部は、第1の焦点F1に直接集光する。また、出射面20aから出射された光の他の一部は、第1の反射面401aで反射する。第1の反射面401aで反射した光の一部は、第1の焦点F1に集光する。また、第1の反射面401aで反射した光の他の一部は、第2の反射面402aで反射する。第2の反射面402aで反射した光の一部は、直接、又は第1の反射面401aでさらに反射した後に第1の焦点F1に集光する。
【0034】
つまり、出射面20aから出射された光は、直接、又は第1の反射面401a若しくは第2の反射面402aで反射した後、第1の焦点F1の近傍に集光する。これによって、光源素子20の出射面20aから出射された光を効率的に入射面30aへ入射させることができる。従って、集光装置50は、生体組織を焼灼するための光を効率よく伝達することが可能となる。ここで、出射面20aの面積に対する入射面30aの面積の比をRとする。照射装置10によれば、出射面20aから出射する光の強度に対する入射面30aに入射する光の強度の比は、Rよりも大きくなる。そのため、照射装置10は、入射面30aよりも大きな面積を有する出射面20aから出射された光源の光を導光体30へ、前記面積比Rより、大きな値を得ることができ、生体組織へ照射される光の強度を上げることができる。
【0035】
<第2実施形態>
図2は、本実施形態の照射装置11を説明する図である。本実施形態の照射装置11は、第1実施形態の照射装置10と比べると、光学系41の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の光学系41は、凸レンズ406を更に備える。なお、光源素子20と、光学系41とによって、集光装置51が構成される。
【0036】
(凸レンズ)
凸レンズ406は、出射面20aと、第1の焦点F1と、の間に配置されている。凸レンズ406は、第1の軸X1を光軸とするように配置されている。ここでの凸レンズ406とは、両凸レンズ、平凸レンズ、コンデンサレンズ等を含む。本実施形態では、凸レンズ406として、平凸レンズが用いられている。
【0037】
凸レンズ406のサイズは、その外周が第1のミラー401の内周面に接触するサイズである。凸レンズ406は、その外周が第1のミラー401の内周面に固定されることによって、第1のミラー401に支持されている。なお、凸レンズ406は、第1のミラー401に支持されていればよく、サイズはこの例に限定されない。
【0038】
凸レンズ406を設けることによって、出射面20aから出射された光のうち、第1の反射面401aや第2の反射面402aで反射することなく第1の焦点F1に直接集光する光の割合が増加する。これによって、第1の反射面401a又は第2の反射面402aでの反射による光の損失が減少する。
【0039】
<第3実施形態>
図3は、本実施形態の照射装置12を説明する図である。本実施形態の照射装置12は、第2実施形態の照射装置11と比べると、光学系42の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の光学系42は、第3のミラー403を更に備える。なお、光源素子20と、光学系42とによって、集光装置52が構成される。
【0040】
(第3のミラー)
第3のミラー403は、出射面20aと、凸レンズ406と、の間に配置されている。第3のミラー403は、遮光部403bを有する。第3のミラー403の光源素子20側の面は遮光面となり、凸レンズ406の吸収係数による温度上昇を下げる効果があり、第3の反射面403aは、第1の反射面401aから反射された光の一部を反射させる反射面である。
【0041】
図4Aは、本実施形態の第3のミラー403を説明するための斜視図である。
図4Bは、本実施形態の第3のミラー403を説明するための、導光体30側から第1の軸X1の方向に第3のミラー403を見た図である。本実施形態の第3のミラー403は、第3の反射面403aと、遮光部403bと、支持部403cとを有する。
【0042】
第3の反射面403aは、円板状の部材である。第3の反射面403aは、第1の軸X1上に中心を有し、第1の軸X1に対して垂直に配置されている。遮光部403bは、第3の反射面403aの互いに平行な2つの表面のうち、光源素子20側の表面に設けられている。
【0043】
支持部403cは、遮光部403bを支持するための部材である。本実施形態では、支持部403cは、円周状のフレーム403dと、4本のアーム403eとから構成されており、表面は反射面を構成してもよい。円周状のフレーム403dは、遮光部403bの周りに、遮光部403bと同心円状に配置されている。4本のアーム403eの各々は、一端が遮光部403bに接続され、他端がフレーム403dに接続されている。4本のアーム403eは、遮光部403bの中心に対して放射状に配置されている。遮光部403bの光による熱の拡散を行うためでもある。円周状のフレーム403dは、第1のミラー401の内周面に固定されている。これによって、第3のミラー403は、第1のミラー401に対して固定されている。
【0044】
第3のミラー403を設けることによって、出射面20aから出射された光のうち、凸レンズ406に直接入射する光の割合が減少する。これによって、凸レンズ406に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を抑えることができる。
【0045】
なお、出射面20aから出射された光のうち、第3の反射面403aに到達する光以外の光は、第3のミラー403に吸収されて損失しないことが好ましい。そのため、フレーム403dやアーム403eの太さは細く、アーム403eの本数は少ないほど好ましい。また、第3のミラー403のうち、第3の反射面403aの一方の表面に形成された遮光部403bのみではなく、例えば、第3のミラー403の全表面に反射面が形成されてもよい。
【0046】
また、
図5は、本実施形態の変形例による照射装置12´の構成を説明する図であり、遮光部403bを反射面としたとした場合の第3の反射面403b´の形状を拡大して示している。
図5に示すように、第3の反射面403b´は、光源素子20側に凸であってもよい。
図5の例では、第3の反射面403b´の形状は、第1の軸X1に対して軸対称な円錐面である。
【0047】
このような構成によれば、出射面20aから出射した光のうち、第3の反射面403b´で反射した光が出射面20aから光源素子20内に戻ることを抑えることができる。
【0048】
<第4実施形態>
図6は、本実施形態の照射装置13を説明する図である。本実施形態の照射装置13は、第2実施形態の照射装置11と比べると、光学系43の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の光学系43は、第4のミラー404を更に備える。なお、光源素子20と、光学系43とによって、集光装置53が構成される。
【0049】
(第4のミラー)
第4のミラー404は、凸レンズ406と、第1の焦点F1と、の間に配置されている。
【0050】
図7は、本実施形態の第4のミラー404を説明するための斜視図である。本実施形態の第4のミラー404は、第4の反射面404aと、凸部404bと、支持部404cとを有する。第4の反射面404aは、光源素子20側に凸である。
【0051】
凸部404bは、本実施形態では、円錐状の部材である。凸部404bは、第1の軸X1を回転軸とする円錐状である。第4の反射面404aは、凸部404bの錐面に設けられている。
【0052】
支持部404cは、凸部404bを支持するための部材である。本実施形態では、支持部404cは、円周状のフレーム404dと、アーム404eとから構成されている。円周状のフレーム404dは、凸部404bの周りに、凸部404bの底面と同心円状に配置されている。アーム404eは、一端が凸部404bに接続され、他端がフレーム404dに接続されている。円周状のフレーム404dは、第1のミラー401の内周面に固定されている。これによって、第4のミラー404は、第1のミラー401に対して固定されている。
【0053】
なお、第1の焦点F1に向かって進行する光のうち、第4の反射面404aに到達する光以外の光は、第4のミラー404に吸収されて損失しないことが好ましい。そのため、アーム404eの太さは細く、アーム404eの本数は少ないほど好ましい。また、第4のミラー404のうち、凸部404bの錐面に形成された第4の反射面404aのみではなく、例えば、第4のミラー404の全表面に反射面が形成されてもよい。
【0054】
第4のミラー404を設けることによって、第1の焦点F1に集光する光の割合が減少する。これによって、導光体30に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を抑えることができる。
【0055】
<第5実施形態>
図8は、本実施形態の照射装置14を説明するための断面図である。本実施形態の照射装置14は、第3実施形態の照射装置12と比べると、光学系44の構成が異なっている。具体的には、本実施形態の光学系44は、第5のミラー405を更に備える。なお、光源素子20と、光学系44とによって、集光装置54が構成される。
【0056】
(第5のミラー)
第5のミラー405は、円筒状の部材であり、第5の反射面405aを有する。第5の反射面405aは、第5のミラー405の内周面に設けられている。
【0057】
第5の反射面405aの形状は、第1の軸X1に対して軸対称であって、回転楕円体Eの短軸の長さを直径とする円柱体の表面と同様の形状である。つまり、第5のミラー405の内周面の、第1の軸X1に直交する平面における断面形状は、回転楕円体Eの短軸を直径とする円である。若しくは、第5の反射面405aの形状は、第1の軸X1に対して複数回回転対称であって、回転楕円体Eの短軸の長さを直径とする円柱体を内包する柱体の表面と同様の形状であってもよい。つまり、第5のミラー405の内周面の、第1の軸X1に直交する平面における断面形状は、多角形であってもよい。多角形としては特に制限されないが、例えば正6角形であってもよい。
【0058】
第5のミラー405は、第1のミラー401と、第2のミラー402と、の間に配置される。従って、第5の反射面405aは、第1の反射面401aと、第2の反射面402aと、の間に配置される。第5の反射面405aは、一端が、回転楕円体Eの表面のうち、回転楕円体Eの短軸が通る円周上で第1の反射面401aと接続される。第5の反射面405aは、他端が、第2の反射面402aと円周上で接続される。
【0059】
<第6実施形態>
図9は、本実施形態の照射装置15を説明するための断面図である。本実施形態の照射装置15は、第3実施形態の照射装置12と比べると、集光装置55の構成が異なっている。
【0060】
本実施形態の第2のミラー402は、開口部402bを有している。光源素子21は、開口部402bを介して光源からの光を光学系45に入射させる。光源素子21は、第1のミラー401の外側に配置される。
【0061】
[光源側導光体]
本実施形態の集光装置55は、光源側導光体210を更に備えている。光源側導光体210は、光源素子21からの光を光学系45に導く。光源側導光体210は、開口部402bを介して一端が第2のミラー402に接続される。本実施形態では、光源側導光体210の一端が出射面21aに相当する。光源側導光体210の他端には、光源素子21からの光が入射する。
【0062】
このような構成によれば、光源素子21を第1のミラー401の内部に設ける必要がないため、光源素子21のサイズ等の制約が緩和され、光源素子21を選択する際の自由度が増す。
【0063】
なお、本実施形態の集光装置55は、光源側導光体210を備えるが、これに限られるものではない。例えば、光源側導光体210を省略し、光源素子21からの光を、開口部402bから光学系45に直接入射させてもよい。このような場合、開口部402bが出射面21aに相当する。また、このような場合、開口部402bから光学系45の内部へ埃等の異物が侵入することを防止するため、開口部402bを透明の部材で覆ったり、透明の部材で充填したりしてもよい。
【0064】
以上、第1~6実施形態の集光装置50~55は、生体組織が有する光吸収/散乱特性に合わせた光を照射する光源素子20、21及び光学系40~45を有する集光装置50~55であって、光学系40~45は、光源素子20、21の出射面20a、21aから出射された光を、導光体30に導くための光学系40~45であって、光を導光体30の端部近傍に集光するための第1の反射面401aを有する器状の第1のミラー401と、第1の反射面401aで反射した光の一部を、導光体30に向けて反射させる第2の反射面402aを有する第2のミラー402と、を備え、第1の反射面401aの形状は、光源素子20、21から導光体30に向かう第1の軸X1上に長軸を有する回転楕円体Eの表面のうち、回転楕円体Eの原点に対して導光体30側の半分の表面と同様の形状である。
【0065】
このような構成によれば、出射面20a、21aから出射された光の一部は、第1の焦点F1に直接集光する。また、出射面20a、21aから出射された光の他の一部は、第1の反射面401aで反射する。第1の反射面401aで反射した光の一部は、第1の焦点F1に集光する。また、第1の反射面401aで反射した光の他の一部は、第2の反射面402aで反射する。第2の反射面402aで反射した光の一部は、直接、又は第1の反射面401aでさらに反射した後に第1の焦点F1に集光する。
【0066】
つまり、出射面20a、21aから出射された光は、直接、又は第1の反射面401a若しくは第2の反射面402aで反射した後に、第1の焦点F1の近傍に集光する。このため、第1の焦点F1の近傍に導光体30の入射面30aを配置することにより、光源素子20、21の、入射面30aよりも大きな面積を有する出射面20a、21aから出射された光を効率よく入射面30aに入射させることができる。すなわち、本実施形態に係る集光装置50~55によれば、出射面20a、21aから出射された光は、前記面積比Rより、大きな値を得ることができ、生体組織へ照射される光の強度を上げることができる。
【0067】
また、第2~第6実施形態の集光装置51~55において、光学系41~45は、出射面20a、21aと、回転楕円体Eの2つの焦点のうち導光体30側の焦点である第1の焦点F1と、の間に配置された凸レンズ406を更に備える。このような構成によれば、出射面20a、21aから出射されて凸レンズ406を通過した光のうち、第1の焦点F1に直接集光する光の割合が増加する。これによって、第1の反射面401a又は第2の反射面402aでの反射による光の損失が減少する。従って、生体組織を焼灼するための光を更に効率よく伝達することが可能な集光装置51~55を提供することができる。
【0068】
また、第3実施形態の集光装置52において、第3のミラー403は、出射面20aと、凸レンズ406と、の間に配置され、出射面20aから出射された光の一部を反射させる第3の反射面403aを有する。このような構成によれば、第1の反射面401aで反射した光の一部が第3の反射面403aで反射し、遮光部403bにより、出射面20aからの直接光を遮光する。これによって、凸レンズ406に直接入射する光の割合が減少する。従って、凸レンズ406に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を抑えることができ、かつ、出射面20aに戻ろうとする光を第3の反射面403aで反射して、光源素子20の発熱を抑えることができる。
【0069】
また、第3実施形態の集光装置52の光学系42において、遮光部403bは、光源側に凸で、かつ、反射面あってもよい。このような構成によれば、出射面20aから出射した光のうち、遮光部403bで反射した光が、出射面20aから光源素子20内に戻ることを抑えることができる。これによって、凸レンズ406に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を抑えつつ、生体組織を更に効率的に焼灼することが可能な光学系42を提供することができる。
【0070】
また、第3実施形態の集光装置52の光学系42において、遮光部403bは、第1の軸X1に対して軸対称な円錐面を構成してもよい。このような構成によれば、出射面20aから出射した光のうち、遮光部403bで反射した光が出射面20aから光源素子20内に戻ることを抑え、更に、第1の反射面401aへ光を導光することができる。これによって、凸レンズ406に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を更に抑えつつ、生体組織を更に効率的に焼灼することが可能な光学系42を提供することができる。
【0071】
また、第4実施形態の集光装置53において、光学系43は、凸レンズ406と、第1の焦点F1と、の間に配置され、光源側に凸である第4の反射面404aを有する第4のミラー404を更に備える。このような構成によれば、出射面20aから出射した光の一部が第4の反射面404aで反射する。これによって、凸レンズ406を通過した後に第1の焦点F1に直接集光する光の割合が減少する。従って、導光体30に入射する光の強度が局所的に高くなることによる発熱を抑えることができる。
【0072】
また、第5実施形態の集光装置54において、光学系44は、第1の反射面401aと、第2の反射面402aと、の間に配置される第5の反射面405aを有する第5のミラー405を更に備え、第5の反射面405aの形状は、第1の軸X1に対して軸対称であって、回転楕円体Eの短軸の長さを直径とする円柱体の表面と同様の形状、若しくは上記円柱体を内包する多角形であり、一端が、回転楕円体Eの表面のうち、短軸が通る円周上で第1の反射面401aと接続される第5の反射面405aを有する第5のミラー405を更に備える。このような構成によれば、第5の反射面405aの、第1の軸X1方向の長さを調節することにより、出射面20aから出射された光の、第1のミラー401を基準とするときの集光する位置を調節することができる。これによって、光学系44の設計の自由度が増す。
【0073】
また、第6実施形態の集光装置55において、光学系45は、第2のミラー402は、開口部402bを有し、光源素子21は、開口部402bを介して光源素子21からの光を光学系45に入射させる。このような構成によれば、光源素子21を光学系45の内部に設ける必要がないため、光源素子21のサイズ等の制約が緩和され、光源素子21を選択する際の自由度が増す。
【0074】
また、第6実施形態の集光装置55は、開口部402bを介して一端が第2のミラー402に接続され、一端が出射面21aであり、他端から光源素子21からの光が入射される光源側導光体210を更に備える。このような構成によれば、光源素子21を光学系45の内部に設ける必要がないため、光源素子21のサイズ等の制約が緩和され、光源素子21を選択する際の自由度が増す。
【0075】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0076】
例えば、第5実施形態の照射装置14及び第6実施形態の照射装置15において、光学系44は、凸レンズ406、第3のミラー403の少なくとも一方は備えなくてもよい。また、第5実施形態の照射装置14及び第6実施形態の照射装置15において、第4実施形態で説明した第4のミラーを更に備えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10:照射装置
11:照射装置
12:照射装置
13:照射装置
14:照射装置
15:照射装置
20:光源素子
20a:出射面
21:光源素子
21a:出射面
210:光源側導光体
30:導光体
30a:入射面
40:光学系
41:光学系
42:光学系
43:光学系
44:光学系
45:光学系
401:第1のミラー
401a:第1の反射面
401b:出射口部
402:第2のミラー
402a:第2の反射面
402b:開口部
403:第3のミラー
403a:第3の反射面
403b:遮光部
403b´:第3の反射面
403c:支持部
403d:フレーム
403e:アーム
404:第4のミラー
404a:第4の反射面
404b:凸部
404c:支持部
405:第5のミラー
405a:第5の反射面
406:凸レンズ
50:集光装置
51:集光装置
52:集光装置
53:集光装置
54:集光装置
55:集光装置
X1:第1の軸
F1:第1の焦点
F2:第2の焦点
E:回転楕円体