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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112207
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20220726BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20220726BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220726BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220726BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220726BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20220726BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220726BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/131
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 D
H01M10/0566
H01M10/052
C01G53/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007921
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶一
(72)【発明者】
【氏名】花▲崎▼ 亮
【テーマコード(参考)】
4G048
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB01
4G048AC06
4G048AD04
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ12
5H029DJ16
5H029HJ00
5H029HJ02
5H029HJ04
5H029HJ12
5H050AA15
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050EA09
5H050EA24
5H050FA02
5H050FA17
5H050HA00
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】充填性と溶断性能とを両立すること。
【解決手段】非水電解質二次電池は正極と負極と電解液とを含む。正極は正極基材と正極活物質層とを含む。正極活物質層は正極基材の表面に配置されている。正極活物質層は第1層と第2層とを含む。第1層は、第2層と正極基材との間に配置されている。第1層は、第1粒子群を主活物質として含む。第2層は、第2粒子群および第3粒子群の混合物を含む。第2粒子群が第2層の主活物質である。第1粒子群は、複数個の第1正極活物質粒子からなる。第2粒子群は、複数個の第2正極活物質粒子からなる。第3粒子群は、複数個の第3正極活物質粒子からなる。第1正極活物質粒子および第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に1個から10個の単粒子を含む。第2正極活物質粒子は、50個以上の一次粒子が凝集した二次粒子を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極と電解液とを含み、
前記正極は、正極基材と正極活物質層とを含み、
前記正極活物質層は、前記正極基材の表面に配置されており、
前記正極活物質層は、第1層と第2層とを含み、
前記第1層は、前記第2層と前記正極基材との間に配置されており、
前記第1層は、第1粒子群を主活物質として含み、
前記第2層は、第2粒子群および第3粒子群の混合物を含み、
前記第2粒子群が前記第2層の主活物質であり、
前記第1粒子群は、複数個の第1正極活物質粒子からなり、
前記第2粒子群は、複数個の第2正極活物質粒子からなり、
前記第3粒子群は、複数個の第3正極活物質粒子からなり、
前記第1正極活物質粒子および前記第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に、1個から10個の単粒子を含み、
前記第2正極活物質粒子は、50個以上の一次粒子が凝集した二次粒子を含む、
非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記第1正極活物質粒子、前記第2正極活物質粒子および前記第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に、層状金属酸化物を含み、
前記層状金属酸化物は、式(1):
Li1-aNixMe1-x2 (1)
によって表され、
前記式(1)中、
aは、-0.3≦a≦0.3の関係を満たし、
xは、0.7≦x≦1.0の関係を満たし、
Meは、Co、Mn、Al、Zr、B、Mg、Fe、Cu、Zn、Sn、Na、K、Ba、Sr、Ca、W、Mo、Nb、Ti、Si、V、CrおよびGeからなる群より選択される少なくとも1種を示す、
請求項1に記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記第1粒子群は、9.3%から21.3%の食い込み率を有し、
前記食い込み率は、式(2):
B(%)=d/t×100 (2)
により求まり、
前記式(2)中、
Bは前記食い込み率を示し、
dは、前記正極基材の厚さ方向において、前記第1正極活物質粒子が前記正極基材に食い込んでいる部分の深さの平均値を示し、
tは、前記正極基材の厚さを示す、
請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記第1粒子群は、0.75から0.87の球形度を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記混合物は、2.9以上のフローファンクション係数を有する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記正極活物質層の厚さに対する、前記第2層の厚さの比は、0.25から0.75である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-087879号公報(特許文献1)は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子と、単粒子とから構成されたリチウム金属複合酸化物粉末を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-087879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、非水電解質二次電池(以下「電池」と略記され得る。)において、正極活物質は粒子群である。例えば正極活物質を含む正極活物質層が、正極基材の表面に配置される。正極活物質層が圧縮されることにより、エネルギー密度が高められる。
【0005】
正極活物質の充填性を高めるために、例えば、凝集粒子と単粒子とを混合することが考えられる。凝集粒子は、微細な一次粒子が凝集して形成された二次粒子である。単粒子は、比較的大きく成長した一次粒子である。凝集粒子と単粒子との混合物は、充填性が良好な傾向がある。ただし、釘刺し試験における溶断性能に改善の余地がある。本明細書における「溶断」は、釘刺し試験時に、正極基材(金属箔等)が溶け広がることにより、短絡電流が遮断される現象を示す。短絡の発生から溶断の発生までの時間が短い程、溶断性能が良好である。
【0006】
例えば、正極基材に正極活物質(粒子)が食い込んでいる箇所では、正極基材が局所的に薄くなっているため、溶断が発生しやすい。正極活物質が凝集粒子と単粒子との混合物である場合、正極活物質が正極基材に食い込み難い傾向がある。そのため、溶断の発生に時間を要する可能性がある。
【0007】
本技術の目的は、充填性と溶断性能との両立にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本技術の構成および作用効果が説明される。ただし本明細書の作用メカニズムは推定を含んでいる。本技術の範囲は作用メカニズムに拘束されない。
【0009】
〔1〕非水電解質二次電池は正極と負極と電解液とを含む。正極は正極基材と正極活物質層とを含む。正極活物質層は正極基材の表面に配置されている。正極活物質層は第1層と第2層とを含む。第1層は、第2層と正極基材との間に配置されている。第1層は、第1粒子群を主活物質として含む。第2層は、第2粒子群および第3粒子群の混合物を含む。第2粒子群が第2層の主活物質である。第1粒子群は、複数個の第1正極活物質粒子からなる。第2粒子群は、複数個の第2正極活物質粒子からなる。第3粒子群は、複数個の第3正極活物質粒子からなる。第1正極活物質粒子および第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に1個から10個の単粒子を含む。第2正極活物質粒子は、50個以上の一次粒子が凝集した二次粒子を含む。
【0010】
本技術の正極活物質層は多層構造を有する。すなわち正極活物質層は、第1層(下層)と第2層(上層)とを含む。上層は、下層に比して正極活物質層の表面側に配置されている。下層は、上層に比して正極基材側に配置されている。
【0011】
下層は、主に単粒子(第1正極活物質粒子)により構成される。単粒子は、凝集粒子に比して正極基材に食い込みやすい傾向がある。下層が主に単粒子により構成されることにより、溶断性能の向上が期待される。
【0012】
上層は、凝集粒子と単粒子との混合物(第2正極活物質粒子および第3正極活物質粒子)により構成される。よって正極活物質層は、所望の充填性を有し得る。
【0013】
正極活物質層の圧縮時、上層にストレスが集中する傾向がある。例えば、上層が凝集粒子のみにより構成されている場合、凝集粒子が割れることがある。正極活物質層の表面付近で凝集粒子が割れることにより、正極活物質層への電解液の出入りが阻害され得る。その結果、例えばサイクル耐久性が低下する可能性がある。上層が凝集粒子に加えて単粒子を含むことにより、充填性が向上し、凝集粒子の割れが低減し得る。その結果、例えばサイクル耐久性の向上が期待される。
【0014】
〔2〕上記〔1〕の電池において、第1正極活物質粒子、第2正極活物質粒子および第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に、層状金属酸化物を含んでいてもよい。
層状金属酸化物は、例えば下記式(1)により表されてもよい。
Li1-aNixMe1-x2 (1)
上記式(1)中、
「a」は、-0.3≦a≦0.3の関係を満たす。
「x」は、0.7≦x≦1.0の関係を満たす。
「Me」は、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、珪素(Si)、バナジウム(V)、クロム(Cr)およびゲルマニウム(Ge)からなる群より選択される少なくとも1種を示す。
【0015】
〔3〕上記〔1〕または〔2〕の電池において、第1粒子群は、例えば9.3%から21.3%の食い込み率を有していてもよい。食い込み率は下記式(2)により求まる。
B(%)=d/t×100 (2)
上記式(2)中、
「B」は食い込み率を示す。
「d」は、正極基材の厚さ方向において、第1正極活物質粒子が正極基材に食い込んでいる部分の深さの平均値を示す。
「t」は、正極基材の厚さを示す。
【0016】
食い込み率が9.3%以上であることにより、溶断性能の向上が期待される。食い込み率が21.3%を超えると、正極基材の強度が低下する可能性がある。その結果、例えば正極基材と正極集電部材とを溶接する作業等に支障をきたす可能性がある。
【0017】
〔4〕上記〔1〕から〔3〕の電池において、第1粒子群は、例えば0.75から0.87の球形度を有していてもよい。
【0018】
粒子が真球に近いよりも、多少いびつである方が、粒子が正極基材に食い込みやすい傾向がある。第1粒子群が0.75から0.87の球形度を有することにより、所望の食い込み率が得られやすい傾向がある。
【0019】
〔5〕上記〔1〕から〔4〕の電池において、第2粒子群および第3粒子群の混合物は、例えば2.9以上のフローファンクション係数を有していてもよい。
【0020】
本明細書の「フローファンクション係数(flow function coefficient,ffc)」は、充填性の指標となり得る。ffcの値が大きい程、充填性が良好であると考えられる。ffcは、単軸崩壊応力(fc)に対する最大主応力(σ1)の比である。ffcは、粉体の一面せん断試験によって測定される。従来、粉体の充填性の指標としてCarrの流動性指数が慣用されている。ffcは、Carrの流動性指数よりも、正極活物質の充填挙動をよく反映している。Carrの流動性指数においては、圧縮時に正極活物質に加わる外力が考慮されていないが、ffcにおいては、圧縮時に正極活物質に加わる外力が考慮されているためと考えられる。第2粒子群および第3粒子群の混合物(すなわち上層)が2.9以上のffcを有する時、正極活物質層の充填性が向上することが期待される。
【0021】
〔6〕上記〔1〕から〔5〕の電池において、正極活物質層の厚さに対する、第2層の厚さの比は、例えば0.25から0.75であってもよい。
【0022】
本明細書においては、「正極活物質層の厚さに対する、第2層の厚さの比」が「厚さ比」とも記される。厚さ比が0.25から0.75である時、例えば溶断性能とサイクル耐久性とのバランスが良い傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本実施形態における非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。
図2図2は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略図である。
図3図3は、本実施形態における正極を示す概念図である。
図4図4は、食い込み率の測定方法の説明図である。
図5図5は、粉体の一面せん断試験の第1説明図である。
図6図6は、粉体の一面せん断試験の第2説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本技術の実施形態(本明細書においては「本実施形態」とも記される。)が説明される。ただし本技術の範囲は、以下の説明に拘束されない。
【0025】
本明細書において、「備える、含む(comprise,include)」、「有する(have)」およびこれらの変形〔例えば「から構成される(be composed of)」、「包含する(emcopass,involve)」、「含有する(contain)」、「担持する(carry,support)」、「保持する(hold)」等〕の記載は、オープンエンド形式である。オープンエンド形式は必須要素(群)に加えて、追加要素(群)をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる(consist of)」との記載はクローズド形式である。「実質的に・・・からなる(consist essentially of)」との記載はセミクローズド形式である。セミクローズド形式は、本技術の目的を阻害しない範囲で、必須要素(群)に加えて追加要素(群)をさらに含んでいてもよい。例えば、本技術の属する分野において通常想定される要素(例えば不可避不純物等)が、追加要素として含まれていてもよい。
【0026】
本明細書において、「・・・してもよい(may)、・・・し得る(can)」という単語は、義務的な意味「・・・しなければならない(must)」の意味ではなく、許容的な意味「・・・する可能性を有する」の意味で使用されている。
【0027】
本明細書において、単数形(「a」、「an」および「the」)は、特に断りの無い限り、複数形も含み得る。
【0028】
本明細書において、例えば「LiCoO2」等の化学量論的組成式によって化合物が表現されている場合、該化学量論的組成式は代表例に過ぎない。組成比は非化学量論的であってもよい。例えば、コバルト酸リチウムが「LiCoO2」と表現されている時、特に断りのない限り、コバルト酸リチウムは「Li/Co/O=1/1/2」の組成比に限定されず、任意の組成比でLi、CoおよびOを含み得る。
【0029】
本明細書において、例えば「1個から10個」および「1~10個」等の数値範囲は、特に断りのない限り、上限値および下限値を含む。すなわち「1個から10個」および「1~10個」は、「1個以上10個以下」の数値範囲を示す。また、数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値および下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
【0030】
本明細書における幾何学的な用語(例えば「平行」、「垂直」等)は、厳密な意味に解されるべきではない。例えば「平行」は、厳密な意味での「平行」から多少ずれていてもよい。本明細書における幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。本技術の理解を助けるために、各図中の寸法関係(長さ、幅、厚さ等)が変更されている場合がある。さらに一部の構成が省略されている場合もある。
【0031】
<非水電解質二次電池>
図1は、本実施形態における非水電解質二次電池の構成の一例を示す概略図である。
電池100は、任意の用途で使用され得る。電池100は、例えば電動車両において、主電源または動力アシスト用電源として使用されてもよい。複数個の電池100が連結されることにより、電池モジュールまたは組電池が形成されてもよい。
【0032】
電池100は外装体90を含む。外装体90は、角形(扁平直方体状)である。ただし角形は一例である。外装体90は任意の形態を有し得る。外装体90は、例えば円筒形であってもよいし、パウチ形であってもよい。外装体90は、例えばAl合金製であってもよい。外装体90は、電極体50と電解液(不図示)とを収納している。外装体90は、例えば封口板91と外装缶92とを含んでいてもよい。封口板91は、外装缶92の開口部を塞いでいる。例えばレーザ溶接により、封口板91と外装缶92とが接合されていてもよい。
【0033】
封口板91に、正極端子81と負極端子82とが設けられている。封口板91に、注入口と、ガス排出弁とがさらに設けられていてもよい。注入口から外装体90の内部に電解液が注入され得る。電極体50は、正極集電部材71によって正極端子81に接続されている。正極集電部材71は、例えばAl板等であってもよい。電極体50は、負極集電部材72によって負極端子82に接続されている。負極集電部材72は、例えばCu板等であってもよい。
【0034】
図2は、本実施形態における電極体の構成の一例を示す概略図である。
電極体50は巻回型である。電極体50は、正極10、セパレータ30および負極20を含む。すなわち電池100は、正極10と負極20と電解液とを含む。正極10、セパレータ30および負極20は、いずれも帯状のシートである。電極体50は複数枚のセパレータ30を含んでいてもよい。電極体50は、正極10、セパレータ30および負極20がこの順に積層され、渦巻状に巻回されることにより形成されている。正極10または負極20の一方がセパレータ30に挟まれていてもよい。正極10および負極20の両方がセパレータ30に挟まれていてもよい。電極体50は、巻回後に扁平状に成形されていてもよい。なお巻回型は一例である。電極体50は、例えば積層(スタック)型であってもよい。
【0035】
《正極》
正極10は、正極基材11と正極活物質層12とを含む。正極基材11は導電性シートである。正極基材11は、例えばAl合金箔等であってもよい。正極基材11は、例えば10μmから30μmの厚さを有していてもよい。正極活物質層12は、正極基材11の表面に配置されている。正極活物質層12は、例えば正極基材11の片面のみに配置されていてもよい。正極活物質層12は、例えば正極基材11の表裏両面に配置されていてもよい。正極10の幅方向(図2のX軸方向)において、一方の端部に正極基材11が露出していてもよい。正極基材11が露出した部分には、正極集電部材71が接合され得る。
【0036】
例えば、正極活物質層12と正極基材11との間に中間層(不図示)が形成されていてもよい。本実施形態においては、中間層がある場合も、正極活物質層12が正極基材11の表面に配置されているとみなされる。中間層は、正極活物質層12に比して薄くてもよい。中間層は、例えば0.1μmから10μmの厚さを有していてもよい。中間層は、例えば導電材、絶縁材等を含んでいてもよい。
【0037】
(正極活物質層)
正極活物質層12は、例えば10μmから200μmの厚さを有していてもよい。正極活物質層12は、例えば50μmから150μmの厚さを有していてもよい。正極活物質層12は、例えば50μmから100μmの厚さを有していてもよい。
【0038】
正極活物質層12は正極活物質を含む。正極活物質は粒子群である。正極活物質層12は、正極活物質を含む限り、追加の成分をさらに含んでいてもよい。正極活物質層12は正極活物質に加えて、例えば導電材およびバインダ等を含んでいてもよい。導電材は、任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、カーボンブラック、黒鉛、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンフレークからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。導電材の配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部から10質量部であってもよい。バインダは、任意の成分を含み得る。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ(ビニリデンフルオリド-co-ヘキサフルオロプロピレン(PVdF-HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびポリアクリル酸(PAA)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。バインダの配合量は、100質量部の正極活物質に対して、例えば0.1質量部から10質量部であってもよい。
【0039】
正極活物質層12は高密度を有し得る。正極活物質層12は、例えば3.6g/cm3から3.9g/cm3の密度を有していてもよい。正極活物質層12は、例えば3.65g/cm3から3.81g/cm3の密度を有していてもよい。正極活物質層12は、例えば3.70g/cm3から3.81g/cm3の密度を有していてもよい。本明細書における活物質層の密度は、見かけ密度を示す。
【0040】
(多層構造)
図3は、本実施形態における正極を示す概念図である。
正極活物質層12は、第1層1と第2層2とを含む。第1層1は、第2層2と正極基材11との間に配置されている。第1層1および第2層2は、それぞれ独立に、例えばスラリーの塗布により形成され得る。第1層1と第2層2とは順次形成されてもよい。第1層1と第2層2とは実質的に同時に形成されてよい。
【0041】
正極活物質層12は、第1層1および第2層2を含む限り、追加の層(不図示)をさらに含んでいてもよい。追加の層は、第1層1および第2層2と異なる組成を有する。例えば、第1層1と第2層2との間に追加の層が形成されていてもよい。例えば、第1層1と正極基材11との間に追加の層が形成されていてもよい。例えば、正極活物質層12の表面と、第2層2との間に追加の層が形成されていてもよい。
【0042】
第1層1は、別言すれば「下層」である。第1層1は、第2層2に比して、正極基材11側に配置されている。第1層1は、正極基材11の表面に接していてもよい。第2層2は、別言すれば「上層」である。第2層2は、第1層1に比して、正極活物質層12の表面側に配置されている。第2層2は、正極活物質層12の表面を形成していてもよい。
【0043】
第1層1は、主に単粒子により構成される。すなわち第1層1は、第1粒子群を主活物質として含む。第1層1は、第1粒子群を主活物質として含む限り、追加の粒子群をさらに含んでいてもよい。下層が主に単粒子により構成されることにより、溶断性能の向上が期待される。
【0044】
第2層2は、凝集粒子および単粒子の混合物により構成される。すなわち第2層2は、第2粒子群および第3粒子群を含む。第2粒子群は、第2層2の主活物質である。第2層2は、第2粒子群および第3粒子群を含む限り、追加の粒子群をさらに含んでいてもよい。上層が凝集粒子および単粒子の混合物により構成されることにより、充填性の向上が期待される。
【0045】
本明細書における「主活物質」は、対象となる層に含まれる正極活物質のうち、最高の質量分率を有する。例えば、対象となる層において、正極活物質が、質量分率で40%の粒子群αと30%の粒子群βと30%の粒子群γとからなる時、粒子群αが主活物質とみなされる。主活物質は、例えば、対象となる層に含まれる正極活物質全体に対して、40%以上の質量分率を有していてもよいし、50%以上の質量分率を有していてもよいし、60%以上の質量分率を有していてもよいし、70%以上の質量分率を有していてもよいし、80%以上の質量分率を有していてもよいし、90%以上の質量分率を有していてもよいし、100%の質量分率を有していてもよい。なお、最高の質量分率を有する粒子群が複数である場合、主活物質も複数となり得る。例えば、正極活物質が質量分率で50%の粒子群αと50%の粒子群βとからなる時、粒子群αおよび粒子群βの各々が主活物質とみなされる。
【0046】
(第1粒子群/第1正極活物質粒子/単粒子)
第1粒子群は、複数個の第1正極活物質粒子からなる。第1正極活物質粒子は任意の形状を有し得る。第1正極活物質粒子は、例えば、球状、柱状、塊状等であってもよい。複数個の第1正極活物質粒子は、例えば0.5μmから10μmの第1平均粒子径を有していてもよい。第1平均粒子径は、第1粒子群のSEM(scanning electron microscope)画像において測定される。本実施形態における「平均粒子径」は、SEM画像におけるフェレー径の平均値を示す。平均値は、100個以上の粒子の算術平均を示す。複数個の第1正極活物質粒子は、例えば1μmから7μmの第1平均粒子径を有していてもよい。
【0047】
第1正極活物質粒子は、1個から10個の単粒子を含む。単粒子は、相対的に大きく成長した一次粒子である。本明細書において、単粒子は「sc(single-crystal)」と記されることもある。「単粒子」は、粒子のSEM画像において、外観上、粒界が確認できない粒子を示す。単粒子は任意の形状を有し得る。単粒子は、例えば、球状、柱状、塊状等であってもよい。1個の単粒子が単独で第1正極活物質粒子を形成していてもよい。2個から10個の単粒子が凝集することにより第1正極活物質粒子を形成していてもよい。
【0048】
第1正極活物質粒子に含まれる単粒子の個数は、第1正極活物質粒子のSEM画像において測定される。SEM画像の拡大倍率は、粒子のサイズに応じて適宜調整される。SEM画像の拡大倍率は、例えば10000倍から30000倍であってもよい。
【0049】
なお、粒子のSEM画像においては、例えば、2個の単粒子が重なっている場合、奥側の粒子が確認されない可能性もある。しかし本実施形態においては、SEM画像で確認できる単粒子の個数が、第1正極活物質粒子に含まれる単粒子の個数とみなされる。後述の凝集粒子についても同様である。第1正極活物質粒子は、例えば、実質的に1個から10個の単粒子からなっていてもよい。第1正極活物質粒子は、例えば1個から10個の単粒子からなっていてもよい。第1正極活物質粒子は、例えば1個から5個の単粒子からなっていてもよい。第1正極活物質粒子は、例えば1個から3個の単粒子からなっていてもよい。第1正極活物質粒子は、例えば1個の単粒子からなっていてもよい。
【0050】
単粒子は第1最大径を有する。「第1最大径」は、単粒子の輪郭線上の最も離れた2点間の距離を示す。本実施形態において「粒子の輪郭線」は、粒子の二次元投影像において確認されてもよいし、粒子の断面像において確認されてもよい。粒子の輪郭線は、例えば、粉体のSEM画像において確認されてもよいし、粒子の断面SEM画像において確認されてもよい。単粒子は、例えば0.5μm以上の第1最大径を有していてもよい。単粒子は、例えば3μmから7μmの第1最大径を有していてもよい。第1最大径の平均値は、例えば3μmから7μmであってもよい。平均値は、100個以上の単粒子の算術平均である。100個以上の単粒子は無作為に抽出される。
【0051】
(第2粒子群/第2活物質粒子/凝集粒子)
第2粒子群は、複数個の第2正極活物質粒子からなる。第2正極活物質粒子は任意の形状を有し得る。第2正極活物質粒子は、例えば、球状、柱状、塊状等であってもよい。複数個の第2正極活物質粒子は、例えば8μmから20μmの第2平均粒子径を有していてもよい。第2平均粒子径は、第1平均粒子径および第3平均粒子径(後述)よりも大きくてもよい。第2平均粒子径は、第2粒子群のSEM画像において測定される。複数個の第2正極活物質粒子は、例えば8μmから16μmの第2平均粒子径を有していてもよい。
【0052】
第2正極活物質粒子は凝集粒子を含む。第2正極活物質粒子は、例えば実質的に凝集粒子からなっていてもよい。第2正極活物質粒子は、例えば凝集粒子からなっていてもよい。凝集粒子は、50個以上の一次粒子(単結晶)が凝集することにより形成されている。すなわち第2正極活物質粒子は、50個以上の一次粒子が凝集した二次粒子を含む。本明細書において、凝集粒子は「mc(multi-crystal)」と記されることもある。
【0053】
凝集粒子に含まれる一次粒子の個数は、凝集粒子のSEM画像において測定される。SEM画像の拡大倍率は、例えば10000倍から30000倍であってもよい。凝集粒子は、例えば100個以上の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。凝集粒子において一次粒子の個数に上限はない。凝集粒子は、例えば10000個以下の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。凝集粒子は、例えば1000個以下の一次粒子が凝集することにより形成されていてもよい。一次粒子は任意の形状を有し得る。一次粒子は、例えば、球状、柱状、塊状等であってもよい。
【0054】
凝集粒子において「一次粒子」は、粒子のSEM画像において、外観上、粒界が確認できない粒子を示す。一次粒子は第2最大径を有する。「第2最大径」は、一次粒子の輪郭線上の最も離れた2点間の距離を示す。一次粒子の第2最大径は、例えば、単粒子の第1最大径に比して小さくてもよい。一次粒子は、例えば0.5μm未満の第2最大径を有していてもよい。一次粒子は、例えば0.05μmから0.2μmの第2最大径を有していてもよい。1個の凝集粒子のSEM画像から無作為に抽出された10個以上の一次粒子が0.05μmから0.2μmの第2最大径を有する時、該凝集粒子に含まれる一次粒子の全てが0.05μmから0.2μmの第2最大径を有するとみなされ得る。一次粒子は、例えば、0.1μmから0.2μmの第2最大径を有していてもよい。第2最大径の平均値は、例えば0.1μmから0.2μmであってもよい。平均値は、100個以上の一次粒子の算術平均である。100個以上の一次粒子は無作為に抽出される。
【0055】
(第3粒子群/第1正極活物質粒子/単粒子)
第3粒子群は、複数個の第3正極活物質粒子からなる。第3正極活物質粒子は、1個から10個の単粒子を含む。単粒子の詳細は前述のとおりである。第3正極活物質粒子は、第1正極活物質粒子と実質的に同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば第3正極活物質粒子に含まれる単粒子は、第1正極活物質粒子に含まれる単粒子と実質的に同一の構造、形状(球形度等)、サイズ、化学組成等を有していてもよい。例えば第3正極活物質粒子に含まれる単粒子は、第1正極活物質粒子に含まれる単粒子と異なる構造、形状、サイズ、化学組成等を有していてもよい。すなわち第1正極活物質粒子および第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に、1個から10個の単粒子を含む。複数個の第3正極活物質粒子は、例えば、1μmから7μmの第3平均粒子径を有していてもよい。第3平均粒子径は、第1平均粒子径と同様に測定される。
【0056】
(化学組成)
第1正極活物質粒子(単粒子)、第2正極活物質粒子(凝集粒子)、および第3正極活物質粒子(単粒子)は、それぞれ独立に、任意の結晶構造を有し得る。各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、例えば、層状構造、スピネル構造、オリビン構造等を有していてもよい。
【0057】
各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、任意の化学組成を有し得る。各正極活物質粒子は、実質的に同一の化学組成を有していてもよい。各正極活物質粒子は、互いに異なる化学組成を有していてもよい。例えば、各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、LiCoO、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(NiCoMn)O2、Li(NiCoAl)O2、およびLiFePO4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。ここで、例えば「Li(NiCoMn)O2」等の組成式においては、括弧内(NiCoAl)の組成比の合計が1である。組成比の合計が1である限り、各元素(Ni、Co、Mn)の組成比は任意である。
【0058】
各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、例えば、層状金属酸化物を含んでいてもよい。
層状金属酸化物は、例えば下記式(1)により表されてもよい。
【0059】
Li1-aNixMe1-x2 (1)
【0060】
上記式(1)中、「a」は、-0.3≦a≦0.3の関係を満たす。「x」は、0.7≦x≦1.0の関係を満たす。「Me」は、Co、Mn、Al、Zr、B、Mg、Fe、Cu、Zn、Sn、Na、K、Ba、Sr、Ca、W、Mo、Nb、Ti、Si、V、CrおよびGeからなる群より選択される少なくとも1種を示す。
【0061】
各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、例えば、LiNi0.8Co0.1Mn0.12、LiNi0.7Co0.2Mn0.12、LiNi0.7Co0.1Mn0.22、LiNi0.6Co0.3Mn0.12、LiNi0.6Co0.2Mn0.22、およびLiNi0.6Co0.1Mn0.32からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0062】
各正極活物質粒子は、それぞれ独立に、例えば、LiNi0.8Co0.1Mn0.12、LiNi0.7Co0.2Mn0.12、およびLiNi0.6Co0.2Mn0.22からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0063】
(食い込み率)
食い込み率は、第1層1(下層)において、第1粒子群が正極基材11にどの程度食い込んでいるかを定量化したものである。食い込み率が高い程、第1粒子群が正極基材11に深く食い込んでいるとみなされる。食い込み率は下記式(2)により求まる。
【0064】
B(%)=d/t×100 (2)
【0065】
上記式(2)中、「B」は食い込み率を示す。「d」は、正極基材11の厚さ方向において、第1正極活物質粒子が正極基材11に食い込んでいる部分の深さの平均値を示す。「t」は正極基材11の厚さを示す。
【0066】
図4は、食い込み率の測定方法の説明図である。
正極10から断面試料が採取される。断面試料は、正極基材11の厚さ方向(図4のZ軸方向)と平行な観察対象面を含む。観察対象面に対して、CP(cross section polisher)加工が施される。例えば、日本電子社製の断面試料作製装置「製品名SM-09020CP」等が使用されてもよい。同装置と同等の機能を有する装置が使用されてもよい。加工条件は下記のとおりであり得る。
【0067】
アルゴンビーム加速電圧:6kV
イオン電流:120μA
加工時間:6h
ミリングスピード:200μm/h
【0068】
CP加工後、断面試料がSEMにより観察される。例えば、日本電子社製の電界放出形走査型電子顕微鏡(field emission-SEM,FE-SEM)「製品名JSM-7600F」等が使用されてもよい。同装置と同等の機能を有するFE-SEMが使用されてもよい。5000倍の倍率でSEM画像が取得される。SEM画像は、正極基材11と第1層1との界面を含む。SEM画像において、正極基材11に食い込んでいる第1正極活物質粒子1aが抽出される。正極基材11の厚さ方向において、第1正極活物質粒子1aが正極基材11に食い込んでいる部分の深さが測定される。無作為に抽出された20個の第1正極活物質粒子1aについて深さが測定される。20個の深さの算術平均が、上記式(2)中の「d」とみなされる。正極基材11が圧縮されていない部分において、正極基材11の厚さが測定される。正極基材11の厚さは、厚さゲージにより測定される。3回の測定結果の算術平均が、上記式(2)中の「t」とみなされる。
【0069】
第1粒子群は、例えば9.3%から21.3%の食い込み率を有していてもよい。食い込み率が9.3%以上であることにより、溶断性能の向上が期待される。食い込み率が21.3%を超えると、正極基材11の強度が低下する可能性がある。その結果、例えば、正極基材11と正極集電部材71とを溶接する作業等に支障をきたす可能性がある。第1粒子群は、例えば12.1%以上の食い込み率を有していてもよいし、12.6%以上の食い込み率を有していてもよいし、14.4%以上の食い込み率を有していてもよい。第1粒子群は、例えば19.9%以下の食い込み率を有していてもよいし、18.2%以下の食い込み率を有していてもよいし、16.2%以下の食い込み率を有していてもよい。
【0070】
(球形度)
本明細書における「球形度」は、粒子画像分析装置により測定される。例えば、マルバーン・パナリティカル社製の粒子画像分析装置「製品名モフォロギG3」等が使用されてもよい。同装置と同等の機能を有する粒子画像分析装置が使用されてもよい。粒子画像分析装置により、100個以上の粒子の二次元投影画像が取得される。個々の粒子の円形度が求められる。個々の粒子の円形度は、下記式(3)により求まる。
【0071】
円形度=4πS/L2 (3)
【0072】
上記式(3)中「S」は、粒子像の面積を示し、「L」は粒子像の周囲長を示す。粒子像の面積は、例えば粒子像の画素数から求まる。円形度の頻度分布(個数基準)が作成される。頻度分布において、最頻円形度が「球形度」とみなされる。球形度が1である時、理論上、粒子は真球とみなされる。
【0073】
第1粒子群(単粒子)は、例えば0.75から0.87の球形度を有していてもよい。第1粒子群が0.75から0.87の球形度を有することにより、所望の食い込み率が得られやすい傾向がある。なお第2粒子群(凝集粒子)は、例えば0.90から0.97の球形度を有していてもよい。第2粒子群は、例えば0.96から0.97の球形度を有していてもよい。
【0074】
(第2粒子群と第3粒子群との混合比)
第2層2は、第2粒子群および第3粒子群の混合物を含む。第2粒子群と第3粒子群との混合比は、例えば「第2粒子群/第3粒子群=50/50~75/25(質量比)」であってもよい。第2粒子群と第3粒子群との混合比は、例えば「第2粒子群/第3粒子群=60/40~70/30(質量比)」であってもよい。これらの混合比において、充填性の向上が期待される。
【0075】
(フローファンクション係数,ffc
第2粒子群および第3粒子群の混合物は、例えば2.9以上のffcを有していてもよい。第2粒子群および第3粒子群の混合物が2.9以上のffcを有する時、正極活物質層12の充填性が向上することが期待される。ffcは、例えば3.0以上であってもよいし、3.5以上であってもよいし、4.3以上であってもよいし、5.1以上であってもよいし、8.2以上であってもよい。ffcは、例えば8.2以下であってもよいし、5.1以下であってもよい。
【0076】
ffcは、例えば、第2粒子群と第3粒子群との混合比等により調整され得る。さらに例えば、転動流動方式乾燥混合装置により、第2粒子群と第3粒子群とが混合されることにより、ffcが大きくなる傾向がある。混合中の乾燥温度は、例えば150℃程度であってもよい。
【0077】
ffcは、粉体の一面せん断試験によって測定される。定容積せん断試験装置が準備される。例えば、ナノシーズ社製の粉体層せん断測定装置「NS-S500型」等が準備されてもよい。同装置と同等の機能を有する装置が準備されてもよい。
【0078】
図5は、粉体の一面せん断試験の第1説明図である。
試験装置200は、サーボシリンダ210、第1ロードセル220、試料セル230、第2ロードセル240、リニアアクチュエータ250、および第3ロードセル260を備えている。粉体(測定対象)は、試料セル230に充填される。これにより粉体層201が形成される。試料セル230は、円筒状である。試料セル230は、上部セル231と下部セル232と含む。試料セル230は、上部セル231と下部セル232とに分割される。
【0079】
サーボシリンダ210は、垂直方向(Z軸方向)の荷重を粉体に加える。これにより垂直応力が発生し、粉体層201が圧密される。上部セル231は固定されている。リニアアクチュエータ250は、水平方向(X軸方向)に下部セル232を移動させる。これにより、粉体層201がせん断崩壊する。
【0080】
図6は、粉体の一面せん断試験の第2説明図である。
粉体の一面せん断試験における垂直応力(σ)とせん断応力(τ)とから、単軸崩壊応力(fc)と最大主応力(σ1)とが導出される。図6の直交座標においては、垂直応力(σ)が横軸であり、せん断応力(τ)が縦軸である。まず、破壊包絡線(yield locus,YL)が描かれる。粉体層201中の任意の面に垂直応力(σ)が負荷された状態で、その面に対して水平方向にせん断応力(τ)が徐々に作用する。せん断応力(τ)により、粉体層201中の面が崩壊し始める。これが限界応力状態である。限界応力状態における垂直応力(σ)とせん断応力(τ)とがプロットされる。これにより破壊包絡線(YL)が描かれる。次いで、限界状態線(critical state line,CSL)が描かれる。せん断崩壊後、せん断応力(τ)は一次的に変化するが、やがて一定値になる。一定値となったせん断応力(τ)と、その時の垂直応力(σ)とがプロットされる。これにより限界状態線(CSL)が描かれる。限界状態線(CSL)は、原点を通る直線である。
【0081】
破壊包絡線(YL)と限界状態線(CSL)との交点は、限界状態(critical state,Cs)である。限界状態(Cs)を通り、破壊包絡線(YL)に接する、Mohrの応力円(m1)が描かれる。該Mohrの応力円(m1)と横軸との交点のうち、値の大きい方が最大主応力(σ1)である。原点を通り、破壊包絡線(YL)に接する、Mohrの応力円(m2)が描かれる。該Mohrの応力円(m2)と横軸との交点(原点を除く)が単軸崩壊応力(fc)である。ffcは下記式(4)により求まる。
【0082】
ffc=σ1/fc (4)
【0083】
ffcは、3回以上測定される。3回以上の結果の算術平均値が、測定対象のffcとみなされる。ffc(平均値)は、小数第1位まで有効である。小数第2位以下は四捨五入される。
【0084】
粉体の一面せん断試験は「JIS Z 8835:一面せん断試験による限界状態線(CSL)及び壁面崩壊線(WYL)の測定方法」に準拠して実施される。具体的な試験条件は、例えば、次のとおりであり得る。
【0085】
試料量:10.0g
サンプリング周期:10Hz
粉体層の最終厚さ:5.00mm
試料セルの内径:15mm
押し込み速度:0.20mm/s
押し込み荷重:150N
横摺り速度:10μm/s
測定時間:280s
測定温度:28℃±1℃
【0086】
(割れた凝集粒子の割合)
第2粒子群および第3粒子群の混合物が高い充填性を示すことにより、第2層2において、圧縮後に割れている凝集粒子の割合が低減し得る。割れている凝集粒子の割合が低減することにより、例えばサイクル耐久性の向上等が期待される。割れている凝集粒子の割合は、例えば10%以下であってもよいし、5%以下であってもよいし、実質的に0%であってもよい。凝集粒子が割れているか否かは、正極活物質層12の断面SEM画像において確認され得る。100個以上の凝集粒子において、割れているか否かが確認される。割れている粒子の個数が、確認された粒子の全個数で除されることにより、割れている粒子の割合(百分率)が求まる。
【0087】
(厚さ比)
正極活物質層12の厚さに対する、第2層2の厚さの比は、例えば0.2から0.8であってもよい。厚さ比は、例えば0.25から0.75であってもよい。厚さ比が0.25から0.75である時、例えば溶断性能とサイクル耐久性とのバランスが良い傾向がある。厚さ比は、例えば0.25から0.5であってもよいし、0.5から0.75であってもよい。正極活物質層12の厚さ(T0)および第2層2の厚さ(T2)は、次の手順で測定される。
【0088】
正極10から10個以上の断面試料が採取される。各断面試料は、それぞれ無作為に抽出された位置から採取される。断面試料は、正極活物質層12の厚さ方向(図3のZ軸方向)と平行な観察対象面を含む。観察対象面に対してCP加工が施される。CP加工の詳細は前述のとおりである。CP加工後、各断面試料がSEMにより観察される。これにより10枚以上の断面SEM画像が取得される。
【0089】
断面SEM画像において、正極活物質層12の厚さ方向(Z軸方向)に、正極活物質層12の表面(S1)から最も離れた位置にある凝集粒子が抽出される(図3参照)。抽出された凝集粒子の先端と、表面(S1)との最短距離が測定される。該最短距離が第2層2の厚さ(T2)とみなされる。
【0090】
断面SEM画像において、任意の位置で、正極活物質層12の表面(S1)と、正極基材11の表面(S2)との最短距離が測定される(図3参照)。該最短距離が正極活物質層12の厚さ(T0)とみなされる。第2層2の厚さ(T2)が正極活物質層12の厚さ(T0)で除されることにより、厚さ比が求まる。厚さ比は、10枚以上の断面SEM画像において、それぞれ求められる。10回以上の測定結果の算術平均が採用される。
【0091】
《負極》
負極20は、例えば負極基材21と負極活物質層22とを含んでいてもよい。負極基材21は導電性シートである。負極基材21は、例えばCu合金箔等であってもよい。負極基材21は、例えば5μmから30μmの厚さを有していてもよい。負極活物質層22は、負極基材21の表面に配置されていてもよい。負極活物質層22は、例えば負極基材21の片面のみに配置されていてもよい。負極活物質層22は、例えば負極基材21の表裏両面に配置されていてもよい。負極20の幅方向(図2のX軸方向)において、一方の端部に負極基材21が露出していてもよい。負極基材21が露出した部分には、負極集電部材72が接合され得る。
【0092】
負極活物質層22は、例えば10μmから200μmの厚さを有していてもよい。負極活物質層22は負極活物質を含む。負極活物質は任意の成分を含み得る。負極活物質は、例えば黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、珪素、酸化珪素、珪素基合金、錫、酸化錫、錫基合金、およびリチウムチタン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0093】
負極活物質層22は負極活物質に加えて、例えばバインダ等をさらに含んでいてもよい。負極活物質層22は、例えば質量分率で、95%から99.5%の負極活物質と、残部のバインダとを含んでいてもよい。バインダは任意の成分を含み得る。バインダは、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)およびスチレンブタジエンゴム(SBR)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0094】
《セパレータ》
セパレータ30の少なくとも一部は、正極10と負極20との間に介在している。セパレータ30は、正極10と負極20とを分離している。セパレータ30は、例えば10μmから30μmの厚さを有していてもよい。
【0095】
セパレータ30は多孔質シートである。セパレータ30は電解液を透過する。セパレータ30は、例えば200s/100mLから400s/100mLの透気度を有していてもよい。本明細書における「透気度」は、「JIS P 8117:2009」に規定される「透気抵抗度(Air Resistance)」を示す。透気度はガーレー試験法により測定される。
【0096】
セパレータ30は電気絶縁性である。セパレータ30は、例えばポリオレフィン系樹脂等を含んでいてもよい。セパレータ30は、例えば、実質的にポリオレフィン系樹脂からなっていてもよい。ポリオレフィン系樹脂は、例えばポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。セパレータ30は、例えば単層構造を有していてもよい。セパレータ30は、例えば、実質的にPE層からなっていてもよい。セパレータ30は、例えば多層構造を有していてもよい。セパレータ30は、例えばPP層とPE層とPP層とがこの順に積層されることにより形成されていてもよい。セパレータ30の表面に、例えば耐熱層等が形成されていてもよい。
【0097】
《電解液》
電解液は溶媒と支持電解質とを含む。溶媒は非プロトン性である。溶媒は任意の成分を含み得る。溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、1,2-ジメトキシエタン(DME)、メチルホルメート(MF)、メチルアセテート(MA)、メチルプロピオネート(MP)、およびγ-ブチロラクトン(GBL)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0098】
支持電解質は溶媒に溶解している。支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4、およびLiN(FSO22からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。支持電解質は、例えば0.5mоl/Lから2.0mоl/Lのモル濃度を有していてもよい。支持電解質は、例えば0.8mоl/Lから1.2mоl/Lのモル濃度を有していてもよい。
【0099】
電解液は、溶媒および支持電解質に加えて、任意の添加剤をさらに含んでいてもよい。例えば電解液は、質量分率で、0.01%から5%の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO22)、フルオロスルホン酸リチウム(FSO3Li)、およびリチウムビスオキサラトボラート(LiBOB)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【実施例0100】
以下、本技術の実施例(本明細書においては「本実施例」とも記される。)が説明される。ただし本技術の範囲は以下の説明に拘束されない。
【0101】
<非水電解質二次電池の製造>
下記手順により、No.1からNo.13に係る試験電池(非水電解質二次電池)が製造された。
【0102】
2種の単粒子(sc1、sc2)が準備された。
sc1:D50=3.2μm、球形度=0.87
sc2:D50=4.5μm、球形度=0.75
【0103】
sc1およびsc2は、いずれもLiNi0.8Co0.1Mn0.12の化学組成を有していた。sc1はsc2と異なる条件で合成された。すなわちsc1は、800℃で48時間焼成された。sc2は、900℃で48時間焼成された。本明細書のD50は、体積基準の粒度分布において、小粒子径側からの累積粒子体積が全体の50%になる粒子径を示す。
【0104】
2種の凝集粒子(mc1、mc2)が準備された。
mc1:D50=12.8μm、球形度=0.96
mc2:D50=13.4μm、球形度=0.97
【0105】
mc1およびmc2は、いずれもLiNi0.8Co0.1Mn0.12の化学組成を有していた。
【0106】
下記表1に示されるように、単粒子または凝集粒子が選択されることにより、第1層用材料が準備された。
【0107】
転動流動方式乾燥混合装置によって、単粒子と凝集粒子とが混合されることにより、第2層用材料(粉体混合物)が調製された。各試料における単粒子と凝集粒子との組み合わせは、下記表1に示される。下記表1の第2層の列において、例えば「sc1+mc1」は、sc1とmc1とが「sc1/mc1=50/50(質量比)」で混合されていることを示す。各試料において混合比は同一であった。
【0108】
下記材料が準備された。
導電材:黒鉛
バインダ:PVdF(粉末状)
分散媒:N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
正極基材:Al箔
【0109】
第1層用材料と導電材とバインダと分散媒とが混合されることにより、第1スラリーが調製された。第1スラリーが正極基材上に塗布され、乾燥されることにより、第1層が形成された。
【0110】
第2層用材料と導電材とバインダと分散媒とが混合されることにより、第2スラリーが調製された。第2スラリーが第1層上に塗布され、乾燥されることにより、第2層が形成された。
【0111】
以上より正極活物質層が形成された。圧延機により正極活物質層が圧縮された。これにより正極原反が製造された。正極原反が所定サイズに切断されることにより、正極が製造された。前述の方法により、厚さ比、食い込み率が測定された。さらに正極を含む試験電池が製造された。
【0112】
<評価>
《釘刺し試験》
試験電池が充電された。試験電池がデータロガーに接続された。データロガーは電圧測定機能および電流測定機能を有する。釘(ダイドーハント社製、丸釘、胴部径=3mm)が準備された。釘が試験電池に刺し込まれた。電圧降下が確認された時点で、釘の刺し込みが停止された。釘の停止後、電圧上昇が検出されるまでの間、電圧および電流が測定された。電圧降下は短絡の発生を示すと考えられる。電圧降下後の電圧上昇は、短絡のジュール熱によって釘の周囲の正極基材(Al箔)が溶け広がり、電流が遮断されたことを示すと考えられる。電圧上昇が検出されるまでの間の電圧、電流および時間から、発熱量が算出された。発熱量が小さい程、溶断性能が良好であると考えられる。
【0113】
《サイクル試験》
60℃の温度環境下において、充放電が500サイクル繰り返された。1サイクルは、下記CCCV充電とCC放電との一巡を示す。
【0114】
CCCV充電:CC電流=0.5It、CV電圧=4.2V、0.02Itカットオフ
CC放電:CC電流=0.5It、2.5Vカットオフ
【0115】
「CCCV充電」は定電流-定電圧充電を示す。「CC電流」は定電流充電時の電流を示す。「CV電圧」は定電圧充電時の電圧を示す。定電圧充電は、電流が0.02Itまで減衰した時点で終了された。「CC放電」は定電流放電を示す。定電流放電は、電圧が2.5Vに達した時点で終了された。「It」は電流の時間率を示す記号である。1Itの電流は、試験電池の定格容量を1時間で放電する電流と定義される。
【0116】
サイクル試験後の電池抵抗がサイクル試験前の電池抵抗で除されることにより、抵抗上昇率(百分率)が求められた。抵抗上昇率が低い程、サイクル耐久性が良好であると考えられる。
【0117】
【表1】
【0118】
<結果>
上記表1に示されるように、第2層(上層)が単粒子と凝集粒子との混合物を含み、かつ第1層(下層)が単粒子を含む時、正極活物質層の充填性が良好であり、かつ溶断性能が良好である傾向がみられる。さらに同条件を満たす試料は、サイクル耐久性も良好である傾向がみられる。
【0119】
No.12およびNo.13の結果において、球形度が低い単粒子が第1層に配置されることにより、溶断性能が向上する傾向がみられる。
【0120】
本実施形態および本実施例は、全ての点で例示である。本実施形態および本実施例は、制限的ではない。本技術の範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態および本実施例から、任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。本実施形態および本実施例において、作用効果に言及する場合、当該作用効果が全て奏される範囲に、本技術の範囲は拘束されない。
【符号の説明】
【0121】
1 第1層、1a 第1正極活物質粒子、2 第2層、10 正極、11 正極基材、12 正極活物質層、20 負極、21 負極基材、22 負極活物質層、30 セパレータ、50 電極体、71 正極集電部材、72 負極集電部材、81 正極端子、82 負極端子、90 外装体、91 封口板、92 外装缶、100 電池(非水電解質二次電池)、200 試験装置、201 粉体層、210 サーボシリンダ、220 第1ロードセル、230 試料セル、231 上部セル、232 下部セル、240 第2ロードセル、250 リニアアクチュエータ、260 第3ロードセル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
(第3粒子群/第正極活物質粒子/単粒子)
第3粒子群は、複数個の第3正極活物質粒子からなる。第3正極活物質粒子は、1個から10個の単粒子を含む。単粒子の詳細は前述のとおりである。第3正極活物質粒子は、第1正極活物質粒子と実質的に同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば第3正極活物質粒子に含まれる単粒子は、第1正極活物質粒子に含まれる単粒子と実質的に同一の構造、形状(球形度等)、サイズ、化学組成等を有していてもよい。例えば第3正極活物質粒子に含まれる単粒子は、第1正極活物質粒子に含まれる単粒子と異なる構造、形状、サイズ、化学組成等を有していてもよい。すなわち第1正極活物質粒子および第3正極活物質粒子は、それぞれ独立に、1個から10個の単粒子を含む。複数個の第3正極活物質粒子は、例えば、1μmから7μmの第3平均粒子径を有していてもよい。第3平均粒子径は、第1平均粒子径と同様に測定される。