(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112221
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】アウターロータ発電機の電機子絶縁物
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007948
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100963
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 陽男
(72)【発明者】
【氏名】福田 修
(72)【発明者】
【氏名】江原 直哉
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB03
5H604BB08
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】 電機子コイルの巻き線作業の自動化を容易にし、また、他相のわたり線との接触を防止できるようにする。
【解決手段】 アウターロータ発電機の電機子鉄心の両側面及び突極周囲を覆う電機子絶縁物の、わたり線を配設する表側で、前記突極の根元部の、コイル巻回方向手前側に、表側側面から突出するガイド突起12
V~12
W2を設ける。そして、該ガイド突起によりわたり線17
U~17
Wを、各相の、直前の突極に巻回された電機子コイルの巻き終わり部分から、当該突極の巻き始め部分へ最短距離で配置されるようにガイドする。また、各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分のわたり線が通る箇所に段部13
U1~13
W2を設け、巻き始め部分より巻き終わり部分の段部を高くし、かつ、各相の段部を第1相,第2相,第3相の順に高くなるようにする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部から放射状に突出する多数の突極を有する円環状の電機子鉄心を固定配置して、前記突極に電機子コイルを巻装し、該電機子コイルは、3相構成として、各相のコイルをわたり線を介して互いに直列接続し、前記電機子鉄心の外周を同心状に囲むようにロータを配設し、該ロータを周方向に回転させることにより発電を行うアウターロータ発電機の、前記電機子鉄心の両側面及び前記突極の周囲を覆う電機子絶縁物であって、
前記電機子絶縁物の、前記わたり線を配設する表側で、前記突極の根元部の、コイル巻回方向手前側に、表側側面から突出するガイド突起を設け、該ガイド突起により前記わたり線を、当該相の直前の前記突極に巻回された前記電機子コイルの巻き終わり部分から、当該突極の前記電機子コイルの巻き始め部分へ最短距離で配置されるようにガイドするとともに、前記電機子絶縁物の表側の前記突極の根元部の、各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分の前記わたり線が通る箇所に段部を設け、巻き始め部分の前記段部より巻き終わり部分の前記段部の高さを高くし、かつ、各相の前記段部が第1相,第2相,第3相の順に高くなるように段差を設けたことを特徴とするアウターロータ発電機の電機子絶縁物。
【請求項2】
前記第2相及び第3相の各二つの段部の間に各段部の高さより低い凹部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のアウターロータ発電機の電機子絶縁物。
【請求項3】
電機子絶縁物の内周縁部に、表側に突出するように遮壁を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のアウターロータ発電機の電機子絶縁物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターロータ発電機の電機子コイルを突極に対して絶縁するアウターロータ発電機の電機子絶縁物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アウターロータ発電機は、外周部に放射状に突出する多数の突極を有する電機子鉄心を軸心側に固定配置して、上記突極に電機子コイルを巻装し、上記電機子鉄心の外周をリング状に囲むように、マグネットロータを配設して、該マグネットロータを回転させることにより発電を行う。そして、上記電機子コイルを上記電機子鉄心に対して絶縁するように、鉄心を電機子絶縁物で覆い、その外側に電機子コイルを巻装するようにしている。
【0003】
電機子コイルは、3相構成とするのが一般的で、各相のコイルはわたり線を介して互いに直列接続される。そのわたり線は、互いに交差しながら円周方向に延びるように配置されるが、交差する部分で擦れて絶縁が劣化するおそれがある。特にエンジンで駆動される発電機の場合は、振動が激しくて絶縁劣化のおそれが大きい。また、電機子鉄心の中心部を貫通して配置される駆動軸へわたり線が巻き込まれるおそれがあるため、わたり線が中心部の方向にずれ込まないように、わたり線の位置を保持する必要がある。
【0004】
そこで従来、特許文献1に示されるアウターロータ発電機の電機子絶縁物では、電機子コイルを電機子鉄心の突極から絶縁するためのボビンの、突極根元部分に、円周方向に延びる突部を設け、該突部の外表面に案内溝を設けて、該案内溝内にわたり線を収納保持させるようにした。そのようにすれば、異相間のわたり線同士が確実に絶縁保持され、また、駆動軸への巻き込みを確実に防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭61-145471号(実開昭63-51544号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アウターロータ発電機の電機子コイルを巻く作業は、作業効率を上げる目的で自動化が進められているが、上記従来の電機子絶縁物では、わたり線を収納する案内溝の位置及び形状が各相毎に異なっているため、各相のわたり線を案内して溝内に収納するための特別な治具が必要になり、巻き線の作業性も悪くなるという問題点があった。また、上記従来の電機子絶縁物には、各相の、コイル巻き始めへと続く部分のわたり線と巻き終わりから延びる部分のわたり線とが、リブとリブの間又はリブを越える部分で交差し互いに接触するおそれがあるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、そのような問題点に鑑み、巻き線作業の自動化を容易にし、また、電機子コイルのわたり線同士の接触を完全に防止できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、外周部から放射状に突出する多数の突極を有する円環状の電機子鉄心を固定配置して、前記突極に電機子コイルを巻装し、該電機子コイルは、3相構成として、各相のコイルをわたり線を介して互いに直列接続し、前記電機子鉄心の外周を同心状に囲むようにロータを配設し、該ロータを周方向に
回転させることにより発電を行うアウターロータ発電機の、前記電機子鉄心の両側面及び前記突極の周囲を覆う電機子絶縁物であって、前記電機子絶縁物の、前記わたり線を配設する表側で、前記突極の根元部の、コイル巻回方向手前側に、表側側面から突出するガイド突起を設け、該ガイド突起により前記わたり線を、当該相の直前の前記突極に巻回された前記電機子コイルの巻き終わり部分から、当該突極の前記電機子コイルの巻き始め部分へ最短距離で配置されるようにガイドするとともに、前記電機子絶縁物の表側の前記突極の根元部の、各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分の前記わたり線が通る箇所に段部を設け、巻き始め部分の前記段部より巻き終わり部分の前記段部の高さを高くし、かつ、各相の前記段部が第1相,第2相,第3相の順に高くなるように段差を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2相及び第3相の各二つの段部の間に各段部の高さより低い凹部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、電機子絶縁物の内周縁部に、表側に突出するように遮壁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る発明においては、前記電機子絶縁物の、わたり線を配設する表側で、前記突極の根元部の、コイル巻回方向手前側に、表側側面から突出するガイド突起を設け、該ガイド突起によりわたり線を、当該相の直前の突極に巻回された電機子コイルの巻き終わり部分から、当該突極の電機子コイルの巻き始め部分へ最短距離で配置されるようにガイドするとともに、前記電機子絶縁物の表側の前記突極の根元部の、各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分のわたり線が通る箇所に段部を設け、巻き始め部分の段部より巻き終わり部分の段部の高さを高くし、かつ、各相の段部が第1相,第2相,第3相の順に高くなるように段差を設けた。その結果、ガイド突起を設けることで、巻き線作業の自動化を容易にし、段部の高さを、第1相,第2相,第3相の順に高くすることで、第1相のわたり線、第2相のわたり線,第3相のわたり線の順に高くなり、各相のわたり線は、互いに異なる高さ位置に配設されることになって、各相間でわたり線同士が接触しなくなる。
【0012】
また、請求項2に係る発明においては、請求項1に係るアウターロータ発電機の電機子絶縁物において、前記第2相及び第3相の各二つの段部の間に各段部の高さより低い凹部を設けたので、各相の巻き始めの部分で、わたり線の逃げのスペースを設けることで、突極の底の位置に電機子コイルを導きやすくなり、各相のわたり線の巻き始め部分と巻き終わり部分を、互いに接触せずに交差させることができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明においては、請求項1又は2に係るアウターロータ発電機の電機子絶縁物において、電機子絶縁物の内周縁部に、表側に突出するように遮壁を設けたので、わたり線が弛んでも、軸側にずれ込んでいくのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電機子鉄心及び本発明の一実施例に係る電機子絶縁物を示す図である。
【
図4】わたり線ガイド部における各相のわたり線配設経路を示す図である。
【
図5】わたり線ガイド部における各相のわたり線配設状態を示す図である。
【
図6】U相わたり線が配設された状態を示す図である。
【
図7】V相わたり線が配設された状態を示す図である。
【
図8】W相わたり線が配設された状態を示す図である。
【
図9】各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分の接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0016】
図1は、電機子鉄心及び本発明の一実施例に係る電機子絶縁物を示す図である。
図1において、符号1は電機子絶縁物表側半部、2は電機子鉄心、3は電機子絶縁物裏側半部である。
【0017】
なお、ここでは、電機子鉄心2の両側面の内、わたり線を配設する側を「表側」、その反対側を「裏側」とし、電機子鉄心2の表側側面から各部の先端までの長さを「高さ」ということとする。また、わたり線を配設する部分において、発電機の回転軸がある側を「内側」といい、その反対側を「外側」ということとする。
【0018】
また、ここでは、本発明をエンジン溶接機の発電機に適用する場合で説明する。電機子鉄心2の表裏両側から、電機子絶縁物表側半部1と電機子絶縁物裏側半部3を当てがい、両者の嵌合部を突極2aの間を通して嵌合させ、電機子鉄心2の表裏両側及び突極2aの周囲を覆う。そして、電機子絶縁物表側半部1の前記突極2aの根元部に当たる部分の周縁に、各相のわたり線を配設するためのわたり線ガイド部を設けている。
【0019】
図2は、
図1のXの部分を拡大して示す図であり、
図3は、わたり線ガイド部を拡大して示す図である。
図2,
図3において、符号11は突極2aを包み込むように配置され、その外周にコイルを巻回するボビン部、11aは補助出力コイルと溶接出力コイルとを分離するための分離壁、11bは電機子絶縁物裏側半部3と嵌合一体化させるための嵌合部、12
V~12
W2はコイルの巻回時に、各ボビン部11の巻き終わりから次のボビン部11の巻き始め部へとわたり線をガイドするガイド突起で、各突極2aの巻回方向手前側に設けられる。13
U1~13
W2は各突極2aのコイルの巻き始め部分と巻き終わり部分で、わたり線が互いに接触しないように段差を設けるための段部で、各相コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分のわたり線が通る箇所に設けられる。14
V,14
Wは、V相,W相の各突極2aのコイルの巻き始め部分と巻き終わり部分で、段部13
V1~13
W2の角部分でのわたり線の屈曲を和らげるための凹部、15はわたり線が弛んで軸側にずれ込んでいかないようにするための遮壁である。
【0020】
なお、上記補助出力コイルは、エンジン溶接機から外部出力として交流電力を取り出すためのもので、各ボビン部11の内側部分に巻回され、3相構成で、各相のコイルはわたり線を介して互いに直列接続される。また、溶接出力コイルは、エンジン溶接機の溶接用出力を得るためのもので、補助出力コイルとは分離壁11aにより隔てられてボビン部11の外側部分に巻回され、各コイルは並列接続される。ここでは、上記わたり線ガイド部を使って補助出力コイルのわたり線の配設を行う。
【0021】
わたり線ガイド部を構成しているガイド突起12V~12W2,段部13U1~13W2及び凹部14V,14Wは、U相,V相,W相の相毎にブロック化されている。すなわち、段部13U1,13U2でU相のブロック、ガイド突起12V,段部13V1,13V2及び凹部14VでV相のブロック、ガイド突起12W1,12W2、段部13W1,13W2及び凹部14WでW相のブロックを形成している。そして、U相,V相,W相の3ブロックを1組として、1組が発電機の中心軸を中心として角度45°になるようになっていて、8組で全周360°に均等に配置される。
【0022】
わたり線ガイド部中で、ガイド突起12V~12W2が最も高さが高く、例えば、16.7mmとし、U相のブロックの段部13U1,13U2の高さは、段部13U1の方が低く、例えば、1mm、段部13U2の高さは、それぞれを通って交差するコイル同士が接触しないように、段差が巻き線の太さよりやや大きくなる高さ、例えば、4mmとする。また、V相のブロックの段部13V1の高さは、U相のブロックの段部13U2より高く、例えば、6mmとし、段部13V2の高さは、段差が巻き線の太さよりやや大きくなる高さ、例えば、8.4mmとする。また、W相のブロックの段部13W1の高さは、V相のブロックの段部13V2より高く、例えば、10.5mmとし、段部13W2の高さは、段差が巻き線の太さよりやや大きくなる高さ、例えば、12.5mmとする。
【0023】
ガイド突起12V~12W2は、各突極2aの巻回方向手前側に位置するように設けられ、V相のブロックのガイド突起12Vは、その周壁の一面がV相のわたり線が通る経路に沿うように面していて、V相コイルのわたり線をそれに引っ掛けるようにして、わたり線が、巻き終わり部分から巻き始め部分に向かって最短距離で配置されるようにガイドする。W相のブロックの一方のガイド突起12W1は、その周壁の一面がW相のわたり線が通る経路に沿うように面していて、W相コイルのわたり線をそれに引っ掛けるようにして、わたり線が、巻き終わり部分から巻き始め部分に向かって最短距離で配置されるようにガイドする。W相のブロックのもう一方のガイド突起12W2は、その角部がU相のわたり線が通る経路に沿うように面していて、U相コイルのわたり線をそれに引っ掛けるようにして、わたり線が、巻き終わり部分から巻き始め部分に向かって最短距離で配置されるようにガイドする。また、このガイド突起12W2は、その周壁の一面がW相のコイルの巻き終わり部分から引き出されるわたり線が通る経路に沿うように面していて、W相コイルの巻き終わり部分から引き出されるわたり線もガイドする。
【0024】
また、段部13U1~13W2は、各わたり線の高さ位置を規制するだけでなく、その周壁面が、それぞれのわたり線が通る経路に沿う角度になるようにして、周壁面によっても各わたり線をガイドするようにしている。
【0025】
図4は、わたり線ガイド部における各相のわたり線配設経路を示す図であり、
図5は、わたり線ガイド部における各相のわたり線配設状態を示す図である。
図4,
図5において、実線16
UはU相のわたり線配設経路、破線16
VはV相のわたり線配設経路、点線16
WはW相のわたり線配設経路、17
U~17
Wはわたり線である。なお、
図5において、U相のわたり線17
Uは実線で示し、V相のわたり線17
Vは破線で示し、W相のわたり線17
Wは点線で示しており、ボビン部11に巻回したコイルは省略し、わたり線17
U~17
Wのみを示している。
【0026】
図4,
図5から明らかなように、各相の段部の高さを、前述したように設定しているため、各相のわたり線は、U相が最下部、V相が中間部、W相が最上部に位置することになる。そのため、電機子コイルの巻装作業は、U相,V相,W相の順で行うことになる。そこでまず、U相のコイルを巻装する。
【0027】
U相のわたり線は、
図4に実線16
Uで示すように、
図4には図示されていない前段のU相のボビン部の巻き終わり部分から、U相の当該ボビン部11の巻き始め部分に導かれ、U相の当該ボビン部11に巻回された後、巻き終わり部分から段部13
U2の上面,段部13
V1,13
V2,13
W2の周壁面,ガイド突起12
W2の角部,段部13
U1の上面,段部13
U2の周壁面で配設位置を規制されながら、U相の次段のボビン部11の巻き始め部分に導かれる。その結果、U相わたり線17
Uは、
図6に示すように配設される。
【0028】
次にV相のコイルであるが、V相のわたり線は、破線16
Vで示すように、
図4には図
示されていない前段のV相のボビン部の巻き終わり部分から、段部13
W1,13
W2,13
U2,ガイド突起12
Vの周壁面,段部13
V1の上面,段部13
V2の周壁面で配設位置を規制されながら、V相のボビン部11の巻き始め部分に導かれる。そして、V相のボビン部11に巻回された後、巻き終わり部分から段部13
V2の上面,段部13
W1,13
W2,13
U2の周壁面で配設位置を規制されながら、V相の次段のボビン部11の巻き始め部分に導かれる。その結果、V相わたり線17
Vは、
図7に破線で示すように配設される。
【0029】
W相のわたり線は、点線16
Wで示すように、前段にあるW相のボビン部11の巻き終わり部分から、段部13
W2の上面,ガイド突起12
W2の周壁面,段部13
U2,13
V2の周壁面,ガイド突起12
W1の周壁面,段部13
W1の上面で配設位置を規制されながら、W相の当該ボビン部11の巻き始め部分に導かれる。そして、W相のボビン部11に巻回された後、巻き終わり部分から段部13
W2の上面,ガイド突起12
W2の周壁面,段部13
U2の周壁面で配設位置を規制されながら、W相の次段のボビン部11の巻き始め部分に導かれる。その結果、W相わたり線17
Wは、
図8に点線で示すように配設される。
【0030】
この電機子絶縁物は、
図5に示すように、段部13
U1~13
W2の高さを、U相用,V相用,W相用の順に高くし、また、各相のブロック内でも二つの段部に段差を設けているため、各相のわたり線17
U~17
Wの巻き始め部分と巻き終わり部分は、互いに接触せずに交差する。また、U相のわたり線17
U,V相のわたり線17
V,W相のわたり線17
Wの順に高くなり、各相のわたり線は、互いに異なる高さ位置に配設されることになって、各相間でもわたり線同士が接触しなくなる。
【0031】
また、
図6~
図8に示すように、各相のわたり線は、ガイド突起12
V~12
W2や段部13
U1~13
W2等により、前段のボビン部11の巻き終わり部分から当該ボビン部11の巻き始め部分まで、直線状にガイドされ、最短距離で配設される。
【0032】
このように、各相のわたり線は、前段の巻き終わり部分から直線状に引っ張って、表側から段部に押し当てるようにしながら、巻き始め部分の前にあるガイド突起に引っ掛けてコイルを巻き始めるだけでよく、それをU相,V相,W相の順に繰り返し行えば済むので、作業の自動化が容易になる。
【0033】
また、V相とW相のブロックには凹部14V,14Wを設けているため、V相のわたり線17VとW相のわたり線17Wは、段差が大きい段部13V1~13W2の角部においても過大な屈曲を受けることなく配設できる。
【0034】
なお、補助出力コイルの各相の巻き始め部分は、
図9に示すように、まとめて接続具19で接続して中性点とし、巻き終わり部分は、それぞれ個別に引き出して、それぞれU,V,W相の口出し線とする。
【0035】
また、上記実施例では、本発明をエンジン溶接機の発電機に適用し、その補助出力コイルのわたり線を処理する場合で説明したが、本発明は、特許文献1に示されるような、発電機電機子鉄心の各突極にそれぞれ単独で巻回される電機子コイルにも適用できる。