(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112222
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】詰め物の漏出防止構造を備えた布団、及びマチ布片とサポート布片とを多重縫合する縫製装置
(51)【国際特許分類】
A47C 27/12 20060101AFI20220726BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20220726BHJP
D05B 35/06 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A47C27/12 F
A47G9/02 A
D05B35/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021007949
(22)【出願日】2021-01-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】392027014
【氏名又は名称】株式会社アイワ
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩下 成人
【テーマコード(参考)】
3B096
3B102
3B150
【Fターム(参考)】
3B096AB00
3B096BA04
3B102BA01
3B102BA02
3B102BA04
3B102BA11
3B150AA22
3B150BB04
3B150CC03
3B150CE02
3B150CE23
3B150EA01
3B150EA13
3B150EB13
3B150EC01
3B150EC10
3B150ED01
3B150ED09
3B150EE01
3B150EE07
3B150EE16
3B150EH01
3B150EH04
(57)【要約】
【課題】繊維系の詰め物について布団外部への漏出を抑制する。
【解決手段】マチ布4は、一側端部を表側生地2Aの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられる表側マチ布片5Aと、一側端部を裏側生地2Bの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられる裏側マチ布片5Bと、を備えると共に、表側マチ布片5Aと裏側マチ布片5Bの他の一側端部同士をマチ布4の長手方向に沿って縫合した構成を備え、表側マチ布片5Aと表側生地2Aの内面との縫合部、又は裏側マチ布片5Bと裏側生地2B内面との縫合部のうちの少なくとも一方は、拡開された縫い目穴からの詰め物の漏出を防止するサポート布片6を介在させた多重縫合部となっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側生地と裏側生地とを夫々の周縁部に沿って縫い合わせることにより形成した袋体と、前記袋体の内部に縫い付けたマチ布によって複数の空間を区画形成し、且つ複数の前記空間のそれぞれに繊維系の詰め物を充填した布団であって、
前記マチ布は、一側端部を前記表側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる表側マチ布片と、一側端部を前記裏側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる裏側マチ布片と、を備えると共に、前記表側マチ布片と前記裏側マチ布片の他の一側端部同士を前記マチ布の長手方向に沿って縫合した構成を備え、
前記表側マチ布片と前記表側生地の内面との縫合部、又は前記裏側マチ布片と前記裏側生地の内面との縫合部のうちの少なくとも一方は、拡開された縫い目穴からの前記詰め物の漏出を防止するサポート布片を介在させた多重縫合部となっていることを特徴とする布団。
【請求項2】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面と交差して配置されるマチ布片本体と、
該マチ布片本体の一側端部側の適所に前記マチ布の長手方向に沿って設けた第1の屈曲部において一方向に屈曲させた第1の屈曲片と、
該第1の屈曲片の先端から表側、又は裏側に折り返されて該第1の屈曲片と並行に延び、且つ該第1の屈曲片よりも幅広な第2の屈曲片と、を備え、
前記サポート布片は、前記第1の屈曲片と前記第2の屈曲片との間に配置された状態で前記第1の屈曲部に沿って多重縫合されていることを特徴とする請求項1に記載の布団。
【請求項3】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面と交差して配置されるマチ布片本体と、
該マチ布片本体の一側端部側の適所に前記マチ布の長手方向に沿って設けた第1の屈曲部において一方向に屈曲させた第1の屈曲片と、
該第1の屈曲片の先端から表側、又は裏側に折り返されて該第1の屈曲片と並行に延び、且つ該第1の屈曲片よりも幅広な第2の屈曲片と、を備え、
前記サポート布片は、前記第2の屈曲片と前記表側生地の内面との間、又は前記第2の屈曲片と前記裏側生地の内面との間に配置された状態で前記第1の屈曲部に沿って多重縫合されていることを特徴とする請求項1に記載の布団。
【請求項4】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、通気性を有する帯状布地によって作製され、
前記サポート布片は、前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片よりも目の細かい生地によって作製されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の布団。
【請求項5】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、視認可能な大きさの網目を有する網目織りの帯状布地によって作製され、
前記サポート布片は、帯状の不織布によって作製されていることを特徴とする請求項4に記載の布団。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の布団を構成する前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して前記表側マチ布片と前記サポート布片、又は前記裏側マチ布片と前記サポート布片とを重ねた状態で多重縫合する縫製部を備えた縫製装置であって、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片を供給するマチ布片供給部と、
前記サポート布片を供給するサポート布片供給部と、
前記マチ布片供給部から供給された前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片と前記サポート布片供給部から供給された前記サポート布片とを重ねて前記縫製部に案内する案内治具と、
を備えたことを特徴とする縫製装置。
【請求項7】
前記案内治具は、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片が挿通される略J字状の第1案内空所を区画形成するマチ布片ガイド部を備え、
前記マチ布ガイド部は、長尺本体と、該長尺本体の一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片とにより前記略J字状の第1案内空所を形成しており、前記長尺本体と前記短尺折り返し小片との間には前記サポート布片を挿通してガイドする第2案内空所としてのサポート布片ガイド部が形成されており、且つ前記サポート布片ガイド部の開放端縁は閉塞板により閉塞されていることを特徴とする請求項6に記載の縫製装置。
【請求項8】
前記案内治具は、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片が挿通される略J字状の第1案内空所を区画形成するマチ布片ガイド部と、前記サポート布片が挿通される第2案内空所を区画形成するサポート布片ガイド部と、を備え、
前記マチ布ガイド部は、長尺本体と、該長尺本体の一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片とにより前記略J字状の第1案内空所を形成しており、
前記サポート布片ガイド部は、前記短尺折り返し小片の前記長尺本体とは反対側の外面に前記第2案内空所を区画形成することを特徴とする請求項6に記載の縫製装置。
【請求項9】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して、第1の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第1表側マチ布片、又は第1裏側マチ布片と、
前記第1表側マチ布片及び前記サポート布片が多重縫合された前記表側生地の内面、又は前記裏側第1マチ片及び前記サポート布片が多重縫合された前記裏側生地の内面に対して、前記第1の縫製方向と交差する第2の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第2表側マチ布片、又は第2裏側マチ布片と、
を有し、
前記縫製部よりも前記第2の縫製方向の上流側には、前記第2表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は第2裏側マチ布片と前記サポート布片の組を前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して多重縫合しているときに、前記第1表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は第1裏側マチ布片と前記サポート布片の組の一部分を、前記第2の縫製方向に沿って切断する切断部をさらに備えたことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の縫製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め物の漏出防止構造を備えた布団、及びマチ布片とサポート布片とを多重縫合する縫製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
布団には、表側生地と裏側生地とを夫々の周縁部に沿って縫い合わせることにより形成した袋体の内部空間に、羽毛、羊毛、及び綿等の繊維状詰め物を充填したものがある。袋体の内部空間に詰め物を充填した布団には、詰め物の偏りを抑制し、且つ内部空間の高さを確保するため、袋体の内部にマチ布(マチテープ)を縫い付けて複数の空間を区画形成し、夫々の空間に詰め物を充填したものがある。このような布団は、例えば立体キルトや二層式キルトと呼ばれている。
袋体の内部にマチ布を縫い付けた布団では、布団の使用に伴ってマチ布と側生地とを縫い合わせている糸に張力が掛かり、側生地の縫い目穴が拡がってしまうことがある。縫い目穴が拡がってしまうと、内部空間に充填された詰め物が縫い目穴を通じて布団の外部に漏れ出てしまう不都合が生じ得た。
出願人は、拡開された縫い目穴を通じて詰め物が布団の外部に漏れ出てしまう不都合を抑制するため、マチ布の一側端部を二つ折りにし、二つ折り部分を側生地の内面に縫い付けた布団を開発した(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された布団は、マチ布を表側生地や裏側生地に対して縫い付けただけの布団と比較して詰め物の布団外部への漏出を抑制できるが、当該詰め物の布団外部への漏出をさらに抑制することが求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、詰め物の布団外部への漏出を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、表側生地と裏側生地とを夫々の周縁部に沿って縫い合わせることにより形成した袋体と、前記袋体の内部に縫い付けたマチ布によって複数の空間を区画形成し、且つ複数の前記空間のそれぞれに繊維系の詰め物を充填した布団であって、前記マチ布は、一側端部を前記表側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる表側マチ布片と、一側端部を前記裏側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる裏側マチ布片と、を備えると共に、前記表側マチ布片と前記裏側マチ布片の他の一側端部同士を前記マチ布の長手方向に沿って縫合した構成を備え、前記表側マチ布片と前記表側生地の内面との縫合部、又は前記裏側マチ布片と前記裏側生地の内面との縫合部のうちの少なくとも一方は、拡開された縫い目穴からの前記詰め物の漏出を防止するサポート布片を介在させた多重縫合部となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表側生地と裏側生地とを縫い合わせた袋体の内部空間をマチ布によって区画した布団において、詰め物の布団外部への漏出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る布団の一部分を断面で示した斜視図である。
【
図3】詰め物を充填した状態のマチ布周辺の部分拡大断面図である。
【
図4】(a)は縫い目穴が拡がる前の糸周辺を説明する図、(b)は縫い目穴が拡がった状態の糸周辺を説明する図である。
【
図5】(a)はマチ布片及びサポート布片を縫い付けた状態の側生地を説明する図、(b)は縦マチ布片及び縦サポート布片と横マチ布片及び横サポート布片の交差部分を説明する拡大斜視図である。
【
図9】マチ布片及びサポート布片の側生地への縫い付けを説明する斜視図である。
【
図10A】多重縫合時の説明図であり、縫い針がマチ布片よりも上側に位置している状態を示す。
【
図10B】多重縫合時の説明図であり、上糸が剣先に引っ掛けられた直後の状態を示す。
【
図10C】多重縫合時の説明図であり、上糸と下糸とが交差した状態を示す。
【
図10D】多重縫合時の説明図であり、上糸が剣先から外れる直前の状態を示す。
【
図10E】多重縫合時の説明図であり、剣先から外れた上糸が引っ張られている状態を示す。
【
図10F】多重縫合時の説明図であり、上糸と下糸の交差部分が布内に収まった状態を示す。
【
図11】(a)乃至(e)は横マチ布片及び横サポート布片の組の一部分を切断機構によって切断する工程の説明図である。
【
図12】第2実施形態に係る布団のマチ布周辺の部分拡大断面図である。
【
図13】第2実施形態に係る案内治具の斜視図である。
【
図14】第2実施形態に係る別の案内治具の斜視図である。
【
図15】第2実施形態に係るマチ布片及びサポート布片の側生地への縫い付けを説明する斜視図である。
【
図16】第2実施形態に係るマチ布片及びサポート布片を縫い付けた側生地を説明する部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。但し、実施の形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の一実施形態に係る布団1の一部分を断面で示した斜視図、
図2はマチ布4周辺の部分拡大断面図、
図3は詰め物8を充填した状態のマチ布4周辺の部分拡大断面図、
図4(a)は縫い目穴2bが拡がる前の糸7周辺を説明する図、
図4(b)は縫い目穴2bが拡がった状態の糸7周辺を説明する図である。
なお、図示の都合上、
図1乃至
図3において、側生地2やマチ布4の各部を湾曲面や平坦面を用いて描いている。しかし、側生地2やマチ布4は柔軟な薄手の布地によって作製されているため、実際には皺が寄ったり波打ったりしている。
【0009】
<第1実施形態に係る布団1の特徴>
図1に示すように、本実施形態に係る布団1は、表側生地2Aと裏側生地2Bとを夫々の周縁部2aに沿って縫い合わせることにより形成した袋体3を備えている。袋体3の内部にはマチ布4が縫い付けられており、マチ布4によって複数の空間SPが区画形成されている。
図3に示すように、複数の空間SPのそれぞれには詰め物8(羽毛、羊毛、及び綿毛に代表される繊維状詰め物)が充填されている。
図2に示すように、マチ布4は、一側端部(第1の表側屈曲片52A、第2の表側屈曲片53A)を表側生地2Aの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って糸7により縫い付けられた表側マチ布片5Aと、一側端部(第1の裏側屈曲片52B、第2の裏側屈曲片53B)を裏側生地2Bの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って糸7により縫い付けられた裏側マチ布片5Bと、を備えている。そして、表側マチ布片5Aの他の一側端部56Aと裏側マチ布片5Bの他の一側端部56Bとは、マチ布4の長手方向に沿って糸7により縫合されている。
【0010】
表側マチ布片5Aと表側生地2Aとの縫合部は、詰め物8の漏出防止構造を備えている。すなわち、表側マチ布片5Aと表側生地2Aとの縫合部は、表側サポート布片6Aを介在させた多重縫合部、すなわち表側マチ布片5Aと表側サポート布片6Aと表側生地2Aとを重ねた状態で縫い付けた構成になっている。
図2の例において、表側マチ布片5Aは、表側生地2Aの内表面と交差して配置される表側マチ布片本体51Aと、表側マチ布片本体51Aの一側端部側の適所にマチ布4の長手方向(糸7の縫製方向)に沿って設けた表側屈曲部54A(第1の表側屈曲部)と、表側屈曲部54Aから一方向へ屈曲させた第1の表側屈曲片52Aと、第1の表側屈曲片52Aの先端55A(第2の表側屈曲部)から表側に折り返されて該第1の表側屈曲片52Aと並行に延び、且つ第1の表側屈曲片52Aよりも幅広な第2の表側屈曲片53Aと、を備えている。
そして、表側サポート布片6Aは、第1の表側屈曲片52Aと第2の表側屈曲片53Aとの間に配置された状態で表側屈曲部54Aに沿って糸7により多重縫合されている。
【0011】
裏側マチ布片5Bと裏側生地2Bとの縫合部もまた、詰め物8の漏出防止構造を備えている。すなわち、裏側マチ布片5Bと裏側生地2Bとの縫合部は、裏側サポート布片6Bを介在させた多重縫合部、すなわち裏側マチ布片5Bと裏側サポート布片6Bと裏側生地2Bとを重ねた状態で縫い付けた構成になっている。
図2の例において、裏側マチ布片5Bも表側マチ布片5Aと同様に構成されている。すなわち、裏側マチ布片5Bは、裏側生地2Bの内表面と交差して配置される裏側マチ布片本体51Bと、裏側マチ布片本体51Bの一側端部側の適所にマチ布4の長手方向(糸7の縫製方向)に沿って設けた裏側屈曲部54B(第1の裏側屈曲部)と、裏側屈曲部54Bから一方向へ屈曲させた第1の裏側屈曲片52Bと、第1の裏側屈曲片52Bの先端55B(第2の裏側屈曲部)から裏側に折り返されて該第1の裏側屈曲片52Bと並行に延び、且つ第1の裏側屈曲片52Bよりも幅広な第2の裏側屈曲片53Bと、を備えている。
そして、裏側サポート布片6Bは、第1の裏側屈曲片52Bと第2の裏側屈曲片53Bとの間に配置された状態で裏側屈曲部54Bに沿って糸7により多重縫合されている。
【0012】
このように、本実施形態に係る布団1では、第1の表側屈曲片52Aと第2の表側屈曲片53Aとの間に表側サポート布片6Aを配置した状態で、第1の表側屈曲片52A、表側サポート布片6A、及び第2の表側屈曲片53Aを多重縫合し、第1の裏側屈曲片52Bと第2の裏側屈曲片53Bとの間に裏側サポート布片6Bを配置した状態で、第1の裏側屈曲片52B、裏側サポート布片6B、及び第2の裏側屈曲片53Bを多重縫合している。
その結果、布団1の使用に伴って糸7に張力が掛かり、側生地2(表側生地2A、裏側生地2B)の縫い目穴2bが
図4(a)に示す状態から
図4(b)に示す状態に拡げられたとしてもサポート布片6(6A、6B)によって縫い目穴2bが塞がるため、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0013】
<第1実施形態に係る布団1の詳細>
図1に示す布団1は平面視で四角形状をしており、例えば横方向(幅方向)の長さが150cm乃至230cm、縦方向の長さが200cm乃至230cmである。
布団1は、表側生地2Aと裏側生地2Bの周縁部2a同士を縫い合わせた袋体3を備えている。表側生地2A、及び裏側生地2Bは、布団1のサイズに縫い代を加えたサイズの四角形状の布地によって作製されており、適度な通気性及び柔軟性を備えた布地[例えば絹、ウール、綿、合成繊維(ポリエステル、ナイロン等)、又はこれらの混合繊維の布地]が用いられている。
表側生地2A、及び裏側生地2Bに適度な通気性及び柔軟性を備えた布地を使用する理由は、布団1の外から外力(例えば、人の体重や積層収納時における他の布団の重量)が加わったときに布団1の破裂を防いだり、寝床内環境(就寝中における布団1の内部温度、及び内部湿度)を最適な範囲(例えば温度:32℃乃至34℃、湿度:45%乃至55%)に維持するためである。
【0014】
表側生地2Aと裏側生地2Bとの間には通気性を備えたマチ布4が縫い付けられており、袋体3の内部には複数の空間SPが区画形成されている。
図1の布団1において、マチ布4は、横方向に間隔を空けて2つ、縦方向に間隔を空けて3つ縫い付けられている。
図1に示す布団1において、マチ布4の高さは、例えば5cm乃至15cmである。
袋体3の内部は、各マチ布4によって12個の空間SPに区画され、
図3に示すように、各空間SPには繊維系の詰め物8が充填される。繊維系の詰め物8としては、例えば、羽毛(ダック、グース、マザーグース)、羊毛、綿毛、人工羽毛、又は合成繊維(ポリエステル等)製の綿を用いることができる。
【0015】
マチ布4は、詰め物8の移動は制限し、且つ通気性を備えた布地によって作製することが望ましい。その理由は、詰め物8の移動を制限することにより、夫々の空間SP同士の間で詰め物8の充填量が偏る不都合を抑制できるためである。また、マチ布4が通気性を有することにより当該マチ布4を通じて空気が流通し、夫々の空間SPにおいて温度や湿度が均されるためである。
本実施形態において、マチ布4は、視認可能な大きさの網目(例えば110メッシュ程度の網目)を有する網目織りの帯状布地によって作製されている。なお、マチ布4は、網目織りの帯状布地以外の布地によって作製してもよい。
【0016】
図2に示すように、マチ布4は、表側端部(一側端部)が表側生地2Aの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられている表側マチ布片5Aと、裏側端部(一側端部)が裏側生地2Bの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられている裏側マチ布片5Bとを備えている。なお、表側マチ布片5Aの反対側の側縁部(他の一側端部)56Aと裏側マチ布片5Bの反対側の側縁部(他の一側端部)56Bとは、マチ布4の長手方向に沿って糸7により縫合されている。
【0017】
表側マチ布片5Aは、表側生地2Aの内面と交差して配置される表側マチ布片本体51Aと、表側マチ布片本体51Aの一側端部側の適所、具体的には、表側マチ布片5Aの一側端縁から、第1の表側屈曲片52Aの幅、及び第2の表側屈曲片53Aの幅の分だけ、表側マチ布片5Aの他側端縁側に離隔した位置に、マチ布4の長手方向(糸7の縫製方向)に沿って設けた表側屈曲部54Aと、表側屈曲部54Aにおいて一方向(布団1の横方向又は布団1の縦方向)に屈曲された第1の表側屈曲片52Aと、第1の表側屈曲片52Aの先端55Aから表側に折り返されて第1の表側屈曲片52Aと並行に延び、且つ該第1の表側屈曲片52Aよりも幅広な第2の表側屈曲片53Aと、を備えている。
【0018】
第1の表側屈曲片52Aと第2の表側屈曲片53Aとの間には、表側サポート布片6Aが配置されている。表側サポート布片6Aは、例えば第2の表側屈曲片53Aと同じ幅の帯形状の布地、又は、第2の表側屈曲片53Aの幅よりも狭く第1の表側屈曲片52Aよりも広い幅の帯形状の布地によって作製されている。
そして、表側サポート布片6Aは、第1の表側屈曲片52Aと第2の表側屈曲片53Aとの間に配置された状態で表側屈曲部54Aに沿って糸7により多重縫合されている。
表側サポート布片6Aは、表側マチ布片5A(マチ布4)よりも目が細かく、繊維系の充填材8が通過しない織り込み密度の布地、例えばダウンプルーフ加工された生地や不織布(フェルト)によって作製されている。
【0019】
裏側マチ布片5Bは、裏側生地2Bの内面と交差して配置される裏側マチ布片本体51Bと、裏側マチ布片本体51Bの一側端部側の適所、具体的には、裏側マチ布片5Bの一側端縁から、後述する第1の裏側屈曲片52Bの幅、及び第2の裏側屈曲片53Bの幅の分だけ、裏側マチ布片5Bの他側端縁側に離隔した位置に、マチ布4の長手方向(糸7の縫製方向)に沿って設けた裏側屈曲部54Bと、裏側屈曲部54Bにおいて一方向(布団1の横方向又は布団1の縦方向)に屈曲された第1の裏側屈曲片52Bと、第1の裏側屈曲片52Bの先端55Bから裏側に折り返されて第1の裏側屈曲片52Bと並行に延び、且つ該第1の裏側屈曲片52Bよりも幅広な第2の裏側屈曲片53Bと、を備えている。
【0020】
第1の裏側屈曲片52Bと第2の裏側屈曲片53Bとの間には、裏側サポート布片6Bが配置されている。裏側サポート布片6Bは、例えば第2の裏側屈曲片53Bと同じ幅の帯形状の布地、又は、第2の裏側屈曲片53Bの幅よりも狭く第1の裏側屈曲片52Bよりも広い幅の帯形状の布地によって作製されている。
そして、裏側サポート布片6Bは、第1の裏側屈曲片52Bと第2の表側屈曲片53Aとの間に配置された状態で裏側屈曲部54Bに沿って糸7により多重縫合されている。
裏側サポート布片6Bは、裏側マチ布片5B(マチ布4)よりも目が細かく、繊維系の充填材8が通過しない織り込み密度の布地、例えばダウンプルーフ加工された生地や不織布(フェルト)によって作製されている。
【0021】
第1の表側屈曲片52A、表側サポート布片6A、第2の表側屈曲片53A、及び表側生地2Aを多重縫合したこと、及び第1の裏側屈曲片52B、裏側サポート布片6B、第2の裏側屈曲片53B、及び裏側生地2Bを多重縫合したことにより、布団1の使用に伴って糸7に張力が掛かり、側生地(表側生地2A、裏側生地2B)の縫い目穴2bが
図4(a)に示す状態から
図4(b)に示す状態に拡げられたとしても各サポート布片6A,6Bによって縫い目穴2bが塞がるため、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
加えて、各サポート布片6A,6Bは、第1の各屈曲片52A,52B、及び第2の各屈曲片53A,53Bに挟まれているため、この点でも内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0022】
<マチ布片5、及びサポート布片6を側生地2へ縫い付ける手順について>
次に、マチ布片5、及びサポート布片6を側生地2へ縫い付ける手順について説明する。なお、表側マチ布片5A、及び表側サポート布片6Aの表側生地2Aへの縫い付け手順と裏側マチ布片5B、及び裏側サポート布片6Bの裏側生地2Bへの縫い付け手順とは同じである。このため、表側と裏側とを区別せず、単にマチ布片5、及びサポート布片6を側生地2に縫い付ける手順として説明する。
【0023】
最初にマチ布片5及びサポート布片6を縫い付けた状態の側生地2について説明する。
図5(a)はマチ布片5及びサポート布片6を縫い付けた状態の側生地2を説明する図、
図5(b)は縦マチ布片5V及び縦サポート布片6Vと横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの交差部分を説明する拡大斜視図である。
【0024】
図5(a)に示すように、マチ布片5は、四角形状の側生地2に対し、側生地2の横方向(幅方向)に沿って縫い付けられた横マチ布片5Wと、側生地2の縦方向に沿って縫い付けられた縦マチ布片5Vとを備えている。
同様に、サポート布片6は、側生地2の横方向に沿って配置され、横マチ布片5Wとともに側生地2に多重縫合された横サポート布片6Wと、側生地2の縦方向に沿って配置され、縦マチ布片5Vとともに側生地2に多重縫合された縦サポート布片6Vとを備えている。
【0025】
なお、マチ布片5は、表側生地2Aに縫い付けられる表側マチ布片5Aと、裏側生地2Bに縫い付けられる裏側マチ布片5Bとを備えている。同様に、サポート布片6は、表側生地2Aに対して表側マチ布片5Aとともに縫い付けられる表側サポート布片6Aと、裏側生地2Bに対して裏側マチ布片5Bとともに縫い付けられる裏側サポート布片6Bとを備えている。
従って、マチ布片5は、表側横マチ布片5AW、表側縦マチ布片5AV、裏側横マチ布片5BW、及び裏側縦マチ布片5BVを備えている。同様に、サポート布片6は、表側横サポート布片6AW、表側縦サポート布片6AV、裏側横サポート布片6BW、及び裏側縦サポート布片6BVを備えている。
便宜上、以下の説明において、横マチ布片5Wは表側横マチ布片5AWと裏側横マチ布片5BWとを含むものとし、縦マチ布片5Vは表側縦マチ布片5AVと裏側縦マチ片5BVとを含むものとする。同様に、横サポート布片6Wは表側横サポート布片6AWと裏側横サポート布片6BWとを含むものとし、縦サポート布片6Vは表側縦サポート布片6AVと裏側縦サポート布片6BVとを含むものとする。
【0026】
横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組は、側生地2の縦方向に間隔を空けて、例えば側生地2の横辺を4等分する間隔を空けて3組設けられている。また、縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組は、側生地2の横方向に間隔を空けて、例えば側生地2の横辺を3等分する間隔を空けて2組設けられている。
図5(a)の例では、先に横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組が側生地2に縫い付けられており、縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組は横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組が縫い付けられた側生地2に対して縫い付けられている。
なお、縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組を横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組よりも先に側生地2に縫い付けてもよい。
【0027】
図5(b)に示すように、袋体3になる前において、縦サポート布片6Vは、縦マチ布片5Vのマチ布片本体51、及び第1の屈曲片52と第2の屈曲片53との間に挟み込まれており、マチ布片本体51と第1の屈曲片52の境界で縦マチ布片5Vの長手方向に沿って糸7により縫い付けられている。袋体3の作製時において、マチ布片本体51は糸7に沿って起こされる。従って、糸7による縫合箇所は、マチ布片本体51が起こされることにより屈曲部54になる。言い換えれば、屈曲部54は、糸7の縫製方向に沿って延びている。
同様に、横サポート布片6Wは、横マチ布片5Wのマチ布片本体51、及び第1の屈曲片52と第2の屈曲片53との間に挟み込まれており、マチ布片本体51と第1の屈曲片52の境界で横マチ布片5Wの長手方向に沿って糸7により縫い付けられている。
袋体3の作製時において、横マチ布片5Wのマチ布片本体51も縫合箇所に沿って起こされるが、縦マチ布片5Vのマチ布片本体51が縫い付けられているため、横マチ布片5Wのマチ布片本体51には縦マチ布4の縫合箇所に沿って切り込み51aが形成されている。この切り込み51aの形成手順については後で説明する。
【0028】
<縫製装置100について>
次に、マチ布片5及びサポート布片6を側生地2に縫い付ける縫製装置100について説明する。
図6は縫製装置100の概略構成図、
図7は縫製部120の斜視図、
図8は案内治具110の斜視図、
図9はマチ布片及びサポート布片の側生地への縫い付けを説明する斜視図である。
図6に示すように、縫製装置100は、側生地2が上面に載置される載置台101と、載置台101の上面に沿って往復移動し、往復移動時と復路移動時の少なくとも一方で、マチ布片5、及びサポート布片6を載置台101の上に載置された側生地2に縫い付ける移動縫製ユニット102と、を備えている。
移動縫製ユニット102は、上糸7Uが巻付けられた糸コマ103と、下糸7Dが巻き付けられたボビン104と、ボビン104の周囲を周回する釜105と、帯状布地によって作製されたマチ布片5が巻き付けられたマチ布片供給リール106(マチ布片供給部)と、帯状布地によって作製されたサポート布片6が巻き付けられたサポート布片供給リール107(サポート布片供給部)と、マチ布片5の右側端部(一側端部)を折り返し、折り返し部分の内側にサポート布片6を配置して縫製部120に案内する案内治具110と、案内治具110によって案内されたマチ布片5、及びサポート布片6と側生地2とを多重縫合する縫製部120と、横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組と縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組とについて、後の組の縫い付け時に先に縫い付けられた組の一部分を、後の組の縫製方向(具体的には糸7による縫い付け予定箇所)に沿って切断する切断機構130とを備えている。
【0029】
<縫製部120、及び切断機構130について>
図7に示すように、縫製部120は、上下方向に移動可能に支持されたフレーム121と、フレーム121の下端部に装着され、フレーム121の下降時において載置台101の上に載置された側生地2と、案内治具110によって案内されたマチ布片5、及びサポート布片6とを上側から押さえる押さえ金122と、上糸7Uが針穴に挿通可能であって上下方向に沿って往復移動可能に構成された縫い針123とを備えている。
フレーム121は、例えば金属製の矩形ブロックによって作製されたフレーム本体121aと、フレーム本体121aの下面から下方に延びた脚部121bとを備えている。脚部121bの先端(下端)には押さえ金122が取り付けられている。また、フレーム本体121aには、切断機構130が固定され、且つ案内治具110が着脱自在に取り付けられる。なお、案内治具110については後で説明する。
切断機構130は、側生地2に縫い付けられたマチ布片5、及び横サポート布片6の組を切断する切断部131と、切断部131を上下方向に移動させるアクチュエータ132と、アクチュエータ132に対して切断部131を取り付ける取り付け片133と、アクチュエータ132をフレーム121に固定する固定用ステー134と、を備えている。
【0030】
切断部131は、金属板によって構成された切断刃131aと、切断刃131aを左右方向から挟んで固定する板形状の固定ホルダ131bとを備えている。切断刃131aは、縫い針123よりも縫製方向の上流側、具体的には糸7による縫製予定箇所の上に配置されている。
アクチュエータ132は、アクチュエータ本体132aと、アクチュエータ本体132a内に一部が収納され、軸方向に進退されるプランジャー132bとを備えている。本実施形態において、アクチュエータ132は、プランジャー132bがアクチュエータ本体132aの下面から下方に向けて突出した状態で設けられている。従って、プランジャー132bは、アクチュエータ本体132aに対して上下方向に進退自在である。
取り付け片133は、例えば側面から見て略L字形状の金属製板片によって構成されており、プランジャー132bの先端(下端)と固定ホルダ131bの側面との間に固定されている。
固定用ステー134は、平面視で略L字形状の金属製丸棒によって構成されており、一端がフレーム本体121aに固定され、他端がアクチュエータ本体132aに固定されている。
【0031】
アクチュエータ132は、プランジャー132bをアクチュエータ本体132aに対して進退させることにより、切断部131を上下方向に沿って移動させる。
切断部131を下側の切断位置に位置付けると、切断刃131aにより、側生地2に縫い付けられたマチ布片5と横サポート布片6の組の一部分を糸7による縫製予定箇所に沿って切断できる。
一方、切断部131を上側の退避位置に位置付けることにより、切断刃131aは側生地2に縫い付けられたマチ布片5と横サポート布片6よりも上方に位置する。従って、マチ布片5と横サポート布片6は、切断部131が退避位置に位置付けられることにより、切断部131によって切断されない。
【0032】
<案内治具110について>
図8に示すように、案内治具110は、マチ布片5が挿通される第1案内空所ES1、及びサポート布片6が挿通される第2案内空所ES2を形成した治具本体111と、案内治具110をフレーム121に取り付けるためのフック部112と、を備えている。
【0033】
治具本体111は、略J字状の第1案内空所ES1、及び第2案内空所ES2を区画形成するマチ布片ガイド部113と、第2案内空所ES2を区画形成するサポート布片ガイド部113cの開放端縁113dを閉塞する閉塞板114と、を備えている。
マチ布片ガイド部113は、横断面が略J字状となるように屈曲された中空部材によって作製されている。すなわち、マチ布片ガイド部113は、一方向(例えば左右方向)に延びる113aと、長尺本体113aの一端を湾曲して折り返し(反転させ)、且つ長尺本体113aと並行に延在させた短尺折り返し小片113bと、長尺本体113aと短尺折り返し小片113bとの対向部分に設けられたサポート布片ガイド部113cと、を備えている。
本実施形態において、短尺折り返し小片113bの横幅W113bは、長尺本体113aの横幅W113aよりも短い。
【0034】
閉塞板114は、例えば倒L字形状の金属板によって作製されている。この閉塞板114は、例えば短尺折り返し小片113bの先端と長尺本体113aの下面との間に形成されたサポート布片ガイド部113cの開放端縁113dを塞ぐように、溶接、接着、ロウ付け、又は半田付け等によって長尺本体113aの下面に取り付けられている。
フック部112は、金属棒を屈曲させることによって作製されている。このフック部112は、長尺本体113aの上面に沿って設けられ、且つ長尺本体113aの上面に対して溶接、接着、ロウ付け、又は半田付け等によって取り付けられた下側部分112aと、下側部分112aの右端から立ち上がる立ち上がり部分112bと、立ち上がり部分112bの上端から左方向に下側部分112aと並行に延びる上側部分112cと、を備えている。
【0035】
この案内治具110は、
図9に示すように、押さえ金122や縫い針123よりも布片供給方向の上流側に配置されている。
図8に示すように、マチ布片5を第1案内空所ES1に挿通することによってマチ布片5の右側部分が下側に折り返され、サポート布片6を第2案内空所ES2に挿通することによってサポート布片6がマチ布片5の上側部分(マチ布片本体51、第1の屈曲片52、
図5(b)を参照)と下側部分(第2の屈曲片53、
図5(b)を参照)との間に配置される。さらに、サポート布片ガイド部113cの開放端縁113dを閉塞板114によって閉塞しているので、サポート布片6がマチ布片5の折り返し部分から脱落してしまう不都合を抑制できる。
【0036】
図9に示すように、マチ布片5、及びサポート布片6を押さえ金122によって側生地2の上面に押さえ付け、縫製部120によって縫い付けることにより、マチ布片5とサポート布片6と側生地2とを糸7(上糸7U、下糸7D)によって多重縫合することができる。
従って、本実施形態の縫製装置100によれば、マチ布片5とサポート布片6とを重ねて縫製部120に供給する工程と、側生地2の内面に対してマチ布片5、及びサポート布片6を多重縫合する工程を一つの工程にまとめることができる。
また、切断機構130(切断部131)は、横マチ布片5W、及び横サポート布片6Wの組と縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組について、後の組の縫い付け時に先に縫い付けられた組の一部分を切断する。なお、切断機構130によるマチ布片5、及び横サポート布片6の組の切断については後述する。
【0037】
<縫製装置100による多重縫合について>
図10A乃至
図10Fは多重縫合時の説明図である。
図10A乃至
図10Fに示すように、縫い針123がマチ布片5よりも上側に位置している状態(
図10Aの状態)から縫い針123が側生地2を貫くと側生地2の下側において上糸7Uのループが形成される。上糸7Uのループは、ボビン104の周囲を回転する釜105の先端(剣先)105に引っ掛けられる(
図10Bの状態)。釜105の回転に伴って上糸7Uのループが大きくなり(
図10Cの状態)、上糸7Uのループの内側に下糸7Dが配置される(
図10Dの状態)。その後、上糸7Uのループが剣先105から外れ、移動縫製ユニット102の自走に伴って上糸7Uが引っ張られる(
図10Eの状態)。そして、上糸7Uと下糸7Dの交差部分が重ねられた各布片2、5、6の内部に収まって多重縫合される(
図10Fの状態)。
以降は、
図10A乃至
図10Eの動作が繰り替えし行われる。
【0038】
図10A乃至
図10Fの説明から理解されるように、本実施形態の布団1を製造するにあたり、マチ布片5とサポート布片6と側生地2とを多重縫合しているため、多重縫合箇所について必要な厚さを容易に確保できる。その結果、上糸7Uと下糸7Dの張力調整が容易になり、上糸7Uと下糸7Dの交差部分を多重縫合箇所の厚みの中に容易に収められる。その結果、縫い付け作業の効率化が図れる。
【0039】
<切断機構130によるマチ布片5、及びサポート布片6の組の切断について>
次に、切断機構130(切断部131)によるマチ布片5、及びサポート布片6の組の切断について説明する。
図11(a)乃至
図11(e)は横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組の一部分を切断機構130によって切断する工程の説明図である。
本実施形態では、縦マチ片5V、及び縦サポート布片6Vの組の側生地2への縫い付け時において、先に側生地2へ縫い付けられた横マチ片5W、及び横サポート布片6Wの組の一部分を切断する場合について説明をする。
【0040】
図11(a)に示すように、退避位置に位置付けられた切断部131は、切断刃131aの下端が横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組よりも上方に位置している。
図11(b)に示すように、移動縫製ユニット102(
図6を参照)の移動に伴い、切断部131が横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組の直前まで移動すると、アクチュエータ132(
図7を参照)により、切断刃131aの下端が側生地2の表面に当接する切断位置まで切断部131が下降される。
図11(c)に示すように、移動縫製ユニット102の移動に伴い、切断部131は、横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組を切断する。
図11(d)に示すように、切断刃131aが糸7による縫製位置の直前に到達すると、切断部131はアクチュエータ132(
図7を参照)により、退避位置まで上昇される。その結果、
図5(b)に示した切り込み51aが、横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組における糸7の直前位置まで形成される。
図11(e)に示すように、切断部131は、横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組における糸7よりも切断方向の上流側の部分については切断せずに通過する。
【0041】
なお、横マチ片5W、及び横サポート布片6Wの組の側生地2への縫い付け時において、先に側生地2へ縫い付けられた縦マチ片5V、及び縦サポート布片6Vの組の一部分を切断する手順は、
図11で説明した手順と同様であることから、詳細な説明は省略する。
以上の説明から判るように、本実施形態の縫製装置100によれば、縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組を側生地2へ多重縫合する工程と、横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組を部分的に切断する工程とを、一つの工程にまとめることができる。
【0042】
<第2実施形態に係る布団1’について>
前述した第1実施形態に係る布団1では、マチ布片5が備えた第1の屈曲片52と第2の屈曲片53との間にサポート布片6を配置していたが、この構成に限定されない。
第2実施形態に係る布団1’は、第2の屈曲片53(53A,53B)と側生地2(2A,2B)との間にサポート布片6(6A,6B)を配置した点が第1実施形態に係る布団1と相違している。
以下、第2実施形態に係る布団1’について説明する。なお、第2実施形態に係る布団1’において、第1実施形態に係る布団1と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
第2実施形態に係る布団1’も第1実施形態に係る布団1と同様に、表側生地2Aと裏側生地2Bとを夫々の周縁部2aに沿って縫い合わせることにより形成した袋体3を備えている。袋体3の内部にはマチ布4が縫い付けられており、マチ布4によって複数の空間SPが区画形成されている。そして、複数の空間SPのそれぞれには繊維系の詰め物8(
図3を参照)が充填されている。
【0043】
図12は、第2実施形態に係る布団1’のマチ布4周辺の部分拡大断面図である。
図12に示すように、第2実施形態に係る布団1’のマチ布4は、表側マチ布片5Aと、裏側マチ布片5Bとを備えている。
表側マチ布片5Aは、表側マチ布片本体51Aと、表側マチ布片本体51Aの一側端部側の適所に、マチ布4の長手方向に沿って設けた表側屈曲部54Aと、表側屈曲部54Aにおいて一方向に屈曲された第1の表側屈曲片52Aと、第1の表側屈曲片52Aの先端55Aから表側に折り返されて第1の表側屈曲片52Aと並行に延び、且つ該第1の表側屈曲片52Aよりも幅広な第2の表側屈曲片53Aと、を備えている。
同様に、裏側マチ布片5Bは、裏側マチ布片本体51Bと、裏側マチ布片本体51Bの一側端部側の適所に、マチ布4の長手方向に沿って設けた裏側屈曲部54Bと、裏側屈曲部54Bにおいて一方向に屈曲された第1の裏側屈曲片52Bと、第1の裏側屈曲片52Bの先端55Bから裏側に折り返されて第1の裏側屈曲片52Bと並行に延び、且つ該第1の裏側屈曲片52Bよりも幅広な第2の裏側屈曲片53Bと、を備えている。
【0044】
第2実施形態に係る布団1’では、第2の表側屈曲片53Aと表側生地2Aとの間に表側サポート布片6Aが配置されており、第2の裏側屈曲片53Bと裏側生地2Bとの間に裏側サポート布片6Bが配置されている。
そして、表側サポート布片6Aは、表側屈曲部54Aに沿って、第1の表側屈曲片52A、及び第2の表側屈曲片53Aとともに表側生地2Aに多重縫合されている。同様に、裏側サポート布片6Bは、裏側屈曲部54Bに沿って、第1の裏側屈曲片52B、及び第2の裏側屈曲片53Bとともに裏側生地2Bに多重縫合されている。
【0045】
第1の表側屈曲片52A、第2の表側屈曲片53A、表側サポート布片6A、及び表側生地2Aを多重縫合したこと、及び第1の裏側屈曲片52B、第2の裏側屈曲片53B、裏側サポート布片6B、及び裏側生地2Bを多重縫合したことにより、布団1’の使用に伴って糸7に張力が掛かり、側生地2(表側生地2A、裏側生地2B)の縫い目穴2bが拡開されたとしても各サポート布片6A、6Bによって縫い目穴2bが塞がるため、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0046】
<案内治具110A,110Bについて>
図13は第2実施形態に係る案内治具110Aの斜視図、
図14は第2実施形態に係る別の案内治具110Bの斜視図、
図15は第2実施形態に係るマチ布片5及びサポート布片6を側生地2への縫い付けを説明する斜視図、
図16は第2実施形態に係るマチ布片5及びサポート布片6を縫い付けた側生地2を説明する部分拡大断面図である。
【0047】
最初に、第2実施形態に係る布団1の作製時に使用する案内治具110Aについて説明する。
図13に示すように、案内治具110Aは、マチ布片5が挿通される第1案内空所ES1を形成した治具本体111Aと、案内治具110Aをフレーム121のフレーム本体121aに取り付けるためのフック部112と、を備えている。
治具本体111Aは、略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113によって構成されている。第1の実施形態で説明した治具本体111と比較すると、第2実施形態の治具本体111Aは閉塞板114を備えていない点で相違しているが、マチ布片ガイド部113については同じ構成である。
すなわち、マチ布片ガイド部113は、横断面が略J字状となるように屈曲された中空部材によって作製され、一方向(例えば左右方向)に延びる長尺本体113aと、長尺本体113aの一端を湾曲して折り返し(反転させ)、長尺本体113aと並行に延在させた短尺折り返し小片113bとを備えている。
フック部112は、第1実施形態の案内治具110が備えたフック部112と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0048】
次に、案内治具110Bについて説明する。
図14に示すように、案内治具110Bは、マチ布片5が挿通される案内空所ES1、及びサポート布片6が挿通される案内空所ES2を形成した治具本体111Bと、案内治具110Bをフレーム121のフレーム本体121aに取り付けるためのフック部112と、を備えている。さらに、治具本体111Bは、略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113と、表側サポート布片6A、第2案内空所ES2を区画形成するサポート布片ガイド部115と、を備えている。
マチ布片ガイド部113は、案内治具110、及び110Aが備えるマチ布片ガイド部113と同じ構成である。すなわち、マチ布片ガイド部113は、横断面が略J字状となるように屈曲された中空部材によって作製され、一方向に延びる長尺本体113aと、長尺本体113aの一端を湾曲して折り返し、長尺本体113aと並行に延在させた短尺折り返し小片113bとを備えている。
サポート布片ガイド部115は、短尺折り返し小片113bの長尺本体113aとは反対側の外面SFに第2案内空所ESを区画形成する金属製の板状部材であり、例えばガイド本体115aの幅方向両端部115b,115cをマチ布片ガイド部113に向けて屈曲させることによって作製される。サポート布片ガイド部115は、溶接、接着、ロウ付け、又は半田付け等によってマチ布片ガイド部113に固定される。
【0049】
上述した案内治具110A,110Bは、
図15に示すように、押さえ金122や縫い針123よりも布片供給方向の上流側に配置されている。
図13、及び
図15に示すように、マチ布片5を第1案内空所ES1に挿通することによってマチ布片5の右側部分が下側に折り返される。そして、サポート布片6を短尺折り返し小片113b内であってマチ布片5よりも下側に挿通することにより、サポート布片6はマチ布片5の下側部分(第2の屈曲片53、
図16を参照)よりも下側に配置される。
図14、及び
図15に示すように、マチ布片5を第1案内空所ES1に挿通することによってマチ布片5の右側部分が下側に折り返される。そして、サポート布片6を第2案内空所ES1に挿通することにより、サポート布片6はマチ布片5の下側部分(第2の屈曲片53、
図16を参照)よりも下側に配置される。
図15、及び
図16に示すように、マチ布片5、及びサポート布片6を押さえ金122によって側生地2の上面に押さえ付け、縫製部120によって縫い付けることにより、マチ布片5の第2の屈曲片53と側生地2との間にサポート布片6を挟んだ状態で、多重縫合を行うことができる。
【0050】
第2実施形態に係る布団1’においても、布団1の使用に伴って糸7に張力が掛かり、側生地2(表側生地2A、裏側生地2B)の縫い目穴2bが拡開されたとしてもサポート布片6によって縫い目穴2bが塞がるため、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
さらに、第2実施形態に係る布団1’では、側生地2とは反対のサポート布片6の内面側にマチ布片5の第1の屈曲片52、及び第2の屈曲片53が配置されているため、この点でも内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0051】
<変形例について>
前述の各実施形態では、表側生地2Aの内面と裏側生地2Bの内面との間に跨がってマチ布4を縫い付けた布団1、1’(立体キルト)を例示したが、本発明はこの布団1、1’に限られない。
例えば、表側生地2Aと裏側生地2Bとの間に中布を配置して、表側生地2Aと裏側生地2Bと中布とを夫々の周縁部2aに沿って縫い合わせることにより、内部空間SPを表側空間SPと裏側空間SPとに区画形成した袋体3を備え、表側空間SPには表側マチ布片5Aによって小空間SPを区画形成し、裏側空間SPには裏側マチ布片5Bによって小空間SPを区画形成した布団1(二層式キルト)であってもよい。
【0052】
前述の各実施形態に係る布団1、1’は、表側サポート布片6Aと裏側サポート布片6Bの両方を備えていたが、表側サポート布片6Aと裏側サポート布片6Bの少なくとも一方を備えていればよい。
【0053】
前述の第1実施形態における案内治具110は、第1筒状部113の本体部113aの右端と重ね合わせ部113bの右端との間に折り返し部113cを設けていたが、この構成に限られない。例えば、第1筒状部113の本体部113aの左端を開放して右端を塞ぎ、重ね合わせ部113bの左端を開放して右端を塞ぎ、第1筒状部113の本体部113aの左端と重ね合わせ部113bの左端との間に折り返し部113cを設けてもよい。
【0054】
表側サポート布片6A、及び裏側サポート布片6Bは、ダウンプルーフ加工された布地や不織布に限られない。例えば、平織りの布地であってもよい。
【0055】
[本発明の実施態様例と作用、効果のまとめ]
<第一の実施態様>
本態様は、表側生地2Aと裏側生地2Bとを夫々の周縁部2aに沿って縫い合わせることにより形成した袋体3と、袋体3の内部に縫い付けたマチ布4によって複数の空間SPを区画形成し、且つ複数の空間SPのそれぞれに繊維系の詰め物8を充填した布団1、1’であって、マチ布4は、一側端部を表側生地2Aの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられる表側マチ布片5Aと、一側端部を裏側生地2Bの内面に対してマチ布4の長手方向に沿って縫い付けられる裏側マチ布片5Bと、を備えると共に、表側マチ布片5Aと裏側マチ布片5Bの他の一側端部同士をマチ布4の長手方向に沿って縫合した構成を備え、表側マチ布片5Aと表側生地2Aの内面との縫合部、又は裏側マチ布片5Bと裏側生地2Bの内面との縫合部のうちの少なくとも一方は、拡開された縫い目穴2bからの詰め物8の漏出を防止するサポート布片6を介在させた多重縫合部となっていることを特徴とする。
本態様に係る布団1によれば、表側マチ布片5Aと表側生地2Aの内面との縫合部、又は裏側マチ布片5Bと裏側生地2Bの内面との縫合部のうちの少なくとも一方が多重縫合部となっているため、縫い目穴2bが拡開されたとしてもサポート布片6によって縫い目穴2bを塞ぐことができ、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0056】
<第二の実施態様>
本態様に係る布団1において、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bは、表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面と交差して配置されるマチ布片本体51A,51Bと、マチ布片本体51A,51Bの一側端部側の適所にマチ布4の長手方向に沿って設けた屈曲部54A,54B(第1の屈曲部)において一方向に屈曲させた第1の屈曲片52A,52Bと、第1の屈曲片52A,52Bの先端55A,55B(第2の屈曲部)から表側、又は裏側に折り返されて第1の屈曲片52A,52Bと並行に延び、且つ第1の屈曲片52A,52Bよりも幅広な第2の屈曲片53A,53Bと、を備え、サポート布片6A,6Bは、第1の屈曲片52A,52Bと第2の屈曲片53A,53Bとの間に配置された状態で屈曲部54A、54Bに沿って多重縫合されていることを特徴とする。
本態様に係る布団1によれば、サポート布片6A,6Bは、第1の屈曲片52A,52Bと第2の屈曲片53A,53Bとの間に配置された状態で屈曲部54A、54Bに沿って多重縫合されているため、サポート布片6A,6B、第1の屈曲片52A,52B、及び第2の屈曲片53A,53Bによって詰め物8の通過が妨げられる。その結果、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0057】
<第三の実施態様>
本態様に係る布団1’において、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bは、表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面と交差して配置されるマチ布片本体51A,51Bと、マチ布片本体51A,51Bの一側端部側の適所にマチ布4の長手方向に沿って設けた屈曲部54A,54B(第1の屈曲部)において一方向に屈曲させた第1の屈曲片52A,52Bと、第1の屈曲片52A,52Bの先端55A,55B(第2の屈曲部)から表側、又は裏側に折り返されて第1の屈曲片52A,52Bと並行に延び、且つ第1の屈曲片52A,52Bよりも幅広な第2の屈曲片53A,53Bと、を備え、サポート布片6A,6Bは、第2の屈曲片53と表側生地2Aの内面との間、又は第2の屈曲片53と裏側生地2Bの内面との間に配置された状態で屈曲部54A,54Bに沿って多重縫合されていることを特徴とする。
本態様に係る布団1’によれば、サポート布片6A,6Bの内面側にマチ布片5A,5Bの第1の屈曲片52A,52B、及び第2の屈曲片53A,53Bが重なった状態で配置されているため、サポート布片6A,6Bに加えて、第1の屈曲片52A,52B、及び第2の屈曲片53A,53Bによっても詰め物8の通過が妨げられる。その結果、内部空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を抑制できる。
【0058】
<第四の実施態様>
本態様に係る布団1において、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bは、通気性を有する帯状布地によって作製され、サポート布片6は、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bよりも目の細かい生地によって作製されていることを特徴とする。
本態様に係る布団1によれば、袋体3の内部に区画形成された複数の空間SP同士の間の通気性を表側マチ布片5Aや裏側マチ布片5Bによって確保でき、且つ空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合をサポート布片6によって抑制できる。
【0059】
<第五の実施態様>
本態様に係る布団1において、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bは、視認可能な大きさの網目を有する網目織りの帯状布地によって作製され、サポート布片6は、帯状の不織布によって作製されていることを特徴とする。
本態様に係る布団1によれば、袋体3の内部に区画形成された複数の空間SP同士の間で通気性を確保でき、且つ空間SPに充填された詰め物8が袋体3の外部に漏出する不都合を不織布によって作製されたサポート布片6によって抑制できる。
【0060】
<第六の実施態様>
本態様は、前述の各態様に記載された布団1,1’を構成する表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面に対して表側マチ布片5Aと表側サポート布片6A、又は裏側マチ布片5Bと裏側サポート布片6Bとを重ねた状態で多重縫合する縫製部120を備えた縫製装置100であって、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bを供給するマチ布片供給リール106(マチ布片供給部)と、表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを供給するサポート布片供給リール107(サポート布片供給部)と、マチ布片供給リール106から供給された表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bとサポート布片供給リール107から供給された表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bとを重ねて縫製部120に案内する案内治具110、110A、110Bと、を備えたことを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、表側マチ布片5Aと表側サポート布片6Aとを重ねて縫製部120に供給する工程と、表側生地2Aの内面に対して表側マチ布片5A、及び表側サポート布片6Aを多重縫合する工程を一つの工程にまとめること、又は裏側マチ布片5Bと裏側サポート布片6Bとを重ねて縫製部120に供給する工程と、裏側生地の2Bの内面に対して裏側マチ布片5B、及び裏側サポート布片6Bを多重縫合する工程を一つの工程にまとめることができる。
【0061】
<第七の実施態様>
本態様に係る縫製装置100において、案内治具110は、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bが挿通される略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113を備え、マチ布ガイド部113は、長尺本体113aと、該長尺本体113aの一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片113bとにより略J字状の第1案内空所113を形成しており、長尺本体113aと短尺折り返し小片113bとの間には表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挿通してガイドする第2案内空所ES2としてのサポート布片ガイド部113cが形成されており、且つサポート布片ガイド部113cの開放端縁は閉塞板114により閉塞されていることを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、一側縁が折り返された表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bの間に表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挟んだ状態で、多重縫合を行うことができる。
【0062】
<第八の実施態様>
本態様に係る縫製装置100において、案内治具110Bは、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bが挿通される略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113と、表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bが挿通される第2案内空所ES2を区画形成するサポート布片ガイド部115と、を備え、マチ布ガイド部113は、長尺本体113aと、該長尺本体113aの一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片113bとにより略J字状の第1案内空所ES1を形成しており、サポート布片ガイド部115は、短尺折り返し小片113bの長尺本体113aとは反対側の外面SFに第2案内空所ESを区画形成することを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、一側縁が折り返された表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bと表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面との間に表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挟んだ状態で、多重縫合を行うことができる。
【0063】
<第九の実施態様>
本態様に係る縫製装置100において、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bは、表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面に対して、横方向(第1の縫製方向)に沿って表側横サポート布片6AW(第1表側サポート布片)、又は裏側横サポート布片6BW(第1裏側サポート布片)とともに多重縫合される表側横マチ布片5AW(第1表側マチ布片)、又は裏側横マチ布片5BW(第1裏側マチ布片)と、表側横マチ布片5AW及び表側横サポート布片6AWが多重縫合された表側生地2Aの内面、又は裏側横マチ布片5BW及び裏側横サポート布片6BWが多重縫合された裏側生地2Bの内面に対して、第1の縫製方向と交差する第2の縫製方向に沿って表側縦サポート布片6AV(第2表側サポート布片)、又は裏側縦サポート布片6BV(第2裏側サポート布片)とともに多重縫合される表側縦マチ布片5AV(第2表側マチ布片)、又は裏側縦マチ布片5BV(第2裏側マチ布片)と、を有し、縫製部120よりも第2の縫製方向の上流側には、表側縦マチ布片5AVと表側縦サポート布片6AVの組、又は裏側縦マチ布片5BVと裏側縦サポート布片6BVの組を表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面に対して多重縫合するときに、表側横マチ布片5AWと表側横サポート布片6AWの組の一部分、又は裏側横マチ布片5BWと裏側横サポート布片6BWの組の一部分を、第2の縫製方向に沿って切断する切断部131をさらに備えたことを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、表側縦マチ布片5AVと表側縦サポート布片6AVの組を表側生地2Aの内面に多重縫合する工程と、表側横マチ布片5AWと表側横サポート布片6AWの組の一部分を第2の縫製方向に沿って切断する工程を一つの工程にまとめること、又は裏側縦マチ布片5BVと裏側縦サポート布片6BVの組を裏側生地2Bの内面に多重縫合する工程と、裏側横マチ布片5BWと裏側横サポート布片6BWの組の一部分を第2の縫製方向に沿って切断する工程を一つの工程にまとめることができる。
【符号の説明】
【0064】
1,1’…布団,2…側生地,2A…表側生地,2B…裏側生地,2a…周縁部,2b…縫い目穴,3…袋体,4…マチ布,5…マチ布片,5V…縦マチ布片,5W…横マチ布片,5A…表側マチ布片,5B…裏側マチ布片,5AW…表側横マチ布片(第1表側マチ布片),5BW…裏側横マチ布片(第1裏側マチ布片),5AV…表側縦マチ布片(第2表側マチ布片),5BV…裏側縦マチ布片(第2裏側マチ布片),51A…表側マチ布片本体,52A…第1の表側屈曲片,53A…第2の表側屈曲片,54A…表側屈曲部,55A…第1の表側屈曲片の先端,56A…表側マチ布片の他の一側端部,51B…裏側マチ布片本体,52B…第1の裏側屈曲片,53B…第2の裏側屈曲片,54B…裏側屈曲部,55B…第1の裏側屈曲片の先端,56B…他の一側端部,6…サポート布片,6V…縦サポート布片,6W…横サポート布片,6A…表側サポート布片,6B…裏側サポート布片,6AW…表側横サポート布片(第1表側サポート布片),6BW…裏側横サポート布片(第1裏側サポート布片),6AV…表側縦サポート布片(第2表側サポート布片),6BV…裏側縦サポート布片(第2裏側サポート布片),7…糸,7U…上糸,7D…下糸,8…詰め物,100…縫製装置,101…載置台,102…移動縫製ユニット,103…糸コマ,104…ボビン,105…釜,105a…剣先,106…マチ布片供給リール,107…サポート布片供給リール,110,110’…案内治具,111,111’…治具本体,112…フック部,112a…下側部分,112b…立ち上がり部分,112c…上側部分,113…マチ布ガイド部,113a…長尺本体,113b…短尺折り返し小片,113c…サポート布片ガイド部,113d…サポート布片ガイド部の開放端縁,114…閉塞板,115…サポート布片ガイド部,120…縫製部,121…フレーム,121a…フレーム本体,121b…連結シャフト,122…押さえ金,123…縫い針,130…切断機構,131…切断部,131a…切断刃,131b…切断刃ホルダ,132…アクチュエータ,132a…アクチュエータ本体,132b…プランジャー,133…取り付け片,134…ステー,SP…空間,ES…案内空所,ES1…第1案内空所,ES2…第2案内空所
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側生地と裏側生地とを夫々の周縁部に沿って縫い合わせることにより形成した袋体と、前記袋体の内部に縫い付けたマチ布によって複数の空間を区画形成し、且つ複数の前記空間のそれぞれに繊維系の詰め物を充填した布団であって、
前記マチ布は、一側端部を前記表側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる表側マチ布片と、一側端部を前記裏側生地の内面に対して前記マチ布の長手方向に沿って縫い付けられる裏側マチ布片と、を備えると共に、前記表側マチ布片と前記裏側マチ布片の他の一側端部同士を前記マチ布の長手方向に沿って縫合した構成を備え、
前記表側マチ布片と前記表側生地の内面との縫合部、又は前記裏側マチ布片と前記裏側生地の内面との縫合部のうちの少なくとも一方は、拡開された縫い目穴からの前記詰め物の漏出を防止するサポート布片を介在させた多重縫合部となっていることを特徴とする布団。
【請求項2】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面と交差して配置されるマチ布片本体と、
該マチ布片本体の一側端部側の適所に前記マチ布の長手方向に沿って設けた第1の屈曲部において一方向に屈曲させた第1の屈曲片と、
該第1の屈曲片の先端から表側、又は裏側に折り返されて該第1の屈曲片と並行に延び、且つ該第1の屈曲片よりも幅広な第2の屈曲片と、を備え、
前記サポート布片は、前記第1の屈曲片と前記第2の屈曲片との間に配置された状態で前記第1の屈曲部に沿って多重縫合されていることを特徴とする請求項1に記載の布団。
【請求項3】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面と交差して配置されるマチ布片本体と、
該マチ布片本体の一側端部側の適所に前記マチ布の長手方向に沿って設けた第1の屈曲部において一方向に屈曲させた第1の屈曲片と、
該第1の屈曲片の先端から表側、又は裏側に折り返されて該第1の屈曲片と並行に延び、且つ該第1の屈曲片よりも幅広な第2の屈曲片と、を備え、
前記サポート布片は、前記第2の屈曲片と前記表側生地の内面との間、又は前記第2の屈曲片と前記裏側生地の内面との間に配置された状態で前記第1の屈曲部に沿って多重縫合されていることを特徴とする請求項1に記載の布団。
【請求項4】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、通気性を有する帯状布地によって作製され、
前記サポート布片は、前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片よりも目の細かい生地によって作製されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の布団。
【請求項5】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、視認可能な大きさの網目を有する網目織りの帯状布地によって作製され、
前記サポート布片は、帯状の不織布によって作製されていることを特徴とする請求項4に記載の布団。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の布団を構成する前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して前記表側マチ布片と前記サポート布片、又は前記裏側マチ布片と前記サポート布片とを重ねた状態で多重縫合する縫製部を備えた縫製装置であって、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片を供給するマチ布片供給部と、
前記サポート布片を供給するサポート布片供給部と、
前記マチ布片供給部から供給された前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片と前記サポート布片供給部から供給された前記サポート布片とを重ねて前記縫製部に案内する案内治具と、
を備えたことを特徴とする縫製装置。
【請求項7】
前記案内治具は、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片が挿通される略J字状の第1案内空所を区画形成するマチ布片ガイド部を備え、
前記マチ布片ガイド部は、長尺本体と、該長尺本体の一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片とにより前記略J字状の第1案内空所を形成しており、前記長尺本体と前記短尺折り返し小片との間には前記サポート布片を挿通してガイドする第2案内空所としてのサポート布片ガイド部が形成されており、且つ前記サポート布片ガイド部の開放端縁は閉塞板により閉塞されていることを特徴とする請求項6に記載の縫製装置。
【請求項8】
前記案内治具は、
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片が挿通される略J字状の第1案内空所を区画形成するマチ布片ガイド部と、前記サポート布片が挿通される第2案内空所を区画形成するサポート布片ガイド部と、を備え、
前記マチ布片ガイド部は、長尺本体と、該長尺本体の一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片とにより前記略J字状の第1案内空所を形成しており、
前記サポート布片ガイド部は、前記短尺折り返し小片の前記長尺本体とは反対側の外面に前記第2案内空所を区画形成することを特徴とする請求項6に記載の縫製装置。
【請求項9】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して、第1の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第1表側マチ布片、又は第1裏側マチ布片と、
前記第1表側マチ布片及び前記サポート布片が多重縫合された前記表側生地の内面、又は前記裏側第1マチ布片及び前記サポート布片が多重縫合された前記裏側生地の内面に対して、前記第1の縫製方向と交差する第2の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第2表側マチ布片、又は第2裏側マチ布片と、
を有し、
前記縫製部よりも前記第2の縫製方向の上流側には、前記第2表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は第2裏側マチ布片と前記サポート布片の組を前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して多重縫合しているときに、前記第1表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は第1裏側マチ布片と前記サポート布片の組の一部分を、前記第2の縫製方向に沿って切断する切断部をさらに備えたことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の縫製装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
なお、マチ布片5は、表側生地2Aに縫い付けられる表側マチ布片5Aと、裏側生地2Bに縫い付けられる裏側マチ布片5Bとを備えている。同様に、サポート布片6は、表側生地2Aに対して表側マチ布片5Aとともに縫い付けられる表側サポート布片6Aと、裏側生地2Bに対して裏側マチ布片5Bとともに縫い付けられる裏側サポート布片6Bとを備えている。
従って、マチ布片5は、表側横マチ布片5AW、表側縦マチ布片5AV、裏側横マチ布片5BW、及び裏側縦マチ布片5BVを備えている。同様に、サポート布片6は、表側横サポート布片6AW、表側縦サポート布片6AV、裏側横サポート布片6BW、及び裏側縦サポート布片6BVを備えている。
便宜上、以下の説明において、横マチ布片5Wは表側横マチ布片5AWと裏側横マチ布片5BWとを含むものとし、縦マチ布片5Vは表側縦マチ布片5AVと裏側縦マチ布片5BVとを含むものとする。同様に、横サポート布片6Wは表側横サポート布片6AWと裏側横サポート布片6BWとを含むものとし、縦サポート布片6Vは表側縦サポート布片6AVと裏側縦サポート布片6BVとを含むものとする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
<切断機構130によるマチ布片5、及びサポート布片6の組の切断について>
次に、切断機構130(切断部131)によるマチ布片5、及びサポート布片6の組の切断について説明する。
図11(a)乃至
図11(e)は横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組の一部分を切断機構130によって切断する工程の説明図である。
本実施形態では、縦マチ
布片5V、及び縦サポート布片6Vの組の側生地2への縫い付け時において、先に側生地2へ縫い付けられた横マチ
布片5W、及び横サポート布片6Wの組の一部分を切断する場合について説明をする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
なお、横マチ
布片5W、及び横サポート布片6Wの組の側生地2への縫い付け時において、先に側生地2へ縫い付けられた縦マチ
布片5V、及び縦サポート布片6Vの組の一部分を切断する手順は、
図11で説明した手順と同様であることから、詳細な説明は省略する。
以上の説明から判るように、本実施形態の縫製装置100によれば、縦マチ布片5V、及び縦サポート布片6Vの組を側生地2へ多重縫合する工程と、横マチ布片5W及び横サポート布片6Wの組を部分的に切断する工程とを、一つの工程にまとめることができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
<第七の実施態様>
本態様に係る縫製装置100において、案内治具110は、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bが挿通される略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113を備え、マチ布片ガイド部113は、長尺本体113aと、該長尺本体113aの一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片113bとにより略J字状の第1案内空所113を形成しており、長尺本体113aと短尺折り返し小片113bとの間には表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挿通してガイドする第2案内空所ES2としてのサポート布片ガイド部113cが形成されており、且つサポート布片ガイド部113cの開放端縁は閉塞板114により閉塞されていることを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、一側縁が折り返された表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bの間に表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挟んだ状態で、多重縫合を行うことができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
<第八の実施態様>
本態様に係る縫製装置100において、案内治具110Bは、表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bが挿通される略J字状の第1案内空所ES1を区画形成するマチ布片ガイド部113と、表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bが挿通される第2案内空所ES2を区画形成するサポート布片ガイド部115と、を備え、マチ布片ガイド部113は、長尺本体113aと、該長尺本体113aの一端を湾曲して折り返して形成した短尺折り返し小片113bとにより略J字状の第1案内空所ES1を形成しており、サポート布片ガイド部115は、短尺折り返し小片113bの長尺本体113aとは反対側の外面SFに第2案内空所ESを区画形成することを特徴とする。
本態様に係る縫製装置100によれば、一側縁が折り返された表側マチ布片5A、又は裏側マチ布片5Bと表側生地2Aの内面、又は裏側生地2Bの内面との間に表側サポート布片6A、又は裏側サポート布片6Bを挟んだ状態で、多重縫合を行うことができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
1,1’…布団,2…側生地,2A…表側生地,2B…裏側生地,2a…周縁部,2b…縫い目穴,3…袋体,4…マチ布,5…マチ布片,5V…縦マチ布片,5W…横マチ布片,5A…表側マチ布片,5B…裏側マチ布片,5AW…表側横マチ布片(第1表側マチ布片),5BW…裏側横マチ布片(第1裏側マチ布片),5AV…表側縦マチ布片(第2表側マチ布片),5BV…裏側縦マチ布片(第2裏側マチ布片),51A…表側マチ布片本体,52A…第1の表側屈曲片,53A…第2の表側屈曲片,54A…表側屈曲部,55A…第1の表側屈曲片の先端,56A…表側マチ布片の他の一側端部,51B…裏側マチ布片本体,52B…第1の裏側屈曲片,53B…第2の裏側屈曲片,54B…裏側屈曲部,55B…第1の裏側屈曲片の先端,56B…他の一側端部,6…サポート布片,6V…縦サポート布片,6W…横サポート布片,6A…表側サポート布片,6B…裏側サポート布片,6AW…表側横サポート布片(第1表側サポート布片),6BW…裏側横サポート布片(第1裏側サポート布片),6AV…表側縦サポート布片(第2表側サポート布片),6BV…裏側縦サポート布片(第2裏側サポート布片),7…糸,7U…上糸,7D…下糸,8…詰め物,100…縫製装置,101…載置台,102…移動縫製ユニット,103…糸コマ,104…ボビン,105…釜,105a…剣先,106…マチ布片供給リール,107…サポート布片供給リール,110,110’…案内治具,111,111’…治具本体,112…フック部,112a…下側部分,112b…立ち上がり部分,112c…上側部分,113…マチ布片ガイド部,113a…長尺本体,113b…短尺折り返し小片,113c…サポート布片ガイド部,113d…サポート布片ガイド部の開放端縁,114…閉塞板,115…サポート布片ガイド部,120…縫製部,121…フレーム,121a…フレーム本体,121b…連結シャフト,122…押さえ金,123…縫い針,130…切断機構,131…切断部,131a…切断刃,131b…切断刃ホルダ,132…アクチュエータ,132a…アクチュエータ本体,132b…プランジャー,133…取り付け片,134…ステー,SP…空間,ES…案内空所,ES1…第1案内空所,ES2…第2案内空所
【手続補正書】
【提出日】2021-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記表側マチ布片、又は前記裏側マチ布片は、
前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して、第1の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第1表側マチ布片、又は第1裏側マチ布片と、
前記第1表側マチ布片及び前記サポート布片が多重縫合された前記表側生地の内面、又は前記第1裏側マチ布片及び前記サポート布片が多重縫合された前記裏側生地の内面に対して、前記第1の縫製方向と交差する第2の縫製方向に沿って前記サポート布片とともに多重縫合される第2表側マチ布片、又は第2裏側マチ布片と、
を有し、
前記縫製部よりも前記第2の縫製方向の上流側には、前記第2表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は前記第2裏側マチ布片と前記サポート布片の組を前記表側生地の内面、又は前記裏側生地の内面に対して多重縫合しているときに、前記第1表側マチ布片と前記サポート布片の組、又は前記第1裏側マチ布片と前記サポート布片の組の一部分を、前記第2の縫製方向に沿って切断する切断部をさらに備えたことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に記載の縫製装置。