(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011226
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】需要予測システム及び需要予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20220107BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112219
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】児島 勝典
(72)【発明者】
【氏名】印藤 佑樹
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】対象品の需要の予測値をより精度良く算出することができる需要予測システム及び需要予測プログラムを提供する。
【解決手段】需要予測システム10は、記憶部12、及び予測演算部13を備えている。記憶部12は、対象品の複数の出荷量データとして、複数の参照データと予測対象データとを記憶している。予測演算部13は、データ収集期間内の一部の期間である設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較する。さらに、予測演算部13は、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択する。そして、予測演算部13は、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、対象品の需要の予測値を算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ対象品の出荷量に関するデータである複数の出荷量データを記憶する記憶部、及び
前記複数の出荷量データに基づいて、前記対象品の需要の予測値を算出する予測演算部
を備え、
前記記憶部は、
前記複数の出荷量データとして、
周期的に繰り返すデータ収集期間をそれぞれ経過して得た複数の参照データと、
前記複数の参照データよりも後に得た予測対象データと
を記憶し、
前記予測演算部は、
前記データ収集期間内の一部の期間である設定期間について、前記複数の参照データと前記予測対象データとを比較し、
出荷量の変化傾向が前記予測対象データに最も近い前記参照データを選択データとして選択し、
前記選択データの前記設定期間以降の部分に基づいて、前記予測値を算出する
需要予測システム。
【請求項2】
前記各出荷量データは、前記データ収集期間内における前記対象品の出荷量の累積データである
請求項1に記載の需要予測システム。
【請求項3】
前記予測演算部により算出された前記予測値に安全係数を乗じることによって、推奨手配量を算出する手配量演算部をさらに備えている
請求項1又は請求項2に記載の需要予測システム。
【請求項4】
それぞれ対象品の出荷量に関するデータである複数の出荷量データを記憶する記憶処理、及び
前記複数の出荷量データに基づいて、前記対象品の需要の予測値を算出する予測演算処理
をコンピュータに実行させる需要予測プログラムであって、
前記記憶処理では、
前記複数の出荷量データとして、
周期的に繰り返すデータ収集期間をそれぞれ経過して得た複数の参照データと、
前記複数の参照データよりも後に得た予測対象データと
を記憶する処理を前記コンピュータに実行させ、
前記予測演算処理では、
前記データ収集期間内の一部の期間である設定期間について、前記複数の参照データと前記予測対象データとを比較する処理、
出荷量の変化傾向が前記予測対象データに最も近い前記参照データを選択データとして選択する処理、及び
前記選択データの前記設定期間以降の部分に基づいて、前記予測値を算出する処理
を前記コンピュータに実行させる需要予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象品の需要を予測する需要予測システム及び需要予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の売上げ予測装置では、売上げ予測対象商品の現在の売上げ実績と、売上げ予測対象商品とは異なる複数の商品の現在の売上げ実績とが比較される。そして、近似傾向商品の過去の売上げ実績データが抽出される。近似傾向商品は、売上げ予測対象商品の現在の売上げ実績と同一もしくは近似の売上げ実績を有している商品である。さらに、近似傾向商品の過去の売上げ実績データに基づいて、売上げ予測対象商品の今後の売上げ予測データが作成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の売上げ予測装置では、売上げ予測対象商品の今後の売上げを予測するために、売上げ予測対象商品とは異なる商品の過去の売上げ実績データが抽出される。このため、売上げ予測対象商品の売上げ予測データが精度良く算出されないおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために為されたものであり、対象品の需要の予測値をより精度良く算出することができる需要予測システム及び需要予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る需要予測システムは、それぞれ対象品の出荷量に関するデータである複数の出荷量データを記憶する記憶部、及び複数の出荷量データに基づいて、対象品の需要の予測値を算出する予測演算部を備え、記憶部は、複数の出荷量データとして、周期的に繰り返すデータ収集期間をそれぞれ経過して得た複数の参照データと、複数の参照データよりも後に得た予測対象データとを記憶し、予測演算部は、データ収集期間内の一部の期間である設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較し、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択し、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、予測値を算出する。
本開示に係る需要予測プログラムは、それぞれ対象品の出荷量に関するデータである複数の出荷量データを記憶する記憶処理、及び複数の出荷量データに基づいて、対象品の需要の予測値を算出する予測演算処理をコンピュータに実行させる需要予測プログラムであって、記憶処理では、複数の出荷量データとして、周期的に繰り返すデータ収集期間をそれぞれ経過して得た複数の参照データと、複数の参照データよりも後に得た予測対象データとを記憶する処理をコンピュータに実行させ、予測演算処理では、データ収集期間内の一部の期間である設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較する処理、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択する処理、及び選択データの設定期間以降の部分に基づいて、予測値を算出する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る需要予測システム及び需要予測プログラムによれば、対象品の需要の予測値をより精度良く算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る需要予測システムを示すブロック図である。
【
図2】
図1の記憶部により記憶された複数の出荷量データの一例を示すグラフである。
【
図3】
図1の需要予測システムが実行する需要予測演算ルーチンを示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1の需要予測システムの各機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。
【
図5】実施の形態1の需要予測システムの各機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る需要予測システムを示すブロック図である。
図1に示したように、需要予測システム10は、機能ブロックとして、入出力部11、記憶部12、予測演算部13、及び手配量演算部14を備えている。
【0010】
入出力部11には、入力装置20からの情報が入力される。入力装置20は、利用者が対象品の出荷量に関する情報、対象品の需要の予測要求等を入力するための装置である。入出力部11は、対象品の複数の出荷量データを記憶部12へ出力する。複数の出荷量データは、それぞれ対象品の出荷量に関するデータである。
【0011】
入出力部11は、対象品の需要の予測要求を予測演算部13へ出力する。入出力部11には、対象品の需要の予測結果として、対象品の推奨手配量の算出結果が手配量演算部14から入力される。入出力部11は、対象品の推奨手配量に関するデータを表示装置30へ出力する。表示装置30は、対象品の推奨手配量を表示し、これにより、利用者は推奨手配量を確認することができる。
【0012】
記憶部12は、複数の出荷量データを記憶する。記憶部12は、複数の出荷量データとして、複数の参照データと、予測対象データとを記憶する。複数の参照データは、データ収集期間をそれぞれ経過して得られる出荷量データである。データ収集期間は、周期的に繰り返す期間である。予測対象データは、複数の参照データよりも後に得られる出荷量データである。つまり、予測対象データは、最新データである。記憶部12は、入出力部11から対象品の出荷量に関するデータが送信される毎に、送信されたデータを予測対象データに組み入れる。
【0013】
予測演算部13は、複数の出荷量データに基づいて、対象品の需要の予測値を算出する。より具体的に述べると、予測演算部13は、設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較する。そして、予測演算部13は、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択する。設定期間は、データ収集期間内の一部の期間である。予測演算部13は、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、予測値を算出する。
【0014】
手配量演算部14は、予測演算部13により算出された予測値に安全係数を乗じることによって、対象品の推奨手配量を算出する。安全係数は、通常、1よりも大きい値に設定される。そして、安全係数は、対象品の円滑な供給が望まれるほど、大きい値に設定される。また、安全係数は、対象品の在庫の発生が望まれないほど、小さい値に設定される。また、安全係数は、1よりも小さい値に設定されてもよい。この場合、在庫の発生をより確実に抑制することができる。
【0015】
手配量演算部14は、対象品の推奨手配量を算出すると、対象品の推奨手配量についてのデータを入出力部11へ送信する。
【0016】
図2は、
図1の記憶部12により記憶された複数の出荷量データの一例を示すグラフである。
図2において、複数の参照データは、曲線L1、曲線L2、曲線L3、及び曲線L4により表されている。予測対象データは、曲線L5により表されている。
【0017】
複数の参照データは、それぞれ異なる年の4月から翌年3月までの対象品の累積出荷量の変化を示すデータである。この例におけるデータ収集期間T1は、各年4月から翌年3月までの1年間である。
【0018】
予測対象データは、対象品についての今年度4月から現在までの累積出荷量の変化を示すデータである。予測対象データは、対象品の需要の予測値を算出する対象となる出荷量データである。
【0019】
利用者が入力装置20を用いて対象品の今後の需要の予測要求を行うと、需要の予測要求が入力装置20から入出力部11へ送信される。これにより、入出力部11は、予測演算部13に対象品の需要の予測要求を通知する。
【0020】
予測演算部13は、毎年の同時期、即ち、設定期間T2について、複数の参照データと、予測対象データとを比較する。この例では、設定期間T2は、2ヶ月前から現在までの2ヶ月間に設定されている。
【0021】
例えば、予測演算部13は、設定期間T2における曲線L1からL5までを、最小二乗法を用いてそれぞれ一次の近似関数に近似し、各近似関数の傾きを比較する。そして、予測演算部13は、曲線L5の近似関数の傾きと最も近い傾きを有する近似関数を抽出する。予測演算部13は、抽出された近似関数に対応している参照データを選択データとして選択する。即ち、実施の形態1において、出荷量の変化傾向とは、設定期間における出荷量の変化率のことである。
【0022】
図2の場合、予測演算部13は、設定期間T2において、曲線L3の変化傾向が曲線L5の変化傾向に最も近いと判断し、曲線L3に対応している参照データを選択データとして選択する。
【0023】
設定期間T2における出荷量データの変化傾向が互いに類似している参照データと予測対象データとは、設定期間以降における出荷量データの変化傾向も互いに類似する可能性が高い。そこで、予測演算部13は、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、対象品の需要の予測値を算出する。
【0024】
図2に示したように、現在から2ヶ月後までの2ヶ月間を、対象品の需要予測期間T3とすると、予測演算部13は、需要予測期間T3における曲線L3の変化を、予測対象データの今後の変化と見做す。需要予測期間T3中の曲線L3は、選択データの設定期間T2以降の部分である。従って、需要予測期間T3における曲線L3の増加分E1が、対象品の需要の予測値である。曲線L5aは、選択データの設定期間T2以降の部分に対応しており、予測対象データの設定期間T2以降の部分、即ち、予測される累積出荷量に相当する。
【0025】
図3は、
図1の需要予測システム10が実行する需要予測演算ルーチンを示すフローチャートである。
図3のルーチンは、例えば、需要予測システム10が起動されることにより開始され、一定時間が経過する毎に実行されるようになっている。
【0026】
予測演算部13は、
図3のルーチンを開始すると、まず、ステップS110において、入出力部11から対象品の需要の予測要求を取得したか否かを判定する。
【0027】
予測要求が取得されない場合、予測演算部13は、本ルーチンを一旦終了する。即ち、この場合、対象品の需要の予測値は算出されない。
【0028】
一方、予測要求が取得された場合、予測演算部13は、ステップS120において、記憶部12から、対象品についての複数の参照データ及び予測対象データを取得する。このとき、最新の出荷量データが予測対象データとして取り扱われ、予測対象データよりも古い複数の出荷量データがそれぞれ参照データとして取り扱われる。
【0029】
次いで、予測演算部13は、ステップS130において、設定期間T2について、複数の参照データと予測対象データとを比較し、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択する。
【0030】
次いで、予測演算部13は、ステップS140において、選択データの設定期間T2以降の部分P1に基づいて、対象品の需要の予測値を算出する。
【0031】
次に、手配量演算部14は、ステップS150において、対象品の需要の予測値に安全係数を乗じることによって、推奨手配量を算出する。
【0032】
次いで、手配量演算部14は、ステップS160において、推奨手配量に関するデータを入出力部11へ送信する。
【0033】
次に、入出力部11は、ステップS170において、受信された推奨手配量に関するデータを表示装置30へ出力し、本ルーチンを一旦終了する。これにより、算出された推奨手配量が表示装置30に表示される。
【0034】
このように、実施の形態1の需要予測方法は、記憶ステップ及び予測演算ステップを含んでいる。記憶ステップは、複数の出荷量データを記憶するステップを含んでいる。さらに、記憶ステップは、複数の出荷量データとして、複数の参照データと予測対象データとを記憶するステップを含んでいる。
【0035】
予測演算ステップは、複数の出荷量データに基づいて、対象品の需要の予測値を算出するステップを含んでいる。さらに、予測演算ステップは、設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較し、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択するステップを含んでいる。加えて、予測演算ステップは、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、予測値を算出するステップを含んでいる。
【0036】
また、実施の形態1の需要予測プログラムは、上記の需要予測方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0037】
即ち、需要予測プログラムは、記憶処理及び予測演算処理をコンピュータに実行させるプログラムである。記憶処理は、複数の出荷量データを記憶する処理を含んでいる。さらに、記憶処理は、複数の出荷量データとして、複数の参照データと、予測対象データとを記憶する処理を含んでいる。
【0038】
予測演算処理は、複数の出荷量データに基づいて、対象品の需要の予測値を算出する処理を含んでいる。さらに、予測演算処理は、設定期間について、複数の参照データと予測対象データとを比較し、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データを選択データとして選択する処理を含んでいる。加えて、予測演算処理は、選択データの設定期間以降の部分に基づいて、予測値を算出する処理を含んでいる。
【0039】
上記のように、実施の形態1の需要予測システム10及び需要予測プログラムによれば、過去の各設定期間における対象品の出荷量の変化傾向と、現在の設定期間における対象品の出荷量の変化傾向とが比較される。そして、出荷量の変化傾向が予測対象データに最も近い参照データが選択される。このため、対象品の需要の予測値をより精度良く算出することができる。
【0040】
また、利用者が利用者自身の経験に基づいて対象品の需要を予測し、手配量を決定する方法と比べても、手配量の精度をより高くすることができるため、欠品又は在庫の発生をより抑制することができる。
【0041】
また、複数の出荷量データは、データ収集期間内における対象品の出荷量の累積データである。従って、予測演算部13は、設定期間において、複数の右肩上がりの曲線を比較することになる。このため、予測演算部13は、設定期間中の曲線を、より精度良く一次関数に近似することができ、その結果、選択データをより精度よく選択することができる。
【0042】
また、手配量演算部14は、予測演算部13により算出された予測値に安全係数を乗じることによって、推奨手配量を算出する。このため、欠品又は在庫の発生をより抑制することができる。
【0043】
また、参照データが多いほど予測対象データに対する類似度の高い参照データを選択することができる。このため、需要予測システム10の運用を継続するほど需要の予測値の精度が向上する。
【0044】
なお、対象品は、商品であってもよいし、商品の製造に用いられる原料、部品等であってもよい。また、対象品は、固体であってもよいし、液体であってもよい。さらに、対象品は、無形物、例えば、ダウンロード可能な電子データであってもよい。電子データは、例えば、電子書籍データ、音楽データ、ソフトウェア等である。つまり、対象品の種類及び形態は特に限定されない。
【0045】
また、実施の形態1において、設定期間の長さは2ヶ月間に設定されていたが、これに限ることなく、設定期間の長さは、データ収集期間内において任意に定められてよい。また、需要予測期間の長さは2ヶ月間に設定されていたが、これに限ることなく、需要予測期間の長さは、データ収集期間内において任意に定められてよい。
【0046】
また、実施の形態1において、設定期間と需要予測期間とは時間的に連続していたが、これに限ることなく、設定期間と需要予測期間とは、同じデータ収集期間内であれば、連続していなくてもよい。
【0047】
また、実施の形態1において、設定期間は、現在から過去2ヶ月までの期間であったが、設定期間は、必ずしも現在を含まなくてもよく、データ収集期間内において、現在よりも過去の任意の期間に定められてもよい。つまり、設定期間の終点は、必ずしも予測対象データの終点でなくてもよい。
【0048】
また、実施の形態1において、データ収集期間は各年4月から翌年の3月までの1年間に設定されていたが、これに限ることなく、データ収集期間は、1週間、1ヶ月等であってもよい。データ収集期間が1週間である場合、データ収集期間の始点は、例えば、日曜日であってもよいし、水曜日であってもよい。データ収集期間が1ヶ月である場合、データ収集期間の始点は、例えば、1日であってもよいし、16日であってもよい。
【0049】
また、データ収集期間は、断続的に繰り返す期間であってもよい。具体的には、データ収集期間は、例えば、毎年12月のみ、毎年5月から9月までの期間のみ、毎月1日から15日までの期間のみ等であってもよい。
【0050】
また、実施の形態1において、設定期間の終点が選択データの終点である場合、選択データの設定期間以降の部分は、選択データの次に得られた参照データの始点以降の部分としてもよい。例えば、データ収集期間が
図2と同様の場合において、設定期間が2月から3月までの2ヶ月間に設定された場合、設定期間以降の部分は、選択データの翌年の参照データの4月以降の部分とすればよい。
【0051】
また、実施の形態1では、データ収集期間T1は、4月から翌年3月までの期間と予め定められている。そのため、例えば、設定期間が3月から4月までのように、データ収集期間の区切りを跨いで設定された場合、需要予測システム10は、需要の予測値の算出が難しい。そこで、需要予測システムは、利用者により設定された設定期間の始点及び長さに基づいて、データ収集期間の始点を変更してもよい。
【0052】
例えば、設定期間が3月から4月までに設定された場合、需要予測システムは、データ収集期間を10月から翌年9月までの期間に変更してもよい。これにより、設定期間は、データ収集期間内に収まるので、需要の予測値をより容易に算出することができる。なお、データ収集期間の始点を変更する際には、設定期間の始点及び長さに加えて、需要予測期間の始点及び長さが考慮されてもよい。
【0053】
また、実施の形態1において、複数の参照データと予測対象データとの比較の方法は、設定期間中の曲線L5の形状に最も近い形状の曲線を曲線L1からL4までの中から選択する方法でもよい。この場合、AI(Artificial Intelligence)を用いて、比較を行ってもよい。
【0054】
また、複数の参照データと、予測対象データとは、それぞれのデータが比較される前に、それぞれの移動平均が計算され、それぞれの移動平均の計算後のデータ同士が比較されてもよい。これによれば、複数の出荷量データの変化が、移動平均により平滑化される。従って、出荷量データの変化の頻度が多い場合であっても、選択データを選択し易くなる。
【0055】
また、出荷量の変化傾向は、設定期間における出荷量の変化率に限定されず、例えば、設定期間における累積出荷量であってもよい。
【0056】
また、対象品の出荷量は、個数に限定されず、重量、体積等であってもよい。
【0057】
また、算出された予測値及び推奨手配量に関するデータは、記憶部12によって記憶されてもよい。
【0058】
また、実施の形態1において、対象品の推奨手配量のみが、入出力部11へ出力されていたが、需要の予測値も併せて入出力部11へ出力されてもよい。
【0059】
また、推奨手配量の算出は省略されてもよい。即ち、推奨手配量の算出を行わず、需要の予測値のみが入出力部11へ出力されてもよい。
【0060】
また、実施の形態1において、対象品の需要の予測要求は、利用者が入力装置20を操作することにより発生させていたが、これに限ることなく、出荷場所での対象品の在庫量が規定量以下となったときに発生させてもよい。出荷場所とは、例えば、倉庫、工場等である。
【0061】
また、実施の形態1において、対象品は1つの対象品のみであったが、これに限ることはなく、需要予測システムは、異なる複数の対象品についての複数の出荷量データをそれぞれ記憶してもよい。そして、需要予測システムは、異なる複数の対象品についての複数の出荷量データに基づいて、異なる複数の対象品の需要の予測値をそれぞれ算出してもよい。
【0062】
また、実施の形態1の需要予測システム10の機能は、処理回路によって実現される。
図4は、実施の形態1の需要予測システム10の機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。第1の例の処理回路100は、専用のハードウェアである。
【0063】
また、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0064】
また、
図5は、実施の形態1の需要予測システム10の機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。第2の例の処理回路200は、プロセッサ201及びメモリ202を備えている。
【0065】
処理回路200では、需要予測システム10の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ202に格納される。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各機能を実現する。
【0066】
メモリ202に格納されたプログラムは、上述した各部の手順又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ202とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリ202に該当する。
【0067】
なお、上述した需要予測システム10の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0068】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、上述した需要予測システム10の機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 需要予測システム、12 記憶部、13 予測演算部、14 手配量演算部、T1 データ収集期間、T2 設定期間、P1 設定期間以降の部分。