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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112266
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】収納棚
(51)【国際特許分類】
   A47B 46/00 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A47B46/00 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008030
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】中原 みまえ
(72)【発明者】
【氏名】喜多 裕美
(72)【発明者】
【氏名】岩山 遼太郎
(57)【要約】
【課題】人のよじ登りを防止することが可能な収納棚を提供する。
【解決手段】収納棚1では、一対の側板21の間に規定される収納空間SSは、人のよじ登りを防止するための基準高さ位置PHを境界として、下方空間SS1と上方空間SS2とに区分される。そして、一対の側板21には、下方空間SS1において下方棚板4が取付けられ、上方空間SS2において上方棚板5が取付けられる。この際、下方棚板4は、下方棚板4を足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りを防止することが可能となるように、奥行方向HD1において上方棚板5の開放側の端部よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した退避状態で一対の側板21に取付けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するための収納空間を挟んで互いに対向するとともに、対向方向と直交する奥行方向に前記収納空間を開放する一対の側板を含む棚本体と、
前記収納空間において前記一対の側板に掛渡される部材と、を備え、
前記収納空間は、前記棚本体の下端からの高さ位置について、前記部材を足掛かり又は手掛かりとした人のよじ登りを防止するための基準高さ位置を境界として、下方側の下方空間と上方側の上方空間とに区分され、
前記部材は、前記下方空間において前記一対の側板に掛渡されるように取付けられる下方部材と、前記上方空間において前記一対の側板に掛渡されるように取付けられる上方部材と、を含み、
前記下方部材は、前記下方部材を足掛かりとし前記上方部材を手掛かりとした人のよじ登りを防止することが可能となるように、前記奥行方向において前記上方部材の開放側の端部よりも所定の距離以上内側に退避した退避状態で前記一対の側板に取付けられる、収納棚。
【請求項2】
前記下方部材は、前記奥行方向において前記上方部材の開放側の端部から前記所定の距離だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有する通常状態と、前記退避状態との間での状態変化が可能となるように、前記一対の側板に取付けられる、請求項1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記下方部材は、前記一対の側板に対して、前記奥行方向の一方側に取付けられる第1下方板と、前記一方側とは反対の他方側に取付けられる第2下方板と、を有し、
前記第1下方板と前記第2下方板とは、前記対向方向に延びる別個独立の各軸回りに回動することにより、前記通常状態と前記退避状態との間で状態変化するように構成されている、請求項2に記載の収納棚。
【請求項4】
前記通常状態においては、前記第1下方板及び前記第2下方板は、前記第1下方板の第1面と前記第2下方板の第1面とが上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で前記一対の側板に取付けられ、
前記退避状態においては、前記第1下方板は、前記通常水平姿勢から軸回りに180度回動することにより、前記第1面とは反対の第2面が上に向いた退避水平姿勢で前記一対の側板に取付けられる、請求項3に記載の収納棚。
【請求項5】
前記第2下方板は、
板本体と、当該板本体から突出する突出部とを有し、
前記退避状態においては、前記突出部が下方側に位置し、前記板本体と前記突出部との間で収納する物品を支持する支持部を形成するよう、前記奥行方向に対して交差する方向に延びる退避交差姿勢で前記一対の側板に取付けられる、請求項3又は4に記載の収納棚。
【請求項6】
前記第1下方板と前記第2下方板とは、前記退避状態において互いに係合している、請求項3~5のいずれか1項に記載の収納棚。
【請求項7】
前記上方部材は、前記奥行方向の端部が先細状に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するための収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の室内空間等に設置される家具として、物品を収納するための収納棚が知られている。この種の収納棚が、例えば特許文献1,2に開示されている。収納棚は、対向配置された一対の側板と、当該一対の側板に取付けられる棚板とを備えている。
【0003】
上記の収納棚では、一対の側板の間に物品を収納するための収納空間が規定され、当該収納空間において上下方向に間隔をあけて一対の側板に取付けられた複数の棚板上に物品を載置できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5948802号公報
【特許文献2】特開2014-8382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1,2に開示される収納棚では、複数の棚板を足掛かり又は手掛かりとして人がよじ登る虞がある。特に、子供(さらに詳しくは、2歳~4歳の子供)が収納棚をよじ登れば、当該収納棚から転落する事故につながる虞があるので、収納棚のよじ登りを防止するための対策が必要である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、人のよじ登りを防止することが可能な収納棚を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る収納棚は、物品を収納するための収納空間を挟んで互いに対向するとともに、対向方向と直交する奥行方向に前記収納空間を開放する一対の側板を含む棚本体と、前記収納空間において前記一対の側板に掛渡される部材と、を備える。前記収納空間は、前記棚本体の下端からの高さ位置について、前記部材を足掛かり又は手掛かりとした人のよじ登りを防止するための基準高さ位置を境界として、下方側の下方空間と上方側の上方空間とに区分される。前記部材は、前記下方空間において前記一対の側板に掛渡されるように取付けられる下方部材と、前記上方空間において前記一対の側板に掛渡されるように取付けられる上方部材と、を含み、前記下方部材は、前記下方部材を足掛かりとし前記上方部材を手掛かりとした人のよじ登りを防止することが可能となるように、前記奥行方向において前記上方部材の開放側の端部よりも所定の距離以上内側に退避した退避状態で前記一対の側板に取付けられる。
【0008】
この収納棚によれば、一対の側板の間に規定される収納空間は、人のよじ登りを防止するための基準高さ位置を境界として、下方空間と上方空間とに区分される。そして、一対の側板には、下方空間において下方部材が取付けられ、上方空間において上方部材が取付けられる。この際、下方部材は、奥行方向において上方部材の開放側の端部よりも所定の距離以上内側に退避した退避状態で一対の側板に取付けられる。このように下方部材が退避状態の場合、下方部材を足掛かりとし上方部材を手掛かりとして人がよじ登ろうとしたときには、人の姿勢は背中側が下を向いた傾斜姿勢となる。このような傾斜姿勢では、手や腕に相当な力がないとよじ登ることができない。このため、手や腕の力が小さい子供が、下方部材を足掛かりとし上方部材を手掛かりとしてよじ登ることを防止することが可能である。
【0009】
上記の収納棚において、前記下方部材は、前記奥行方向において前記上方部材の開放側の端部から前記所定の距離だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有する通常状態と、前記退避状態との間での状態変化が可能となるように、前記一対の側板に取付けられる。
【0010】
この態様では、下方部材は、通常状態と退避状態との間での状態変化が可能となるように一対の側板に取付けられる。これにより、退避状態において人のよじ登りを防止することが可能であるとともに、よじ登りを防止する必要のない場合には物品の載置スペースの拡大が可能な通常状態とすることができる。
【0011】
上記の収納棚において、前記下方部材は、前記一対の側板に対して、前記奥行方向の一方側に取付けられる第1下方板と、前記一方側とは反対の他方側に取付けられる第2下方板と、を有し、前記第1下方板と前記第2下方板とは、前記対向方向に延びる別個独立の各軸回りに回動することにより、前記通常状態と前記退避状態との間で状態変化するように構成されている。
【0012】
この態様では、下方部材を構成する第1下方板及び第2下方板を回動させるという簡単な操作で、通常状態と退避状態との間で状態変化させることができる。
【0013】
上記の収納棚では、前記通常状態においては、前記第1下方板及び前記第2下方板は、前記第1下方板の第1面と前記第2下方板の第1面とが上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で前記一対の側板に取付けられ、前記退避状態においては、前記第1下方板は、前記通常水平姿勢から軸回りに180度回動することにより、前記第1面とは反対の第2面が上に向いた退避水平姿勢で前記一対の側板に取付けられる。
【0014】
この態様では、下方部材の通常状態においては、第1下方板と第2下方板とが、それぞれの第1面が上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で一対の側板に取付けられる。この場合、通常水平姿勢を取った第1及び第2下方板の各第1面上に物品を載置することができる。一方、下方部材の退避状態においては、第1下方板が退避水平姿勢で一対の側板に取付けられる。この場合、第1下方板を足掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、少なくとも退避水平姿勢を取った第1下方板には物品を載置することができる。
【0015】
上記の収納棚において、前記第2下方板は、板本体と、当該板本体から突出する突出部とを有し、前記退避状態においては、前記突出部が下方側に位置し、前記板本体と前記突出部との間で収納する物品を支持する支持部を形成するよう、前記奥行方向に対して交差する方向に延びる退避交差姿勢で前記一対の側板に取付けられる。
【0016】
この態様では、第2下方板は、退避交差姿勢を取った状態において当該第2下方板の突出部が下方側に位置し、板本体と突出部との間で物品を支持する支持部を形成するよう、一対の側板に取付けられる。これにより、第2下方板を足掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、突出部に下方側から支持されるように書籍などの物品を第2下方板に載置することができる。
【0017】
上記の収納棚において、前記第1下方板と前記第2下方板とは、前記退避状態において互いに係合している。
【0018】
この態様では、下方部材の退避状態においては、第1下方板と第2下方板とが互いに係合している。これにより、下方部材の退避状態を安定して維持することができる。
【0019】
上記の収納棚において、前記上方部材は、前記奥行方向の端部が先細状に形成されている。
【0020】
この態様では、上方部材の端部が先細状に形成されている。これにより、上方部材の端部を握って人がよじ登ろうとしたときに、力を入り難くすることができる。このため、人のよじ登りをより効果的に防止することが可能である。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、人のよじ登りを防止することが可能な収納棚を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る収納棚の構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る収納棚の下方棚板が通常状態の場合の断面図である。
図3】第1実施形態に係る収納棚の下方棚板が退避状態の場合の断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る収納棚の構成を示す図であって、下方棚板が通常状態の場合の断面図である。
図5】第2実施形態に係る収納棚の下方棚板が退避状態の場合の断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る収納棚の構成を示す図であって、下方棚板が通常状態の場合の断面図である。
図7】第3実施形態に係る収納棚の下方棚板が退避状態の場合の断面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る収納棚の構成を示す図であって、下方棚板が通常状態の場合の断面図である。
図9】第4実施形態に係る収納棚の下方棚板が退避状態の場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る収納棚について、図面に基づいて説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1図3を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る収納棚1について説明する。収納棚1は、住宅やマンション等の建築物の室内空間などにおいて床面100上に設置され、物品を収納するための棚である。収納棚1は、物品を収納するための棚として機能するとともに、室内空間を仕切るための間仕切りとしても機能する。収納棚1は、棚本体2と、棚板3とを備えている。
【0025】
棚本体2は、収納棚1の本体部分を構成する。棚本体2は、奥行方向HD1の一方側に開口する第1開口20Aと、奥行方向HD1の他方側に開口する第2開口20Bとを有する、奥行方向HD1の両側が開放した矩形箱状に形成される。具体的には、棚本体2は、一対の側板21と、天板22と、底板23とを含む。
【0026】
一対の側板21は、それぞれ、上下方向VD及びその上下方向VDと直交する奥行方向HD1に広がる面を有する矩形板状に形成された板状部材である。一対の側板21は、物品を収納するための収納空間SSを挟んで互いに対向するとともに、対向方向HD2と直交する奥行方向HD1に収納空間SSを開放する。天板22は、矩形板状に形成された板状部材であって、一対の側板21の上端同士を接続する。この天板22は、一対の側板21に掛渡される部材の一例となり得る。底板23は、矩形板状に形成された板状部材であって、一対の側板21の下端同士を接続する。
【0027】
棚本体2においては、一対の側板21、天板22及び底板23における奥行方向HD1の一方側の端縁によって第1開口20Aが規定され、奥行方向HD1の他方側の端縁によって第2開口20Bが規定される。棚本体2は、一対の側板21の間において、一対の側板21、天板22及び底板23で囲まれた空間を、物品を収納するための収納空間SSとして規定する。棚本体2は、底板23の下面が床面100に接した状態で当該床面100上に設置される。
【0028】
なお、棚本体2は、天板22及び底板23を含まずに、一対の側板21のみで構成されていてもよい。この場合、棚本体2は、一対の側板21の間に収納空間SSを規定するとともに、一対の側板21の下端面が床面100に接した状態で当該床面100上に設置される。
【0029】
棚本体2において一対の側板21の間に規定される収納空間SSは、棚本体2の下端からの高さ位置について、基準高さ位置PHを境界として、下方側の下方空間SS1と上方側の上方空間SS2とに区分される。基準高さ位置PHは、棚本体2の下端からの高さが、後記の棚板3を足掛かり又は手掛かりとした人のよじ登りを防止するための基準高さH1となる高さ位置である。基準高さH1は、例えば、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)において、足掛かりとなるおそれのある部分の高さとして規定されている「650mmを超える高さ」に設定される。
【0030】
また、棚本体2の下端から上端までの棚高さH2は、例えば、前記品確法において転落防止柵として機能する高さとして規定されている「1100mm」以上に設定される。
【0031】
棚板3は、棚本体2の収納空間SSにおいて一対の側板21に掛渡される部材の一例であって、矩形板状の板状部材である。棚板3は、棚本体2の収納空間SSにおいて一対の側板21に掛渡されるように取付けられる。棚板3は、下方空間SS1において一対の側板21に取付けられる下方棚板4(下方部材)と、上方空間SS2において一対の側板21に取付けられる上方棚板5(上方部材)とを含む。
【0032】
上方棚板5は、少なくとも上面が基準高さ位置PH以上の高さ位置に位置する棚板である。すなわち、上面が基準高さ位置PH上に位置する棚板、並びに、上面が基準高さ位置PHよりも上方に位置する棚板が、上方空間SS2において一対の側板21に取付けられる上方棚板5として扱われる。なお、上方空間SS2において複数の上方棚板5が一対の側板21に取付けられる場合、最も下方に配置される上方棚板5の少なくとも上面が基準高さ位置PH以上の高さ位置に位置する。上方棚板5は、厚み方向において互いに対向する第1面51と第2面52とを有する矩形板状の板状部材である。上方棚板5の第1面51(上面)は、幅方向の寸法が一対の側板21の対向方向HD2の離間距離と略同一であり、且つ、幅方向と直交する方向の寸法が一対の側板21の奥行方向HD1の寸法と略同一である。上方棚板5は、上方空間SS2において第1面51が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。一対の側板21に水平姿勢で取付けられた上方棚板5の上には、物品を載置することができる。このように上方棚板5の上に載置された状態において物品を上方空間SS2に収納することができる。
【0033】
上方棚板5は、奥行方向HD1の一端部53の端縁が棚本体2の第1開口20Aの開口端縁と同一平面上に位置するとともに、奥行方向HD1の他端部54の端縁が棚本体2の第2開口20Bの開口端縁と同一平面上に位置するように、一対の側板21に取付けられる。つまり、上方棚板5が一対の側板21に取付けられた状態において、上方棚板5の一端部53の端縁は一対の側板21の奥行方向HD1の一端縁と同一平面上に位置し、且つ、上方棚板5の他端部54の端縁は一対の側板21の奥行方向HD1の他端縁と同一平面上に位置している。
【0034】
上方棚板5の一対の側板21に対する取付け方法は、特に限定されるものではない。本実施形態では、上方棚板5は、その対向方向HD2の各端面が一対の側板21の内面にそれぞれ接した状態で、当該各端面のねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材61が螺合されることにより、一対の側板21に取付けられる。
【0035】
また、上方棚板5は、奥行方向HD1の一端部53及び他端部54がそれぞれ先細状に形成されている。具体的には、上方棚板5においては、一端部53及び他端部54は、それぞれ、第1面51から第2面52に向かうに従い奥行方向HD1の外側に延出するように傾斜している。すなわち、上方棚板5においては、一端部53及び他端部54の第1面51側が傾斜面となっている。なお、上方棚板5の一端部53及び他端部54において、少なくとも第1面51側が傾斜していればよく、第1面51及び第2面52の両面が傾斜していてもよい。このように、上方棚板5の一端部53及び他端部54が先細状に形成されることにより、上方棚板5の一端部53又は他端部54を握って人が収納棚1をよじ登ろうとしたときに、力を入り難くすることができる。このため、人のよじ登りをより効果的に防止することが可能である。なお、上方棚板5の一端部53及び他端部54は、先細状の先端が湾曲面となるように角面取り加工されていることが望ましい。これにより、棚本体2の第1開口20A及び第2開口20Bから露出する上方棚板5の一端部53及び他端部54によって人が怪我するのを抑制することができる。
【0036】
下方棚板4は、下方空間SS1において一対の側板21に取付けられる棚板である。本実施形態では、下方棚板4は、一対の側板21に対して、奥行方向HD1の一方側に取付けられる第1下方板41と、奥行方向HD1の一方側とは反対の他方側に取付けられる第2下方板42とを有している。
【0037】
第1下方板41は、厚み方向において互いに対向する第1面411と第2面412とを有する矩形板状の板状部材である。第1下方板41の第1面411は、幅方向の寸法が一対の側板21の対向方向HD2の離間距離と略同一である一方、幅方向と直交する方向の寸法は一対の側板21の奥行方向HD1の寸法よりも短い。第1下方板41は、下方空間SS1において、その幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。
【0038】
第2下方板42は、厚み方向において互いに対向する第1面4211と第2面4212とを有する矩形板状の板本体421と、板本体421の第2面4212から突出する突出部422と、を有している。板本体421の第1面4211は、幅方向の寸法が一対の側板21の対向方向HD2の離間距離と略同一である一方、幅方向と直交する方向の寸法は一対の側板21の奥行方向HD1の寸法よりも短い。下方棚板4においては、幅方向と直交する方向において、第2下方板42における板本体421の第1面4211の寸法と、第1下方板41の第1面411の寸法とを加算した加算値が、一対の側板21の奥行方向HD1の寸法と略同一となるように設定されている。突出部422は、板本体421の第2面4212において、板本体421における幅方向と直交する方向の一端部4213から突出している。第2下方板42は、下方空間SS1において、板本体421の幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。
【0039】
下方棚板4においては、第1下方板41と第2下方板42とが、図2に示される通常状態と図3に示される退避状態との間での状態変化が可能となるように、一対の側板21に取付けられる。第1下方板41は、対向方向HD2に延びる第1回動軸410回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。第2下方板42は、第1回動軸410とは別個独立に対向方向HD2に延びる第2回動軸420回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。つまり、下方棚板4を構成する第1下方板41及び第2下方板42を回動させるという簡単な操作で、通常状態と退避状態との間で状態変化させることができる。
【0040】
図2に示されるように、通常状態では、第1下方板41は、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53から所定の基準距離D1だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有するように、一対の側板21に取付けられる。この場合、第1下方板41は、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避していない状態である。具体的には、第1下方板41は、幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、幅方向と直交する方向(すなわち対向方向HD2と直交する方向)の一端部413の端縁が上方棚板5の一端部53の端縁と同一平面上に位置する一方、一端部413とは反対の他端部414が一端部413よりも奥行方向HD1の内側に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第1下方板41は、下方空間SS1において、第1面411が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第1下方板41は、一端部413が一対の側板21の内面から突設された第1支持突起81に第2面412側から支持されるとともに、他端部414の対向方向HD2の端面のねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材71が螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0041】
第2下方板42は、通常状態では、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54から所定の基準距離D1だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有するように、一対の側板21に取付けられる。この場合、第2下方板42は、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避していない状態である。具体的には、第2下方板42は、板本体421の幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、突出部422が設けられた板本体421の一端部4213が第1下方板41の他端部414の端面に当接する一方、一端部4213とは反対の他端部4214の端縁が上方棚板5の他端部54の端縁と同一平面上に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第2下方板42は、下方空間SS1において、板本体421の第1面4211が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第2下方板42が通常水平姿勢を取った状態では、突出部422は、板本体421の一端部4213の第2面4212から下方側に突出している。第2下方板42は、板本体421の対向方向HD2の端面において、奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第1ねじ部材72Aが螺合されるとともに、他端部4214に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第2ねじ部材72Bが螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0042】
上記の通り、通常状態においては、第1下方板41と第2下方板42とが、それぞれの第1面411,4211が上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。一対の側板21に通常水平姿勢で取付けられた第1下方板41の第1面411、並びに第2下方板42の第1面4211には、物品を載置することができる。このように第1下方板41及び第2下方板42の上に載置された状態において物品を下方空間SS1に収納することができる。
【0043】
一方、図3に示されるように、退避状態では、第1下方板41は、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。また、第2下方板42は、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。なお、一対の側板21に対して複数の上方棚板5が取付けられており、各上方棚板5の一端部53及び他端部54の位置が奥行方向HD1において異なっている場合を想定する。この場合、第1下方板41は、最も内側の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で一対の側板21に取付けられ、第2下方板42は、最も内側の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で一対の側板21に取付けられる。前記基準距離D1は、下方棚板4を構成する第1下方板41及び第2下方板42を足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りを防止することが可能な距離であって、例えば「100mm」に設定される。
【0044】
下方棚板4を構成する第1下方板41及び第2下方板42が退避状態の場合、第1下方板41及び第2下方板42を足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとして人がよじ登ろうとしたときには、人の姿勢は背中側が下を向いた傾斜姿勢となる。このような傾斜姿勢では、手や腕に相当な力がないとよじ登ることができない。このため、手や腕の力が小さい子供(2歳~4歳の子供)が、下方棚板4を足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとしてよじ登ることを防止することが可能である。
【0045】
本実施形態では、退避状態においては、第1下方板41は、退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避水平姿勢は、通常水平姿勢から第1回動軸410を中心に時計回りに180度回動して、第1面411が下に向くとともに第2面412が上に向いた姿勢である。この際、第1下方板41の他端部414における対向方向HD2の端面に設けられたねじ孔に螺合されるねじ部材71を、第1回動軸410とする。
【0046】
退避水平姿勢を取った第1下方板41では、他端部414におけるねじ部材71による螺合が維持されつつ、第1回動軸410回りの回動に応じて他端部414よりも奥行方向HD1の内側に位置した一端部413が一対の側板21の内面から突設された第2支持突起82に第1面411側から支持される。なお、第2支持突起82は、第1下方板41が通常水平姿勢から退避水平姿勢に姿勢変更されるときに、一対の側板21に取付けられる。第1下方板41が退避水平姿勢を取った状態では、第1下方板41の中で他端部414が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その他端部414の端縁は上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0047】
一方、第2下方板42は、退避状態において退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢は、通常水平姿勢から第2回動軸420を中心に反時計回りに回動して、奥行方向HD1に対して交差する方向に延びる姿勢である。この際、第2下方板42における板本体421の対向方向HD2の端面において奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に螺合される第1ねじ部材72Aを、第2回動軸420とする。
【0048】
退避交差姿勢を取った第2下方板42は、突出部422が下方側に位置し、板本体421と突出部422との間で収納する物品を支持する支持部を形成するよう、一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢を取った第2下方板42では、突出部422が設けられた板本体421の一端部4213が他端部4214よりも下方且つ奥行方向HD1の外側に位置するように、第1ねじ部材72Aによる螺合が維持されつつ、他端部4214に設けられたねじ孔に一対の側板21に設けられたねじ穴211を介して第2ねじ部材72Bが螺合される。第2下方板42が退避交差姿勢を取った状態では、第2下方板42の中で突出部422が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その突出部422の最外端は上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0049】
上記の通り、退避状態においては、第1下方板41が退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられるとともに、第2下方板42が突出部422を下にした退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。この場合、第1下方板41及び第2下方板42を足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、退避水平姿勢を取った第1下方板41の第2面412に物品を載置することができるとともに、退避交差姿勢を取った第2下方板42においては突出部422に下方側から支持されるように書籍などの物品を載置することができる。
【0050】
(第2実施形態)
図4及び図5を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る収納棚1Aについて説明する。第2実施形態に係る収納棚1Aは、上記の第1実施形態に係る収納棚1と同様に、床面100上に設置され、物品を収納するための棚として機能するとともに、室内空間を仕切るための間仕切りとしても機能する。収納棚1Aは、棚本体2と棚板3とを備えている。
【0051】
収納棚1Aに備えられる棚本体2は、上記の第1実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明を省略する。
【0052】
棚板3は、棚本体2の収納空間SSにおいて一対の側板21に取付けられる矩形板状の板状部材である。棚板3は、下方空間SS1において一対の側板21に取付けられる下方棚板4Aと、上方空間SS2において一対の側板21に取付けられる上方棚板5とを含む。上方棚板5は、上記の第1実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明を省略する。
【0053】
下方棚板4Aは、上記の第1実施形態の下方棚板4とは異なっている。下方棚板4Aは、一対の側板21に対して、奥行方向HD1の一方側に取付けられる第1下方板41Aと、奥行方向HD1の一方側とは反対の他方側に取付けられる第2下方板42Aとを有している。
【0054】
第1下方板41Aは、厚み方向において互いに対向する第1面411と第2面412とを有する矩形板状の板状部材である。第1下方板41Aは、下方空間SS1において、その幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。第1下方板41Aにおいては、幅方向と直交する方向(すなわち対向方向HD2と直交する方向)の一端部413が先細状に形成される一方、一端部413とは反対の他端部414の端面は厚み方向に平行な平坦面となっている。具体的には、第1下方板41Aの一端部413は、第1面411から第2面412に向かうに従い外側に延出するように傾斜している。すなわち、第1下方板41Aにおいては、一端部413の第1面411側が傾斜面となっている。この際、第1下方板41Aの一端部413において、少なくとも第1面411側が傾斜していればよく、第1面411及び第2面412の両面が傾斜していてもよい。なお、第1下方板41Aの一端部413は、先細状の先端が湾曲面となるように角面取り加工されていることが望ましい。これにより、先細状の一端部413によって人が怪我するのを抑制することができる。
【0055】
第2下方板42Aは、厚み方向において互いに対向する第1面4211と第2面4212とを有する矩形板状の板本体421と、板本体421の第1面4211から突出する突出部422と、板本体421の第2面4212に形成された係合溝423と、を有している。第2下方板42Aは、下方空間SS1において、板本体421の幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。
【0056】
第2下方板42Aでは、突出部422は、板本体421の第1面4211において、板本体421における幅方向と直交する方向(すなわち対向方向HD2と直交する方向)の一端部4213とは反対の他端部4214から突出している。なお、突出部422は、板本体421の第1面4211から突出する姿勢と、第2面4212から突出する姿勢との間で姿勢変更が可能となるように、板本体421の他端部4214に取付けられていてもよい。
【0057】
係合溝423は、詳細については後述するが、第2下方板42Aが退避交差姿勢を取った状態で、退避水平姿勢を取った第1下方板41Aの一端部413の係合を許容する溝である。
【0058】
下方棚板4Aにおいては、第1下方板41Aと第2下方板42Aとが、図4に示される通常状態と図5に示される退避状態との間での状態変化が可能となるように、一対の側板21に取付けられる。第1下方板41Aは、対向方向HD2に延びる第1回動軸410回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。第2下方板42Aは、第1回動軸410とは別個独立に対向方向HD2に延びる第2回動軸420回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。
【0059】
図4に示されるように、通常状態では、第1下方板41Aは、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53から所定の基準距離D1だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有するように、一対の側板21に取付けられる。この場合、第1下方板41Aは、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避していない状態である。具体的には、第1下方板41Aは、幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、幅方向と直交する方向の一端部413の端縁が上方棚板5の一端部53の端縁と同一平面上に位置する一方、一端部413とは反対の他端部414が一端部413よりも奥行方向HD1の内側に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第1下方板41Aは、下方空間SS1において、第1面411が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第1下方板41Aは、一端部413が一対の側板21の内面から突設された第1支持突起81に第2面412側から支持されるとともに、他端部414の対向方向HD2の端面のねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材71が螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0060】
第2下方板42Aは、通常状態では、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54から所定の基準距離D1だけ内側の位置よりも外側に位置する部分を有するように、一対の側板21に取付けられる。この場合、第2下方板42Aは、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避していない状態である。具体的には、第2下方板42Aは、板本体421の幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、板本体421の一端部4213が第1下方板41Aの他端部414の端面に当接する一方、板本体421の他端部4214に設けられた突出部422の端縁が上方棚板5の他端部54の端縁と同一平面上に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第2下方板42Aは、下方空間SS1において、板本体421の第1面4211が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第2下方板42Aは、板本体421の対向方向HD2の端面において、奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第1ねじ部材72Aが螺合されるとともに、他端部4214に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第2ねじ部材72Bが螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0061】
上記の通り、通常状態においては、第1下方板41Aと第2下方板42Aとが、それぞれの第1面411,4211が上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。一対の側板21に通常水平姿勢で取付けられた第1下方板41Aの第1面411、並びに第2下方板42Aの第1面4211には、物品を載置することができる。
【0062】
一方、図5に示されるように、退避状態では、第1下方板41Aは、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。また、第2下方板42Aは、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Aを構成する第1下方板41A及び第2下方板42Aが退避状態の場合、下方棚板4Aを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとして人がよじ登ることを防止することが可能である。
【0063】
本実施形態では、退避状態においては、第1下方板41Aは、退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避水平姿勢は、通常水平姿勢から第1回動軸410を中心に時計回りに180度回動して、第1面411が下に向くとともに第2面412が上に向いた姿勢である。この際、第1下方板41Aの他端部414における対向方向HD2の端面に設けられたねじ孔に螺合されるねじ部材71を、第1回動軸410とする。
【0064】
第1下方板41Aが退避水平姿勢を取った状態では、第1下方板41Aの中で他端部414が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その他端部414の端縁は上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0065】
一方、第2下方板42Aは、退避状態において退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢は、通常水平姿勢から第2回動軸420を中心に時計回りに回動して、奥行方向HD1に対して交差する方向に延びる姿勢である。この際、第2下方板42Aにおける板本体421の対向方向HD2の端面において奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に螺合される第1ねじ部材72Aを、第2回動軸420とする。
【0066】
退避交差姿勢を取った第2下方板42Aは、突出部422が下方側に位置し、板本体421と突出部422との間で収納する物品を支持する支持部を形成するよう、一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢を取った第2下方板42Aでは、突出部422が設けられた板本体421の他端部4214が一端部4213よりも下方且つ奥行方向HD1の外側に位置するように、第1ねじ部材72Aによる螺合が維持されつつ、一端部4213に設けられたねじ孔に一対の側板21に設けられたねじ穴211を介して第2ねじ部材72Bが螺合される。第2下方板42Aが退避交差姿勢を取った状態では、第2下方板42Aの中で突出部422が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その突出部422の最外端は上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0067】
下方棚板4Aの退避状態において、退避水平姿勢を取った第1下方板41Aでは、他端部414におけるねじ部材71による螺合が維持されつつ、第1回動軸410回りの回動に応じて他端部414よりも奥行方向HD1の内側に位置した一端部413が、退避交差姿勢を取った第2下方板42Aの第2面4212に形成された係合溝423に係合する。つまり、下方棚板4Aの退避状態において、第1下方板41Aと第2下方板42Aとは互いに係合している。これにより、下方棚板4Aの退避状態を安定して維持することができる。
【0068】
上記の通り、退避状態においては、第1下方板41Aが退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられるとともに、第2下方板42Aが突出部422を下にした退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。この場合、第1下方板41A及び第2下方板42Aを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、退避水平姿勢を取った第1下方板41Aの第2面412に物品を載置することができるとともに、退避交差姿勢を取った第2下方板42Aにおいては突出部422に下方側から支持されるように書籍などの物品を載置することができる。
【0069】
なお、第2下方板42Aは、突出部422が板本体421の第2面4212から突出するとともに、係合溝423が板本体421の第1面4211に形成された構成であってもよい。この場合、下方棚板4Aの通常状態においては、第1下方板41Aと第2下方板42Aとが、それぞれの第1面411,4211が上に向いた通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。この際、第2下方板42Aが通常水平姿勢を取った状態では、突出部422は、板本体421の一端部4213の第2面4212から下方側に突出している。一方、下方棚板4Aの退避状態においては、退避水平姿勢を取った第1下方板41Aの一端部413が、退避交差姿勢を取った第2下方板42Aの第1面4211に形成された係合溝423に係合する。
【0070】
(第3実施形態)
図6及び図7を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る収納棚1Bについて説明する。第3実施形態に係る収納棚1Bは、上記の第1実施形態に係る収納棚1と同様に、床面100上に設置され、物品を収納するための棚として機能するとともに、室内空間を仕切るための間仕切りとしても機能する。収納棚1Bは、棚本体2と棚板3とを備えている。
【0071】
収納棚1Bに備えられる棚本体2は、上記の第1実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明を省略する。
【0072】
棚板3は、棚本体2の収納空間SSにおいて一対の側板21に取付けられる矩形板状の板状部材である。棚板3は、下方空間SS1において一対の側板21に取付けられる下方棚板4Bと、上方空間SS2において一対の側板21に取付けられる上方棚板5とを含む。上方棚板5は、上記の第1実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明を省略する。
【0073】
下方棚板4Bは、上記の第1実施形態の下方棚板4とは異なっている。下方棚板4Bは、一対の側板21に対して、奥行方向HD1の一方側に取付けられる第1下方板41Bと、奥行方向HD1の一方側とは反対の他方側に取付けられる第2下方板42Bとを有している。
【0074】
第1下方板41Bは、厚み方向において互いに対向する第1面411と第2面412とを有する矩形板状の板状部材である。第1下方板41Bは、下方空間SS1において、その幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。第2下方板42Bは、厚み方向において互いに対向する第1面4211と第2面4212とを有する矩形板状の板状部材である。第2下方板42Bは、下方空間SS1において、その幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。
【0075】
下方棚板4Bにおいては、第1下方板41Bと第2下方板42Bとが、図6に示される通常状態と図7に示される退避状態との間での状態変化が可能となるように、一対の側板21に取付けられる。第1下方板41Bは、対向方向HD2に延びる第1回動軸410回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。第2下方板42Bは、第1回動軸410とは別個独立に対向方向HD2に延びる第2回動軸420回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。
【0076】
図6に示されるように、通常状態では、第1下方板41Bは、幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、幅方向と直交する方向の一端部413の端縁が上方棚板5の一端部53の端縁と同一平面上に位置する一方、一端部413とは反対の他端部414が一端部413よりも奥行方向HD1の内側に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第1下方板41Bは、下方空間SS1において、第1面411が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第1下方板41Bは、一端部413が一対の側板21の内面から突設された第1支持突起81に第2面412側から支持されるとともに、他端部414の対向方向HD2の端面のねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材71が螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0077】
第2下方板42Bは、通常状態では、幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、幅方向と直交する方向の一端部4213が第1下方板41Bの他端部414の端面に当接する一方、一端部4213とは反対の他端部4214の端縁が上方棚板5の他端部54の端縁と同一平面上に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、第2下方板42Bは、下方空間SS1において、第1面4211が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。第2下方板42Bは、対向方向HD2の端面において、奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第1ねじ部材72Aが螺合されるとともに、他端部4214に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方から第2ねじ部材72Bが螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0078】
上記の通り、通常状態においては、第1下方板41Bと第2下方板42Bとが、それぞれの第1面411,4211が上に向いて同一水平面上に位置する通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。一対の側板21に通常水平姿勢で取付けられた第1下方板41Bの第1面411、並びに第2下方板42Bの第1面4211には、物品を載置することができる。
【0079】
一方、図7に示されるように、退避状態では、第1下方板41Bは、奥行方向HD1において上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。また、第2下方板42Bは、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Bを構成する第1下方板41B及び第2下方板42Bが退避状態の場合、下方棚板4Bを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとして人がよじ登ることを防止することが可能である。
【0080】
本実施形態では、退避状態においては、第1下方板41Bは、退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避水平姿勢は、通常水平姿勢から第1回動軸410を中心に時計回りに180度回動して、第1面411が下に向くとともに第2面412が上に向いた姿勢である。この際、第1下方板41Bの他端部414における対向方向HD2の端面に設けられたねじ孔に螺合されるねじ部材71を、第1回動軸410とする。
【0081】
退避水平姿勢を取った第1下方板41Bでは、他端部414におけるねじ部材71による螺合が維持されつつ、第1回動軸410回りの回動に応じて他端部414よりも奥行方向HD1の内側に位置した一端部413が一対の側板21の内面から突設された第2支持突起82に第1面411側から支持される。第1下方板41Bが退避水平姿勢を取った状態では、第1下方板41Bの中で他端部414が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その他端部414の端縁は上方棚板5の一端部53よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0082】
一方、第2下方板42Bは、退避状態において退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢は、通常水平姿勢から第2回動軸420を中心に反時計回りに90度回動して、奥行方向HD1に対して交差する上下方向VDに延びる姿勢である。この際、第2下方板42Bにおける対向方向HD2の端面において奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に螺合される第1ねじ部材72Aを、第2回動軸420とする。
【0083】
上下方向VDに延びる退避交差姿勢を取った第2下方板42Bでは、他端部4214が一端部4213よりも上方側に位置するように、第1ねじ部材72Aによる螺合が維持されつつ、他端部4214に設けられたねじ孔に一対の側板21に設けられたねじ穴211を介して第2ねじ部材72Bが螺合される。第2下方板42Bが上下方向VDに延びる退避交差姿勢を取った状態では、第2下方板42Bの第2面4212が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その第2面4212は上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0084】
上記の通り、退避状態においては、第1下方板41Bが退避水平姿勢で一対の側板21に取付けられるとともに、第2下方板42Bが上下方向VDに延びる退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。この場合、第1下方板41B及び第2下方板42Bを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、退避水平姿勢を取った第1下方板41Bの第2面412に物品を載置することができるとともに、退避交差姿勢を取った第2下方板42Bによって第1下方板41B上の物品が第2開口20B側に落下するのを防止することができる。
【0085】
(第4実施形態)
図8及び図9を参照しながら、本発明の第4実施形態に係る収納棚1Cについて説明する。第4実施形態に係る収納棚1Cは、上記の第1実施形態に係る収納棚1と同様に、床面100上に設置され、物品を収納するための棚として機能するとともに、室内空間を仕切るための間仕切りとしても機能する。収納棚1Cは、棚本体2と棚板3とを備えている。
【0086】
収納棚1Cに備えられる棚本体2は、上記の第1実施形態とは異なり、奥行方向HD1の一方側の第1開口20Aが背板24によって閉じられており、奥行方向HD1の他方側の第2開口20Bのみが開放している。このこと以外は、上記の第1実施形態と同様に棚本体2が構成されている。
【0087】
棚板3は、棚本体2の収納空間SSにおいて一対の側板21に取付けられる矩形板状の板状部材である。棚板3は、下方空間SS1において一対の側板21に取付けられる下方棚板4Cと、上方空間SS2において一対の側板21に取付けられる上方棚板5とを含む。上方棚板5は、上記の第1実施形態と同様に構成されているので、詳細な説明を省略する。
【0088】
下方棚板4Cは、上記の第1実施形態の下方棚板4とは異なっている。第1実施形態の下方棚板4が第1下方板41と第2下方板42とを有した2つの板状部材の組合せ構造であるのに対し、下方棚板4Cは1つの板状部材のみで構成されている。
【0089】
下方棚板4Cは、厚み方向において互いに対向する第1面4C11と第2面4C12とを有する矩形板状の板本体4C1と、板本体4C1の第2面4C12から突出する突出部4C2とを有している。下方棚板4Cは、下方空間SS1において、板本体4C1の幅方向が対向方向HD2と平行になるように、一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Cでは、突出部4C2は、板本体4C1の第2面4C12において、板本体4C1における幅方向と直交する方向(すなわち対向方向HD2と直交する方向)の一端部4C13から突出している。
【0090】
下方棚板4Cは、図8に示される通常状態と図9に示される退避状態との間での状態変化が可能となるように、一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Cは、対向方向HD2に延びる回動軸4C0回りに回動することにより、通常状態と退避状態との間で状態変化するように構成されている。
【0091】
図8に示されるように、通常状態では、下方棚板4Cは、板本体4C1の幅方向が対向方向HD2と平行になるとともに、幅方向と直交する方向の一端部4C13に設けられた突出部4C2の端縁が上方棚板5の一端部53の端縁と同一平面上に位置する一方、一端部4C13とは反対の他端部4C14の端縁が上方棚板5の他端部54の端縁と同一平面上に位置するように、一対の側板21に取付けられる。このような通常状態では、下方棚板4Cは、下方空間SS1において、板本体4C1の第1面4C11が上に向いて奥行方向HD1及び対向方向HD2に水平に広がる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Cは、板本体4C1の対向方向HD2の端面において、奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材71が螺合されるとともに、一端部4C13及び他端部4C14に設けられた各ねじ孔に一対の側板21の外方からねじ部材71が螺合されることにより、通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。
【0092】
上記の通り、通常状態においては、下方棚板4Cが、板本体4C1の第1面4C11が上に向いて奥行方向HD1に延びる通常水平姿勢で一対の側板21に取付けられる。一対の側板21に通常水平姿勢で取付けられた下方棚板4Cの第1面4C11には、物品を載置することができる。
【0093】
一方、図9に示されるように、退避状態では、下方棚板4Cは、奥行方向HD1において上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避した状態で、一対の側板21に取付けられる。下方棚板4Cが退避状態の場合、下方棚板4Cを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとして人がよじ登ることを防止することが可能である。
【0094】
本実施形態では、退避状態においては、下方棚板4Cは、退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。退避交差姿勢は、通常水平姿勢から回動軸4C0を中心に反時計回りに回動して、奥行方向HD1に対して交差する方向に延びる姿勢である。この際、下方棚板4Cにおける板本体4C1の対向方向HD2の端面において奥行方向HD1の中央近傍に設けられたねじ孔に螺合されるねじ部材71を、回動軸4C0とする。
【0095】
退避交差姿勢を取った下方棚板4Cでは、突出部4C2が設けられた板本体4C1の一端部4C13が他端部4C14よりも下方且つ奥行方向HD1の外側に位置している。下方棚板4Cが退避交差姿勢を取った状態では、下方棚板4Cの中で突出部4C2が最も奥行方向HD1の外側に位置しており、その突出部4C2の最外端は上方棚板5の他端部54よりも所定の基準距離D1以上内側に退避している。
【0096】
上記の通り、退避状態においては、下方棚板4Cが突出部4C2を下にした退避交差姿勢で一対の側板21に取付けられる。この場合、下方棚板4Cを足掛かりとし上方棚板5を手掛かりとした人のよじ登りの防止を可能とした上で、退避交差姿勢を取った下方棚板4Cにおいては突出部4C2に下方側から支持されるように書籍などの物品を載置することができる。
【符号の説明】
【0097】
1,1A,1B,1C 収納棚
2 棚本体
21 一対の側板
3 棚板
4,4A,4B,4C 下方棚板
41,41A,41B 第1下方板
42,42A,42B 第2下方板
421 板本体
422 突出部
423 係合溝
5 上方棚板
HD1 奥行方向
HD2 対向方向
SS 収納空間
SS1 下方空間
SS2 上方空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9