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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112270
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/22 20060101AFI20220726BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220726BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220726BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220726BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H05B33/22 Z
G09F9/30 365
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008036
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 賢治
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC31
3K107CC45
3K107DD89
3K107FF15
5C094AA02
5C094BA27
5C094DA13
5C094EA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】基材10と、基材の上に配置された第1絶縁層11と、第1絶縁層の上に配置された第1下部電極E11及び第2下部電極E12と、第1絶縁層の上に配置され、第1下部電極に重畳する第1開口部と、第2下部電極に重畳する第2開口部と、第1開口部と第2開口部との間に位置する第1トレンチT12と、を有する第2絶縁層12と、発光層を含む有機層ORと、有機層を覆う上部電極E2と、を備え、第1トレンチは、底面と、底面から立ち上がった第1側面及び第2側面と、を有し、第1トレンチの上部における第1側面と第2側面との間隔は、第1トレンチの底面における第1側面と第2側面との間隔より小さい、表示装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置された第1下部電極及び第2下部電極と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記第1下部電極に重畳する第1開口部と、前記第2下部電極に重畳する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置する第1トレンチと、を有する第2絶縁層と、
発光層を含む有機層と、
前記有機層を覆う上部電極と、を備え、
前記第1トレンチは、底面と、前記底面から立ち上がった第1側面及び第2側面と、を有し、
前記第1トレンチの上部における前記第1側面と前記第2側面との間隔は、前記第1トレンチの前記底面における前記第1側面と前記第2側面との間隔より小さく、
前記有機層は、
前記第1開口部に位置する前記第1下部電極を覆い、前記第1トレンチと前記第1開口部との間に位置する前記第2絶縁層の第1面を覆う第1部分と、
前記第2開口部に位置する前記第2下部電極を覆い、前記第1トレンチと前記第2開口部との間に位置する前記第2絶縁層の第2面を覆う第2部分と、
前記第1トレンチの前記底面に配置され、前記第1部分及び前記第2部分から離間した第3部分と、を有する、表示装置。
【請求項2】
前記第1部分、前記第2部分、及び、前記第3部分は、同一色の前記発光層を含んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記上部電極は、前記第1トレンチの内部で前記第3部分を覆い、前記第1側面及び前記第2側面に接している、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1部分は、積層された第1層、第2層、及び、第3層を備え、前記第1側面に接し、
前記第1層の端部は、前記第1側面において前記第2層によって覆われ、
前記第2層の端部は、前記第1側面において前記第3層によって覆われ、
前記発光層は、前記第1層、前記第2層、及び、前記第3層の何れかである、請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2絶縁層は、さらに、
前記第1開口部を挟んで前記第1トレンチの反対側に位置する第2トレンチと、
それぞれ前記第1トレンチ及び前記第2トレンチの両方に繋がる第3トレンチ及び第4トレンチと、を有し、
前記第3トレンチは、前記第1開口部を挟んで前記第4トレンチの反対側に位置する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
画像を表示する表示領域、及び、前記表示領域の周辺の非表示領域を有し、
前記非表示領域に位置する電源線と、
前記非表示領域に位置し、前記電源線と電気的に接続された周辺電極と、を備え、
前記第2絶縁層は、前記周辺電極を覆い、
前記上部電極は、前記非表示領域において前記第2絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して前記周辺電極に接続される、請求項1乃至5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記有機層は、さらに、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、及び、電子輸送層の少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1トレンチは、前記第2絶縁層を前記第1絶縁層まで貫通している、請求項1乃至7の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。このような有機層は、例えば真空蒸着法によって形成される。
有機層は、例えば、隣接する画素間でのクロストークを抑制するために画素ごとに分割して配置されるのが望ましい。例えばマスクを用いない蒸着法によって、有機層を画素ごとに分割して形成する方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-135325号公報
【特許文献2】特開2009-244527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された第1下部電極及び第2下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記第1下部電極に重畳する第1開口部と、前記第2下部電極に重畳する第2開口部と、前記第1開口部と前記第2開口部との間に位置する第1トレンチと、を有する第2絶縁層と、発光層を含む有機層と、前記有機層を覆う上部電極と、を備え、前記第1トレンチは、底面と、前記底面から立ち上がった第1側面及び第2側面と、を有し、前記第1トレンチの上部における前記第1側面と前記第2側面との間隔は、前記第1トレンチの前記底面における前記第1側面と前記第2側面との間隔より小さく、前記有機層は、前記第1開口部に位置する前記第1下部電極を覆い、前記第1トレンチと前記第1開口部との間に位置する前記第2絶縁層の第1面を覆う第1部分と、前記第2開口部に位置する前記第2下部電極を覆い、前記第1トレンチと前記第2開口部との間に位置する前記第2絶縁層の第2面を覆う第2部分と、前記第1トレンチの前記底面に配置され、前記第1部分及び前記第2部分から離間した第3部分と、を有する、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
図2図2は、画素を示す平面図である。
図3図3は、図2に示したA-A’線に沿った表示装置の断面図である。
図4図4は、トレンチ、有機層などを示す断面図である。
図5図5は、有機層を示す平面図である。
図6図6は、図1に示したB-B’線に沿った表示装置の断面図である。
図7図7は、本実施形態の第1変形例を示す断面図である。
図8図8は、本実施形態の第2変形例を示す平面図である。
図9図9は、本実施形態の第3変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
本実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。
【0009】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す平面図である。
図に示す第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交している。なお、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と称する。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSPを観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0010】
表示装置DSPは、絶縁性の基材10を備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。また、表示装置DSPは、画像を表示する表示領域DA、及び、表示領域DAの周辺の非表示領域NDAを有している。
【0011】
表示装置DSPは、表示領域DAにおいて、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2、及び、青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色などの他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0012】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
すなわち、副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチ素子である。
【0013】
画素スイッチ2について、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はキャパシタ4を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ3について、ソース電極はキャパシタ4を構成する他方の電極及び電源線PLに接続され、ドレイン電極は表示素子20のアノードに接続されている。表示素子20のカソードは、給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は、図示した例に限らない。
【0014】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。表示素子20の構成については、後述する。
【0015】
表示装置DSPは、非表示領域NDAに位置する電源線51及び52と、複数の周辺電極6と、パッドPD1及びPD2と、を備えている。また、非表示領域NDAは、第2方向Yに延出した第1領域N1及び第2領域N2と、第1方向Xに延出した第3領域N3と、を有している。第1領域N1、表示領域DA、第2領域N2は、この順に第1方向Xに並んでいる。第3領域N3には、図示しないフレキシブル配線基板が実装される。
電源線51は第1領域N1に位置し、電源線52は第2領域N2に位置している。複数の周辺電極6は、第1領域N1及び第2領域N2のそれぞれにおいて第2方向Yに並んでいる。パッドPD1及びPD2は、第3領域N3に位置している。
電源線51は、第1領域N1に位置する複数の周辺電極6と電気的に接続されている。また、電源線51は、パッドPD1と電気的に接続されている。電源線52は、第2領域N2に位置する複数の周辺電極6と電気的に接続されている。また、電源線52は、パッドPD2と電気的に接続されている。
【0016】
図2は、画素PXを示す平面図である。
図2においては、表示装置DSPが備える下部電極E11、E12、E13と、絶縁層12と、を図示している。
【0017】
下部電極(第1下部電極)E11は、副画素SP1に配置されている。下部電極(第2下部電極)E12は、副画素SP2に配置されている。下部電極E13は、副画素SP3に配置されている。下部電極E11乃至E13は、第1方向Xに並んでいる。下部電極E11乃至E13を含む下部電極は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、画素電極、アノードなどと称される場合がある。
【0018】
絶縁層12は、平面視で格子状に形成されている。絶縁層12は、表示素子あるいは副画素を区画するように形成されており、リブ、隔壁などと称される場合がある。絶縁層12は、下部電極E11に重畳する第1開口部OP1と、下部電極E12に重畳する第2開口部OP2と、下部電極E13に重畳する第3開口部OP3と、を有している。絶縁層12は、下部電極E11乃至E13のそれぞれの周縁部を覆っており、下部電極E11乃至E13のそれぞれの中央部は第1開口部OP1、第2開口部OP2、第3開口部OP3において絶縁層12から露出している。
【0019】
また、絶縁層12は、第2方向Yに延出し第1方向Xに並んだトレンチT11、T12、T13、T14と、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだトレンチT21、T22と、を有している。トレンチ(第1トレンチ)T12は、第1開口部OP1と第2開口部OP2との間に位置している。トレンチT13は、第2開口部OP2と第3開口部OP3との間に位置している。トレンチT11は、第1開口部OP1を挟んでトレンチT12の反対側に位置している。トレンチT14は、第3開口部OP3を挟んでトレンチT13の反対側に位置している。トレンチT21は、トレンチT11乃至T14に繋がっている。また、トレンチT22は、トレンチT11乃至T14に繋がっている。トレンチT21は、第1開口部OP1、第2開口部OP2、第3開口部OP3を挟んでトレンチT22の反対側に位置している。
【0020】
それぞれのトレンチは、平面視で隣り合う下部電極に重畳していない。下部電極E11はトレンチT11とT12との間に位置し、下部電極E12はトレンチT12とT13との間に位置し、下部電極E13はトレンチT13とT14との間に位置している。また、下部電極E11乃至E13は、トレンチT21とT22との間に位置している。
【0021】
ここで、副画素の外形は、例えば、下部電極の外形に相当する。すなわち、1個の画素PXを構成する副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3は、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成され、第1方向Xに並んでいる。第1方向Xに並んだ隣接する副画素の発光色は互いに異なる。なお、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3の各々の面積は、同一であってもよいし、後述するように互いに異なっていてもよい。また、副画素の外形は、表示素子の発光領域の外形で規定されてもよい。
【0022】
図3は、図2に示したA-A’線に沿った表示装置DSPの断面図である。
表示装置DSPは、基材10と、スイッチング素子SW1及びSW2と、絶縁層11と、下部電極E11及びE12と、絶縁層12と、有機層ORと、上部電極E2と、を備えている。また、表示素子20Aは、下部電極E11と、有機層ORの第1部分OR1と、上部電極E2とによって構成されている。表示素子20Bは、下部電極E12と、有機層ORの第2部分OR2と、上部電極E2とによって構成されている。
【0023】
スイッチング素子SW1及びSW2は、基材10の上に配置されている。スイッチング素子SW1及びSW2は、例えば、図1に示した駆動トランジスタ3に相当する。絶縁層(第1絶縁層)11は、基材10の上に配置され、スイッチング素子SW1及びSW2を覆っている。絶縁層11は、表示素子20A及び20Bの下地層に相当し、例えば、有機絶縁層である。なお、図1に示した画素回路1の画素スイッチ2などは、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われているが、ここでは図示を省略する。
【0024】
下部電極E11及びE12は、絶縁層11の上に配置されている。下部電極E11は、絶縁層11に形成されたコンタクトホールCH1を介してスイッチング素子SW1と電気的に接続されている。下部電極E12は、絶縁層11に形成されたコンタクトホールCH2を介してスイッチング素子SW2と電気的に接続されている。
【0025】
下部電極E11及びE12は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。なお、下部電極E11及びE12は、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極であってもよい。また、下部電極E11及びE12は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E11及びE12は、透明電極、金属電極、及び、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。
【0026】
絶縁層(第2絶縁層)12は、絶縁層11の上に配置されるとともに、下部電極E11及びE12のそれぞれの周縁部を覆っている。絶縁層12は、例えば、有機絶縁層である。絶縁層12は、上記した第1開口部OP1、第2開口部OP2、及び、トレンチT12と、第1面SF1と、第2面SF2と、を有している。第1開口部OP1は、絶縁層12を下部電極E11まで貫通している。第2開口部OP2は、絶縁層12を下部電極E12まで貫通している。第1面SF1は、トレンチT12と第1開口部OP1との間に位置している。第2面SF2は、トレンチT12と第2開口部OP2との間に位置している。また、絶縁層12は、厚さTHを有している。厚さTHは、図示した例では、絶縁層12の最も高い位置と絶縁層11との間の間隔に相当し、例えば、1.5~2.0μmである。
【0027】
トレンチT12は、底面BSと、底面BSから立ち上がった第1側面SS1及び第2側面SS2と、を有している。第1側面SS1及び第2側面SS2は、第1方向Xにおいて間隔を置いて対向している。第1側面SS1は、第1面SF1に繋がっている。第2側面SS2は、第2面SF2に繋がっている。トレンチT12は、第1側面SS1、第2側面SS2、及び、底面BSによって囲まれた空間に相当する。トレンチT12は、深さDを有している。深さDは、例えば、0.5~1.0μmである。
【0028】
トレンチT12は、その上部UPにおいて、第1側面SS1と第2側面SS2との間の間隔GP1を有し、底面BSにおいて、第1側面SS1と第2側面SS2との間の間隔GP2を有している。間隔GP1は、間隔GP2より小さい。つまり、トレンチT12は、底面BSから上部UPに向かうほど、第1方向Xに沿った幅が小さくなるように形成されている。換言すると、第1側面SS1は、底面BSと重なるように底面BSの法線方向に対して傾斜している。同様に、第2側面SS2は、底面BSと重なるように底面BSの法線方向に対して傾斜している。
【0029】
有機層ORは、第1部分OR1、第2部分OR2、及び、第3部分OR3を有している。第1部分OR1は、第1開口部OP1に位置する下部電極E11と、第1面SF1と、を覆っている。第2部分OR2は、第2開口部OP2に位置する下部電極E12と、第2面SF2と、を覆っている。第3部分OR3は、トレンチT12の底面BSに位置している。第3部分OR3は、第1部分OR1及び第2部分OR2から離間している。有機層ORは、後述するように発光層ELを含んでおり、これらの第1部分OR1、第2部分OR2、及び、第3部分OR3は、同一色の発光層ELを含んでいる。また、有機層ORは、発光層ELの他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子注入層、及び、電子輸送層の少なくとも1つを含んでいる。
【0030】
上部電極E2は、有機層ORを覆っている。すなわち、上部電極E2は、第1部分OR1、第2部分OR2、及び、第3部分OR3のそれぞれを覆っている。上部電極E2は、トレンチT12の内部において、第3部分OR3を覆い、底面BSに接している。また、上部電極E2は、トレンチT12の内部において、第1側面SS1及び第2側面SS2に接している。上部電極E2は、例えば、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極である。上部電極E2は、図1に示した表示領域DAに位置する給電線FLと電気的に接続されている。上部電極E2は、複数の副画素あるいは複数の表示素子に対して共通に配置された電極であり、共通電極、対向電極、カソードなどと称される場合がある。なお、上部電極E2は、透明な保護層(無機絶縁層及び有機絶縁層の少なくとも1つを含む)によって覆われる場合があり得る。
【0031】
表示素子20Aにおいて、第1部分OR1は、下部電極E11と上部電極E2との間に位置するため発光領域を形成することができる。表示素子20Bにおいて、第2部分OR2は、下部電極E12と上部電極E2との間に位置するため発光領域を形成することができる。なお、第3部分OR3は、絶縁層12と上部電極E2との間に位置し、しかも、第1部分OR1及び第2部分OR2から完全に分離されているため、発光しない。また、第1部分OR1のうち、第1面SF1を覆う領域は、絶縁層12と上部電極E2との間に位置しているため、ほとんど発光しない。同様に、第2部分OR2のうち、第2面SF2を覆う領域は、絶縁層12と上部電極E2との間に位置しているため、ほとんど発光しない。
【0032】
上述した有機層ORは、例えば真空蒸着法によって形成される。有機層ORを形成するための有機材料が蒸着源から放出される様子を図中に一点鎖線で示している。
第1開口部OP1、第2開口部OP2、及び、トレンチT12を有する絶縁層12を形成した後に、有機層ORを形成するための有機材料を蒸着する。第1側面SS1が底面BSと重なるように傾斜しているため、第1側面SS1には有機層ORがほとんど形成されない。これにより、有機層ORは、第1部分OR1と第3部分OR3とが分離して形成される。同様に、第2側面SS2が底面BSと重なるように傾斜しているため、第2側面SS2には有機層ORがほとんど形成されない。これにより、有機層ORは、第2部分OR2と第3部分OR3とが分離して形成される。また、底面BSのうち、第1側面SS1及び第2側面SS2と第3方向Zに重なる領域には、有機層ORがほとんど形成されない。なお、上部電極E2は、スパッタによって形成されるため、有機層ORの上、底面BS、第1側面SS1及び第2側面SS2に連続して形成される。
【0033】
本実施形態によれば、絶縁層12はトレンチT12を有している。また、トレンチT12は、底面BSから上部UPに向かうほど、第1方向Xに沿った幅が小さくなるように形成されている。そのため、有機層ORを、トレンチT12において、副画素SP1に位置する第1部分OR1と、副画素SP2に位置する第2部分OR2とに分離して形成することができる。つまり、マスクを用いない全面蒸着によって、有機層ORを副画素ごとに分離して形成することができる。これにより、隣接する副画素の間でのクロストークが抑制される。また、有機層ORを分離するための別途部材が不要であるため、製造コストを抑えることができる。
【0034】
なお、第1側面SS1と第2側面SS2との間の間隔は、トレンチT12の幅と言い換えることもできる。また、図3に示した例では、第1側面SS1、第2側面SS2、及び、底面BSは、それぞれ平面であったが、曲面であってもよい。第1側面SS1、第2側面SS2、及び、底面BSが平面の場合、トレンチT12の最大幅は、底面BSの幅に相当する。但し、第1側面SS1、第2側面SS2、及び、底面BSが曲面を含む場合には、必ずしもトレンチT12の最大幅が底面BSの幅に相当せず、底面BSより上側でトレンチT12の幅が最大となる場合がある。この場合、例えば、トレンチT12の高さの1/2以下、さらには、1/3以下の位置で、トレンチT12の幅が最大となる。
【0035】
また、下部電極E11及びE12の電位が上部電極E2の電位よりも相対的に高い場合、下部電極E11及びE12がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する。上部電極E2の電位が下部電極E11及びE12の電位よりも相対的に高い場合、上部電極E2がアノードに相当し、下部電極E11及びE12がカソードに相当する。
【0036】
また、例えば、表示領域DAのすべての副画素SPには、同一色の発光層ELを含む有機層ORが配置されている。各表示素子の発光色が白色である場合、表示素子に対向するカラーフィルタが配置されることで、多色表示を実現できる。また、各表示素子の発光色が紫外光である場合、表示素子に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0037】
図4は、トレンチT12、有機層ORなどを示す断面図である。
有機層ORは、積層された第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3を備えている。すなわち、第1部分OR1、第2部分OR2、及び、第3部分OR3は、それぞれ積層された第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3を備えている。なお、上述したように有機層ORは、発光層ELを含んでおり、例えば、発光層ELは、第1層L1、第2層L2、及び、第3層L3の何れかである。
【0038】
第1部分OR1は、第1側面SS1に接している。第1側面SS1において、第1層L1の端部EG11は第2層L2によって覆われ、第2層L2の端部EG21は第3層L3によって覆われている。第2部分OR2は、第2側面SS2に接している。第2側面SS2において、第1層L1の端部EG12は第2層L2によって覆われ、第2層L2の端部EG22は第3層L3によって覆われている。
【0039】
本実施形態においては、第1側面SS1及び第2側面SS2がそれぞれ底面BSと重なるように傾斜しているため、第2層L2が第1層L1を覆い、第3層L3が第2層L2を覆うように蒸着される。このため、第1層L1及び第2層L2が第3層L3から露出するのを抑制することができ、上部電極E2が第1層L1及び第2層L2と接触するのを抑制することができる。よって、第1層L1及び第2層L2から上部電極E2への電流リークが抑制され、表示素子の性能劣化を抑制することができる。
【0040】
なお、例えば、第1層L1及び第3層L3が機能層であり、第2層L2が発光層ELであるとする。第1層L1及び第3層L3は、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、ホールブロック層、電子注入層、電子輸送層、電子ブロック層であるが、その他の機能層であってもよい。また、第1層L1及び第3層L3の各々は、単層体に限らず、複数の機能層が積層された積層体であってもよい。また、第1層L1及び第3層L3の少なくとも一方が省略されてもよい。
一例として、下部電極がアノードに相当する場合、発光層ELと下部電極との間の第1層L1は、ホール注入層及びホール輸送層の少なくとも1つを含み、発光層ELと上部電極E2との間の第3層L3は、電子輸送層及び電子注入層の少なくとも1つを含んでいる。
【0041】
図5は、有機層ORを示す平面図である。図5において、有機層ORが配置された領域は斜線で示されている。
第1部分OR1は、副画素SP1に配置されている。第2部分OR2は、副画素SP2に配置されている。第1部分OR1及び第2部分OR2は、第1方向Xに並んでいる。
【0042】
第3部分OR3は、平面視で格子状に形成されている。第3部分OR3は、第2方向Yに延出し第1方向Xに並んだ部分OR31、OR32、OR33と、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだ部分OR34、OR35と、を有している。部分OR32は、第1部分OR1と第2部分OR2との間に位置している。部分OR31は、第1部分OR1を挟んで部分OR32の反対側に位置している。部分OR33は、第2部分OR2を挟んで部分OR32の反対側に位置している。部分OR34は、部分OR31乃至OR33に繋がっている。部分OR35は、部分OR31乃至OR33に繋がっている。部分OR34は、第1部分OR1及び第2部分OR2を挟んで部分OR35の反対側に位置している。
【0043】
部分OR31乃至OR33は、それぞれトレンチT11乃至T13内に位置している。また、部分OR34及びOR35は、それぞれトレンチT21及びT22内に位置している。
なお、第1部分OR1の外形は、平面視で下部電極E11の外形より大きく形成されている。第2部分OR2の外形は、平面視で下部電極E12の外形より大きく形成されている。
【0044】
図6は、図1に示したB-B’線に沿った表示装置DSPの断面図である。
周辺電極6及び電源線52は、絶縁層11の上に位置している。絶縁層12は、周辺電極6及び電源線52を覆っている。有機層ORは、非表示領域NDAに形成されていない。上部電極E2は、非表示領域NDAにおいて、絶縁層12を覆い、絶縁層12に形成されたコンタクトホールCH3を介して周辺電極6に接続されている。なお、図示した例では、周辺電極6及び電源線52は、下部電極E10と同層に位置しているが、それぞれ下部電極E10とは異なる層に位置していてもよい。
【0045】
図7は、本実施形態の第1変形例を示す断面図である。図7に示す構成は、図3に示した構成と比較して、トレンチT12が絶縁層12を絶縁層11まで貫通している点で相違している。
図示した例では、底面BSは、絶縁層11の上面に相当する。そのため、第3部分OR3及び上部電極E2は、トレンチT12内で絶縁層11に接している。
このような第1変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0046】
図8は、本実施形態の第2変形例を示す平面図である。図8に示す構成は、図2に示した構成と比較して、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3のレイアウトが異なっている。
【0047】
下部電極E11及びE12は、第2方向Yに並んでいる。下部電極E13は、下部電極E11及びE12の第1方向Xに並んでいる。
【0048】
絶縁層12は、第2方向Yに延出し第1方向Xに並んだトレンチT15、T16、T17と、第1方向Xに延出し第2方向Yに並んだトレンチT23、T24、T25と、を有している。トレンチT16は、第1開口部OP1及び第2開口部OP2と、第3開口部OP3との間に位置している。トレンチT15は、第1開口部OP1及び第2開口部OP2を挟んでトレンチT16の反対側に位置している。トレンチT17は、第3開口部OP3を挟んでトレンチT16の反対側に位置している。トレンチT23は、トレンチT15乃至T17に繋がっている。トレンチT24は、トレンチT15及びT16に繋がっている。トレンチT25は、トレンチT15乃至T17に繋がっている。トレンチT23は、第1開口部OP1、第2開口部OP2、及び、第3開口部OP3を挟んでトレンチT25の反対側に位置している。トレンチT24は、第1開口部OP1と第2開口部OP2との間に位置している。
【0049】
それぞれのトレンチは、平面視で隣り合う下部電極に重畳していない。第1方向Xにおいて、下部電極E11及びE12はトレンチT15とT16との間に位置し、下部電極E13はトレンチT16とT17との間に位置している。また、第2方向Yにおいて、下部電極E11はトレンチT23とT24との間に位置し、下部電極E12はトレンチT24とT25との間に位置し、下部電極E13はトレンチT23とT25との間に位置している。
【0050】
副画素SP1及び副画素SP2は第2方向Yに並び、副画素SP1及び副画素SP3は第1方向Xに並び、副画素SP2及び副画素SP3は第1方向Xに並んでいる。副画素SP1は第1方向Xに延びた略長方形状に形成され、副画素SP2及び副画素SP3は第2方向Yに延びた略長方形状に形成されている。副画素SP1乃至SP3の発光色は互いに異なっている。また、副画素SP1乃至SP3の各々の面積は、互いに異なっている。副画素SP2の面積は副画素SP1の面積より大きく、副画素SP3の面積は副画素SP2の面積より大きい。なお、副画素SP1の面積は、副画素SP2の面積と同一であってもよい。
このような第2変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0051】
図9は、本実施形態の第3変形例を示す平面図である。図9に示す構成は、図2に示した構成と比較して、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3のレイアウトが異なっている。図9に示す方向DR1は、第2方向Yに対して反時計回りに角度θ1で傾斜しており、図9に示す方向DR2は、第2方向Yに対して時計回りに角度θ2で傾斜している。
【0052】
絶縁層12は、方向DR1に延出し方向DR2に並んだ複数のトレンチT1と、方向DR2に延出し方向DR1に並んだ複数のトレンチT2と、を有している。複数の下部電極E11と複数の第1開口部OP1は、それぞれ複数の赤色の副画素SP1に位置している。複数の下部電極E12と複数の第2開口部OP2は、それぞれ複数の緑色の副画素SP2に位置している。複数の下部電極E13と複数の第3開口部OP3は、それぞれ複数の青色の副画素SP3に位置している。
【0053】
複数の下部電極E11及びE12は、隣り合う2つのトレンチT1の間において方向DR1に交互に並んでいる。また、複数の下部電極E12及びE13は、隣り合う2つのトレンチT1の間において方向DR1に交互に並んでいる。複数の下部電極E11及びE12は、隣り合う2つのトレンチT2の間において方向DR2に交互に並んでいる。また、複数の下部電極E12及びE13は、隣り合う2つのトレンチT2の間において方向DR2に交互に並んでいる。それぞれのトレンチT1及びT2は、平面視で隣り合う下部電極に重畳していない。
【0054】
副画素SP1及びSP3は略正方形状に形成され、一部の副画素SP2は方向DR1に延びた略長方形状に形成され、他の副画素SP2は方向DR2に延びた略長方形状に形成されている。また、副画素SP1乃至SP3の各々の面積は、互いに異なっている。副画素SP3の面積は副画素SP1の面積より大きく、副画素SP1の面積は副画素SP2の面積より大きい。
このような第3変形例においても上記したのと同様の効果を得ることができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示品位の低下を抑制することが可能な表示装置を得ることができる。
【0056】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
DSP…表示装置、10…基材、11、12…絶縁層、
E11、E12、E13…下部電極、
OP1…第1開口部、OP2…第2開口部、OP3…第3開口部、
T11~T17、T21~T25…トレンチ、
EL…発光層、E2…上部電極、BS…底面、SS1…第1側面、SS2…第2側面、
UP…上部、GP1、GP2…間隔、SF1…第1面、SF2…第2面、
OR…有機層、OR1…第1部分、OR2…第2部分、OR3…第3部分、
L1…第1層、L2…第2層、L3…第3層、
EG11、EG12、EG21、EG22…端部、
DA…表示領域、NDA…非表示領域、51、52…電源線、6…周辺電極。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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