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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112308
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】ファスナー付き靴
(51)【国際特許分類】
   A43C 11/12 20060101AFI20220726BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A43C11/12
A43B23/02 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008085
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】390010571
【氏名又は名称】株式会社リーガルコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 敦史
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC25
4F050BC33
4F050HA01
4F050HA05
4F050HA20
4F050LA01
(57)【要約】
【課題】 従来のファスナー付き靴に比べて、履いた時のホールド力が強く、型崩れが生じにくいファスナー付き靴を提供することにある。
【解決手段】 本発明のファスナー付き靴は、履き口21を広げられるように当該履き口21の周縁22にかかる位置に形成された切れ込み24と、当該切れ込み24を開閉するファスナー25を備えたファスナー付き靴であって、切れ込み24及びファスナー25が履き口21の周縁22の内側部から斜め後方下向きに設けられたものである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履き口を広げられるように当該履き口の周縁にかかる位置に形成された切れ込みと、当該切れ込みを開閉するファスナーを備えたファスナー付き靴において、
前記切れ込み及びファスナーが履き口の周縁の内側部から斜め後方下向きに設けられた、
ことを特徴とするファスナー付き靴。
【請求項2】
請求項1記載のファスナー付き靴において、
踵部にカウンタが設けられ、
切れ込み及びファスナーが前記カウンタよりも手前側に設けられた、
ことを特徴とするファスナー付き靴。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のファスナー付き靴において、
切れ込み及びファスナーの上端が履き口の内側第二周縁又は内側第三周縁に設けられた、
ことを特徴とするファスナー付き靴。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のファスナー付き靴において、
切れ込み及びファスナーの下端が履き口の内側第二周縁又は内側第三周縁に設けられた、
ことを特徴とするファスナー付き靴。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のファスナー付き靴において、
切れ込み及びファスナーの内側に保護材が設けられた、
ことを特徴とするファスナー付き靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の脱ぎ履きを容易にするためのファスナーを備えたファスナー付き靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファスナー付き靴として、履き口の踵部にファスナーが垂直に設けられたもの(特許文献1)や、履き口の踝部にファスナーが垂直に設けられたもの(特許文献2)、履き口の甲部にファスナーが設けられたもの(特許文献3)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-130284号公報
【特許文献2】特開2014-23899号公報
【特許文献3】実用新案登録第3196855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のファスナー付き靴では踵部が分断されるため、靴を履いたときの踵部のホールド力が弱いという難点がある。また、前記特許文献2のファスナー付き靴では履き口が広がりにくく、靴の脱ぎ履きのしやすさという点で改善の余地がある。
【0005】
前記特許文献3のファスナー付き靴では、踵部に比べて柔らかい甲部に切れ込みが入るため履き口を広げやすいが、履き口が繰り返し広げられることによって甲部に型崩れが生じ、靴を履いたときのホールド力が弱くなることがある。シューレース(靴ひも)が併設されている場合、靴ひもをきつく縛ることでホールド力を得られるが、靴ひもをきつく縛ると、ファスナーが締まりにくくなる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、踵部にファスナーが垂直に設けられたものに比べてホールド力が強く、踝部にファスナーが垂直に設けられたものに比べて履き口を広げやすく、甲部にファスナーが設けられたものに比べて型崩れしにくいファスナー付き靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のファスナー付き靴は、履き口を広げられるように当該履き口の周縁にかかる位置に形成された切れ込みと、当該切れ込みを開閉するファスナーを備えたファスナー付き靴であって、切れ込み及びファスナーが履き口の周縁の内側部から斜め後方下向きに設けられたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のファスナー付き靴は、切れ込み及びファスナーが履き口の周縁の内側部から斜め後方下向きに設けられているため、踵部にファスナーが垂直に設けられたものに比べてホールド力が強く、踝部にファスナーが垂直に設けられたものに比べて履き口を広げやすく、甲部にファスナーが設けられたものに比べて型崩れしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は左足用の靴の内側と外側の区分けの説明図、(b)は右足用の靴の内側と外側の区分けの説明図。
図2】(a)は左足用の靴の履き口の周縁部の区分けの説明図、(b)は右足用の靴の履き口の周縁部の区分けの説明図。
図3】(a)は右足用の靴の内側の領域の区分けの説明図、(b)は右足用の靴の外側の領域の区分けの説明図。
図4】本発明のファスナー付き靴(右足用)の一例を示す斜視図。
図5】(a)は図4のファスナー付き靴のファスナーを閉じた状態の側面図、(b)は図4のファスナー付き靴のファスナーを開いた状態の側面図。
図6】(a)(b)は踵部に設けられたカウンタの説明図。
図7】(a)は本発明のファスナー付き靴の一例を示す正面図、(b)は(a)の背面図。
図8】(a)は図7(a)に示すファスナー付き靴の左側面図、(b)は図7(a)の右側面図。
図9】(a)は図7(a)に示すファスナー付き靴の平面図、(b)は図7(a)の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明のファスナー付き靴の実施形態の説明に先立ち、本願で使用する用語の意味について説明する。図1(a)(b)に示すように、本願では、左足用の靴について、つま先側を前、踵側を後、左側を外側、右側を内側といい、右足用の靴については、つま先側を前、踵側を後、右側を外側、左側を内側という。
【0011】
また、履き口21の周縁22について、図2(a)(b)に示すように、履き口21を左右に二分する履き口縦線L1、履き口21を前後に二分する履き口横線L2、履き口21を斜めに二分する履き口第一斜め線L3及び履き口第二斜め線L4によって履き口21の周縁22を形式的に区分けし、内側の前側から内側第一周縁22a、内側第二周縁22b、内側第三周縁22c、内側第四周縁22dといい、外側の前側から外側第一周縁22e、外側第二周縁22f、外側第三周縁22g、外側第四周縁22hという。
【0012】
前記履き口縦線L1は履き口横線L2と直交する線、履き口第一斜め線L3は履き口第二斜め線L4と直交する線であり、履き口縦線L1、履き口横線L2、履き口第一斜め線L3、履き口第二斜め線L4が、隣接する線のなす角が均等になる角度で交差するようにしてある。
【0013】
また、履き口21の下側の領域について、図3(a)(b)に示すように、内側第一周縁22aの下側の領域を内側第一領域23a、内側第二周縁22bの下側の領域を内側第二領域23b、内側第三周縁22cの下側の領域を内側第三領域23c、内側第四周縁22dの下側の領域を内側第四領域23d、外側第一周縁22eの下側の領域を外側第一領域23e、外側第二周縁22fの下側の領域を外側第二領域23f、外側第三周縁22gの下側の領域を外側第三領域23g、外側第四周縁22hの下側の領域を外側第四領域23hという。
【0014】
以下、これらの用語を用いて本実施形態のファスナー付き靴について説明する。
【0015】
一例として図4に示すファスナー付き靴は、ソール10とアッパー20を備えた短靴である。ここでいう短靴とは踝が露出する深さの靴をいい、紳士靴や婦人靴のほか子供靴等も含まれる。また、靴の素材にも特に限定はなく、天然皮革製のものや合成皮革製のもの、天然繊維製のもの、合成繊維製のもの等が含まれる。
【0016】
前記アッパー20には、着用者が足を出し入れするための履き口21が設けられている。履き口21には履き口21を広げられるようにするための切れ込み24が設けられている。図5(a)(b)に示すように、切れ込み24は履き口21の周縁22にかかる位置から斜め後方下向きに設けられている。具体的には、図3(a)に示すように、切れ込み24の上端24aが履き口21の内側第二周縁22bに位置し、下端24bが内側第三領域23cに位置するようにしてある。
【0017】
ここで示す切れ込み24の位置は一例であり、履き口21の周縁22にかかる位置から斜め後方下向きに設けられている限り、切れ込み24の上端24aと下端24bはこれ以外の位置に設けることもできる。たとえば、切れ込み24の上端24aが内側第二周縁22b(図3(a))に位置し、下端24bが内側第二領域23b(図3(a))に位置するようにしたり、切れ込み24の上端24aが内側第三周縁22c(図3(a))に位置し、下端24bが内側第三領域23c(図3(a))に位置するようにしたりすることもできる。
【0018】
前記切れ込み24の周縁には、当該切れ込み24を開閉するためのファスナー25が設けられている。ファスナー25はスライダ25aを切れ込み24の上端24a側にスライドさせることでエレメント(務歯)25bが閉じ、スライダ25aを切れ込み24の下端24b側にスライドさせることでエレメント25bが開く向きで設けられている。
【0019】
図5(a)(b)に示すように、この実施形態のファスナー付き靴の履き口21は、ファスナー25によって切れ込み24が閉じている状態の広さW1に比べ、切れ込み24が開いている状態の広さW2の方が広いため、ファスナー25を下げて切れ込み24を開くことで履き口21に足を入れやすくなる。
【0020】
切れ込み24の周縁の内側(履き口21の内周面側)には、ファスナー25が着用者の足に当たるのを防止する保護材26(図5(b))が設けられている。この実施形態では、革材を用いている。革材は踵側の周縁が切れ込み24の踵側の周縁に縫い付けによって固定されている。保護材26は、踵側とつま先側の双方の周縁を切れ込み24の両周縁に縫い付けによって固定することができる。保護材26は革材以外であってもよく、たとえば、伸縮性を有する布材などを用いることもできる。
【0021】
保護材26の材質は布材以外であってもよく、革材(天然皮革及び合成皮革を含む)やその他の素材製とすることもできる。また、保護材26は、常に切れ込み24の両周縁に縫い付ける必要はなく、切れ込み24の一方の周縁に縫い付けることもできる。
【0022】
前記履き口21の前方側には、シューレースホール(靴ひも孔)27aを備えた左右の羽根27が設けられている。両羽根の靴ひも孔27aにはシューレース(靴ひも)28が通されている。両羽根27の内側にはタン29が設けられている。
【0023】
図6(a)(b)に示すように、この実施形態のファスナー付き靴は、踵部にいわゆる月形芯(カウンタ)30が設けられている。この実施形態のカウンタ30は平面視三日月状であり、靴の内側のファスナー25の下端よりも後方の位置から踵部を通って、靴の外側に至る位置に設けられている。この実施形態では、カウンタ30として、左右非対称のもの、具体的には、靴の内側に宛がわれる部分よりも外側に宛てがわれる部分の方が長いものを用いている。
【0024】
踵部にファスナー25が設けられた従来のファスナー付き靴では踵部が分断されるため、着用者の踵部のホールド力が不十分となり、歩行時に靴が脱げることがある。これに対して、この実施形態のファスナー付き靴では、踵部が分断されないように踵部の中心を覆うように靴の内側から外側に至る部分にカウンタ30が設けられているため、十分なホールド力が得られる。
【0025】
この実施形態のファスナー付き靴には、踵部に垂直にファスナーが設けられたものに比べて履いた時のホールド力が高いこと、踝部に垂直にファスナーが設けられたものに比べて履き口を広げやすく履きやすいこと、甲部にファスナーが設けられたものに比べて型崩れが生じにくいことのほか、次のような効果が期待できる。
【0026】
高齢化や長寿命化が進む昨今は、年配者のファッション嗜好が若返っており、デザイン性に劣るファスナー付き靴に対する抵抗感が強まっている。本発明のファスナー付き靴では、切れ込み24及びファスナー25が第三者から見えにくく、目立ちにくい靴の内側に設けられているため、見栄えを気にしてファスナー付き靴を敬遠していた人達でも、抵抗なく履くことができる。
【0027】
また、この実施形態のファスナー付き靴では、切れ込み24及びファスナー25を靴の内側に斜め後方下向きに設けられているため、靴を脱ぐ際に反対の足でファスナー25を下げることができる。筋力の衰えた高齢者や腰痛持ちの人にとっては靴の脱ぎ履きに際して腰を曲げるのはつらいが、本発明のファスナー付き靴であれば腰を曲げずに脱ぐことができる。ファスナー25を足で下げる際にファスナー25が着用者の足側に押されることもあるが、切れ込み24の内側に保護材26を設けた場合には、保護材26によって足が保護される。
【0028】
なお、本実施形態のファスナー付き靴は、意匠的には図7(a)(b)~図9(a)(b)に示すような外観を備えている。図7(a)は本実施形態のファスナー付き靴の正面図、図7(b)は図7(a)の背面図、図8(a)は図7(a)の左側面図、図8(b)は図7(a)の右側面図、図9(a)は図7(a)の平面図、図9(b)は図7(a)の底面図である。本発明のファスナー付き靴の特徴的な部分は履き口21の周縁22から斜め後方下向きに設けられたファスナー25の部分であり、他の部分は任意のデザインとすることができる。
【0029】
前記実施形態の構成は一例であり、本発明のファスナー付き靴は発明の要旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形、変更が可能である。また、前記実施形態の各構成はすべてが必須の構成というわけではなく、不要な構成は適宜省略又は変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のファスナー付き靴は、紳士靴や婦人靴のほか、子供靴など、各種短靴として利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 ソール
20 アッパー
21 履き口
22 周縁
22a 内側第一周縁
22b 内側第二周縁
22c 内側第三周縁
22d 内側第四周縁
22e 外側第一周縁
22f 外側第二周縁
22g 外側第三周縁
22h 外側第四周縁
23a 内側第一領域
23b 内側第二領域
23c 内側第三領域
23d 内側第四領域
23e 外側第一領域
23f 外側第二領域
23g 外側第三領域
23h 外側第四領域
24 切れ込み
24a 上端
24b 下端
25 ファスナー
25a スライダ
25b エレメント(務歯)
26 保護材
27 羽根
27a シューレースホール(靴ひも孔)
28 シューレース(靴ひも)
29 タン
30 月形芯(カウンタ)
L1 履き口縦線
L2 履き口横線
L3 履き口第一斜め線
L4 履き口第二斜め線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9