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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112344
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】相間絶縁部材、固定子および電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
H02K3/34 Z
H02K3/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008149
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 将広
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604CC16
5H604DB26
5H604PB02
(57)【要約】
【課題】固定子の絶縁特性を向上させることができる相間絶縁部材を提供する。
【解決手段】本体部110は、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿ってV字状に折り曲げられている第1の本体部分111と第2の本体部分112を有している。第1の本体部分111は、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿った一方側(他方側)に、第2の折り曲げ線100B(第3の折り曲げ線100C)に沿って、第2の本体部分112と反対側に折り曲げられている第1の折り曲げ部120(第2の折り曲げ部130)を有している。第2の本体部分112は、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿った一方側(他方側)に、第4の折り曲げ線100D(第5の折り曲げ線100E)に沿って、第1の本体部分111と反対側に折り曲げられている第3の折り曲げ部140(第4の折り曲げ部150)を有している。第1の本体部分111(第2の本体部分112)は、第1の折り曲げ線100Aと反対側に延在部111B(112B)を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置される相間絶縁部材であって、
第1の折り曲げ線の延在方向に沿ってV字状に折り曲げられている第1の本体部分と第2の本体部分を有する本体部と、
前記第1の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った一方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第2の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第2の本体部分と反対側に折り曲げられている第1の折り曲げ部と、
前記第1の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った他方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第3の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第2の本体部分と反対側に折り曲げられている第2の折り曲げ部と、
前記第2の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った前記一方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第4の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第1の本体部分と反対側に折り曲げられている第3の折り曲げ部と、
前記第2の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った前記他方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第5の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第1の本体部分と反対側に折り曲げられている第4の折り曲げ部と、を備えていることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項2】
請求項1に記載の相間絶縁部材であって、
前記第1の本体部分、前記第1の折り曲げ部および前記第2の折り曲げ部は、それぞれ前記第1の折り曲げ線と反対側に第1の縁部、第2の縁部および第3の縁部を有し、
前記第1の縁部と前記第1の折り曲げ線との間の長さは、前記第1の縁部が、前記第2の縁部および前記第3の縁部より、前記第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されており、
前記第2の本体部分、前記第3の折り曲げ部および前記第4の折り曲げ部は、それぞれ前記第1の折り曲げ線と反対側に第4の縁部、第5の縁部および第6の縁部を有し、
前記第4の縁部と前記第1の折り曲げ線との間の長さは、前記第4の縁部が、前記第5の縁部および前記第6の縁部より、前記第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されていることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の相間絶縁部材であって、
前記第2~第5の折り曲げ線は、前記第1の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に延在し、
前記第2の折り曲げ部の、前記第3の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さおよび前記第4の折り曲げ部の、前記第5の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さが、前記第1の折り曲げ部の、前記第2の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さおよび前記3の折り曲げ部の、前記第4の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さより長くなるように設定されていることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項4】
固定子コアと、樹脂ボビンと、固定子巻線と、相間絶縁部材と、を備え、
前記固定子コアは、周方向に沿って延在するヨークと、前記ヨークから径方向に沿って径方向内側に延在するティース基部および前記ティース基部の先端側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部により構成される複数のティースを有し、
前記樹脂ボビンは、前記固定子コアの軸方向両側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在する外壁部と、前記外壁部より径方向内側に配置され、軸方向及び周方向に沿って延在する複数の内壁部と、径方向に沿って延在し、前記外壁部と前記各内壁部を連結する複数の連結部と、を有し、
前記固定子巻線は、前記樹脂ボビンが、前記樹脂ボビンの外壁部、連結部および内壁部が、前記固定子コアの前記ヨーク、前記ティース基部および前記ティース先端部に対向するように前記固定子コアの軸方向両側に配置された状態で前記各ティースに巻き付けられ、
前記相間絶縁部材は、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置される固定子であって、
前記相間絶縁部材は、
第1の折り曲げ線の延在方向に沿ってV字状に折り曲げられている第1の本体部分と第2の本体部分を有する本体部と、
前記第1の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った一方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第2の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第2の本体部分と反対側に折り曲げられている第1の折り曲げ部と、
前記第1の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った他方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第3の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第2の本体部分と反対側に折り曲げられている第2の折り曲げ部と、
前記第2の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った前記一方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第4の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第1の本体部分と反対側に折り曲げられている第3の折り曲げ部と、
前記第2の本体部分の、前記第1の折り曲げ線の延在方向に沿った前記他方側に設けられ、前記第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第5の折り曲げ線の延在方向に沿って、前記第1の本体部分と反対側に折り曲げられている第4の折り曲げ部と、を備え、
前記相間絶縁部材の前記第1の本体部分と前記第2の本体部分は、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置され、
前記相間絶縁部材の前記第1の折り曲げ部は、前記隣接するティースのうちの周方向一方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と当該ティースのティース先端部との間に配置され、
前記相間絶縁部材の前記第2の折り曲げ部は、前記周方向一方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と前記ヨークとの間に配置され、
前記相間絶縁部材の前記第3の折り曲げ部は、前記隣接するティースのうちの周方向他方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と当該ティースのティース先端部との間に配置され、
前記相間絶縁部材の前記第4の折り曲げ部は、前記周方向他方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と前記ヨークとの間に配置されていることを特徴とする固定子。
【請求項5】
請求項4に記載の固定子であって、
前記相間絶縁部材の前記第1の本体部分、前記第1の折り曲げ部および前記第2の折り曲げ部は、それぞれ前記第1の折り曲げ線と反対側に第1の縁部、第2の縁部および第3の縁部を有し、
前記第1の縁部と前記第1の折り曲げ線との間の長さは、前記第1の縁部が、前記第2の縁部および前記第3の縁部より、前記第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されており、
前記相間絶縁部材の前記第2の本体部分、前記第3の折り曲げ部および前記第4の折り曲げ部は、それぞれ前記第1の折り曲げ線と反対側に第4の縁部、第5の縁部および第6の縁部を有し、
前記第4の縁部と前記第1の折り曲げ線との間の長さは、前記第4の縁部が、前記第5の縁部および前記第6の縁部より、前記第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されており、
前記樹脂ボビンの前記内壁部は、周方向一方側に、周方向一方側および前記固定子コア側が開口している第1の切欠部を形成する第1の段差面を有し、周方向他方側に、周方向他方側および前記固定子コア側が開口している第2の切欠部を形成する第2の段差面を有し、
前記相間絶縁部材は、前記第1の折り曲げ部の前記第2の縁部が、前記周方向一方側に形成されている前記ティースの前記ティース先端部に対向する位置に配置されている、前記樹脂ボビンの前記内壁部の前記第2の段差面に当接し、前記第3の折り曲げ部の前記第4の縁部が、前記周方向他方側に形成されている前記ティースの前記ティース先端部に対向する位置に配置されている、前記樹脂ボビンの前記内壁部の前記第1の段差面に当接するように構成されていることを特徴とする固定子。
【請求項6】
請求項4または5に記載の固定子であって、
前記第2~第5の折り曲げ線は、前記第1の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に延在し、
前記第2の折り曲げ部の、前記第3の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さおよび前記第4の折り曲げ部の、前記第5の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さが、前記第1の折り曲げ部の、前記第2の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さおよび前記3の折り曲げ部の、前記第4の折り曲げ線の延在方向と直交する方向に沿った長さより長くなるように設定されていることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項7】
固定子と、前記固定子に対して回転可能に支持されている回転子を備える電動機であって、前記固定子として、請求項4~6のうちのいずれか一項に記載の固定子が用いられていることを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相間絶縁部材を有する固定子あるいは電動機の絶縁特性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機を構成する固定子は、絶縁特性を向上させるために、固定子コアの、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に相間絶縁部材が配置されている。例えば、特許文献1には、短冊形状の中央部をV字状に折り曲げ、V字状の両側に、L字状に伸びる折り曲げ部を設けた相間絶縁部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-339130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば、電気自動車において、電動機の小型高出力化のために、電動機の駆動電圧の高圧化が検討されている。このため、電導機の駆動電圧の高圧化の一環として、電動機の絶縁特性をより向上させる(絶縁耐力を高める)ことができる相間絶縁部材の開発が要望されている。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、相間絶縁部材を有する固定子あるいは電動機の絶縁特性を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は、相間絶縁部材に関する。本発明の相間絶縁部材は、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置される。
本発明の相間絶縁部材は、本体部と、第1~第4の折り曲げ部を有している。相間絶縁部材は、公知の種々の樹脂製の絶縁フィルムにより形成される。
本体部は、第1の本体部分と第2の本体部分を含む絶縁フィルムを、第1の本体部分と第2の本体部分の間の第1の折り曲げ線に沿ってV字状に折り曲げることによって形成される。本体部を形成する絶縁フィルムは、例えば、矩形状(「略矩形状」を含む)を有する。また、第1の折り曲げ線は、例えば、矩形状の絶縁フィルムの中央に、直線状(「略直線状」を含む)に延在する。
第1の折り曲げ部および第2の折り曲げ部は、第1の本体部分の、第1の折り曲げ線の延在方向に沿った一方側および他方側に設けられる。第1の折り曲げ部は、第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第2の折り曲げ線の延在方向に沿って、第2の本体部分と反対側に折り曲げられている。第2の折り曲げ部は、第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第3の折り曲げ線の延在方向に沿って、第2の本体部分と反対側に折り曲げられている。
第3の折り曲げ部および第4の折り曲げ部は、第2の本体部分の、第1の折り曲げ線の延在方向に沿った一方側および他方側に設けられる。第3の折り曲げ部は、第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第4の折り曲げ線の延在方向に沿って、第1の本体部分と反対側に折り曲げられている。第4の折り曲げ部は、第1の折り曲げ線の延在方向と交差する方向に沿って延在する第5の折り曲げ線の延在方向に沿って、第1の本体部分と反対側に折り曲げられている。
第2~第5の折り曲げ線の延在方向は、例えば、第1の折り曲げ線の延在方向と直交する(「略直交する」を含む)方向に設定される。この場合、第1の本体部分、第1の折り曲げ部および第2の折り曲げ部は、コ字状に配置される。同様に、第2の本体部分、第3の折り曲げ部および第4の折り曲げ部は、コ字状に配置される。
第1発明の相間絶縁部材では、第1の本体部分と第2の本体部分によって、隣接するティースによって形成されるスロット内の中央部における絶縁特性を向上させることができ、第1の折り曲げ部と第3の折り曲げ部によって、スロット内の径方向外側と径方向内側の一方側における絶縁特性を向上させることができ、第2の折り曲げ部と第4の折り曲げ部によって、スロット内の径方向内側と径方向外側の他方側における絶縁特性を向上させることができる。
第1発明の第1の異なる形態では、第1の本体部分、第1の折り曲げ部および第2の折り曲げ部は、それぞれ第1の折り曲げ線と反対側に第1の縁部、第2の縁部および第3の縁部を有している。そして、第1の縁部と第1の折り曲げ線との間の長さは、第1の縁部が、第2の縁部および第3の縁部より、第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されている。すなわち、第1の本体部分は、第1の折り曲げ部の第2の縁部および第2の折り曲げ部の第3の縁部より、第1の折り曲げ線と反対側に延在する第1の延在部を有している。
また、第2の本体部分、第3の折り曲げ部および第4の折り曲げ部は、それぞれ第1の折り曲げ線と反対側に第4の縁部、第5の縁部および第6の縁部を有している。そして、第4の縁部と第1の折り曲げ線との間の長さは、第4の縁部が、第5の縁部および第6の縁部より、第1の折り曲げ線と反対側に離れた位置に配置されるように設定されている。すなわち、第2の本体部分は、第3の折り曲げ部の第5の縁部および第4の折り曲げ部の第6の縁部より、第1の折り曲げ線と反対側に延在する第2の延在部を有している。
本形態では、第1の本体部分の第1の延在部および第2の本体部分の第2の延在部によって、第1の折り曲げ線と反対側の絶縁特性を向上させることができる。
第1発明の第2の異なる形態では、第2~第5の折り曲げ線は、第1の折り曲げ線の延在方向と直交(「略直交」を含む)する方向に延在している。そして、第2の折り曲げ部の、第3の折り曲げ線の延在方向と直交(「略直交」を含む)する方向に沿った長さおよび第4の折り曲げ部の、第5の折り曲げ線の延在方向と直交(「略直交」を含む)する方向に沿った長さが、第1の折り曲げ部の、第2の折り曲げ線の延在方向と直交(「略直交」を含む)する方向に沿った長さおよび第3の折り曲げ部の、第4の折り曲げ線の延在方向と直交(「略直交」を含む)する方向に沿った長さより長くなるように設定されている。
本形態では、第2の折り曲げ部および第4の折り曲げ部が配置される側における絶縁特性を向上させることができる。
第2発明は、固定子に関する。
第2発明の固定子は、固定子コア、樹脂ボビン、固定子巻線および相間絶縁部材を有している。
固定子コアは、周方向に沿って延在するヨークと、ヨークから径方向に沿って径方向内側に延在するティース基部およびティース基部の先端側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部により構成される複数のティースを有している。
樹脂ボビンは、固定子コアの軸方向両側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在する外壁部と、外壁部より径方向内側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在する複数の内壁部と、径方向に沿って延在し、外壁部と各内壁部を連結する複数の連結部を有している。樹脂ボビンは、公知の種々の絶縁特性を有する樹脂により形成される。
固定子巻線は、樹脂ボビンが、固定子コアの軸方向両側に、樹脂ボビンの外壁部、連結部および内壁部が、固定子コアのヨーク、ティース基部およびティース先端部に対向するように配置された状態で各ティースに巻き付けられる。すなわち、本発明の固定子では、固定子巻線が集中巻き方式で各ティースに巻き付けられる。
相間絶縁部材は、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置される。本発明では、相間絶縁部材として、前述した第1発明の相間絶縁部材が用いられている。
相間絶縁部材の第1の本体部分と第2の本体部分は、隣接するティースに巻き付けられている固定子巻線の間に配置される。相間絶縁部材の第1の折り曲げ部は、隣接するティースのうちの周方向一方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と当該ティースのティース先端部との間に配置される。相間絶縁部材の第2の折り曲げ部は、周方向一方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線とヨークとの間に配置される。相間絶縁部材の第3の折り曲げ部は、隣接するティースのうちの周方向他方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線と当該ティースのティース先端部との間に配置される。相間絶縁部材の第4の折り曲げ部は、周方向他方側に形成されているティースに巻き付けられている固定子巻線とヨークとの間に配置される。
第2発明の固定子では、第1の本体部分と第2の本体部分によって、隣接するティースによって形成されるスロット内の中央部における絶縁特性を向上させることができ、第1の折り曲げ部と第3の折り曲げ部によって、スロット内の径方向内側における絶縁特性を向上させることができ、第2の折り曲げ部と第4の折り曲げ部によって、スロット内の径方向外側における絶縁特性を向上させることができる。また、第1の折り曲げ部と第3の折り曲げ部を、固定子巻線とティース先端部との間に軸方向に沿って移動させ、第2の折り曲げ部と第4の折り曲げ部を、固定子巻線とヨークとの間に軸方向に沿って移動させることにより、第1の本体部分と第2の本体部分を、固定子巻線の間に容易に、安定して配置することができる。
第2発明の第1の異なる形態では、相間絶縁部材として、前述した第1発明の第1の異なる形態の相間絶縁部材が用いられている。
そして、樹脂ボビンの内壁部は、周方向一方側に、周方向一方側および固定子コア側が開口している第1の切欠部を形成する第1の段差面を有し、周方向他方側に、周方向他方側および固定子コア側が開口している第2の切欠部を形成する第2の段差面を有している。第1の切欠部および第2の切欠部は、例えば、径方向に連通するように形成される。第1の段差面は、例えば、周方向に沿って、固定子コアのコア端面と平行(「略平行」を含む)に延在する第1の周方向段差面と、軸方向に沿って延在する第1の軸方向段差面により形成される。第2の段差面は、例えば、周方向に沿って、固定子コアのコア端面と平行(「略平行」を含む)に延在する第2の周方向段差面と、軸方向に沿って延在する第2の軸方向段差面により形成される。
相間絶縁部材は、第1の折り曲げ部の第2の縁部が、周方向一方側に形成されているティースのティース先端部に対向する位置に配置されている、樹脂ボビンの内壁部の第2の段差面(例えば、第2の周方向段差面)に当接し、第3の折り曲げ部の第4の縁部が、周方向他方側に形成されているティースのティース先端部に対向する位置に配置されている、樹脂ボビンの内壁部の第1の段差面(例えば、第1の周方向段差面)に当接するように構成されている。
本形態では、第1の本体部分の第1の延在部と第2の本来部分の第2の延在部によって、軸方向に沿った、樹脂ボビン側における絶縁特性を向上させることができる。
第2発明の第2の異なる形態では、相間絶縁部材として、前述した第1発明の第2の異なる形態の相間絶縁部材が用いられている。
本形態では、固定子巻線とヨークとの間における絶縁特性をより向上させることができるとともに、第2の折り曲げ部および第4の折り曲げ部を保持する保持力を高めることができる。
第3発明は、電動機に関する。第3発明の電動機は、固定子と、固定子に対して回転可能に支持されている回転子を備えている。そして、固定子として前述した固定子のいずれかが用いられている。
本発明では、前述した固定子と同様の効果を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の相間絶縁部材を用いることにより、固定子あるいは電動機の絶縁特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の相間絶縁部材の一実施形態を形成する絶縁フィルムの形状を示す図である。
図2】一実施形態の相間絶縁部材の斜視図である。
図3図2を矢印III方向から見た斜視図である。
図4】一実施形態の相間絶縁部材を折り畳んだ状態を示す図である。
図5】本発明の電動機の一実施形態の斜視図である。
図6図5をVI-VI線方向から見た図である。
図7図6の矢印VIIで示される部分を拡大した図である。
図8図5の矢印VIIIで示される部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
本明細書では、「軸方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、回転子の回転中心線の延在方向を示す。回転中心線は、「固定子中心線」に対応する。「周方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心線を中心とする円周方向を示す。「径方向」という記載は、回転子が固定子に対して相対的に回転可能に配置されている状態において、軸方向に直角な断面で見て、回転中心線を通る方向を示す。「径方向内周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線側を示し、「径方向外周側」という記載は、径方向に沿って回転中心線と反対側を示す。
なお、樹脂ボビンに対しては、「軸方向」、「周方向」および「径方向」という記載は、樹脂ボビンが固定子コアの軸方向両側に配置されている状態における「軸方向」、「周方向」および「径方向」を示す。
【0009】
先ず、本発明の相間絶縁部材の一実施形態を、図1図4を参照して説明する。
一実施形態の相間絶縁部材200は、図1に示されている樹脂製の絶縁フィルム100を折り曲げて形成される。樹脂製の絶縁フィルム100としては、公知の種々の絶縁フィルムを用いることができる。
図1に示されている絶縁フィルム100は、本体部110、第1の折り曲げ部120、第2の折り曲げ部130、第3の折り曲げ部140、第4の折り曲げ部150を含んでいる。
本体部110は、x方向(図1では、左右方向)に平行に延在する外周部分101、104、y方向(図1では、上下方向)に平行に延在する外周部分101a、101b、104a、104b、107(107a、107b)および108(108a、108b)、y方向に平行に延在する第2~第5の折り曲げ線100B、100C、100Dおよび100Eにより形成される矩形状を有している。
【0010】
本体部110は、第1の本体部分111と第2の本体部分112を含んでいる。第1の本体部分111と第2の本体部分112は、本体部110のy方向に沿った中央に、x方向に平行に延在する第1の折り曲げ線100Aによって分割される。
【0011】
第1の折り曲げ部120は、第1の本体部分111の、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿って一方側(図1では、左側)に設けられている。第1の折り曲げ部120は、第2の折り曲げ線100B、x方向に沿って第2の折り曲げ線100Bと対向する外周部分102、y方向に沿って対向する外周部分102aと102bによって形成される。
第2の折り曲げ部130は、第1の本体部分111の、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿って他方側(図1では、右側)に設けられている。第2の折り曲げ部130は、第3の折り曲げ線100C、x方向に沿って第3の折り曲げ線100Cと対向する外周部分103、y方向に沿って対向する外周部分103aと103bによって形成される。
第3の折り曲げ部140は、第2の本体部分112の、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿って一方側(図1では、左側)に設けられている。第3の折り曲げ部140は、第4の折り曲げ線100D、x方向に沿って第4の折り曲げ線100Dと対向する外周部分105、y方向に沿って対向する外周部分105aと105bによって形成される。
第4の折り曲げ部150は、第2の本体部分112の、第1の折り曲げ線100Aの延在方向に沿って他方側(図1では、右側)に設けられている。第4の折り曲げ部150は、第5の折り曲げ線100E、x方向に沿って第5の折り曲げ線100Eと対向する外周部分106、y方向に沿って対向する外周部分106aと106bによって形成される。
なお、本実施形態では、第2の折り曲げ部130の幅(第3の折り曲げ線100Cの延在方向と直交する方向の長さ)mおよび第4の折り曲げ部150の幅(第5の折り曲げ線100Eの延在方向と直交する方向の長さ)mは、第1の折り曲げ部120の幅(第2の折り曲げ線100Bの延在方向と直交する方向の長さ)nおよび第3の折り曲げ部140の幅(第4の折り曲げ線100Dの延在方向と直交する方向の長さ)nより長くなるように設定(m>n)されている。
【0012】
第1の本体部分111の外周部分101と第1の折り曲げ線100Aとの間の長さは、第1の本体部分111の外周部分101が、第1の折り曲げ部120の外周部分102bおよび第2の折り曲げ部130の外周部分103bより、第1の折り曲げ線100Aと反対側に離れた位置に配置されるように設定されている。これにより、第1の本体部分111は、第1の折り曲げ部120の外周部分102bおよび第2の折り曲げ部130の外周部分103bより、第1の折り曲げ線100Aと反対側に延在する延在部111Bを有する。
第1の本体部分111は、第1の折り曲げ部120の外周部分102aおよび第2の折り曲げ部130の外周部分103aより第1の折り曲げ線100A側に、第1の折り曲げ線100A、外周部分107a、108aにより形成される接続部111Cを有している。
また、第1の本体部分111は、延在部111Bと接続部111Cの間に中央部111Aを有している。
第2の本体部分112の外周部分104と第1の折り曲げ線100Aとの間の長さは、第2の本体部分112の外周部分104が、第3の折り曲げ部140の外周部分105bおよび第4の折り曲げ部150の外周部分106bより、第1の折り曲げ線100Aと反対側に離れた位置に配置されるように設定されている。これにより、第2の本体部分112は、第3の折り曲げ部140の外周部分105bおよび第4の折り曲げ部150の外周部分106bより、第1の折り曲げ線100Aと反対側に延在する延在部112Bを有する。
第2の本体部分112は、第3の折り曲げ部140の外周部分105aおよび第4の折り曲げ部150の外周部分106aより第1の折り曲げ線100A側に、第1の折り曲げ線100A、外周部分107b、108bにより形成される接続部112Cを有している。
また、第2の本体部分112は、延在部112Bと接続部112Cの間に中央部112Aを有している。
【0013】
本体部110が、本発明の「本体部」に対応し、第1の本体部分111が、本発明の「第1の本体部分」に対応し、第2の本体部分112が、本発明の「第2の本体部分」に対応する。
第1の本体部分111の外周部分101が、本発明の「第1の本体部分の、第1の折り曲げ線と反対側の第1の縁部」に対応し、第1の折り曲げ部120の外周部分102bが、本発明の「第1の折り曲げ部の、第1の折り曲げ線と反対側の第2の縁部」に対応し、第2の折り曲げ部130の外周部分103bが、本発明の「第2の折り曲げ部の、第1の折り曲げ線と反対側の第3の縁部」に対応し、第2の本体部分112の外周部分104が、本発明の「第2の本体部分の、第1の折り曲げ線と反対側の第4の縁部」に対応し、第3の折り曲げ部140の外周部分105bが、本発明の「第3の折り曲げ部の、第1の折り曲げ線と反対側の第5の縁部」に対応し、第4の折り曲げ部150の外周部分106bが、本発明の「第4の折り曲げ部の、第1の折り曲げ線と反対側の第6の縁部」に対応する。
【0014】
次に、相間絶縁部材200を説明する。図2図3に、図1に示されている絶縁フィルム100を折り曲げて形成される相間絶縁部材200が示されている。なお、図3は、図2を矢印III方向から見た斜視図である。
本体部110を形成する第1の本体部分111と第2の本体部分112は、第1の折り曲げ線100Aに沿ってV字状に折り曲げられる。
第1の折り曲げ部120は、第2の折り曲げ線100Bに沿って、第2の本体部分112と反対側に折り曲げられる。第2の折り曲げ部130は、第3の折り曲げ線100Cに沿って、第2の本体部分112と反対側に折り曲げられる。これにより、第1の本体部分111、第1の折り曲げ部120および第2の折り曲げ部130は、第2の本体部分112と反対側が開口しているコ字状に配置される。
第3の折り曲げ部140は、第4の折り曲げ線100Dに沿って、第1の本体部分111と反対側に折り曲げられる。第4の折り曲げ部150は、第5の折り曲げ線100Eに沿って、第1の本体部分111と反対側に折り曲げられる。これにより、第2の本体部分112,第3の折り曲げ部140および第4の折り曲げ部150は、第1の本体部分111と反対側が開口しているコ字状に配置される。
【0015】
相間絶縁部材200を、後述する、固定子コア20のスロット26内に挿入する際には、第1の本体部分111の外周部分101と第2の本体部分112の外周部分104が近づくように相間絶縁部材200に外力を加える。
これにより、相間絶縁部材200は、図4に示されているように、T字状に折り畳まれる。
そして、折り畳んだ相間絶縁部材200を、第1の折り曲げ線100A側から、スロット26内に軸方向に沿って挿入する。
相間絶縁部材200をスロット26内に挿入した状態で、相間絶縁部材200への外力の印加を停止すると、相間絶縁部材200は、弾性復帰力によってスロット26内に保持される。
【0016】
次に、本発明の固定子の一実施形態を、図5図8を参照して説明する。図1は、一実施形態の固定子10の斜視図であり、図6は、図5のVI-VI線方向から見た断面図であり、図7は、図6の矢印VIIで示されている部分の拡大図であり、図8は、図5の矢印VIIIで示されている部分の拡大図である。なお、一実施形態の固定子10は、前述した相間絶縁部材200を用いている。また、図8では、固定子巻線の図示を省略している。
【0017】
本実施形態の固定子10は、固定子コア20、スロット絶縁部材30、固定子巻線40、樹脂ボビン50、相間絶縁部材200により構成されている。
固定子コア20は、複数の電磁鋼板を積層した積層体により構成され、軸方向一方側および軸方向他方側にコア端面20Aおよび20Bを有している。
固定子コア20は、軸方向に直角な断面(図5参照)で見て、周方向に沿って延在するヨーク21と、ヨーク21から径方向に沿って、径方向内側に延在する複数のティース22を有している。ティース22は、径方向に沿って延在するティース基部23と、ティース基部23の径方向内側に設けられ、周方向に沿って延在するティース先端部24を有している。ティース先端部24の径方向内側のティース先端面25によって、内側空間20aが形成される。
周方向に隣接するティース24によって、スロット26が形成される。
スロット絶縁部材30は、スロット26内に挿入される。スロット絶縁部材は、樹脂製の絶縁フィルムにより形成される。絶縁フィルムとしては、公知の種々の絶縁フィルムを用いることができる。
固定子巻線40は、スロット26内にスロット絶縁部材30が挿入され、固定子コア20の軸方向両側に樹脂ボビン50(後述する)が配置された状態で、各ティース22(詳しくは、ティース基部23)に巻き付けられる。すなわち、本実施形態の固定子10は、固定子巻線40が集中巻き方式で各ティース22に巻き付けられる集中巻き方式の固定子である。
なお、固定子コア20の内側空間20aには、回転子(図示省略)が回転可能に配置される。
固定子10と、内側空間20a内に回転可能に配置された回転子によって、本発明の電動機の一実施形態が構成される。
【0018】
樹脂ボビン50は、絶縁特性を有する樹脂により形成される。絶縁特性を有する樹脂としては、公知の種々の樹脂を用いることができる。
樹脂ボビン50は、図8に示されているように、外壁部60,複数の内壁部70および複数の連結部80を有している。
外壁部60は、軸方向および周方向に沿って延在している。内壁部は、外壁部60より径方向内側に配置され、軸方向および周方向に沿って延在している。連結部80は、径方向に沿って延在し、外壁部60と内壁部70を連結する。
本実施形態では、内壁部70は、周方向一方側(図8では左側)に切欠部73を有し、周方向他方側(図8では右側)に切欠部74を有している。
切欠部73は、周方向一方側および軸方向他方側(固定子コア20側)が開口している。図8では、切欠部73は、径方向内側および径方向外側にも開口している(径方向に連通している)。切欠部73は、段差面73a、73bによって形成されている。段差面73aは、周方向に沿って、固定子コア20のコア端面20Aと平行(「略平行」を含む)に延在し、段差面73bは、軸方向に沿って延在している。
切欠部74は、周方向他方側および軸方向他方側(固定子コア20側)が開口している。図8では、切欠部74は、径方向内側および径方向外側にも開口している(径方向に連通している)。切欠部74は、段差面74a、74bによって形成されている。段差面74aは、周方向に沿って、固定子コア20のコア端面20Aと平行(「略平行」を含む)に延在し、段差面74bは、軸方向に沿って延在している。
なお、内壁部の周方向一方側および周方向他方側に段差部を有する樹脂ボビンは、例えば、特開2012-55098号公報に開示されている。
【0019】
樹脂ボビン50の内壁部70の切欠部73が、本発明の「第1の切欠部」に対応し、内壁部70の段差面73a、73bが、本発明の「第1の切欠部を形成する第1の段差面」に対応する。なお、段差面73aが、本発明の「第1の周方向段差面」に対応し、段差面73bが、本発明の「第1の軸方向段差面」に対応する。
樹脂ボビン50の内壁部70の切欠部74が、本発明の「第2の切欠部」に対応し、内壁部70の段差面74a、74bが、本発明の「第2の切欠部を形成する第2の段差面」に対応する。なお、段差面74aが、本発明の「第2の周方向段差面」に対応し、段差面74bが、本発明の「第2の軸方向段差面」に対応する。
【0020】
次に、相間絶縁部材200を固定子コア20のスロット26内に挿入する動作を説明する。
先ず、相間絶縁部材200に外力を加え、図4に示されているように、T字状に折り畳む。
相間絶縁部材200を、T字状に折り畳んだ状態でスロット26内に挿入する。例えば、図5に示されているように、第1の折り曲げ線100A側(接続部111Cおよび112C側)を、スロット26の軸方向一方側に配置した状態で、相間絶縁部材200を軸方向に沿って軸方向他方側に移動させる。
この時、第1の折り曲げ部120と第3の折り曲げ部140は、固定子巻線40とティース先端部24との間を軸方向に沿って移動する。すなわち、第1の折り曲げ部120は、スロット26を形成するティース22のうち周方向一方側に配置(形成)されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40と当該周方向一方側に配置(形成)されているティース22のティース先端部24との間を軸方向に沿って移動する。第3の折り曲げ部130は、スロット26を形成するティース22のうち周方向他方側に配置(形成)されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40と当該周方向他方側に配置(形成)されているティース22のティース先端部24との間を軸方向に沿って移動する。
また、第2の折り曲げ部130と第4の折り曲げ部150は、固定子巻線40と固定子コア20のヨーク21との間を軸方向に沿って移動する。すなわち、第2の折り曲げ部130は、スロット26を形成するティース22のうち周方向一方側に配置(形成)されているティース22に巻き付けられている固定子巻線50とヨーク21との間を軸方向に沿って移動する。第4の折り曲げ部150は、スロット26を形成するティース22のうち周方向他方側に配置(形成)されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40とヨーク21との間を軸方向に沿って移動する。
これにより、相間絶縁部材200を、スロット26内に容易に、安定して挿入することができる。
【0021】
相間絶縁部材200のスロット26内への挿入が完了したら相間絶縁部材200への外力の印加を停止する。
これにより、相間絶縁部材200は、元の形状(V字状)に復帰する弾性復帰力によってスロット26内に保持される。
この時、図8に示されているように、第1の折り曲げ部120の外周部分102bが、周方向一方側に形成されているティース22のティース先端部24に対向する位置に配置されている、樹脂ボビン50の内壁部70の第2の段差面(第2の周方向段差面74a)に当接する。また、第3の折り曲げ部140の外周部分105bが、周方向他方側に形成されているティース22のティース先端部24に対向する位置に配置されている、樹脂ボビン50の内壁部70の第1の段差面(第1の周方向段差面73a)に当接する。
これにより、第1の本体部分111の延在部111Bおよび第2の本体部分112の延在部112Bが、樹脂ボビン50の内壁部70の第2の段差面74(第2の周方向段差面74a)および第1の段差面73(第1の周方向段差面74a)より、軸方向に沿って、固定子コア20と反対側に突出する。
【0022】
以上のようにして、相間絶縁部材200がスロット26内に挿入される。
この時、第1の本体部分111と第2の本体部分112によって、隣接するティース22に巻き付けられている固定子巻線40間の絶縁特性を向上させることができる。
また、第1の折り曲げ部120によって、周方向一方側に形成されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40と当該周方向一方側に形成されているティース22のティース先端部24との間の絶縁特性(径方向内側の絶縁特性)を向上させることができる。
また、第2の折り曲げ部130によって、周方向一方側に形成されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40とヨーク21との間の絶縁特性(径方向外側の絶縁特性)を向上させることができる。
また、第3の折り曲げ部140によって、周方向他方側に形成されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40と当該周方向他方側に形成されているティースのティース先端部24との間の絶縁特性(径方向内側の絶縁特性)を向上させることが
また、第4の折り曲げ部150によって、周方向他方側に形成されているティース22に巻き付けられている固定子巻線40とヨーク21との間の絶縁特性(径方向外側の絶縁特性)を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1の本体部分111および第2の本体部分112の、第1の折り曲げ線100Aと反対側に、第1の延在部111Bおよび第2の延在部112Bを設けている。そして、相間絶縁部材200がスロット26内に挿入された状態において、第1の本体部分111の第1の延在部111Bおよび第2の本体部分112の第2の延在部112Bが、軸方向に沿って、固定子コア20と反対側に突出するように構成されている。これにより、隣接するティース22に巻き付けられている固定子巻線40間の、軸方向の絶縁特性をより向上させることができる。
また、第2の折り曲げ部130および第4の折り曲げ部150の幅mが、第1の折り曲げ部120および第3の折り曲げ部140の幅nより大きく設定されている。これにより、固定子巻線とヨークとの間の絶縁特性(径方向外側の絶縁特性)をより向上させることができる。
【0023】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
相間絶縁部材、固定子について説明したが、本発明は、「固定子と、固定子に対して回転可能に支持されている回転子を備える電動機」として構成することもできる。
第2の折り曲げ部の幅および第4の折り曲げ部の幅を、第1の折り曲げ部の幅および第3の折り曲げ部の幅より大きく設定したが、同じ幅に設定することもできるし、第1の折り曲げ部の幅および第3の折り曲げ部の幅より小さく設定することもできる。
第1の本体部分および第2の本体部分に延在部を設けたが、延在部は省略することもできる。
相間絶縁部材の形状は、実施形態で説明した形状に限定されない。
樹脂ボビンの構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
実施形態で説明した構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0024】
10 固定子
20 固定子コア
20A、20B コア端面
20a 内側空間
21 ヨーク
22 ティース
23 ティース基部
24 ティース先端部
25 ティース先端面
26 スロット
26a スロット開口部
30 スロット絶縁部材
40 固定子巻線
50 樹脂ボビン
60 外壁部
70 内壁部
71、72 鍔部
73、74 切欠部
73a、73b、74a、74b 段差面
80 連結部
100 絶縁フィルム
100A~100E 折り曲げ線
101~108、101a~108a、101b~108b 外周部分
110 本体部
111 第1の本体部分
111A 中央部
111B 延在部
111C 接続部
112 第2の本体部分
112A 中央部
112B 延在部
112C 接続部
120~150 折り曲げ部
200 相間絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8