(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112401
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】口紅オーバーコート
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20220726BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220726BHJP
A61K 8/893 20060101ALI20220726BHJP
A61Q 1/04 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/25
A61K8/893
A61Q1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008240
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】中森 大貴
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC13
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】口紅のカップ等への色移り防止効果や口紅上に塗布した際のにじみ防止効果が向上した口紅オーバーコートを提供する。
【解決手段】(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコン 45.0~89.0質量%と、(B)煙霧状無水ケイ酸 1.0~10.0質量%と、(C)部分架橋型オルガノポリシロキサン 5.0~35.0質量%と、(D)ポリメチルシルセスキオキサン 5.0~30.0質量%と、を含有し、その他油性成分の含有量が30.0質量%未満である口紅オーバーコートである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)100~500センチストークのジメチコン 45.0~89.0質量%と、
(B)煙霧状無水ケイ酸 1.0~10.0質量%と、
(C)部分架橋型オルガノポリシロキサン 5.0~35.0質量%と、
(D)ポリメチルシルセスキオキサン 5.0~30.0質量%と、を含有し、
その他油性成分の含有量が30.0質量%未満であることを特徴とする口紅オーバーコート。
【請求項2】
前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンが、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーおよび(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーよりなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の口紅オーバーコート。
【請求項3】
前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの平均粒子径が、0.5~30μmである請求項1または請求項2に記載の口紅オーバーコート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅オーバーコートに関し、特に、口紅のカップ等への色移り防止効果や口紅上に塗布した際のにじみ防止効果が向上した口紅オーバーコートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の口紅は、唇への色の付着や保湿だけでなく、カップ等への色移りが少ない機能が求められている。しかしながら、口紅だけでカップ等への色移りを防止することは困難である。そのため、口紅の上に塗布する口紅オーバーコートが使用されている。
【0003】
かかる口紅オーバーコートは、従来から口紅等の口唇化粧料の化粧持ち向上、色写り防止のために使用され、フッ素処理粉体、フッ素変性オイルを使用した物などが知られている。また、新型コロナウィルスの流行によりマスク着用が日常となっているため、口紅等のマスクへ色写りを防止するための二次付着レス効果のある化粧料や、化粧料の上に塗布して二次付着を防ぐための口紅オーバーコート化粧料の需要が高まっている。
【0004】
このような技術としては、特許文献1には、(a)液状フッ素系油剤および(b)ゲル化剤としての、重合度1~200でありかつ一方の分子鎖末端にハロゲン原子を有する反応性アルキルポリシロキサンで表面処理を施したシリカ粉末を含有する口紅オーバーコートが、開示されている。また、特許文献2には、(A)部分架橋型フッ素変性オルガノポリシロキサン重合物と、B)フルオロアルキル基含有環状オルガノポリシロキサンと、C)有機粉体とを配合する口紅オーバーコートが、開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、50.0~95.0質量%の25℃における粘度が100~1000csであるメチルフェニルポリシロキサン、及び、0.1~10.0質量%の無水ケイ酸、及び、0.1~50.0質量%のポリメチルシルセスキオキサン粒子を含有する油性リップコートが、開示され、特許文献4には、特定の構造の(A)ポリウレタンおよび(B)エステル油フェニル基含有シリコーン油から選択される1種または2種以上の液状油を含有する油性化粧料が、開示されている。また、特許文献5には、(a)ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物と(b)揮発性シリコーン油と、(c)有機シリコーン樹脂と、を配合する油性化粧料が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-193750号公報
【特許文献2】特開2006-273827号公報
【特許文献3】特開2010-24163号公報
【特許文献4】特開2020-33339号公報
【特許文献5】特開2007-269763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、にじみ防止効果、撥水撥油効果及び二次付着防止効果について検討されてはいるが、十分なにじみ防止効果を得ることができるものではなかった。さらに、特許文献2に記載されている技術は、口紅化粧膜の防止や耐移行性等ついて検討されてはいるが、十分なにじみ防止効果を得ることができるものではなかった。さらに、フッ素変性オイルを使用しているため、人体や環境への影響が大きく、改善策が求められていた。
【0008】
また、特許文献3および特許文献4に記載されている技術は、カップなどへの色移りやにじみについて検討されているが、特許文献3および特許文献4に記載されている構成では、十分な効果が得られるものではなかった。さらに、特許文献5に記載されている技術は、色移り防止効果について検討されているが、特許文献5に記載されている構成では、十分な効果が得られるものではなかった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、口紅のカップ等への色移り防止効果や口紅上に塗布した際のにじみ防止効果が向上した口紅オーバーコートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の粘度のジメチコン、煙霧状無水ケイ酸、部分架橋型オルガノポリシロキサン、ポリメチルシルセスキオキサンを組合せることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の口紅オーバーコートは、
(A)100~500センチストークのジメチコン 45.0~89.0質量%と、
(B)煙霧状無水ケイ酸 1.0~10.0質量%と、
(C)部分架橋型オルガノポリシロキサン 5.0~35.0質量%と、
(D)ポリメチルシルセスキオキサン 5.0~30.0質量%と、を含有し、
その他油性成分の含有量が30.0質量%未満であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の口紅オーバーコートは、前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンが、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマーおよび(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの平均粒子径が、0.5~30μmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、口紅のカップ等への色移り防止効果や口紅上に塗布した際のにじみ防止効果が向上した口紅オーバーコートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の口紅オーバーコートについて具体的に説明する。
本発明の口紅オーバーコートは、(A)100~500センチストークのジメチコン 45.0~89.0質量%と、(B)煙霧状無水ケイ酸 1.0~10.0質量%と、(C)部分架橋型オルガノポリシロキサン 5.0~35.0質量%と、(D)ポリメチルシルセスキオキサン 5.0~30.0質量%と、を含有し、その他油性成分の含有量が30.0質量%未満であることを特徴とするものである。これにより、二次付着防止効果および口紅上に塗布した際の口紅のにじみ防止効果が向上できる。
【0015】
また、前記(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコンの配合量は45.0~89.0質量%であるが、50.0~85.0質量%であることが好ましく、60.0~80.0質量%であることがより好ましく、65.0~80.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコンの配合量がかかる範囲より少ないと、口紅の上に口紅オーバーコートを均一に塗布することができず、また、前記(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコンの配合量がかかる範囲より多いと、液だれを生じ塗布しにくくなる。
【0016】
さらに、本発明において、前記(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコンにかえて、1000~5000センチストーク(cs)のジメチコンを配合することもできる。かかる1000~5000センチストーク(cs)のジメチコンの配合量としては、0.1~20.0質量%であることが好ましく、1.0~15.0質量%であることがより好ましく、3.0~12.0質量%であることがさらにより好ましく、5.0~10.0質量%であることが特により好ましい。前記1000~5000センチストーク(cs)のジメチコンの配合量がかかる範囲より少ないと、口紅のにじみを生じるおそれがあり、また、前記1000~5000センチストーク(cs)のジメチコンの配合量がかかる範囲より多いと、口紅の上に均一に口紅オーバーコートを塗布することができなくなるおそれがある。
【0017】
さらにまた、前記(B)煙霧状無水ケイ酸の配合量は1.0~10.0質量%であるが、2.0~8.0質量%であることが好ましく、3.0~6.0質量%であることがより好ましく、4.0~6.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(B)煙霧状無水ケイ酸の配合量がかかる範囲より少ないと、口紅とのにじみを生じ、また、前記(B)煙霧状無水ケイ酸の配合量がかかる範囲より多いと、口紅の上に口紅オーバーコートを均一に塗布することができなくなる。
【0018】
また、前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンの配合量は5.0~35.0質量%であるが、6.0~30.0質量%であることが好ましく、8.0~20.0質量%であることがより好ましく、10.0~15.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンの配合量がかかる範囲より少ないと、口紅のにじみやカップ等への色移りを生じ、また、前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンの配合量がかかる範囲より多いと、口紅の上に口紅オーバーコートを塗布することができなくなる。
【0019】
さらに、前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの配合量は5.0~30.0質量%であるが、8.0~25.0質量%であることが好ましく、10.0~20.0質量%であることがより好ましく、10.0~15.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの配合量がかかる範囲より少ないと、カップ等への色移りを生じ、また、前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの配合量がかかる範囲より多いと、安定性が悪くなり、さらに口紅の上に口紅オーバーコートを塗布することができなくなる。
【0020】
また、本発明では、前記(A)~(D)の成分を含有し、他のエステル油やワックス等(本発明では、「その他油性成分」と称す)を極力含有せず、具体的には含有量が30質量%未満である。また、前記その他油性成分の配合量は、15.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましく、8.0質量%以下であることがさらにより好ましく、5.0質量%以下であることが特により好ましい。前記その他油性成分の配合量がかかる範囲より多いと、口紅とその他油性成分が混ざり合い、色移りやにじみが生じるおそれがある。
【0021】
また、本発明において、前記(A)100~500センチストーク(cs)のジメチコンとしては、動粘度が100~500センチストーク(cs)であり、通常の化粧料に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、信越化学工業株式会社製のKF―96A-100cs(商品名)、KF―96A-200cs(商品名)、KF―96A-300cs(商品名)、KF―96A-350cs(商品名)、KF―96A-500cs(商品名)、ダウ・ケミカル日本株式会社製のDOWSIL(登録商標) SH 200 C Fluid 100cs(商品名)、DOWSIL(登録商標) SH 200 C Fluid 500cs(商品名)等を挙げることができる。さらに、前記1000~5000センチストーク(cs)のジメチコンとしては、動粘度が1000~5000センチストーク(cs)であり、通常の化粧料に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、信越化学工業株式会社製のKF―96-1,000cs(商品名)、KF―96-3,000cs(商品名)、KF―96A-5,000cs(商品名)、ダウ・ケミカル日本株式会社製のDOWSIL(登録商標) SH 200 C Fluid 1000cs(商品名)、DOWSIL(登録商標) SH 200 C Fluid 3000cs(商品名)、DOWSIL(登録商標) SH 200 C Fluid 5000cs(商品名)等を挙げることができる。
【0022】
さらに、本発明において、前記(B)煙霧状無水ケイ酸としては、通常の化粧料に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られるものであり、具体的には、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL 50(商品名)、AEROSIL 130(商品名)、AEROSIL 200(商品名)、AEROSIL 200V(商品名)、AEROSIL 200CF(商品名)、AEROSIL 200FAD(商品名)、AEROSIL 300(商品名)、AEROSIL 300CF(商品名)、AEROSIL 380(商品名)等を挙げることができる。また、前記(B)煙霧状無水ケイ酸を反応性アルキルシラン、オルガノシラザン等で処理した疎水性煙霧状無水ケイ酸を用いることもできる。かかる疎水化処理の方法としては、ジメチルジクロルシランによるジメチルシリル化処理、トリメチルクロルシランやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシリル化処理、オクチルトリクロルシランによるオクチルシリル化処理等が挙げられ、具体的には、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R972(商品名)、AEROSIL R974(商品名)、AEROSIL R976(商品名)、AEROSIL RX200(商品名)、AEROSIL RX300(商品名)、AEROSIL R805(商品名)等を挙げることができる。さらにまた、前記(B)煙霧状無水ケイ酸の平均一次粒子径としては、本発明の効果が得られれば特に限定されないが、5~50nmであることが好ましい。
【0023】
さらに、本発明において、前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンとしては、通常の化粧料に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、例えば、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー等を挙げることができ、具体的には、信越化学工業株式会社製のKSG-15(商品名)、KSG-1510(商品名)、KSG-16(商品名)、KSG-15AP(商品名)、KSG-19(商品名)、KSG-41A(商品名)、KSG-42A(商品名)、KSG-43(商品名)、KSG-44(商品名)、KSG-042Z(商品名)、KSG-045Z(商品名)、KSG-048Z(商品名)、KSG-18A(商品名)等を挙げることができる。
【0024】
さらにまた、本発明において、前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンとしては、通常の化粧料に使用でき、本発明の効果が得られるものであれば特に限定されないが、メチルトリメトキシシロキサンを重合することによって得られるものであり、例えば、特開2003-342370号公報、特開2004-359592号公報に記載されている方法によって製造することができるものである。具体的には、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTOSPEARL(登録商標) 120A(商品名)、TOSPEARL(登録商標) 145A、TOSPEARL(登録商標) 150KA(商品名)、TOSPEARL(登録商標) 2000B(商品名)、TOSPEARL(登録商標) 3000A MICROSPHER(商品名)、TOSPEARL(登録商標) 1100A(商品名)、日興リカ株式会社製のMSP-K050(商品名)等を挙げることができる。また、本発明において、前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンの平均粒子径は、0.5~30μmが好ましく、さらに好ましくは1~15μmである。平均粒子径が前記範囲を外れても本発明の効果が発揮されるが、粒径が0.5μm未満であると効果が低減する傾向が生じる場合があり、好ましくない。なお、本発明において、「平均粒子径」とは、例えば、レーザー回折散乱を用いた測定、または、超高圧透過型電子顕微鏡(TEM)もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)による観察などによって求められる数値であり、市販品を使用する場合には、製品に表示された平均粒子径であってよい。
【0025】
さらに、本発明において、前記「その他油性成分」としては、一般的には、通常の化粧料に使用できることができるもので、エステル油やワックス等であり、具体的には、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、固型パラフィン等の炭化水素類、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類、ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類、牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類、鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油等の動物性ロウ類、液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、酢酸(セチル・ラノリル)エステル等のラノリン類、レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジン酸、リゾレシチン等のリン脂質類、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質等のリン脂質誘導体類、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸等のステロール類、サポゲニン類、サポニン類、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N-ラウロイルサルコシンイソプロピル等のアシルサルコシンアルキルエステル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α-ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のステロールエステル類、リン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等の脂質複合体、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸メチルヘプチル、パルミチン酸メチルヘプチル、イソステアリン酸メチルヘプチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、クエン酸トリエチル等のモノアルコールカルボン酸エステル類、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、γ-エルカラクトン等のオキシ酸エステル類、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル-10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル-8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等の多価アルコール脂肪酸エステル類、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ダイマージオール等の高級アルコール類、ベンジルアルコール等のアラルキルアルコール及び誘導体、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸等の高級脂肪酸類及びそのアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、カリウム、ナトリウム塩等の金属石けん類、及びアミド等の含窒素誘導体類、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類等を挙げることができる。
【0026】
本発明の口紅オーバーコートには、前記成分の他に、通常化粧料に用いられる他の成分を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。前記任意配合成分としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐防黴剤、紫外線吸収剤、香料、水、アルコール等を挙げることができる。
【0027】
また、本発明に係わる口紅オーバーコートは、通常の化粧料の製造方法で製造できるが、例えば、前記(A)100~500センチストークのジメチコンに前記(B)煙霧状無水ケイ酸を均一分散した後に、前記(C)部分架橋型オルガノポリシロキサンおよび前記(D)ポリメチルシルセスキオキサンを添加し均一分散させて製造することができる。さらに、その他油性成分を含有させる場合は、前記(A)100~500センチストークのジメチコンとあらかじめ均一に混合分散させる。
【0028】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下、処方中の数値は質量%を示す。
【実施例0029】
(実施例1~19、比較例1~15)
下記表1~5記載の配合量(含有量)で、ジメチコンおよび/またはエステル油に煙霧状無水ケイ酸を均一分散した後に、部分架橋型オルガノポリシロキサン及びポリメチルシルセスキオキサンを添加し均一分散して、実施例1~19および比較例1~15の口紅オーバーコートを調製した。ここで、表中、「*1」は信越化学工業株式会社製のKSG-19(商品名)、「*2」は日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R972(商品名)、「※3」はモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTOSPEARL(登録商標) 3000A MICROSPHER(商品名)、「※4」は信越化学工業株式会社製のKF-54(ジフェニルジメチコン:商品名)を示す。また、得られた口紅オーバーコートについて、下記表6の評価方法および評価基準で、「塗布しやすさ」、「色移り」、「にじみ」および「安定性」を評価し、下記表1~5記載に結果を併記した。なお、「塗布しやすさ」とは、適度に粘度がありスムーズに塗布できるものを塗布しやすいとし、粘度が低い場合は液だれしやすく塗布しづらく、また粘度が高い場合は口紅を巻き込んでしまいきれいに塗布ができない。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
表1~5の結果から、実施例1~19の口紅オーバーコートは、比較例1~15の口紅オーバーコートと比較して、「塗布しやすさ」、「色移り」、「にじみ」および「安定性」において優れていた。