(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112410
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】家計簿処理システム、家計簿処理装置、家計簿処理方法、及び、家計簿処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220726BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008261
(22)【出願日】2021-01-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】516016517
【氏名又は名称】株式会社REVO
(71)【出願人】
【識別番号】515212736
【氏名又は名称】株式会社アイピーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】久万 重仁
(72)【発明者】
【氏名】山内 博明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】家計簿処理においてキャッシュレス決済先のカテゴリ情報をユーザが容易に把握する。
【解決手段】サーバ装置200は、入力される決済先のカテゴリ情報を推定する推定手段230と、ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組を記憶する記憶媒体250と、決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得する通信手段210と、通信手段210によって取得された決済先に基づいて記憶媒体250を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させる条件で記憶媒体250及び推定手段230を用いて行う特定手段220と、特定手段220によって特定されたカテゴリ情報をキャッシュレス決済情報とともに特定のユーザに提示する表示手段と、表示手段によって提示されたカテゴリ情報に対するユーザの評価を受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられた評価に従って記憶媒体250を更新する更新手段240と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される決済先に対応するカテゴリ情報を推定する推定手段と、
ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組が記憶される記憶媒体と、
特定のユーザの少なくとも決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された決済先に基づいて前記特定のユーザに提示するカテゴリ情報を、前記記憶媒体を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させる条件で、当該記憶媒体及び前記推定手段を用いて特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定されたカテゴリ情報を前記キャッシュレス決済情報とともに前記特定のユーザに提示する提示手段と、
前記提示手段によって提示されたカテゴリ情報に対するユーザの評価を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた評価に従って前記記憶媒体を更新する更新手段と、
を備える家計簿処理システム。
【請求項2】
前記記憶媒体に記憶されている複数の前記組を学習用データとして前記推定手段を学習する学習手段を備える、請求項1記載の家計簿処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の家計簿処理システムに用いられる家計簿処理装置であって、
前記提示手段と、
前記受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられたユーザの評価を少なくとも前記取得手段を備えるサーバ装置に送信する送信手段と、
を備える家計簿処理装置。
【請求項4】
特定のユーザの少なくとも決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した決済先に基づいて前記特定のユーザに提示するカテゴリ情報を、ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組が記憶される記憶媒体を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させる条件で、当該記憶媒体及び入力される決済先に対応するカテゴリ情報を推定する推定手段を用いて行う特定ステップと、
前記特定ステップによって特定したカテゴリ情報を前記キャッシュレス決済情報とともに前記特定のユーザに提示する提示ステップと、
前記提示ステップによって提示したカテゴリ情報に対するユーザの評価を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けた評価に従って前記記憶媒体を更新する更新ステップと、
を含む家計簿処理方法。
【請求項5】
請求項4記載の家計簿処理方法の幾つかのステップを情報処理装置に実行させる家計簿処理プログラムであって、
前記提示ステップと、
前記受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けたユーザの評価を少なくとも前記取得ステップが実行されるサーバ装置に送信する送信ステップと、
を含む家計簿処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家計簿処理システム、家計簿処理装置、家計簿処理方法、及び、家計簿処理プログラムに関し、特に、キャッシュレス決済情報を好適に分類する、家計簿処理システム、家計簿処理装置、家計簿処理方法、及び、家計簿処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンなどにインストールされる、いわゆる「家計簿アプリ」と称される、家計簿処理アプリケーションプログラムがある。非特許文献1では、その名称を「マネーフォワード(登録商標)」、「Zaim(登録商標)」という家計簿アプリが紹介されている。
【0003】
非特許文献1の記載によれば、これらの家計簿アプリは、ユーザが「銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどを登録すれば家計簿を自動的に作成できる」というものであり、その仕組みは「アプリを提供している会社がユーザの代わりに、入出金の履歴や残高といったデータを登録された金融機関から取得」し、「それらのデータを基に、アプリ上で食費や光熱費といった項目ごとの支出などを分類し、家計簿を作成する」というものである。
【0004】
非特許文献2には、「家計簿をつけている人は約5割。家計簿アプリを使用している人は約3割」ということ、及び、家計簿アプリの利用者が「家計簿アプリを利用する理由」についてのアンケート結果が示されている。その結果としては、「お金の収支を手軽に管理したい」という理由に次いで「何に使ったかを把握するため」という理由が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://r.nikkei.com/article/DGXMZO62041780Z20C20A7000000
【非特許文献2】https://www.google.co.jp/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000023.000057067.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献1に記載されている上記2つの家計簿アプリを、実際にスマートフォンにインストールして検証してみたところ、以下述べる理由により、改善の余地があることわかった。
【0007】
まず、本発明者の一人のクレジットカードの利用状況を調査すると、いずれの家計簿アプリにおいても「未分類」に該当すると判断されたものが70%を超えた。このことから、非特許文献2に記載されている「何に使ったかを把握する」という点で改善の余地があることは明白である。
【0008】
つぎに、コンビニエンスストア、スーパーマーケットで買い物をした際にクレジットカード決済をしたものは、いずれの家計簿アプリにおいても一律に「食料品」に分類され、また、百貨店で買い物をした際にクレジットカード決済をしたものは、マネーフォワードの場合には一律に「衣類・美容」に、Zaimの場合には一律に「洋服」に分類された。
【0009】
今後、我が国においては、キャッシュレス化が一層進むことによって、クレジットカードや電子マネーの利用頻度が高まることが想定される。このため、ユーザの要求を満足させる家計簿アプリを提供するためには、これらの点について改善すべきである。
【0010】
このことは、スマートフォン用にインストールして用いる家計簿アプリのみならず、家計簿処理プログラムをクラウドサーバに格納しておき、パーソナルコンピュータからクラウドサーバにアクセスして、クラウドサーバ上で家計簿処理をする場合にもそのまま当てはまる。
【0011】
そこで、本発明は、家計簿アプリを含む家計簿処理プログラム及びこれに付帯するシステムなどにおいて、キャッシュレス決済をした決済先の正しいカテゴリ情報をユーザが容易に把握するようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の家計簿処理システムは、
入力される決済先に対応するカテゴリ情報を推定する推定手段(例えば、
図3の推定手段230)と、
ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組が記憶される記憶媒体(例えば、
図3の記憶媒体250)と、
特定のユーザの少なくとも決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得する取得手段(例えば、
図3の通信手段210)と、
前記取得手段によって取得された決済先に基づいて前記特定のユーザに提示するカテゴリ情報を、前記記憶媒体を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させる条件で、当該記憶媒体及び前記推定手段を用いて特定する特定手段(例えば、
図3の特定手段220)と、
前記特定手段によって特定されたカテゴリ情報を前記キャッシュレス決済情報とともに前記特定のユーザに提示する提示手段(例えば、
図2の表示手段120)と、
前記提示手段によって提示されたカテゴリ情報に対するユーザの評価を受け付ける受付手段(例えば、
図2の受付手段130)と、
前記受付手段によって受け付けられた評価に従って前記記憶媒体を更新する更新手段(例えば、
図3の更新手段240)と、
を備える。
【0013】
さらに、前記記憶媒体に記憶されている複数の前記組を学習用データとして前記推定手段を学習する学習手段(例えば、
図3の学習手段260)を備えてもよい。
【0014】
また、家計簿処理装置は、
前記提示手段と、
前記受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられたユーザの評価を少なくとも前記取得手段を備えるサーバ装置に送信する送信手段(例えば、
図2の通信手段110)と、
を備えてもよい。
【0015】
さらに、本発明の家計簿処理方法は、
特定のユーザの少なくとも決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得した決済先に基づいて前記特定のユーザに提示するカテゴリ情報を、ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組が記憶される記憶媒体を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させる条件で、当該記憶媒体及び入力される決済先に対応するカテゴリ情報を推定する推定手段を用いて行う特定ステップと、
前記特定ステップによって特定したカテゴリ情報を前記キャッシュレス決済情報とともに前記特定のユーザに提示する提示ステップと、
前記提示ステップによって提示したカテゴリ情報に対するユーザの評価を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けた評価に従って前記記憶媒体を更新する更新ステップと、
を含む。
【0016】
さらにまた、本発明の家計簿処理プログラムは、
前記提示ステップと、
前記受付ステップと、
前記受付ステップによって受け付けたユーザの評価を少なくとも前記取得ステップが実行されるサーバ装置に送信する送信ステップと、
を情報処理装置に実行させるものである。
【発明の実施の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の家計簿処理システムの模式的な構成図である。
図1には、以下説明する、情報処理装置100と、サーバ装置200と、決済装置300と、店舗端末400と、広告端末500と、ネットワーク600と、を示している。
【0019】
情報処理装置100は、ユーザによって操作される、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット装置、PDA、携帯電話機など、家計簿処理装置として機能するもの総称である。情報処理装置100は、計算機能及び通信機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではない。以下、本実施形態では、情報処理装置100が主としてスマートフォン100である場合を例に説明する。
【0020】
サーバ装置200は、本実施形態の家計簿アプリのサービス事業者によって管理されるものである。サーバ装置200は、主として、スマートフォン100を操作するユーザの家計簿アプリに係る各種情報を登録しておき、決済装置300から少なくとも決済先を含むキャッシュレス決済情報を取得してスマートフォン100に送信するなどの各種サービスを提供するものである。なお、通常、キャッシュレス決済情報には、決済金額及び決済日も含まれる。
【0021】
決済装置300は、クレジットカードサービス、電子マネーサービスなど、キャッシュレスサービスを提供する決済事業者によって管理されるものである。決済装置300は、主として、店舗端末400から送信されるキャッシュレス決済情報に従って店舗に決済代金の支払いを行うとともに、その決済代金を対応するユーザの銀行口座から引き落とししたり或いはデポジットしてある電子マネーを清算したり、サーバ装置200からの要求に応じてキャッシュレス決済情報をサーバ装置200に送信したりするものである。
【0022】
店舗端末400は、飲食店、百貨店、コンビニエンスストアなど、様々な店舗に設置されているものである。なお、ここでいう店舗は実店舗のみならず、ネットワーク上の仮想店舗であってもよい。店舗端末400は、主として、商品等の購入代金をキャッシュレス決済する際に、クレジットカード情報などを読み取り、決済金額、店舗端末を特定する情報(店舗端末ID)などとともに決済装置300に送信し、決済装置30の承認を得てキャッシュレス決済を行うものである。
【0023】
広告端末500は、家計簿アプリがインストールされたスマートフォン100において、当該家計簿アプリの起動中にディスプレイに表示される広告を配信するものである。広告端末500によって配信される広告の種別は不問である。したがって、例えば、広告が表示された回数に応じて広告料が発生するインプレッション型、広告がクリックされた回数に応じて広告料が発生するクリック型、広告からアプリがダウンロードされた場合に広告料が発生する成功報酬型広告などを適宜採用することができる。
【0024】
ネットワーク600は、インターネット、携帯電話網などの各種ネットワークの総称である。なお、ネットワーク600には、Wi-Fiやブルートゥースなどの無線ネットワーク、局所的に設けられたローカルエリアネットワークも含む。
【0025】
図2は、
図1に示す情報処理装置(スマートフォン)100の模式的な内部構成図である。スマートフォン100は、以下説明する、通信手段110と、表示手段120と、受付手段130と、を備えている。
【0026】
通信手段110は、ユーザから入力された家計簿アプリに係る様々なユーザ情報を、サーバ装置200に対して送信するものである。また、通信手段110は、サーバ装置200から送信される家計簿アプリに係る各種情報を受信するものである。ここでいう各種情報には、キャッシュレス決済情報及び後述するカテゴリ情報が含まれる。さらに、通信手段110は、スマートフォン100で家計簿アプリを起動した場合にディスプレイに表示などする、広告端末500から送信される広告を受信するものである。
【0027】
ここで、家計簿アプリに係るユーザ情報について例示すると、ユーザの氏名・住所・電話番号・メールアドレス、ユーザ名義の銀行口座情報(店番号・口座番号)、ユーザ名義のクレジットカード・電子マネーカード等のカード番号・有効期限・セキュリティコード、本実施形態の家計簿処理システムによる各種サービスの提供を受けるために必要なログインID(ユーザID)及びパスワードなどが挙げられる。
【0028】
また、キャッシュレス決済情報は、通常、店舗端末400から送信され、決済装置300及びサーバ装置200を経てスマートフォン100に送信される。
【0029】
表示手段120は、サーバ装置200から送信されるキャッシュレス決済情報及びカテゴリ情報などをスマートフォン100のディスプレイに表示することによって、ユーザに提示するものである。また、表示手段120は、適宜、広告端末500から配信される広告も、当該ディスプレイに表示する。
【0030】
受付手段130は、表示手段120によって表示される事項に従ってユーザから入力される各種情報を受け付けるものである。ここでいう各種情報には、本実施形態の家計簿処理システムのサービスを受けるのに先立って入力されるユーザ情報、家計簿処理システムによって提示されるカテゴリ情報に対するユーザの評価を含む。この種の情報は、通常、通信手段110によってサーバ装置200に送信されるが、併せて、スマートフォン100自体に記憶されてもよい。
【0031】
ここでいうユーザの評価とは、例えば、表示手段120によって表示されるカテゴリ情報に対して、ユーザが実際のカテゴリ情報に一致していると判断したか否かの意思表示の結果とすることができる。ただ、当該評価は、これに限定されず、例えば、ユーザがこれらを一致していないと判断して、表示されたカテゴリ情報を実際のカテゴリ情報に変更した場合の当該変更後のカテゴリ情報も含む。
【0032】
図3は、
図1に示すサーバ装置200の模式的な内部構成図である。サーバ装置200は、以下説明する、通信手段210と、特定手段220と、推定手段230と、更新手段240と、記憶媒体250と、学習手段260と、を備えている。
【0033】
なお、サーバ装置200は、少なくとも通信手段210を備えていればよく、それ以外の手段についてはスマートフォン100に備えてもよいし、スマートフォン100及びサーバ装置200とは別個のハードウェアによって実現して、ネットワーク600に接続してもよい。
【0034】
通信手段210は、家計簿アプリに係る各種情報をスマートフォン100に対して送信するものである。また、通信手段210は、スマートフォン100から送信される家計簿アプリに係る様々な情報を受信するものである。さらに、通信手段210は、決済装置300にアクセスしてキャッシュレス決済情報を取得するものである。
【0035】
なお、通信手段210は、ユーザ等が設定した所定時刻が到来したときなどにスマートフォン100に対して送信するという所謂プッシュ式、又は、スマートフォン100からの要求に応じて送信するという所謂プル式のいずれを採用してもよい。
【0036】
特定手段220は、推定手段230及び記憶媒体250を用いて、通信手段210によって取得されたキャッシュレス決済情報に含まれている決済先に基づく特定のユーザに提示するカテゴリ情報をする特定するものである。特定手段220は、記憶媒体350を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させて特定対象としている。
【0037】
特定手段220の挙動は、推定手段230及び記憶媒体250につき、
(1)いずれもサーバ装置200が備えている場合、
(2)サーバ装置200が推定手段230を備え、かつ、スマートフォン100が記憶媒体250を備えている場合、
(3)サーバ装置200が推定手段230を備え、かつ、記憶媒体250が別個のハードウェアで実現されてネットワーク600に接続されている場合、
(4)いずれも別個のハードウェアで実現されてネットワーク600に接続されている場合、
で大別され、かつ、いくつかの場合には特定手段220における特定処理の一部をスマートフォン100に実行させる(以下、スマートフォン100において特定処理の一部を行うものを便宜上「特定手段220’」として説明する。)ことが必要である。
【0038】
(1)の場合には、例えば、特定手段220は、[a]その決済先に基づいて記憶媒体250を参照して、その特定のユーザの対応するカテゴリ情報が記憶されているか確認し、カテゴリ情報が記憶されていれば当該カテゴリ情報を特定対象とし、そうでなければ、[b]その決済先を推定手段230に入力して推定したカテゴリ特定を特定対象とする。もちろん、推定手段230及び記憶媒体250を用いた処理順序は逆でもよいし、これらを同時に行ってもよいが、結果的に、記憶媒体250に対応するカテゴリ情報が記憶されていれば、当該カテゴリ情報を特定対象とする。
【0039】
(2)の場合には、例えば、特定手段220は上記[b]の特定処理を行い、その推定したカテゴリ情報をキャッシュレス決済情報とともにスマートフォン100に送信し、特定手段220’が上記[a]の特定処理を行う。[a]の特定処理の結果、その決済先に対応するカテゴリ情報が記憶されていれば当該カテゴリ情報を特定対象とし、そうでなければ、[b]の特定処理によって推定されたカテゴリ情報を特定対象とする。
【0040】
(3)の場合には、例えば、(2)における[a]の特定処理を、サーバ装置200とスマートフォン100とのいずれで行うこともできる。サーバ装置200で行う場合にはスマートフォン100の挙動は(1)の場合と変わらない。一方、スマートフォン100で行う場合にはサーバ装置200の挙動は(2)の場合と変わらない。
【0041】
(4)の場合には、例えば、上記(1)~(3)のいずれかの態様で処理を行うことができる。或いは、特定手段220’が、[a]及び[b]の双方の特定処理を行えばよい。この場合には、通信手段210は、決済装置300にアクセスしてキャッシュレス決済情報のみをスマートフォン100に送信することになる。
【0042】
推定手段230は、入力される決済先に対応するカテゴリ情報を推定するものである。推定手段230は、例えば、後述するように、学習手段260によって学習された人工知能装置によって実現することもできるし、決済先とそれに対応するカテゴリ情報との組が複数格納されたデータベースによって実現することもできる。
【0043】
更新手段240は、受付手段130によって受け付けられ、通信手段210によって受信された、ユーザの評価に従って記憶媒体250を更新するものである。具体的には、更新手段240は、後述するようにユーザが表示手段120によって表示されたカテゴリ情報が正しくないとして変更した場合に、その変更内容を記憶媒体250に反映させることとしている。
【0044】
なお、更新手段240は、例えば、支店名のみ異なるチェーン店のように名称に同一の文字列を含む決済先についてのカテゴリ情報が変更された場合には、当該文字列を含む決済先のカテゴリ情報についても更新することも一法である。
【0045】
また、更新手段240は、所定数以上のユーザから同じ決済先に対して同じ変更後のカテゴリ情報を受付手段130が受け付けた場合に、推定手段230の推定結果として当該変更後のカテゴリ情報が出力されるように更新してもよい。例えば、推定手段230を人工知能装置で実現している場合には、誤差逆伝搬などで重み付けの調整をし、推定手段230をデータベースで実現している場合には、対応するカテゴリ情報を変更すればよい。
【0046】
記憶媒体250は、受付手段130によって受け付けられ、通信手段210によって受信された、ユーザ毎に決済先とカテゴリ情報に対する評価との組が記憶されるものである。具体的には、例えば、記憶媒体250には、決定先とこれに対応する過去数回分のカテゴリ情報に対するユーザの評価とが一組で記憶される。
【0047】
学習手段260は、例えば記憶媒体250に記憶されている複数の組を学習用データとして、推定手段230を学習するものである。とりわけ、推定手段230及び学習手段260を備えることによって、本実施形態の家計簿処理システムを使用するユーザ数が増えるほど、記憶媒体250の記憶内容が充実していき、未分類と表示される決済先が減るという利点がある。
【0048】
加えて、記憶媒体250を備えることによって、記憶媒体250の学習用データが蓄積されるので、記憶媒体250の記憶内容の充実度が増すことになるし、ユーザに提示するカテゴリ情報は、記憶媒体250を用いて特定されるカテゴリ情報を優先させることにしているので、ユーザ毎にカスタマイズされたカテゴリ情報を提示することができる。
【0049】
図4は、
図2に示す表示手段120によってスマートフォン100のディスプレイに表示されるユーザ情報を登録する際の画像例を示す図である。
【0050】
図4(a)には、例えば、ユーザの氏名・住所・電話番号・Eメールアドレスの各入力欄を示している。ユーザがスマートフォン100を操作して
図4(a)に示す各入力欄に対応する情報を入力してから「次へ」ボタンをタップすると、スマートフォン100のディスプレイの表示は、
図4(a)から
図4(b)に遷移する。
【0051】
図4(b)には、当該ユーザが所有するクレジットカードの名義・カード番号・暗証番号・セキュリティコードの各入力欄を示している。ユーザがスマートフォン100を操作して
図4(b)に示す各入力欄に対応する情報を入力してから「次へ」ボタンをタップすると、スマートフォン100のディスプレイの表示は、
図4(b)から
図4(c)に遷移する。
【0052】
なお、ここでは、クレジットカードについての情報入力例を示しているが、電子マネーカードにおいても、キャッシュレス決済情報の取得に必要な情報を入力させるようにしている。
【0053】
また、
図4(b)に示す情報の入力に代えて、家計簿アプリとクレジットカード会社とを提携可能としておき、ユーザが提携を許可した場合に、クレジットカード会社を通じてサーバ装置200にクレジットカード情報を送信するようにしてもよい。
【0054】
図4(c)には、当該ユーザが本実施形態の家計簿処理システムが提供する種々のサービスを受けるために、家計簿アプリを起動する際などに必要なログインID・パスワードの各入力欄を示している。ユーザがスマートフォン100を操作して
図4(c)に示す各入力欄に対応する情報を入力してから「次へ」ボタンをタップすると、ユーザが入力した各種情報は、受付手段130によって受け付けられ、その後に、これらの各種情報は、通信手段110によってサーバ装置200に送信される。
【0055】
サーバ装置200は、それらの情報を通信手段210によって受信すると、情報に洩れや不備がないことを条件に、図示しないユーザ情報データベースに一組のユーザ情報として登録する。これによって、ユーザ情報の事前登録が完了し、当該ユーザは本実施形態の家計簿処理システムが提供するサービスを受けることが可能となる。
【0056】
図5は、
図2に示す表示手段120によってスマートフォン100のディスプレイに表示されるキャッシュレス決済情報及びカテゴリ情報の画像例を示す図である。
図5(a)には、例えば、特定のユーザが、ある日にクレジットカード決済した場合に表示されるカード利用情報の表示例を示している。
【0057】
この例は、決済先「コンビニエンスストア〇〇 東京店」で決済金額「550円」、決済先「××デパート 東京店」で決済金額「4,400円」などのカード決済をし、サーバ装置200によって、これらの決済先に対応するカテゴリ情報の表示領域A,Bなどにそれぞれ「食料品」、「衣服」などが表示されている。
【0058】
本実施形態では、例えば、各ユーザがキャッシュレス決済情報の取得時刻(毎日19時、毎週土曜日20時など)を、家計簿アプリに自由に設定することができる。もちろん、この時刻はユーザが設定せず、サーバ装置200などで決定してもよい。
【0059】
特定のユーザについてこの時刻が到来すると、そのユーザのスマートフォン100は家計簿アプリを起動する。そして、通信手段110が家計簿アプリに従ってサーバ装置200に対して、ユーザIDを付してキャッシュレス決済情報の取得要求をする。
【0060】
サーバ装置200では、スマートフォン100からの取得要求を通信手段210によって受信すると、通信手段210が決済装置300にアクセスして、当該特定のユーザのキャッシュレス決済情報を取得する。
【0061】
次いで、サーバ装置200では、例えば、特定手段220が当該キャッシュレス決済情報に含まれている決済先に基づいて記憶媒体250を参照して、その特定のユーザの対応するカテゴリ情報が記憶されているか確認する。
【0062】
その決済先に対応するカテゴリ情報が記憶されていれば、当該カテゴリ情報を特定対象とし、そうでなければ、その決済先を推定手段230に入力して推定したカテゴリ特定を特定対象とする。それから、サーバ装置200では、通信手段210が当該キャッシュレス決済情報と当該カテゴリ情報とをスマートフォン100に送信する。
【0063】
スマートフォン100では、サーバ装置200から送信される当該キャッシュレス決済情報及び当該カテゴリ情報を通信手段110によって受信すると、表示手段120がそれらをスマートフォン100のディスプレイに表示する。その表示例が
図5(a)である。
【0064】
ここで、仮に、当該特定のユーザが、決済先「××デパート 東京店」における決済金「4,400円」のカード決済に対して、そのカテゴリが「衣服」でなかった場合、例えば、「衣服」と記載された表示領域Bをタップすると、スマートフォン100のディスプレイの表示は、
図5(a)から
図5(b)に示す遷移する。
【0065】
図5(b)には、表示領域10Bに代えて他のカテゴリ情報の選択領域B’が表示されており、例えば、ユーザが決済先「××デパート 東京店」でカード決済したカテゴリが「贈り物」であれば、それをタップして選択すればよい。
【0066】
さらに、
図5(b)には示していないが、例えば、決済先「スーパーマーケット◇◇ 恵比寿店」における「6,945円」のカード決済に対しても、そのカテゴリが「食費」でなく「日用品」である場合には、ユーザは上記の場合と同様にカテゴリ情報を変更するための操作をすればよい。
【0067】
スマートフォン100では、「決定」がタップされると、受付手段130によって変更後のカテゴリ情報が受け付けられる。そして、通信手段110によってカテゴリ情報に対するユーザの評価がサーバ装置200に対して送信される。
【0068】
サーバ装置200は、スマートフォン100から送信されるカテゴリ情報に対するユーザの評価を通信手段210によって受信すると、それに従って記憶媒体250を更新する。
【0069】
図6は、
図3に示す記憶媒体250における情報の記憶例を示す図である。
図6には、当該特定のユーザに係る決済先「××デパート」、優先順位1に変更後のカテゴリ情報「贈り物」、及び、優先順位2に変更前のカテゴリ情報「衣服」などが一組で記憶され、同様に、当該ユーザに係る決済先「スーパーマーケット◇◇」、優先順位1に変更後のカテゴリ情報「日用品」、及び、優先順位2に変更前のカテゴリ情報「食料品」などが一組で記憶されている例を示している。
【0070】
この例では、決済先「××デパート」の優先順位1には、カテゴリ情報として「贈り物」が記憶されることになったが、その前には「衣服」が記憶されていたことを意味する。したがって、当該ユーザが、その後に「××デパート」でキャッシュレス決済をしたならば、当該ユーザのスマートフォン100に次回表示されるカテゴリ情報は「贈り物」となる。
【0071】
これにより、本実施形態では、記憶媒体250を用いて特定されるカテゴリ情報を、推定手段230を用いて特定されるカテゴリ情報よりも優先させて、ユーザに提示することができる。
【0072】
図5には例えば「××デパート 東京店」とあり、
図6には例えば「××デパート」とある。これらは「東京店」という支店名の有無という相違があるが、これを除けば文字列が「××デパート」で一致する。チェーン店のように名称に同一の文字列を含む決済先がある場合、記憶媒体250の記憶態様を
図6のようにすることも一法である。もちろん、
図6における記憶態様も
図5に示すように「××デパート 東京店」とすることもできる。
【0073】
なお、
図6に示す記憶態様とする場合には、特定のユーザが例えば「××デパート 新宿店」という決済先に対して初めてそのカテゴリ情報を変更した場合に、更新手段240による更新処理によって記憶媒体250に初めて登録されるので、この際、決済先「××デパート 新宿店」について形態素解析などを行って、「新宿店」という支店名を記憶しないという手法を採用すればよい。
【0074】
また、これに応じて、特定手段220は、記憶媒体250を参照する際に、同様の手法によって「新宿店」という支店名を含まない「××デパート」という文字列のみ用いて特定処理を行えばよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】本発明の実施形態の家計簿処理システムの模式的な構成図である。
【
図2】
図1に示す情報処理装置(スマートフォン)100の模式的な内部構成図である。
【
図3】
図1に示すサーバ装置200の模式的な内部構成図である。
【
図4】
図2に示す表示手段120によってスマートフォン100のディスプレイに表示されるユーザ情報を登録する際の画像例を示す図である。
【
図5】
図2に示す表示手段120によってスマートフォン100のディスプレイに表示されるキャッシュレス決済情報及びカテゴリ情報の画像例を示す図である。
【
図6】
図3に示す記憶媒体250における情報の記憶例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
100 情報処理装置
110 通信手段
120 表示手段
130 受付手段
200 サーバ装置
210 通信手段
220 特定手段
230 推定手段
240 更新手段
250 記憶媒体
260 学習手段
300 決済装置
400 店舗端末
500 広告端末
600 ネットワーク