(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112412
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】端子部品、二次電池および組電池
(51)【国際特許分類】
B23K 20/10 20060101AFI20220726BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20220726BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20220726BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20220726BHJP
H01G 11/10 20130101ALI20220726BHJP
H01G 4/38 20060101ALN20220726BHJP
H01G 4/228 20060101ALN20220726BHJP
H01G 2/02 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
B23K20/10
H01M2/20 A
H01M2/30 D
H01G11/76
H01G11/10
H01G4/38 A
H01G4/228 F
H01G2/02 101E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008264
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
【テーマコード(参考)】
4E167
5E078
5E082
5H043
【Fターム(参考)】
4E167AA06
4E167AA08
4E167BE04
4E167BE07
4E167DA04
5E078AA14
5E078AA15
5E078AB06
5E078JA02
5E078KA01
5E082CC07
5H043AA19
5H043BA19
5H043BA20
5H043CA04
5H043CA21
5H043DA11
5H043FA04
5H043FA26
5H043HA11F
5H043JA03F
5H043KA01D
5H043KA01F
5H043LA21F
(57)【要約】
【課題】変形が抑えられた端子部品を提供する。
【解決手段】端子部品200は、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201と第2金属202との境界に、第1金属201と第2金属202とが金属接合によって接合された接合部203を有する。第2金属202は、第1金属201に重ねられた面202aとは反対側の面202bにおいて、接合部203の外側に溝202cを有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属と、
前記第1金属に重ねられた第2金属と
を備え、
前記第1金属と前記第2金属との境界に、
前記第1金属と前記第2金属とが金属接合によって接合された接合部を有し、
前記第2金属は、
前記第1金属に重ねられた面とは反対側の面において、前記接合部の外側に溝を有している、端子部品。
【請求項2】
前記溝は、周方向に連続している、請求項1に記載された端子部品。
【請求項3】
前記第1金属と、前記第2金属とが異種金属からなる、請求項1または2に記載された端子部品。
【請求項4】
電池ケースと、
前記電池ケースに取り付けられた電極端子と
を備え、
前記電極端子は、請求項1~3のいずれか一項に記載された端子部品を含む、二次電池。
【請求項5】
正極および負極の外部端子を有する複数の二次電池と、
前記外部端子を介して前記複数の二次電池を接続するバスバと、
を備えた組電池であって、
前記外部端子のうち、一方の極の外部端子と前記バスバとの境界に、前記一方の極の外部端子と前記バスバとが金属接合によって接合された接合部を有し、
前記バスバは、前記接合部と反対側の面において、前記接合部の外側に溝を有している、組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子部品、二次電池および組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-18675号公報には、異なる材料からなる正極及び負極の外部端子を備える二次電池が開示されている。かかる二次電池は、正極及び負極の外部端子のうち一方の外部端子と同種の材料からなるバスバによって直列に接続される。一方の外部端子の材料に対する溶接性に優れた材料からなる金属部材が、他方の外部端子に超音波接合されている。
特開2011-124024号公報には、複数の単電池をバスバで接続してなる組電池が開示されている。単電池を構成する正極端子と負極端子のうち、一方の極性の端子は、バスバとの溶接品質がより良好な外部端子と、一方の極性の箔が接続される基部とを含んで構成されている。基部と外部端子とは、超音波接合によって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-18675号公報
【特許文献2】特開2011-124024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異種金属を超音波接合によって接合する場合、一方の金属にホーンを押し当てて加圧しながら超音波振動を付与することによって、他方の金属と接合させる。このとき、ホーンを当てられた金属に、例えば、当該金属の縁の部分が出っ張るような変形や、一部が湾曲するような変形が生じることがある。
電池に使用される端子に対して超音波接合を行い異種金属接合する際にも、このような変形が生じうる。本発明者の知見では、電池に使用される端子にこのような変形が発生すると、変形した部分が、端子と蓋体とを絶縁しているガスケット等の部材を貫通し、他部材と干渉するおそれがある。また、製造工程中に変形した部分が脱離した場合には、脱離した部分が電池ケース内部に入って、内部短絡を起こすおそれがある。端子のバスバ接続面となる部分に変形が生じた場合には、バスバとバスバ接続面との間に隙間が生じ、溶接不良を起こすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される端子部品は、第1金属と、第1金属に重ねられた第2金属とを備えている。第1金属と第2金属との境界に、第1金属と第2金属とが金属接合によって接合された接合部を有する。第2金属は、第1金属に重ねられた面とは反対側の面において、接合部の外側に溝を有している。
【0006】
かかる端子部品を構成する第2金属は、接合部とは反対側の面において、接合部の周りに溝を有している。このような溝が形成されていることによって、超音波接合に伴う端子部品の変形が抑えられる。
【0007】
端子部品が有する溝は、周方向に連続していてもよい。第1金属と第2金属とは、異種金属からなっていてもよい。
【0008】
電池ケースと、電池ケースに取り付けられた電極端子とを備えた二次電池では、上述した端子部品で構成された部位が含まれていてもよい。
【0009】
正極および負極の外部端子を有する複数の二次電池と、外部端子を介して複数の二次電池を接続するバスバとを備えた組電池は、外部端子のうち、一方の極の外部端子とバスバとの境界に、一方の極の外部端子とバスバとが金属接合によって接合された接合部を有し、バスバは、接合部と反対側の面において、接合部の外側に溝を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
【
図4】
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、端子部品200の製造方法を説明する断面図である。
【
図6】
図6は、組電池100を模式的に示す斜視図である。
【
図7】組電池100における、負極の外部端子43bとバスバ91とが接続された部分が模式的に示された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、ここで開示される端子部品および二次電池の一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
《二次電池》
本明細書において「二次電池」とは、充電と放電を行なうことができるデバイスをいう。二次電池には、一般にリチウムイオン電池やリチウム二次電池などと称される電池の他、リチウムポリマー電池、リチウムイオンキャパシタなどが包含される。ここでは、二次電池の一形態として、リチウムイオン二次電池を例示する。
【0013】
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10の部分断面図である。
図1では、略直方体の電池ケース41の片側の幅広面に沿って、内部を露出させた状態が描かれている。
図1に示されたリチウムイオン二次電池10は、いわゆる密閉型電池である。
図2は、
図1のII-II断面を示す断面図である。
図2では、略直方体の電池ケース41の片側の幅狭面に沿って内部を露出させた状態の部分断面図が模式的に描かれている。
【0014】
リチウムイオン二次電池10は、
図1に示されているように、電極体20と、電池ケース41と、正極端子42,負極端子43とを備えている。
【0015】
〈電極体20〉
電極体20は、絶縁フィルム(図示は省略)などで覆われた状態で、電池ケース41に収容されている。電極体20は、正極要素としての正極シート21と、負極要素としての負極シート22と、セパレータとしてのセパレータシート31,32とを備えている。正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長尺の帯状の部材である。
【0016】
正極シート21は、予め定められた幅および厚さの正極集電箔21a(例えば、アルミニウム箔)に、幅方向の片側の端部に一定の幅で設定された未形成部21a1を除いて、正極活物質を含む正極活物質層21bが両面に形成されている。正極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、リチウム遷移金属複合材料のように、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時にリチウムイオンを吸収しうる材料である。正極活物質は、一般的にリチウム遷移金属複合材料以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0017】
負極シート22は、予め定められた幅および厚さの負極集電箔22a(ここでは、銅箔)に、幅方向の片側の縁に一定の幅で設定された未形成部22a1を除いて、負極活物質を含む負極活物質層22bが両面に形成されている。負極活物質は、例えば、リチウムイオン二次電池では、天然黒鉛のように、充電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時に吸蔵したリチウムイオンを放電時に放出しうる材料である。負極活物質は、一般的に天然黒鉛以外にも種々提案されており、特に限定されない。
【0018】
セパレータシート31,32には、例えば、所要の耐熱性を有する電解質が通過しうる多孔質の樹脂シートが用いられる。セパレータシート31,32についても種々提案されており、特に限定されない。
【0019】
ここで、負極活物質層22bの幅は、例えば、正極活物質層21bよりも広く形成されている。セパレータシート31,32の幅は、負極活物質層22bよりも広い。正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、幅方向において互いに反対側に向けられる。また、正極シート21と、第1のセパレータシート31と、負極シート22と、第2のセパレータシート32とは、それぞれ長さ方向に向きを揃え、順に重ねられて捲回されている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32を介在させた状態で正極活物質層21bを覆っている。負極活物質層22bは、セパレータシート31,32に覆われている。正極集電箔21aの未形成部21a1は、セパレータシート31,32の幅方向の片側にはみ出ている。負極集電箔22aの未形成部22a1は、幅方向の反対側においてセパレータシート31,32からはみ出ている。
【0020】
上述した電極体20は、
図1に示されているように、電池ケース41のケース本体41aに収容されうるように、捲回軸を含む一平面に沿った扁平な状態とされる。そして、電極体20の捲回軸に沿って、片側に正極集電箔21aの未形成部21a1が配置され、反対側に負極集電箔22aの未形成部22a1が配置されている。
【0021】
〈電池ケース41〉
電池ケース41は、
図1に示されているように、電極体20を収容している。電池ケース41は、一側面が開口した略直方体の角形形状を有するケース本体41aと、開口に装着された蓋41bとを有している。この実施形態では、ケース本体41aと蓋41bは、軽量化と所要の剛性を確保するとの観点で、それぞれアルミニウムまたはアルミニウムを主とするアルミニウム合金で形成されている。
【0022】
〈ケース本体41a〉
ケース本体41aは、
図1および
図2に示されているように、一側面が開口した略直方体の角形形状を有している。ケース本体41aは、略矩形の底面部61と、一対の幅広面部62,63と、一対の幅狭面部64,65とを有している。一対の幅広面部62,63は、それぞれ底面部61のうち長辺から立ち上がっている。一対の幅狭面部64,65は、それぞれ底面部61のうち短辺から立ち上がっている。ケース本体41aの一側面には、一対の幅広面部62,63と一対の幅狭面部64,65で囲まれた開口41a1が形成されている。
【0023】
〈蓋41b〉
蓋41bは、一対の幅広面部62,63の長辺と、一対の幅狭面部64,65の短辺とで囲まれたケース本体41aの開口41a1に装着される。そして、蓋41bの周縁部が、ケース本体41aの開口41a1の縁に接合される。かかる接合は、例えば、隙間がない連続した溶接によるとよい。かかる溶接は、例えば、レーザー溶接によって実現されうる。
【0024】
この実施形態では、蓋41bには、正極端子42と、負極端子43とが取り付けられている。正極端子42は、内部端子42aと、外部端子42bとを備えている。負極端子43は、内部端子43aと、外部端子43bとを備えている。内部端子42a,43aは、それぞれインシュレータ72を介して蓋41bの内側に取り付けられている。外部端子42b,43bは、それぞれガスケット71を介して蓋41bの外側に取り付けられている。内部端子42a,43aは、それぞれケース本体41aの内部に延びている。正極の内部端子42aは、正極集電箔21aの未形成部21a1に接続されている。負極の内部端子43aは、負極集電箔22aの未形成部22a1に接続されている。
【0025】
電極体20の正極集電箔21aの未形成部21a1と、負極集電箔22aの未形成部22a1とは、
図1に示されているように、蓋41bの長手方向の両側部にそれぞれ取り付けられた内部端子42a,43aに取り付けられている。電極体20は、蓋41bに取り付けられた内部端子42a,43aに取付けられた状態で、電池ケース41に収容される。なお、ここでは、捲回型の電極体20が例示されている。電極体20の構造はかかる形態に限定されない。電極体20の構造は、例えば、正極シートと負極シートとが、セパレータシートとを介在させて交互に積層された積層構造でもよい。また、電池ケース41内には、複数の電極体20が収容されていてもよい。
【0026】
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図3では、負極端子43が蓋41bに取り付けられた部位の断面が示されている。この実施形態では、負極の外部端子43bには、異種金属を接合した部材が用いられている。
図3では、外部端子43bを構成する金属の溝等の構造や異種金属の界面等は図示されず、外部端子43bの断面形状が模式的に示されている。
【0027】
蓋41bは、
図3に示されているように、負極の外部端子43bを取り付けるための取付孔41b1を有している。取付孔41b1は、蓋41bの予め定められた位置において蓋41bを貫通している。蓋41bの取付孔41b1には、ガスケット71とインシュレータ72を介在させて、負極の内部端子43aと外部端子43bとが取り付けられる。取付孔41b1の外側には、取付孔41b1の周りにガスケット71が装着される段差41b2が設けられている。段差41b2には、ガスケット71が配置される座面41b3が設けられている。座面41b3には、ガスケット71を位置決めするための突起41b4が設けられている。
【0028】
ここで、負極の外部端子43bは、
図3に示されているように、頭部43b1と、軸部43b2と、カシメ片43b3とを備えている。頭部43b1は、蓋41bの外側に配置される部位である。頭部43b1は、取付孔41b1よりも大きな、ガスケット71に配置される部位である。軸部43b2は、ガスケット71を介して取付孔41b1に装着される部位である。軸部43b2は、頭部43b1の略中央部から下方に突出している。カシメ片43b3は、
図3に示されているように、蓋41bの内部において、負極の内部端子43aにかしめられる部位である。カシメ片43b3は、軸部43b2から延びており、蓋41bに挿通された後で折曲げられて負極の内部端子43aにかしめられる。
【0029】
〈ガスケット71〉
ガスケット71は、
図3に示されているように、蓋41bの取付孔41b1および座面41b3に取り付けられる部材である。この実施形態では、ガスケット71は、座部71aと、ボス部71bと、側壁71cとを備えている。座部71aは、蓋41bの取付孔41b1周りの外側面に設けられた座面41b3に装着される部位である。座部71aは、座面41b3に合わせて略平坦な面を有する。座部71aは、座面41b3の突起41b4に応じた凹みを備えている。ボス部71bは、座部71aの底面から突出している。ボス部71bは、蓋41bの取付孔41b1に装着されるように取付孔41b1の内側面に沿った外形形状を有している。ボス部71bの内側面は、外部端子43bの軸部43b2が装着される装着孔となる。側壁71cは、座部71aの周縁から上方に立ち上がっている。外部端子43bの頭部43b1は、ガスケット71の側壁71cで囲まれた部位に装着される。
【0030】
ガスケット71は、蓋41bと外部端子43bとの間に配置され、蓋41bと外部端子43bとの絶縁を確保している。また、ガスケット71は、蓋41bの取付孔41b1の気密性を確保している。かかる観点で、耐薬品性や耐候性に優れた材料が用いられるとよい。この実施形態では、ガスケット71には、PFAが用いられている。PFAは、四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体(Tetrafluoroethylene Perfluoroalkylvinylether Copolymer)である。なお、ガスケット71に用いられる材料は、PFAに限定されない。
【0031】
〈インシュレータ72〉
インシュレータ72は、蓋41bの取付孔41b1の周りにおいて、蓋41bの内側に装着される部材である。インシュレータ72は、ベース部72aと、孔72bと、側壁72cとを備えている。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置される部位である。この実施形態では、ベース部72aは、略平板状の部位である。ベース部72aは、蓋41bの内側面に沿って配置され、ケース本体41aに収められるように、蓋41bからはみ出ない程度の大きさを有している。孔72bは、取付孔41b1に対応して設けられた穴である。この実施形態では、孔72bは、ベース部72aの略中央部に設けられている。蓋41bの内側面に対向する側面において、孔72bの周りには凹んだ段差72b1が設けられている。段差72b1には、取付孔41b1に装着されたガスケット71のボス部71bの先端が収められる。側壁72cは、ベース部72aの周縁部から下方に立ち上がっている。ベース部72aには、負極の内部端子43aの一端に設けられる基部43a1が収められる。インシュレータ72は、電池ケース41の内部に配置されるため、所要の耐薬品性を備えているとよい。この実施形態では、インシュレータ72には、PPSが用いられている。PPSは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Poly Phenylene Sulfide Resin)である。なお、インシュレータ72に用いられる材料は、PPSに限定されない。
【0032】
負極の内部端子43aは、基部43a1と、接続片43a2(
図1および
図2参照)とを備えている。基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aに装着される部位である。この実施形態では、基部43a1は、インシュレータ72のベース部72aの周りの側壁72cの内側に応じた形状を有している。接続片43a2は、
図1および
図2に示されているように、基部43a1の一端から延びており、ケース本体41a内に延びて電極体20の負極の未形成部22a1に接続されている。
【0033】
この実施形態では、取付孔41b1にボス部71bを装着しつつ、蓋41bの外側にガスケット71を取付ける。外部端子43bがガスケット71に装着される。この際、外部端子43bの軸部43b2がガスケット71のボス部71bに挿通され、かつ、ガスケット71の座部71aに外部端子43bの頭部43b1が配置される。蓋41bの内側には、インシュレータ72と内部端子43aが取り付けられる。そして、
図3に示されているように、外部端子43bのカシメ片43b3が折曲げられて、内部端子43aの基部43a1にかしめられる。外部端子43bのカシメ片43b3と負極端子43の基部43a1とは、導通性を向上させるために部分的に金属接合されているとよい。
【0034】
ところで、リチウムイオン二次電池10の正極の内部端子42aでは、耐酸化還元性の要求レベルが負極に比べて高くない。そして、要求される耐酸化還元性と、軽量化の観点で、正極の内部端子42aにはアルミニウムが用いられうる。これに対して、負極の内部端子43aでは、耐酸化還元性の要求レベルが正極よりも高い。かかる観点で、負極の内部端子43aには、銅が用いられうる。他方で、外部端子43bが接続されるバスバとしては、軽量化および低コスト化の観点で、アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられうる。
【0035】
本発明者は、外部端子43bのうち内部端子43aに接合される部位に、銅または銅合金を用いること、および、外部端子43bのうちバスバに接続される部位に、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いること、を検討している。かかる構造を実現するため、この実施形態では、外部端子43bとして、銅とアルミニウムを異種金属接合させた部材が用いられている。以下、かかる外部端子43bとして用いられる、端子部品200の構造を説明する。
【0036】
《端子部品200》
図4は、端子部品200を模式的に示す断面図である。
図4では、端子部品200を構成する第1金属201と第2金属202とが接合される工程が模式的に示されている。外部端子43bとしての端子部品200は、
図3に示されているように、電池ケース41内部で一部が内部端子43aと接続され、かつ、一部が電池ケース41外部に露出するように電池ケース41に取り付けられる。
【0037】
端子部品200は、
図4に示されているように、第1金属201と、第1金属201に重ねられた第2金属202とを備えている。第1金属201と第2金属202とは、異なる金属から構成されている。
【0038】
第1金属201は、端子部品200が外部端子43bとして用いられたときに、一部が電池ケース41内部で内部端子43aと接続される部位である(
図3参照)。この実施形態では、第1金属は銅で構成されている。第1金属201は、軸部201aと、フランジ部201bとを有している。軸部201aは、蓋41bの取付孔41b1に挿入される軸部43b2となる部位である。フランジ部201bは、軸部201aの一端に設けられた、軸部201aよりも広がった平板状の部位である。軸部201aには、フランジ部201bが設けられた側とは反対側に、さらに内部端子43aにかしめられるカシメ片43b3となる部位201cが設けられている。
【0039】
第2金属202は、端子部品200が外部端子43bとして用いられたときに、電池ケース41外部に露出する部位である(
図3参照)。第2金属202には、展延性を有し、かつ、第1金属201よりも剛性が低い金属が用いられている。この実施形態では、第2金属はアルミニウムから構成されている。第2金属202は、第1金属201に重ねられた平板状の金属部材である。第2金属202は、第1金属201と重ねられた面202aが、第1金属201の端面201b1に応じた略矩形状である。
【0040】
端子部品200は、第1金属201と第2金属202の境界に、第1金属201と第2金属202とが金属接合によって接合された接合部203を有している。接合部203は、第1金属201と第2金属202が、接着剤やはんだ等の接着層を介さずに固相接合されている。第1金属201と第2金属202とを超音波圧接、摩擦圧接、抵抗溶接等の方法で接合することによって、このような接合部203を形成させることができる。
【0041】
第2金属202は、第1金属201に重ねられた面202aとは反対側の面202bにおいて、接合部203の外側に溝202cを有している。溝202cは、接合部203を面202bに垂直に投影した部分の外側に形成されている。なお、接合部203と、溝202cは部分的に重なっていてもよい。また、接合部203が部分的に溝202cよりも外側にあってもよい。溝202cが接合部203よりも外側に連続して形成されている場合には、溝202cの内側の面積が、接合部203を面202bに垂直に投影した面積よりも大きくなっているとよい。
【0042】
この実施形態では、溝202cは、円周状に形成されており、周方向に連続している。この実施形態では、溝202cの外側壁202c1は、面202bと垂直である。溝202cの内側壁202c2は、底部202c3との境界付近は面202bと垂直であるが、底部202c3から離れるに従って、外側壁202c1に近づくように傾斜している。つまり、溝202cよりも内側の内側部位202dは、頂部202d1に向かうに従って広がっている。そのため、溝202cの底部202c3の面積は、開口202c4の面積よりも広くなっている。なお、溝202cの形状等は特に限定されない。溝202cは、例えば、四角形等の多角形状に形成されていてもよい。溝202cは、連続して形成されていなくてもよく、間欠的に形成されていてもよい。また、溝202cの開口202c4は、内側部位202dの頂部202d1が広がっていることによって、部分的あるいは全体的に塞がっていてもよい。
【0043】
図4に示されている実施形態では、第2金属202の面202bと、内側部位202dの頂部202d1は同一平面状にある。しかしながら、かかる形態に限定されない。頂部202d1は面202bよりも突出していてもよい。また、頂部202d1が面202bよりも押し込まれていてもよい。
【0044】
図4および
図5に示された実施形態では、第1金属201と第2金属202とが超音波圧接される様子が図示されている。
図5に示されているように、第2金属202は、面202bに、後に溝202cとなる溝202eを有している。溝202eは、円周状に形成されている。溝202eは、周方向に連続して設けられている。ここでは、溝202eの底部202e1は、面202bと平行である。溝202eの外側壁202e2は、面202bと垂直である。第2金属202は、内側部位202dとなる凸部202fが設けられている。凸部202fの頂部202f1は、面202bと平行である。凸部202fの側壁202f2は、面202bと垂直である。凸部202fの高さは溝202eの深さよりも大きい。凸部202fは面202bから突き出ている。
【0045】
図5は、端子部品200の製造方法を説明する断面図である。
図5は、第1金属201と第2金属202とが超音波圧接される前の状態を示している。まず、第1金属201をアンビル301に配置する。第1金属201に第2金属202を重ねる。第2金属202の凸部202fの頂部202f1にホーン302を取り付ける。ホーン302に超音波圧接に要する振動を付与しながら、第2金属202を加圧する。ホーン302に付与される圧力や超音波振動は、第1金属201と第2金属202の金属種や寸法等に応じて適宜設定される。第2金属202に対して超音波振動を付与しながら加圧することによって、第1金属201と第2金属202との境界には接合部203が形成される。その際、頂部201d1の接合部203と対応した位置にはホーン302を押し当てたことによる圧壊痕が形成されうる。
【0046】
ホーン302を第2金属202に対して加圧する際、第2金属202は塑性変形する。その際、溝202eが設けられていることによって、第2金属202の塑性変形は溝202e内で起こる。換言すると、ホーン302が当てられている凸部202fの変形が溝202e内にしか及ばない。これによって、端子部品200の変形が抑えられる。
図4に示された実施形態では、開口202c4の面積が底部202c3の面積よりも小さくなるように、主に凸部202dの頂部202d1に近い部分で変形が起こっている。
なお、接合部203は、抵抗溶接や摩擦圧接等によって接合されてもよい。このような方法で金属接合する場合にも同様に、加圧に伴う端子部品200の変形が抑えられる。
【0047】
溝202eや凸部202fの寸法は、金属接合後に溝202cが埋まらないような寸法に設定されているとよい。溝202eの容積は、凸部202fが面202bから突き出ている部分202f3の体積よりも大きくなるように設定されているとよい。溝202eの容積がこのように設定されていることによって、凸部202fの頂部202f1を加圧したことに伴う変形が、溝202eの中に収められる。これによって、加圧による第2金属202の変形が、端子部品200の外形に及ぼす影響を低減することができる。
【0048】
図6は、組電池100を模式的に示す斜視図である。組電池100は、複数の二次電池10と、複数のスペーサ90とを備えている。また、組電池100は、拘束機構を備えている。具体的には、組電池100は、図示されるように、一対のエンドプレート92A,92Bと、拘束バンド94と、複数のビス96とを備えている。一対のエンドプレート92A,92Bは、二次電池10の配列方向において、組電池100の両端に配置されている。拘束バンド94は、一対のエンドプレート92A,92Bに架け渡され、ビス96によって一対のエンドプレート92A,92Bに取り付けられている。スペーサ90は、隣り合った2つの二次電池10の間に挟まれている。また、二次電池10とエンドプレート92Aの間と、二次電池10とエンドプレート92Bとの間とには、それぞれ、端部スペーサ98が配置されている。組電池100を構成する二次電池10の正極端子42と負極端子43とは、バスバ91によって電気的に接続されている。このことにより、組電池100を構成する二次電池10は、順に直列に電気的に接続されている。ただし、組電池100を構成する二次電池10の形状、サイズ、個数、配置、接続方法等はここに開示される態様に限定されることなく、適宜変更することができる。
【0049】
図4に示された端子部品200は、リチウムイオン二次電池10の負極の外部端子43bとして用いられる。外部端子43bは、バスバ91に接続される。外部端子43bとバスバ91とは、例えば、レーザー溶接で溶接されうる。バスバ91は、軽量化の観点でアルミニウムが用いられるが、ここで提案される端子部品200によれば、負極の外部端子43bのうちリチウムイオン二次電池10の外側に露出した第1金属201には、アルミニウムが用いられうる。正極の外部端子42bは、アルミニウムで構成される。このため、バスバ91と負極の外部端子43bとの接合、および、バスバ91と正極の外部端子42bとの接合に異種金属接合が生じず、強度において信頼性の高い接合を実現できる。また、この端子部品200によれば、負極の外部端子43bのうち、電池ケース41の内部で内部端子43a(
図2および
図3参照)と接合される部位201cは、第1金属201であり、銅である。このため、負極の外部端子43bと内部端子43aとの接合にも異種金属接合が生じず、強度において信頼性の高い接合を実現できる。
【0050】
ここで提案される端子部品200は、
図4に示されているように、第2金属202の、第1金属201に重ねられた面202aとは反対側の面202bにおいて、溝202cを有している。溝202cは、接合部203の外側に設けられている。接合部203は、超音波圧接、摩擦圧接、抵抗溶接等の方法で金属接合された部分である。溝202cが形成されていることによって、接合部203を形成する際の加圧による第2金属202の変形が、溝202cの外側に及びにくい。このため、寸法精度が良い端子部品200が提供される。このような端子部品200は、変形した部分が脱離することや、変形した部分が他の部品と干渉するおそれが低減されている。また、端子部品200のバスバ接続面に湾曲が起こらず、バスバとの良好な接続が実現されうる。
【0051】
ここでは、溝202cは、周方向に連続している。金属接合を実施する際に、加圧に伴う変形が常に同じ位置に生じるとは限らない。溝202cが接合部203の周囲に連続していることによって、端子部品200の外形に変形が生じることをより好適に抑えることができる。
【0052】
上述した実施形態では、溝202cは、第1金属201と第2金属202とが金属接合された接合部203の外側に設けられていたが、かかる形態に限定されない。例えば、第1金属201と第2金属202の接合強度を向上させる等の目的で、溝202cの外側にも、第1金属201と第2金属202とが金属接合された部分があってもよい。
また、第1金属201と第2金属202とは、金属接合以外の接合によって接合された部分を有していてもよい。接合強度を向上させる等のために、例えば、第1金属201と第2金属202の境界に、一方の金属が他方の金属に対してかしめられるような構造が設けられていてもよい。
第1金属201と第2金属202を構成する金属の組み合わせは、銅とアルミニウムに限定されず、種々の金属の組み合わせを採用することができる。また、第1金属201と第2金属202には、めっき等の処理が施されていてもよい。
【0053】
ここに開示される技術の他の側面として、外部端子として第1金属201が用いられ、バスバ91として第2金属202が用いられた組電池100が提供される。
図7は、組電池100における、負極の外部端子43bとバスバ91とが接続された部分が模式的に示された断面図である。
図7に示されている実施形態では、負極の外部端子43bとして第1金属201が、バスバ91として第2金属202が用いられている。ここでは、第2金属202は、アルミニウム製の長尺な板状の金属部材である。第2金属202は、一方の端に設けられた面202aが、第1金属201の端面201b1に重ねられている。図示は省略するが、第2金属202は、他方の端が正極の外部端子42bと接続されている。外部端子43bとバスバ91との境界には、外部端子43bとバスバ91とが金属接合によって接合された接合部203が設けられている。バスバ91は、接合部203と反対側の面201bにおいて、接合部203の外側に溝202cを有している。
このような構成を有する組電池100は、外部端子43bが1種類の金属から構成されている。部品点数が少ないことにより、製造コストが削減される。バスバ91と外部端子43bは金属接合されていることによって、導通抵抗が低く抑えられている。また、バスバ91は、接合部203の外側に溝202cを有している。これによって、バスバ91の外部端子43bと接合される面に変形や湾曲が抑えられており、外部端子43bとの良好な接合が実現されうる。
【0054】
以上、ここで開示される端子部品、二次電池および組電池について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた端子部品および電池の実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される電池は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0055】
10 リチウムイオン二次電池
20 電極体
21 正極シート
22 負極シート
31,32 セパレータシート
41 電池ケース
41a ケース本体
41a1 開口
41b 蓋
41b1 取付孔
41b2 段差
41b3 座面
41b4 突起
42 正極端子
42a 正極の内部端子
42b 正極の外部端子
43 負極端子
43a 負極の内部端子
43a1 基部
43a2 接続片
43b 負極の外部端子
43b1 頭部
43b2 軸部
43b3 カシメ片
61 底面部
62,63 幅広面部
64,65 幅狭面部
71 ガスケット
71a 座部
71b ボス部
71c 側壁
72 インシュレータ
72a ベース部
72b 孔
72b1 段差
72c 側壁
90 スペーサ
91 バスバ
92A,92B エンドプレート
94 拘束バンド
96 ビス
98 端部スペーサ
100 組電池
200 端子部品
201 第1金属
201a 軸部
201b フランジ部
201b1 端面
201c 部位
202 第2金属
202a 面
202b 面
202c 溝
202c1 外側壁
202c2 内側壁
202c3 底部
202c4 開口
202d 内側部位
202d1 頂部
202e 溝
202e1 底部
202e2 外側壁
202f 凸部
202f1 頂部
202f2 側壁
203 接合部
301 アンビル
302 ホーン