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特開2022-112436オーディオ装置、オーディオシステム、プログラム、およびオーディオ再生環境の設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112436
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】オーディオ装置、オーディオシステム、プログラム、およびオーディオ再生環境の設定方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/04 20060101AFI20220726BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
H04R3/04
H04R3/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008308
(22)【出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 研次
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AB01
5D220DD01
5D220DD03
5D220DD05
(57)【要約】
【課題】スピーカの追加に対応したオーディオ再生環境の設定技術を提供する。
【解決手段】オーディオ装置1は、接続されたスピーカ2毎に、スピーカ2-1~2-3から出力するオーディオ再生信号を、このスピーカ2に紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正する。そして、新たなスピーカ2が接続されると、このスピーカ2から識別情報を取得し、この識別情報を用いて管理サーバ4に問い合わせて、このスピーカ2の音響特性を管理サーバ4から取得する。それから、取得した音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較して、このスピーカ2から出力されるオーディオ再生信号を所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成し、生成したフィルタ情報をこのスピーカ2に紐付けて登録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生出力するオーディオ装置であって、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎にフィルタ情報を記憶するフィルタ情報記憶手段と、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎に、当該スピーカに出力するオーディオ再生信号を、前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている当該スピーカのフィルタ情報に従って補正する補正手段と、
新たに前記スピーカが接続された場合に、当該スピーカから当該スピーカの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記スピーカ各々の音響特性を管理するサーバに、前記識別情報取得手段により取得された識別情報を通知して、新たに接続された前記スピーカの音響特性を前記サーバから取得する音響特性取得手段と、
前記音響特性取得手段により取得された音響特性を所定の音響特性と比較し、新たに接続された前記スピーカから出力されるオーディオ再生信号を当該所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成するフィルタ情報生成手段と、
前記フィルタ情報生成手段により生成されたフィルタ情報を、新たに接続された前記スピーカに紐付けて前記フィルタ情報記憶手段に登録するフィルタ情報登録手段と、を備えている
ことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオーディオ装置であって、
前記音響特性取得手段が新たに接続された前記スピーカの音響特性の取得に失敗した場合に、自オーディオ装置を遠隔操作するコントローラ、あるいは、自オーディオ装置が備える表示装置にその旨を表示して、当該スピーカの接続可否をユーザに問い合わせる接続可否問合せ手段と、
前記接続可否問合せ手段により、新たに接続された前記スピーカの接続拒否をユーザから受け付けた場合に、当該スピーカへのオーディオ再生信号の出力を規制する出力制御手段と、をさらに備えている
ことを特徴とするオーディオ装置。
【請求項3】
複数のスピーカと、前記複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生出力するオーディオ装置と、を有するオーディオシステムであって、
前記オーディオ装置は、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎にフィルタ情報を記憶するフィルタ情報記憶手段と、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎に、当該スピーカに出力するオーディオ再生信号を、前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている当該スピーカのフィルタ情報に従って補正する補正手段と、
新たに前記スピーカが接続された場合に、当該スピーカから当該スピーカの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記スピーカ各々の音響特性を管理するサーバに、前記識別情報取得手段により取得された識別情報を通知して、新たに接続された前記スピーカの音響特性を前記サーバから取得する音響特性取得手段と、
前記音響特性取得手段により取得された音響特性を所定の音響特性と比較し、新たに接続された前記スピーカから出力されるオーディオ再生信号を当該所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成するフィルタ情報生成手段と、
前記フィルタ情報生成手段により生成されたフィルタ情報を、新たに接続された前記スピーカに紐付けて前記フィルタ情報記憶手段に登録するフィルタ情報登録手段と、を備え、
前記スピーカは、
前記オーディオ装置に接続された場合に、自スピーカの識別情報を前記オーディオ装置に送信する識別情報送信手段を備えている
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項4】
複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生出力するオーディオ装置として、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
当該コンピュータに接続された前記スピーカ毎にフィルタ情報を記憶するフィルタ情報記憶手段、
当該コンピュータに接続された前記スピーカ毎に、当該スピーカに出力するオーディオ再生信号を、前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている当該スピーカのフィルタ情報に従って補正する補正手段、
当該コンピュータに前記スピーカが新たに接続された場合に、当該スピーカから当該スピーカの識別情報を取得する識別情報取得手段、
前記スピーカ各々の音響特性を管理するサーバに、前記識別情報取得手段により取得された識別情報を通知して、新たに接続された前記スピーカの音響特性を前記サーバから取得する音響特性取得手段、
前記音響特性取得手段により取得された音響特性を所定の音響特性と比較し、新たに接続された前記スピーカから出力されるオーディオ再生信号を当該所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成するフィルタ情報生成手段、および、
前記フィルタ情報生成手段により生成されたフィルタ情報を、新たに接続された前記スピーカに紐付けて前記フィルタ情報記憶手段に登録するフィルタ情報登録手段として、機能させる
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
複数のスピーカと、前記複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生出力するオーディオ装置と、を有するオーディオシステムにおける、オーディオ再生環境の設定方法であって、
前記オーディオ装置は、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎に、当該スピーカに出力するオーディオ再生信号を、当該スピーカに紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正するものであり、
新たに前記スピーカが接続されると、当該スピーカから当該スピーカの識別情報を取得し、
前記スピーカ各々の音響特性を管理するサーバに、前記取得した識別情報を通知して、当該スピーカの音響特性を前記サーバから取得し、
前記取得した音響特性を所定の音響特性と比較し、新たに接続された前記スピーカから出力されるオーディオ再生信号を当該所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成し、
前記生成したフィルタ情報を、新たに接続された前記スピーカに紐付けて登録し、
前記スピーカは、
前記オーディオ装置に接続された場合に、自スピーカの識別情報を前記オーディオ装置に送信する
ことを特徴とするオーディオ再生環境の設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカを用いたオーディオ再生環境の設定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するオーディオ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のオーディオ装置は、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、オーディオ再生信号を増幅し、このチャンネルに対応するスピーカから出力している。
【0003】
また、近年、サウンドバーを用いたオーディオシステムが普及している。サウンドバーは、複数チャンネルのスピーカを内蔵しており、これ1台で(ワンボディ型)あるいはサブウーハーと組み合わせて(2ユニット型)、マルチチャンネルオーディオの再生環境を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-367290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、サウンドバーに内蔵されている複数チャンネルのスピーカおよびサウンドバーと組み合わせて使用されるサブウーファーは、全体として統一された音響特性(周波数-音圧レベル特性)となるようにチューニングされており、これにより、良好なマルチチャンネルオーディオの再生環境を実現することができる。しかしながら、サウンドバーを用いたオーディオシステムに、このサウンドバーとの併用を想定していないスピーカを追加した場合、追加したスピーカと使用中のサウンドバーとの音響特性がマッチせず、マルチチャンネルオーディオを良好に再生できない可能性がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スピーカの追加に対応したオーディオ再生環境の設定技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のオーディオ装置は、接続されたスピーカ毎に、スピーカから出力するオーディオ再生信号を、このスピーカに紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正する。そして、新たなスピーカが接続されると、このスピーカから識別情報(例えばメーカ名およびモデル名)を取得し、この識別情報を用いてサーバに問い合わせて、サーバからこのスピーカの音響特性を取得する。それから、取得した音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較し、このスピーカから出力されるオーディオ再生信号が所定の音響特性に近づくようにフィルタ情報を生成し、生成したフィルタ情報をこのスピーカに紐付けて登録する。
【0008】
例えば、本発明は、
複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生出力するオーディオ装置であって、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎にフィルタ情報を記憶するフィルタ情報記憶手段と、
自オーディオ装置に接続された前記スピーカ毎に、当該スピーカに出力するオーディオ再生信号を、前記フィルタ情報記憶手段に記憶されている当該スピーカのフィルタ情報に従って補正する補正手段と、
新たに前記スピーカが接続された場合に、当該スピーカから当該スピーカの識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記スピーカ各々の音響特性を管理するサーバに、前記識別情報取得手段により取得された識別情報を通知して、新たに接続された前記スピーカの音響特性を前記サーバから取得する音響特性取得手段と、
前記音響特性取得手段により取得された音響特性を所定の音響特性と比較し、新たに接続された前記スピーカから出力されるオーディオ再生信号を当該所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成するフィルタ情報生成手段と、
前記フィルタ情報生成手段により生成されたフィルタ情報を、新たに接続された前記スピーカに紐付けて前記フィルタ情報記憶手段に登録するフィルタ情報登録手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、新たに接続されたスピーカの音響特性をサーバから取得して、取得した音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較し、このスピーカから出力されるオーディオの再生信号が所定の音響特性に近づくようにフィルタ情報を生成する。そして、このスピーカから出力するオーディオ再生信号を、生成したフィルタ情報に従って補正する。したがって、本発明によれば、新たにスピーカを追加した場合でも、良好なオーディオ再生環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に係るオーディオシステムにおいて、オーディオ装置1にスピーカ2を新たに接続する場合のオーディオ再生環境の設定動作を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、オーディオ装置1の概略機能構成図である。
図4図4は、オーディオ装置1のオーディオ再生環境設定処理を説明するためのフロー図である。
図5図5は、スピーカ2の概略機能構成図である。
図6図6は、スピーカ2のオーディオ装置接続処理を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るオーディオシステムの概略構成図である。
【0013】
図示するように、本実施の形態に係るオーディオシステムは、アクセスポイント6およびWAN、LAN等のネットワーク5を介して管理サーバ4に接続されたオーディオ装置1と、オーディオ装置1に接続されたサウンドバー2-1、サブウーファー2-2、およびワイヤレススピーカ2-3(以下、これらをスピーカ2とも呼ぶ)と、オーディオ装置1を遠隔操作するためのコントローラ3と、を備えている。
【0014】
ここで、サウンドバー2-1およびサブウーファー2-2は、オーディオ装置1にケーブル接続されており、ワイヤレススピーカ2-3は、アクセスポイント6を介してオーディオ装置1に無線接続されているが、スピーカ2とオーディオ装置1との接続は有線および無線のいずれであってもよい。
【0015】
コントローラ3は、スマートホン、タブレットPC(Personal Computer)等のワイヤレス端末で構成され、アクセスポイント6を介してオーディオ装置1にワイヤレス接続することにより、オーディオ装置1に対して、オーディオの再生制御を含む各種操作を遠隔で実施する。
【0016】
オーディオ装置1は、コントローラ3を介して受け付けたユーザの指示に従いオーディオコンテンツを再生して、そのオーディオ再生信号を、自オーディオ装置1に接続された各スピーカ2から出力する。ここで、オーディオ装置1は、オーディオ装置1に接続されたスピーカ2毎に、このスピーカ2から出力するオーディオ再生信号を、このスピーカ2に紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正する。これにより、サウンドバー2-1、サブウーファー2-2、およびワイヤレススピーカ2-3は、全体として統一された音響特性(周波数-音圧レベル特性)となり、良好なオーディオの再生環境を実現している。
【0017】
管理サーバ4は、スピーカ2毎に、スピーカ2の音響特性をこのスピーカ2の識別情報(例えばメーカ名およびモデル名)に紐付けて管理している。オーディオ装置1は、自オーディオ装置1に新たに接続されたスピーカ2の音響特性を管理サーバ4から取得して、この音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較し、このスピーカ2から出力するオーディオ再生信号をこの所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成する。そして、生成したフィルタ情報を、この新たに接続されたスピーカ2に紐付けて登録する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るオーディオシステムにおいて、オーディオ装置1にスピーカ2を新たに接続する場合のオーディオ再生環境の設定動作を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
ここでは、サウンドバー2-1およびサブウーファー2-2が既に接続されているオーディオ装置1にワイヤレススピーカ2-3を新たに接続する場合を例にとり説明する。なお、ワイヤレススピーカ2-3は、アクセスポイント6にワイヤレス接続されているものとする。
【0020】
コントローラ3は、オーディオ再生信号の出力先としてワイヤレススピーカ2-3の指定を伴う設定操作をユーザから受け付けると(S100)、ワイヤレススピーカ2-3の指定を伴う設定要求を、アクセスポイント6を介してオーディオ装置1に送信する(S101)。これを受けて、オーディオ装置1は、アクセスポイント6を介してワイヤレススピーカ2-3に接続要求を送信する(S102)。
【0021】
ワイヤレススピーカ2-3は、アクセスポイント6を介してオーディオ装置1から接続要求を受信すると、ワイヤレススピーカ2-3の識別情報(例えばメーカ名およびモデル名)を伴う接続応答をオーディオ装置1に返信して(S103)、オーディオ装置1と接続する(S104)。
【0022】
つぎに、オーディオ装置1は、アクセスポイント6およびネットワーク5を介して管理サーバ4に、ワイヤレススピーカ2-3の識別情報を伴う音響特性要求を送信する(S105)。これを受けて、管理サーバ4は、ワイヤレススピーカ2-3の識別情報をキーにしてワイヤレススピーカ2-3の音響特性を検索し(S106)、ワイヤレススピーカ2-3の音響特性をオーディオ装置1に送信する(S107)。
【0023】
つぎに、オーディオ装置1は、管理サーバ4から取得したワイヤレススピーカ2-3の音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較して、ワイヤレススピーカ2-3に出力するオーディオ再生信号をこの所定の音響特性に近づかせるためのフィルタ情報を生成する(S108)。それから、オーディオ装置1は、生成したフィルタ情報をワイヤレススピーカ2-3に紐付けて登録する(S109)。
【0024】
つぎに、本実施の形態に係るオーディオシステムを構成するオーディオ装置1およびスピーカ2の詳細について説明する。なお、コントローラ3には既存のものを用いることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0025】
まず、オーディオ装置1の詳細を説明する。
【0026】
図3は、オーディオ装置1の概略機能構成図である。
【0027】
図示するように、オーディオ装置1は、無線インターフェース部100と、スピーカ接続部101と、操作受付部102と、コンテンツ記憶部103と、フィルタ情報記憶部104と、オーディオ再生部105と、補正部106と、識別情報取得部107と、音響特性取得部108と、フィルタ情報生成部109と、主制御部110と、を有する。
【0028】
無線インターフェース部100は、アクセスポイント6に無線接続するためのインターフェースである。
【0029】
スピーカ接続部101は、不図示のケーブル接続端子あるいは無線インターフェース部100を介してスピーカ2と接続するためのインターフェースである。例えば、図1において、スピーカ接続部101は、ケーブル接続端子を介してサウンドバー2-1およびサブウーファー2-2各々とケーブル接続されており、また、無線インターフェース部100を介してワイヤレススピーカ2-3とワイヤレス接続されている。
【0030】
操作受付部102は、無線インターフェース部100を介してコントローラ3から、オーディオ再生信号の出力先の指定を伴う設定操作、オーディオの再生制御操作等を含む各種操作を受け付ける。
【0031】
コンテンツ記憶部103には、楽曲のオーディオコンテンツが記憶されている。
【0032】
フィルタ情報記憶部104には、スピーカ接続部101に接続されているスピーカ2毎に、このスピーカ2から出力するオーディオ再生信号を補正するためのフィルタ情報が記憶されている。
【0033】
オーディオ再生部105は、コンテンツ記憶部103に記憶されているオーディオコンテンツを再生して、スピーカ接続部101に接続されているスピーカ2毎にオーディオ再生信号を出力する。
【0034】
補正部106は、スピーカ接続部101に接続されているスピーカ2毎に、オーディオ再生部105より出力されたオーディオ再生信号を、対応するスピーカ2に紐付けられてフィルタ情報記憶部104に記憶されているフィルタ情報に従い補正して、対応するスピーカ2に、スピーカ接続部101を介して送信する。
【0035】
識別情報取得部107は、スピーカ接続部101を介してスピーカ2に接続要求を送信して、このスピーカ2から接続応答を受信することにより、このスピーカ2の識別情報(例えばメーカ名およびモデル名)を取得する。
【0036】
音響特性取得部108は、スピーカ2の識別情報を伴う音響特性要求を、無線インターフェース部100を介して管理サーバ4に送信することにより、このスピーカ2の音響特性を管理サーバ4から取得する。
【0037】
フィルタ情報生成部109は、音響特性取得部108により取得されたスピーカ2の音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較して、このスピーカ2から出力するオーディオ再生信号をこの所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成する。
【0038】
そして、主制御部110は、オーディオ装置1の各部100~109を統括的に制御する。
【0039】
なお、図3に示すオーディオ装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタと、スピーカ接続端子と、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0040】
図4は、オーディオ装置1のオーディオ再生環境設定処理を説明するためのフロー図である。
【0041】
このフローは、操作受付部102が、無線インターフェース部100を介してコントローラ3から、新たな接続対象のスピーカ(以下、接続対象スピーカ)2の指定を伴う設定要求を受信することにより開始される。
【0042】
まず、主制御部110は、識別情報取得部107に、操作受付部102がコントローラ3から受信した設定要求で指定されている接続対象スピーカ2のアドレス(接続対象スピーカ2がワイヤレス接続されている場合)あるいはそのケーブル接続端子(接続対象スピーカ2がケーブル接続されている場合)を通知して接続対象スピーカ2の識別情報の取得を指示する。
【0043】
これを受けて、識別情報取得部107は、スピーカ接続部101および無線インターフェース部100を介して、主制御部110より通知されたアドレスにより特定される接続対象スピーカ2に(接続対象スピーカ2がワイヤレス接続されている場合)、あるいは、スピーカ接続部101および主制御部110より通知されたケーブル接続端子を介して、接続対象スピーカ2に(接続対象スピーカ2がケーブル接続されている場合)、接続要求を送信する(S200)。
【0044】
つぎに、スピーカ接続部101は、無線インターフェース部100を介して(接続対象スピーカ2がワイヤレス接続されている場合)、あるいは、ケーブル接続端子を介して(接続対象スピーカ2がケーブル接続されている場合)、接続対象スピーカ2から接続応答を受信すると、接続対象スピーカ2に対してオーディオ再生信号が送信可能となるように接続対象スピーカ2と接続する(S201)。
【0045】
そして、識別情報取得部107は、スピーカ接続部101が接続対象スピーカ2から受信した接続応答に接続対象スピーカ2の識別情報が含まれているならば(S202でYES)、この識別情報を主制御部110に通知する。主制御部110は、音響特性取得部108に、識別情報取得部107から受け取った識別情報を通知して接続対象スピーカ2の音響特性の取得を指示する。
【0046】
これを受けて、音響特性取得部108は、接続対象スピーカ2の識別情報の指定を伴う音響特性要求を、無線インターフェース部100を介して管理サーバ4に送信する(S203)。そして、管理サーバ4から接続対象スピーカ2の音響特性を取得したならば(S204でYES)、この音響特性を主制御部110に通知する。
【0047】
主制御部110は、音響特性取得部108から音響特性を受け取ると、フィルタ情報生成部109に、この音響特性を通知してフィルタ情報の生成を指示する。これを受けて、フィルタ情報生成部109は、主制御部110より受け取った音響特性を、予め登録されている目標とすべき所定の音響特性と比較して、接続対象スピーカ2から出力するオーディオ再生信号をこの所定の音響特性に近づけるためのフィルタ情報を生成する。そして、主制御部110は、フィルタ情報生成部109により生成されたフィルタ情報を接続対象スピーカ2に紐付けてフィルタ情報記憶部104に登録する(S205)。
【0048】
一方、S204において、音響特性取得部108は、管理サーバ4から接続対象スピーカ2の音響特性を取得できなかったならば(S204でNO)、その旨を主制御部110に通知する。主制御部110は、管理サーバ4からの接続対象スピーカ2の音響特性取得に失敗した場合、操作受付部102にエラー通知を指示する。
【0049】
これを受けて、操作受付部102は、接続対象スピーカ2の音響特性が不明であるとして、このスピーカ2の接続可否を問い合わせるメッセージを、無線インターフェース部100を介してコントローラ3に送信し、このスピーカ2の接続可否をコントローラ3から受け付ける(S206)。
【0050】
そして、操作受付部102がコントローラ3から接続許可を受け付けたならば(S207でYES)、主制御部110は、予め登録されている標準のフィルタ情報(例えば、オーディオ再生信号をそのままパススルーするように設定されたフィルタ情報)を接続対象スピーカ2に紐付けてフィルタ情報記憶部104に登録する(S208)。
【0051】
一方、操作受付部102がコントローラ3から接続拒否を受け付けたならば(S207でNO)、主制御部110は、スピーカ接続部101に接続対象スピーカ2の切断を指示する。これを受けて、スピーカ接続部101は、接続対象スピーカ2に対してオーディオ再生信号が送信不可となるように、このスピーカ2との接続を切断する(S210)。
【0052】
また、S202において、スピーカ接続部101が接続対象のスピーカ2から受信した接続応答に接続対象のスピーカ2の識別情報が含まれていない場合(S202でNO)、主制御部110は、操作受付部102にエラー通知を指示するとともに、スピーカ接続部101に接続対象スピーカ2の切断を指示する。
【0053】
これを受けて、操作受付部102は、接続対象スピーカ2の識別情報が不明であるとして、このスピーカ2との接続を切断する旨のメッセージを、無線インターフェース部100を介してコントローラ3に送信する(S209)。また、スピーカ接続部101は、接続対象スピーカ2に対してオーディオ再生信号が送信不可となるように、このスピーカ2との接続を切断する(S210)。
【0054】
つぎに、スピーカ2の詳細を説明する。
【0055】
図5は、スピーカ2の概略機能構成図である。
【0056】
図示するように、スピーカ2は、オーディオ装置接続部200と、オーディオ出力部201と、識別情報記憶部202と、主制御部203と、を有する。
【0057】
オーディオ装置接続部200は、不図示のケーブル接続端子(オーディオ装置1とケーブル接続する場合)あるいは無線インターフェース(オーディオ装置1とワイヤレス接続する場合)を介してオーディオ装置1と接続する。
【0058】
オーディオ出力部201は、オーディオ装置接続部200を介してオーディオ装置1から受信したオーディオ再生信号を音声出力する。
【0059】
識別情報記憶部202には、スピーカ2の識別情報(例えばメーカ名およびモデル名)が記憶されている。
【0060】
そして、主制御部203は、スピーカ2の各部200~202を統括的に制御する。
【0061】
なお、図5に示すスピーカ2の機能構成も、図3に示すオーディオ装置1の機能構成と同様に、ASIC、FPGA等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタおよび/またはオーディオ接続端子と、スピーカと、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0062】
図6は、スピーカ2のオーディオ装置接続処理を説明するためのフロー図である。
【0063】
このフローは、オーディオ装置接続部200がケーブル接続端子あるいは無線インターフェースを介してオーディオ装置1から接続要求を受信することにより開始される。
【0064】
主制御部203は、識別情報記憶部202を参照して、自スピーカ2の識別情報を検索する(S300)。そして、自スピーカ2の識別情報が識別情報記憶部202に登録されているならば(S301でYES)、この識別情報の指定を伴う接続応答を、オーディオ装置接続部200を介してオーディオ装置1に送信する(S302)。一方、自スピーカ2の識別情報が識別情報記憶部202に登録されていないならば(S301でNO)、識別情報の指定を伴わない接続応答を、オーディオ装置接続部200を介してオーディオ装置1に送信する(S303)。
【0065】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0066】
本実施の形態において、オーディオ装置1は、自オーディオ装置1に接続されているスピーカ2毎に、スピーカ2から出力するオーディオ再生信号を、このスピーカ2に紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正する。そして、新たなスピーカ2が接続されると、この新たに接続されたスピーカ2から識別情報を取得し、この識別情報を用いて管理サーバ4に問い合わせて、このスピーカ2の音響特性を管理サーバ4から取得する。それから、取得した音響特性を、目標とすべき所定の音響特性と比較し、このスピーカ2から出力されるオーディオの再生信号が所定の音響特性に近づくようにフィルタ情報を生成し、生成したフィルタ情報をこのスピーカ2に紐付けて登録する。したがって、本実施の形態によれば、オーディオ装置1に新たにスピーカ2を追加接続した場合でも、良好なオーディオ再生環境を実現することができる。
【0067】
また、本実施の形態において、オーディオ装置1は、管理サーバ4から新たに接続されたスピーカ2の音響特性の取得に失敗した場合に、コントローラ3にその旨を表示して、このスピーカ2の接続可否をユーザに問い合わせる。そして、新たに接続されたスピーカ2の接続拒否をユーザから受け付けた場合に、このスピーカ2のオーディオ再生信号の出力を規制している。したがって、本発明によれば、オーディオ再生に利用するスピーカ2として音響特性が不明であるスピーカ2が追加されことにより、全体として良好なオーディオ再生環境を実現できなくなることを防止することができる。
【0068】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0069】
例えば、上記の実施の形態において、オーディオ装置1は、管理サーバ4から新たに接続されたスピーカ2の音響特性の取得に失敗した場合に、コントローラ3にその旨を表示して、このスピーカ2の接続可否をユーザに問い合わせている。しかし、本発明はこれに限定されない。オーディオ装置1がタッチパネル等のマンマシンインターフェースを備えている場合、このマンマシンインターフェースにその旨を表示して、スピーカ2の接続可否をユーザに問い合わせてもよい。
【0070】
また、上記の実施の形態において、新たに接続されたスピーカ2からの識別情報取得が失敗した場合、オーディオ装置1は、このスピーカ2へのオーディオ再生信号送信が不可となるように、このスピーカ2との接続を切断しているが、新たに接続されたスピーカ2の音響特性取得が失敗した場合と同様に、ユーザに問い合わせを行い、ユーザから接続許可を受け付けたならば、予め登録されている標準のフィルタ情報を、識別情報取得に失敗したスピーカ2に対応付けてもよい。
【0071】
また、上記の実施の形態において、オーディオ装置1は、自オーディオ装置1に接続されているスピーカ2毎に、スピーカ2から出力するオーディオ再生信号を、このスピーカ2に紐付けられて登録されているフィルタ情報に従って補正している。しかし、本発明はこれに限定されない。スピーカ2がフィルタ情報に従ってオーディオ再生信号を補正する機能を有する場合、スピーカ2へのオーディオ再生信号の送信に先立って、このスピーカ2に紐付けられて登録されているフィルタ情報をこのスピーカ2に送信し、フィルタ情報に従ったオーディオ再生信号の補正をこのスピーカ2に行わせてもよい。
【0072】
また、上記の実施の形態では、オーディオ装置1とワイヤレススピーカ2-3との間、および、オーディオ装置1とコントローラ3との間の通信をアクセスポイント6経由で行っているが、本発明はこれに限定されない。Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、オーディオ装置1とワイヤレススピーカ2-3との間、および/または、オーディオ装置1とコントローラ3との間の通信を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:オーディオ装置 2:スピーカ2-1:サウンドバー
2-2:サブフーファー 2-3:ワイヤレススピーカ
3:コントローラ 4:管理サーバ 5:ネットワーク
6:アクセスポイント 100:無線インターフェース部
101:スピーカ接続部 102:操作受付部
103:コンテンツ記憶部 104:フィルタ情報記憶部
105:オーディオ再生 106:補正部
107:識別情報取得部 108:音響特性取得部
109:フィルタ情報生成部 110:主制御部
200:オーディオ装置接続部 201:オーディオ出力部
202:識別情報記憶部 203:主制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6