(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112498
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】高硬度の高多孔性ケミカルメカニカル研磨パッド用配合物及びそれにより製造されたCMPパッド
(51)【国際特許分類】
B24B 37/24 20120101AFI20220726BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20220726BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20220726BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220726BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20220726BHJP
C08G 18/30 20060101ALI20220726BHJP
C08G 18/65 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
B24B37/24 C
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622F
C08G18/00 H
C08G18/30 020
C08G18/65 011
C08G18/65 023
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022006581
(22)【出願日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】17/154,807
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・イー・バートン
(72)【発明者】
【氏名】アネット・エム・クレバス
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ブルガロラス・ブルファウ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィア・オー・アーチボールド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・イー・ミルズ
【テーマコード(参考)】
3C158
4J034
5F057
【Fターム(参考)】
3C158DA12
3C158EB19
3C158EB20
3C158EB29
3C158ED00
4J034BA06
4J034BA08
4J034CA04
4J034CA15
4J034CB03
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC65
4J034CD08
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB04
4J034DC50
4J034DG06
4J034DG08
4J034HA02
4J034HA07
4J034HC03
4J034JA01
4J034KA01
4J034KB02
4J034KB05
4J034KC17
4J034KD02
4J034KD12
4J034KE01
4J034KE02
4J034LA33
4J034NA03
4J034QB01
4J034QB16
4J034QC01
4J034QD06
4J034RA19
5F057AA05
5F057AA24
5F057BA11
5F057DA03
5F057EB03
5F057EB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】欠陥率の不都合な増加がなく、硬度及び除去速度性能が改善されたケミカルメカニカル研磨層又はパッドを提供する。
【解決手段】二成分反応混合物[(i)1種以上の芳香族ジイソシアナート又は線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマーを含む液体芳香族イソシアナート成分、(ii)a)1種以上の高分子ポリオール、b)液体ポリオール成分の総重量に基づいて15~36重量%の1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオール、c)液体ポリオール成分の総重量に基づいて0~25重量%の標準気圧及び40℃で液体である液体芳香族ジアミン、d)CMP研磨パッドの密度を、0.2~0.5g/mLに減少させるのに十分な量の水又はCO2-アミン付加物を含む、液体ポリオール成分の二成分混合物]から製造された、40~80のショアDO(15秒)硬度を有する、ポリウレタン研磨層の研磨パッド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1種から選択される基板を研磨するためのケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドであって、基板の研磨用に適合された研磨層を含み、研磨層がポリウレタンであり、ポリウレタンが、有機溶媒を含まない二成分反応混合物[(i)1種以上の芳香族ジイソシアナート又は線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマー(未反応イソシアナート(NCO)濃度が、芳香族イソシアナート成分の総固形分重量に基づいて18~40重量%である)を含む液体芳香族イソシアナート成分、並びに(ii)液体ポリオール成分であって、a)1種以上の高分子ポリオール、b)液体ポリオール成分の総重量に基づいて15~36重量%の1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオール、c)液体ポリオール成分の総重量に基づいて0~25重量%の標準気圧及び40℃で液体である液体芳香族ジアミン、及びd)二成分反応混合物から製造されたCMP研磨パッドの密度を、0.2~0.50g/mLに減少させるのに十分な量の水又はCO2-アミン付加物を含む、液体ポリオール成分を含む]の生成物である、研磨パッドであって、反応混合物が、反応混合物の総重量に基づいて60~75重量%のハードセグメント材料を含み、CMP研磨層が、40~80のショアDO(15秒)硬度を有しており、そして0.2~0.55g/mLの密度である、研磨パッド。
【請求項2】
(i)液体芳香族イソシアナート成分が、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、トルエンジイソシアナート(TDI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、パラフェニレンジイソシアナート(PPDI)、若しくはo-トルイジンジイソシアナート(TODI);線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマー[1種以上の鎖延長化合物で延長されたMDI、TDI、NDI、PPDI、TODI又はそれらの混合物のいずれか];又はそれらの混合物から選択される、1種以上のジイソシアナート又はイソシアナート末端線状ウレタンプレポリマー化合物を含む、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項3】
(i)液体芳香族イソシアナート成分が、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)又はMDIの線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマー[MDI、又はエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びそれらの混合物のいずれかで延長されたMDIダイマーである]から選択される、請求項2記載のCMP研磨パッド。
【請求項4】
(ii)液体ポリオール成分において、1種以上の高分子ポリオールが、ポリテトラメチレングリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、六官能性ポリオール、及びそれらの混合物から選択される、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項5】
(ii)液体ポリオール成分において、1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオールが、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、及びそれらの混合物から選択される、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項6】
(ii)液体ポリオール成分において、1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオールが、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、及びそれらの混合物から選択される、請求項5記載のCMP研磨パッド。
【請求項7】
反応混合物が、63超~75重量%のハードセグメント材料を含む、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項8】
CMP研磨層を製造するための反応混合物中のアミン(NH2)基の総モル数とヒドロキシル(OH)基の総モル数との合計と、反応混合物中の未反応イソシアナート(NCO)基の総モル数との化学量論比が、0.85:1.0~1.15:1.0の範囲である、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項9】
CMP研磨パッドが、水又はCO2-アミン付加物によって形成されるもの以外の微量要素を含有しない、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【請求項10】
d)が、二成分反応混合物の総重量に基づいて、1,000~8,500ppmの量の水である、請求項1記載のCMP研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショアDO硬度(15秒)が40以上、及び比重(SG)が0.5以下であるケミカルメカニカルプラナリゼーション研磨(CMP研磨)パッドを製造するための二成分ポリウレタン組成物、それらから製造されたCMP研磨パッド並びに同パッドを製造するための方法に関する。更に詳しくは、本発明は、液体芳香族ジイソシアナート成分と、短鎖ジオール及び液体芳香族ジアミン硬化剤を含む液体ポリオール成分との二成分反応混合物のポリウレタンフォーム反応生成物を含むCPM研磨パッドに関するが、ここで、液体ポリオール成分は、例えば、二成分反応混合物の総重量に基づいて1000~8500ppmの量で水を含有する。
【背景技術】
【0002】
CMPプロセスにおいて、研磨パッドは、研磨液(砥粒含有研磨スラリー及び/又は砥粒を含まない反応性液体など)と組合せて、半導体基板、光学基板又は磁性基板を平坦化するか、又はこれらの平坦性を維持するように、過剰な材料を除去する。許容し得る除去速度と組合せた、層の均一性又は平坦化性能を向上させたCMP研磨パッドが継続的に必要とされている。ただし、業界には、除去速度又は硬度と欠陥率との間に性能のトレードオフが残されており、除去速度又は硬度が大きいほど欠陥が多くなる。
【0003】
Itoyamaらの米国特許公開番号 US 2014/0038503A1は、密度が0.30~0.60g/cm3であり、タイプD硬度(JIS K 6253-1997/ISO 7619)が5~35度であるポリウレタン-尿素フォームの成形CMP研磨パッドを製造する方法を開示している。CMP研磨パッド用の配合物は、イソシアナート化合物、ポリイソシアナート化合物、ポリアミン化合物、並びに水、泡安定剤、反応触媒及び非反応性ガスを含む水性分散混合物の混合物を含む。本組成物は、500~5000の数平均分子量を有するとして開示されているポリオールを更に含む。Itoyamaパッドは、水とイソシアナートの反応によって生成した細孔を包含する;しかしながら、硬度が高すぎると、研磨された基板にスクラッチ又は欠陥が形成されるため、開示されたパッドは柔らかい。[0076]を参照のこと。
【0004】
本発明者らは、欠陥率の不都合な増加がなく、硬度及び除去速度性能が改善されたケミカルメカニカル研磨層又はパッドを製造するための、より柔軟な配合ウィンドウを提供するという問題の解決に努めてきた。
【0005】
発明の陳述
1.本発明により、ケミカルメカニカル研磨(CMP研磨)層を形成するための有機溶媒を含まない反応混合物は、(i)1種以上の芳香族ジイソシアナート又は線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマー(未反応イソシアナート(NCO)濃度が、液体芳香族イソシアナート成分の総固形分重量に基づいて18~40重量%、又は好ましくは18~34重量%である)を含む、液体芳香族イソシアナート成分、好ましくは線状メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)プレポリマー、並びに(ii)液体ポリオール成分であって、a)ポリテトラメチレングリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、六官能性ポリオール、又はそれらの混合物などの1種以上の高分子ポリオール、b)液体ポリオール成分の総重量に基づいて15~36重量%の1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びそれらの混合物など、又は好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び/又はトリエチレングリコールなど、更にはc)液体ポリオール成分の総重量に基づいて0~25重量%の標準気圧及び40℃で液体である液体芳香族ジアミン、及びd)二成分反応混合物から製造されたCMP研磨パッドの密度を、0.2~0.50g/mLに、又は好ましくは0.35~0.495g/mLに減少させるのに十分な量の水又はCO2-アルカノールアミンなどのCO2-アミン付加物、例えば、1000~8500ppm、若しくは好ましくは1000~5,000ppmの水、又は0.25~4重量%、若しくは好ましくは0.4~2.5重量%のCO2-アミン付加物(二成分反応混合物の総重量に基づく量)などを含む、液体ポリオール成分を含む(ここで、反応混合物は、反応混合物の総重量に基づいて、60~75重量%、又は好ましくは63超~75重量%のハードセグメント材料を含む)。二成分反応混合物は、水又はCO2-アミン付加物によって形成されるもの以外の微量要素を含まない。
【0006】
2.本発明による、上記項目1と同様のケミカルメカニカル研磨(CMP研磨)層を形成するための有機溶媒を含まない反応混合物であって、15秒間~3分間、又は好ましくは15秒間~2分間の65℃でのゲル化時間を有する反応混合物。
【0007】
3.本発明の別個の態様による、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1種から選択される基板を研磨するためのケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドであって、基板の研磨用に適合された研磨層を含み、研磨層が、有機溶媒を含まない二成分反応混合物[(i)1種以上の芳香族ジイソシアナート又は線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマー(未反応イソシアナート(NCO)濃度が、芳香族イソシアナート成分の総固形分重量に基づいて18~40重量%、又は好ましくは18~34重量%である)、好ましくは線状メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)プレポリマーを含む、液体芳香族イソシアナート成分、並びに(ii)液体ポリオール成分であって、a)ポリテトラメチレングリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、六官能性ポリオール、又はそれらの混合物などの1種以上の高分子ポリオール、b)液体ポリオール成分の総重量に基づいて15~36重量%の1種以上の2~6個の炭素原子を有する小鎖二官能性ポリオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びそれらの混合物など、又は好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及び/又はトリエチレングリコールなど、更にはc)液体ポリオール成分の総重量に基づいて0~25重量%の周囲条件下で液体である液体芳香族ジアミン、例えば、ジメチルチオ-トルエンジアミン、トルエンジアミン、tert-ブチルトルエンジアミン、例えば、5-tert-ブチル-2,4-又は3-tert-ブチル-2,6-トルエンジアミン、クロロトルエンジアミン、及びN,N’-ジアルキルアミノジフェニルメタン、及びそれらの混合物、又は好ましくは、クロロトルエンジアミン、ジメチルチオ-トルエンジアミン、及びそれらの混合物;ジエチルトルエンジアミン(DETDA)及びN,N’-ジアルキルアミノジフェニルメタンから選択される任意のジアミン、及びd)CMP研磨パッドの密度を、0.2~0.50g/mLに、又は好ましくは0.35~0.495g/mLに減少させるのに十分な量の水又はCO2-アルカノールアミンなどのCO2-アミン付加物、例えば、1000~8500ppm、若しくは好ましくは1000~5,000ppmの水、又は0.25~4.0重量%、若しくは好ましくは0.4~2.5重量%のCO2-アルカノールアミンなどのCO2-アミン付加物(二成分反応混合物の総重量に基づく量)を含む、液体ポリオール成分を含む]のポリウレタン反応生成物を含む研磨パッドであって、反応混合物が、反応混合物の総重量に基づいて、60~75重量%、又は好ましくは63超~75重量%のハードセグメント材料を含み、CMP研磨層が、40~80の、又は好ましくは少なくとも43の、又は43~80のショアDO(15秒)硬度を有しており、そして0.2~0.55g/mLの、又は好ましくは0.35~0.50g/mLの、又は更に好ましくは0.35~0.495g/mLの密度であり;好ましくは更に、CMP研磨層が、水又はCO2-アミン付加物によって形成されるもの以外の微量要素を含まない、研磨パッド。
【0008】
4.上記項目1、2又は3のいずれか一項と同様の本発明のCMP研磨パッド又は反応混合物であって、CMP研磨層を製造するための反応混合物中のアミン(NH2)基の総モル数とヒドロキシル(OH)基の総モル数との合計と、反応混合物中の未反応イソシアナート(NCO)基の総モル数との化学量論比が、0.85:1.0~1.15:1.0、又は好ましくは0.9:1.0~1.1:1.0の範囲である、研磨パッド又は反応混合物。
【0009】
5.上記項目3又は4のいずれか一項と同様の本発明のCMP研磨パッドであって、(i)液体芳香族イソシアナート成分が、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI);トルエンジイソシアナート(TDI);ナフタレンジイソシアナート(NDI);パラフェニレンジイソシアナート(PPDI);又はo-トルイジンジイソシアナート(TODI);それらの混合物;線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマー[1種以上の鎖延長化合物、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びそれらの混合物のいずれかで延長されたMDI、TDI、NDI、PPDI、TODI又はそれらの混合物のいずれかの84~100重量%、又は好ましくは90~100重量%のハードセグメント材料含量を有する]、好ましくは、1種以上の鎖延長化合物で延長されたMDI又はMDIダイマーである、MDIの線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマーから選択される、1種以上のジイソシアナート又はイソシアナート末端線状ウレタンプレポリマー化合物を含む、研磨パッド。
【0010】
6.上記項目3、4又は5のいずれか一項と同様の本発明のCMP研磨パッドであって、液体芳香族ジアミン硬化剤が、ジメチルチオ-トルエンジアミン、異性体である2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオトルエンと3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミンとの混合物;ジエチルトルエンジアミン;5-tert-ブチル-2,4-又は3-tert-ブチル-2,6-トルエンジアミンなどのtert-ブチルトルエンジアミン;クロロトルエンジアミン;及びN,N’-ジアルキルアミノジフェニルメタン並びにそれらの混合物から、又は好ましくはクロロトルエンジアミン若しくはジメチルチオ-トルエンジアミン、異性体である2,4-ジアミノ-3,5-ジメチルチオトルエンと3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミンとの混合物、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)及びN,N’-ジアルキルアミノジフェニルメタンから選択される周囲条件で液体である、研磨パッド。
【0011】
7.上記項目1、2、3、4、5、又は6のいずれか一項と同様の本発明のケミカルメカニカル研磨パッドであって、CMP研磨層を含み、そして更に研磨層が研磨パッドの最上部を形成するように、研磨層の底部側上にポリマー含浸不織シート又はポリマーシートなどの、サブパッド又はバッキング層を含む、研磨パッド。
【0012】
8.更に別の態様において、本発明は、基板の研磨用に適合された研磨層を有するケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドを製造する方法であって、上記項目1、2、3、4、5又は6のいずれか一項と同様の二成分反応混合物を提供すること、(i)液体芳香族イソシアナート成分と(ii)液体ポリオール成分とを、例えば、静的ミキサー又は衝突型ミキサーなどで混合すること、及び反応混合物を一成分として、好ましくは、CMP研磨パッドの最上部表面にメス型の溝パターンを形成するオス型のトポグラフィーを有する、開放成形型表面に適用すること、反応混合物を周囲温度~130℃で硬化させて、成形されたポリウレタン反応生成物を形成すること、例えば、最初に周囲温度~130℃で1~30分間、又は好ましくは30秒間~5分間硬化させること、ポリウレタン反応生成物を成形型から取り出すこと、次に60~130℃の温度で1分間~16時間、又は好ましくは5分間~15分間最終的に硬化させることを含む方法を提供する。
【0013】
9.上記項目8と同様の本発明の方法であって、研磨パッドの形成が、更にポリマー含浸不織シート、又は多孔性若しくは非多孔性ポリマーシートなどのサブパッド層を、研磨層が研磨パッドの最上部表面を形成するように、研磨層の底部側上に積み重ねることを含む、方法。
【0014】
10.上記項目8又は9のいずれか一項と同様の本発明の方法であって、成形型内で直接CMP研磨パッドの表面を形成する、方法。
【0015】
11.上記項目8、9又は10のいずれか一項と同様の本発明の方法であって、一成分としての反応混合物の適用が、成形型にオーバースプレーし、続いて硬化させて、ポリウレタン反応生成物を形成すること、ポリウレタン反応生成物を成形型から取り出すこと、及び次にポリウレタン反応生成物の外周を型抜きするか又は切り取って、CMP研磨パッドの所望の直径にすることを含む、方法。
【0016】
12.更になお別の態様において、本発明は、基板を研磨する方法であって、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1種から選択される基板を提供すること;上記項目1~7のいずれか一項のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドを提供すること;基板の表面を研磨するためにCMP研磨パッドの研磨層の研磨表面と基板との間に動的接触を作り出すこと;及び研磨パッドの研磨表面を砥粒コンディショナーを用いてコンディショニングすることを含む方法を提供する。
【0017】
特に断りない限り、温度及び圧力の条件は、周囲温度及び標準気圧である。記載されている全ての範囲は、包括的で組合せ可能である。
【0018】
特に断りない限り、括弧を含有する任意の用語は、選択的に、括弧が存在しないかのように用語全体、及び括弧なしの用語、及び各選択肢の組合せのことをいう。よって、「(ポリ)イソシアナート」という用語は、イソシアナート、ポリイソシアナート、又はそれらの混合物のことをいう。
【0019】
全ての範囲は包括的で組合せ可能である。例えば、「50~3000cPの範囲、又は100以上のcP」という用語は、50~100cP、50~3000cP、及び100~3000cPのそれぞれを包含するであろう。
【0020】
本明細書の目的には、他に特に明記しない限り、反応混合物は重量%で表される。
【0021】
本明細書に使用されるとき、「ASTM」という用語は、ASTM International, West Conshohocken, PAの刊行物のことをいう。
【0022】
本明細書に使用されるとき、「イソシアナート基の平均数」という用語は、芳香族イソシアナート化合物の混合物中のイソシアナート基の数の加重平均を意味する。例えば、MDI(2個のNCO基)とMDIのイソシアヌラート(3個のNCO基を持つと見なされる)の50:50重量%混合物は、平均2.5個のイソシアナート基を有する。
【0023】
本明細書に使用されるとき、「ゲル化時間」という用語は、例えば、1000rpmに設定されたVM-2500ボルテックスラボミキサー(StateMix Ltd., Winnipeg, Canada)で30秒間、所与の反応混合物を約65℃で混合し、タイマーをゼロに設定してタイマーをオンにし、混合物をアルミニウムカップに注ぎ、カップを65℃に設定されたゲル化タイマー(Gardco Hot Pot(商標)ゲル化タイマー、Paul N. Gardner Company, Inc., Pompano Beach, FL)のホットポットに入れ、ワイヤースターラーを用いて反応混合物を20RPMで撹拌して、ワイヤースターラーが試料内で動きを停止したときのゲル化時間を記録することによって得られる結果を意味する。
【0024】
本明細書に使用されるとき、ポリウレタン反応生成物、又は液体ポリオール成分及び液体芳香族イソシアナート成分のいずれかからの原材料の「ハードセグメント」という用語は、任意のジオール、グリコール、ジグリコール、トリグリコール(6個以下の炭素原子を有する)、任意のジアミン、トリアミン又はポリアミン、ジイソシアナート、トリイソシアナート、又はそれらの反応生成物を含む、示された反応混合物のその部分のことをいう。よって「ハードセグメント」は、ポリエーテル又はポリグリコール(ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなど)、又は3個以上のエーテル基を有するポリオキシエチレンを除外する。
【0025】
本明細書に使用されるとき、「水又はCO2-アミン付加物によって形成されたもの以外の微量要素」という用語は、ポリマーミクロスフェアなどの中空コアポリマー材料、流体充填ポリマーミクロスフェアなどの液体充填中空コアポリマー材料、及び窒化ホウ素などの充填剤から選択される微量要素を意味する。CO2-アミン付加物など、ガス又はガスのみを形成する発泡剤によってCMP研磨層に形成された細孔は、微量要素とは見なされない。
【0026】
本明細書に使用されるとき、「ポリイソシアナート」という用語は、2個以上のイソシアナート基を含有する任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0027】
本明細書に使用されるとき、「ポリイソシアナートプレポリマー」という用語は、過剰のジイソシアナート又はポリイソシアナートと、2個以上の活性水素基を含有する活性水素含有化合物(例えば、ジアミン、ジオール、トリオール、及びポリオールなど)との反応生成物である、任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0028】
本明細書に使用されるとき、「ポリウレタン」という用語は、二官能性又は多官能性イソシアナートからの重合生成物、例えば、ポリエーテル尿素、ポリイソシアヌラート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、それらのコポリマー、及びそれらの混合物のことをいう。
【0029】
本明細書に使用されるとき、「反応混合物」という用語は、微量要素などの任意の非反応性添加剤、及びASTM D2240-15(2015)によるCMP研磨パッド中のポリウレタン反応生成物の硬度を下げるための任意の添加剤を包含する。
【0030】
本明細書に使用されるとき、反応混合物の「化学量論」という用語は、反応混合物中の(遊離OH+遊離NH2基)と遊離NCO基とのモル当量の比のことをいう。
【0031】
本明細書に使用されるとき、「SG」又は「比重」という用語は、本発明の研磨パッド又は研磨層から切り出された長方形の重量/体積比のことをいう。
【0032】
本明細書に使用されるとき、「ショアDO硬度」という用語は、ASTM D2240-15(2015)「ゴム特性の標準試験方法-デュロメータ硬度」により測定された所与のCMP研磨の15秒硬度である。硬度は、Oプローブを備えたRex Hybrid硬度計(Rex Gauge Company, Inc., Buffalo Grove, IL)で測定された。硬度測定ごとに6つの試料を積み重ねてシャッフルした;そして試験する各パッドを、硬度試験の再現性を向上させるために、それを試験前に相対湿度50%に23℃で5日間置き、ASTM D2240-15(2015)に概説されている方法を使用してコンディショニングした。本発明において、研磨層又は研磨パッドのポリウレタン反応生成物のショアD硬度は、硬度を増加させるための任意の添加剤を包含するその反応物のショアD硬度を包含する。「ショアA」硬度という用語は、より柔らかい材料用のより大きなAプローブを使用した同じ15秒の硬度測定値のことをいう。
【0033】
本明細書に使用されるとき、「固形分」という用語は、本発明のポリウレタン反応生成物中に残る任意の材料のことをいう;よって、固形分は、硬化時に揮発しない、反応性及び不揮発性の液体及び添加剤を包含する。固形分は、水及び揮発性溶媒を除外する。
【0034】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「粘度」という用語は、ギャップが100μmの50mm平行板形状で0.1~100rad/秒の振動剪断速度掃引に設定されたレオメータを使用して測定された、所与の温度でのニート形態(100%)の所与の材料の粘度のことをいう。
【0035】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「重量% NCO」という用語は、所与のイソシアナート又はイソシアナート末端ウレタンプレポリマー組成物の未反応又は遊離イソシアナート基の量のことをいう。
【0036】
本明細書に使用されるとき、「重量%」という用語は、重量パーセントを表す。
【0037】
本発明により、本発明者らは、ショアDO(15秒)硬度>40を持つ高多孔性CMP研磨層を有するCMP研磨パッドが、魅力的な除去速度プロフィールを持つ有用な硬いパッドであり、低い欠陥率で研磨可能であることを発見した。特に、60重量%~68重量%、又は好ましくは60重量%より高いハードセグメント重量分率を有する反応混合物の噴霧により形成されるCMP研磨層は、40を超えるか、又は好ましくは少なくとも43のショアDO(15秒)値を有する硬度を提供し、そして0.50g/mL未満の密度である。硬度及び多孔性がこの範囲にあるCMP研磨パッドは、他のCMP製造法から以前は達成できなかった。更に、本発明のCMP研磨パッドの使用により得られる欠陥率は驚くほど良好であった。CMP研磨パッドの引張弾性率の改善が、平坦化効率(PE)の改善のための重要な推進力と認識されるが、同じ引張弾性率がCMP研磨で形成される欠陥を増加させる。
【0038】
本発明のCMP研磨パッドは、液体芳香族ジイソシアナート成分と、液体芳香族ジイソシアナート成分を更に含有する液体ポリオール成分とを有する二成分反応混合物から形成される。液体芳香族ジイソシアナート成分は、1種以上の液体芳香族ジイソシアナート又は線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマーを含む。適切な線状ウレタンプレポリマーは、NCO含量が18重量%を超えるメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)プレポリマーであってよい;このような線状芳香族イソシアナート末端ウレタンプレポリマーの一例は、NCO含量が23.0重量%で当量が182g/molである、MDIと(ジ)エチレングリコールから形成されるプレポリマーを包含する。適切な反応混合物は更に、反応混合物の総重量に基づいて0~25重量%の液体芳香族ジアミンを硬化剤として含む。液体芳香族ジアミン硬化剤は、速い反応時間、並びに高い引張強度及び高い引張弾性率という良好な機械的特性を与えるのに役立つ。
【0039】
反応混合物のハードセグメントは、良好な機械的特性を保証する。ハードセグメントは、反応混合物の60~68重量%であり得、ポリオール成分及び芳香族イソシアナート成分の両方の一部から構成され得る。
【0040】
反応混合物のハードセグメントの一部として、ジイソシアナートは、好ましくはメチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)であり、これはトルエンジイソシアナート(TDI)と比較して毒性が低い。液体芳香族イソシアナート成分は、鎖延長剤又はグリコール及びジグリコールのような短鎖ジオールから、又は好ましくはモノエチレングリコール(MEG)、ジプロピレングリコール(DPG)、及び/又はトリプロピレングリコール(TPG)から形成される線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマーを含むことができる。
【0041】
好ましくは、液体芳香族ジイソシアナート成分は、不純物レベルのみの脂肪族イソシアナートを含有する。
【0042】
反応混合物のソフトセグメントは、(ii)ポリオール成分中の二官能性ポリエーテルなどの高分子ポリオールを含むことができる。適切なソフトポリオールは、PTMEG及びPPGである。PTMEG含有ポリオールの利用可能な例は次のとおりである:Invista, Wichita, KSからのTerathane(商標)2900、2000、1800、1400、1000、650及び250;Lyondell Chemicals, Limerick, PAからのPolymeg(商標)2900、2000、1000、650;BASF Corporation, Florham Park, NJからのPolyTHF(商標)650、1000、2000。PPG含有ポリオールの利用可能な例は次のとおりである:Covestro, Pittsburgh, PAからのArcol(商標)PPG-425、725、1000、1025、2000、2025、3025及び4000;Dow, Midland, MIからのVoranol(商標)、Voralux(商標)、及びSpecflex(商標)製品ライン;それぞれCovestro(Leverkusen, DE)からのMultranol(商標)、Ultracel(商標)、Desmophen(商標)又はAcclaim(商標)Polyol 12200、8200、6300、4200、2200。
【0043】
反応混合物のソフトセグメントはまた、ポリエーテル基本骨格を有しており、1分子あたり5~7個のヒドロキシル基を有する、1種以上のポリオールを含み得る。
【0044】
ポリエーテル基本骨格を有しており、1分子あたり5~7個のヒドロキシル基を有する適切なポリオールは、5個のヒドロキシル基、590の数平均分子量及び475mg KOH/gのヒドロキシル数を有するVORANOL(商標)202ポリオール(Dow)、6個のヒドロキシル基、3,366の数平均分子量及び100mg KOH/gのヒドロキシル数を有するMULTRANOL(商標)9185ポリオール(Dow)、又は平均6.9個のヒドロキシル基、12,420の数平均分子量及び31mg KOH/gのヒドロキシル数を有するVORANOL(商標)4053ポリオール(Dow)として入手可能である。
【0045】
液体ポリオール成分中の(ii)a)高分子ポリオールの量は、液体ポリオール成分の最大85重量%の量の範囲であってよい。
【0046】
本発明の液体芳香族ジアミン硬化剤は、反応混合物の総固形分重量に基づいて、0~25重量%、又は好ましくは、0~20重量%を構成し得る。
【0047】
適切な硬化剤は、標準気圧及び40℃で液体である芳香族ジアミンである。しかしながら、硬化剤は、二成分反応混合物の混合ができるように十分に遅くなければならない。硬化剤は、芳香族イソシアナート成分及びポリオール成分と合わせられた場合、少なくとも15秒で、又は好ましくは少なくとも20秒でゲル化(そして反応性混合物はもはや流動しない)させなければならない。したがって、本発明の硬化剤は、固形分として5重量%を超えるN,N-第1級アルキルアリールジアミン、又はN,N-第2級若しくは第3級アルキルジアミンを含まない。
【0048】
ポリオール成分と、ジイソシアナート又はポリイソシアナートとの反応性を高めるために、触媒を使用することができる。適切な触媒は、当業者に公知の任意の触媒、例えば、オレイン酸、アゼライン酸、ジラウリン酸ジブチルスズ、オクタン酸スズ、オクタン酸ビスマス、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、第3級アミン触媒、例えば、Dabco(商標)TMR触媒、トリエチレンジアミン、例えば、DABCO(商標)33 LV、及び上記の混合物を包含する。アミン触媒は、発泡反応を促進させ得る。
【0049】
本発明の反応混合物は、実質的に添加有機溶媒を含まない。
【0050】
得られるCMP研磨パッドの比重は、0.2~0.5、好ましくは0.35~0.495の範囲である。多孔性が上昇すると、CMP研磨パッドのバルク特性が低下し、除去速度(RR)が上昇する。しかし、CMP研磨パッド又は研磨層が多孔性の上昇を示し、かつ硬い研磨層又は研磨パッドである場合には、欠陥率及び平坦化効率が改善されることは期待できない。
【0051】
本発明のCMP研磨パッド又は研磨層は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定されるとき、75~200ミクロン、又は好ましくは、80~140ミクロンの範囲の大きな数平均孔径(X50)を有する多孔性材料を含む。本発明の反応混合物の化学量論は、(NH+OH):NCOが0.85:1.0~1.15:1.0の範囲である。
【0052】
本発明のケミカルメカニカル研磨層又は研磨パッドは、多孔性ポリウレタンの均一な分散物である研磨層を含む。均一性は、一貫した研磨パッドの性能を達成するために重要である。したがって、本発明の反応混合物は、得られるパッドの形態が安定しており、容易に再現可能であるように選択される。例えば、一貫した製造のためには、酸化防止剤などの添加剤や水などの不純物を管理することがしばしば重要である。
【0053】
本発明により、CMP研磨層は、反応混合物を開放成形型に噴霧して、それを硬化させる方法により製造され得る。本発明の二成分反応混合物は、CMP研磨層を製造するために流体として噴霧するか又は堆積させることができるため、本発明の反応混合物は、このような層が閉じた成形型で形成される場合よりもはるかに速く反応することが可能である。適切な反応混合物のゲル化時間は、65℃で10秒以上、又は好ましくは、15秒~2分間の範囲である。
【0054】
本発明の液体反応混合物は、非常に迅速な硬化性組成物であって、(i)液体芳香族イソシアナート成分及び(ii)液体ポリオール成分が、15秒という短いゲル化時間でゲル化できる組成物を含むことができる。反応は、二成分を合わせた後、反応混合物を静的又は衝突型ミキサーで混合できるように十分に遅くなければならない。ゲル化時間の唯一の制限は、反応混合物が、それが混合される混合ヘッドを目詰まりさせないように、そしてそれを成形型表面に適用するときに成形型を適切に満たせるように、十分にゆっくり反応しなければならないことである。
【0055】
好ましくは、本発明の方法における標的又は基板は、生産されたパッドに、溝パターンが直接組み込まれる開放成形型である。
【0056】
本発明のCMP研磨層は、発泡剤(水又はCO2アミン(カルバマート)、例えば、CO2-アルカノールアミン発泡試薬など)と合わせた反応混合物の衝突型混合又は静的混合を介して生産され得る。衝突型又は静的混合後、反応混合物を空気噴霧又は無気噴霧で標的に向けてスプレーノズルから噴霧する。このようにして、0.1g/mL~0.5g/mLの範囲の可変多孔性を持つポリウレタン又はポリウレタン-尿素CMP研磨層を、制御されたプロセスで得ることができ、良好に一様なおおよそ球形の細孔がパッド全体にある。
【0057】
本発明の反応混合物の速いゲル化時間は、噴霧又は堆積で形成された細孔が、硬化したCMP研磨層に残ることを意味する。よって、ポリエトキシ化シロキサンなどの非イオン性界面活性剤などの界面活性剤は、そこから安定な発泡製品を生産するのに本発明の反応混合物では必要ではない。
【0058】
更に、本発明のCMP研磨パッドは、発泡剤の存在下で泡を作るのに噴霧又は泡立てにより形成されるため、中空ミクロスフェアなどの微量要素が必要ではなく、そして好ましくは存在しない。
【0059】
多孔性は噴霧によってパッド又は研磨層に導入され、そして得られるパッドの引張弾性率は、固有のポリマー引張弾性率及び多孔性の両方の関数であり、多孔性の上昇は密度又は比重を低下させるように作用する。よって、二成分の噴霧製造されたパッド又は研磨層に許容し得る引張弾性率を供給するには、ポリマーマトリックスの引張弾性率は、許容し得るだけ高い、好ましくは344MPaを超える、そしてより好ましくは482MPaを超える必要がある。
【0060】
研磨層又は研磨パッドの密度は、ASTM D1622-08(2008)により測定されたものである。密度は比重と同じである。
【0061】
本発明のCMP研磨層又は研磨パッドは、層間絶縁膜(ILD)及び無機酸化物の研磨に有効である。本明細書の目的には、除去速度とは、Å/分で表される除去速度のことをいう。
【0062】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、ポリウレタン反応生成物の研磨層のみ、又はサブパッド若しくはサブ層上に積み重ねられた研磨層を含むことができる。本発明の研磨パッド、又は積み重ねられたパッドの場合は研磨パッドの研磨層は、多孔性及び非多孔性又は非充填構成の両方で有用である。
【0063】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドで使用される研磨層は、平均厚さが、500~3750ミクロン(20~150ミル)、又はより好ましくは、750~3150ミクロン(30~125ミル)、又は更により好ましくは、1000~3000ミクロン(40~120ミル)、又は最も好ましくは、1250~2500ミクロン(50~100ミル)である。
【0064】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、研磨層と接続された少なくとも1つの追加の層を更に含んでもよい。好ましくは、ケミカルメカニカル研磨パッドは、研磨層に接着された圧縮性サブパッド又はベース層を更に含んでもよい。圧縮可能なベース層は、好ましくは研磨される基板の表面に対する研磨層の適合性を改善する。
【0065】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、基板の研磨用に適合された研磨表面を有する。好ましくは、研磨表面は、穿孔及び溝の少なくとも1種から選択されるマクロテクスチャーを有する。穿孔は、研磨表面から途中まで又は研磨層の厚さ全体まで延長する可能性がある。
【0066】
好ましくは、溝は、研磨中にケミカルメカニカル研磨パッドが回転すると、少なくとも1つの溝が、研磨される基板の表面上を掃引するように、研磨表面上に配置される。
【0067】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカル研磨パッドの研磨層は、基板の研磨用に適合された研磨表面を有し、ここで研磨表面は、そこに形成された溝パターンを含むマクロテクスチャーであって、湾曲溝、線形溝、穿孔及びそれらの組合せから選択されるマクロテクスチャーを有する。好ましくは、溝パターンは複数の溝を含む。より好ましくは、溝パターンは、同心溝(円形又はらせん状であり得る)、湾曲溝、クロスハッチ溝(例えば、パッド表面全体にXYグリッドとして配置される)、他の規則的なデザイン(例えば六角形、三角形)、タイヤ溝型パターン、不規則なデザイン(例えば、フラクタルパターン)、及びそれらの組合せからなる群より選択されるものなどの溝デザインから選択される。より好ましくは、溝デザインは、ランダム溝、同心溝、らせん溝、クロスハッチ溝、XYグリッド溝、六角溝、三角溝、フラクタル溝及びそれらの組合せからなる群より選択される。最も好ましくは、研磨表面は、そこに形成されたらせん溝パターンを有する。溝の輪郭は、好ましくは、真っ直ぐな側壁を備えた長方形から選択されるか、又は溝の断面は、「V」字形、「U」字形、鋸歯、及びそれらの組合せであり得る。
【0068】
本発明の研磨パッドの製造方法によれば、ケミカルメカニカル研磨パッドは、スラリーの流れを促進し、パッド-ウェーハの界面から研磨くずを除去するために、その研磨表面にマクロテクスチャー又は溝パターンを付けて成形することができる。そのような溝は、成形型表面の形状から、即ち、成形型がマクロテクスチャーのメスのトポグラフィー型を有する場合に、研磨パッドの研磨表面に形成され得る。
【0069】
本発明のケミカルメカニカル研磨パッドは、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1種から選択される基板を研磨するために使用することができる。
【0070】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法は以下を含む:磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1種から選択される基板(好ましくは、半導体ウェーハなどの半導体基板)を提供すること;本発明のケミカルメカニカル研磨パッドを提供すること;基板の表面を研磨するために研磨層の研磨表面と基板との間に動的接触を作り出すこと;そして、砥粒コンディショナーで研磨表面をコンディショニングすること。
【0071】
研磨パッドのコンディショニングは、研磨が一時停止されたCMPプロセスの断続的な中断中(「別の位置で(ex situ)」)、又はCMPプロセスの進行中(「そのままの位置で(in situ)」)のいずれかに、コンディショニングディスクを研磨表面に接触させることを含む。コンディショニングディスクは、典型的には、パッド表面に微細な溝を切る埋め込みダイヤモンドポイントで構成される粗いコンディショニング表面を有しており、パッド材料の研磨及び溝切りの両方を行って、研磨テクスチャーを更新する。典型的には、コンディショニングディスクは、研磨パッドの回転軸に対して固定された位置で回転し、研磨パッドが回転すると、環状のコンディショニング領域を掃引する。
【実施例0072】
次に、本発明を以下の非限定的な例で詳細に説明する:
【0073】
特に断りない限り、全ての温度は室温(21~23℃)であり、全ての圧力は大気圧(約760mmHg又は101kPa)である。
【0074】
下に開示される他の原材料にかかわらず、実施例では以下の原材料が使用された:
【0075】
Ethacure(商標)300硬化剤:芳香族ジアミンであるジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)(Albemarle, Charlotte, N.C.)。
【0076】
Voranol(商標)V5055HHポリオール:多官能性ポリエーテルポリオール(OH当量2000)であり、数平均分子量MN12,000を有する、官能基数=6の高分子量エチレンオキシドでキャップされたプロピレンオキシドポリオール(The Dow Chemical Company, Midland, MI (Dow))。
【0077】
MDIプレポリマー:MDI、並びに小分子のジプロピレングリコール(DPG)及びトリプロピレングリコール(TPG)からの線状イソシアナート末端ウレタンプレポリマーであり、約23重量%のNCO含量及び182の当量を有する。100重量%のこのMDIプレポリマーはハードセグメントとして扱われる。
【0078】
Niax(商標)L5345界面活性剤:非イオン性有機ケイ素界面活性剤(Momentive, Columbus, OH)。
【0079】
ジアゾビシクロノナン(トリエチレンジアミン)から製造されたDABCO(商標)33 LVアミン触媒(Air Products, Allentown, PA)、DABCO 33 LVは、33重量% トリエチレンジアミンと67重量% ジプロピレングリコールのブレンドである。
【0080】
PTMEG ####:ポリ(THF)又はポリテトラメチレングリコールであって、テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって製造され、PolyTHF(商標)ポリオール(BASF, Leverkusen, DE)として販売されている。PTMEGに続く数字は、製造業者によって報告された平均分子量である。このポリオールは、PolyTHF(商標)としてBASFから販売されており、分子量650、1000、又は2000(PolyTHF 650、PolyTHF 1000、PolyTHF2000)の3種の異なる等級で利用可能である。
【0081】
Niax(商標)T-9触媒:オクタン酸スズ(Momentive)。
【0082】
CMP研磨パッドの特性は、以下の方法により評価された:
【0083】
全ての引張特性は、ASTM D412-06a、「加硫ゴム及び熱可塑性エラストマーの標準試験方法-張力」により測定された。試料はドッグボーンタイプCの寸法にカットされた。特に断りない限り、5つの試験片が測定され、各分析試料の全ての試験片の平均が報告された。
【0084】
引張破断点伸び:試験片の破断後に変化した長さと最初の長さとの比を意味し、そしてASTM D412-06a(2006)、「加硫ゴム及び熱可塑性エラストマーの標準試験方法-張力」により試験された。
【0085】
以下の全ての実施例において、混合システムに供給するための2つのタンク(イソタンク及びポリタンク)を有する、衝突型混合及び空気噴霧システムを使用して、示された二成分反応混合物を混合して、開放成形型に噴霧した。2つのタンクは、所与の材料の流量に設定され、そこから二成分のそれぞれの相対量が容易に決定される。2つのタンクからの流れは、同時に開始及び停止された。
【0086】
比較例1
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには98.62部 PolyTHF650、0.9857部 Niax(商標)L5345非イオン性界面活性剤、0.09857部 Niax(商標)T-9触媒、0.2957部 DABCO 33LV触媒を投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で10.11g/秒であり、イソ側で5.89g/秒であった。ノズルに注入された空気を、100L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られた研磨層は、水の添加がない95%化学量論で37重量%のハードセグメント重量分率を有しており、0.88g/mLのバルク密度を持つ単一層パッドが生じ、1.37MPaのバルク引張弾性率、3.10MPaの引張強度、1300%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は35であった。
【0087】
比較例2
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには98.62部 PolyTHF650、0.9857部 Niax(商標)L5345非イオン性界面活性剤、0.09857部 Niax(商標)T-9触媒、0.2957部 DABCO 33LV触媒を投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で10.11g/秒であり、イソ側で5.89g/秒であった。ノズルに注入された空気を、20L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、PTFEコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られたパッドは、水の添加がない95%化学量論で37重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.97g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、1.65MPaのバルク引張弾性率、3.65MPaの引張強度、及び1200%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は36であった。
【0088】
比較例3
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには98.52部 PolyTHF650、0.9847部 Niax(商標)L5345非イオン性界面活性剤、0.09847部 Niax(商標)T-9触媒、0.2954部 DABCO 33LV触媒及び0.098部の水を投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で9.99g/秒であり、イソ側で6.01g/秒であった。ノズルに注入された空気を、100L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、テフロンコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られたパッドは、水が1000ppm添加された95%化学量論で38重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.73g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、1.03MPa(150psi)のバルク引張弾性率、3.65MPa(530psi)の引張強度、及び1200%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は32であった。
【0089】
比較例4
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには98.52部 PolyTHF650、0.9847部 Niax(商標)L5345非イオン性界面活性剤、0.09847部 Niax(商標)T-9触媒、0.2954部 DABCO 33LV触媒及び0.098部の水を投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で9.99g/秒であり、イソ側で6.01g/秒であった。ノズルに注入された空気を、20L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、テフロンコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られたパッドは、水が1000ppm添加された95%化学量論で38重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.80g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、1.31MPa(190psi)のバルク引張弾性率、3.72MPa(540psi)の引張強度、及び1200%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は33であった。
【0090】
比較例5
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには98.18部 PolyTHF650、0.9814部 Niax L5345非イオン性界面活性剤、0.0986部 Niax T-9触媒、0.2942部 DABCO 33LV及び0.441部の水を投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で9.56g/秒であり、イソ側で6.44g/秒であった。ノズルに注入された空気を、100L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、テフロンコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られたパッドは、水が4500ppm添加された95%化学量論で40.7重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.39g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、0.455MPa(66psi)のバルク引張弾性率、1.93MPa(280psi)の引張強度、及び890%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は15であった。
【0091】
比較例6
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには87.99部 PolyTHF650、0.88部 Niax L5345非イオン性界面活性剤、0.0886部 Niax T-9触媒、0.264部 DABCO 33LV並びに0.220部の水及び10.557部のジプロピレングリコールを投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で8.57g/秒であり、イソ側で7.43g/秒であった。ノズルに注入された空気を、100L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、テフロンコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られたパッドは、水が2500ppm添加された95%化学量論で52.5重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.53g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、1.17MPa(170psi)のバルク引張弾性率、6.00MPa(870psi)の引張強度、及び535%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は27であった。
【0092】
実施例7
二成分衝突型混合及び空気噴霧システムを利用して、反応混合物を開放成形型に噴霧した。イソタンクにMDIプレポリマーを投入し、一方ポリタンクには73.179部 PolyTHF650、0.7316部 Niax L5345非イオン性界面活性剤、0.0734部 Niax T-9触媒、0.2189部 DABCO 33LV並びに0.183部の水及び25.6126部のジプロピレングリコールを投入した。噴霧中の流量は、ポリオール側で7.26g/秒であり、イソ側で8.74g/秒であった。ノズルに注入された空気を、100L/分の公称速度に設定した。噴霧されたポリウレタン配合物は、テフロンコーティングアルミニウム板上に向けられた。噴霧されたパッドを、100℃のオーブンで16時間硬化した。得られた一層のパッドは、水が2500ppm添加された95%化学量論で66重量%のハードセグメント重量分率とされており、0.49g/mLのバルク密度を持つパッドが生じ、207MPa(30,100psi)のバルク引張弾性率、7.58MPa(1,100psi)の引張強度、及び66%引張伸びを示し、15秒ショアA硬度は82であり、そしてショアDO(15秒)硬度は60であった。
【0093】
研磨実験は、0.014、0.016、0.021、及び0.026MPa(2.0、2.3、3.0、及び3.8psi)のキャリアダウンフォース、200mL/分のスラリー流量及びKlebosol(商標)II1730コロイダルシリカスラリー(Dow、16重量%固形分)、93rpmのテーブル回転速度及び87rpmのキャリア回転速度87rpmで、Applied Mirra研磨機(Applied Materials, Santa Clara, CA)で200mmウェーハで実行された。3Mからの攻撃性評点6~9で直径108mm(4.25インチ)の3M(商標)ダイヤモンドパッドコンディショナーA153L(The 3M Company, Minneapolis, MN)を使用して、研磨パッドのコンディショニング及びテクスチャー付けを行った。コンディショナー及びDI水のみで、ダウンフォース22.2Nを30分間使用して、研磨パッドをそれぞれブレークインした。ダウンフォース22.2Nで研磨パッドの中心から43~234mm(1.7~9.2インチ)、10掃引/分での研磨中100%そのままの位置で研磨パッドを更にコンディショニングした。Lam OnTrack DSS-200 Synergy(商標)CMP後洗浄機(Lam Research, Fremont, CA)でウェーハを洗浄した。浅いスクラッチを更に強調するために、フッ化水素(HF)エッチングをSSECシングルウェーハエッチングシステム(Veeco, Horsham, PA)で実行し、それによって200ÅのTEOSをウェーハからエッチングした。平坦化のためのステップ高の測定は、Bruker Dynamic Atomic Force Profiler(Bruker, Billerica, MA)で実行された。基板はテトラエトキシシラン(TEOS)ウェーハ基板とした。除去速度は、3mmのエッジを除外した49点のスパイラルスキャンを使用して、KLA-Tencor FX200(商標)計測ツール(KLA Tencor, Milpitas, CA)を使用して研磨前後の膜厚を測定することによって決定された。除去速度は、指定された研磨時間での個々の点での厚さの変化(オングストローム/分)によって計算された。
【0094】
不均一率(%NUR)は、除去速度の標準偏差%により計算された。
【0095】
欠陥率は、SP2 XP(商標)及びeDR5210(商標)走査型電子顕微鏡ウェーハ欠陥レビューシステム(KLA-Tencor)を使用して決定された。欠陥タイプの分類は、Klarity Defect(商標)ソフトウェアを使用して、ランダムに選択された100個の欠陥のセットから手動で実行された。
欠陥は、次のとおり分類された:
A-HFエッチング前にコンピュータが見なす全て;及び、
B-HFエッチング後にコンピュータが見なる全て;及び
C-熟練者による目視検査によって特定されたチャタマークスクラッチ。
研磨結果を以下の表1に示す。
【0096】
【0097】
除去速度プロフィールを上記の表1に示すが、これは、IC1000(商標)パッドと比較して7%高い除去速度を示している。ウェーハは、DI水での濯ぎ及び乾燥後、研磨直後に画像取得された。IC1000(商標)パッドの研磨後の平均欠陥数は405であったが、実施例7では平均302の欠陥が生じた。よって、実施例7の本発明のパッドは、わずかな除去速度の改善と、より高いパッド硬度を示すが、研磨における欠陥は実質的に減少している。0.49g/mL未満のより低密度のより高多孔性のパッドは、それほど硬くなく、更に優れた欠陥率性能を提供することが期待される。