(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112507
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】量子ドット、量子ドット分散体、光変換インク組成物、電子素子、カラーフィルタ、光変換積層基材および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
C09K 11/08 20060101AFI20220726BHJP
C09K 11/00 20060101ALI20220726BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20220726BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20220726BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220726BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20220726BHJP
【FI】
C09K11/08 G ZNM
C09K11/00 A
C09K11/02 Z
C09D11/322
G02B5/20
B82Y20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022007294
(22)【出願日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0008961
(32)【優先日】2021-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヒョン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジュ-ホ
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ヒョン-ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ソ-ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヒョン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】リ・ジョン-ス
【テーマコード(参考)】
2H148
4H001
4J039
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA18
4H001CA01
4H001CA02
4H001CC13
4H001XA15
4H001XA49
4J039AD21
4J039BA13
4J039BA19
4J039BA31
4J039BA32
4J039BA35
4J039BA39
4J039BC20
4J039BC48
4J039BE01
4J039BE27
4J039BE33
4J039CA05
4J039EA06
4J039EA27
4J039EA46
4J039FA04
4J039FA07
4J039GA24
4J039GA34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光特性、酸化安定性および信頼性に優れた量子ドットを提供すること。
【解決手段】表面上にリガンド層を有する量子ドットであって、前記リガンド層が下記式で表される化合物を含む量子ドット。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上にリガンド層を有する量子ドットであって、
前記リガンド層が下記化学式1で表される化合物を含む量子ドット:
【化1】
前記化学式1において、
Aは、
であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、C
6~C
16のアリーレン基またはC
5~C
16のヘテロアリーレン基であり、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、C
6~C
16のアリール基またはC
5~C
16のヘテロアリール基であり、
Yは、C
4~C
16の接合された環状芳香族基であり、
Bは、直接結合、
であり、
Cは、-(CH
2)
n1-、-(OCH
2CH
2)
n2-、または-(CH
2CH
2O)
n3-であり、
n1~n3は、それぞれ独立して、0~20の整数であり、
Fは、-COOH、-SH、-NH
3、
であり、
xおよびyは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【請求項2】
前記リガンド層は、下記化学式1-1~1-9で表される化合物から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の量子ドット。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-7】
【化1-8】
【化1-9】
【請求項3】
前記化学式1にてxおよびyの和が4以上である、請求項1に記載の量子ドット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の量子ドットを、モノマーまたは溶剤のいずれか1つ以上を含んで分散させた量子ドット分散体。
【請求項5】
前記モノマーは、下記化学式2で表される化合物を含む、請求項4に記載の量子ドット分散体。
【化2】
前記化学式2において、
R
5は、C
1-C
20のアルキレン基、C
1-C
20のフェニレン基、またはC
3-C
10のシクロアルキレン基であり、
R
6およびR
7は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、
mは、1~15の整数である。
【請求項6】
前記化学式2で表される化合物は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナン、およびトリプロピレングリコールジアクリレートから選択される1種以上を含む、請求項5に記載の量子ドット分散体。
【請求項7】
請求項4に記載の量子ドット分散体を含み、散乱粒子、光重合性化合物、および光重合開始剤から選択されるいずれか1つ以上をさらに含む光変換インク組成物。
【請求項8】
前記散乱粒子は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含む、請求項7に記載の光変換インク組成物。
【請求項9】
10ppm~9000ppmの溶剤を含むか、または溶剤を含まない、請求項7に記載の光変換インク組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の量子ドットを発光層に含む電子素子。
【請求項11】
発光ダイオード、有機発光ダイオード、センサ、イメージングセンサ、太陽電池、またはLCD素子に適用される、請求項10に記載の電子素子。
【請求項12】
請求項7に記載の光変換インク組成物を用いて形成される硬化膜を含むカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項7に記載の光変換インク組成物を用いて形成される硬化膜を含む光変換積層基材。
【請求項14】
請求項12に記載のカラーフィルタ、または請求項13に記載の光変換積層基材を含む画像表示装置。
【請求項15】
請求項10に記載の電子素子を含む画像表示装置。
【請求項16】
電子素子は、量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)を含む、請求項15に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット、量子ドット分散体、光変換インク組成物、電子素子、カラーフィルタ、光変換積層基材および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
量子ドットは、高い発光性と幅の狭い発光スペクトルを有し、1つの励起波長に発光波長を調節することができ、光に対して安定した量子ドット固有の特性を有するため、最近まで生物学的映像やエネルギー変換、そして照明(LED)のような重要な応用分野に使用するための研究が多く行われてきている。
【0003】
このような量子ドットは表面の状態に極めて敏感な物質であって、分散している溶媒や周辺環境によって表面から酸化が起こり、結局、発光効率が急激に減少する。量子ドットの多様な応用のためには、最初に分散していた有機溶媒以外に多様な溶媒で分散しなければならないか、または表面に特定の官能基を形成しなければならないが、このような過程によって量子ドットの表面に損傷を与え、結局、発光効率の減少につながる問題点がある。
【0004】
このような問題点を克服するために多くの試みが行われ、現在多様な方法が提示されている。その一つが、量子ドットの表面に存在する有機物質を所望の官能基がある分子に置換する官能基置換(ligand exchange)方法である。この方法は、量子ドットの表面に存在する有機分子を応用しようとするのに適した有機分子と置換する方法であるが、量子ドットの表面に直接的な影響を与えるため、発光効率に致命的な問題点を引き起こすというデメリットがある。
【0005】
大韓民国公開特許第10-2018-0002716号および大韓民国登録特許第10-1628065号は、表面に配置されるリガンドを含む量子ドットについて開示しているが、相溶性が低くて分散性が低下し、安定性および信頼性が十分でなく、時間経過とともに耐光性が減少し、粘度安定性が十分でなくてインクジェット方式に適しないなどの問題を解決していないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2018-0002716号
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1628065号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、光特性、酸化安定性および信頼性に優れた量子ドットを提供することである。
【0008】
また、本発明は、前記量子ドットを含み、分散性および粘度安定性に優れた量子ドット分散液および前記量子ドット分散液を含む光変換インク組成物を提供することを一つの目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記量子ドットを発光層に含む電子素子を提供することを一つの目的とする。
【0010】
また、本発明は、前記光変換インク組成物を用いて形成される硬化膜を含むカラーフィルタ、光変換積層基材および画像表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、前記電子素子が量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)である画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、表面上にリガンド層を有する量子ドットであって、
前記リガンド層が下記化学式1で表される化合物を含む量子ドットを提供する。
【0013】
【0014】
【0015】
であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、C6~C16のアリーレン基またはC5~C16のヘテロアリーレン基であり、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、C6~C16のアリール基またはC5~C16のヘテロアリール基であり、
Yは、C4~C16の接合された環状芳香族基であり、
Bは、直接結合、
【0016】
であり、
Cは、-(CH
2)
n1-、-(OCH
2CH
2)
n2-、または-(CH
2CH
2O)
n3-であり、
n1~n3は、それぞれ独立して、0~20の整数であり、
Fは、-COOH、-SH、-NH
3、
【0017】
であり、
xおよびyは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0018】
また、本発明は、前記量子ドットを含む量子ドット分散体を提供する。
また、本発明は、前記量子ドット分散体を含む光変換インク組成物を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記量子ドットを発光層に含む電子素子を提供する。
また、本発明は、前記光変換インク組成物を用いて形成される硬化膜を含むカラーフィルタまたは光変換積層基材を提供する。
【0020】
また、本発明は、前記カラーフィルタまたは光変換積層基材を含む画像表示装置を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記電子素子が量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)である画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明による量子ドットは、特定の化学式構造で表される化合物をリガンド層として含むことにより、量子ドットの表面が保護されて酸化安定性に優れていることから発光特性および光維持率に優れる。これによって電子素子の発光層に有用に適用可能である。
【0023】
また、本発明の量子ドットは、モノマーと相溶性に優れて分散特性に優れ、前記量子ドットを含む光変換インク組成物を用いると、インクジェットのノズル詰まりのような不良の発生を抑制させて乾燥性および連続ジェッティングのような工程特性に優れて工程歩留まりを向上させ、少量使用で生産費用を節減させることができる。
【0024】
したがって、前記量子ドットおよびこれを含む光変換インク組成物は、輝度などの光特性、信頼性および工程特性などがすべて向上する効果を提供するので、カラーフィルタ、光変換積層基材などの多様な用途に効果的に適用可能であり、これによって高品質の画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、表面上にリガンド層を有する量子ドットであって、リガンド層が特定の化学式構造の化合物を含む量子ドットと、前記量子ドットを含む量子ドット分散体および光変換インク組成物を提供する。また、本発明による量子ドットは、酸化安定性および信頼性に優れ、電子素子、カラーフィルタ、光変換積層基材などの多様な用途に効果的に適用可能である。
【0026】
また、本発明は、前記カラーフィルタ、光変換積層基材および/または電子素子を含む画像表示装置を提供する。
【0027】
本発明の電子素子、カラーフィルタ、光変換積層基材、画像表示装置は、量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)が適用されたものまたは量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)に適用するためのものであってもよい。
【0028】
本明細書で使用される「接合された環状芳香族基」は、隣り合う2個以上の炭素原子を共有する環を有する芳香族基を意味する。
【0029】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
<量子ドット>
本発明において、量子ドットは、光源によって自己発光し、可視光線および赤外線領域の光を発生させるために用いられるものである。量子ドットは、数ナノサイズの結晶構造を有する物質で、数百から数千個程度の原子で構成されるものであってもよい。原子が分子をなし、分子はクラスタ(cluster)という小さい分子の集合体を構成してナノ粒子をなすが、通常、このようなナノ粒子が特に半導体の特性を呈している時、これを量子ドットという。本発明の量子ドットは、このような概念に符合するものであれば特に限定されない。物体がナノサイズ以下に小さくなる場合、その物体のエネルギーバンドギャップ(band gap)が大きくなる現象である量子拘束効果(quantum confinement effect)が現れ、量子ドットが外部からエネルギーを受けて励起した状態に達すると、自らエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出し、自発光することができる。
【0030】
本発明による量子ドットは、表面上にリガンド層を有し、前記リガンド層が下記化学式1で表される化合物を含むことを特徴とする。これにより、量子ドットの表面が保護されて酸化安定性に優れ、量子効率の低下が防止されることにより優れた光特性を示し、信頼性が向上できる。
【0031】
【0032】
【0033】
であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、C6~C16のアリーレン基またはC5~C16のヘテロアリーレン基であり、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、C6~C16のアリール基またはC5~C16のヘテロアリール基であり、
Yは、C4~C16の接合された環状芳香族基であり、
Bは、直接結合、
【0034】
であり、
Cは、-(CH
2)
n1-、-(OCH
2CH
2)
n2-、または-(CH
2CH
2O)
n3-であり、
n1~n3は、それぞれ独立して、0~20の整数であり、
Fは、-COOH、-SH、-NH
3、
【0035】
であり、
xおよびyは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0036】
本発明において、前記化学式1にてxとyの和が1以上であってもよいし、より好ましくは、xおよびyの和が4以上であってもよい。この場合、硬化性モノマーとの相溶性に優れて分散性が良好で、分散安定性に優れた量子ドット分散液の提供が可能である。
【0037】
本発明の一実施例において、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~1-9のいずれか1つで表される化合物であってもよい。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
本発明において、前記化学式1で表される化合物は、有機リガンドとして量子ドットの表面に配位結合して量子ドットを安定化させる役割を果たすことができる。
【0048】
通常製造された量子ドットは、表面上にリガンド層を有することが一般的であり、製造直後のリガンド層は、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、コハク酸モノ-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]エステルなどからなってもよい。この場合、前記化学式1で表される化合物をリガンド層として含む本発明の量子ドットと比較して、リガンド層と量子ドットとの間のより弱い結合力によって量子ドット表面の非結合欠陥による理由から表面保護効果が低下しうる。また、オレイン酸の場合、高揮発性化合物(VOC;volatile organic compound)であるn-ヘキサンのような飽和炭化水素系溶剤、クロロホルム、ベンゼンのような芳香族系溶剤によく分散するが、PGMEAのような溶剤やモノマー(光重合性化合物)に分散性が不良である。
【0049】
本発明による量子ドットは、リガンド層に前記化学式1で表される化合物を含むことにより、量子ドットの表面が保護されることにより、従来の量子ドットに比べて優れた酸化安定性を示し得るだけでなく、モノマーにおける分散性が非常に優れて光特性を向上させる効果が現れる。
【0050】
また、本発明の量子ドットは、クロロホルムなどの芳香族系溶剤だけでなく、PGMEAのような溶剤においても優れた分散性を示して、QLED素子の製造時に適用可能である。
【0051】
一部の実施例において、本発明による量子ドットは、リガンド層に前記化学式1で表される化合物を含みかつ、オレイン酸(oleic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、2-(2-メトキシエトキシ)酢酸、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、コハク酸モノ-[2-(2-メトキシ-エトキシ)-エチル]エステルなどをさらに含むことができる。
【0052】
前記量子ドットは、光または電気による刺激で発光できる量子ドット粒子であれば特に限定されない。例えば、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素またはこれを含む化合物;およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいし、これらは、単独または2種以上混合して使用可能である。
【0053】
例えば、前記II-VI族半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびCdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0054】
前記III-V族半導体化合物は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびGaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記IV-VI族半導体化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される三元素化合物;およびSnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe、およびこれらの混合物からなる群より選択される四元素化合物からなる群より選択される1つ以上であってもよいが、同じくこれに限定されない。
【0056】
前記IV族元素またはこれを含む化合物は、Si、Ge、およびこれらの混合物からなる群より選択される元素;およびSiC、SiGe、およびこれらの混合物からなる群より選択される二元素化合物からなる群より選択されてもよいが、これに限定されるものではない。
【0057】
量子ドットは、均質な(homogeneous)単一構造;コア-シェル(core-shell)構造およびグラジエント(gradient)構造などのような二重構造;またはこれらの混合構造であってもよいし、本発明において、量子ドットは、光による刺激で発光できるものであれば、その種類を特に限定しない。
【0058】
一実施例によれば、量子ドットは、コア-シェル構造を有し、前記コアは、InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSeTe、CdZnS、CdSeS、PbSe、PbS、PbTe、AgInZnS、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InGaN、InAs、およびZnOからなる群より選択される1種以上を含み、前記シェルは、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、CdS、CdSe、CdTe、CdO、InP、InS、GaP、GaN、GaO、InZnP、InGaP、InGaN、InZnSCdSe、PbS、TiO、SrSe、およびHgSeからなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnS、およびInP/MnSe/ZnSからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
一般的に、量子ドットは、湿式化学工程(wet chemical process)、有機金属化学蒸着工程(MOCVD、metal organic chemical vapor deposition)、または分子線エピタキシ工程(MBE、molecular beam epitaxy)によって製造される。
【0060】
本発明による量子ドットは、湿式化学工程によって合成される。
前記湿式化学工程は、有機溶剤に前駆体物質を入れて粒子を成長させる方法で、結晶が成長する時、有機溶剤が自然に量子ドット結晶の表面に配位されて分散剤の役割をして結晶の成長を調節するので、有機金属化学蒸着や分子線エピタキシのような気相蒸着法よりも容易かつ安価な工程により量子ドット粒子のサイズ成長を制御することができる。
【0061】
湿式化学工程によって量子ドットを製造する場合、量子ドットの凝集を防止し、量子ドットの粒子サイズをナノ水準に制御するために有機リガンドが使用される。このような有機リガンドとしては、一般的にオレイン酸が使用可能である。
【0062】
本発明の一実施例において、前記量子ドットの製造過程で使用されたオレイン酸は、リガンド交換方法により前記化学式1で表される化合物に代替される。
【0063】
前記リガンド交換は、元の有機リガンド、すなわちオレイン酸を有する量子ドットを含む分散体に、交換しようとする有機リガンド、すなわち化学式1で表される化合物を添加し、これを常温~200℃で30分~3時間撹拌して、化学式1で表される化合物が結合した量子ドットを得ることにより行われる。
【0064】
必要に応じて、前記化学式1で表される化合物が結合した量子ドットを分離し精製する過程を追加で行ってもよい。
【0065】
本発明の一実施形態による量子ドットは、上記のように、常温で簡単な撹拌処理下で有機リガンド交換方法によって製造可能で、大量生産が可能という利点がある。
【0066】
また、本発明の一実施例による量子ドットは、15日後にも初期量子効率対比約85%以上の量子効率を維持することができて、長期間安定的に保管可能で多様な用途に商用化可能である。
【0067】
<量子ドット分散体>
本発明の一実施様態は、量子ドット分散体に関する。本発明による量子ドット分散体は、上述した量子ドットと、モノマーおよび溶剤から選択された1種以上とを含む。
【0068】
量子ドット
本発明において、前記量子ドットは、前記量子ドット分散体の固形分全体100重量部に対して10~95重量部、好ましくは20~90重量部、さらに好ましくは20~80重量部含まれる。前記量子ドットが前記範囲内に含まれる場合、発光特性に優れた量子ドット光変換組成物または自発光感光性樹脂組成物の提供が可能である。前記量子ドットが前記含有量範囲未満で含まれる場合、光特性が低下することがあり、高品位の表示装置の実現が難しいことがある。また、前記含有量範囲を超える場合、硬化または現像性を実現する成分が不足し、パターン未形成または塗膜の硬化度不足によってディスプレイ製造の後工程の生産性および製品の信頼性を低下させることがある。
【0069】
本発明の量子ドット分散体に含まれるモノマーは、前記量子ドットを分散させる役割を果たす分散用硬化性モノマーである。
【0070】
前記モノマーは、下記化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0071】
【0072】
前記化学式2において、
R5は、C1-C20のアルキレン基、C1-C20のフェニレン基、またはC3-C10のシクロアルキレン基であり、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、mは、1~15の整数である。
【0073】
本明細書で使用されるC3-C10のシクロアルキレン基は、炭素数3~10個からなる単純または融合環状2価炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0074】
前記C1-C20のアルキレン基、C1-C20のフェニレン基、およびC3-C10のシクロアルキレン基は、1つまたはそれ以上の水素がC1-C6のアルキル基、C2-C6のアルケニル基、C2-C6のアルキニル基、C3-C10のシクロアルキル基、C3-C10のヘテロシクロアルキル基、C3-C10のヘテロシクロアルキルオキシ基、C1-C6のハロアルキル基、C1-C6のアルコキシ基、C1-C6のチオアルコキシ基、アリール基、アシル基、ヒドロキシ、チオ(thio)、ハロゲン、アミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、ニトロなどで置換されていてもよい。
【0075】
例えば、前記化学式2で表される化合物としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナン、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
本発明において、量子ドット分散体に含まれるモノマーは、前記化学式2で表される化合物を1種以上含むことができる。
【0077】
前記化学式2で表される化合物は、前記化学式1で表される化合物をリガンド層として有する本発明の量子ドットと共に使用される場合、前記リガンドとの相溶性に優れて量子ドットの分散性をさらに向上させることができる。
【0078】
本発明の量子ドット分散体は、必要に応じて、前記化学式2で表される化合物のほかにも、分散用モノマーとして、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などをさらに含むことができ、なかでも、好ましくは、2官能以上の単量体を使用することができる。
【0079】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0080】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0081】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0082】
前記分散用モノマーは、量子ドット全体分散体中の固形分100重量部に対して10~90重量部含まれてもよいし、好ましくは20~80重量部含まれてもよいし、より好ましくは30~70重量部であるのが良い。
【0083】
上述した含有量範囲未満であれば、分散特性が低下または分散液の高粘度化でコーティングまたはジェッティング特性が悪化することがあり、これとは逆に、前記範囲を超える場合、量子ドットの光源吸収率が不足して色再現性の低下および発光効率の性能低下で光学特性が低下することがある。
【0084】
本発明による量子ドットは、溶剤を用いて分散させることができる。
前記溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、ペンチルアセテート(n-Pentyl acetate)、クロロホルム、フェニル-酢酸エチルエステル、3-フェニル-プロピオン酸メチルエステル、3-フェニル-プロピオン酸エチルエステル、4-フェニル-酪酸エチルエステル、5-フェニル-ペンタン酸エチルエステル、6-フェニル-ヘキサン酸エチルエステル、4-フェニル-酪酸プロピルエステル、4-(4-クロロ-フェニル)-酪酸エチルエステル、4-(3,4-ジクロロ-フェニル)-酪酸エチルエステル、3-シクロペンタ-1,3-ジエニル-プロピオン酸メチルエステル、4-シクロペンタ-1,3-ジエニル-酪酸エチルエステル、5-シクロペンタ-1,3-ジエニル-ペンタン酸エチルエステル、6-シクロペンタ-1,3-ジエニル-ヘキサン酸エチルエステル、4-シクロペンタ-1,3-ジエニル-酪酸プロピルエステル、3-フラン-2-イル-プロピオン酸メチルエステル、4-フラン-2-イル-酪酸エチルエステル、5-フラン-2-イル-ペンタン酸エチルエステル、6-フラン-2-イル-ヘキサン酸エチルエステル、4-フラン-2-イル-酪酸プロピルエステル、フラン-2-カルボン酸プロピルエステル、フラン-2-カルボン酸ブチルエステル、3-シクロペンチル-プロピオン酸メチルエステル、4-シクロペンチル-酪酸エチルエステル、5-シクロペンチル-ペンタン酸エチルエステル、6-シクロペンチル-ヘキサン酸エチルエステル、4-シクロペンチル-酪酸プロピルエステル、シクロペンタンカルボン酸イソブチルエステル、シクロペンタンカルボン酸ペンチルエステル、3-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-プロピオン酸メチルエステル、4-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-酪酸エチルエステル、5-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-ペンタン酸エチルエステル、6-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-ヘキサン酸エチルエステル、4-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-酪酸プロピルエステル、テトラヒドロ-フラン-3-カルボン酸プロピルエステル、テトラヒドロ-フラン-3-カルボン酸ブチルエステル、3-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-プロピオン酸メチルエステル、4-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-酪酸エチルエステル、5-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-ペンタン酸エチルエステル、6-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-ヘキサン酸エチルエステル、4-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-酪酸プロピルエステル、テトラヒドロ-フラン-2-カルボン酸2-エチル-ヘキシルエステル、シクロヘキシル-酢酸エチルエステル、3-シクロヘキシル-プロピオン酸メチルエステル、4-シクロヘキシル-酪酸エチルエステル、5-シクロヘキシル-ペンタン酸エチルエステル、6-シクロヘキシル-ヘキサン酸エチルエステル、4-シクロヘキシル-酪酸プロピルエステル、シクロヘキサンカルボン酸プロピルエステル、シクロヘキサンカルボン酸ヘキシルエステル、シクロヘキシル-酢酸アリルエステル、3-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-プロピオン酸メチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-酪酸エチルエステル、5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-ペンタン酸エチルエステル、6-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-ヘキサン酸エチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-酪酸プロピルエステル、テトラヒドロ-ピラン-2-カルボン酸プロピルエステル、テトラヒドロ-ピラン-2-カルボン酸ブチルエステル、3-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-プロピオン酸メチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-酪酸エチルエステル、5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-ペンタン酸エチルエステル、6-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-ヘキサン酸エチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-酪酸プロピルエステル、テトラヒドロ-ピラン-3-カルボン酸イソブチルエステル、テトラヒドロ-ピラン-3-カルボン酸ペンチルエステル、3-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-プロピオン酸メチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-酪酸エチルエステル、5-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-ペンタン酸エチルエステル、6-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-ヘキサン酸エチルエステル、4-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-酪酸プロピルエステル、テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ブチルエステル、テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸プロピルエステルなどが例に挙げられる。
【0085】
また、酢酸ベンジルエステル、プロピオン酸フェネチルエステル、プロピオン酸3-フェニル-プロピルエステル、プロピオン酸4-フェニル-ブチルエステル、酪酸フェネチルエステル、プロピオン酸2-(4-クロロ-フェニル)-エチルエステル、プロピオン酸2-(3,4-ジクロロ-フェニル)-エチルエステル、酢酸シクロペンタ-1,3-ジエニルメチルエステル、プロピオン酸2-シクロペンタ-1,3-ジエニル-エチルエステル、プロピオン酸3-シクロペンタ-1,3-ジエニル-プロピルエステル、プロピオン酸4-シクロペンタ-1,3-ジエニル-ブチルエステル、酪酸2-シクロペンタ-1,3-ジエニル-エチルエステル、酢酸フラン-2-イルメチルエステル、プロピオン酸2-フラン-2-イル-エチルエステル、プロピオン酸3-フラン-2-イル-プロピルエステル、プロピオン酸4-フラン-2-イル-ブチルエステル、酪酸2-フラン-2-イル-エチルエステル、酢酸シクロペンチルメチルエステル、プロピオン酸2-シクロペンチル-エチルエステル、プロピオン酸3-シクロペンチル-プロピルエステル、プロピオン酸4-シクロペンチル-ブチルエステル、酪酸2-シクロペンチル-エチルエステル、酢酸テトラヒドロ-フラン-3-イルメチルエステル、プロピオン酸2-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-エチルエステル、プロピオン酸3-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-プロピルエステル、プロピオン酸4-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-ブチルエステル、酪酸2-(テトラヒドロ-フラン-3-イル)-エチルエステル、酢酸テトラヒドロ-フラン-2-イルメチルエステル、プロピオン酸2-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-エチルエステル、プロピオン酸3-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-プロピルエステル、プロピオン酸4-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-ブチルエステル、酪酸2-(テトラヒドロ-フラン-2-イル)-エチルエステル、酢酸シクロヘキシルメチルエステル、プロピオン酸2-シクロヘキシル-エチルエステル、プロピオン酸3-シクロヘキシル-プロピルエステル、プロピオン酸4-シクロヘキシル-ブチルエステル、酪酸2-シクロヘキシル-エチルエステル、ブト-3-エノ酸シクロヘキシルメチルエステル、酢酸テトラヒドロ-ピラン-2-イルメチルエステル、プロピオン酸2-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-エチルエステル、プロピオン酸3-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-プロピルエステル、プロピオン酸4-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-ブチルエステル、酪酸2-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-エチルエステル、酢酸テトラヒドロ-ピラン-3-イルメチルエステル、プロピオン酸2-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-エチルエステル、プロピオン酸3-(テトラヒドロ-ピラン-2-イル)-プロピルエステル、プロピオン酸4-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-ブチルエステル、酪酸2-(テトラヒドロ-ピラン-3-イル)-エチルエステル、酢酸テトラヒドロ-ピラン-4-イルメチルエステル、プロピオン酸2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-エチルエステル、プロピオン酸3-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-プロピルエステル、プロピオン酸4-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-ブチルエステル、酪酸2-(テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-エチルエステルなどが挙げられる。本発明において、溶剤は、単独で使用されてもよく、または上述したモノマーと混合して使用可能である。
【0086】
前記溶剤は、量子ドット分散体に全体100重量部において10~90重量部、好ましくは20~80重量部含まれてもよいし、または溶剤を含まない無溶剤型であってもよい。溶剤が前記範囲未満で含まれる場合、分散特性が低下して、異物による成膜特性が低下および発光特性が悪化することがあり、前記範囲以上で含まれる場合、発光強度の不足および光源の光漏れによってディスプレイの色領域の低下が発生しうるので、前記範囲を満足することが好ましい。
【0087】
前記量子ドット(QD)分散体において、量子ドットは、モノマーまたは溶剤のいずれか1つの単独成分で分散させることができ、またはモノマーと溶剤とを混合してこれによって前記量子ドットを分散させることにより、量子ドット(QD)分散体を製造することができる。
【0088】
本発明において、溶剤とモノマーとを混合して用いる場合、溶剤とモノマーとの全体重量比に対して、溶剤は0.1~100重量部含まれる。より好ましくは、20~80重量部含まれる。前記範囲内に含まれる場合、分散性および粘度安定性が向上して保管安定性に優れ、成膜特性に優れて生産性が向上でき、優れた色領域と輝度で高品位の自発光ディスプレイの提供が可能である。
【0089】
<光変換インク組成物>
本発明の光変換インク組成物は、上述した量子ドット分散体を含む。
【0090】
また、散乱粒子、光重合性化合物、光重合開始剤から選択された1種以上をさらに含むことができ、必要に応じて、本技術分野にて知られた添加剤のような構成成分をさらに含んでもよい。
【0091】
さらに、本発明の光変換インク組成物は、上述した量子ドット分散体を含むことにより、溶剤を含まなくても粘度特性に優れてインクジェット工程に好適に使用されるが、必要に応じて10ppm~9000ppmの溶剤をさらに含むことができる。この時、光変換インク組成物に含まれる溶剤は、本技術分野にて使用できるものであれば、本発明が目的とする範囲内で特別な制限なく使用可能である。
【0092】
以下、本発明の光変換インク組成物に含まれる各成分について詳しく説明する。
量子ドット分散体
本発明の光変換インク組成物に含まれる量子ドット分散体は、上述した量子ドット分散体がそのまま適用される。
【0093】
本発明の光変換インク組成物に量子ドット分散体が含まれると、光変換インク組成物の製造時にアウトガスの発生量を低減させることができ、製造された光変換インク組成物が所望の粘度特性を示しかつ、優れた光発光特性を示すことができる。このような面から、本発明の光変換インク組成物に量子ドット分散体が全体光変換インク組成物に対して10~90重量%、好ましくは20~80重量%含まれることが好ましい。
【0094】
散乱粒子
本発明による光変換インク組成物は、散乱粒子を含むことができる。
【0095】
前記散乱粒子は、通常の無機材料を使用することができ、好ましくは、平均粒径が30~1000nmの金属酸化物を含むことができる。
【0096】
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種の金属を含む酸化物であってもよいが、これに限定されない。
【0097】
具体的には、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種が可能である。必要な場合、アクリレートなどの不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0098】
本発明による光変換インク組成物は、散乱粒子を含む場合、前記散乱粒により量子ドットから自発的に放出された光の経路を増加させて、カラーフィルタまたは光変換積層基材における全体的な光効率を高めることができるので、好ましい。
【0099】
好ましくは、散乱粒子は、30~1000nmの平均粒径を有することができ、好ましくは、100~500nmの範囲のものを使用する。この時、粒子サイズが小さすぎると、量子ドットから放出された光の十分な散乱効果を期待することができず、これとは逆に、大きすぎる場合には、組成物内に沈んだり均一な品質の自発光層表面が得られないので、前記範囲内で適宜調節して使用する。
【0100】
前記散乱粒子は、前記全体光変換インク組成物全体100重量部に対して0.1~50重量部、好ましくは0.5~30重量部使用することができる。前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、発光強度の増加効果が極大化できるので、好ましい。前記散乱粒子が前記範囲未満で含まれる場合、得ようとする発光強度の確保がやや難しいことがあり、前記範囲を超える場合、それ以上の発光強度の増加効果がわずかである上に、組成物の安定性低下の問題が発生しうるので、前記範囲内で適宜使用することが好ましい。
【0101】
光重合性化合物
本発明における光重合性化合物は、光および後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物である。
【0102】
本発明の一実施例において、前記光重合性化合物は、化学式2で表される化合物を含むことができる。
【0103】
【0104】
前記化学式2において、
R5は、C1-C20のアルキレン基、C1-C20のフェニレン基、またはC3-C10のシクロアルキレン基であり、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、mは、1~15の整数である。
【0105】
本明細書で使用されるC3-C10のシクロアルキレン基は、炭素数3~10個からなる単純または融合環状2価炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0106】
前記C1-C20のアルキレン基、C1-C20のフェニレン基、およびC3-C10のシクロアルキレン基は、1つまたはそれ以上の水素がC1-C6のアルキル基、C2-C6のアルケニル基、C2-C6のアルキニル基、C3-C10のシクロアルキル基、C3-C10のヘテロシクロアルキル基、C3-C10のヘテロシクロアルキルオキシ基、C1-C6のハロアルキル基、C1-C6のアルコキシ基、C1-C6のチオアルコキシ基、アリール基、アシル基、ヒドロキシ、チオ(thio)、ハロゲン、アミノ、アルコキシカルボニル、カルボキシ、カルバモイル、シアノ、ニトロなどで置換されていてもよい。
【0107】
例えば、前記化学式2で表される化合物としては、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリルプロピルアクリレート、1,9-ビスアクリロイルオキシノナン、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
本発明において、量子ドット分散体に含まれるモノマーは、前記化学式2で表される化合物を1種以上含むことができる。
【0109】
前記化学式2で表される化合物は、低粘度特性を示して低粘度光変換インク組成物の実現を可能にする。例えば、前記化学式1で表される化合物をリガンド層として有する本発明の量子ドットと共に使用される場合、前記リガンドとの相溶性に優れて量子ドットの分散性をさらに向上させ、溶剤なくても光特性に優れた低粘度光変換インク組成物の実現を可能にする。これにより、本発明による光変換インク組成物は、インクジェット印刷方式でカラーフィルタを製造するのに効果的に使用できる。
【0110】
本発明の光変換インク組成物は、前記化学式2で表される重合性化合物のほかにも、本発明の目的を逸脱しない限度内で当分野にて通常使用される重合性化合物をさらに含むことができる。例えば、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられ、これらのうち2官能単量体が好ましく使用される。
【0111】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0112】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0113】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0114】
本発明の光変換インク組成物に含まれる光重合性化合物は、前記量子ドット分散体に含まれたモノマーと互いに同一または異なる種類の化合物を含むことができる。
【0115】
このような光重合性化合物は、光変換インク組成物全体100重量部に対して1~45重量部含まれてもよいし、好ましくは1~20重量部であるのが良い。もし、その含有量が前記範囲未満であれば、光感度が低下することがあり、これとは逆に、前記範囲を超える場合、量子ドット光変換層および自発光感光性層の密着性が不十分でフィルムの強度が十分でなく、塗膜の浮き上がりが発生して生産歩留まりの低下をもたらすことがある。
【0116】
光重合開始剤
本発明における光重合開始剤は、先に説明した光重合性化合物の重合を開始するための化合物で、本発明において特に限定しないが、アシルホスフィン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、チオキサントン系、オキシム系、ベンゾイン系、アントラセン系、アントラキノン系、ビイミダゾール系化合物などを使用することができ、これらは、単独または2種以上混合して使用可能である。
【0117】
一例として、前記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが可能である。
【0118】
その他の光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10-ブチル-2-クロロアクリドン、9,10-フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを使用することができる。
【0119】
このような光重合開始剤の含有量は、全体組成物100重量部に対して0.1~20重量部、好ましくは0.5~15重量部含まれる。
【0120】
前記光重合開始剤の含有量が前記範囲に含まれる場合、光変換インク組成物が高感度化されて、画素部の強度や、この画素部の表面における平滑性が良好になる傾向があるので、好ましい。また、光重合開始補助剤の含有量が前記範囲にあれば、光変換インク組成物の感度効率性がさらに高くなり、この組成物を用いて形成されるカラーフィルタの生産性が向上する傾向があるので、好ましい。
【0121】
添加剤
本発明による光変換インク組成物は、多様な目的によって公知の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤としては、例えば、充填剤、他の高分子化合物、硬化剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤などの添加剤を併行することも可能である。これらの添加剤は、1種または2種以上が可能であり、光効率などを考慮して、全体組成物内で1重量%以下で使用することが好ましい。
【0122】
本発明による光変換インク組成物は、光特性、耐光性、粘度特性に優れているため、カラーフィルタまたは光変換積層基材などに含まれる硬化膜の形成時に効果的に適用可能である。したがって、本発明によるインク組成物は、カラーフィルタまたは光変換積層基材を含む画像表示装置の製造に好ましく使用可能である。
【0123】
<電子素子>
本発明の一実施例によれば、本発明による量子ドットは、発光ダイオード、有機発光ダイオード、センサ、イメージングセンサ、太陽電池、LCDなどの電子素子に有用に適用可能である。
【0124】
本発明による前記電子素子は、上述した量子ドットを発光層に含むことができる。例えば、互いに対向する第1電極と第2電極および前記第1電極と前記第2電極との間に位置する発光層に本発明の量子ドットが含まれる。
【0125】
前記発光層に使用される量子ドットは、コア-シェル構造を有し、前記コアは、InP、InZnP、InGaP、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdSeTe、CdZnS、CdSeS、PbSe、PbS、PbTe、AgInZnS、HgS、HgSe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、InGaN、InAs、およびZnOからなる群より選択される1種以上を含み、前記シェルは、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、CdS、CdSe、CdTe、CdO、InP、InS、GaP、GaN、GaO、InZnP、InGaP、InGaN、InZnSCdSe、PbS、TiO、SrSe、およびHgSeからなる群より選択される1種以上を含むことができ、好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/GaP/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSeTe/ZnS、およびInP/MnSe/ZnSからなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0126】
一例として、量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)は、量子ドットを電気的に励起させて光を発するようにする電気発光(Electroluminescence、EL)方式の素子である。
【0127】
前記量子ドット発光ダイオード(QLED)は、両側電極から注入された電子とホールが量子ドット発光層でエキシトンを形成し、エキシトンの発光再結合(radiative recombination)により光を放出する。これは、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)と動作原理が同一であるので、通常のOLEDの電子/ホール注入層および輸送層などをそのまま使用した多層素子構造において、発光層のみ、有機発光素材の代わりに量子ドットに代替して構成可能である。
【0128】
本発明の量子ドット発光ダイオードの製造方法は特に限定されず、当該技術分野にて公知の方法を用いることができる。
【0129】
一実施例として、量子ドット発光ダイオードの製造方法は、陽極、陰極、電子注入・輸送層、発光層、正孔輸送層、および正孔注入層を順次に積層して製造することができる。
【0130】
他の実施例として、量子ドット発光ダイオードの製造方法は、陰極、電子注入輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、および陽極を順次に積層して製造してもよいし、さらに他の実施例として、量子ドット発光ダイオードの製造方法は、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、電子注入・輸送層、および陰極を順次に積層して製造してもよい。
【0131】
この時、前記発光層が上述した量子ドットを含むことができる。
<硬化膜>
本発明は、前記光変換インク組成物を用いて形成される硬化膜を提供し、前記硬化膜は、カラーフィルタまたは光変換積層基材に含まれる。
【0132】
<光変換積層基材>
本発明による光変換積層基材は、光変換インク組成物の硬化物を含む。前記光変換積層基材は、ガラス基材にコーティングできる光変換インク組成物を含むことにより、人体有害物質に該当しない溶剤を使用可能で、作業者の安全と製品生産性を向上させることができる。
【0133】
前記光変換積層基材は、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)、または高分子基板を含むことができ、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0134】
前記光変換積層基材は、前記光変換インク組成物を塗布し熱硬化して形成される。
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、上述した光変換インク組成物を用いて形成される。
【0135】
本発明のカラーフィルタを形成する塗膜の形成方法は、当該技術分野にて公知の方法を用いることができる。
【0136】
一実施例として、塗膜の形成方法は、
a)基板に光変換インク組成物を塗布するステップと、
b)得られた被膜上に活性光線を照射して硬化させるステップと、
c)ポストベーク実行ステップと、を含むことができる。
【0137】
前記基板は、ガラス基板やポリマー基板が用いられるが、これに限定されない。ガラス基板としては、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウムまたはストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、または石英などが好ましく使用することができる。また、ポリマー基板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、またはポリスルホン基板などが挙げられる。
【0138】
この時、塗布は、所望の厚さが得られるように、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置を用いた公知の湿式コーティング方法によって行われる。
【0139】
露光は、露光器から放出される光で感光させる。この時、照射する光は、例えば、可視光線、紫外線、X線、および電子線などを用いることができる。
【0140】
ポストベークは、膜と基板との密着性と硬化度を高めるために行い、例えば、80~250℃で10~120分の条件で熱処理により行われる。ポストベークは、プリベークと同様に、オーブン、ホットプレートなどを用いて行うことができる。
【0141】
<画像表示装置>
本発明による画像表示装置は、前述したカラーフィルタ、光変換積層基材、および/または電子素子を含む。
【0142】
本発明の画像表示装置は、電子素子として量子ドット発光ダイオード(quantum dot LED、QLED)が適用された画像表示装置であってもよい。
【0143】
前記画像表示装置は、具体的には、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビゲーション用表示装置などの表示装置などが挙げられ、特にカラー表示装置が好適である。
【0144】
前記画像表示装置は、前記カラーフィルタまたは光変換積層基材を備えたことを除けば、本発明の技術分野にて当業者に知られた構成を含み、すなわち、本発明は、カラーフィルタまたは光変換積層基材を適用可能な画像表示装置を含む。
【0145】
本発明によるカラーフィルタを含む画像表示装置は、色再現性、輝度、耐熱性および信頼性などにおいて優れた特性を有することができる。
【0146】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例0147】
合成例
合成例1:InP/ZnSコア-シェル量子ドットの合成
三口フラスコ(3-neck flask)に、インジウムアセテート0.05839g、オレイン酸0.12019g、および1-オクタデセン(ODE)10mLを入れた。前記フラスコを撹拌しながら、110℃、100mTorr下で30分間脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで、不活性気体下で270℃の温度に加熱した。
【0148】
リン(P)前駆体としてトリス(トリメチルシリル)ホスフィンを0.025054g用意して、1-オクタデセン0.5mLとトリ-n-オクチルホスフィン0.5mLに入れて撹拌して、これを不活性気体下で270℃に加熱された前記フラスコに迅速に注入した。1時間反応させた後、迅速に冷却させて反応を終結させた。以後、フラスコの温度が100℃に到達した時、10mLのトルエンを注入した後、50mLの遠心分離チューブに移し入れた。エタノール10mLを添加した後、沈殿および再分散方法を活用して2回精製した。精製されたInPコアナノ粒子を1-オクタデセンに分散させた後、保存した。
【0149】
三口フラスコに、亜鉛アセテート3.669g、オレイン酸20mL、および1-オクタデセン20mLを入れて、撹拌しながら、110℃、100mTorr下で30分間脱気(degassing)過程を経た後、溶液が透明になるまで、不活性気体下で270℃の温度に加熱した後、60℃に冷却させて、透明な亜鉛オレエート形態の前駆体溶液を得た。
【0150】
三口フラスコに、硫黄0.6412gおよびトリ-n-オクチルホスフィン10mLを入れて、溶液が透明になるまで、不活性気体雰囲気で撹拌しながら80℃の温度に加熱した後、常温に冷却させて、TOP:S形態のS前駆体溶液を得た。
【0151】
別の三口フラスコに、予め用意したInPコアのナノ粒子溶液を入れて、フラスコの温度を300℃に調節した後、予め用意した亜鉛前駆体溶液0.6mLを注射器を活用して迅速に注入した。この後、予め用意したS前駆体溶液0.3mLを注射器ポンプを活用して2mL/hrの速度でフラスコに注入した。注入が終わった後、3時間反応をさらに進行させ、迅速に冷却させて反応を終結させた。フラスコの温度が100℃に到達した時、10mLのトルエンを注入した後、50mLの遠心分離チューブに移し入れた。エタノール10mLを添加した後、沈殿および再分散方法を活用して2回精製した。精製されたInP/ZnSコア-シェル構造のナノ粒子をn-クロロホルムに分散させた後、保存した。固形分は10%に調整した。最大発光波長は525nmであった。
【0152】
合成例2:InP/ZnSe/ZnSコア-シェル量子ドットの合成
インジウムアセテート(Indium acetate)0.4mmol(0.058g)、パルミチン酸(palmitic acid)0.6mmol(0.15g)、および1-オクタデセン(octadecene)20mLを反応器に入れて、真空下で120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に切り替えた。280℃に加熱した後、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(TMS3P)0.2mmol(58μl)およびトリオクチルホスフィン1.0mLの混合溶液を迅速に注入して0.5分間反応させた。
【0153】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmol、およびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れて、真空下で120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に切り替え、反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInPコア溶液2mLを入れて、次に、トリオクチルホスフィン中のセレン(Se/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷やした反応溶液にエタノールを入れて、遠心分離して得られた沈殿を減圧濾過後、減圧乾燥して、InP/ZnSeコア-シェルを形成させた。
【0154】
次に、亜鉛アセテート2.4mmoL(0.448g)、オレイン酸4.8mmol、およびトリオクチルアミン20mLを反応器に入れて、真空下で120℃に加熱した。1時間後、反応器内の雰囲気を窒素に切り替え、反応器を280℃に昇温させた。先に合成したInPコア溶液2mLを入れて、次に、トリオクチルホスフィン中の硫黄(S/TOP)4.8mmolを入れた後、最終混合物を2時間反応させた。常温に迅速に冷やした反応溶液にエタノールを入れて、遠心分離して得られた沈殿を減圧濾過後、減圧乾燥して、InP/ZnSe/ZnSコア-シェル構造の量子ドットを得た後、クロロホルムに分散させた。固形分は10%に調整した。最大発光波長は520nmであった。
【0155】
合成例3:リガンドM1の合成
還流冷却器を備えた四口フラスコに、THF60mL、Pd
2(dba)
3 1.48g(1.61mmol)、そして(dicyclohexylphosphino)biphenyl1.36g(3.87mmol)を入れて、30分撹拌した。4-bromo-4’-hydroxybiphenyl16.08g(64.6mmol)、N-Phenyl-1-naphthylamine28.32g(131.2mmol)、LiN(SiMe
3)
2 23.78g(142mmol)を、THF140mLに溶かして入れた。3日還流冷却反応後、シリカを用いて濾過後、塩水で洗浄後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、カラム精製でリガンドM1を得た。薄いオレンジ色パウダーで、14.92g(60%)、LC-MS([M+H]
+):388である。
【0156】
合成例4:リガンドM2の合成
還流冷却器を備えた四口フラスコに、トルエン40mL、dioxane40mLを入れて、4-bromo-4’-hydroxybiphenyl10g(40.2mmol)とカルバゾール8.06g(48.2mmol)を入れて、窒素雰囲気で撹拌した。Pd
2(dba)
3 0.35(0.382mmol)、そしてP(tBu)
3 0.077g(0.382mmol)を入れて、LiN(SiMe
3)
2 14.8g(48.2mmol)を入れた。80℃で2日還流冷却反応させた。反応終了後、常温に下げた後、1Mの塩酸水溶液20mLを入れて、30分間撹拌した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、DI water100mLで水洗を2回処理後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥および濃縮後、カラム精製でリガンドM2を得た。白色パウダーで、6.6g(50%)、LC-MS([M+H]
+):336である。
【0157】
合成例5:リガンドM3の合成
還流冷却器を備えた四口フラスコに、THF60mL、Pd
2(dba)
3 1.48g(1.61mmol)、そして(dicyclohexylphosphino)biphenyl1.36g(3.87mmol)を入れて、30分撹拌した。4-bromo-4’-hydroxyquaterphenyl25.92g(64.6mmol)、N-Phenyl-1-naphthylamine28.32g(131.2mmol)、LiN(SiMe
3)
2 23.78g(142mmol)を、THF140mLに溶かして入れた。3日還流冷却反応後、シリカを用いて濾過後、塩水で洗浄後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、カラム精製でリガンドM3を得た。薄いオレンジ色パウダーで、14.92g(60%)、LC-MS([M+H]
+):401.05である。
【0158】
合成例6:リガンドM4の合成
還流冷却器を備えた四口フラスコに、トルエン40mL、dioxane40mLを入れて、4-bromo-4’-hydroxyquaterphenyl25.92g(64.6mmol)とカルバゾール8.06g(48.2mmol)を入れて、窒素雰囲気で撹拌した。Pd
2(dba)
3 0.35(0.382mmol)、そしてP(tBu)
3 0.077g(0.382mmol)を入れて、LiN(SiMe
3)
2 14.8g(48.2mmol)を入れた。80℃で2日還流冷却反応させた。反応終了後、常温に下げた後、1Mの塩酸水溶液20mLを入れて、30分間撹拌した。10%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、DI water100mLで水洗を2回処理後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥および濃縮後、カラム精製でリガンドM4を得た。白色パウダーで、6.6g(50%)、LC-MS([M+H]
+):488.19である。
【0159】
合成例7:化合物L1(化学式1-1)の合成
100mLのTHFに、リガンドM2 69g(177mmol)、Mono-tert-butyl succinate30.83g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させ、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、DI water100mLで水洗処理後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥および濃縮した。ジクロロメタン80mL溶かして、トリフルオロ酢酸10g投入後、常温で12時間撹拌した。反応終了後、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、DI water100mLで水洗処理後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥および濃縮後、カラム精製で化合物L1(化学式1-1)を得た。薄い黄色固体で、51g(59%)、LC-MS([M+H]
+):488、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 7.10~7.51(m, 13H), 6.45~6.81 (m, 6H), 6.63 (t, 1H), 2.67(d, 4H)である。
【0160】
合成例8:化合物L2(化学式1-2)の合成
100mLのTHFに、リガンドM1 69g(177mmol)、6-Mercaptohexanoic acid26.24g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化合物L2(化学式1-2)を得た。薄い黄色パウダーで、61g(67%)、LC-MS([M+H]
+):518、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 7.10~7.51(m, 13H), 6.45~6.81 (m, 6H), 6.61 (t, 1H), 2.58(d, 2H), 2.24(d, 2H), 1.30~1.60(m, 6H)である。
【0161】
合成例9:化合物L3(化学式1-3)の合成
100mLのTHFに、リガンドM2 59.3g(177mmol)、Mono-tert-butyl succinate30.83g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。ジクロロメタン80mL溶かして、トリフルオロ酢酸10g投入後、常温で12時間撹拌した。反応終了後、10%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、DI water100mLで水洗処理後、有機層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥および濃縮後、カラム精製で化合物L3(化学式1-3)を得た。ベージュ色パウダーで、48g(62%)、LC-MS([M+H]
+):436、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 8.05(d, 2H), 7.51~8.01 (m, 14H), 2.56(d, 2H)である。
【0162】
合成例10:化合物L4(化学式1-4)の合成
100mLのTHFに、リガンドM2 70.8g(177mmol)、3-Mercaptohexanoic acid26.24g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化合物L4(化学式1-4)を得た。薄いベージュ色パウダーで、56g(68%)、LC-MS:466、LC-MS([M+H]
+):436、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 8.04(d, 2H), 7.50~8.00 (m, 14H), 2.56(d, 2H), 2.22(d, 2H), 1.31~1.61(m, 6H)である。
【0163】
合成例11:化合物L5(化学式1-6)の合成
100mLのTHFに、リガンドM3 70.18g(177mmol)、3-Mercaptopropionic acid18.79g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化合物L5(化学式1-6)を得た。薄い黄色パウダーで、65g(58%)、LC-MS([M+H]
+):628.8、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 7.10~7.51(m, 21H), 6.45~6.81 (m, 6H), 6.61 (t, 1H), 2.85(d, 2H), 2.54(d, 2H)である。
【0164】
合成例12:化合物L6(化学式1-5)の合成
100mLのTHFに、リガンドM4 86.23g(177mmol)、3-Mercaptopropionic acid18.79g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温6時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化合物L6(化学式1-5)を得た。薄いベージュ色パウダーで、56g(68%)、LC-MS([M+H]
+)::576.7、
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz): 8.05(d, 2H), 7.01~8.02 (m, 22H), 2.82(d, 2H), 2.51(d, 2H)である。
【0165】
合成例13:化学式1-7の化合物の合成
100mLのTHFに、リガンドM1 69g(177mmol)、DL-Cysteine(シグマアルドリッチ)21.45g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温12時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化学式1-7の化合物を得た。ベージュ色パウダーで、45g(51%)、LC-MS([M+H]
+):492である。
【0166】
合成例14:化学式1-8の化合物の合成
100mLのTHFに、リガンドM4 86.23g(177mmol)、2-(sulfanylmethyl)succinic acid29.06g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC29.6g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温48時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化学式1-8の化合物を得た。ベージュ色パウダーで、35g(31%)、LC-MS([M+H]
+):634である。
【0167】
合成例15:化学式1-9の化合物の合成
100mLのTHFに、リガンドM2 59.3g(177mmol)、DL-Cysteine(シグマアルドリッチ)21.45g(177mmol)、DMAP100mg(0.8mmol)を入れて、10分撹拌した。DIC22.3g(177mmol)を投入し、窒素雰囲気で常温14時間反応させた。反応終了後、常温に冷却させて濾過を進行させて減圧濃縮した。少量のクロロホルムに溶かし、カラム精製を実施して、化学式1-9の化合物を得た。ベージュ色パウダーで、41g(48%)、LC-MS([M+H]
+):483である。
【0168】
製造例1~21:量子ドット分散体の製造
製造例1:量子ドット分散体A-1
合成例1の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L1」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0169】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、HDDA(1,6-Hexanediol diacrylate)を投入して80℃に加熱しながら分散させた。HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は524nmであった。
【0170】
製造例2:量子ドット分散体A-2
合成例1の量子ドットを3.00gに「化合物L2」を用いたことを除き、実施例1と同様に進行させた。
【0171】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は524nmであった。
製造例3:量子ドット分散体A-3
合成例1の量子ドットを3.00gに「化合物L3」を用いたことを除き、実施例1と同様に進行させた。
【0172】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は525nmであった。
製造例4:量子ドット分散体A-4
合成例1の量子ドットを3.00gに「化合物L4」を用いたことを除き、製造例1と同様に進行させた。
【0173】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は526nmであった。
製造例5:量子ドット分散体A-5
合成例2の量子ドット3gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L1」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0174】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、HDDAを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は40%に調整した。最大発光波長は521nmであった。
【0175】
製造例6:量子ドット分散体A-6
製造例5で用いたリガンドの代わりに「化合物L3」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0176】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は520nmであった。
製造例7:量子ドット分散体A-7
合成例1の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L1」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0177】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、クロロホルムを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は5%に調整した。最大発光波長は524nmであった。
【0178】
製造例8:量子ドット分散体A-8
合成例1の量子ドット3.00gに「化合物L2」を用いたことを除き、製造例7と同様に進行させた。
【0179】
クロロホルムで固形分は5%に調整した。最大発光波長は524nmであった。
製造例9:量子ドット分散体A-9
合成例1の量子ドット3.00gに「化合物L3」を用いたことを除き、製造例7と同様に進行させた。
【0180】
クロロホルムで固形分は5%に調整した。最大発光波長は525nmであった。
製造例10:量子ドット分散体A-10
合成例1の量子ドット3.00gに「化合物L4」を用いたことを除き、製造例7と同様に進行させた。
【0181】
クロロホルムで固形分は5%に調整した。最大発光波長は526nmであった。
製造例11:量子ドット分散体A-11
合成例1の量子ドット3.00gに「化合物L5」を用いたことを除き、製造例1と同様に進行させた。
【0182】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は523nmであった。
製造例12:量子ドット分散体A-12
合成例1の量子ドットを3.00gに「化合物L6」を用いたことを除き、製造例1と同様に進行させた。
【0183】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は523nmであった。
製造例13:量子ドット分散体A-13
製造例5で用いた「化合物L1」の代わりに「化合物L5」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0184】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は521nmであった。
製造例14:量子ドット分散体A-14
製造例5で用いた「化合物L1」の代わりに「化合物L6」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0185】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は522nmであった。
製造例15:量子ドット分散体A-15
製造例5で用いた「化合物L1」の代わりに「化学式1-7の化合物」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0186】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は521nmであった。
製造例16:量子ドット分散体A-16
製造例5で用いた「化合物L1」の代わりに「化学式1-8の化合物」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0187】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は523nmであった。
製造例17:量子ドット分散体A-17
製造例5で用いた「化合物L1」の代わりに「化学式1-9の化合物」を用いたことを除き、製造例5と同様に進行させた。
【0188】
HDDAで固形分は40%に調整した。最大発光波長は521nmであった。
製造例18:量子ドット分散体A-18
合成例1の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L5」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0189】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、クロロホルムを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は5%に調整した。最大発光波長は525nmであった。
【0190】
製造例19:量子ドット分散体A-19
合成例1の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L6」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0191】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、クロロホルムを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は5%に調整した。最大発光波長は526nmであった。
【0192】
製造例20:量子ドット分散体A-20
合成例1の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L8」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0193】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、クロロホルムを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は5%に調整した。最大発光波長は524nmであった。
【0194】
製造例21:量子ドット分散体A-21
合成例2の量子ドット3.00gを遠心分離チューブに入れて、エタノール20mLを入れて沈殿させた。遠心分離により上層液は捨てて、沈殿物に3mLのクロロホルムを入れて量子ドットを分散させた後、「化合物L6」1.0gを入れて、窒素雰囲気下で60℃に加熱しながら1時間反応させた。
【0195】
次に、反応物に25mLのn-ヘキサンを入れて量子ドットを沈殿させた後、遠心分離を実施して沈殿物を分離した後、クロロホルムを投入して80℃に加熱しながら分散させた。固形分は5%に調整した。最大発光波長は522nmであった。
【0196】
実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2:光変換インク組成物の製造
前記製造例A-1~A-21の量子ドット分散体と、合成例1~2の量子ドットをHDDAで50:50分散したA-22~A-23の量子ドット分散体とを用いて、下記表1および表2の成分および含有量によって光変換インク組成物を製造した。
【0197】
【0198】
【0199】
-A-1~A-21:製造例1~21の量子ドット分散体
-A-22:合成例1の量子ドットをHDDAで50:50分散した分散体
-A-23:合成例2の量子ドットをHDDAで50:50分散した分散体
-MN-1:HDDA(1,6-Hexanediol diacrylate)
-散乱粒子:TiO2(ハンツマン社、TR-88、粒径220nm)
-PI-1:Irgacure OXE-01(バスフ社製)
実施例2-1~2-4および比較例2-1~2-2:発光素子の製造
実施例2-1
ガラス基板上にITOを蒸着してアノードを形成し、その上にPEDOT:PSSおよびTris(4-carbazoyl-9-ylphenyl)amine(TCTA)をスピンコーティングして正孔輸送層を形成する。前記正孔輸送層上に製造例18による量子ドット分散体A-18をスピンコーティングして発光層を形成する。発光層上にAlQ3を真空蒸着して電子輸送層を形成する。前記電子輸送層上にAlを蒸着してカソードを形成して、発光素子を作製する。
【0200】
実施例2-2
製造例18による量子ドット分散体の代わりに製造例19による量子ドット分散体A-19を用いたことを除き、実施例2-1と同様の方法で発光素子を作製する。
【0201】
実施例2-3
製造例18による量子ドット分散体の代わりに製造例20による量子ドット分散体A-20を用いたことを除き、実施例2-1と同様の方法で発光素子を作製する。
【0202】
実施例2-4
製造例18による量子ドット分散体の代わりに製造例21による量子ドット分散体A-21を用いたことを除き、実施例2-1と同様の方法で発光素子を作製する。
【0203】
比較例2-1
製造例18による量子ドット分散体の代わりに合成例1により製造された量子ドットを用いたことを除き、実施例2-1と同様の方法で発光素子を作製する。
【0204】
比較例2-2
製造例18による量子ドット分散体の代わりに合成例2により製造された量子ドットを用いたことを除き、実施例2-1と同様の方法で発光素子を作製する。
【0205】
実験例
(1)光変換コーティング層の製造および光変換効率の測定
実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2で製造されたそれぞれの光変換インク組成物をインクジェット方式で5cm×5cmのガラス基板上に塗布した後、紫外線光源としてg、h、i線をすべて含む1kW高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2で照射後、180℃の加熱オーブンにて30分間加熱して光変換コーティング層を製造した。
【0206】
製造された光変換コーティング層を青色(blue)光源(XLamp XR-E LED、Royal blue450、Cree社)の上部に位置させた後、輝度測定器(CAS140CT Spectrometer、Instrument systems社)を用いて、光変換効率を下記の数式1を用いて測定し、その結果を下記表3に示した。
【0207】
【0208】
(2)粘度安定性評価
実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2で用いた量子ドット分散体に対して、R型粘度計(VISCOMETER MODEL RE120L SYSTEM、東機産業株式会社製品)を用いて、回転数20rpm、温度30℃の条件で初期粘度および低温5℃で1ヶ月保管後に粘度を測定した。粘度変化率で粘度安定性を評価して、下記表3に記載した。
【0209】
<評価基準>
○:粘度変化率105%以下
△:粘度変化率105%超過~110%以下
×:粘度変化率110%超過
(3)分散体の粒度評価
実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2で用いた量子ドット分散体の分散粒度をELSZ-2000ZS(大塚社製)を用いて測定し、その結果を下記表3に示した。
【0210】
(4)連続ジェッティング回数
実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2の光変換インク組成物をユニジェット社のインクジェットプリンティング設備に充填後、ジェッティングヘッドの温度を40℃に固定した後、1分間インク吐出後30分間放置を、ジェッティングヘッド部のノズル詰まりで吐出されなくなるまで繰り返し行って連続ジェッティング回数を評価し、その結果を下記表3に示した。
【0211】
(5)塗膜硬度
前記実験例で製造されたコーティング膜の硬化度を、硬度計(HM500;Fischer社製品)を用いて150℃の高温で測定し、表面硬度は下記の基準で評価した。その結果は下記表3に示した。
【0212】
<評価基準>
○:表面硬度50以上
△:表面硬度30~50未満
×:表面硬度30未満
【0213】
【0214】
(6)耐光性
前記実施例1-1~1-15および比較例1-1~1-2の量子ドット分散液製造初期の量子効率と、常温で青色LED光源に7日放置後の絶対量子効率とを、QE-2100(大塚社)を用いて測定した。
【0215】
その結果を下記表4に示した。
【0216】
【0217】
(7)外部量子効率、電流効率および駆動電圧評価
前記実施例2-1~2-4および比較例2-1~2-2で製造された発光素子のITO電極とAl電極との間に電圧(0V~8V)を加えながら、外部量子効率(EQE)、電流効率および駆動電圧を測定した。その結果を下記表5に示した。
【0218】
【0219】
前記表3および表4を参照すれば、本発明による光変換インク組成物は、特定の化学式構造で表されるリガンド化合物が導入された量子ドットを用いることにより、比較例1および2に比べて優れた光変換効率を示すと同時に、より安定した粘度特性を示すことを確認することができた。
【0220】
また、本発明による量子ドット分散体は分散性に優れ、これを含む本発明の光変換インク組成物の連続ジェッティング性に優れて生産効率を向上させることが分かった。
【0221】
参照として、表5の実験例によれば、本発明の表面にリガンドを含む量子ドット分散体を用いた発光素子の場合、量子ドットにリガンドを含まない比較例2-1~2-2の発光素子に比べて外部量子効率および電流効率に優れ、駆動電圧性能も改善されることが明らかになった。