(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112516
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220726BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A41D13/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062371
(22)【出願日】2022-04-04
(62)【分割の表示】P 2021007809の分割
【原出願日】2021-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】320012990
【氏名又は名称】河内 孝英
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】河内 孝英
(57)【要約】
【課題】鼻呼吸が容易で且つ蒸れにくく、装着部の顔への干渉を低減可能なマスクを提供することを目的としている。
【解決手段】マスク1は、装着者の顔面の鼻孔より下側の口、口周り及び顎先を含む部分を覆う布状の口被覆部2と、口被覆部2を装着者の顔面に装着するための装着部3と、を備え、口被覆部2は、装着したときに上辺部21が鼻孔よりも下で且つ口よりも上の顔面部分を通って下に凸の円弧状をなし、下辺部22が正面視で顎先の下側を通って下に凸の円弧状をなす正面視で略三日月形状に構成されているとともに平面的に構成されており、装着部3は、口被覆部2の上辺部21と下辺部22との左右接続部23にそれぞれ接続された、内側に耳を通して掛けることで口被覆部2を顔面に固定するリング状の耳掛け部3aを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の顔面の鼻孔より下側の口、口周り及び顎先を含む部分を覆う布状の口被覆部と、
前記口被覆部を装着者の顔面に装着するための装着部と、を備え、
前記口被覆部は、装着状態では、上辺部が鼻孔よりも下で且つ口よりも上の顔面部分を通って下に凸の円弧状をなすとともに下辺部が正面視で顎先の下側を通って下に凸の円弧状をなす三日月形状であり、
前記装着部は、前記口被覆部の上辺部と下辺部との左右接続部にそれぞれ接続された、内側に耳を通して掛けることで前記口被覆部を顔面に固定するリング状の耳掛け部を備えることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1において、
前記口被覆部は、装着したときに前記上辺部と前記下辺部とが、当該上辺部と当該下辺部との左右接続部が装着者の左右の前耳介筋の真下へと至る長さを有することを特徴とするマスク。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記口被覆部は、顎の形状に沿って変形可能なフレームが下辺部に設けられていることを特徴とするマスク。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記口被覆部の表面に、透明性且つ防湿性を有する透明防湿シートを貼り付けたことを特徴とするマスク。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記口被覆部の、装着したときに顔面側を向く面の外縁部に、滑り止めの機能を有するシート状の滑り止め部材を設けたことを特徴とするマスク。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記口被覆部に血行促進用の磁石を設けたことを特徴とするマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻孔から下方の口及び口周りを含む部分を覆うマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装着者の鼻を覆わずに顔面の口周り及び顎下を含む部分を覆うマスクがある。例えば、特許文献1に記載の布製口カバーマスクは、鼻下の口周りを覆う口カバー部と略楕円状で顎下を覆う顎下カバー部とを備えている。また、この布製口カバーマスクは、口カバー部の上辺の左右の端部近傍から2つに折って重ねて縫合した2つ折れマイクロテープを延長して構成される第1装着部と、口カバー部の下辺と顎下カバー部の上辺との接合線の左右の略端部に接合してそれぞれ設けられた第2装着部とを備える装着部を有している。そして、第1装着部の左右の延長部と第2の装着部の左右の延長部とをそれぞれエイト管を介して接合することで、口カバー部及び顎下カバー部を顔面に装着するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、就寝中の鼻呼吸を円滑に行えるようにすることを目的としており、長時間着用しても顔から外れ難くなるようにカバー部分は立体的に構成されている。そのため、顔へのフィット性が比較的高く、暑い時期には蒸れやすいという問題があった。加えて、第1装着部及び第2装着部の紐状のマイクロテープが双方とも顔にかかるため煩わしいといった問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、鼻呼吸が容易で且つ蒸れにくく、装着部の顔への干渉を低減可能なマスクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のマスクは、装着者の顔面の鼻孔より下側の口、口周り及び顎先を含む部分を覆う布状の口被覆部と、前記口被覆部を装着者の顔面に装着するための装着部と、を備え、前記口被覆部は、装着したときに上辺部が鼻孔よりも下で且つ口よりも上の顔面部分を通って下に凸の円弧状をなし、下辺部が正面視で顎先の下側を通って下に凸の円弧状をなす正面視で略三日月形状に構成されているとともに平面的に構成されており、前記装着部は、前記口被覆部の上辺部と下辺部との左右接続部にそれぞれ接続された、内側に耳を通して掛けることで前記口被覆部を顔面に固定するリング状の耳掛け部を備える。
【0007】
〔発明2〕 さらに、発明2のマスクは、発明1のマスクにおいて、前記口被覆部は、装着したとき左右接続部が装着者の左右の耳の近傍へと至る長さに構成されており、前記耳掛け部は、前記左右接続部の直近に固定されている。
〔発明3〕 さらに、発明3のマスクは、発明1又は2のマスクにおいて、前記口被覆部は、顎の形状に沿って変形可能なフレームが下辺部に設けられている。
【0008】
〔発明4〕 さらに、発明4のマスクは、発明1乃至3のいずれか1項のマスクにおいて、前記口被覆部の表面に、透明性且つ防湿性を有する透明防湿シートを貼り付けた。
〔発明5〕 さらに、発明5のマスクは、発明1乃至4のいずれか1項のマスクにおいて、前記口被覆部の、装着したときに顔面側を向く面の外縁部に、滑り止めの機能を有するシート状の滑り止め部材を設けた。
【0009】
〔発明6〕 さらに、発明6のマスクは、発明1乃至5のいずれか1項のマスクにおいて、前記口被覆部に血行促進用の磁石を設けた。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、発明1のマスクによれば、顔面に装着したときに口被覆部が鼻孔を覆うことなく且つ平面的に構成されているので、鼻呼吸が容易で且つ蒸れにくいといった効果が得られる。加えて、装着部をリング状の耳掛け部から構成したので、口被覆部の左右接続部にそれぞれ接続することができるので、従来と比較して装着部を構成する部材の顔への干渉を低減することができる。
【0011】
また、発明2のマスクによれば、装着したときに紐状の延長部を設ける必要が無いため、複数を重ねて保管するような場合に、マスク同士の装着部が絡まるといった状況が生じるのを防止することができる。
さらに、発明3のマスクによれば、口被覆部の下辺部を顎の形状に沿って変形することができるので、マスクを装着してフレームを変形させて下辺部が顎先を包むようにすることで顎先をシャープな見た目とすることが可能となる。その結果、下辺部を顎先の前に垂れ下げた状態で装着する場合と比較して小顔に見せることができるという効果が得られる。
【0012】
さらに、発明4のマスクによれば、夏場などの湿気の多い時期に、外部からの湿気を透明防湿シートで防ぐことができるので、蒸れにくくすることができる。加えて、透明性(光透過性)を有する部材から構成したので、口被覆部の柄や色を透過することができ、デザイン性が損なわれるのを低減することができる。
【0013】
また、発明5のマスクによれば、顔面に滑り止め部材が当接することで、口被覆部が顔面からずれにくくすることができるので、位置ずれや落下を低減することができる。
また、発明6のマスクによれば、顔面の磁石と対向する部位の血行を促進することができる。例えば、マスクを装着したときに口被覆部の顔面と対向する側の面のほうれい線やマリオネットラインの生じる位置と対向する位置に磁石シートを設けることで、顔面のほうれい線やマリオネットラインの生じる部位の血行を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施の形態に係るマスク1の一構成例を示す図であり、(a)及び(b)は、正面図及び背面図である。
【
図2】第1の実施の形態に係るマスク1の一構成例を示す図であり、(a)は底面図、(b)は、左側面図である。
【
図3】第1の実施の形態に係るマスク1の斜視図である。
【
図4】(a)及び(b)は、マスク1の装着例を示す図である。
【
図5】(a)は、複数のマスク1をマスクストッカー200に重ねてストックした一例を示す模式図であり、(b)は、複数のマスク1Eをマスクストッカー200に重ねてストックした一例を示す模式図である。
【
図6】第2の実施の形態に係るマスク1Aの一構成例を示す正面図である。
【
図7】第2の実施の形態に係るマスク1Aの装着例を示す図である。
【
図8】第3の実施の形態に係るマスク1Bの一構成例を示す図であり、(a)及び(b)は、正面図及び背面図である。
【
図9】第3の実施の形態に係るマスク1Bの装着例を示す図である。
【
図10】第4の実施の形態に係るマスク1Cの一構成例を示す図であり、(a)及び(b)は、正面図及び背面図である。
【
図11】第4の実施の形態に係るマスク1Cの一構成例を示す図であり、(a)は底面図、(b)は、左側面図である。
【
図12】口被覆部の形状がより三日月形状に近い形状のマスク1Dの一構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施の形態〕
〔構成〕
以下、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1乃至
図5は、第1の実施の形態を示す図である。
まず、第1の実施の形態の構成を説明する。
図1乃至
図3は、第1の実施の形態に係るマスク1の一構成例を示す図であり、
図1(a)及び(b)は、正面図及び背面図であり、
図2(a)及び(b)は、底面図及び左側面図である。また、
図3は、斜視図である。また、
図4(a)及び(b)は、マスク1を装着者100が装着した例を示す図である。
【0016】
マスク1は、
図1乃至
図4に示すように、装着者100の顔面の鼻孔よりも下側の口、口周り及び顎先を含む部分を覆う布状の口被覆部2と、口被覆部2を装着者100の顔面に装着するための一対の装着部3とを備えている。加えて、口被覆部2の背面側の面の外縁部に設けられた5つの滑り止め部材5とを備えている。
【0017】
口被覆部2は、その上辺部21が、装着者の鼻孔より下で且つ口より上の顔面部分(例えば人中上)を通って耳の近傍位置(例えば、前耳介筋の真下あたり)へと至る下に凸の円弧状をなし、その下辺部22は、正面視で装着者の顎先の下側を通って耳の近傍(例えば、上辺部21の両端部の真下)へと至る下に凸の円弧状をなしている。即ち、口被覆部2は、正面視で略三日月形状をなしている。加えて、一般的な立体マスクと異なり、平面的な構成となっている。なお、
図1の例では、口被覆部2は、略上弦の月形状の上弦を下に凸の円弧状にした形状ともいえる。
【0018】
口被覆部2は、例えば、布のように変形容易で且つ皮膚に優しい性質のものであれば、例えば、布、紙、皮革、合成皮革などを例えばシート状に形成したものなどを含む。また、布としては、例えば、綿や麻などの植物繊維、絹やカシミヤなどの動物繊維、レーヨンやキュプラなどの化学繊維、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維、これらのうちいずれか複数を複合した複合繊維などから構成してもよい。また、これらの繊維を不織布として構成したものも含む。
【0019】
一対の装着部3は、各々リング状をなした耳掛け部3aと、耳掛け部3aを口被覆部2の上辺部21及び下辺部22の接続部23に取り付けるための取付部3bとを備えている。
耳掛け部3aは、細帯状の部材がリング状をなした構成となっている。耳掛け部3aは、着脱に際して耳を傷つけず、また長時間触れても耳が痛くならない部材から構成することが望ましい。例えば、シリコーン、ソフトプラスチック、ゴムなどの樹脂材料から構成されている。
【0020】
また、取付部3bは、口被覆部2の上辺部21及び下辺部22の接続部23を左右方向に延長した帯状の部分から構成されており、この延長部分をリング状の耳掛け部3aの細帯部分に巻き付けて接着剤等によって固定することで、耳掛け部3aを口被覆部2に取り付けている。
【0021】
滑り止め部材5は、例えばシリコーン樹脂等の肌に優しい樹脂材料から構成された滑り止めの機能を有するシート状の部材から構成されている。滑り止め部材5は、密着性や耐蒸れ性等に応じて、適宜の位置に、適宜の数を設けることが望ましい。即ち、平面構成としたことによる風通しの良さを損ない過ぎない程度に構成することが望ましい。
【0022】
図1(b)に示す例では、口被覆部2の背面側の面上の外縁部に、上辺部21に沿って3つの滑り止め部材5が間隔を空けて設けられており、下辺部22の左右中央部に沿って2つの滑り止め部材が5設けられている。これら滑り止め部材5は、それぞれ配設位置に応じた上辺部21又は下辺部22の円弧形状に沿った曲辺を有する形状に構成されており、例えば、接着剤などによって貼り付けることで固定されている。
【0023】
上記構成のマスク1は、例えば、上辺部21が上側にくるようにして、滑り止め部材5が設けられた背面側を顔面に向けて、左右耳掛け部3aを持って口被覆部2を左右に広げる。この状態で、上辺部21が鼻孔の下の例えば人中上に位置するようにし、左右耳掛け部3aの内側にそれぞれの側の耳を通すことで、
図4(a)及び(b)に示すように、マスク1を、装着者100の顔面に装着する。これにより、装着者100の人中上に上辺部21側の中央の滑り止め部材5が位置し、口被覆部2の下辺部22が正面視で装着者の顎下を覆った状態で、マスク1が装着者100の顔面に装着された状態となる。このとき、口被覆部2は、平面的に構成されているため、滑り止め部材5と顔面との接触部以外は隙間が空いた状態となる。即ち、風通しの良い状態となっている。
【0024】
〔第1の実施の形態の効果〕
第1の実施の形態では、マスク1を、装着者の顔面の鼻孔より下側の口、口周り及び顎先を含む部分を覆う布状の口被覆部2と、口被覆部2を装着者の顔面に装着するための一対の装着部3と、を備える構成とした。加えて、口被覆部2を、装着したときに上辺部21が鼻孔よりも下で且つ口よりも上の顔面部分を通って下に凸の円弧状をなし、下辺部22が正面視で顎先の下側を通って下に凸の円弧状をなす正面視で略三日月形状に構成したとともに平面的に構成した。さらに、一対の装着部3を、口被覆部2の上辺部21と下辺部22との左右接続部にそれぞれ接続された、内側に耳を通して掛けることで口被覆部2を顔面に固定するリング状の耳掛け部3aを備える構成とした。
【0025】
このような構成であれば、咳やくしゃみなどによる飛沫の拡散を防止することができるので、咳やくしゃみなどによるウイルスなどの拡散を防止することができる。加えて、マスク1を装着時に鼻孔を覆わないとともに口被覆部2が平面的な構成となっているので、鼻呼吸が容易で且つ蒸れにくいといった効果が得られる。さらに、装着部3をリング状の耳掛け部3aから構成し、口被覆部2の左右接続部23にそれぞれ取付部3bを介して接続する構成としたので、従来と比較して、装着部3を構成する部材の顔への干渉を低減することができる。
【0026】
また、第1の実施の形態では、マスク1を、その装着時に、マスク1の口被覆部2を、その左右接続部23が装着者の左右の耳の近傍(例えば、前耳介筋の真下あたり)へと至る長さに構成し、耳掛け部3aを、左右接続部23に直に固定する構成とした。これによって、口被覆部2と耳掛け部3aとの間に紐状の部材が介在しないため、複数のマスク1を重ねたときに、紐状の部材が絡まるといったことが生じない。その結果、重ねて保管し易いといった効果が得られる。
【0027】
以下具体例を挙げて説明する。
図5(a)は、複数のマスク1をマスクストッカー200に重ねてストックした一例を示す模式図であり、(b)は、複数のマスク1Eをマスクストッカー200に重ねてストックした一例を示す模式図である。
図5(a)に示すように、マスクストッカー200は、平面視矩形のマスク載置台201と、マスク載置台201の長手方向の一方の端部の面上に立設された円柱状又は円筒状のマスク支持棒202とを備えている。マスク載置台201は、マスク1を載置するのに十分な面積を有しており、マスク支持棒202は、その径がマスク1の耳掛け部3aの内径よりも小さい径から構成されている。
【0028】
マスクストッカー200は、例えば、マスク1を保管する際に使用されるもので、
図5(a)に示すように、マスク1の一対の装着部3のうちの一方の耳掛け部3aの内側に、マスク支持棒202を通した状態で、最初の1つ目はマスク載置台201上に載置する。以降は、同様に耳掛け部3aの内側にマスク支持棒202を通して、載置されたマスク1上に順次重ねて載置していくことで複数のマスク1を重ねて保管することができる。
【0029】
次に、マスク1Eの構成を説明する。
マスク1Eは、本発明の他の実施の形態を示すものであり、
図5(a)に示すように、マスク1において、口被覆部2及び装着部3に代えて、口被覆部2E及び装着部3Eを備えた構成となっている。加えて、マスク1Eを装着したときに口被覆部2Eの顔面側を向く面の外縁部に、複数の滑り止め部材(図示略)が設けられている。
【0030】
口被覆部2Eは、マスク1の口被覆部2よりも左右の長さを短く構成した略三日月形状に構成されている。また、一対の装着部3Eは、耳掛け部3aと、紐状の取付部3cとを備えており、耳掛け部3aが、口被覆部2Eの上辺部及び下辺部の左右接続部にそれぞれ取付部3cを介して接続された構成となっている。また、複数の滑り止め部材は、それぞれが滑り止め部材5と同様の部材から構成され且つ各配設位置に応じて口被覆部2Eの上辺部又は下辺部の形状に合わせた形状に構成されている。
【0031】
取付部3cは、口被覆部2Eと同じ部材から構成してもよいし、他の部材から構成してもよい。また、ゴム紐などの伸縮性を有する部材から構成することで、耳掛け部3aの位置調整が可能となる。
一方、複数のマスク1Eを、マスク1と同様にマスクストッカー200にて重ねて保管した場合、
図5(b)の破線の楕円で囲んだ部分に示すように、重なり合うマスク1Eの紐状の取付部3c同士が絡まり合って、1つずつ取り出したい場合などに、絡まった状態をほぐすといった手間のかかる作業が生じてしまう。
【0032】
これに対して、マスク1であれば、
図5(a)に示すように、複数を重ねても、紐状の接続部が無いため、絡まり合うといったことも起きず且つ1つずつ取り出すことも容易である。なお、このことは、マスクストッカー200に限らず、マスク保管用のケースなどの他のマスクを重ねて保管する保管具においても同様に有効である。
【0033】
〔第2の実施の形態〕
〔構成〕
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
図6及び
図7は、第2の実施の形態を示す図である。以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
第2の実施の形態は、口被覆部2の正面側の面に、透明性及び防湿性を有するシート状の部材である透明防湿シートを貼り付けた点が上記第1の実施の形態と異なる。他の構成については、上記第1の実施の形態と同様となる。
【0034】
ここで、
図6及び
図7は、第2の実施の形態に係るマスク1Aの一構成例を示す図であり、
図6は、正面図であり、
図7(a)及び(b)は、底面図及び左側面図である。
マスク1Aは、
図6、
図7(a)及び(b)に示すように、マスク1Aを顔面に装着したときに口被覆部2の正面側を向く面上に、正面視で口被覆部2の略三日月形状に沿った形状のシート状の透明防湿シート6が接着剤等によって貼り付けられている。
【0035】
ここで、透明防湿シート6は、例えば、ポリエチレンなどから構成された光透過性を有するシートであり、口被覆部2の柄や色を透過するとともに、外からの湿気の侵入を防ぐ機能を有している。透明防湿シート6の厚さは、口被覆部2の柔軟性を損ない過ぎず且つ耐久性なども考慮した厚さに構成されている。例えば、0.05[mm]~0.2[mm]程度の厚さに構成されている。
【0036】
顔面への装着方法については、上記第1の実施の形態のマスク1と同様となるので説明を省略する。
〔第2の実施の形態の効果〕
第2の実施の形態では、マスク1Aを、口被覆部2の正面側の面に、透明性且つ防湿性を有する透明防湿シート6を貼り付けた構成とした。
【0037】
このような構成であれば、夏場などの湿気の多い時期に、外部からの湿気の侵入を透明防湿シート6で防ぐことができるので、蒸れにくくすることができる。また、光透過性を有する部材から構成したので、口被覆部2の柄や色を透過することができ、デザイン性が損なわれるのを低減することができる。
【0038】
〔第3の実施の形態〕
〔構成〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
図8及び
図9は、第3の実施の形態を示す図である。なお、以下、上記第2の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
第3の実施の形態は、口被覆部2の下辺部22に、顎の形状に沿って変形可能で且つ形状保持性を有する細帯状の顎包みフレーム7が設けられている点が上記第2の実施の形態と異なる。他の構成については、上記第2の実施の形態と同様となる。
【0039】
図8は、第3の実施の形態に係るマスク1Bの一構成例を示す図であり、(a)及び(b)は、正面図及び背面図である。また、
図9は、マスク1Bを装着者100が装着した例を示す図である。
マスク1Bは、
図7(a)及び(b)に示すように、口被覆部2の背面側の面の下辺部22の下端中央部に、細帯状且つ略U字状の顎包みフレーム7が下端中央部の湾曲形状に沿って配置され、その上を覆うように覆い布24が縫い付けられている。
【0040】
この覆い布24によって、顎包みフレーム7の脱落を防止するとともに、移動を制限している。
顎包みフレーム7は、例えば、ポリエチレン製の形状保持プラスチック、ポリエチレン製の形状保持プラスチックにワイヤー等の金属芯材を合わせたもの、金属芯材をプラスチックやビニールでコーティングした部材などから構成されている。即ち、塑性変形可能な部材から構成されている。
【0041】
上記構成のマスク1Bは、
図9に示すように、上記第1の実施の形態のマスク1と同様に、顔面に装着した後に、顎包みフレーム7を、顎の形状に沿って変形させることで、口被覆部2の下辺部で顎先を包むように装着することができる。なお、顎包みフレーム7を顎の形状に沿って変形させずに装着することで、風通しを優先させることも可能である。
【0042】
〔第3の実施の形態の効果〕
第3の実施の形態では、マスク1Bを、口被覆部2が、顎の形状に沿って変形可能な顎包みフレーム7を下辺部22に設けた構成とした。
このような構成であれば、口被覆部2の下辺部22を顎の形状に沿って変形することができるので、マスク1Bの装着時に顎先をシャープな見た目とすることが可能となる。その結果、下辺部22を顎先の前に垂れ下げた状態で装着する場合と比較して小顔に見せることができるという効果が得られる。
【0043】
また、顎包みフレーム7を変形させて口被覆部2の下辺部22で顎先を包み込んだときに、風通しが悪くなるが、透明防湿シート6によって外部からの湿気の侵入を低減することができるので、外部からの湿気によってマスク1B内が蒸れるのを抑えることができる。
〔対応関係〕
第3の実施の形態において、顎包みフレーム7は、発明4のフレームに対応している。
【0044】
〔第4の実施の形態〕
〔構成〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
図10及び
図11は、第4の実施の形態を示す図である。以下、上記第1の実施の形態と異なる部分についてのみ説明し、重複する部分については説明を省略する。
第4の実施の形態は、装着時に口被覆部2の顔面と対向する側の面に、血行促進のための磁石シート8が設けられている点が上記第1の実施の形態と異なる。他の構成については、上記第1の実施の形態と同様となる。
【0045】
図10は、第4の実施の形態に係るマスク1Cの一構成例を示す図であり、(a)及び(b)は、正面図及び背面図である。また、
図11は、マスク1Cを装着者100が装着した例を示す図である。
マスク1Cは、
図10(a)及び(b)に示すように、装着時に口被覆部2の顔面と対向する側の面で且つほうれい線の生じる位置と対向する位置にほうれい線に沿う曲辺を有した形状のシート状の磁石シート8がそれぞれ設けられている。
【0046】
磁石シート8は、血行促進の効果を発揮する磁力を有する構成であれば、どのような材料の磁石から構成してもよい。また、血行促進に必要な磁力を得られる範囲で、ほうれい線の生じる位置からズレないように表面を滑り止めの機能を有する材料でコーティングする構成としてもよいし、表面に凹凸を設ける構成としてもよい。
【0047】
上記構成のマスク1Cは、
図11に示すように、上記第1の実施の形態のマスク1と同様に顔面に装着すると、顔面の左右のほうれい線の生じる部位上にそれぞれ磁石シート8が接して、接触位置に対して磁気が照射される。
〔第4の実施の形態の効果〕
第4の実施の形態では、マスク1Cを、その装着時に口被覆部2の顔面と対応する側の面のほうれい線の生じる位置と対向する位置にほうれい線に沿う曲辺を有したシート状の磁石シート8を設ける構成とした。
【0048】
このような構成であれば、マスク1Cを顔面に装着時に、顔面のほうれい線の生じる部位に磁気を照射することができ、この部位の血行を促進することができる。ほうれい線は主に皮膚のたるみによって生じ、血行促進によって皮膚のたるみを予防することができるので、ほうれい線の発生を抑えたり、既にあるほうれい線をそれ以上目立たないようにしたりすることを補助することが可能となる。
【0049】
〔対応関係〕
第4の実施の形態において、磁石シート8は、発明6の磁石に対応している。
〔変形例〕
なお、上記各実施の形態において、口被覆部2の形状を、例えば、
図12に示すマスク1Dのように、より三日月に近い形状に構成してもよい。ここで、
図12は、口被覆部の形状がより三日月形状に近い形状のマスク1Dの一構成例を示す正面図である。マスク1Dは、
図12に示すように、上記第1の実施の形態のマスク1の口被覆部2に代えて、口被覆部2Dを備えた構成となっている。口被覆部2Dは、上辺部21Dが、口被覆部2の上辺部21よりも曲率の大きい下に凸の円弧形状をなすように構成されている、加えて、下辺部22Dが、口被覆部2の下辺部22と同程度の曲率の円弧形状をなすように構成されている。このように、より三日月形状に近い形状とすることで、マスク1Dを装着したときに、笑顔をしているかのように見せることが可能となる。
【0050】
また、上記各実施の形態及びその変形例において、口被覆部を、正面視で顎の下側まで覆う大きさに構成したが、この構成に限らない。例えば、下辺部を、顎の輪郭線に沿った形状にするとともに、顎の輪郭位置に至る程度の大きさに構成してもよい。この場合に、口被覆部の背面側の下辺部の下端中央位置に滑り止め部材を設ける構成としてもよい。
【0051】
また、上記第4の実施の形態において、シート状の磁石を設ける構成を例に挙げて説明したが、この構成に限らず、例えば、断面楕円状の小型の複数の磁石をほうれい線の生じる位置に並べて接着剤によって固定する構成など、他の構成としてもよい。また、磁石を設ける位置は、口被覆部のほうれい線の生じる位置と対向する位置に限らず、ほうれい線の生じる原因である肌のたるみに係る筋肉のある位置と対向する位置や、ほうれい線ではなくマリオネットラインの生じる部位と対向する位置に設けるなど他の構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1,1A~1E…マスク、 2,2A,2B…口被覆部、 21,21D,21E…上辺部、 22,22D,22E…下辺部、 23,23D,23E…接続部、 3,3E…装着部、 3a…耳掛け部、 3b,3c…取付部、 5…滑り止め部材、 6…透明防湿シート、 7…顎包みフレーム、 8…磁石シート、 200…マスクストッカー、 201…マスク載置台、 202…マスク支持棒