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特開2022-112518変異型p53と関連している疾患、障害または病状の処置におけるペプチドおよびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112518
(43)【公開日】2022-08-02
(54)【発明の名称】変異型p53と関連している疾患、障害または病状の処置におけるペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20220726BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220726BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220726BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220726BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220726BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220726BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K38/08
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077818
(22)【出願日】2022-05-10
(62)【分割の表示】P 2018540383の分割
【原出願日】2017-02-03
(31)【優先権主張番号】62/291,003
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TWEEN
3.BRIJ
4.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】516040109
【氏名又は名称】イェダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YEDA RESEARCH AND DEVELOPMENT CO.LTD.
【住所又は居所原語表記】at the Weizmann Institute of Science, P.O.Box 95, 7610002 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ロッター, ヴァルダ
(72)【発明者】
【氏名】オーレン, モシェ
(72)【発明者】
【氏名】タル, ペリー
(72)【発明者】
【氏名】アイゼンベルガー, シェイ
(72)【発明者】
【氏名】ベン-シモン, アヴィ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA08
4C084BA09
4C084BA17
4C084BA23
4C084CA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA55
4H045EA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単離ペプチドを提供する。
【解決手段】単離ペプチドは、ある空間および立体構成で配置されたアミノ酸配列を含むものであり、該空間および立体構成は、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合する際の該DBD内の少なくとも1個の残基によって相互作用することを可能にするものであり、ここで、該ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものである、ただし、該ペプチドは特定の配列番号に該当しないものとする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-X-X-X-X-X(配列番号:53)のアミノ酸配列を含む単離ペプチドであって、
ここで、
およびXは正荷電アミノ酸であり;
は、Ser、Thr、Asn、Gln、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択され;
は、極性無電荷アミノ酸および疎水性アミノ酸からなる群より選択され;
およびXは、αメチルアミノ酸およびβブレイカーアミノ酸からなる群より選択される
を含む単離ペプチドであって;
8~9個のアミノ酸からなり;
N末端に結合している脂肪酸部分をさらに含み;
少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させ、前記相互作用が前記DBDのヘリックス-2およびL1によるものである単離ペプチド。
【請求項2】
およびXが、His、ArgおよびLysからなる群より選択され;
およびXが各々、ProおよびAlaから選択されるβブレイカーアミノ酸である、
請求項1に記載の単離ペプチド。
【請求項3】
およびXが各々、Hisであり;
がSerであり;
が極性無電荷アミノ酸であり;
がProであり、XがAlaであり;
アミノ酸配列のC末端に結合している負荷電アミノ酸を含み;
アミノ酸配列のN末端に結合している1個または2個のさらなるArgアミノ酸を含む、
請求項1に記載の単離ペプチド。
【請求項4】
がThrであり;
アミノ酸配列のC末端に結合している負荷電アミノ酸がAspである、
請求項3に記載の単離ペプチド。
【請求項5】
RRHSTPHADの配列および脂肪酸部分からなるペプチドを含み、該脂肪酸部分が該ペプチドの配列のN末端に結合している、請求項4に記載の単離ペプチド。
【請求項6】
脂肪酸部分が、ミリストイル(C14);ペンタデカノイル(C15);パルミトイル(C16);フタノイル((CH);ヘプタデカノイル(C17);ステアロイル(C18);およびノナデカノイル(C19)からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項7】
変異型p53と関連している疾患、障害または病状の処置における使用のための請求項1~6のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項8】
疾患ががんである、請求項7に記載の単離ペプチド。
【請求項9】
がんが、乳がん、結腸がん、卵巣がんおよび肺がんからなる群より選択される、請求項8に記載の単離ペプチド。
【請求項10】
がんが血液のがんである、請求項8に記載の単離ペプチド。
【請求項11】
連続輸注および皮下投与から選択される投与経路による、投与を必要とする被験体への治療有効量の投与における使用のための請求項9~11のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項12】
前記治療有効量が0.01~0.3mg/kg/日である、請求項11に記載の単離ペプチド。
【請求項13】
処置が治療有効量の白金系化学療法薬を投与することをさらに含む、請求項7~12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項14】
白金系化学療法薬がシスプラチンを含む、請求項13に記載の単離ペプチド。
【請求項15】
請求項1~6のいずれか1項に記載の少なくとも1種類の単離ペプチドを含む医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の実施形態において、変異型p53と関連している疾患、障害または病状の処置におけるペプチドおよびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、先進諸国における主要死因であり、人口の平均年齢は上がり続けているため、診断症例数および経済的関連性も増え続けている。がんは単一疾患ではなく、異常な細胞の制御不能な増殖および拡延を特徴とする200を超える一群の疾患である。がんは、高度に不均一性の疾患であり、同じ型および悪性度のがんを有する患者間であっても、腫瘍細胞表面マーカーの発現および分布において分子レベルで大きな差がある。さらに、細胞の変異は、がんが進行するにつれて蓄積される傾向にあり、腫瘍の不均一性がさらに大きくなる。ほとんどの腫瘍細胞は、癌遺伝子の高発現および癌抑制遺伝子の不活性化を伴うゲノム不安定性を示す。
【0003】
p53遺伝子は、がんの進行に対する大きな障壁としての機能を果たす最も重要な癌抑制遺伝子であると考えられている。p53タンパク質は種々の型の細胞ストレスに応答し、細胞周期の停止、アポトーシスまたは老化を誘発する。これは、p53 DNA結合モチーフを有する特定の標的遺伝子の転写のトランス活性化によって行なわれる。p53経路が、ほぼすべてのヒトのがんに関与していることは広く承知されている。p53における変異は、悪性形質転換プロセスにおける極めて重要な段階とみなされており、50%を超えるがんの症例でp53遺伝子が変異を有している。このような変異のほとんどは、p53のDNA結合コアドメイン(DBD)を標的化し、それによりp53のその標的部位に対する特異的DNA結合を無効にするミスセンス点変異である。このような変異により、p53依存性の転写が妨げられ、そのため、p53媒介性の腫瘍抑制が妨げられる。多様な型のヒト腫瘍においてp53変異の頻度が並外れて高いことにより、p53は、腫瘍発生に関与する遺伝子の中でも特殊であり、変異したp53(Mut-p53)は、新規ながん治療のための興味深い標的となっている。
【0004】
構造の研究により、p53のDBDにおける腫瘍由来ミスセンス変異は、共通の効果:生理学的温度でのDBDのフォールディングの不安定化をもたらすことが明らかになっている(Joerger,A.C.,M.D.Allen,and A.R.Fersht,Crystal structure of a superstable mutant of human p53 core domain.Insights into the mechanism of rescuing oncogenic mutations.J Biol Chem,2004 279(2):p.1291-6)。一部の変異型は、より低温では野生型コンホメーションに戻ってDNAに結合することができるため、この不安定化は可逆的であり得る。したがって、p53のほとんどの変異は、生理学的温度でp53タンパク質のフォールディングを不安定化させ、部分的変性を引き起こす。
【0005】
変異型p53タンパク質は腫瘍細胞内に高レベルで蓄積される。これは、主に、p53の自身の破壊因子Mdm2の発現を上方調節することができないためである。さらに、多くのp53活性化性ストレスシグナル(低酸素、ゲノム不安定性および癌遺伝子の発現など)が、がん細胞において構成的に誘導されている。したがって、Mut-p53の再活性化は、大きな抗腫瘍効果を奏することが予測される。さらに、マウスモデルにおいてp53機能の復元は正常組織において耐容性が良好であり、視認可能な毒性効果はもたらされないことが示されている(Ventura,A.,et al.,Restoration of p53 function leads to tumour regression in vivo.Nature,2007.445(7128):p.661-5)。
【0006】
構造の研究では、変異型間でミスフォールディングの程度は異なっている。しかしながら、明確な代用倍率はなく、むしろ部分的変性であることが示されている。これは、フォールディングに対するp53変異の効果を逆転させるための「小分子」アプローチが広範な変異型形態に適用可能であるかもしれないことを示唆する。構造の研究からの別の重要な予想は、該タンパク質のうち正しくフォールディングされたものに結合するリガンドは、質量作用の法則に従って平衡を天然状態のフォールディングにシフトさせることが予測されるというものである。
【0007】
いくつかの修正アプローチがp53のコンホメーション領域において試みられた。ペプチドを安定化させるコンホメーションの原理証明がFriedlerおよび共同研究者らによって示された(Friedler,A.,et al.,A peptide that binds and stabilizes p53 core domain:chaperone strategy for rescue of oncogenic mutants.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002.99(2):p.937-42)。9残基のペプチドであるCDB3は、p53 DBDとASPPの複合体の結晶構造に基づいて設計された(Samuels-Lev,Y.,et al.,ASPP proteins specifically stimulate the apoptotic function of p53.Mol.Cell,2001.8(4):p.781-94)。このペプチドはMut-p53に結合し、シャペロンとしての機能を果たし、PAb1620に対する反応性の増大によって示されるように、平衡をWTのコンホメーションにシフトさせることが示された。しかしながら、CDB3の生物学的効果(Issaeva,N.,et al.,Rescue of mutants of the tumor suppressor p53 in cancer cells by a designed peptide.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2003.100(23):p.13303-7)は、Mut-p53/CDB3複合体のコンホメーションはWTと変異型の間の中間状態であるため部分的であるにすぎない。
【0008】
Mut-p53を標的化する小分子化合物が、タンパク質ベースのアッセイまたは細胞ベースのアッセイのいずれかを用いて同定されている(Peng,Y.,et al.,Rescue of mutant p53 transcription function by ellipticine.Oncogene,2003.22(29):p.4478-87)。CP-31398は、単離p53 DBDを熱変性から保護する(タンパク質の加熱時のPAb1620の反応性の維持によって評価される)分子についてスクリーニングすることにより同定された(Foster,B.A.,et al.,Pharmacological rescue of mutant p53 conformation and function.Science,1999.286(5449):p.2507-10)。CP-31398の作用機序は不明なままである。NMR試験では、p53 DBDに対するCP-31398の結合は全く検出することができなかった(Rippin,T.M.,et al.,Characterization of the p53-rescue drug CP-31398 in vitro and in living cells.Oncogene,2002.21(14):p.2119-29)。CP-31398は遺伝子の発現に影響を及ぼし、p53依存性および非依存性の両方の様式で細胞死を誘導する。したがって、CP-3138は、その細胞毒性の説明となり得るp53以外の細胞標的を有すると思われる。
【0009】
がん生細胞のp53機能をレスキューする2つの他の小分子、PRIMA-1およびMIRA-1が、細胞ベースのスクリーニングアッセイを用いることによって見出された。PRIMA-1とMIRA-1は同様の活性プロフィールを有する(Bykov,V.J.,et al.,Reactivation of mutant p53 and induction of apoptosis in human tumor cells by maleimide analogs.J Biol Chem,2005.280(34):p.30384-91)が、構造的には無関連である。PRIMA-1はプロドラッグであり、これは、変異型p53に結合するが他の分子にも結合する活性化合物に変換され(Cell Death Dis.2015 Jun 18;6:e1794.doi:10.1038/cddis.2015.143.)、その効果の一部のものは、変異型p53の状態に無関係のようである(BMC Cancer.2015 Oct 13;15:684.doi:10.1186/s12885-015-1667-1.)。
【0010】
本発明の一部の実施形態の発明者らは、以前に、mutp53再活性化ペプチドを選択するためのファージディスプレイの使用を報告している(WO2015/019318)。ファージペプチドディスプレイライブラリーは、化学物質ライブラリーよりもずっと高い複雑性を有する。この選択プロセスは、固定化した標的に対するペプチドの結合、溶出および増幅、最後にシークエンシングによる同定に基づいたものであり、大量数の分子を短時間でスクリーニングすることが可能であった。異なる選択ストラテジーを併用し、いろいろなペプチドライブラリーおよび選択したプールのディープシークエンシングからリードを選択した。リードペプチドは、インビトロでmutp53にWTp53様活性を付与し、生細胞において、いくつかの異種移植片モデルのmutp53担持腫瘍の退縮を引き起こすことが示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2015/019318号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Joerger,A.C.,M.D.Allen,and A.R.Fersht,Crystal structure of a superstable mutant of human p53 core domain.Insights into the mechanism of rescuing oncogenic mutations.J Biol Chem,2004 279(2):p.1291-6
【非特許文献2】Ventura,A.,et al.,Restoration of p53 function leads to tumour regression in vivo.Nature,2007.445(7128):p.661-5
【非特許文献3】Friedler,A.,et al.,A peptide that binds and stabilizes p53 core domain:chaperone strategy for rescue of oncogenic mutants.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2002.99(2):p.937-42
【非特許文献4】Samuels-Lev,Y.,et al.,ASPP proteins specifically stimulate the apoptotic function of p53.Mol.Cell,2001.8(4):p.781-94
【非特許文献5】Issaeva,N.,et al.,Rescue of mutants of the tumor suppressor p53 in cancer cells by a designed peptide.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2003.100(23):p.13303-7
【非特許文献6】Peng,Y.,et al.,Rescue of mutant p53 transcription function by ellipticine.Oncogene,2003.22(29):p.4478-87
【非特許文献7】Foster,B.A.,et al.,Pharmacological rescue of mutant p53 conformation and function.Science,1999.286(5449):p.2507-10
【非特許文献8】Rippin,T.M.,et al.,Characterization of the p53-rescue drug CP-31398 in vitro and in living cells.Oncogene,2002.21(14):p.2119-29
【非特許文献9】Bykov,V.J.,et al.,Reactivation of mutant p53 and induction of apoptosis in human tumor cells by maleimide analogs.J Biol Chem,2005.280(34):p.30384-91
【非特許文献10】Cell Death Dis.2015 Jun 18;6:e1794.doi:10.1038/cddis.2015.143.
【非特許文献11】BMC Cancer.2015 Oct 13;15:684.doi:10.1186/s12885-015-1667-1
【発明の概要】
【0013】
本発明の一部の実施形態の一態様により、ある空間および立体構成で配置されたアミノ酸配列を含む単離ペプチドであって、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合する際の該DBD内の少なくとも1個の残基によって相互作用することを可能にするものであり、ここで、該ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものである、ただし、該ペプチドは配列番号:59~382のものでないものとする単離ペプチドを提供する。
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が該DBDのヘリックス-2およびL1によるものである。
【0014】
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が、該DBDのヘリックス-2および/またはL1の構造安定性に影響を及ぼすものである(NMRによるアッセイ時)。
【0015】
本発明の一部の実施形態によれば、該少なくとも1個の残基が、p53のL1のH115、G117ならびにY126およびV274およびG279およびR280からなる群より選択される。
【0016】
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸によるものである。
【0017】
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも2個のアミノ酸によるものである。
【0018】
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも3個のアミノ酸によるものである。
【0019】
本発明の一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも4個のアミノ酸によるものである。
【0020】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが:
-X-X-X-X-X(配列番号:53)
のアミノ酸配列を含むものであり、
ここで、
およびXは正荷電アミノ酸であり;
は、Ser、Thr、Asn、Gln、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択され;
は任意のアミノ酸であり;
およびXは、αメチルアミノ酸およびβブレイカーアミノ酸からなる群より選択される。
【0021】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが:
-X-X-X-X-X(配列番号:54)
のアミノ酸配列を含むものであり、
ここで、
およびXは、His、ArgおよびLysからなる群より選択され;
は、Ser、Thr、Asn、Gln、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択され;
、X、Xは任意のアミノ酸である。
【0022】
本発明の一部の実施形態によれば、正荷電アミノ酸が、His、ジアミノ酪酸(Dab)、ArgおよびLysからなる群より選択される。
【0023】
本発明の一部の実施形態によれば、XがD-アミノ酸である。
【0024】
本発明の一部の実施形態によれば、Xがリン酸化アミノ酸である。
【0025】
本発明の一部の実施形態によれば、Xが、リン酸化が可能でないアミノ酸である。
【0026】
本発明の一部の実施形態によれば、Xが非水素結合性アミノ酸である。
【0027】
本発明の一部の実施形態によれば、Xが、極性無電荷アミノ酸および疎水性アミノ酸からなる群より選択される。
【0028】
本発明の一部の実施形態によれば、XがSerである。
【0029】
本発明の一部の実施形態によれば、Xがαメチルアミノ酸であり、Xがアラニンである。
【0030】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドがアミノ酸配列HSAPHP(配列番号:49)またはHSEPHP(配列番号:50)を有するものである。
【0031】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが、該アミノ酸配列のC末端に結合している少なくとも1個のさらなるアミノ酸(X)を含むものである。
【0032】
本発明の一部の実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が負荷電アミノ酸である。
【0033】
本発明の一部の実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が、Asp、Glu、Gly、AlaおよびSerからなる群より選択される。
【0034】
本発明の一部の実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が2個のさらなるアミノ酸(X-X)を含み、Xが、His、Dab、AspおよびGluからなる群より選択される。
【0035】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが、該アミノ酸配列のN末端に結合している少なくとも1個のさらなるアミノ酸を含むものである。
【0036】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが、該アミノ酸配列のN末端に結合している少なくとも2個のさらなるアミノ酸を含むものである。
【0037】
本発明の一部の実施形態によれば、該アミノ酸配列のN末端に結合している該少なくとも1個のさらなるアミノ酸がArgである。
【0038】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドがさらに細胞膜透過部分を含むものである。
【0039】
本発明の一部の実施形態によれば、細胞膜透過部分が該ペプチドのN末端に結合している。
【0040】
本発明の一部の実施形態によれば、細胞膜透過部分が、脂肪酸部分、タンパク質性部分およびその組合せからなる群より選択される。
【0041】
本発明の一部の実施形態によれば、脂肪酸部分がミリストイル脂肪酸を含み、タンパク質性部分が少なくとも1個の正荷電アミノ酸を含む。
【0042】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチド20アミノ酸長より長くない。
【0043】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質のコンホメーションを野生型(WT)p53タンパク質のコンホメーションに変化させるものである。
【0044】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質のコンホメーションを、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体によって認識されるように変化させるものである。
【0045】
本発明の一部の実施形態によれば、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体によって認識されないものである。
【0046】
本発明の一部の実施形態によれば、変異型p53タンパク質が、該ペプチドに結合すると、WT p53タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体によって認識されるものである。
【0047】
本発明の一部の実施形態によれば、該モノクローナル抗体がAb1620である。
【0048】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質の活性をWT p53タンパク質の活性に復元させるものである。
【0049】
本発明の一部の実施形態によれば、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞のバイアビリティを低下させることである。
【0050】
本発明の一部の実施形態によれば、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞のアポトーシスを促進させることである。
【0051】
本発明の一部の実施形態によれば、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞内のp53コンセンサスDNA結合エレメントに対する結合である。
【0052】
本発明の一部の実施形態によれば、該コンセンサスDNA結合エレメントが、配列番号:55および56)に示す核酸配列を含むものである。
【0053】
本発明の一部の実施形態によれば、該結合が、内在性p53標的遺伝子の少なくとも一部活性化をもたらすものである。
【0054】
本発明の一部の実施形態によれば、内在性標的遺伝子が、p21、MDM2およびPUMAからなる群より選択される。
【0055】
本発明の一部の実施形態によれば、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質と異なるコンホメーションのものである。
【0056】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが配列番号:429または448に示すものである。
【0057】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが配列番号:429、448、446、449または462に示すものである。
【0058】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが、配列番号:8および412~464からなる群より選択される。
【0059】
本発明の一部の実施形態によれば、単離ペプチドが配列番号:59~382に示すいずれかのペプチドではない。
【0060】
本発明の一部の実施形態の一態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量の本明細書に記載の単離ペプチドを投与し、それにより該疾患、障害または病状を処置することを含む方法を提供する。
【0061】
本発明の一部の実施形態によれば、該方法がさらに、該被験体に治療有効量の白金ベースの化学療法薬を投与することを含むものである。
【0062】
本発明の一部の実施形態の一態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量で、白金系化学療法薬と、ある空間および立体構成を有するアミノ酸配列を含む単離ペプチドとを投与することを含み、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合するのと同じ様式で結合することを可能にするものであり、該ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものであり、それにより該疾患、障害または病状を処置する方法を提供する。
【0063】
本発明の一部の実施形態の一態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量で、ある空間および立体構成を有するアミノ酸配列を含む単離ペプチドを投与することを含み、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合するのと同じ様式で結合することを可能にするものであり、該ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものであり、該治療有効量が0.01~0.3mg/kg/日であり、それにより該疾患、障害または病状を処置する方法を提供する。
【0064】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドが本明細書に記載のペプチドである。
【0065】
本発明の一部の実施形態によれば、該ペプチドがpCAP 250(配列番号:1)である。
【0066】
本発明の一部の実施形態によれば、該投与が皮下投与を含む。
【0067】
本発明の一部の実施形態によれば、該投与が連続輸注を含む。
【0068】
本発明の一部の実施形態によれば、該疾患ががんである。
【0069】
特に定義していない限り、本明細書で用いる技術用語および/または科学用語はすべて、本発明が関する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の方法および材料が、本発明の実施形態の実施または試験において使用され得るが、例示的な方法および/または材料を以下に説明する。矛盾する場合は、本明細書(定義を含む)に支配される。また、材料、方法および実施例は例示にすぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明の一部の実施形態を、単なる一例として、添付の図面を参照しながら本明細書に記載する。次に、図面について具体的に詳細に参照するが、図示した具体的詳細は一例にすぎず、本発明の実施形態の実例の論考の目的のためであることを強調しておく。これに関連して、本記載により、図面とともに考慮すると、当業者には、どのようにして本発明の実施形態が実施され得るかが明らかとなろう。
【0071】
図面において:
図1図1は、ES2卵巣がん細胞のバイアビリティアッセイにおけるpCAP-250(配列番号:1)の単独またはシスプラチンとの組合せでの用量応答である。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。pCAP-250の段階希釈列を単独または1μg/mlのシスプラチンと一緒のいずれかで添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。1μg/mlで処理したES2細胞のバイアビリティは39%であった。pCAP-250のIC50は3.2μMであると推定され、シスプラチンとの組合せでのpCAP-250のIC50は1.9μMであると推定され、この2つの化合物の相乗効果が示された。
図2図2は、ES2卵巣がん細胞のバイアビリティアッセイにおけるp53 DBDとの結合に対するpCAP-250(配列番号:1)およびいろいろな誘導体(配列番号:2~19)の効果(MSTによる測定時)を示す棒グラフである。内在性mp53S241Fを発現している細胞ES2 Con、およびmutp53に対する特異性の対照にするためにCRISPR/Cas9を用いてp53を安定的にノックアウトしたES2 KO細胞(ES2 p53KO)を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。表示したペプチドを8μg/mlの濃度で添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。ES KOと比べたときのES2 Conに対する特定のペプチドの効果の差は、mutp53発現に対するペプチドの特異性を示す。アラニンに置換したアミノ酸(例えば、セリンおよびヒスチジン)のいくつかのペプチド誘導体はES2 Con細胞に対する効果の低下を示し、ペプチドの有効性のためのこのようなアミノ酸の重要性を示す。
図3A図3Aは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3B図3Bは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3C図3Cは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3D図3Dは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3E図3Eは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3F図3Fは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3G図3Gは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3H図3Hは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3I図3Iは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3J図3Jは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3K図3Kは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図4A図4Aは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4A- 1mg/kg iv投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4B図4Bは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4B- 7日間の連続皮下投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4C図4Cは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4C- 1mg/kg iv投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4D図4Dは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4D- 1mg/kgの皮下投与後のPCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図5図5Aは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5A,実験終了時(21日目)の対照群マウスおよび腫瘍内pCAP-250処置マウスのライブイメージング。
図5B図5Bは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5B-実験終了時(14日目)の対照群マウスおよびアルゼットミニポンプによるpCAP-250処置マウスのライブイメージング。
図5C図5A~Dは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5C-対照マウスおよび有効pCAP-250群:箱ひげ図は、時間の関数としての腫瘍のルシフェラーゼの読取り値を示す;平均(横線)、標準偏差(箱)、処置の開始の前(0日目まで)および後の最大および最小の読み値を示す。IVISシステムのバックグラウンド検出レベルの閾値は約5×10光子であった。
図5D図5A~Dは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5D-対照マウスおよび有効pCAP-250群:箱ひげ図は、時間の関数としての腫瘍のルシフェラーゼの読取り値を示す;平均(横線)、標準偏差(箱)、処置の開始の前(0日目まで)および後の最大および最小の読み値を示す。IVISシステムのバックグラウンド検出レベルの閾値は約5×10光子であった。
図6A図6Aは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6A.DBDペプチド複合体の概要。
図6B図6Bは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6B.DBD-ペプチド結合界面のより精密な検査。
図6C図6Cは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6C.該DBD(鎖B)と予測されるペプチド結合位置(鎖A)間の非結合型相互作用の詳細な原子リスト。
図7図7は、p53変異型p53R273Hを含む三連SW480細胞株でのp53再活性化ペプチドの用量応答効果を示す。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。いろいろなペプチドの段階希釈列を添加し、プレートをさらに72時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。結果は、非処理細胞のバイアビリティ100%に対して標準化している。
図8図8は、三連でのp53再活性化ペプチドの用量応答効果を示す。p53変異型S241Fを含むES2細胞株。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。いろいろなペプチドの段階希釈列を添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。結果は、非処理細胞のバイアビリティ100%に対して標準化している。
図9図9は、293Kにおいて取得した野生型p53コアドメイン(DBD)の1H-15N HSQCスペクトル、DBD(配列番号:44の94~312)のスペクトルを示し、Wong et alによって得た残基の割り当てを黒で示す[Wong,K.B.,et al.,Hot-spot mutants of p53 core domain evince characteristic local structural changes.Proc Natl Acad Sci U S A,1999.96(15):p.8438-42]。遊離DBD(94~296)およびDBD-pCAP 250複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ青および赤で示す。中くらい(C277とR280)および大きなピークの変化(G117)の例を、それぞれマゼンタおよび茶色で強調している。H115およびY126のピーク領域を黄色で強調している。
図10図10は、DBDに対するpCAP 250(配列番号:1)の結合の結果としての1H-15N HSQCスペクトルの変化に対するDBDの構造のマッピングを示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。Wong et al.(上掲)の解析で割り当てられなかった残基を緑に彩色し、pCAP 250の添加の際のピークの変化に関与する残基をマゼンタに彩色している。
図11A図11Aは、H115、G117およびY126の構造の再組織化を示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。図11Aおよび11Bは、それぞれ、NMR(pdbコード2FEJ)によって得られた最良および2番目に最良のエネルギーDBDコンホメーションを示す。
図11B】11Bは、H115、G117およびY126の構造の再組織化を示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。図11Aおよび11Bは、それぞれ、NMR(pdbコード2FEJ)によって得られた最良および2番目に最良のエネルギーDBDコンホメーションを示す。
図12図12は、293Kにおいて取得した野生型p53 DBD-ペプチド複合体の1H-15N HSQCスペクトルを示す。DBD-pCAP 250およびDBD-pCAP 615(配列番号:465)タンパク質ペプチド複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ赤および緑で示す。H115およびY126のピークを丸で強調している。
図13図13は、293Kにおいて取得した野生型p53 DBDおよびDBD-pCAP 553(配列番号:429)複合体の1H-15N HSQCスペクトルを示す。遊離DBDおよびDBD-pCAP 553タンパク質ペプチド複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ青および赤で示す。pCAP 553ペプチドの編集時に特異的に出現した、割り当てられなかった強いピークを緑の楕円として強調している。DBD-pCAP 553複合体内でより密集して丸い状態になっているピークの数少ない例を茶色の楕円で強調している。
図14図14は、DBD-pCAP 250複合体の上位2つの予測されるペプチド結合モデルを示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。DBD-pCAP 250複合体の上位2つの予測されるペプチド結合モデルをシアンに彩色している。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明は、その一部の実施形態において、変異型p53と関連している疾患、障害または病状の処置におけるペプチドおよびその使用に関する。
【0073】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその適用が、以下の説明に示す詳細事項または本実施例に例示する詳細事項に限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能である、または種々の様式で実施または行なうことが可能である。
【0074】
本発明の一部の実施形態の発明者らは、以前に、mutp53再活性化ペプチドを選択するためのファージディスプレイの使用を報告している(WO2015/019318,これは、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)。pCAP 250(配列番号:1)を含むリードペプチドは、インビトロでmutp53にWTp53様活性を付与し、生細胞において、いくつかの異種移植片モデルのmutp53担持腫瘍の退縮を引き起こすことが示された。
【0075】
本発明の実施化にあたり、本発明者らは、pCAP 250がp53のDNA結合ドメイン(DBD)に結合すること見出した。アラニンスキャニングを用いた構造解析/機能解析により、該DBDに対するpCAP 250の結合のためのコンセンサス部が明らかになった。
【0076】
NMRの実験結果は、p53タンパク質のWT DBDに対するpCAP 250およびそのペプチドバリアントの顕在結合のさらなる証拠を示す。このような結果は、マイクロスケール熱泳動(MST)解析を用いた該DBDに対するpCAP 250の結合に関する所見(図3A~K)をサポートする。NMRの結果はさらに、pCAP 250およびそのペプチドバリアントの結合によって該DBDにおいて構造変化が誘導され、この構造変化が、DNAに対する該DBDの結合能に必須である該DBD-DNA結合界面領域、すなわち、ヘリックス-2およびL1ループ構造モチーフの完全性および安定性に直接影響を及ぼすことを示す。pCAP 250およびそのペプチドバリアントの結合はさらに、ヘリックス2およびL1ループ構造モチーフの周囲のさらなる残基に影響を及ぼし、該DBD表面上に比較的大きいが確固たる被影響パッチが作出される。
【0077】
このような所見により、p53のDBDと同じ相互作用を共有しており、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させることができる新規なペプチドの設計が可能になり、抗がん活性が賦与されたかかるペプチドを実施例5に示す。
【0078】
したがって、本発明の一態様により、ある空間および立体構成で配置されたアミノ酸配列を含む単離ペプチドであって、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合する際と同じ該DBD内の少なくとも1個の残基によって相互作用することを可能にするものであり、前記ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものである単離ペプチドを提供する。
【0079】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドがWO2015/019318の配列番号:1~338、368~382(すなわち、本明細書における配列番号:59~382)ではない。
【0080】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが、WO2015/019318(これは引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)に変異型p53を再活性化させる活性を有すると教示されたいずれかのペプチドではない。
【0081】
本明細書で用いる場合、用語「単離(された)」とは、天然環境、例えば体内から、またはペプチドライブラリーから少なくとも部分的に分離されていることをいう。
【0082】
本明細書で用いる場合、用語「p53」(「TP53」としても知られている)は、一般的に転写因子としての機能を果たし、細胞周期を調節し、したがって野生型形態では癌抑制遺伝子としての機能を果たすEC 2.7.1.37のタンパク質産物をコードしている遺伝子配列をいう。具体的な一実施形態によれば、p53はヒトp53である。
【0083】
本明細書で用いる場合、用語「野生型p53」、「wt p53」および「WT p53」は互換的に使用され得、野生型p53タンパク質のコンホメーションを有し、したがって野生型p53タンパク質の活性を有する野生型p53タンパク質を指す。一部の実施形態では、野生型p53は特異的モノクローナル抗体によって同定され得る。一部の特定の実施形態では、該モノクローナル抗体がAb1620である。
【0084】
該タンパク質の構造データはPDBe RCSBから入手可能である。
【0085】
タンパク質に関する用語「コンホメーション」は、空間内におけるタンパク質の構造的配置(フォールディング)を指す。
【0086】
本明細書で用いる場合、用語「変異型p53」、「Mut-p53」、「変異したp53」および「p53変異型」は互換的に使用され得、標的細胞において効率的に機能することができない変異したp53タンパク質を指す。一部の実施形態では、Mut-p53が、その標的部位に結合することができないものである。一部の実施形態では、Mut-p53が、DNA結合ドメイン(DBD)領域が変異しているものである。一部の実施形態では、Mut-p53が、不活性なコンホメーションにおいてミスフォールディングされたものである。一部の例示的な実施形態では、Mut-p53が、温度感受性(ts)mut p53 R249S(R249S p53)、ホットスポット完全長変異型p53 Mut-p53 R175H(R175H p53)、または任意の他のMut-p53タンパク質である。一部の実施形態では、Mut-p53が、p53のミスフォールディングコンホメーション(p53の変異によって誘導される)を認識し得る特異的モノクローナル抗体によって同定されるものである。一部の実施形態では、Mut-p53が、特異的モノクローナル抗体によって同定されるものである。一部の特定の実施形態では、該モノクローナル抗体がAb420である。
【0087】
一部の特定の実施形態では、変異型p53タンパク質が、R175H、V143A、R249S、R273H、R280K、P309S、P151S、P151H、C176S、C176F、H179L、Q192R、R213Q、Y220C、Y220D、R245S、R282W、D281G、S241F、C242R、R248Q、R248W、D281G、R273CおよびV274Fからなる群より選択される変異を含むものである。各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。
【0088】
本明細書において言及する場合、用語「再活性化ペプチド」、「Mut-p53再活性化ペプチド」または「該ペプチド」は互換的に使用され得、Mut-p53に対する活性を少なくとも部分的に復元させ得るペプチドを指す。フレーズ「変異型p53タンパク質の再活性化」は、本明細書で用いる場合、変異型p53タンパク質と相互作用すると、該変異型p53タンパク質の活性の少なくとも1つが高まるペプチドをいい、ここで、該活性は野生型p53タンパク質の活性である。例えば、本発明によって提供されるペプチドと相互作用すると、変異型p53タンパク質は、がん細胞において、カスパーゼなどのアポトーシス促進タンパク質の発現が、同様の状況における野生型p53タンパク質で考えられ得るものと同様の様式で直接または間接的に高まり得るか、あるいはインビボで腫瘍が抑制され得る(これは、該疾患の異種移植片マウスモデルを用いてアッセイされ得る)。
【0089】
理論に拘束されないが、該再活性化性ペプチドは、mut p53に該DBDにおいて結合し、WTp53タンパク質のフォールディングを熱力学的に安定化させ、したがって腫瘍抑制機能を復元させると提案される。
【0090】
一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドはMut-p53を、Mut-p53のコンホメーションに影響を及ぼし、天然状態のWT p53にもっと類似した、または同一のコンホメーションにすることにより再活性化させ得るものである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドはMut-p53を、標的DNA内のWT p53結合部位へのMut-p53の結合が復元されるように再活性化させ得るものである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドは、Mut-p53の生化学的特性を復元させ得るものである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドは、Mut-p53タンパク質が、がん細胞のp53選択的阻害を示すことを誘導し得るものである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドはMut-p53を、WT p53タンパク質と同様(すなわち、Mut-p53とWT p53間の差が±10%,20%、30%)または同一の構造特性、生化学的特性、生理学的特性および/または機能特性を有するように再活性化させ得るものである(例えば、本明細書に記載の結合アッセイ/構造アッセイ、例えばMSTおよびNMRにおいて測定時)。
【0091】
一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが3~30アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~30アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが12~30アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが3~25アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~25アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが12~25アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが3~22アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~22アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが12~22アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~9アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~9アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~10アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~10アミノ酸長を有するペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが、9~10アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが8~10アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~9アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~8アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~7アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~8アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7~9アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが5~20アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが6~15アミノ酸長であるペプチドである。一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドが7または12アミノ酸長であるペプチドである。
【0092】
用語「少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させ得る」または「少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させる」は、本明細書において互換的に用いており、変異型p53タンパク質に結合すると、該変異型p53タンパク質が、野生型p53タンパク質の対応する活性と同様の活性を獲得するか、または該活性が高まるペプチドをいう。
【0093】
本明細書で用いる場合、「p53のDNA結合ドメイン」または「DBD」は、標的タンパク質内のp53応答性エレメントに結合するp53のドメインであって(例えば、コンセンサスDNA結合エレメントは、配列番号:44に示すアミノ酸配列を含むもの、または該アミノ酸配列からなるものである)、典型的には、ヒトp53(完全長p53 GenBank:BAC16799.1,配列番号:44)残基94~292、91~292、94~293、94~296、91~296、91~293、94~312または92~312に帰属されるドメインをいう。具体的な一実施形態によれば、該DBDは、変異したp53のものである。
【0094】
記載のように、該ペプチドは、ある空間および立体構成で配置されたアミノ酸配列を含むものであって、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDBDと、pCAP 250(配列番号:1)が該DBDに結合する際の該DBD内の少なくとも1個の残基によって相互作用することを可能にするものである。
【0095】
したがって、本発明の一部の実施形態による再活性化性ペプチドはp53の該DBDドメインと、典型的には、該DBD内において有効濃度の該ペプチドの存在が可能となるように該ペプチドの反応性基(1つまたは複数)が該DBD内の対応する反応性基(1つまたは複数)(典型的には、アミノ酸残基の側鎖)に充分に近接して位置するように会合し、また、該ペプチドの反応性基が正しい向きで位置し、オーパーラップ、したがって、強力な化学的相互作用および低解離が可能となるように会合している。したがって、本発明の一部の実施形態による再活性化性ペプチドは、典型的には、該相互作用に関与することがわかっている構造要素を含むものであり、また、p53のDBDとの会合に影響を及ぼすか、または弱めるかもしれないコンホメーションの変化が回避されるようにコンホメーションの柔軟性を制限するものを有していてもよい。
【0096】
一部の実施形態によれば、該相互作用が前記DBDのヘリックス-2とL1によるものである。
【0097】
典型的には、helix-2はアミノ酸276~289間に位置し、L1はアミノ酸112~124間に位置する。
【0098】
一部の実施形態によれば、該相互作用が、前記DBDのヘリックス-2および/またはL1の構造安定性に影響を及ぼすものである(NMRによるアッセイ時)。
【0099】
一部の実施形態によれば、該ペプチドとの該相互作用を媒介する該DBD内の該少なくとも1個の残基が、p53のL1のH115、G117ならびにp53(wtまたは変異型(アミノ酸の違いが典型的にはアミノ酸の番号付けに有意に影響しない1種類のアミノ酸である)のY126およびV274およびG279およびR280からなる群より選択される。しかしながら、当業者であれば、どのようにして対応アミノ酸を見つけるか(変異型p53における組成および位置に関して)がわかるであろう
【0100】
一部の実施形態によれば、該ペプチドと該DBDとの該相互作用が非共有結合性、例えば、水媒介性水素結合性相互作用である。
【0101】
一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも1個のアミノ酸によるものである。
【0102】
一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも2個のアミノ酸によるものである。
【0103】
一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも3個のアミノ酸によるものである。
【0104】
一部の実施形態によれば、該相互作用が該アミノ酸配列の少なくとも4個のアミノ酸によるものである。
【0105】
具体的な一実施形態によれば、該相互作用が、ヒトp53のアミノ酸Trp146および/またはGln144とのものである。この相互作用は、おそらく、pCAP 250のSerまたは本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるものである。
【0106】
具体的な一実施形態によれば、該相互作用がヒトp53のアミノ酸Tyr126、Asn128および/またはAsp268とのものである。
【0107】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のAsp10または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Lys101とのものである。
【0108】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のAsp10または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Thr102とのものである。
【0109】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のThr6または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Phe113とのものである。
【0110】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のSer5または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Trp146とのものである。
【0111】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のThr6または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Ser5とのものである。
【0112】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のThr6または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸His8とのものである。
【0113】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のSer5または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Gly112とのものである。
【0114】
別の具体的な実施形態によれば、該相互作用が、pCAP 250のThr6または本明細書において以下にさらに記載する類似構造内の同様のものによるヒトp53のアミノ酸Gly112とのものである。
【0115】
該相互作用のためのp53 DBDの表面上の他の提案される位置を図6A~C(これは本明細書の一部とみなし、ここで、各可能性は独立した実施形態を表す)に示す。
【0116】
該相互作用のためのp53 DBDの表面上の他の提案される位置を図9~14(これは本明細書の一部とみなし、ここで、各可能性は独立した実施形態を表す)に示す。
【0117】
該ペプチド内または該DBD内のいずれかの該相互作用に極めて重要なアミノ酸を解明する方法は当該技術分野でよく知られており、限定されないが、結晶学ならびにコンピュータベースのアルゴリズム、例えばAnchorDock(Ben Shimon Structure.2015 May 5;23(5):929-40)、Virtual crystallographic Calculators V.2.などの使用が挙げられる。
【0118】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドがコンセンサスモチーフを含むものである。
【0119】
用語「コンセンサスモチーフ」は、本明細書で用いる場合、連続であっても非連続であってもよい少なくとも3個のアミノ酸、4、5または6個のアミノ酸のアミノ酸配列をいう。具体的な一実施形態によれば、コンセンサスモチーフは連続6アミノ酸長である。
【0120】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが:
-X-X-X-X-X(配列番号:53)
のアミノ酸配列を含むものであり、
ここで、
およびXは正荷電アミノ酸であり;
は、Ser、Thr、Asn、Gln、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択され;
は任意のアミノ酸であり;
およびXは、αメチルアミノおよびβ-ブレイカーアミノ酸からなる群より選択される。
【0121】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが:
-X-X-X-X-X(配列番号:54)
のアミノ酸配列を含むものであり、
ここで、
およびXは、His、ArgおよびLysからなる群より選択され;
は、Ser、Thr、Asn、Gln、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択され;
、X、Xは任意のアミノ酸である。
【0122】
本明細書で用いる場合、「正荷電アミノ酸」は、生理学的pHで正電荷を有し得る(すなわち、プロトン化され得る)アミノ酸である。
【0123】
一実施形態によれば、正荷電アミノ酸が、ジアミノ酪酸(Dab)、ArgおよびLysからなる群より選択される(である)。
【0124】
具体的な一実施形態によれば、XがD-アミノ酸である。
【0125】
具体的な一実施形態によれば、Xが、リン酸化型(例えば、ホスホセリン)またはそのリン酸化模倣体(例えば、GluもしくはAsp)である。
【0126】
具体的な一実施形態によれば、Xが、リン酸化が可能でないアミノ酸(例えば、Val)である。
【0127】
具体的な一実施形態によれば、Xが非水素結合性アミノ酸(例えば、Ala)である。
【0128】
具体的な一実施形態によれば、Xが、極性無電荷アミノ酸(例えば、Ser)および疎水性アミノ酸(例えば、Ile)からなる群より選択される。
【0129】
具体的な一実施形態によれば、XがSerである。
【0130】
具体的な一実施形態によれば、XおよびXが、Ser、Thr、Pro、AlaおよびGlyからなる群より選択される。
【0131】
具体的な一実施形態によれば、Xがαメチルアミノ酸またはβブレイカー、例えば、Pro、AibまたはAlaである。
【0132】
具体的な一実施形態によれば、Xがαメチルアミノ酸である。
【0133】
具体的な一実施形態によれば、XがAlaである。
【0134】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドがアミノ酸配列HSAPHP(配列番号:46)を有するものである。
【0135】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが、前記アミノ酸配列のC末端に結合している少なくとも1個のさらなるアミノ酸(X)を含むものである。
【0136】
具体的な一実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が負荷電アミノ酸(すなわち、典型的には、生理学的pHで負電荷を有する(すなわち、脱プロトン化される)アミノ酸)または小分子アミノ酸(例えば、Gly、Ala、Val)である。
【0137】
具体的な一実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が、Asp、Glu、Gly、AlaおよびSerからなる群より選択される。
【0138】
具体的な一実施形態によれば、該少なくとも1個の負荷電アミノ酸がAspである。
【0139】
具体的な一実施形態によれば、該少なくとも1個のさらなるアミノ酸が2個のさらなるアミノ酸(X-X)を含み、前記X8が、His、Dab、AspおよびGluからなる群より選択される。
【0140】
具体的な一実施形態によれば、該少なくとも1個の負荷電アミノ酸がAspまたは連続する2個のAsp残基である。
【0141】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが、前記アミノ酸配列のN末端に結合している少なくとも1個のさらなるアミノ酸を含むものである。
【0142】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドが、前記アミノ酸配列のN末端に結合している少なくとも2個のさらなるアミノ酸を含むものである。
【0143】
具体的な一実施形態によれば、前記アミノ酸配列のN末端に結合している該少なくとも1個のさらなるアミノ酸がArgまたは連続する2個のArg残基である。
【0144】
該DBDに対する該ペプチドの結合は、当該技術分野で知られた任意の方法を用いて、例えば、可溶性DBDを競合剤として使用する競合アッセイを用いて調べることができる。
【0145】
用語「組換えまたは合成のペプチド」は、本明細書で用いる場合、当該技術分野で知られた標準的なバイオテクノロジーによる方法によって、例えば、細菌内での発現または固相ペプチド合成(SPPS)によって作製されたペプチドをいう。
【0146】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドがさらに細胞膜透過部分を含むものであり、これは、該ペプチドのN末端に結合していても、該ペプチドのC末端に結合していても、該ペプチドの両末端に結合していてもよい。また、この部分は、該DBDに対する該ペプチドの結合に干渉しない限り、末端にではなく該ペプチドの主部に結合していてもよいことは認識されよう。この部分は、天然状態では同じ様式(すなわち、位置またはケミストリー)で該ペプチドに結合していない異種部分であることは認識されよう。
【0147】
用語「浸透性」は、本明細書で用いる場合、薬剤または物質がバリア、膜または皮膚層を透過する、しみこむ、または全体に拡散することができる能力をいう。「細胞浸透性」または「細胞透過」部分は、分子が膜を透過するのを助長または向上させることができる当該技術分野で知られた任意の分子をいう。
【0148】
本明細書で用いる場合、フレーズ「浸透性向上性部分」は、結合した該ペプチド(あれば)が細胞膜を通過して輸送されるのを向上させる薬剤をいう。
【0149】
細胞内への組成物の浸透性を能動的もしくは受動的に助長する、または向上させる当該技術分野で知られた任意の部分が、本発明による該ペプチドのコアとのコンジュゲーションに使用され得る。非限定的な例としては:疎水性部分、例えば脂肪酸、ステロイドおよびバルキーな芳香族もしくは脂肪族の化合物;細胞膜受容体もしくは担体を有するものであり得る部分、例えばステロイド、ビタミン類および糖類、天然アミノ酸(例えば、正荷電アミノ酸、例えばLysもしくはArg)および非天然アミノ酸ならびにタンパク質性部分、例えばトランスポーターペプチド(「細胞膜透過ペプチド」もしくはCPPとも称される)、ポリアルギニンもしくはポリリシン、その組合せまたは抗体が挙げられる。一部の実施形態によれば、該タンパク質性部分がCPPである。一部の実施形態によれば、該タンパク質性部分がポリアルギニンである。一部の実施形態によれば、疎水性部分が脂質部分またはアミノ酸部分である。本発明の一部の実施形態によれば、細胞膜透過部分は、タンパク質性部分と脂質ベースの部分の組合せ(例えば、該ペプチドのN末端に一方およびC末端に他方)である。
【0150】
細胞膜透過ペプチド(CPP)は、ほぼどの細胞の内側にもアクセスできる能力を有する短いペプチド(≦40個のアミノ酸)である。このペプチドはカチオン性が高く、通常、アミノ酸アルギニンおよびリシンを高含有である。実際に、本発明者らは、正荷電アミノ酸(いずれかのペプチド末端に)またはポリカチオンアミノ酸(少なくとも2、例えば2~12個)のポリ-Argを使用し、該ペプチドに細胞浸透性を付与した。このペプチドは、細胞内に、共有結合および非共有結合によってコンジュゲートされた多種多様な積み荷、例えばタンパク質、オリゴヌクレオチド、さらには200nmのリポソームをも運ぶという並外れた特性を有する。したがって、さらなる例示的な実施形態によれば、CPPは、該ペプチドを細胞の内側に輸送するために使用され得る。
【0151】
TAT(HIV-1由来の転写アクチベータ)、pAntp(ペネトラチンとも称される,ショウジョウバエのアンテナペディア(Drosophila antennapedia)ホメオドメイン転写因子)およびVP22(単純ヘルペルウイルス由来)は、細胞内に無毒性で効率的な様式で進入することができ、本発明の一部の実施形態での使用に好適であり得るCPPの例である。CPP-積み荷コンジュゲートの作製およびかかるコンジュゲートでの細胞の感染のためのプロトコルは、例えば、L Theodore et al.[The Journal of Neuroscience,(1995)15(11):7158-7167]、Fawell S,et al.[Proc Natl Acad Sci USA,(1994)91:664-668]、およびJing Bian et al.[Circulation Research(2007)100:1626-1633]をみるとよい。
【0152】
しかしながら、本開示はそれに限定されず、当業者に知られた任意の適当な透過剤が使用され得る。
【0153】
本発明のペプチドが細胞膜透過ペプチドに結合されている場合、ペプチドの全長は50個以下のアミノ酸、40個以下のアミノ酸、35個以下のアミノ酸、30個以下のアミノ酸、25個以下のアミノ酸、22個以下のアミノ酸、20個以下のアミノ酸、15個以下のアミノ酸、12個以下のアミノ酸、10個以下のアミノ酸、9個以下のアミノ酸、8個以下のアミノ酸、または7個以下のアミノ酸であることが想定される。
【0154】
非タンパク質性の細胞膜透過部分の非限定的な例としては:疎水性部分、例えば脂質、脂肪酸、ステロイドおよびバルキーな芳香族もしくは脂肪族の化合物;細胞膜受容体もしくは担体を有するものであり得る部分、例えばステロイド、ビタミン類および糖類、ナノ粒子ならびにリポソームが挙げられる。
【0155】
用語「脂肪酸部分」は、本明細書で用いる場合、対応する完全脂肪酸起源の分子と同様の特定の一組の化学的および薬理学的特徴を示す脂肪酸の一部分をいう。この用語はさらに、脂肪(カルボン酸)酸のアシル成分を含む任意の分子種および/または分子断片をいう。
【0156】
本発明による浸透性向上性部分は、好ましくは、該ペプチドの配列に直接結合またはリンカーによって共有結合により連結され、ペプチドコンジュゲートを形成するものである。浸透性向上性部分は、該ペプチドの部分内の任意の位置に直接またはスペーサーを介して、好ましくは該ペプチドのアミノ末端に連結され得る。一部の特定の実施形態によれば、浸透性向上性部分は脂肪酸である。
【0157】
本発明による疎水性部分は、好ましくは脂質部分またはアミノ酸部分を含むものであり得る。具体的な一実施形態によれば、疎水性部分は:リン脂質、ステロイド、スフィンゴシン、セラミド、オクチル-グリシン、2-シクロヘキシルアラニン、ベンゾリルフェニルアラニン、プロピオノイル(C);ブタノイル(C);ペンタノイル(C);カプロイル(C);ヘプタノイル(C);カプリロイル(C);ノナノイル(C);カプリル(C10);ウンデカノイル(C11);ラウロイル(C12);トリデカノイル(C13);ミリストイル(C14);ペンタデカノイル(C15);パルミトイル(C16);フタノイル((CH);ヘプタデカノイル(C17);ステアロイル(C18);ノナデカノイル(C19);アラキドイル(C20);ヘンエイコサノイル(heniecosanoyl)(C21);ベヘノイル(C22);トルシサノイル(trucisanoyl)(C23);およびリグノセロイル(C24)からなる群より選択され;ここで、前記疎水性部分は前記キメラポリペプチドに、アミド結合、スルフヒドリル、アミン、アルコール、フェノール基または炭素-炭素結合により結合している。
【0158】
本発明に従って使用され得る脂質性部分の他の例:リポフェクタミン、Transfectace、Transfectam、Cytofectin、DMRIE、DLRIE、GAP-DLRIE、DOTAP、DOPE、DMEAP、DODMP、DOPC、DDAB、DOSPA、EDLPC、EDMPC、DPH、TMADPH、CTAB、リシル-PE、DC-Cho、-アラニルコレステロール;DCGS、DPPES、DCPE、DMAP、DMPE、DOGS、DOHME、DPEPC、プルロニック、Tween、BRIJ、プラズマロゲン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、グリセロール-3-エチルホスファチジルコリン、ジメチルアンモニウムプロパン、トリメチルアンモニウムプロパン、ジエチルアンモニウムプロパン、トリエチルアンモニウムプロパン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、リゾ脂質、糖脂質、スルファチド、スフィンゴ糖脂質、コレステロール、コレステロールのエステル、コレステロールの塩、油、N-スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロール、1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール、1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニルグリセロール、1-ヘキサデシル-2-パルミトイルグリセロホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルホモシステイン、N,N’-ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)-N,N’-ビス((-N,N,N-トリメチルアンモニウムエチル-アミノカルボニルメチレン)エチレンジアミンテトラヨージド;N,N”-ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)-N,N’、N”-トリス((-N,N,N-トリメチルアンモニウム-エチルアミノカルボニルメチレンジエチレントリアミンヘキサヨージド;N,N’-ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)-N,N”-ビス((-N,N,N-トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)シクロヘキシレン-1,4-ジアミンテトラヨージド;1,7,7-テトラ-((-N,N,N,N-テトラメチルアンモニウムエチルアミノ-カルボニルメチレン)-3-ヘキサデシルアミノカルボニル-メチレン-1,3,7-トリアザヘプタンヘプタヨージド;N,N,N’,N’-テトラ((-N,N,N-トリメチルアンモニウム-エチルアミノカルボニルメチレン)-N’-(1,2-ジオレオイルグリセロ-3-ホスホエタノールアミノカルボニルメチレン)ジエチレントリアミンテトラヨージド;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、リゾ脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴ脂質、糖脂質、グルコリピド、スルファチド、スフィンゴ糖脂質、ホスファチジン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレイン酸、ポリマー担持脂質、スルホン化糖担持脂質、コレステロール、トコフェロールヘミスクシネート、エーテル結合した脂肪酸を有する脂質、エステル結合した脂肪酸を有する脂質、重合脂質、リン酸ジアセチル、ステアリルアミン、カルジオリピン、6~8炭素長の脂肪酸を有するリン脂質、非対称アシル鎖を有するリン脂質、6-(5-コレステン-3b-イルオキシ)-1-チオ-b-D-ガラクトピラノシド、ジガラクトシルジグリセリド、6-(5-コレステン-3b-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシ-1-チオ-b-D-ガラクトピラノシド、6-(5-コレステン-3b-イルオキシ)ヘキシル-6-アミノ-6-デオキシル-1-チオ-a-D-マンノピラノシド、12-(((7’-ジエチルアミノ-クマリン-3-イル)カルボニル)メチルアミノ)-オクタデカン酸;N-[12-(((7’-ジエチルアミノクマリン-3-イル)カルボニル)メチル-アミノ)オクタデカノイル]-2-アミノパルミチン酸;コレステリル)4’-トリメチル-アンモニオ)ブタノエート;N-スクシニルジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン;1,2-ジオレオイル-sn-グリセロール;1,2-ジパルミトイル-sn-3-スクシニル-グリセロール;1,3-ジパルミトイル-2-スクシニルグリセロール、1-ヘキサデシル-2-パルミトイルグリセロ-ホスホエタノールアミン、およびパルミトイルホモシステイン。
【0159】
用語「ポリペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において互換的に用いており、アミノ酸残基のポリマーをいう。この用語は、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の化学的人工アナログであるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。
【0160】
用語「ペプチド」は、本明細書で用いる場合、天然状態のペプチド(分解産物、合成により合成されたペプチドまたは組換えペプチドのいずれも)およびペプチド模倣物(典型的には、合成により合成されたペプチド)、ならびにペプチドアナログであり、例えば、該ペプチドを体内でより安定にする修飾または細胞内への透過能をより大きくする修飾を有するものであり得るペプトイドおよび半ペプトイドを包含している。かかる修飾としては、限定されないが、N末端の修飾、C末端の修飾、ペプチド結合の修飾、主鎖の修飾および残基の修飾が挙げられる。ペプチド模倣化合物の調製方法は当該技術分野でよく知られており、例えば、Quantitative Drug Design,C.A.Ramsden Gd.,Chapter 17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)に明記されており、これは、引用により、あたかも本明細書にすべてが示されているかのごとく組み込まれる。これに関するさらなる詳細は本明細書において以下に示す。
【0161】
該ペプチド内のペプチド結合(-CO-NH-)を、例えば、N-メチル化アミド結合(-N(CH3)-CO-)、エステル結合(-C(=O)-O-)、ケトメチレン結合(-CO-CH2-)、スルフィニルメチレン結合(-S(=O)-CH2-)、α-アザ結合(-NH-N(R)-CO-)(ここで、Rは任意のアルキル(例えば、メチル)である)、アミン結合(-CH2-NH-)、スルフィド結合(-CH2-S-)、エチレン結合(-CH2-CH2-)、ヒドロキシエチレン結合(-CH(OH)-CH2-)、チオアミド結合(-CS-NH-)、オレフィン性二重結合(-CH=CH-)、含フッ素オレフィン性二重結合(-CF=CH-)、レトロアミド結合(-NH-CO-)、ペプチド誘導体(-N(R)-CH2-CO-)(ここで、Rは、炭素原子上に天然状態で存在している「通常の」側鎖である)で置き換えてもよい。
【0162】
このような修飾は、該ペプチド鎖上のどの結合に行なってもよく、さらには、いくつか(2~3)の結合に同時に行なってもよい。
【0163】
「保存的置換」は、あるクラスのアミノ酸の同じクラスのアミノ酸での置換をいい、ここで、クラスは、例えば、標準的なデイホフ頻度交換行列またはBLOSUM行列による測定時の、共通する物理化学的なアミノ酸側鎖の特性および自然界にみられる相同タンパク質における高い置換頻度によって規定される。アミノ酸側鎖の6つの一般的なクラスがカテゴリー化されており、:クラスI(Cys);クラスII(Ser、Thr、Pro、Ala、Gly);クラスIII(Asn、Asp、Gin、Glu);クラスIV(His、Arg、Lys);クラスV(He、Leu、Val、Met);およびクラスVI(Phe、Tyr、Trp)を含む。例えば、Aspの別のクラスIII残基、例えばAsn、GinまたはGluでの置換は保存的置換である。
【0164】
他の分類としては、正電荷アミノ酸(Arg、His、Lys)、負電荷アミノ酸(Asp、Glu)、極性無電荷(Ser、Thr、Asn、Gln)、疎水性側鎖(Ala、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Tyr、Trp)が挙げられる。
【0165】
「非保存的置換」は、あるクラスのアミノ酸の別のクラスのアミノ酸での置換;例えば、クラスII残基であるAlaのクラスIII残基、例えばAsp、Asn、GluまたはGinでの置換をいう。
【0166】
天然の芳香族アミノ酸Trp、TyrおよびPheを、非天然の芳香族アミノ酸、例えば1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(Tic)、ナフチルアラニン、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体またはO-メチル-Tyrで置換してもよい。他の合成の選択肢を本明細書において以下に表2に示す。
【0167】
また、本発明の一部の実施形態のペプチドは、1個以上の修飾アミノ酸または1個以上の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複雑な糖鎖など)を含むものであってもよい。
【0168】
用語「アミノ酸(“amino acid”または“amino acids”)」は、天然に存在する20種類のアミノ酸;しばしばインビボで翻訳後修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリンおよびホスホトレオニンなど;ならびに他の珍しいアミノ酸、例えば限定されないが、2-アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノル-バリン、ノル-ロイシンおよびオルニチンを包含していると理解されたい。さらに、用語「アミノ酸」は、D-アミノ酸およびL-アミノ酸の両方を包含している。
【0169】
以下の表1および2に、本発明の一部の実施形態で使用され得る天然に存在するアミノ酸(表1)および非通常または修飾アミノ酸(例えば合成のもの,表2)を示す。
【表1】
【表2】
【0170】
本発明の一部の実施形態のペプチドは、好ましくは線状形態で使用されるが、環化がペプチドの特徴に大幅に干渉しない場合は、環状形態の該ペプチドもまた使用され得ることは認識されよう。
【0171】
バイオアベイラビリティを改善するため、該ペプチドに少なくとも1個のDアミノ酸を含めてもよい(例えば、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3個)。具体的な一実施形態によれば、該ペプチドのすべてのアミノ酸がDアミノ酸である。
【0172】
一部の実施形態では、該ペプチドが化学修飾されたものである。
【0173】
「化学修飾された」とは、アミノ酸が、天然のプロセスまたは当該技術分野でよく知られた化学的修飾手法のいずれかによって修飾されていることをいう。数多くの既知の修飾の中でも、典型的だが排他的でない例としては:アセチル化、アシル化、アミド化、ADP-リボシル化、グリコシル化、グリコサミノグリカン化、GPIアンカー形成、脂質または脂質誘導体の共有結合、メチル化、ミリストイル化(myristlyation)、ペグ化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化、または任意の同様のプロセスが挙げられる(例えば配列番号:2、17~19参照)。
【0174】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドはC末端のアミド化を含むものであり得る。
【0175】
さらに、択一的または付加的に、該ペプチドを非タンパク質性の無毒性部分に、例えば限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(スチレンコマレイン酸無水物)(SMA)およびジビニルエーテルとマレイン酸無水物のコポリマー(DIVEMA)にコンジュゲートさせてもよい。
【0176】
また、本発明のペプチドに、所望の活性(例えば、p53変異型の再活性化)を示すペプチドホモログ(また、本明細書において機能的等価物とも称する)を使用してもよいことは認識され、ここで、ペプチドホモログの活性は、当該技術分野で知られた方法、例えば本明細書に記載の方法に従って調べる。かかるホモログは、配列番号:53または54または1(ただし、WO2015/019318に開示されたペプチド(例えば、配列番号:286~321ではないものとする)と、例えば、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%同一のものであり得る。
【0177】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドは、配列番号:8、412~464に示すアミノ酸配列を含むもの、または該配列番号に示すものである。
【0178】
具体的な一実施形態によれば、該ペプチドは、配列番号:429、448、449、446および462配列の群から選択される。
【0179】
一部の特定の実施形態では、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質のコンホメーションを野生型(WT)p53タンパク質のコンホメーションに変化させるものである。
【0180】
当該技術分野において、野生型p53タンパク質のみを特異的に認識する抗体が知られている。かかる抗体は、特定のp53タンパク質が、野生型であれ変異型であれ、野生型の機能性p53タンパク質のコンホメーションを保持しているかどうかを調べるのに非常に有用である。したがって、一部の特定の実施形態では、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質のコンホメーションを、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質に対して排他的に指向されるモノクローナル抗体によって、またはWT p53タンパク質のコンホメーションを保持しているp53タンパク質に対するモノクローナル抗体によって認識されるように変化させるものである。一部の特定の実施形態では、該モノクローナル抗体がAb1620である。
【0181】
p53はどちらの対立遺伝子からも発現されるため、細胞内p53の全体的な内容は、野生型(wt/wt)、wtおよび変異型p53の混合(wt/mut)または変異型p53のみ(両方の対立遺伝子が変異している場合(mut/mut)、もしくは一方の対立遺伝子が欠失している場合(mut/-))のいずれかであり得ることは理解されよう。がんでは、この状況は多くの場合、wt/mut、mut/mutまたはmut/-である。p53は四量体として機能を果たすため、変異型p53タンパク質は、がんの細胞内に存在しているかもしれない野生型p53タンパク質の活性を消去し得る。したがって、本発明によって提供されるペプチドは、野生型p53タンパク質レベルの増大が豊かでないがんの処置に特に有用である。
【0182】
一部の特定の実施形態では、該ペプチドが、少なくとも部分的に変異型p53タンパク質の活性をWT p53タンパク質の少なくとも1つの活性に復元させるものである。
【0183】
本明細書で用いる場合、用語「低下する」とは、特定の表現型が、同じアッセイ条件下で対照(例えば、対照ビヒクルで処置した、または全く処置していない同じ細胞/動物の系)と比べて少なくとも約10%,20%、30%、40%、50%、60%、70% 75%、80%、95%またはさらには100%、統計学的に有意に減少することをいう。
【0184】
本明細書で用いる場合、用語「高まる/増大する(increasing)」または「改善する」とは、特定の表現型が、同じアッセイ条件下で対照(例えば、対照ビヒクルで処置した、または全く処置していない同じ細胞/動物の系)と比べて少なくとも約10%,20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、95%またはさらには100%、統計学的に有意に高まる/増大することをいう。
【0185】
用語「変異型p53タンパク質発現細胞」は、本明細書で用いる場合、少なくとも一方の対立遺伝子から変異型p53タンパク質を発現する細胞をいう。一部の特定の実施形態では、用語「変異型p53タンパク質発現細胞」は「がん細胞」と互換的である。
【0186】
用語「アポトーシス促進遺伝子」は、直接(例えば、特定のカスパーゼ)または間接的(例えば、シグナル伝達カスケードの一部として)のいずれかでアポトーシスに関与している遺伝子または多数の遺伝子をいう。
【0187】
一部の特定の実施形態では、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞のバイアビリティを低下させることである。一部の特定の実施形態では、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞のアポトーシスを促進させることである。一部の特定の実施形態では、該活性が、前記変異型p53タンパク質発現細胞のアポトーシス促進遺伝子を活性化させることである。一部の特定の実施形態では、アポトーシス促進遺伝子が、CD95、Bax、DR4、DR5、PUMA、NOXA、Bid、53AIP1およびPERPからなる群より選択される。各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。
【0188】
一部の特定の実施形態では、該活性が、変異型p53タンパク質発現細胞内のp53コンセンサスDNA結合エレメントに対する結合である。一部の特定の実施形態では、該コンセンサスDNA結合エレメントが、配列番号:55および56に示すヌクレオチド配列を含むもの、または該ヌクレオチド配列からなるものである。
【0189】
本発明の任意のペプチドによって誘導される細胞の変化をモニタリングする方法は当該技術分野で知られており、例えば、MTT試験、これは、生細胞が、黄色の塩MTT(3-(4、5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)(Sigma,Aldrich St Louis,MO,USA)を青紫の不溶性ホルマザン沈殿物に還元する選択能に基づいたものである;BrDuアッセイ[Cell Proliferation ELISA BrdU比色分析キット(Roche,Mannheim,Germany];TUNELアッセイ[Roche,Mannheim,Germany];アネキシンVアッセイ[ApoAlert(登録商標)Annexin V Apoptosis Kit(Clontech Laboratories,Inc.,CA,USA)];老化関連-β-ガラクトシダーゼアッセイ(Dimri GP,Lee X,et al.1995.A biomarker that identifies senescent human cells in culture and in aging skin in vivo.Proc Natl Acad Sci U S A 92:9363-9367);ならびに本明細書において以下にさらに記載する種々のRNAおよびタンパク質の検出方法(発現レベルおよび/または活性レベルを検出するもの)が挙げられる。
【0190】
一部の特定の実施形態では、該結合が、内在性p53標的遺伝子の少なくとも一部活性化をもたらすものである。一部の特定の実施形態では、該内在性標的遺伝子が、p21、MDM2およびPUMAからなる群より選択される。各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。
【0191】
一部の特定の実施形態では、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質と異なるコンホメーションのものである。一部の特定の実施形態では、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質と比べて少なくとも部分的に不活性化する。
【0192】
一部の特定の実施形態では、変異型p53タンパク質が、WT p53タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体によって認識されないものである。一部の特定の実施形態では、変異型p53タンパク質、該ペプチドに結合すると、WT p53タンパク質に対して指向されるモノクローナル抗体によって認識されるものである。一部の特定の実施形態では、該モノクローナル抗体がAb1620である。
【0193】
一部の実施形態では、該再活性化性ペプチドはMut-p53を、WT p53タンパク質と同様または同一の構造特性、生化学的特性、生理学的特性および/または機能特性を有するように再活性化させ得るものである。
【0194】
一部の実施形態により、約3~25個のアミノ酸の長さであるMut-p53再活性化ペプチドを提供する。一部の実施形態では、Mut-p53再活性化ペプチドが約4~15個のアミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut-p53再活性化ペプチドが約7~12個のアミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut-p53再活性化ペプチドが7個のアミノ酸の長さである。一部の実施形態では、Mut-p53再活性化ペプチドが12個のアミノ酸の長さである。各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。
【0195】
本出願書類の至る箇所に他のペプチド長を記載している。各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。
【0196】
一部の実施形態によれば、Mut-p53再活性化ペプチドはMut-p53に、これが、WT p53結合エレメントをそのプロモーター内に有するレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)をトランス活性化し得るように影響を及ぼし得るものである。一部の実施形態では、レポーター遺伝子のトランス活性化がインビトロ(例えば、試験管もしくはウェル内)で、またはインビボで、該レポーター遺伝子構築物を有する細胞内で行なわれ得る。
【0197】
一部の実施形態によれば、Mut-p53再活性化ペプチドは、変異したp53のDNA結合ドメイン(DBD)に結合し得るものである。一部の実施形態では、変異したp53は変異をそのDNA結合ドメイン(DBD)内に有するものである。
【0198】
用語「医薬組成物」は、本明細書で用いる場合、少なくとも1種類の医薬活性成分を含む任意の組成物をいう。
【0199】
用語「変異型p53タンパク質と関連している」とは、本明細書で用いる場合、任意の疾患、障害または病状が変異型p53タンパク質によって引き起こされるものであるか、あるいはその進行が、細胞または器官内における変異型p53タンパク質の存在と関連していることをいう。
【0200】
p53はどちらの対立遺伝子からも発現されるため、細胞内p53の全体的な内容は、野生型(wt/wt)、wtおよび変異型p53の混合(wt/mut)または変異型p53のみ(両方の対立遺伝子が変異している場合(mut/mut)、もしくは一方の対立遺伝子が欠失している場合(mut/-))のいずれかであり得ることは理解されよう。がんでは、この状況は多くの場合、wt/mut、mut/mutまたはmut/-である。p53は四量体として機能を果たすため、変異型p53タンパク質は、がんの細胞内に存在する野生型p53タンパク質の活性を消去し得る。したがって、本発明によって提供されるペプチドは、がんの処置に特に有用である。特筆すべきことに、該細胞は、2つより多いp53対立遺伝子を有し、そのうちの少なくとも1つが変異型p53であるものであってもよい。
【0201】
用語「治療有効量」は、本明細書で用いる場合、個体において疾患、障害または病状が低減、減少および/または抑止されるのに充分な本発明によるペプチド含有組成物の量をいう。
【0202】
本発明の一態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量の本明細書に記載の単離ペプチド(例えば、配列番号:8、412~464)を投与し、それにより前記疾患、障害または病状を処置することを含む方法を提供する。
【0203】
本発明の一態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量で、ある空間および立体構成を有するアミノ酸配列を含む単離ペプチドを投与することを含み、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が前記DBDに結合するのと同じ様式で結合することを可能にするものであり、前記ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものであり、前記治療有効量が0.01~0.3mg/kg/日または0.01~0.2mg/kg/日(例えば、0.01~0.35mg/kg/日、0.01~0.35mg/kg/日、0.01~0.15mg/kg/日、0.01~0.1mg/kg/日、0.01~0.095mg/kg/日、0.01~0.09mg/kg/日、0.01~0.085mg/kg/日、0.01~0.08mg/kg/日、0.01~0.075mg/kg/日、0.01~0.07mg/kg/日、0.01~0.065mg/kg/日、0.01~0.06mg/kg/日、0.01~0.055mg/kg/日、0.01~0.05mg/kg/日、0.01~0.45mg/kg/日、0.01~0.04mg/kg/日、0.01~0.035mg/kg/日、0.01~0.03mg/kg/日)であり、それにより前記疾患、障害または病状を処置する方法を提供する。
【0204】
本明細書において言及する場合、用語「疾患を処置する」または「病状を処置する」とは、少なくとも1種類の薬剤を含む疾患と関連している症状を改善するのに有効な組成物を投与して、該疾患の重症度を低下させる、もしくは該疾患を治癒すること、または、被験体において該疾患が起こるのを妨げることを指す。投与には、任意の投与経路が包含され得る。一部の実施形態では、疾患が、細胞、組織、器官、身体などにおける変異したp53の存在によって引き起こされる疾患または該存在と関連している疾患である。一部の実施形態では、疾患ががんである。一部の実施形態では、がんが、乳がん、結腸がん、卵巣がんおよび肺がんからなる群より選択される。
【0205】
一部の実施形態では、がんが転移性がんである。
【0206】
一部の実施形態では、がんが転移性乳がん、転移性結腸がん、転移性卵巣がんまたは転移性肺がんである。
【0207】
各可能性は本発明の個々の実施形態を表す。一部の実施形態では、被験体がが哺乳類、例えばヒトである。一部の実施形態では、被験体が哺乳類の動物である。一部の実施形態では、被験体が哺乳類でない動物である。一部の実施形態では、被験体が、該疾患、病状または障害と診断された被験体である。
【0208】
一部の実施形態では、がんが副腎皮質癌、肛門がん、膀胱がん、脳腫瘍、脳幹膠腫、脳腫瘍、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫(cerebral astrocytoma)、上衣細胞腫、髄芽細胞腫、テント上原始神経外胚葉(supratentorial primitive neuroectodermal)、松果体部腫瘍、視床下部神経膠腫、乳がん、カルチノイド腫瘍、癌、子宮頚がん、結腸がん、子宮内膜がん、食道がん、肝臓外胆管がん、ユーイングファミリー腫瘍(pnet)、頭蓋外胚細胞腫瘍、目のがん、眼内黒色腫、胆嚢がん、胃がん、胚細胞腫瘍、性腺外、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部がん、下咽頭がん、島細胞癌、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性、白血病、口腔がん、肝臓がん、肺がん、小細胞、リンパ腫、AIDS関連、リンパ腫、中枢神経系(原発性)、リンパ腫、皮膚T細胞性、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、悪性中皮腫、黒色腫、メルケル細胞癌、転移性扁平上皮癌、多発性骨髄腫、形質細胞性新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性障害、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、外分泌、膵がん、島細胞癌、副鼻腔および鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫がん、下垂体がん、形質細胞新生物、前立腺がん、横紋筋肉腫、直腸がん、腎細胞がん、唾液腺がん、セザリー症候群、皮膚がん、皮膚T細胞性リンパ腫、皮膚がん、カポジ肉腫、皮膚がん、黒色腫、小腸のがん、軟部組織肉腫、軟部組織肉腫、精巣がん、胸腺腫、悪性、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、肉腫、珍しい小児がん、膣がん、外陰がんまたはウィルムス腫瘍である。
【0209】
一部の実施形態では、がんが肺がんである。
【0210】
一部の実施形態では、がんが卵巣がんである。
【0211】
一部の実施形態では、がんがトリプルネガティブ乳がんである。
【0212】
一部の実施形態では、がんが転移性肺がんである。
【0213】
一部の実施形態では、がんが転移性卵巣がんである。
【0214】
一部の実施形態では、がんが転移性トリプルネガティブ乳がんである。
【0215】
一部の実施形態では、がんが非充実性腫瘍、例えば血液のがんである。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが白血病またはリンパ腫であるである。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが急性リンパ芽球性白血病(ALL)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが急性骨髄性(myelogenous)白血病(AML)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが慢性リンパ球性白血病(CLL)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが小リンパ球性リンパ腫(SLL)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが慢性骨髄性白血病(CML)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが急性単球性白血病(AMOL)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんがホジキンリンパ腫(4つの亜型のいずれか)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが非ホジキンリンパ腫(いずれかの亜型)である。別の実施形態では、非充実性腫瘍または血液のがんが骨髄性(myeloid)白血病である。
【0216】
本発明の方法における使用のため、該再活性化性ペプチドは慣用的な様式で、医薬組成物を形成するための当該技術分野で知られた、特にタンパク質である活性薬剤に関する1種類以上の薬学的に許容され得る担体、安定剤または賦形剤(ビヒクル)を用いて製剤化され得る。担体(1種類または複数種)は、組成物のその他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害でないという意味において「許容され得る」ものである。好適な担体としては典型的には、生理食塩水またはエタノール ポリオール、例えばグリセロールもしくはプロピレングリコールが挙げられる。
【0217】
該再活性化性ペプチドを中性形態または塩形態として製剤化してもよい。薬学的に許容され得る塩としては、酸付加塩(遊離アミノ基とともに形成される)が挙げられ、これは、無機酸、例えば塩酸もしくはリン酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸を用いて形成される。また、遊離カルボキシル基とともに形成される塩は、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第二鉄、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノ エタノール、ヒスチジンおよびプロカインなどの有機塩基から誘導され得る。
【0218】
組成物は、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内投与のために好適に製剤化され得、好都合には、該再活性化性ペプチドの滅菌された水性液剤(これは好ましくはレシピエントの血液と等張性である)を含むものであり得る。かかる製剤は典型的には、固形の活性成分を、生理学的に適合性の物質、例えば塩化ナトリウム、グリシンなどを含有しており、生理学的条件と適合性の緩衝pHを有する水に溶解させて水性液剤を作製し、前記液剤を滅菌状態にすることにより調製される。該製剤は、単位用量容器に調製してもよく、反復用量容器、例えば、密封されたアンプルまたはバイアルに調製してもよい。
【0219】
組成物には安定剤、例えばポリエチレングリコール、タンパク質、糖類(例えば、トレハロース)、アミノ酸、無機酸など、およびその混合物が組み込まれ得る。安定剤は、水性液剤において適切な濃度およびpHで使用される。水性液剤のpHは、5.0~9.0の範囲内、好ましくは6~8の範囲内となるように調整される。該再活性化性ペプチドの製剤化において、吸着防止剤を使用してもよい。他の好適な賦形剤としては、典型的には酸化防止剤、例えばアスコルビン酸が挙げられ得る。
【0220】
組成物を制御放出調製物として製剤化してもよく、これは、該タンパク質を複合体化または吸収するポリマーの使用によって得られ得る。制御放出製剤のための適切なポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミノ酸、ポリビニル、ピロリドン、エチレン酢酸ビニルおよびメチルセルロースが挙げられる。考えられ得る別の制御放出方法は、該再活性化性ペプチドを、高分子物質、例えばポリエステル、ポリアミノ酸、ヒドロゲル、ポリ(乳酸)またはエチレン酢酸ビニルコポリマーの粒子内に組み込むことである。あるいはまた、このような薬剤をポリマー粒子内に組み込む代わりに、この物質を、例えばコアセルベーション手法または界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンのマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に、あるいは、コロイド状薬物送達系内、例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル内またはマクロエマルジョン中に閉じ込めることも可能である。
【0221】
一部の実施形態では、本発明の再活性化性ペプチドは、経口(“peroral”または“oral”)用組成物に製剤化され得、一部の実施形態では、液状の液剤、乳剤、懸濁剤などを構成し得る。一部の実施形態では、かかる組成物の調製に適した薬学的に許容され得る担体は当該技術分野でよく知られている。一部の実施形態では、液状の経口用組成物は約0.001%~約0.9%または別の実施形態では約0.01%~約10%の該再活性化性ペプチドを含むものである。
【0222】
一部の実施形態では、本発明の方法における使用のための組成物は液剤または乳剤を構成し、これは、一部の実施形態では、安全で有効な量の該再活性化性ペプチドおよび任意選択で他の化合物を含む、経表面鼻腔内投与が意図された水性の液剤または乳剤である。
【0223】
一部の実施形態では、本発明の注射用液剤が水性液剤に製剤化される。一実施形態では、本発明の注射用液剤が、生理学的に適合性のバッファー、例えばハンクス液、リンゲル液または生理学的塩バッファーで製剤化される。一部の実施形態では、経粘膜投与のため、バリアを透過するのに適切な透過剤が製剤に使用される。かかる透過剤は当該技術分野で一般的に知られている。
【0224】
一実施形態では、本明細書に記載の調製物は、例えばボーラス注射または連続輸注による非経口投与のために製剤化される。一部の実施形態では、注射用製剤は、任意選択で保存料を添加した単位投薬形態に、例えば、アンプルまたは反復用量容器内に提示される。一部の実施形態では、組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤であり、例えば懸濁化剤、可溶化剤および/または分散化剤などの製剤化剤が含有されている。
【0225】
本発明の再活性化性ペプチドは、経口、経表面、経皮または非経口投与から選択される任意の適当な投与経路によって投与され得る。一部の実施形態によれば、投与経路は、皮膚経由、経膣、経直腸、吸入、鼻腔内、接眼、経耳および口腔内から選択される経表面適用によるものである。一部の実施形態によれば、投与経路は、非経口注射によるものである。種々の実施形態において、投与工程は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、動脈内、脳内、脳室内、骨内および髄腔内からなる群より選択される非経口経路によって行なわれる。例えば、該再活性化性ペプチドは、例えば非経口経路、例えば腹腔内(i.p.)、静脈内(i.v.)、皮下または筋肉内経路によって全身投与され得る。本発明の再活性化性ペプチドおよび/または任意選択の任意のさらなる薬剤を、例えば、鼻腔内投与によって全身投与してもよい。本発明の再活性化性ペプチドおよび/または任意選択の任意のさらなる薬剤を、例えば経口投与により、タンパク質に対する経口バイオアベイラビリティをもたらし得る特定の組成物または製剤を使用することによって全身投与してもよい。本発明の再活性化性ペプチドおよび/または任意選択の任意のさらなる薬剤を局所投与してもよい。
【0226】
具体的な一実施形態によれば、該投与は皮下投与を含む。
【0227】
択一的または付加的に、具体的な一実施形態によれば、該投与は連続輸注を含む。
【0228】
したがって、該再活性化性ペプチド(例えば、配列番号:1、8、または412~464もしくは429、448、449、446、462)はまた、低速放出送達系、ポンプ、および連続輸注のための他の既知の送達系によって、例えば、以下の用量、例えば0.01~0.3mg/kg/日、0.01~0.15mg/kg/日、0.01~0.1mg/kg/日、0.01~0.095mg/kg/日、0.01~0.09mg/kg/日、0.01~0.085mg/kg/日、0.01~0.08mg/kg/日、0.01~0.075mg/kg/日、0.01~0.07mg/kg/日、0.01~0.065mg/kg/日、0.01~0.06mg/kg/日、0.01~0.055mg/kg/日、0.01~0.05mg/kg/日、0.01~0.45mg/kg/日、0.01~0.04mg/kg/日、0.01~0.035mg/kg/日、0.01~0.03mg/kg/日)で送達され得る。投薬レジメンは、具体的な再活性化性ペプチドの所望の循環レベルがもたらされるように、その薬物動態に基づいて変更してもよい。したがって、用量は、治療用薬剤の所望の循環レベルが維持されるように計算される。
【0229】
典型的には、有効用量は、該再活性化性ペプチドの活性および被験体の病状、ならびに処置対象の被験体の体重または体表面積によって決定される。また、用量サイズおよび投与レジメン(regime)は、具体的な被験体における該再活性化性ペプチドの投与に付随する有害な副作用(あれば)の存在、性質および程度によっても決定される。
【0230】
一部の実施形態において、p53関連の病状を処置または予防するためのキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、Mut-p53再活性化ペプチドを適当なバッファー中に含めた容器(例えば、バイアル)と、該再活性化性ペプチドの投与のための使用のための使用説明書とを備えている。
【0231】
本発明のペプチドでの処置の有効性は、ゴールドスタンダード処置(例えば、抗がん治療)と併用すると増大する場合があり得ることが提案される。したがって、該ペプチドは、p53と関連している疾患または病状(本明細書に上記のもの)を処置するために単独で使用してもよく、かかる障害のための他の確立された治療レジメンまたは実験的治療レジメンと組み合わせて使用してもよい。さらなる治療方法または治療用組成物を用いた処置は、かかる処置薬の有効臨床用量が有意に低減され、それにより、該処置の多くの場合、計り知れないマイナスの副作用および高額のコストが低下するという可能性を有することは認識されよう。
【0232】
本発明の一部の実施形態のペプチドまたは該ペプチドをコードしているポリヌクレオチドとの組合せに適したがんの処置のための治療レジメンとしては、限定されないが、化学療法、放射線療法、光線療法および光線力学療法、手術、栄養療法、アブレーション治療、放射線療法と化学療法の併用、小線源療法(brachiotherapy)、陽子線治療、免疫療法、細胞療法および光子線放射線治療(photon beam radiosurgical therapy)が挙げられる。具体的な一実施形態によれば、化学療法薬は白金ベースである。
【0233】
抗がん薬
本発明の化合物とともに共投与され得る抗がん薬としては、限定されないが、アシビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アクラルビシン;アドリアマイシン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン(Ambomycin);酢酸アメタントロン(Ametantrone Acetate);アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ(Azetepa);アゾトマイシン(Azotomycin);バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ビスナフィドジメシレート;ビセレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナール(Brequinar)ナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン(Cactinomycin);カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン(Cirolemycin);シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デクスオルマプラチン(Dexormaplatin);デザグアニン(Dezaguanine);メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン(Duazomycin);エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミツルシン(Elsamitrucin);エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン(Epipropidine);塩酸エピルビシン;エルブロゾール(Erbulozole);塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸エステルナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;インターフェロンα-2a;インターフェロンα-2b;インターフェロンα-n1;インターフェロンα-n3;インターフェロンβ-Ia;インターフェロンγ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸リュープロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール(Melengestrol);メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド(Mitindomide);ミトカルシン(Mitocarcin);ミトクロミン(Mitocromin);ミトギリン(Mitogillin);ミトマルシン(Mitomalcin);マイトマイシン;ミトスペル(Mitosper);ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペグアスパラガーゼ;ペリオマイシン(Peliomycin);ペンタムスチン(Pentamustine);硫酸ペプロマイシン;パーホスファミド(Perfosfamide);ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド(Rogletimide);サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセート(Sparfosate)ナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン(Spiromustine);スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル(Sulofenur);タリソマイシン;タキソール;テコガラン(Tecogalan)ナトリウム;テガフール;塩酸テロキサトロン(Teloxantrone);テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン(Thiamiprine);チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;塩酸トポテカン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン(Vinepidine);硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビノロシジン(Vinrosidine);硫酸ビンゾリジン(Vinzolidine);ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンが挙げられる。さらなる抗新生物剤としては、Chapter 52,Antineoplastic Agents(Paul Calabresi and Bruce A.Chabner)およびその序論、Goodman and Gilman’s“The Pharmacological Basis of Therapeutics”,Eighth Edition,1990,McGraw-Hill,Inc.(Health Professions Division)の1202~1263に開示されているものが挙げられる。
【0234】
本発明の別の態様により、変異型p53タンパク質と関連している疾患、障害または病状の処置方法であって、処置を必要とする被験体に治療有効量で、白金系化学療法薬と、ある空間および立体構成を有するアミノ酸配列を含む単離ペプチド(例えば、配列番号:1、8、412~464、429、448、449、446、462)とを投与することを含み、該空間および立体構成が、該ペプチドがp53のDNA結合ドメイン(DBD)と、pCAP 250(配列番号:1)が前記DBDに結合するのと同じ様式で結合することを可能にするものであり、前記ペプチドは少なくとも部分的に変異型p53タンパク質を再活性化させるものであり、それにより前記疾患、障害または病状を処置する方法を提供する。
【0235】
白金ベースの化学療法薬の具体例としては、限定されないが、シスプラチン(最初に開発された)、カルボプラチン(第2世代の白金ベースの抗新生物剤)、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、リポプラチン(リポソーム型のシスプラチン)が挙げられる。
【0236】
本明細書に記載の併用処置(例えば、該ペプチドと一緒に白金ベースの化学療法薬)を行なうためのキットおよび製造物品もまた本明細書において想定される。
【0237】
また、59~382からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むペプチドで上記の方法において実施することも可能であることは認識されよう。
【0238】
本明細書で用いる場合、用語「約」は±10%をいう。
【0239】
用語“comprises(~を含む)”、“comprising(~を含む)”、“includes(~を含む)”、“including(~を含む)”、“having(~を有する)”およびこれらの活用形は“including but not limited to(限定されないが、~を含む)”を意味する。
【0240】
用語“consisting of(~からなる)”は“including and limited to(~を含み、それに限定される)”を意味する。
【0241】
用語“consisting essentially of(本質的に~からなる)”は、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含んでいてもよいが、該さらなる成分、工程および/または部分が請求項に記載の組成物、方法または構造の基本的および新規な特徴を実質的に改変しない場合に限ることを意味する。
【0242】
本明細書で用いる場合、単数形“a”、“an”および“the”は、本文中にそうでないことを明白に記載していない限り、複数の言及を包含している。例えば、用語“a compound(化合物)”または“at least one compound(少なくとも1つの化合物)”には、複数の該化合物(その混合物を含む)が包含され得る。
【0243】
この出願書類全体を通して、本発明の種々の実施形態を範囲形式で示している場合があり得る。範囲形式での記載は、便宜上、略しているにすぎず、本発明の範囲に対する融通の利かない限定であると解釈すべきでないことは理解されよう。したがって、範囲の記載は、該範囲内の考えられ得るすべての部分範囲ならびに個々の数値が具体的に開示されていると解釈されたい。例えば、範囲の記載、例えば1~6は、部分範囲、例えば1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、ならびに該範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5および6が具体的に開示されていると解釈されたい。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0244】
本明細書において数値範囲を示している場合はいつでも、表示した範囲内の挙げられる任意の数(分数または整数)を包含していることを意図する。“ranging/ranges between”表示された第1の数字と(and)表示された第2の数字(の範囲である/の範囲)、および“ranging/ranges from”表示された第1の数字“to(から)”表示された第2の数字(の範囲である/の範囲)というフレーズは本明細書において互換的に用いており、表示した第1および第2の数字ならびに両者間のすべての分数および整数を包含していることを意図する。
【0245】
本明細書で用いる場合、用語「方法」は、所与の仕事を行なうための様式、手段、手法および手順、例えば限定されないが、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実務者に知られているか、または該実務者により既知の様式、手段、手法および手順から容易に開発されるかのいずれかである様式、手段、手法および手順をいう。
【0246】
本明細書で用いる場合、用語「処置する」には、病状を消去すること、病状を実質的に抑止すること、その進行を低速化もしくは逆転させること、病状の臨床症状もしくは美容的症状を実質的に改善すること、または病状の臨床症状もしくは美容的症状の出現を実質的に抑制することが包含される。
【0247】
具体的な配列表に言及している場合、かかる言及は、例えば、シークエンシングエラー、クローニングエラーまたは塩基置換、塩基欠失もしくは塩基付加をもたらす他の改変に起因する軽微な配列の差異を含むためその相補配列に実質的に対応する配列もまた包含していると理解されたい。ただし、かかる差異の頻度は50個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた100個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた200個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた500個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた1000個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた5,000個のヌクレオチド中1個未満、あるいはまた10,000個のヌクレオチド中1個未満であるものとする。
【0248】
明瞭性重視のため、別々の実施形態の状況において記載している本発明の特定の特色はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことは認識されよう。逆に、簡潔性重視のため、単一の実施形態の状況において記載している本発明の種々の特色はまた、別々に、または任意の適当な下位の組合せで、もしくは本発明の記載の任意の他の実施形態において適するものとして提供してもよい。種々の実施形態の状況において記載した特定の特徴は、このような要素なしでは該実施形態が実施不可である場合を除き、該実施形態の必須の特徴であるとみなされるべきでない。
【0249】
本明細書において上記に記載し、以下の特許請求の範囲のセクションの請求項に記載する本発明の種々の実施形態および態様は、以下の実施例において、実験による裏付けが見出されよう。
【0250】
実施例
次に、以下の実施例について言及するが、この実施例は上記の説明とともに、非限定的な様式で本発明の実例を示すものである。
【0251】
一般的に、本明細書で用いる専門用語および本発明で使用する実験手順は分子的、生化学的、微生物学的および組換えDNAの手法を含むものである。かかる手法は文献において充分に説明されている。例えば、“Molecular Cloning:A laboratory Manual”Sambrook et al.,(1989);“Current Protocols in Molecular Biology”Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,”Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,”A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al.,”Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds)”Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号および同第5,272,057号に示された方法論;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994);“Current Protocols in Immunology”Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),”Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),”Selected Methods in Cellular Immunology”,W.H.Freeman and Co.,New York(1980)を参照のこと;利用可能なイムノアッセイは特許および化学文献に広範囲にわたって記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号;同第3,839,153号;同第3,850,752号;同第3,850,578号;同第3,853,987号;同第3,867,517号;同第3,879,262号;同第3,901,654号;同第3,935,074号;同第3,984,533号;同第3,996,345号;同第4,034,074号;同第4,098,876号;同第4,879,219号;同第5,011,771号および同第5,281,521号;“Oligonucleotide Synthesis”Gait,M.J.,ed.(1984);“Nucleic Acid Hybridization”Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985);“Transcription and Translation”Hames,B.D.,and Higgins S.J.,Eds.(1984);“Animal Cell Culture”Freshney,R.I.,ed.(1986);“Immobilized Cells and Enzymes”IRL Press,(1986);“A Practical Guide to Molecular Cloning”Perbal,B.,(1984)and “Methods in Enzymology”Vol.1-317,Academic Press;“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,”Strategies for Protein Purification and Characterization- A Laboratory Course Manual”CSHL Press(1996)を参照のこと;これらはすべて、引用により、あたかも本明細書にすべてが示されているかのごとく組み込まれる。他の一般的な参考文献は本文書の至る箇所に示している。それに示された手順は当該技術分野でよく知られていると考えられているものであり、読み手の便宜のために示している。該参考文献に含まれている情報はすべて引用により本明細書に組み込まれる。
【0252】
実験手順
クリスタルバイオレット バイアビリティアッセイ
細胞を96ウェルプレート内で、2500~4000個の細胞/ウェルで培養した。いろいろなペプチドの段階希釈列を添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。
【0253】
ChIP解析
細胞を、ホルムアルデヒド(1%終濃度)を用いて室温で10分間架橋した。ホルムアルデヒドをグリシン0.25Mで5分間中和した。細胞を10mlの氷冷PBSで2回洗浄し、掻き取ることによって収集した。最後に、細胞を0.3mlの溶解バッファー(1%SDS,10mM EDTA,50mM Tris-HCl,pH8.1,プロテアーゼ阻害薬カクテル)中に再懸濁させ、超音波浴中で6分間、超音波処理した後、10分間、氷上で遠心分離し、200~500bpの断片を得た。上清みを回収し、ChIP希釈バッファー(1%Triton X-100,2mM EDTA,150mM NaCl,20mM Tris-HCl,pH8.1)中で10倍希釈した後、40μlの予備ブロックプロテインA-セファロースを2μgの断片化処理したサケ精子DNAおよび10μgのBSAとともに用いて4℃で2時間、免疫洗浄(immuno-clearing)した。免疫沈降は、特異的αp53またはαRNApolIIポリクローナル抗体を用いて4℃で一晩行なった。免疫沈降後、40μlのプロテインA-セファロースを添加し、さらに1時間、さらにインキュベートした。続いて、沈殿物をTSE I(0.1%SDS,1%Triton X-100,2mM EDTA,20mM Tris-HCl,pH8.1,150mM NaCl)、TSE II(500mM NaCl)、およびバッファーIII(0.25M LiCl,1% NP-40,1%デオキシコレート,1mM EDTA,10mM Tris-HCl,pH8.1)中で洗浄した。沈殿物をTEバッファーで3回洗浄し、1%SDS,0.1M NaHCOで2回抽出した。溶出液をプールし、65℃で一晩加熱し、ホルムアルデヒド架橋を戻した。DNA断片を、QIAquick Spin Kit(Qiagen,CA)を用いて精製した。免疫沈降反応は三連で実施した。ビーズのみを非特異的対照として使用した。クローンのChIP産物における活性な、および抑制性のヒストンマークの定量解析を定量RT-PCRによって評価した。免疫沈降(IP)の効率を標準化するため、クロマチンIPの標準化を、necdinプロモーター領域および5’領域に特異的なプライマーを用いて行なった。
【0254】
CRISPR p53ノックアウト
TP53エキソン3短鎖ガイドRNA(sgRNA)を含むプラスミド#42230はAddgene製であった。ES2細胞を、jetPEI試薬(Polyplus)を製造業者のプロトコルに従って用いてトランスフェクトした。48時間後、細胞を96ウェルプレート内に単一細胞クローンとして播種した。単一細胞クローンを拡大培養し、そのp53の状態を、DO-1抗p53抗体を用いたウェスタンブロット解析によって調べた。
sgRNA配列:
F:5’-CACCGCCATTGTTCAATATCGTCCG-3’(配列番号:47)
R:5’-AACCGGACGATATTGAACAATGG-3’(配列番号:48)
【0255】
ペプチドの前臨床試験
マウス(6週齢,胸腺欠損,ヌード)の各大腿部に2×10~10個の細胞を皮下注射した。この実験で使用した細胞株はすべて、ライブイメージングによる腫瘍の増殖のモニタリングを可能にするためのルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定的に発現するものである。4~18日後、腫瘍が視認可能なサイズに達したら、マウスを無作為に、いくつかの群:いずれかの1種類の対照ペプチドで処置する対照群、およびいずれかの1種類のペプチドの有効なペプチドで処置する群に分けた。ペプチドは、10μgのペプチド(40μlのPBS中)/腫瘍を週に3回の腫瘍内注射または0.8mgをアルゼットミニポンプのいずれかによって2週間投与した。経時的な腫瘍の増殖をライブイメージングにより、IVIS2000システムを用いて測定した。露光時間は20秒間に較正した。各腫瘍に対して、8分間で16個の画像を撮影し、ピーク発光値を得た。実験は、腫瘍が最大許容サイズ1cmに達するまで実施し、この時点でマウスを致死させ、腫瘍を取り出し、測定し、重量計測した。
【0256】
RT-PCR
RNAを、Macherey-Nagel NucleoSpin RNA II Kitを細胞ペレットで製造業者のプロトコルに従って用いて取得した。0.4~1μgアリコートを、Bio-RT 2000(Bio-Lab)およびランダムヘキサマープライマーを用いて逆転写した。QRT-PCRは、ABI 7300装置(Applied Biosystems)において、SYBR Green FastMix ROX(Quanta)を用いて実施した。RT-PCRプライマー(プライマー配列はすべて、5’から3’に向かって示している):
【0257】
NMR
精製15N標識p53コアドメイン(1ml 40μM)(aa 94~296)を1LのNMRバッファー-(52.5mMのNaClと2.625mMのDTTを含有している157.5mMのリン酸ナトリウムバッファーpH7.2)に対して48時間透析し、バッファーを交換し、試料を1LのNMRバッファーに対してさらに24~48時間(合計72時間)透析した。0.5mlの試料を高分解能NMRに供した。NMR解析はワイツマン科学研究所で行なわれた。
【0258】
15N-p53の単独および表示したペプチドと複合体形成時の二次元1H-15N異種核一量子コヒーレンス(Heteronuclear Single Quantum Coherence)(HSQC)スペクトルを293Kにおいて記録した。スペクトルは、5mmの逆配置検出用三重共鳴CryoProbe(TCI)を備えたBruker AVIII-800 NMR分光器で取得した。溶媒消去はWATERGATE配列を用いて行なった。
【実施例0259】
実施例1
pCAP-250はシスプラチンとともに、ES2卵巣がん細胞のバイアビリティの低下において相乗作用をもたらす
ES2細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。pCAP-250の段階希釈列を単独または1μg/mlのシスプラチンと一緒のいずれかで添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。1μg/mlで処理したES2細胞のバイアビリティは39%であった。pCAP-250のIC50は3.2μMであると推定され、シスプラチンとの組合せでのpCAP-250のIC50は1.9μMであると推定され、この2つの化合物の相乗効果が示された。
【0260】
図1は、実験の結果を示す。明らかに、がん細胞のバイアビリティは、pCAP 250の存在下で有意に低下した。相乗効果は、pCAP 250と白金ベースの化学療法薬との併用処置によるものであると予想される。
【実施例0261】
実施例2
pCAP-250およびいろいろな誘導体の活性の特性評価
内在性mp53S241Fを発現している細胞ES2 Con、およびmutp53に対する特異性の対照にするためにCRISPR/Cas9を用いてp53を安定的にノックアウトしたES2 KO細胞(ES2 p53KO)を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。表示したペプチドを8μg/mlの濃度で添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。
【0262】
図2は、ES KOと比べたときのES2 Conに対する特定のペプチドの効果の差は、mutp53発現に対するペプチドの特異性を示す。アラニンに置換したアミノ酸(例えば、セリンおよびヒスチジン)のいくつかのペプチド誘導体はES2 Con細胞に対する効果の低下を示し、ペプチドの有効性のためのこのようなアミノ酸の重要性を示す。
【0263】
この結果を、後述する親和性結合アッセイにおいてさらに拡張した。
【実施例0264】
実施例3
p53 DBDに対するpCAP 250の結合
図3A~Kは、蛍光標識したWTp53DBDおよびpCAP-250の結合のマイクロスケール熱泳動解析を示す。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;pCAP-250の10の段階希釈列を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のpCAP-250を用いて解析した。マイクロスケール熱泳動解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
【実施例0265】
実施例4
薬物動態試験-pCAP 250の投与様式および血漿中半減期
図4A~Dの結果は、pCAP 250(配列番号:1)は、静脈内投与した場合、0.8~1.8時間の血漿中半減期を有することを示す。この結果はさらに、pCAP 250は、皮下投与した場合、3~8時間の血漿中半減期を有することを示す。
【実施例0266】
実施例5
マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果
図5A~Dは、卵巣がん異種移植片モデルにおいて0.4mg/kgを週3回の用量の腫瘍内注射によって投与した場合のpCAP 250(配列番号:1)は、ES2細胞の腫瘍発生に対して有意な効果を有することを示す。さらに、pCAP 250は、卵巣がん異種移植片モデルにおいてアルゼットミニポンプによって2.3mg/kg/日の用量を皮下投与した場合、ES2細胞の腫瘍発生に対して有意な効果を有することを示す。
【実施例0267】
実施例6
インビトロでの細胞のバイアビリティアッセイによる測定時のpCAP 250ペプチドバリアントの抗がん活性
【表3】
【0268】
ペプチドは、抗がんアッセイにおいて2つの細胞株で試験した。図7~8においてわかるように、細胞のバイアビリティ(クリスタルバイオレットによるバイアビリティアッセイ)による測定時、表示したペプチドは抗がん活性が賦与されている。
【実施例0269】
実施例7
pCAP-250-DBD複合体およびそのペプチドバリアントのNMR実験.
p53 DBDに対するpCAP-250ペプチド(PCAP 250)の結合によって誘導される構造の効果を評価するため、NMR実験(1H-15N HSQCスペクトル)を行なった。以前に残基のピークの割り当てによってWT DBD(配列番号:44の94~312)が得られていたため[Wong et al.上掲]、このNMR実験を、Wong et al[上掲]に記載のものと同じ条件を維持してWT DBD(94~296、配列番号:44)を用いて実施した。
【0270】
図9は、Wong et al.(上掲)によって得られたNMRピークの割り当てを、遊離DBDおよびDBD-pCAP 250複合体について得られたNMRピークマップと一緒に示す。図9から、一般的に、2つのDBD構築物のC末端の長さが296に対して312と異なっているにもかかわらず、Wong et al.(上掲)のマップが成功裡に再現されたことがわかる。さまざまな強度の多くのピークの変化、例えば、割り当てられなかったいくつかのピークの消失および出現が遊離DBDとDBD-pCAP 250のマップ間で観察され、したがって、WT DBDに対するpCAP 250の結合を明白に示す。DBDの構造に関するこのような変化のマッピングにより、pCAP 250の結合によって影響される3次元構造領域に関する明確な像がもたらされる。この領域は主に、DBD-DNA界面モチーフのヘリックス-2とL1ループを含み、これはさらに、該タンパク質の中心領域内に延在している(図10のマゼンタ参照)。C277およびR280は、ヘリックス-2に存在する残基の中程度のピークの移動の一例であり、ここで、最も劇的なピークの移動は、L1ループに存在するG117で観察される(図9のマゼンタおよび茶色の丸参照)。
【0271】
興味深いことに、Wong et al.(上掲)によって当初観察されたH115およびY126の比較的低い強度のピークは遊離DBDでは観察されないが、pCAP 250ペプチドが付加すると出現している(図10の黄色の丸参照)。ピークの割り当てにおけるかかる有意な違いは、pCAP 250によって誘導される最も支配的なピークの変化とみなすことができる。遊離DBDスペクトルの当初では低い強度のピークおよびピークの非存在は、このような残基が該タンパク質の低安定性の構造領域(これは、1つより多くの支配的な安定なコンホメーションをとり得る)内に存在し、したがって、タンパク質の状態の小さな変化に非常に敏感であることを示す。実際、NMRによって解像されたDBDの構造の上位2つの低エネルギーコンホメーションを比較すると、劇的な構造の再組織化がH115およびY126で示されている(pdbコード2FEJ)。特筆すべきことには、H115とY126の3次元組織がG117と非常に近接していて、これに直接影響を及ぼすことができ、同時に、これらの3個の残基はL1ループの構造の完全性に高度に関連している(図11A~B参照)。ペプチドが付加するとH115とY126のピークが出現することを、さらなるNMR実験により、異なるpCAP 250ペプチドバリアント、pCAP-615(RRHSTP{DAB}PD),配列番号:465を用いてさらに検証した(図12参照)。
【0272】
pCAP-553(myr-RRHSvP(L-DAB)PD,vはD-型バリンを表す,配列番号:429)pCAP 250ペプチドバリアントは、変異型p53R273Hを有するSW-480細胞ベースのアッセイにおいて、P-250より2倍強力であることがわかった(図7参照)。NMR解析は、pCAP-553(P553)は該DBDに、親和性の改善を伴って結合する傾向にあることを示す。これは主に、DBD-pCAP 553複合体で得られたNMRピークマップで、遊離DBDとの比較において7つの異なる新規な非常に強い、割り当てられなかったピークの出現によって反映される。さらに、DBD-pCAP 553複合体で得られたピークの形状の方が統一化されており、丸い傾向にあり、P553ペプチドの結合によって該DBDの構造安定性が改善されることを示す(図13参照)。
【0273】
NMR実験の結果は、p53タンパク質のWT DBDに対するpCAP 250およびそのペプチドバリアントの顕在結合のさらなる証拠を示す。このような結果は、MST方法論を用いた該DBDに対するpCAP 250の結合に関する所見(図3A~K)をサポートする。NMRの結果はさらに、pCAP 250およびそのペプチドバリアントの結合によって該DBDにおいて構造変化が誘導され、この構造変化が、DNAに対する該DBDの結合能に必須である該DBD-DNA結合界面領域、すなわち、ヘリックス-2およびL1ループ構造モチーフの完全性および安定性に直接影響を及ぼすことを示す。pCAP 250およびそのペプチドバリアントの結合はさらに、ヘリックス2およびL1ループ構造モチーフの周囲のさらなる残基に影響を及ぼし、該DBD表面上に比較的大きいが確固たる被影響パッチが作出される。
【0274】
本発明を、その具体的な実施形態に関連して説明したが、多くの代替例、修正例および変形例が当業者に自明であろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲に含まれるかかる代替例、修正例および変形例のすべてを包含していることを意図する。
【0275】
本明細書において挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、引用によりその全体が、あたかも個々の各刊行物、特許または特許出願が具体的に個々に示されて引用により本明細書に組み込まれているのと同程度に、本明細書に組み込まれる。また、本出願書類における任意の参考文献の引用および特定は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であるという是認と解釈されるべきでない。セクションの見出しを使用している点において、これは、必ずしも限定していると解釈されるべきでない。
図1
図2
図3A-3D】
図3E-3H】
図3I-3K】
図4A-4D】
図5A
図5B-5D】
図6A-6C】
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A-B】
図12
図13
図14
【配列表】
2022112518000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2022112518000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
図面において:
図1図1は、ES2卵巣がん細胞のバイアビリティアッセイにおけるpCAP-250(配列番号:1)の単独またはシスプラチンとの組合せでの用量応答である。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。pCAP-250の段階希釈列を単独または1μg/mlのシスプラチンと一緒のいずれかで添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。1μg/mlで処理したES2細胞のバイアビリティは39%であった。pCAP-250のIC50は3.2μMであると推定され、シスプラチンとの組合せでのpCAP-250のIC50は1.9μMであると推定され、この2つの化合物の相乗効果が示された。
図2図2は、ES2卵巣がん細胞のバイアビリティアッセイにおけるp53 DBDとの結合に対するpCAP-250(配列番号:1)およびいろいろな誘導体(配列番号:2~19)の効果(MSTによる測定時)を示す棒グラフである。内在性mp53S241Fを発現している細胞ES2 Con、およびmutp53に対する特異性の対照にするためにCRISPR/Cas9を用いてp53を安定的にノックアウトしたES2 KO細胞(ES2 p53KO)を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。表示したペプチドを8μg/mlの濃度で添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。ES KOと比べたときのES2 Conに対する特定のペプチドの効果の差は、mutp53発現に対するペプチドの特異性を示す。アラニンに置換したアミノ酸(例えば、セリンおよびヒスチジン)のいくつかのペプチド誘導体はES2 Con細胞に対する効果の低下を示し、ペプチドの有効性のためのこのようなアミノ酸の重要性を示す。
図3A図3Aは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3B図3Bは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3C図3Cは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3D図3Dは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3E図3Eは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3F図3Fは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3G図3Gは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3H図3Hは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3I図3Iは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図3K図3Kは、蛍光標識したWTp53DBD(図3A)または完全長p53(図3B)および表示したペプチド(配列番号:1、4、9)の結合に関するマイクロスケール熱泳動(MST)解析のグラフである。実験は、製造業者の使用説明書に従って行なった;表示した各ペプチドの10の段階希釈列;(図3A- pCAP-250)(図3A、F、H、I、K pCAP402、pCAP 404、pCAP409およびpCAP 364)を調製し、標識タンパク質を各ペプチド試料に添加し、キャピラリーにロードした。これらの試料を蛍光wtp53DBDの移動について、温度勾配において、いろいろな濃度のペプチドを用いて解析した。MST解析の結果を、製造業者のデータ解析ソフトウェアにより得られた曲線として示す。
図4A図4Aは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4A- 1mg/kg iv投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4B図4Bは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4B- 7日間の連続皮下投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4C図4Cは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4C- 1mg/kg iv投与後のpCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図4D図4Dは、種々の投与様式の薬物動態を示す。図4D- 1mg/kgの皮下投与後のPCAP-250の時間に対する血漿濃度のプロフィール(平均±SD,n=3)。
図5A図5Aは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5A,実験終了時(21日目)の対照群マウスおよび腫瘍内pCAP-250処置マウスのライブイメージング。
図5B図5Bは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5B-実験終了時(14日目)の対照群マウスおよびアルゼットミニポンプによるpCAP-250処置マウスのライブイメージング。
図5C図5A~Dは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5C-対照マウスおよび有効pCAP-250群:箱ひげ図は、時間の関数としての腫瘍のルシフェラーゼの読取り値を示す;平均(横線)、標準偏差(箱)、処置の開始の前(0日目まで)および後の最大および最小の読み値を示す。IVISシステムのバックグラウンド検出レベルの閾値は約5×10光子であった。
図5D図5A~Dは、マウス異種移植片モデルにおけるpCAP-250ペプチドのインビボ効果である。ルシフェラーゼを発現している210個のES2細胞をヌードマウスの臀部に注射した。生物発光を測定した。注射の12日後、マウスを無作為に4つの群に分け、週に3回、2つの対照ペプチドの混合物(pCAP 76および12;5μgの各ペプチド)またはpCAP-250(10μg)のいずれかを腫瘍内注射した。択一的に、マウスに、0.8mg(PBS中)の対照ペプチドまたは0.8mg(PBS中)のpCAP-250を入れたアルゼットミニポンプを埋め込んだ。図5D-対照マウスおよび有効pCAP-250群:箱ひげ図は、時間の関数としての腫瘍のルシフェラーゼの読取り値を示す;平均(横線)、標準偏差(箱)、処置の開始の前(0日目まで)および後の最大および最小の読み値を示す。IVISシステムのバックグラウンド検出レベルの閾値は約5×10光子であった。
図6A図6Aは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6A.DBDペプチド複合体の概要。
図6B図6Bは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6B.DBD-ペプチド結合界面のより精密な検査。
図6C図6Cは、P53 DNA結合ドメイン(DBD)の表面上に対するHSTPHPDペプチド配列の任意選択の予測されるペプチド結合位置を示す。DBDをカートン(carton)シアン表示で示し、予測されるペプチドをマゼンタの棒として示す。図6C.該DBD(鎖B)と予測されるペプチド結合位置(鎖A)間の非結合型相互作用の詳細な原子リスト。
図7図7は、p53変異型p53R273Hを含む三連SW480細胞株でのp53再活性化ペプチドの用量応答効果を示す。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。いろいろなペプチドの段階希釈列を添加し、プレートをさらに72時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。結果は、非処理細胞のバイアビリティ100%に対して標準化している。
図8図8は、三連でのp53再活性化ペプチドの用量応答効果を示す。p53変異型S241Fを含むES2細胞株。細胞を96ウェルプレート内で、3000個の細胞/ウェルで培養した。いろいろなペプチドの段階希釈列を添加し、プレートをさらに48時間、37℃でインキュベートした。次いで、培地を除去し、細胞のバイアビリティを、細胞をクリスタルバイオレット(0.05%)(メタノール/PBS(1:5,v/v)中)で10分間、染色した後、PBSで3回洗浄することによって測定した。10%酢酸を各ウェルに10分間、添加した。ODを595nmにおいて測定した。結果は、非処理細胞のバイアビリティ100%に対して標準化している。
図9図9は、293Kにおいて取得した野生型p53コアドメイン(DBD)の1H-15N HSQCスペクトル、DBD(配列番号:44の94~312)のスペクトルを示し、Wong et alによって得た残基の割り当てを黒で示す[Wong,K.B.,et al.,Hot-spot mutants of p53 core domain evince characteristic local structural changes.Proc Natl Acad Sci U S A,1999.96(15):p.8438-42]。遊離DBD(94~296)およびDBD-pCAP 250複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ青および赤で示す。中くらい(C277とR280)および大きなピークの変化(G117)の例を、それぞれマゼンタおよび茶色で強調している。H115およびY126のピーク領域を黄色で強調している。
図10図10は、DBDに対するpCAP 250(配列番号:1)の結合の結果としての1H-15N HSQCスペクトルの変化に対するDBDの構造のマッピングを示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。Wong et al.(上掲)の解析で割り当てられなかった残基を緑に彩色し、pCAP 250の添加の際のピークの変化に関与する残基をマゼンタに彩色している。
図11A図11Aは、H115、G117およびY126の構造の再組織化を示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。図11Aおよび11Bは、それぞれ、NMR(pdbコード2FEJ)によって得られた最良および2番目に最良のエネルギーDBDコンホメーションを示す。
図11B】11Bは、H115、G117およびY126の構造の再組織化を示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。図11Aおよび11Bは、それぞれ、NMR(pdbコード2FEJ)によって得られた最良および2番目に最良のエネルギーDBDコンホメーションを示す。
図12図12は、293Kにおいて取得した野生型p53 DBD-ペプチド複合体の1H-15N HSQCスペクトルを示す。DBD-pCAP 250およびDBD-pCAP 615(配列番号:465)タンパク質ペプチド複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ赤および緑で示す。H115およびY126のピークを丸で強調している。
図13図13は、293Kにおいて取得した野生型p53 DBDおよびDBD-pCAP 553(配列番号:429)複合体の1H-15N HSQCスペクトルを示す。遊離DBDおよびDBD-pCAP 553タンパク質ペプチド複合体について得られたNMRスペクトルを、それぞれ青および赤で示す。pCAP 553ペプチドの編集時に特異的に出現した、割り当てられなかった強いピークを緑の楕円として強調している。DBD-pCAP 553複合体内でより密集して丸い状態になっているピークの数少ない例を茶色の楕円で強調している。
図14図14は、DBD-pCAP 250複合体の上位2つの予測されるペプチド結合モデルを示す。DBDの構造をカートゥーン表示で示し、DNAを黄色に彩色している。H115、G117およびY126を緑の棒として示し、L1ループをマゼンタに彩色している。DBD-pCAP 250複合体の上位2つの予測されるペプチド結合モデルをシアンに彩色している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3A-3D】
図3E-3H】
図3I-3K】
図4A-4D】
図5A
図5B-5D】
図6A-6C】
図7
図8
図9
図10
図11A-B】
図12
図13
図14