(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112534
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】水素の貯蔵方法及び貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
C01B 3/00 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008347
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】502030271
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰男
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140AA04
4G140AA11
(57)【要約】
【課題】大量で安全に水素を貯蔵できる。
【解決手段】密閉容器1内壁をカーボン材2で内張りし、このカーボン材2を加熱して定常波の電磁波を放射させ、カーボン材2で形成される定常波の空間Sを形成し、この空間S内に水素を供給して陽子と電子に分離させ、密閉容器1を常温にして陽子と電子を分離状態で安全で大量に貯蔵し、必要時に真空ポンプ8で陽子と電子とを一緒に引出して水素とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器内でマイクロ波以上の周波数を有する定常波の電磁波を発生させ、この密閉容器内に水素を供給して電離させ、陽子と電子とを分離させて貯蔵し、必要時に真空ポンプで陽子と電子とを一緒に引出すようにした水素の貯蔵方法。
【請求項2】
前記密閉容器はカーボン材で内張りされ、このカーボン材を加熱して定常波を発生せしめた請求項1記載の水素の貯蔵方法。
【請求項3】
前記密閉容器内にマグネトロンの導波管が臨まされ、これによりマイクロ波が放射される請求項1又は2記載の水素の貯蔵方法。
【請求項4】
密閉容器と、この内壁に内張りされたカーボン材と、密閉容器内にマイクロ波以上の周波数を持つ定常波を放射する電磁波放射装置と、密閉容器内部を真空引きする真空ポンプとを有し、密閉容器内に供給された水素は電離されて陽子と電子に分離され、必要時に電離された陽子と電子は一緒に真空ポンプにより引出されて水素となる水素の貯蔵装置。
【請求項5】
電気電磁波放射装置は、カーボン材を加熱するヒータである請求項4記載の水素の貯蔵装置。
【請求項6】
電気電磁波放射装置は、マグネトロン装置であり、このマグネトロン装置の導波管が密閉容器内に臨まされている請求項4又は5記載の水素の貯蔵装置。
【請求項7】
前記密閉容器内には、複数の電極が配置され、少なくとも一対の電極の一つはプラス電極でもう一つはマイナス電極であり、これらの電極の極性が可変である請求項4記載の水素の貯蔵装置。
【請求項8】
前記密閉容器内に電磁波のエネルギーを増幅するための増幅材を供給し、この増幅材を加熱するようにした請求項4記載の貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを電離させて、陽子と電子に分離させて容積を縮小させ、必要時に陽子と電子とを再結合させて水素ガスとして取出すことが出来る水素の貯留方法及び貯留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件発明者は、従来、ステンレス容器(反応炉)内に反応材として、カセイソーダとステンレス粉を入れて容器を500℃以上に加熱して反応材を微粒子とし、この微粒子と反応炉の内壁間で核反応を起こさせようと実験を重ね、炭素ガスと水を分解して水素を発生させようと試みてきた。この際、水素は電離していることが判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2012/011499A1
【特許文献2】特開2017-22250号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2においては、電離した水素は、反応炉内でどのような状態になると、水素ガスになって容積を持つようになるかが開示されておらず、水素を貯蔵することについての開示も全くなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の水素の貯蔵方法は、密閉容器内でマイクロ波以上の周波数を有する電磁波の定常波を発生させ、この密閉容器内に水素を供給して電離させ、陽子と電子とを分離して貯蔵し、必要時に真空ポンプで陽子と電子とを一緒に引出すようにした。
【0006】
本発明の水素の貯蔵装置は、密閉容器と、この内壁に内張りされたカーボン材と、密閉容器内にマイクロ波以上の周波数を持つ電磁波の定常波を放射する電磁波放射装置と、密閉容器内部を真空引きする真空ポンプとを有し、密閉容器内に供給された水素を電離させて陽子と電子に分離し、必要時に電離された陽子と電子を一緒に真空ポンプにより引出して水素ガスとする。
【発明の効果】
【0007】
密閉容器内で発生するマイクロ波以上の周波数(109Hz以上)を有する電磁波は定常波であり、そのエネルギーは、その周波数の2乗に相当する周波数を持つ電磁波のそれに相当する。すなわち、マイクロ波の定常波のエネルギーは109×2Hzの周波数の電磁波に相当するので、密閉容器内に供給された水素の電離エネルギー(300kcal/mol)より大きなエネルギーとなり、容易に水素が電離して分離状態で陽子と電子が滞溜する。水素ガスとして使用したい時には、密閉容器内を真空引きして陽子と電子とを一緒に引出すと、再結合して水素ガスとなる。水素を電離させると殆ど容器を持たなくなり、密閉容器内に常圧で大量の水素を貯蔵できるし、陽子と電子は電離して水素の形態となっていないので、爆発の恐れがなく安全に貯蔵できる。
【0008】
また、密閉容器内にプラス電極とマイナス電極とを配置すると、陽子はマイナス電極の周囲に、電子はプラズマ電極の周囲に集まり、電極の極性を反転させると陽子と電子とが逆の電極に移動して互いに接近して再結合し易くなり、水素としての容器内からの引出しの効率が向上する。
【0009】
また、密閉容器内にナトリウム等の増幅材を入れてそれを加熱すると、増幅材が原子状で容器内に浮遊し、この増幅材は発生電磁波を増幅するので、例えば、CO2を陽子と中性子と電子にプラズマ崩壊でき、一定時間後に密閉容器から引出せば、中性子もβ崩壊して陽子となり、この際電子も発生し、この電子も加わって大量の水素を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の水素の貯蔵方法及び装置の概略構成図ある。
【
図2】密閉容器内で発生する定常波の説明図である。
【
図4】各元素の一核子当たりの結合エネルギーを示すグラフである。
【
図5】大量生産可能で搬送に適した水素貯蔵装置の概略構成図である。
【
図6】
図5における可動増幅材供給装置の斜視図である。
【
図7】
図5における電極棒の配置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1において、本発明の水素の貯留装置M
1は、耐熱性の金属材料からなる円筒状の密閉容器1を有し、この密閉容器1の内壁はカーボン材2によって内張りされて空間Sを形成している。このカーボン材2には、電気ヒータ3が埋込まれ、このカーボン材2と、これを加熱してカーボン材2の内面からマイクロ波以上の周波数の電磁波を容器内部に放射するヒータ3とが電磁波放射装置を形成している。電磁波放射装置としては、補助的に前記密閉容器1の周面にマグネトロン4を設け、このマグネトロン4から導波管5を容器内部に伸ばし、導波管5からの電磁波を内張りのカーボン材2の内面で反射させてもよい。前記密閉容器1の左端板1aには、水素を供給する供給管6が、その右端板1bには、必要時に陽子と電子とを再結合させて取出すため排出管7が取付けられ、この排出管7には、真空ポンプ8が連結されている。
【0013】
前記電気ヒータ3が、150℃~500℃程度に加熱されると、加熱温度に応じてカーボン材からはマイクロ波(10
9~10
12Hz)及び遠赤外線(10
13Hz)が放射されるが、円筒形をなすカーボン材2からは、定常波が発生する。定常波とは、振動の両端が固定され半波長(1/2λ)の整数倍が、往復動の距離Lをなす波であり、往きの波と復りの波は重なり合うので波動のエネルギーは大きくなる。
図2において、カーボン材2の直径をLとすると、このカーボン材は量子学的に井戸形ポテンシャルをなし、カーボン壁内にエネルギーが閉じ込められて密閉容器1内の空間に存在する分子、原子に作用を及ぼす。
【0014】
円筒形のカーボン材2の内壁から放射される電磁波には質量がないが、その運動量Pは、
P=h/λ=h(エイチバー)κ …(1)
(h:プランク定数、λ:波長、h(エイチバー)=h/2π、κ:波数 2π/λ)
と表示され、その運動エネルギーEは、
E=hγ …(2)
と表示される。
【0015】
ここで、シュレディンガー方程式によれば、
【0016】
【0017】
であり、運動エネルギーEは、時間を含まない波動関数の場合(質量mを有する)、
【0018】
【0019】
となる。
【0020】
更に、本装置の場合、放射される電磁波は、質量mを有しないので、(4)式をそのまま適用できないが、ド・ブロイの物質波の理論から基本的考え方は適用でき(1)式の運動量P=κ/λに基づいてφの2回微分の係数(-h2/2m)(hはエイチバー)を変えれば、適用できると思われる。すなわち、(3)式の-κ2がE=hγに等しくなるように、∂2/∂χ2φの係数Xを定めればよい。
そこで、
-κ2X=E=hγ …(5)
を満足するXを求めればよい。
【0021】
したがって、γ・λ=c(光速)であるので
【0022】
【0023】
となり、
【0024】
【0025】
となる。これは、波動関数φに
【0026】
【0027】
という演算を行うと、運動エネルギーと波動関数のかけ算が求まることを意味する。
【0028】
ここで、あるエネルギーEnの定常波の波長をλnとすると
【0029】
【0030】
となり、カーボン材2内の波動関数φnは、
【0031】
【0032】
となる。(7)式より、
【0033】
【0034】
これより、
【0035】
【0036】
となり、
したがって、
【0037】
【0038】
であり、nが2倍になると、エネルギーEは4倍になり、結局エネルギーEはnの2乗に比例することとなり、(8)式よりnとγとの関係を求めると、
【0039】
【0040】
となり、n2とγ2とは比例するので、エネルギーEは周波数の2乗にも比例することとなる。
【0041】
前記カーボン材2の150℃~500℃の加熱により、マイクロ波(周波数109~1012Hz)及び遠赤外線(周波数1013Hz)が放射されるが、定常波の場合には、マイクロ波は109×2=18~1012×2=24の周波数のエネルギーに相当し、遠赤外線は1026Hzの周波数のエネルギーに相当する。すなわち、カーボン材から放射される電磁波の定常波はX線からγ線に相当するエネルギーを有することとなる。
【0042】
これらのエネルギーを有する電磁波は、空間S内において、いかなる作用をするかを検討する。
(1)カーボン材3の内壁面の温度上昇
電気ヒータ3の設定温度を150℃~500℃の任意の温度に設定する場合において、例えば、150℃に設定した場合、150℃に対応する電磁波(周波数10
9Hz)が発生するが、この定常波のエネルギーは10
18Hzに相当する。この定常波は、
図2に示すように対向壁面に吸収され、その部分で電子を振動させ反射波を放射せしめる。この反射波は、対向壁の放射点に戻る。この間、放射電磁波は、カーボン材2の内面を電気ヒータ3からの入力エネルギーで加熱するので、カーボン材2の表面は入力波による電子の振動が電気ヒータ3の表面より大きく、熱の吸収も大きいので、電気ヒータ3の設定温度より高くなる。一旦カーボン材3の温度を上昇せしめると、以後殆ど電力は不要となり、エネルギーの著しい節約となる。
(2)水素の電離
空間S内に水素ガス(H
2)が供給された場合、水素原子(H)に電磁波が当たった場合、例えば、周波数10
9Hzの定常波の運動エネルギーEは、1光子当たり、
E=hγ
2=6.62×10
-34×10
9×
2
=6.62×10
-16J(ジュール) …(14)
となる。
【0043】
一方、
図3に示すように、水素(H)のイオン化エネルギー(電離エネルギー)は300Kcal/molであり、
これを、1原子当たりのエネルギーに換算すると、
300,000(cal)×4.18(J)/6×10
23×2(個)
=3×10
5×4.18(J)/1.2×10
24=1.045×10
-18(J)
…(15)
この(15)式の値は、(14)式の値よりはるかに小さいので、10
9Hzの周波数の定常波は確実に水素原子を電離させることができる。
(3)トリチウムの無害化
トリチウムを無害化させるためには、どのような周波数をもつ定常波が必要かを検討する。それには、トリチウムの原子核の核力(結合エネルギー)は
図4に示すように、2.57MeVであり、核崩壊のためにはこれ以上のエネルギーを持つ電磁波が必要である。2.57MeVをジュールに換算すると、
2.57×10
6×1.6×10
-19(J)=4.11×10
-13(J)
…(16)
となり、(14)式の値よりはるかに大きくなり、10
9Hzの定常波では、トリチウムの無害化は不可能で、10
11Hz以上の周波数を有する定常波を必要とする。そこで電気ヒータ3の設定温度を上げて400℃以上として周波数の高い電磁波を発生せしめる必要がある。この際、補助的にマグネトロン4を作動させて、電磁波のエネルギーを増やすことが望ましい。
【0044】
次に空間S内での水素の挙動について説明する。
【0045】
真空ポンプ8を作動させ真空引きした空間S内に水素ガス(H
2)が供給されると、水素原子に電磁波が当たり、電子e
-が軌道から飛び出して(
図8)、陽子と分離し(電離)、気体としての容積を持たなくなり、重量は増えるが圧力は上昇しない。したがって、大量の水素が陽子と電子に分離した状態で貯蔵される。すなわち、空間Sは、プラズマ空間を形成し陽子と電子は別々に運動する。
【0046】
供給水素内にトリチウム(T)が混入している場合には、カーボン材2の温度を400℃以上に上昇させて遠赤外線(10
14Hz)を放射させ、
図9に示すように、エネルギーの大きな核力以上のエネルギー(2.57MeV)を持つ電磁波をトリチウム原子に当てる。これにより、原子核の陽子pと中性子nを結合する核力は遮断され、陽子pと2個の中性子は飛散する。これに伴って電子e
-も回転軌道から飛び出す。なお、この際、中性子nは運動量が小さく、カーボン材2を突き抜けることはなく、10~15分間でβ崩壊して陽子pとなり、β崩壊の際に放出された電子も加わって、プラズマ空間Sから引出される水素量が増加することとなる。
【0047】
このように、カーボン材2を加熱しつつ水素ガスを空間S内に充分供給した後に、電気ヒータ3を切り温度を下げると、空間S内の陽子と電子の動きは鈍くなる。
【0048】
そして、貯蔵された水素を取り出す際には、電気ヒータ3を作動させて空間Sを暖めて(100℃前後)陽子と電子の動きを活発にした後に、真空ポンプ8を作動させて空間S内の陽子と電子とを排出管7に引き込み、陽子と電子と近接させ水素ガスとして容積を持たせる。
【0049】
このようにして、水素必要時に真空ポンプ8で引き出した時に陽子と電子が再結合して水素ガスとなるので、貯蔵中には陽子と電子が分離されており、常圧以下で大量の陽子と電子を貯蔵でき、電離した水素は火に触れても爆発することなく、安全である。
【0050】
次に、本発明の他の実施例について説明する。
【0051】
水素は、一般に搬搬送するためにボンベに充填され、再充填して何度も使用する必要があり、搬送可能で大量生産容易なものが水素社会には必要である。
【0052】
図5に示すタイプの小型の水素の貯蔵装置M
2は、ステンレス製の密閉容器をなすボンベケーシング30を有し、このケーシング30内には、カーボン材31が内張りされ、このカーボン材3には、電気ヒータ32が埋設され、これにより、カーボン材31からの放射する電磁波の周波数を調整するとともにプラズマ空間S
2の温度が調整される。前記ケーシング31は、真空室VRに設置された充填台33、33に着脱自在に取り付けられ、このケーシング31のフランジ端板34に対向して蓋体35が真空室VR内に水平に往復動自在に設けられている。この蓋体35は、前記フランジ端板34と協働してケーシング31内のプラズマ空間S
2を密閉する蓋体フランジ36を有している。この蓋体フランジ36には、
図5、6に示すような支持板37が水平に取り付けられ、この支持板37には、電気ヒータ38が埋設されている。前記支持板37上には、電磁波のエネルギーを増幅する増幅材39を収納した収納箱40が支持されており、前記増幅材39は、加熱されて原子状で気化してプラズマ空間S内に充満し、カーボン材31内壁からの電磁波を増幅する。この増幅材39としては、金属ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)等のアルカリ金属が好ましく、アルカリ金属に亜鉛粉、ステンレス粉、アルミニウム粉等を加えたものでも良い。これらの成分が気化した原子状の微粒子は、放射された電磁波と作用して、電磁波の周波数を増大させたり、電磁波の数を増やして電磁波のエネルギーを増大させる。前記ケーシング31の密閉端面30aには、4本の電極棒41が、端面30aの周囲に沿って固定され、この電極棒41は、プラズマ空間S内をその軸に沿って長く伸び、端面30aの周囲に沿う方向に沿ってプラス極、マイナス極、プラス極、マイナス極に設定されている(
図7)。これら電極棒41及び電気ヒータ32はコントローラ42に連結され、このコントローラ42は、電気ヒータ32のコントロールと、電極棒41の極性切換とを行うもので、制御箱43内に収納されている。前記ボンベケージング30には、プラズマ空間Sと外部とを連結する連結管44が設けられ、この連結管44は真空ポンプ8に連なって、弁44aの開閉によって、外部からプラズマ空間内に水素ガス(H
2)又はCO
2ガス(これについては後述する)を供給したり、処理されたガスを真空引きにより外部に引出すのに使用される。
【0053】
水素のボンベ30への充填時においては、ボンベケージング30を充填台33上に固定し、蓋体35を作動させて蓋体フランジ36をボンベケージング30のフランジ端板34に密着させる。この時、増幅材39は、収納箱を介して支持板37に支持されプラズマ空間S内に位置している。この状態でカーボン材31の電気ヒータ32及び支持板37の電気ヒータ38をオンさせて電磁波を発生させるとともに増幅材39を気化させ増幅材の原子状微粒子を電離させてプラズマ空間Sを形成する。
【0054】
この状態で連結管44を介して水素ガス(H2)を供給すると、水素ガスは電離して陽子p+と電子e-に分離して電子e-はプラズマ電極棒41、陽子p+はマイナス電極棒41の周囲に集合する。所定量の水素ガスを処理した後に蓋体フランジ36をケーシングフランジ34から離すように蓋体35を駆動せしめ、支持体37をプラズマ空間S2から引き抜いた後にケーシング31の開口端を着脱自在の端板50で閉塞し、この端板50はフランジ端板34にクランプ締めされる。ケーシング31が開口された時に、真空雰囲気なので陽子pと電子が外に飛び出すことはない。
【0055】
充填する水素ガスの代わりに、CO2ガスをプラズマ空間S内に供給する場合、放射される電磁波は、増幅材39により増幅されるので、CO2のC原子、O原子がプラズマ崩壊して陽子と中性子と電子に崩壊し、中性子は10~15分後にβ崩壊して電子を出して陽子となり、貯蔵される。β崩壊で放出された電子は、再結合時に使用されるので電子不足となる恐れはない。
【0056】
ボンベケージング30から水素を取り出す時には、真空ポンプ8を駆動させるとともにコントローラ42により電極棒41の極性を反転させると、陽子p+はプラスに反転した電極棒41から離れ、マイナスに反転した電極棒41方向に移動すると同時に電子e-も反対の電極棒41方向に移動する。このように、陽子と電子とが向かい合う方向に移動するので、再結合が起き易くなる。この時には、各電気ヒータ32、38を駆動させてプラズマ空間の温度を上昇させれば、再結合がより活発に生じることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、水素社会実現のための全般的水素貯蔵分野に寄与でき、搬送型のものは自動車業界で使用が可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1…密封容器
2…カーボン材
3…電気ヒータ
4…マグネトロン
30…ボンベケージング
31…カーボン材
33…充填台
35…蓋体
39…増幅材