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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112585
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】水田除草機
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
A01B39/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008428
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】秦 啓二
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA07
2B034BB01
2B034BC03
2B034BG01
2B034BG02
2B034HA16
2B034HB02
2B034HB14
2B034HB42
2B034HB45
(57)【要約】
【課題】機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させる水田除草機にあって、除草体が確実に表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行うことができるようにすると共に、水深の深浅に関わらず機体を適正に推進させることができる水田除草機を提供する。
【解決手段】機体にフロート1に作用する浮力調節手段10、24、25を設け、この浮力調節手段によって除草体21の表土に対する作用深さを変更可能に構成する。また、浮力調節手段としてフロートの下部に貯留室27を設け、この貯留室に溜める水量を変更してフロートに作用する浮力を調節する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させる水田除草機にあって、前記機体にフロートに作用する浮力調節手段を設け、この浮力調節手段によって除草体の表土に対する作用深さを変更可能に構成することを特徴とする水田除草機。
【請求項2】
前記フロートの下部に貯留室を設け、この貯留室に溜める水量を変更してフロートに作用する浮力を調節することを特徴とする請求項1に記載の水田除草機。
【請求項3】
前記貯留室に空気を供給するエアポンプと空気の遮断弁を設け、これ等の作動によって貯留室の取排水口から自然流入させて溜めた水を、エアポンプから吐出させた圧縮空気によって排出して、貯留室に溜める水量を変更することを特徴とする請求項2に記載の水田除草機。
【請求項4】
前記浮力調節手段に備える制御装置は、機体に備える浮力調節スイッチの操作信号、或いは無線遠隔操作システムからの操作信号に基づいて、フロートに作用する浮力を調節することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の水田除草機。
【請求項5】
前記浮力調節手段に備える制御装置は、除草体の表土に対する作用深さ、除草体の回転数、或いは機体の推進速度が所定の値になるように浮力調節手段を自動制御して、これにより除草体の表土に対する作用深さを所定の深さに保つことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の水田除草機。
【請求項6】
前記浮力調節手段に備える制御装置は、フロートが水田の浅瀬に乗り上げたことの検出に基づいてフロートに作用する浮力を少なくして、浅瀬からの脱出を図ることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の水田除草機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田雑草の除草を行う水田除草機に関する。
【背景技術】
【0002】
水田における落水に伴う除草剤の水系への流出による薬害の防止等を目的として、慣行される水田への除草剤の散布に代えて、水田雑草の引き抜きや水面を濁らせて雑草の発生を抑える機械的な水田除草機を用いた除草方法が知られている。そして、ここで用いる水田除草機として、機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6548250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1に記載されている水田除草機では、その水田除草機を水田の全面に亘って移動させながら除草体によって水田雑草の除草作業を行う。また、その場合の水田除草機の移動手段は、例えば、トラクタのように前後の車輪を田面に接地させて、この車輪を回転駆動させた際の転がり摩擦によってトラクタを走行させるものではなく、機体を構成するフロート(浮き舟、舟体)を湛水した水に浮かばせて、除草体の回転駆動によって水を後方に押した反動と、除草体の回転駆動によって表土を浅く攪拌した反動で機体の推進力を得て前に進ませるもので、走行させるというよりは足漕ぎボートのように水を掻いて前進させるといった形態に近い。
【0005】
従って、このように構成する水田除草機は、除草体を含めた機体の総重量をできるだけ少なくしながら、水田の湛水した水から受ける浮力によって機体の少なくとも動力源となる電動モータ等が水没しないように、例えば、フロートの上部が常に水面上に位置するように浮かばせると共に、除草体がフロートの下方に回動した際に、その除草体の先端が表土を浅く攪拌する深さに達していなければならず、若し届いていなければ除草効果を殆ど期待することができない。
【0006】
そして、このような水田除草機を用いて除草作業を行う場合、水田に湛水して水田除草機を水田の全面に亘って移動させるに足る水深にしておく必要がある。しかし、水田は出穂後の間断かんがいや収穫に備えて落水する必要があり、その場合、水田の水口側等より尻水門側を低くして落水を容易に行えるように整地する。或いは、土の移動に伴う整地不足等によって、湛水した田面の水深は必ずしも一様ではなく、各水田や水田の場所によってかなりの隔たりがある。さらに、田植機の走行跡や人の歩いた跡は水深が深くなり、また、その周辺は逆に盛り上がって水深が浅くなる傾向がある。
【0007】
そのため、湛水した水の深い場所では、除草体の先端が表土を浅く攪拌する深さに達せず、除草効果を期待することができないと共に、逆に水深の浅い浅瀬ではフロートの底が乗り上げて機体を前に進ませることができなくなる虞がある。そこで、特許文献1では回転ブラシ(除草体)の上下位置を調節できるようにしてもよいと記載されていて、係る除草体の上下位置の調節は、上述の水深の深浅に対応して除草体の先端が表土を浅く攪拌する深さに達するように位置調節を行うことを意図するものと推測される。
【0008】
しかし、この除草体の具体的な上下位置の調節方法は定かではないが、例えばボルトの人力による着脱等を伴う調節であれば、その調節時間を取られるばかりか水深が変化する度に調節のために水田内を歩いて水田除草機まで往復しなければならず、その労力からすれば改良の余地がある。また、水深の浅い浅瀬でフロートの底が乗り上げて機体の前進や後進が不能となった際は、人力によって水田除草機を浅瀬から退避させる必要があって、これまた労力を必要とするばかりか、除草を行わない場所が増えて手作業による除草作業が発生してしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述のような問題点に鑑み、機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させる水田除草機にあって、除草体が確実に表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行うことができるようにすると共に、水深の深浅に関わらず機体を適正に推進させることができる、水田除草機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水田除草機は、上記課題を解決するため第1に、機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させる水田除草機にあって、前記機体にフロートに作用する浮力調節手段を設け、この浮力調節手段によって除草体の表土に対する作用深さを変更可能に構成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は第2に、前記フロートの下部に貯留室を設け、この貯留室に溜める水量を変更してフロートに作用する浮力を調節することを特徴とする。さらに、本発明は第3に、前記貯留室に空気を供給するエアポンプと空気の遮断弁を設け、これ等の作動によって貯留室の取排水口から自然流入させて溜めた水を、エアポンプから吐出させた圧縮空気によって排出して、貯留室に溜める水量を変更することを特徴とする。
【0012】
そして、本発明は第4に、前記浮力調節手段に備える制御装置は、機体に備える浮力調節スイッチの操作信号、或いは無線遠隔操作システムからの操作信号に基づいて、フロートに作用する浮力を調節することを特徴とする。また、本発明は第5に、前記浮力調節手段に備える制御装置は、除草体の表土に対する作用深さ、除草体の回転数、或いは機体の推進速度が所定の値になるように浮力調節手段を自動制御して、これにより除草体の表土に対する作用深さを所定の深さに保つことを特徴とする。
【0013】
そのうえ、本発明は第6に、前記浮力調節手段に備える制御装置は、フロートが水田の浅瀬に乗り上げたことの検出に基づいてフロートに作用する浮力を少なくして、浅瀬からの脱出を図ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水田除草機によれば、機体を構成するフロートを湛水した水に浮かばせ、機体に設ける除草体を回転駆動することによって、除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体を推進させる水田除草機にあって、前記機体にフロートに作用する浮力調節手段を設け、この浮力調節手段によって除草体の表土に対する作用深さを変更可能に構成する。
【0015】
即ち、機体を構成するフロート(或いは、水田除草機)を湛水した水に浮かばせる浮力は、フロートが押し退けている水の重さに等しく、例えば、機体に重し(水)を積み込んで水田除草機の重量を増やせば、フロートはより沈んでフロートに作用する浮力は増すことになる。従って、機体に積み込む重しの多少によってフロートに作用する浮力は変化し、その機体に積み込む重しの重量を変更してフロートに作用する浮力を調節すれば、フロートの水面からの沈下量を調節して機体に設ける除草体の表土に対する作用深さを変更することができる。
【0016】
そのため、水田に湛水した水の水深が深い場所では、浮力調節手段によってフロートに作用する浮力を多くしてフロートを沈ませ(喫水を深くさせ)、これにより除草体が確実に表土を浅く攪拌する作用深さにすることができる。また、逆に水深が浅い場所では、浮力調節手段によってフロートに作用する浮力を少なくしてフロートを浮き上がらせ(喫水を浅くさせ)、同様に除草体が表土を浅く攪拌する作用深さにすることができる。
【0017】
なお、水深が深すぎて除草体が表土に届かず実質的に除草を行っていない場合は、除草体の表土を攪拌させる負荷がなく、その除草体の回転駆動力の全てが機体の推進力に使われるので、除草体の回転数の低下はあまりなく、通常より機体が速く進む傾向にある。また、逆に水深が浅すぎる場合は、除草体が表土に深く作用して表土を攪拌する負荷が増大し、その結果、除草体の回転数が低下して、通常より機体が遅く進む傾向にある。
【0018】
しかし、前述のようにフロートに作用する浮力調節手段によって、除草体の表土に対する作用深さを除草体が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行うようになすと、水深の深浅に関わらず除草体の回転数の低下を防ぎながら、除草体の回転駆動によって水を後方に押した反動と除草体の回転駆動によって表土を浅く攪拌した反動で、水田除草機を適正な速度で進ませることができるので作業能率を向上させることができる。
【0019】
また、前記フロートの下部に貯留室を設け、この貯留室に溜める水量を変更してフロートに作用する浮力を調節すると、機体に積み込む重しの重量を変更してフロートに作用する浮力を調節する際に用いる重しを、水田に湛水する水をそのまま使用することができる。また、フロート上に重しとなる水を汲み上げて水槽等に溜めると、水を汲み上げる際に揚水ポンプが湛水した水の他に泥や空気を吸い込んで故障や作動不能となる虞がある。しかし、フロートの下部に貯留室を設けると、揚水ポンプ等を用いることなく湛水した水をその取排水口から自然流入させて簡単に貯留室に溜めることができる。
【0020】
さらに、前記貯留室に空気を供給するエアポンプと空気の遮断弁を設け、これ等の作動によって貯留室の取排水口から自然流入させて溜めた水を、エアポンプから吐出させた圧縮空気によって排出して貯留室に溜める水量を変更すると、貯留室を水とこの水より桁違いに軽い圧縮空気で満たし、また、その場合に水と空気の貯留比率を変えることによって、フロートに作用する浮力を簡単に調節することができる。
【0021】
なお、貯留室に溜める水の量を増やす場合に貯留室に溜まった空気を排出すべく、例えばエアポンプに4ポート切換弁を設け、この切換弁を吸気側に切り換えて貯留室に溜まった空気をエアポンプによって吸気してもよい。但し、このように構成するとエアポンプが貯留室に溜まった水を誤って吸い込んで故障する虞がある。しかし、エアポンプは貯留室に空気を吐出(排気)するだけに止め、専ら空気の遮断弁の作動によって溜まった空気を大気中に排出すれば、そのような虞を無くすことができると共に、この遮断弁を2ポート切換弁となして安価に構成することができる。
【0022】
また、前記浮力調節手段に備える制御装置は、機体に備える浮力調節スイッチの操作信号、或いは無線遠隔操作システムからの操作信号に基づいて、フロートに作用する浮力を調節する。そのため、水田へ水田除草機を持ち運んでその持ち運んだ畔際で浮力調節スイッチを作業者が操作すると、制御装置は浮力調節手段を制御してフロートに作用する浮力を調節することができる。また、或いは作業者は無線遠隔操作システムの送信機を操作すると、制御装置は同様に浮力調節手段を制御してフロートに作用する浮力を調節することができ、この場合、作業者は水田に入ることなく畔際等で浮力調節の指示を行うことができる。
【0023】
そして、前記浮力調節手段に備える制御装置は、除草体の表土に対する作用深さ、除草体の回転数、或いは機体の推進速度が所定の値になるように浮力調節手段を自動制御して、これにより除草体の表土に対する作用深さを所定の深さに保つ。そのため、作業者は水田除草機によって除草作業を開始する際、或いは作業中に自動制御の指示を制御装置に伝えると以後、制御装置は上述のフィードバック制御によって除草体の表土に対する作用深さを所定の深さに保つので、作業者が常に監視していなくとも除草作業を適切に行わせることができる。
【0024】
また、前記浮力調節手段に備える制御装置は、フロートが水田の浅瀬に乗り上げたことの検出に基づいてフロートに作用する浮力を少なくして、浅瀬からの脱出を図る。そのため、作業者は水田除草機によって除草作業を開始する際、或いは作業中に係る自動制御の指示を制御装置に与えておくと以後、制御装置は上述の緊急事態が生ずると、フロートに作用する浮力を少なくして水田の浅瀬からフロートを浮き上がらせ、この浅瀬から脱出させることができるので、作業者の水田除草機に対する操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明を適用する水田除草機の正面図である。
図2】水田除草機の背面図である。
図3】水田除草機の平面図である。
図4】水田除草機の底面図である。
図5】水田除草機の側面図である。
図6】水田除草機の縦断面図である。
図7】水田除草機の斜視図である。
図8】浮力調節手段の空気圧回路図である。
図9】制御装置のブロック図である。
図10】浮力調節手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の水田除草機を実施するための形態について図面に基づいて説明する。図1乃至図7に示すように水田除草機は、機体を構成する略直方体状のフロート1を備え、このフロート1は発砲プラスチック等の軽量な部材で形成する。また、フロート1の中央部に矩形状の穴2を設け、さらに、底面1aの左右方向の中央部には前後方向の凹部1bを設ける。また、フロート1の前面1cと後面1dはやや下方に向かうにつれて中央側に向かうように傾斜させ、前部寄りの上面1eと後部寄りの上面1f、及び左右端寄りの上面1g、1hは上方に向かうにつれて中央側に向かうように傾斜させる。
【0027】
また、このフロート1の中央上部となる平坦面1iには、四隅をボルトで取り付けた矩形状の台枠3を設ける。そして、この台枠3の後部中央には箱状の置台4を固着して設け、この置台4にバッテリ5をその上部の端子を覆うカバー6とバンド7によって着脱自在に載せ置いて設ける。なお、台枠3の左右方向の中央でその前部と後部に前後方向に張り出す把手部3a、3bを設け、水田除草機をこの把手部3a、3bを利用して持ち運ぶことができる。
【0028】
さらに、台枠3の前後方向の中央でその左右端部には、正面視H型に枠組する駆動フレーム8の両脚部8a、8bの下部をボルトによって取り付けて立設する。また、両脚部8a、8bの上下方向の中間に設ける横梁部8cの左右方向の中央には制御ボックス9を取り付け、この制御ボックス9内にはマイクロコンピュータユニットによって構成する制御装置10を設ける。また、横梁部8cの左右端部にはモータベース11を取り付け、このモータベース11には電動モータ12の出力軸12aを脚部8a、8bの穴を通して外側に向けて突出させて夫々設ける。
【0029】
そして、電動モータ12の出力軸12aに駆動スプロケット13を固定し、また、台枠3の脚部8a、8bを設ける下方と、台枠3の左右方向の中間に前後方向として設ける桟3cに垂下して固着する取付板14、15にホルダ16を夫々取り付け、これ等のホルダ16に設けるベアリングを介して左右の駆動軸17R、17Lをその軸心が左右方向となるように軸受けして設ける。さらに、左右の駆動軸17R、17Lの外端部には夫々従動スプロケット18を固定し、この従動スプロケット18と電動モータ12の駆動スプロケット13に夫々チェーン19を巻き掛ける。なお、電動モータ12はモータベース11に上下方向に移動調節することができ、この移動調節によってチェーン19の巻き掛けと緊張を行うことができる。
【0030】
また、上述の左右の駆動軸17R、17Lには、左右方向に各2個、合わせて4個のドラム20a~20dを固定してあり、この各ドラム20a~20dの外周部には、比較的柔軟な線材を十数本纏めて束となすブラシ21aを左右方向に間隔を空け、また、所定角度(実施形態にあっては36度)ずらしながら放射状に外側に向けて多数(実施形態にあっては10束)設けて除草体21を構成する。なお、左右の駆動軸17R、17L及びドラム20a~20dはフロート1の中央部に設ける穴2や台枠3の左右の穴3d、3eの中に設ける。
【0031】
なお、左右の駆動軸17R、17Lは、フロート1の略上下方向の中間で前後方向にあっては、バッテリ5を載せ置く後方と反対となるやや前方側に設け、各機器の重量に基づくフロート1の前後方向の重量バランスを考慮してこのように前後に分散して配置する。また、各ドラム20a~20dは、その互いの間に所定の左右方向となる間隙を設けるが、右駆動軸17Rと左駆動軸17Lに設ける2つのドラム20a,20b、20c,20dの間の間隙は少なくして、各2つのドラム20a,20b、20c,20dを合算した左右幅を水田に植え付ける稲株の略条間に相当する幅となす。
【0032】
また、左右方向の中央となるドラム20b、20c間の間隙はやや広く設ける。これは左右の駆動軸17R、17Lの端部を軸受けする関係もあるが、フロート1の前後面1c、1dに作用する推進抵抗を減らすために設ける底面1aの中央部に設ける前後方向の凹部1bの意図を引き継いで、ドラム20b、20cが抵抗となることを防止すると共に、その間隙に稲株の条列を臨ませることによってブラシ21aによる稲株の押し倒しを少なくするためでもある。
【0033】
一方、前述のドラム20a~20dに設ける除草体21は、その回転駆動によって描く先端軌跡が円となり、除草体21の各ブラシ21aが水面から下方に向けて突出する際の角度を180度以下となし、この角度において除草体21の各ブラシ21aは水を掻いて後方に押しやり、これにより足漕ぎボートのように機体の推進力が得られる。なお、除草体21がフロート1の中央上部となる平坦面1iから上方に向けて突出する領域を上方から覆う、かまぼこ状のカバー22を台枠3にボルトで着脱自在に取り付けて設け、また、駆動フレーム8にも各機器を覆うカバー23をボルトで着脱自在に取り付けて設ける。
【0034】
そして、このように構成する略2条植え相当の除草幅を備える水田除草機は、バッテリ5も含めて総重量が数十Kgとなり、係る水田除草機を水田の湛水した水の上に、凡そフロート1の底面1aから平坦面1iに亘る高さの3分の1程度の喫水として浮かばせ、また、除草体21を電動モータ12によって回転駆動することによって、除草体21が表土を浅く攪拌して水田雑草の除草を行いながら機体1を推進させ、係る除草作業を水田の全面に亘って行う。
【0035】
なお、水田除草機の除草幅は、実施形態に示す2条植え相当ではなく1条植えや3条植え、或いは4、5条植え相当となしても構わず、敢えて云えば、水田除草機の運搬を考慮してトラックの荷台に平積みすることができる全長と横幅を備え、また、一人或いは二人で畦等に持ち運べる重量とすることが好ましい。
【0036】
以上、水田除草機の基本的な構造について説明したが、次に本発明の特徴とするフロート1に作用する浮力の調節手段について説明すると、この浮力調節手段は新たに追加する機器として、電動エアポンプ(エアポンプ)24と遮断弁25とパイプ26等を使用する。そして、この内、2機のエアポンプ24と4個の遮断弁25は図1に示すように、駆動フレーム8の横梁部8cに設ける制御ボックス9の上方に設ける。
【0037】
また、図5に示すように機体を構成するフロート1の下部に空洞を形成し、この空洞を水や空気を溜める貯留室27となす。そして、この貯留室27を構成する空洞27a~27dは、フロート1の中央部に設ける穴2を挟んだ前後と、前後方向に設ける凹部1bを挟んだ左右に夫々1箇所、合わせて4箇所に設ける。また、各空洞27a~27dは、その厚さが薄く例えば、直方体状となしてフロート1の成型時や成型後に穿いて形成し、フロート1を湛水した水に浮かばせた際の水面より低くなるようにフロート1の底面1aに近い底部に設ける。
【0038】
そして、各空洞27a~27dの下部とフロート1の底面1aに亘る孔28a~28dを夫々各別に穿ち設け、この孔を空洞27a~27dに水を取り込んだり、或いは、水を排出する取排水口28a~28dとなす。また、各空洞27a~27dの上部とフロート1の中央上方となる平坦面1iに至る孔29a~29dを夫々各別に穿ち設け、この孔を空洞27a~27dに空気を取り込んだり、或いは、空気を排出する取排気口29a~29dとなす。
【0039】
さらに、前述のエアポンプ24は、図8に示すように自ら逆流防止弁を備える圧縮ポンプであって、その圧縮空気を吐き出す吐出口は2口備える。そして、一方のエアポンプ24の各吐出口24a、24bを右側の前後に設ける空洞27a、27bの取排気口29a、29bにパイプ26a、26bを介して繋ぐと共に、他方のエアポンプ24の各吐出口24c、24dを左側の前後に設ける空洞27c、27dの取排気口29c、29dにパイプ26c、26dを介して繋ぐ。
【0040】
一方、空気を大気中に放出する位置とこれを止めて遮蔽する2位置に切換える2ポートを備える電磁切換弁で構成する4つの遮断弁25a~25dは、4つのパイプ26a~26dの中途から分岐させて夫々設ける。なお、各空洞27a~27dに取排気口29a~29dと同様な排気口を設け、それにより空気の取入口と排気口を分けて設ける場合は、その取入口とエアポンプ24をパイプ26で繋ぎ、また、排気口に遮断弁25を設けてもよい。また、エアポンプ24の吐出口側に必要に応じて減圧弁を設けたり、エアポンプ24の吸気口側にファイルタを設けてもよい。
【0041】
次に、水田除草機の各部を制御する制御装置10について説明すると、図9に示すように制御装置10を構成するマイクロコンピュータユニット30は、2つの電動モータ12R、12Lの正逆回転制御と2つのエアポンプ24R、24Lの作動制御と4つの遮断弁25a~25dの作動制御を行う。この内、電動モータ12R、12Lの正逆回転制御は無線により遠隔操作するシステムを用い、ここではラジオコントロールを行う送信機31とマイクロコンピュータユニット30に設ける受信器32を使用し、作業者が送信機31の2つのジョイスティック31a、31bを上下方向に操作すると受信器32がその信号を受け取り、マイクロコンピュータユニット30は作業者の操作指示通りに電動モータ12R、12Lを正逆回転させる。
【0042】
そのため、電動モータ12R、12Lが共に正回転駆動すると左右の駆動軸17R、17Lが共に正回転駆動され、これに伴って左右の駆動軸17R、17Lに設ける除草体21は正回転して水田除草機を前進させる。また、逆に電動モータ12R、12Lが共に逆回転駆動すると、除草体21は逆回転して水田除草機を後進させ、同様に電動モータ12R、12Lの回転停止によって水田除草機を停止させたり、両電動モータ12R、12Lの駆動回転数差で水田除草機を緩旋回や信地旋回、或いは超信地旋回させることができる。
【0043】
また、2つのエアポンプ24R、24Lの作動制御と4つの遮断弁25a~25dの作動制御は互いに関連して制御するものであって、両者の作動制御によってフロート1に作用する浮力の調節制御を行う。より詳細には、押しボタン操作式の手動上昇スイッチ33と手動下降スイッチ34(浮力調節スイッチ)が左右のエアポンプ24a、24bに対応して2組、制御装置10に設けてあり、例えば、右上昇スイッチ33aをその押ボタンによって入りにすると、マイクロコンピュータユニット30は右のエアポンプ24Rを作動させて、その吐出口24a、24bから吐出する圧縮空気をパイプ26a、26bと取排気口29a、29bを通して右側の空洞27a、27bに供給する。
【0044】
なお、この場合、遮断弁25a、25bは閉じていて、右側の空洞27a、27bに圧縮空気が徐々に溜まることになる。また、押ボタンから手を放して右上昇スイッチ33aが切りとなると、マイクロコンピュータユニット30は右のエアポンプ24Rの作動を止める。そして、エアポンプ24Rの作動が停止すると、右側の空洞27a、27b内への圧縮空気の供給がストップして、それまで供給した圧縮空気が空洞27a、27b内に溜まった状態が維持される。
【0045】
一方、右下降スイッチ34aをその押ボタンによって入りにすると、マイクロコンピュータユニット30は遮断弁25a、25bを開き、それにより右側の空洞27a、27bに溜まった圧縮空気が取排気口29a、29bとパイプ26a、26bを介して大気中に放出される。そして、押ボタンから手を放して右側下降スイッチ34aが切りとなると、マイクロコンピュータユニット30は遮断弁25a、25bを閉じて、圧縮空気の大気中への放出をストップする。
【0046】
また、左上昇スイッチ33bと左下降スイッチ34bを入り切りさせた場合も、マイクロコンピュータユニット30は、同様に左のエアポンプ24Lと遮断弁25c、25dの作動制御を行って空洞27c、27dに対する圧縮空気の供給と排出を行う。
【0047】
そして、以上のように空洞27a~27dに供給する圧縮空気の量を変化させた場合、各空洞27a~27dは湛水した水の水面下に設けるから、空洞27a~27dに圧縮空気を供給すると空洞27a~27dに溜まった水がその空気圧によって取排水口28a~28dを通って排出され、また、空洞27a~27dに溜まった圧縮空気を大気中に排出すると、湛水した水が大気圧に押されて取排水口28a~28dを通って自然に流入し、空洞27a~27d内に水が溜まる。
【0048】
ところで、フロート1の空洞27a~27dに溜まる水は圧縮空気より桁違いに重いから、空洞27a~27dに溜まる水はフロート1に積み込む重し(バラスト)となる。そして、この重し(水)を積み込んで水田除草機の重量を増やせば、フロート1はより沈んでフロート1に作用する浮力は増すことになる。従って、機体に積み込む重しの多少によってフロート1に作用する浮力は変化し、その機体に積み込む重しの重量を変更してフロート1に作用する浮力を調節すれば、フロート1の水面からの沈下量を調節して機体に設ける除草体21の表土に対する作用深さを変更することができる。
【0049】
以上、水田除草機の機体に設ける上昇スイッチ33と下降スイッチ34によってフロート1に作用する浮力を調節することを説明したが、これ等のスイッチ33、34は主に水田除草機を畔際から水田上に浮かせて除草作業を開始する際と、除草作業を終えて水田除草機を畔に持ち上げる際に使用する。つまり、除草作業を開始する際にフロート1の空洞27a~27d内には通常空気のみが溜まっているから、除草体21の表土に対する作用深さが適正になるように下降スイッチ34を操作して、空洞27a~27d内に湛水する水を適切な量だけ自然流入させる。
【0050】
また、除草作業を終えて水田除草機を畔に持ち上げる際には、上昇スイッチ33、或いは下降スイッチ34を操作して空洞27a~27d内に溜まった水を全て排出し、水田除草機の重量を本来の重量に戻して持ち上げ易くする。要するに、空洞27a~27d内に水が溜まっていると、水田除草機を持ち上げても空洞27a~27d内は密閉状態であるから上部に溜まった空気が減圧されたとしても水を即座に排出することができないから、エアポンプ24R、24Lによって水を強制的に排出させたり、遮断弁25a、25bを開きながら水田除草機を持ち上げることによって密閉状態を解除して水を排出する。
【0051】
一方、図10の(a)に示すように除草体21の表土に対する作用深さが適正になるように例えば、空洞27a~27d内に約半分程度の水を溜めて除草作業を開始した後、(b)に示すように湛水した水の水深が深くなり、除草体21の表土に対する作用深さが浅すぎて水田除草機21の推進速度が速くなった場合は、作業者が送信機31の2つのジョイスティック31a、31bを左右方向の内側に向けて操作して、それにより受信器32がその信号を受け取ってマイクロコンピュータユニット30は下降スイッチ34が入りとなった時と同様に、空洞27a~27d内に溜める水の量を増やしてフロート1を沈下させる。
【0052】
また、逆に、図10の(c)に示すように湛水した水の水深が浅くなり、除草体21の表土に対する作用深さが深すぎて水田除草機21の推進速度が遅くなった場合は、作業者が送信機31の2つのジョイスティック31a、31bを左右方向の外側に向けて操作して、それにより受信器32がその信号を受け取ってマイクロコンピュータユニット30は上昇スイッチ33が入りとなった時と同様に、空洞27a~27d内に溜まった水を排水してその量を減らしてフロート1を上昇させる。そのため、湛水した水の水深の深浅に応じてフロート1に作用する浮力の調節制御を行って、除草体21の表土に対する作用深さを適正に調節することができる。
【0053】
さらに、図10の(d)に示すように水田の浅瀬にフロート1が乗り上げて水田除草機21がストップした場合は、(c)に示す湛水した水の水深が浅くなった場合と同様に作業者が送信機31の2つのジョイスティック31a、31bを左右方向の外側に向けて操作し、フロート1を上昇させて浅瀬からの脱出を図る。また、それでも脱出が困難な場合は、作業者が送信機31の2つのジョイスティック31a、31bを上下方向に操作して、水田除草機を一旦後進させた後、浅瀬を迂回して再び前進させるといった回避操作を行う。
【0054】
なお、前述の除草作業を開始した後のラジオコントロールによる作業者の遠隔操作によってフロート1に作用する浮力の調節制御を行う方法に代えて、これを自動制御によって行うことができるようにしてもよい。即ち、その場合には、マイクロコンピュータユニット30に自動制御を指示する自動スイッチ35と、除草体21の表土に対する作用深さを検出するための距離センサ36と、フロート1が水田の浅瀬に乗り上げたことを検出するための近接センサ37を機体に設ける。
【0055】
なお、自動スイッチ35は、制御ボックス9の前面に設ける制御装置10のメインスイッチ10aと、前述の浮力調節スイッチ33、34と共に併設して設ける。また、距離センサ36は、除草体21が攪拌する表土に臨むように左右の駆動軸17R、17L間に位置させて台枠3の桟3cに取り付けて設ける。さらに、近接センサ37は、フロート1の前後端部の左右方向の中央となる底面1aに1つずつ(37a、37b)設ける。
【0056】
また、距離センサ36は、例えばリニア可変変位トランスデューサ等のセンサを用い、その変位軸36aの下端には橇体36bを取り付け、この橇体36bが表土に接地して表土の凹凸に倣って上下動して除草体21の表土に対する作用深さをアナログ的に検出することができる。さらに、近接センサ37は、例えばリミットスイッチをダイヤフラムで覆ったセンサ等を用い、水田の浅瀬にフロート1の底面1aが乗り上げるとリミットスイッチが表土に当接して入りとなってフロート1が水田の浅瀬に乗り上げたことを検出することができる。
【0057】
そして、マイクロコンピュータユニット30は、自動スイッチ35の押しボタンが押されると自動制御を開始し、その場合に距離センサ36によって除草体21の表土に対する作用深さが足りないと判断すると、下降スイッチ34を操作した場合と同様に遮断弁25を作動させて空洞27内に水を自然流入させてフロート1と共に除草体21を沈下させる。また、逆に距離センサ36によって除草体21の表土に対する作用深さが多すぎると判断すると、上昇スイッチ33を操作した場合と同様にエアポンプ24を作動させて空洞27内に溜まる水を排出してフロート1と共に除草体21を上昇させる。
【0058】
従って、係るマイクロコンピュータユニット30のフィードバック制御によって、除草体21の表土に対する作用深さが適正になるように自動制御することができ、作業者が常に監視していなくとも除草作業を適切に行わせることができる。また一方、マイクロコンピュータユニット30は、近接センサ37によって水田の浅瀬にフロート1が乗り上げたと判断すると、上昇スイッチ33を操作した場合と同様にエアポンプ24を作動させて空洞27内に溜まる水を排出してフロート1を上昇させ、浅瀬からの脱出を図ることができるので、作業者の水田除草機に対する操作負担を軽減することができる。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、水田除草機を推進させたり除草を行わせるための動力源を電動モータ12に代えてエンジンを用いたり、浮力調節手段に設けるエアポンプ24に代えてガスボンベを設け、このガスボンベを圧縮空気の吐出源となすこともできる。また、エアポンプ24を排気吸引の両用タイプを用いたり、4ポート切換弁によって排気と吸引に切り換えて用い、これにより遮断弁25を無くしてもよい。
【0060】
さらに、この場合、空洞27内の空気をエアポンプ24によって吸引して、その負圧により空洞27内に水を溜めるようにすると、空洞27を上方に拡大して水面より高く水を溜めることができ、それによりフロート1の沈下量を増大させて湛水する水の水深への対応を増すことができる。また、空洞27内に不透水性の可撓膜を設けて空気と水の層を分離すれば、空洞27内からの空気の不測な漏れを防ぐことができ、更には空気をエアポンプ24によって吸引した際の水や泥等の不測な吸い込みを防止することができる。
【0061】
なお、空洞27を4つ設けてエアポンプ24を2つ、及び遮断弁25を4つ設けたが、4つの空洞27を相互に連通させたり、或いは前後又は左右の空洞27を相互に連通させればエアポンプ24を1つ、及び遮断弁25を1つ乃至2つに減らすことができる。また、逆に4つの空洞27に対してエアポンプ24と遮断弁25を個別に設けると、浅瀬に乗り上げた際のフロート1の前後又は左右の傾きに対してより的確な浮力調節を行って浅瀬からの脱出を図ることができたり、水田除草機の前後バランス又は左右バランスの矯正を行うことができる。
【0062】
また、除草体21の表土に対する作用深さを検出するために距離センサ36を設けるが、このセンサをアナログ的ではなくデジタル的に2つのリミットスイッチを用いて構成してもよく、更には、超音波センサやレーザーセンサ等の非接触型のセンサを用いたり、除草体21の回転数を検出する電磁ピックアップセンサ等を設け、除草体21の表土に対する作用深さによって負荷が変化し、この負荷によって除草体21の回転数が増減することから除草体21の表土に対する作用深さをこの電磁ピックアップセンサによる除草体21の回転数から予測してもよい。
【0063】
或いは、その回転数の増減によって機体の推進速度が変化するから、機体の速度を例えば水車型の速度センサを設けて検出し、これによって除草体21の表土に対する作用深さを予測してもよい。また、フロート1が水田の浅瀬に乗り上げたことを検出するために近接センサ37を設けるが、この近接センサ37もレーザーセンサ等の非接触型のセンサや、フロート1が水田の浅瀬に乗り上げた際の前後方向や左右方向の傾きをジャイロセンサ等を用いて検出してもよい。さらに、制御装置10の前面に設ける浮力調節スイッチ33、34や自動スイッチ35を廃止し、これらの操作信号を送信機31に集約して設けてもよい。
【0064】
そして、フロートに作用する浮力調節手段としては、フロート1上に水槽やウォータバックを設けて、湛水した水を揚水ポンプによって汲み上げてこれ等に溜めてもよい。また、フロート1の底面1aに空洞27に相当する複数のエアバックを取付けて設け、これ等のエアバックに圧縮空気を供給したり排出することによってエアバックの水を押し退ける体積を変化させ、これによりフロートに作用する浮力をエアバックに作用する浮力を減算した形態で調節してもよい。或いは、空洞27に溜まる水をピストン等によって機械的に排出するようにしてもよい。
【0065】
さらに、水田除草機にRTK-GNSS等の衛星測位システムを搭載し、このシステムを利用して田植機で植え付けた稲株に沿うように水田除草機を直進制御したり、或いは、枕地相当箇所ではフロート1を上昇させて除草を行わず旋回させたり、機体の推進速度を検出するセンサとしてもよく、本発明の水田除草機は、前記実施形態に必ずしも限定するものではない。
【符号の説明】
【0066】
1 フロート(機体)
10 制御装置
21 除草体
24 エアポンプ
25 遮断弁
27 空洞(貯留室)
33 上昇スイッチ(浮力調節スイッチ)
34 下降スイッチ(浮力調節スイッチ)
36 距離センサ
37 近接センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10