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▶ 星 雅人の特許一覧

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  • 特開-グランドピアノ用鍵盤蓋 図1
  • 特開-グランドピアノ用鍵盤蓋 図2
  • 特開-グランドピアノ用鍵盤蓋 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112596
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】グランドピアノ用鍵盤蓋
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/02 20060101AFI20220727BHJP
   G10C 1/04 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G10C3/02 100
G10C1/04
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008446
(22)【出願日】2021-01-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】713008371
【氏名又は名称】星 雅人
(72)【発明者】
【氏名】星 雅人
(57)【要約】
【課題】ピアノ本体の打弦機構収納エリアから出る音に関して、演奏者側にデリケートな響き具合の情報が伝わってこない。
【解決手段】鍵盤蓋を開いた際に、ピアノ本体の前框下部の開口部を閉鎖する閉鎖板を前記張り出し部と反対側の鍵盤蓋端部に設けるとともに、鍵盤蓋に、開閉自在とする窓パネルを備えた開口窓を設け、演奏中に窓パネルを開くことにより、ピアノ本体からのデリケートな音情報も感じ取ることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸を支点とした回動により開閉可能な厚さが均一な平板状の鍵盤蓋であって、鍵盤蓋を閉じた際に、ピアノ本体の口棒と接合する張り出し縁部を鍵盤蓋に備え、かつ、ピアノ本体の前框下部の開口部を閉鎖する閉鎖板を前記張り出し縁部と反対側の鍵盤蓋端部に設けるとともに、鍵盤蓋には開口窓を設け、鍵盤蓋を開いた際に、該開口窓を開閉自在とする窓パネルを備えたことを特徴とするグランドピアノ用鍵盤蓋。
【請求項2】
前記開口窓は、前記鍵盤蓋の長手方向で前記支軸側に設けられた横長の形状であり、前記開口窓を開閉する窓パネルは蝶番により鍵盤蓋に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のグランドピアノ用鍵盤蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドピアノ用の鍵盤蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鍵盤蓋を開いた状態を示す断面図を図3に示す。図3において、鍵盤蓋2が閉まる位置は、ピアノ本体1の口棒3と鍵盤蓋2の張り出し縁部2aが接触した位置である。正確には、口棒3に設置した緩衝のためのゴムボタン4と、張り出し縁部2aの端部との接触で決まる。また、鍵盤蓋2の演奏者側の張り出し縁部2aの反対側にいくほど厚みを有する断面視傾斜した曲線状の構造となっており、その最大厚を有する端部2bが、鍵盤蓋2を閉じた際に、ピアノ本体1の前框5の下部の開口部6を閉鎖する状態となり、ピアノ内部と外部との温湿度変化を極力防いでいる。鍵盤蓋2を開いた際には、前框5の下部の開口部6が露出されるが、鍵盤蓋2に遮られて見えなくなる。なお、10は鍵盤蓋2の開閉時の支点となる支軸である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-154658
【特許文献2】特開平10-143142
【特許文献3】実登3038004
【特許文献4】実開昭62-006796
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の鍵盤蓋では、前框5とその下部の開口部6が演奏中は概ね塞がれているため、ピアノ本体1の図示せぬ打弦機構収納エリアから出る音のエネルギーが、鍵盤側に開放されずピアノ本体1内で滞留することになり、演奏者側に、デリケートな響き具合の情報が伝わってこない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、厚さが均一な平板状の鍵盤蓋であって、鍵盤蓋を閉じた際に、ピアノ本体の前框下部の開口部を閉鎖する閉鎖板を前記張り出し部と反対側の鍵盤蓋端部に設けるとともに、鍵盤蓋には開口を設け、鍵盤蓋を開いた際に、該開口を開閉自在とする窓パネルを備えたことを特徴とするグランドピアノ用鍵盤蓋を提供する。
【発明の効果】
【0006】
鍵盤蓋の窓パネルを開くことにより、即座に空間通路を作ることができ、演奏者が自分の判断で、作曲者や曲想のため音響効果を、ペダル機能だけでなく、新しい方法手段として、音色や音量調整を自由に機能調整できる方法手段が提供される。演奏者の指から指令した、瞬間の音とタッチ感の情報をより速く、緻密に、鍵盤に触れている手元の皮膚や神経から掴み取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の鍵盤蓋の使用状態を示す部分断面図である。
図2】本発明の鍵盤蓋の斜視図である。
図3】従来の鍵盤蓋の使用状態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の鍵盤蓋の使用状態を示す部分断面図、図2は本発明の鍵盤蓋の斜視図である。これらの図において、図3と同じ構成部については同番号を付し、詳細な説明は省略する。図1及び図2において、鍵盤蓋7は、支軸10を支点として回動することにより、鍵盤蓋7を開閉可能としている。鍵盤蓋7の前記支軸10と反対側には、一対の張り出し縁部7aが設けられ、鍵盤蓋7を閉じた際に、前記張り出し縁部7aの端部が口棒3に設置されたゴムボタン4と接合するようになっている。なお、この一対の張り出し縁部7aは、所定の間隔を有して設けられているので、鍵盤蓋7を閉じた場合でも、鍵盤蓋7と口棒3には空隙を有するので、この空隙の箇所に指が入るようにして鍵盤蓋7を閉じることが可能となる。
【0009】
また、鍵盤蓋7の支軸10側には、閉鎖板7bが鍵盤蓋7の平板部と垂直になるように設けられており、鍵盤蓋7を閉じた際に、前框5の下部の開口部6を閉鎖するような形状となっている。さらに、鍵盤蓋7を開いた際には、鍵盤蓋7により前記開口部6が遮蔽されるのだが、本発明の鍵盤蓋7には、横長の開口窓9が支軸10側に設けられるとともに、この開口窓9は蝶番11で鍵盤蓋7に支持された窓パネル8により開閉自在となっている。したがって、鍵盤蓋7を開き、前記窓パネル8も開いた際に、ピアノ本体の打弦機構収納内部からの音が演奏者側の手元に流れる空間通路を作り、この状態で演奏することにより、開口窓9からピアノの演奏音を導出することが可能となる。そのため、打弦機構収納エリアから出る音のエネルギーが、ピアノ本体1内で滞留することなく、演奏者にデリケートな響き具合の情報を伝えることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、演奏者が演奏中に微妙な音の雰囲気を感じ取ることを可能にしたグランドピアノ用の鍵盤蓋として有用である。
【符号の説明】
【0011】
1・・・ピアノ本体、2・・・鍵盤蓋、2a・・・張り出し縁部、2b・・・端部、3・・・口棒、4・・・ゴムボタン、5・・・前框、6・・・開口部、7・・・鍵盤蓋、7a・・・張り出し縁部、7b・・・閉鎖板、8・・・窓パネル、9・・・開口窓、10・・・支軸、11・・・蝶番
図1
図2
図3