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  • 特開-止血具 図1
  • 特開-止血具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112626
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】止血具
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20220727BHJP
   A61F 13/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20220727BHJP
   A61L 15/42 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61F13/00 301M
A61F13/00 301C
A61F13/00 301Q
A61F13/02 345
A61L15/18 110
A61L15/42 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008487
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】513070716
【氏名又は名称】株式会社環境衛生
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】水野 茂治
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA11
4C081CG07
4C081DA02
4C081DC01
4C081DC04
4C081EA02
(57)【要約】
【課題】止血作用を高めることができる止血具を提供する。
【解決手段】内側の面が創傷部に接する不織布である第1不織布1と、第1不織布1の外側に隣接する濾過紙である第1濾過紙2と、第1濾過紙2の外側に隣接する綿である綿吸血マット3と、綿吸血マット3の外側に隣接する濾過紙である第2濾過紙4と、第2濾過紙4の外側に隣接する吸血紙であり、高分子吸収体の第1粒子群を含有している第1高分子含有吸血紙5と、第1高分子含有吸血紙5の外側に隣接する吸血紙であり、第1粒子群に比べて平均的に大径の高分子吸収体の第2粒子群を含有している第2高分子含有吸血紙6と、第2高分子含有吸血紙6に隣接する防水性を有する膜である防水膜紙7とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側の面が創傷部に接する不織布である第1不織布と、
前記第1不織布の外側に隣接する濾過紙である第1濾過紙と、
前記第1濾過紙の外側に隣接する綿である綿吸血マットと、
前記綿吸血マットの外側に隣接する濾過紙である第2濾過紙と、
前記第2濾過紙の外側に隣接する吸血紙であり、高分子吸収体の第1粒子群を含有している第1高分子含有吸血紙と、
前記第1高分子含有吸血紙の外側に隣接する吸血紙であり、前記第1粒子群に比べて平均的に大径の高分子吸収体の第2粒子群を含有している第2高分子含有吸血紙と、
前記第2高分子含有吸血紙に隣接する防水性を有する膜である防水膜紙とを備える
ことを特徴とする止血具。
【請求項2】
前記第1濾過紙及び前記第2濾過紙は、銀イオンを含んでいる
ことを特徴とする請求項1に記載の止血具。
【請求項3】
前記不織布と前記防水膜紙とは、端縁同士が接着されていることで、袋形状を形成している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の止血具。
【請求項4】
前記第1不織布の内側の面の端縁に固定されており、前記創傷部の周囲の皮膚に貼り付け可能なテープである皮膚用テープを備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の止血具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷部に当てる止血具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、創傷部の出血を止めるための止血具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-204954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1等の従来の止血具は、止血できる血液量が少ないため、創傷状況によっては対応できない場合がある。
【0005】
本発明では、このような課題に鑑み、より止血作用を高め、出血量が多い場合も、素早い凝固化と凝固化の維持を改善することができる止血具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点における止血具は、
内側の面が創傷部に接する不織布である第1不織布と、
前記第1不織布の外側に隣接する濾過紙である第1濾過紙と、
前記第1濾過紙の外側に隣接する綿である綿吸血マットと、
前記綿吸血マットの外側に隣接する濾過紙である第2濾過紙と、
前記第2濾過紙の外側に隣接する吸血紙であり、高分子吸収体の第1粒子群を含有している第1高分子含有吸血紙と、
前記第1高分子含有吸血紙の外側に隣接する吸血紙であり、前記第1粒子群に比べて平均的に大径の高分子吸収体の第2粒子群を含有している第2高分子含有吸血紙と、
前記第2高分子含有吸血紙に隣接する防水性を有する膜である防水膜紙とを備える
ことを特徴とする。
【0007】
より好適には、
前記第1濾過紙及び前記第2濾過紙は、銀イオンを含んでいる
ことを特徴とする。
【0008】
より好適には、
前記不織布と前記防水膜紙とは、端縁同士が接着されていることで、袋形状を形成している
ことを特徴とする。
【0009】
より好適には、
前記第1不織布の内側の面の端縁に固定されており、前記創傷部の周囲の皮膚に貼り付け可能なテープである皮膚用テープを備える
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る止血具によれば、止血作用を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例に係る止血具の断面図である。
図2】本発明の実施例に係る止血具を内側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る止血具について、実施例にて図面を用いて説明する。なお、下記実施例中における「内側」とは人体の創傷部側あるいは皮膚側を指し、「外側」とはその反対側を指すものとする。
【実施例0013】
図1に示すように、本実施例に係る止血具は、第1不織布1、第1濾過紙2、綿吸血マット3、第2濾過紙4、第1高分子含有吸血紙5、第2高分子含有吸血紙6、防水膜紙7、及び、皮膚用テープ8を備えている。そして、第1不織布1、第1濾過紙2、綿吸血マット3、第2濾過紙4、第1高分子含有吸血紙5、第2高分子含有吸血紙6、防水膜紙7は、列挙順に積層されている。
【0014】
第1不織布1及び防水膜紙7(特に後述する第2不織布7B)は、他の層(第1濾過紙2、綿吸血マット3、第2濾過紙4、第1高分子含有吸血紙5、及び、第2高分子含有吸血紙6)に比べて面積が大きくなっており、第1不織布1及び防水膜紙7(特に後述する第2不織布7B)の端縁全周同士が接着されていることで、袋形状を形成している。
【0015】
他の層(第1濾過紙2、綿吸血マット3、第2濾過紙4、第1高分子含有吸血紙5、及び、第2高分子含有吸血紙6)については、第1不織布1と防水膜紙7との間、すなわち第1不織布2と防水膜紙7により形成される袋形状の内部において、互いに接着されておらず単に積層されているだけのものであり、多少動いても問題ないものである。ただし、隣接する層同士が接着されているものとしてもよい。
【0016】
第1不織布1は、内側の面が創傷部に接する不織布である。また、好ましくは第1不織布1の表面は凹凸形状であり、これにより創傷部との接着面積が少なくなるので、創傷部に当てた際の負傷者の痛みを軽減することができる。
【0017】
第1濾過紙2は、第1不織布1の外側に隣接する濾過紙である。第1濾過紙2は、銀イオンを含んでおり、防菌作用を奏することができるとともに、血液の一部を通過させる。
【0018】
綿吸血マット3は、第1濾過紙2の外側に隣接する綿である。綿吸血マット3は吸血機能を有する。
【0019】
第2濾過紙4は、綿吸血マット3の外側に隣接する濾過紙である。第2濾過紙4は、銀イオンを含んでおり、防菌作用を奏することができるとともに、血液の一部を通過させる。
【0020】
第1高分子含有吸血紙5は、第2濾過紙4の外側に隣接する吸血紙である。第1高分子含有吸血紙5は、第2高分子含有吸血紙6に比べて平均的に小径の高分子吸収体の第1粒子群を含有しており、第1濾過紙2を通過した血液の一部を吸収し、高速でゲル化する。
【0021】
第1粒子群は、粒子形状が顆粒状で、好ましくは中心粒子径160μm程度であり、即時に大容量の吸収力を有する高吸収性速度タイプで、生食倍率(ティーバッグ法)60~70g/gであるものとする。
【0022】
第2高分子含有吸血紙6は、第1高分子含有吸血紙5の外側に隣接する吸血紙である。第2高分子含有吸血紙6は、第1高分子含有吸血紙5の第1粒子群に比べて平均的に大径の高分子吸収体の第2粒子群を含有しており、第1高分子含有吸血紙5を通過した血液の一部を吸収ゲル化しつつ1高分子含有吸血紙5の凝固強度維持を助成する。
【0023】
第2粒子群は、粒子形状が顆粒状で、好ましくは中心粒子径350μm程度であり、生食倍率(ティーバッグ法)60g/g前後、高ゲル強度タイプで、第1粒子群に対して強度2倍以上で抗菌性を有する高吸収性樹脂であるものとする。
【0024】
第1粒子群を含む第1高分子含有吸血紙5は、多量の血液を吸収することができるものの、血液に対する反応が遅い。一方、第2粒子群を含む第2高分子含有吸血紙6は、少量の血液しか吸収できないものの、血液に対する反応が速い。したがって、第1高分子含有吸血紙5で吸収する前に通過してしまった血液を第2高分子含有吸血紙6により吸収し、第2高分子含有吸血紙6により吸収しきれなくなった分の血液は再度第1高分子含有吸血紙5が吸収することになる。
【0025】
防水膜紙7は、第2高分子含有吸血紙6に隣接する防水性を有する膜である。より詳しくは、防水膜紙7は、ビニール等から成る防水性を有する防水層7A、及び、防水層7Aの外側に接着された第2不織布7Bから成るものである。
【0026】
第2不織布7Bは防水層7Aに比べて面積が大きくなっており、その防水層7Aからはみ出た端縁部分が、第1不織布1の端縁と接着されている。
【0027】
皮膚用テープ8は、第1不織布1の内側の面の端縁に固定されており、第1不織布1が接する創傷部の周囲の皮膚に貼り付け可能なテープである。第1不織布1が矩形である場合、図2に示すように、2つの長辺に相当する端縁に設けられるのが好ましい。
以上が、本実施例に係る止血具の構成の説明である。
【0028】
本実施例に係る止血具は、創傷部に対し第1不織布1が接するように当てることで、吸血作用及び止血作用を奏することができる。
【0029】
また、本実施例に係る止血具は、皮膚用テープ8を用いず、防水膜紙7の外側に、例えば包帯のような帯状のものを設け、これを人体に巻き付けるようにして、第1不織布1を創傷部に当てるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、止血具として好適である。
【符号の説明】
【0031】
1 第1不織布
2 第1濾過紙
3 綿吸血マット
4 第2濾過紙
5 第1高分子含有吸血紙
6 第2高分子含有吸血紙
7 防水膜紙
7A 防水層
7B 第2不織布
8 皮膚用テープ
図1
図2