(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112653
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】サイクロン内筒の構成用パネル、およびサクロン内筒
(51)【国際特許分類】
B04C 5/12 20060101AFI20220727BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20220727BHJP
F27D 13/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B04C5/12 Z
F27D17/00 103
F27D13/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008522
(22)【出願日】2021-01-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】591196887
【氏名又は名称】大平洋特殊鋳造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】岩方 俊幸
【テーマコード(参考)】
4D053
4K056
4K063
【Fターム(参考)】
4D053AA03
4D053AB01
4D053BA01
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD04
4D053CC01
4D053CC18
4D053CF04
4D053DA04
4K056AA12
4K056BA06
4K056CA08
4K056DA02
4K056DA24
4K056DA33
4K056DB13
4K063AA06
4K063AA18
4K063BA07
4K063BA15
4K063CA05
4K063GA02
4K063GA16
(57)【要約】
【課題】寿命が大きいサイクロン内筒を構成するパネルを提供する。
【解決手段】複数枚のパネル(15)を円周方向と上下方向とに接続してサイクロン内筒(3)を構成するようになっているパネル(15)を対象とする。パネル(15)は平面形状が長方形状を呈した所定の板厚からなるが、本発明においては、板厚を一様でなく一部を厚肉に形成する。具体的にはパネル(15)は長方形の両方の長辺近傍において厚肉に形成する。なお、長方形の一方の短辺に相当する上端部において吊部(17)を形成し、他方の短辺に相当する下端部において係止部(18)を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定板厚で平面形状が長方形状に形成されている複数枚のパネルが、それらの短辺が上下になるようにして円周方向と高さ方向とに接続されてサイクロン内筒を形成するようになっているサイクロン内筒構成用のパネルであって、
前記パネルは一方と他方の長辺において厚肉に形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒構成用のパネル。
【請求項2】
請求項1に記載のパネルであって、前記パネルは長方形の一方の短辺に相当する上端部において所定の金具あるいは他の前記パネルに吊り下げるための吊部が形成され、他方の短辺に相当する下端部において他の前記パネルの前記吊部が係合する係止部が形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒構成用のパネル。
【請求項3】
所定板厚で平面形状が長方形状に形成されている複数枚のパネルが、それらの短辺が上下になるようにして円周方向と高さ方向とに接続されて形成されたサイクロン内筒であって、
前記パネルは一方と他方の長辺において厚肉に形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒。
【請求項4】
請求項3に記載のサイクロン内筒であって、前記パネルは長方形の一方の短辺に相当する上端部において所定の金具あるいは他の前記パネルに吊り下げるための吊部が形成され、他方の短辺に相当する下端部において他の前記パネルの前記吊部が係合する係止部が形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キルンからの高温排ガスによりセメント等の原料粉末を予熱するサスペンションプレヒータについて、このサスペンションプレヒータを構成するサイクロンの内部に設けられているサイクロン内筒の構成用パネル、および構成用パネルから形成されるサイクロン内筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、セメントは石灰石、粘土、珪石等からなる原料粉末を微粉砕して、ロータリーキルン等により高温で焼成して得られる。ロータリーキルンから排出される高温の排ガスは、サスペンションプレヒータによって原料粉末を予熱するよう利用されている。すなわち、サスペンションプレヒータは多段に接続された複数のサイクロンから構成され、ロータリーキルンからの排ガスは最下段のサイクロンに供給され、そして原料粉末は最上段のサイクロンに供給されるようになっている。各段のサイクロンにおいては、排ガスと原料粉末とが混合して供給されるようになっており、原料粉末は加熱後に排ガスと分離されて下段のサイクロンに供給され、排ガスは上段のサイクロンに供給されるようになっている。つまり、多段に接続された複数のサイクロンにおいて、原料粉末は上段から下段方向に流れ、排ガスは下段から上段方向に流れることになり、原料粉末は順次加熱される一方、排ガスは順次冷却されることになる。十分に予熱された原料粉末はロータリーキルンに供給され、冷却された排ガスは外部に排出される。
【0003】
ところで、サスペンションプレヒータを構成しているサイクロンは、周知のように概略円筒状の本体部と、この本体部から下方においてテーパ状に絞られているテーパ部とから構成されている。そして、本体内部には、サイクロン内筒が設けられている。サイクロン内に原料粉末と排ガスとが供給されると、これらの混合物はサイクロン本体内でサイクロン内筒の外側で旋回し、比重の大きい原料粉末はテーパ部の下方から排出され、排ガスはサイクロン内筒を通って上方から排出されるようになっている。このようなサイクロン内筒は、腐食性の高い高温の排ガスにさらされるので長期運転により腐食が進行する。腐食が大きくなったら交換する必要がある。サイクロン内筒は一体構造物として形成されることもあるが、一体構造物は交換作業が煩雑であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-101977号公報
【特許文献2】特開2007-040574号公報
【0005】
本出願人は、特許文献1、2において分割組み立て式のサイクロン内筒を提案している。すなわち、サイクロン内筒を複数個の構成要素つまり複数枚のパネルから構成するようにする。パネル51は例えば不銹鋼、耐熱合金等から、
図4の(A)に示されているように、略長方形に形成し、それぞれの上端部と下端部とに吊り下げ用の吊部52と係止部53とを形成する。サイクロン本体部において、
図4の(B)に示されているように、その上部に吊り下げ用の金具55を設ける。金具55は図には示されていないが、複数個を設けるようにして、これらを円周状に配置する。ついで、これらの複数個の金具55に吊部52、52、…を係合させるように複数枚のパネル51、51、…を円周方向に並べて吊り下げる。これによってサイクロン内筒1段目58が形成される。ついで複数枚のパネル52、52、…を、それらの吊部52、52、…が、1段目のパネル51、51、…の係止部53、53、…に係合するようにして円周方向に並べて吊り下げる。すなわちサイクロン内筒2段目59が形成される。順次このようにして必要な段数を形成し、サイクロン内筒50を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2に記載のサイクロン内筒50は、複数枚のパネル51、51、…を吊り下げるだけで構成することができるので、容易に構成することができる。従ってパネル51、51、…が腐食により劣化したり破損しても、すぐに交換することができ、メンテナンス性に優れている。しかしながら、このような複数枚のパネル51、51、…からなるサイクロン内筒50について、改善すべき点も見受けられる。具体的には劣化の進行を遅らせて、交換周期を大きくする余地があるように見受けられる。
図4の(C)には、
図4の(A)におけるZ-Z断面で切断したパネル51の断面図が示されている。パネル51は均一な板厚から形成されている。パネル51は長期間の運転により高温の排ガスにさらされると、腐食され劣化する。本発明者らが腐食が進行したパネル51を調べたところ、パネル51の端面近傍において、
図4の(D)に示されているように腐食が大きくなっていることを見出した。なお
図4の(D)に示されているのは、
図4の(C)の符号60部分を拡大した、パネル51の長辺近傍の断面である。このように、本発明者らはパネル51が排ガスに接する面が多い部分について、他の部分に比して腐食が進行していることを見出した。このような腐食の進行を遅らせて、パネル51の寿命を延ばす改善の余地があるはずである。
【0007】
本発明は、複数枚のパネルからサイクロン内筒を構成するようになっている、そのようなパネルについて、高温の排ガスによる劣化の進行を遅らせて、交換周期を可及的に大きくすることができるサイクロン内筒用のパネル、およびそのようなパネルから構成されるサイクロン内筒を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数枚のパネルを円周方向と上下方向とに接続してサイクロン内筒を構成するようになっているサイクロン内筒構成用のパネルを対象とする。パネルは平面形状が長方形状を呈した所定の板厚からなるが、本発明においては、板厚を一様でなく一部を厚肉に形成する。具体的にはパネルは長方形の両方の長辺近傍において厚肉に形成する。なお、パネルは長方形の一方の短辺に相当する上端部において所定の金具あるいは他のパネルに吊り下げる吊部を形成するようにし、他方の短辺に相当する下端部において他のパネルの吊部が係合する係止部を形成するように構成する。
【発明の効果】
【0009】
サイクロン内筒を構成している複数枚のパネルは、平面形状が長方形状を呈していると共に円周方向と上下方向とに接続されている。このようなパネルは、高温の排ガスによって腐食が進行するが、その進行の速度はパネルの長方形の両長辺近傍で著しい。長辺近傍は排ガスが接する面が3面あり、排ガスに接する面積の割合が大きくなっているからである。従って比較的早期に長辺近傍の板厚が薄くなる。あるいは長辺の端面が後退して、隣り合う2枚のパネルの隙間が大きくなる。そうすると早期にパネルを交換する必要がある。本発明によると、長方形状のパネルは、その両長辺近傍において厚肉に形成されている。そうすると長辺近傍において腐食が進行しても交換を要する程度に板厚が薄くなるまで長時間を要する。また長辺における端面が後退する速度も低下させることができる。これによって隣り合う2枚のパネルの隙間の拡大を抑制することができる。本発明に係るパネルは、長辺近傍の腐食の進行の速度を、パネル全体における腐食の進行の速度と実質的に同程度にすることができ、パネルの寿命を実質的に長くすることができる。このようなパネルから構成されるサイクロン内筒の寿命は必然的に長くなる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係るサイクロンを示す正面断面図である。
【
図2】サイクロン内筒を構成する、本実施の形態に係るパネルを示す図で、その(A)はパネルの斜視図、その(B)は(A)におけるX-X断面で切断したパネルの断面図、その(C)は(B)における符号Yの部分を拡大したパネルの一部断面図である。
【
図3】本実施の形態に係るパネルによって形成された本実施の形態に係るサイクロン内筒を示す図で、その(A)はサイクロン内筒の一部を示す断面図、その(B)は(A)における矢印Y1方向から見た、サイクロン内筒の一部を示す正面図である。
【
図4】従来例を示す図で、その(A)はサイクロン内筒を構成する従来のパネルの斜視図、その(B)は従来のパネルからなる従来のサイクロン内筒の一部断面図、その(C)は(A)において断面Z-Zで切断したパネルの断面図、その(D)は(C)において符号60の部分を拡大したパネルの一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を説明する。本実施の形態に係るサイクロン1は、サスペンションプレヒータを構成するためのサイクロンである。サイクロン1は、
図1に示されているように、サイクロン本体部2と、このサイクロン本体部2内に設けられている本実施の形態に係るサイクロン内筒3とから概略構成されている。サイクロン本体部2は、筒状を呈する円筒部5と、この円筒部5の下方に接続されて縮径しているテーパ部6と、円筒部5の上方に接続されているヘッド部8とから構成されている。円筒部5の周壁には、その接線方向に開口した供給管10が設けられている。そして、テーパ部6の下方にはアンダーフロー管11が、ヘッド部8には排気管13が、それぞれ設けられている。
【0012】
従って、供給管10からセメント等の原料粉末とキルンからの排ガスとが供給されると、これらは混合した状態でサイクロン本体部2内を旋回して原料粉末が加熱される。やがて比重の大きい原料粉末はテーパ部6に沿って下降してアンダーフロー管11から排出され、サスペンションプレヒータを構成している他のサイクロンに、あるいはキルンに送られる。一方、比重の小さい排ガスは次に説明する本実施の形態に係るサイクロン内筒3を通って、排気管13から排気され、サスペンションプレヒータを構成している他のサイクロンに供給され、あるいは外部に排気される。
【0013】
本実施の形態に係るサイクロン内筒3は、複数枚の本実施の形態に係るパネル15、15、…から構成されている。本実施の形態に係るパネル15は、耐熱合金、不銹鋼等の任意の金属から構成することができ、
図2の(A)に示されているように、平面形状が長方形状を呈している。
【0014】
本実施の形態に係るパネル15は、長方形の一方の短辺に相当する上端部に吊部17が、そして他方の短辺に相当する下端部に係止部18がそれぞれ形成されている。吊部17は、サイクロン本体部2に設けられている金具に、あるいは他のパネル15に吊り下げるための構造である。吊部17は、吊り下げることができるようになっていればその構造、形状は任意に構成することができる。本実施の形態において吊部17は、短辺と並行な2箇所において略直角に谷折りされた形状になっており、その断面形状が鉤状になっている。そして吊部17の先端は3個の爪部20、20、20に形成され、爪部20、20、…の近傍は肉厚に形成されて補強されている。
【0015】
係合部18も、他のパネルを吊り下げることができるようになっていればその構造、形状は特定の構造、形状に限定されない。本実施の形態において係合部18は、吊部17と同様に短辺と並行な2箇所において略直角に谷折りされた形状になっており、その断面形状が鉤状になっている。あるいは断面形状がポケット状に形成されている。係合部18には、リブ21、21が形成されており、これによって係合部18内が3個に区画されている。
【0016】
本実施の形態に係るパネル15は、X-X断面が
図2の(B)に示され、そして符号Yの部分が
図2の(C)に拡大して示されているが、本発明においてはその板厚に最大の特徴がある。すなわち、パネル15は、全体的に所定の板厚から形成されているが、長方形の両長辺近傍において厚肉に形成されている。つまり腐食の進行が早い長辺近傍において厚肉に形成されている。本実施の形態においては、長方形の長辺近傍から長辺の端面に向かって連続的に板厚が増加するように形成されているが、長辺近傍において厚肉になっているのであれば、段階的に板厚が増加するようになっていてもよい。
【0017】
本実施の形態に係るサイクロン内筒3は、次のように組み立てられている。
図1に示されているように、サイクロン本体部2のヘッド部8には吊下用の金具23、23、…が複数個円周方向に設けられている。これらの金具23、23、…に、
図3の(A)、(B)に示されているように、吊部17、17、…を係合させ複数枚のパネル15、15、…を並べる。すなわち複数枚のパネル15、15、…を円周方向に並べて吊り下げる。これによって1段目サイクロン内筒3aが構成される。
【0018】
ついで、1段目を構成している複数枚のパネル15、15、…に対して、係止部18、18、…に吊部17、17、…を係合させるようにして複数枚のパネル15、15、…を吊り下げる。このとき任意の1枚のパネル15、15、…は、1段目サイクロン内筒3aを構成している任意の隣り合う2枚のパネル15、15、…に跨って吊り下げるようにする。つまり2枚のパネル15、15に跨って1枚のパネル15を吊り下げるようにする。これにより2段目サイクロン内筒3bが構成される。以下同様にして複数枚のパネル15、15、…を吊り下げて、必要な段数からなるサイクロン内筒3を構成する。
図1に示されている本実施の形態に係るサイクロン内筒3は3段から構成されているが、1段のみから構成してもよいし、2段から、あるいは4段以上から構成するようにしてもよい。
【0019】
本実施の形態に係るサイクロン内筒3は、最下段、つまり3段目サイクロン内筒3cにおいて、これらを構成している複数枚のパネル15、15、…の係止部18、18、…同士を連結している。すなわち隣り合う任意の2枚のパネル15、15、…について、連結用金具25、25、…によって連結している。これによってサイクロン円筒3がバラバラにならないようになっている。
【0020】
本実施の形態に係るサイクロン1を長期間運転すると、サイクロン内筒3は高温の排ガスに長時間さらされる。そうすると、サクロン内筒3を構成している複数枚のパネル15、15、…は排ガスによって腐食される。
図2の(C)には腐食された状態が点線で示されている。パネル15は腐食が進行しやすい両長辺近傍が厚肉に形成されているので、換言すると両側の端面近傍が厚肉に形成されているので、この部分において腐食が進行しても十分な肉厚が維持される。また、符号27で示されている端面の後退量も少ない。従って、隣り合うパネル15、15、…の隙間は広がりにくく、パネル15、15、…およびサイクロン内筒3の寿命は大きくなる。
【実施例0021】
本実施の形態に係るパネル15、15、…からなる本実施の形態に係るサイクロン内筒3が、従来のサイクロン内筒に比して寿命が大きくなることを確認するため、実験を行った。
実験内容:
所定のセメント製造工場において、サスペンションプレヒータを構成している実際のサイクロンにおいて実運転試験を行った。このサイクロンにおいてはサイクロン内筒は、板厚が均一に形成されている従来のパネルによって構成されている。このサイクロン内筒は、通常の運転条件で運転すると1年程度で腐食が進行して交換する必要がある。このサイクロンにおいて、サイクロン内筒3を本発明の実施の形態に係るパネル15、15、…によって形成し、同等の条件で1年間運転を実施した。1年後にパネル15、15、…の腐食状態を調べたところ、両長辺近傍の腐食の進行は、従来のパネルの腐食の進行に比して少なく、交換の必要はなかった。なお、パネル15、15の両長辺の端面における後退量は、従来のパネルの両長辺の端面における後退量を100%とすると、40%以下であった。すなわち、サイクロン内筒3において円周方向に並べられている複数枚のパネル15、15、…の隙間は、ほとんど拡大しておらず、交換の必要はなかった。
考察:
本実施の形態に係るパネル15、15、…からなる本実施の形態に係るサイクロン内筒3は、従来のサイクロン内筒に比して寿命が大きくなることが確認できた。
所定板厚で平面形状が長方形状に形成されている複数枚のパネルが、それらの短辺が上下になるようにして円周方向と高さ方向とに接続されてサイクロン内筒を形成するようになっているサイクロン内筒構成用のパネルであって、
前記パネルは中央部に比して一方と他方の長辺近傍において厚肉に形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒構成用のパネル。
所定板厚で平面形状が長方形状に形成されている複数枚のパネルが、それらの短辺が上下になるようにして円周方向と高さ方向とに接続されて形成されたサイクロン内筒であって、
前記パネルは中央部に比して一方と他方の長辺近傍において厚肉に形成されていることを特徴とする、サイクロン内筒。
サイクロン内筒を構成している複数枚のパネルは、平面形状が長方形状を呈していると共に円周方向と上下方向とに接続されている。このようなパネルは、高温の排ガスによって腐食が進行するが、その進行の速度はパネルの長方形の両長辺近傍で著しい。長辺近傍は排ガスが接する面が3面あり、排ガスに接する面積の割合が大きくなっているからである。従って比較的早期に長辺近傍の板厚が薄くなる。あるいは長辺の端面が後退して、隣り合う2枚のパネルの隙間が大きくなる。そうすると早期にパネルを交換する必要がある。本発明によると、長方形状のパネルは、中央部に比してその両長辺近傍において厚肉に形成されている。そうすると長辺近傍において腐食が進行しても交換を要する程度に板厚が薄くなるまで長時間を要する。また長辺における端面が後退する速度も低下させることができる。これによって隣り合う2枚のパネルの隙間の拡大を抑制することができる。本発明に係るパネルは、長辺近傍の腐食の進行の速度を、パネル全体における腐食の進行の速度と実質的に同程度にすることができ、パネルの寿命を実質的に長くすることができる。このようなパネルから構成されるサイクロン内筒の寿命は必然的に長くなる、という効果が得られる。