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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112685
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20220727BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20220727BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20220727BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20220727BHJP
   A61F 13/551 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61F13/15 200
A61F13/47
A61F13/514 300
A61F13/514 500
A61F13/539
A61F13/551
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008570
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 美沙
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200BA16
3B200BA17
3B200BB20
3B200CA11
3B200DA21
3B200DA27
3B200DC07
3B200DD07
3B200DE02
3B200DE05
3B200DE06
3B200DE10
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】個包装された吸収性物品の取り替え時に、衛生的かつ容易に装着作業が可能で、使用済みの吸収性物品も廃棄し易く、隠蔽性も備えた個包装の吸収性物品を提供する。
【解決手段】液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートの間に吸収体と、バックシートの非肌当接面側に個包装シートと、を設けた吸収性物品であって、個包装シートは、粘着層を介してバックシートの非肌当接面側に接着され、粘着層は、中央部粘着層と外周部粘着層とを含み、中央部粘着層は、バックシートの非肌当接面側の、中央部の略矩形状の領域に設けられ、外周部粘着層は、個包装シートの肌当接面側の、中央部粘着層と接する領域の外周に設けられ、バックシートの非肌当接面側の、中央部粘着層を除く領域と、個包装シートの肌当接面側の、中央部粘着層と接する領域には、いずれも剥離剤が塗布される、吸収性物品を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートの間に吸収体と、前記バックシートの非肌当接面側に個包装シートと、を設けた吸収性物品であって、
前記個包装シートは、粘着層を介して前記バックシートの非肌当接面側に接着され、
前記粘着層は、中央部粘着層と外周部粘着層とを含み、
前記中央部粘着層は、前記バックシートの非肌当接面側の、中央部の略矩形状の領域に設けられ、
前記外周部粘着層は、前記個包装シートの肌当接面側の、前記中央部粘着層と接する領域の外周に設けられ、
前記バックシートの非肌当接面側の、前記中央部粘着層を除く領域と、前記個包装シートの肌当接面側の、前記中央部粘着層と接する領域には、いずれも剥離剤が塗布されていることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項2】
前記トップシートの肌当接面側であって、かつ、吸収性物品の長手方向の両端に、一対の液不透過性のサイドシートが備えられることを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記個包装シートが、フィルム、紙、不織布又はそれらを積層したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記剥離剤が、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個包装シートを備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された吸収体と、で構成されており、特に軽失禁製品の場合、バックシート側を下着に固定して使用される。
【0003】
しかしながら、下着から吸収性物品を取り外す作業は両手で行うため、新たに使用する吸収性物品の個包装を把持した状態では、作業が難しくなる。
また、多くの人が吸収性物品を取り替える際に、使用済みの吸収性物品を新しい吸収性物品の個包装で包んで捨てている。その際に新しい吸収性物品の個包装を使用するため、吸収性物品から個包装を剥がし、使用済みの吸収性物品を包み捨てるまでの間、新しい吸収性物品の置き場所がないことがある。トイレ個室内に置台があったとしても、ズレ止めテープが貼り付く煩わしさがあり、また、肌側を下にして置くのは衛生面で不安がある。そのため、自身の体に一時的に貼り付けたり、膝の上に落ちないようにそっと置いたりするが、その場合ズレ止めテープの粘着力が弱まる可能性や、動いた際に床に滑り落ちてしまうというおそれがある。
【0004】
また、個包装ではなくトイレットペーパーで使用済みの吸収性物品を包んで捨てる人もいるが、個包装で包んだ場合よりも、丸めた使用済みの吸収性物品が開きやすく、清掃者や次に使う人の気分を損なうおそれがある。また、吸収性物品が開くことを防ぐため何度もトイレットペーパーで巻き付けることにより、嵩が増して、ゴミ箱が埋まりやすくもなる。
【0005】
このような課題を解決するための吸収性物品の先行技術として、例えば、特許文献1には吸収性物品を個別に包装する包装シートと、一端が包装シートの表面に剥離可能に貼付され、他端が包装シートの長手方向の端部に接合される粘着テープと、を有し、粘着テープは、第1粘着層と、第1基材と、第2粘着層と、第2基材とがこの順で積層され、第1粘着層が包装シートの非対向面に当接するように構成されており、第1基材と第2基材とを連結する連結部が設けられており、第2粘着層は、第2基材に接合され、かつ第1基材に剥離可能に貼付されており、第2基材と第2粘着層とが、第1基材と剥離し、かつ連結部を基点に折り返されることにより、第2粘着層が露出するように構成されている、吸収性物品の包装体が開示されている。当該発明は、吸収性物品の包装体の第2粘着層を介して吸収性物品の包装体をトイレの壁や装着者の身体に貼り付けることができ、両手を使って吸収性物品の装着作業を容易に行うことができることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-198586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような吸収性物品は、一時的に包装体を壁や身体に貼り付けた吸収性物品が落下する恐れがあり、根本的な解決にはなっていなかった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、個包装された吸収性物品の取り替え時に、衛生的かつ容易に装着作業が可能で、使用済みの吸収性物品も廃棄し易く、隠蔽性も備えた個包装の吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を行い、バックシートの非肌当接面側に粘着層を介して接着する個包装シートを設け、更に粘着層をバックシートの非肌当接面側と個包装シートの肌当接面側の二箇所に設けることで、個包装された吸収性物品の取り替え時に、衛生的かつ容易に装着作業が可能で、使用済みの吸収性物品も廃棄し易く、隠蔽性も備えた個包装の吸収性物品とすることができ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0010】
(1)本発明の第1の態様は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、上記トップシートと上記バックシートの間に吸収体と、上記バックシートの非肌当接面側に個包装シートと、を設けた吸収性物品であって、上記個包装シートは、粘着層を介して上記バックシートの非肌当接面側に接着され、上記粘着層は、中央部粘着層と外周部粘着層とを含み、上記中央部粘着層は、上記バックシートの非肌当接面側の、中央部の略矩形状の領域に設けられ、上記外周部粘着層は、上記個包装シートの肌当接面側の、上記中央部粘着層と接する領域の外周に設けられ、上記バックシートの非肌当接面側の、上記中央部粘着層を除く領域と、上記個包装シートの肌当接面側の、上記中央部粘着層と接する領域には、いずれも剥離剤が塗布されていることを特徴とする、吸収性物品である。
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の吸収性物品であって、上記トップシートの肌当接面側であって、かつ、吸収性物品の長手方向の両端に、一対の液不透過性のサイドシートが備えられることを特徴とするものである。
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の吸収性物品であって、上記個包装シートが、フィルム、紙、不織布又はそれらを積層したものであることを特徴とするものである。
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の吸収性物品であって、上記剥離剤が、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、個包装された吸収性物品の取り替え時に、衛生的かつ容易に装着作業が可能で、使用済みの吸収性物品も廃棄し易く、隠蔽性も備えた個包装の吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の吸収性物品の平面図である。
図2図1のY-Y線における断面図である。
図3】本発明の吸収性物品におけるバックシートの非肌当接面側の平面図である。
図4】本発明の吸収性物品における個包装シートの肌当接面側の平面図である。
図5】本発明の吸収性物品の取り替え作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0014】
また、本明細書の説明において、吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後にわたる方向であり、図中、符号Xで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Yで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、非肌当接面とは、吸収性物品1の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側(下着側)に向けられる面である。さらに、吸収性物品1としては、特に軽失禁用製品、生理用ナプキンが例示される。
【0015】
<吸収性物品>
図1は、本発明の実施形態に係る吸収性物品1をトップシート10側から見た平面図であり、図2は、図1のY-Y線における断面図である。本発明の吸収性物品1は、液透過性のトップシート10と液不透過性のバックシート20と、トップシート10とバックシート20との間に吸収体30と、バックシート20の非肌当接面側に個包装シート40とを設ける。
なお、吸収性物品1は、長手方向の寸法は100mm以上800mm以下、幅方向の寸法は50mm以上500mm以下であることが好ましい。各寸法が上記の数値範囲内であることにより、軽失禁用製品、生理用ナプキンに適した吸収性物品1を得ることができる。
【0016】
また、吸収性物品1には、着用者の排泄した体液の横漏れを防止するため、図1及び図2に示すように、吸収性物品1の長手方向に沿って、トップシート10上に立体ギャザー用弾性部材を有する一対の立体ギャザー80を備えていてもよい。吸収性物品1の幅方向における立体ギャザー80の外端は、バックシート20に固定され、その内端はトップシート10に固定され、その中央はトップシート10に固定されない自由端となるように、立体ギャザーシートが配される。立体ギャザー用弾性部材を長手方向に沿って設けることで、立体ギャザー80が起立性を有し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。
立体ギャザー用弾性部材としては、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、ポリエチレンフィルム、又はそれらのシートを組み合わせて接合したシートなどが使用できる。強度及び加工性の点から、立体ギャザー80の坪量は、13g/m以上20g/m以下であることが好ましい。
【0017】
また、後述する吸収性物品1の使用後に、外周部粘着層52をトップシート10上に貼り付けて包んで捨てる際に、外周部粘着層52を貼り付きやすくするため、トップシート10の肌当接面側であって、かつ、吸収性物品1の長手方向の両端に、一対の液不透過性のサイドシート70が備えられることが好ましい。なお、サイドシート70のそれぞれの長手方向の寸法は、10mm以上30mm以下であることが好ましい。
【0018】
<トップシート>
トップシート10は、尿が吸収体30へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布など公知の親水性不織布等を使用できる。また、トップシート10には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート10には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
強度、加工性及び液戻り量の点から、トップシート10の坪量は、15g/m以上40g/m以下であることが好ましく、19g/m以上35g/m以下であることがより好ましい。トップシート10の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体30へと誘導するために必要とされる、吸収体30を覆う形状であればよい。
【0019】
<バックシート>
バックシート20は、吸収体30が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、通気性又は非通気性である、不透液性のポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを使用できる。
【0020】
強度及び加工性の点から、バックシート20の坪量は、15g/m以上60g/m以下であることが好ましく、20g/m以上40g/m以下であることがより好ましい。バックシート20に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート20にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0021】
<吸収体>
本発明の吸収性物品1において、吸収体30の長手方向の最長幅の寸法は、100mm以上800mm以下であることが好ましく、150mm以上500mm以下であることがより好ましい。また、吸収体30の幅方向の最長幅の寸法は、50mm以上500mm以下であることが好ましく、70mm以上105mm以下であることがより好ましい。
【0022】
(吸収性繊維)
吸収体30は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)とを含有する。
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体30に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、100g/m以上800g/m以下であることが好ましく、325g/m以上615g/m以下であることがより好ましい。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収させることができる。
【0023】
(高吸収性ポリマー)
吸収体30の高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
また、吸収体30において、吸収体30全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、高吸収性ポリマーの重量/吸収体30全体の重量×100(%)が、40%以上であることが好ましく、40%以上70%以下であることがより好ましい。
【0024】
吸収体30において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体30の形状の安定化の目的から、吸収体30の下に、キャリアシートを設けてもよい(図示しない)。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0025】
<個包装シート>
本発明の吸収性物品1において、バックシート20の非肌当接面側には個包装シート40が設けられている。個包装シート40は、粘着層50を介してバックシート20の非肌当接面側に接着されている。このとき、個包装シート40の長手方向の寸法は100mm以上400mm以下、幅方向の寸法は50mm以上200mm以下であることが好ましい。各寸法が上記の数値範囲内であることにより、後述する取り替え作業を行いやすい吸収性物品1を得ることができる。
また、粘着層50はホットメルト接着剤を塗布することにより設けられ、ホットメルト接着剤としては、融点が100℃以上180℃以下の、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体やスチレン-イソプレン-スチレン系共重合体など合成ゴム系、又は、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系のホットメルト接着剤を用いることができる。
【0026】
このとき、粘着層50は、中央部粘着層51と外周部粘着層52とを含む。図3は、本発明の吸収性物品1におけるバックシート20の非肌当接面側の平面図であるが、図3に示すように、中央部粘着層51は、バックシート20の非肌当接面側の、中央部の略矩形状の領域に設けられる。なお、中央部粘着層51の長手方向の寸法は80mm以上350mm以下、幅方向の寸法は30mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0027】
また、図4は、本発明の吸収性物品1における個包装シート40の肌当接面側の平面図であるが、図4に示すように、外周部粘着層52は、個包装シート40の肌当接面側の、中央部粘着層51と接する領域の外周に設けられる。なお、外周部粘着層52の幅は長手方向と幅方向のいずれも3mm以上15mm以下であることが好ましい。
【0028】
このように粘着層50(中央部粘着層51及び外周部粘着層52)を設けることで、バックシート20の非肌当接面側と個包装シート40の肌当接面側を貼り合わせたときに、中央部粘着層51の外周を囲むように外周部粘着層52が設けられる。
なお、中央部粘着層51及び外周部粘着層52は図3及び図4で示すように、所定の領域の一面にわたって連続的に設けられることが好ましいが、接着力に問題がなければ、複数の非連続的な略矩形状の粘着層を組み合わせて、所定の領域を過不足なく覆うように設けてもよい(図示しない)。
【0029】
中央部粘着層51及び外周部粘着層52をそれぞれ設ける方法としては、フィルムや紙、不織布の表面に粘着層を設ける公知の方法であれば特に制限はなく、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法など公知の方法が利用できる。
このような個包装シート40及び粘着層50を備えた吸収性物品1の取り替え作業について、以下に図5を参照しながら説明する。
【0030】
まず、図5(a)に示すように、新しい吸収性物品1から個包装シート40を剥がし、剥がした個包装シート40を裏返して、新しい吸収性物品1のバックシート20の非肌当接面側に貼り付ける。このとき、バックシート20の非肌当接面側と個包装シート40の(裏返す前は非肌当接面側であった)肌当接面側は中央部粘着層51を介して接着され、外周部粘着層52は個包装シート40の(裏返す前は肌当接面側であった)非肌当接面側に露出している。
【0031】
次に図5(b)に示すように、下着90に装着(接着)されている使用後の吸収性物品2の肌当接面側に、新しい吸収性物品1を貼り付ける。このとき、新しい吸収性物品1は個包装シート40の非肌当接面側に露出した外周部粘着層52を介して使用後の吸収性物品2に貼り付ける。その後、新しい吸収性物品1を貼り付けたまま、使用後の吸収性物品2を下着90から取り外す。
【0032】
次に図5(c)に示すように、新しい吸収性物品1と使用後の吸収性物品2を貼り付けたまま使用後の吸収性物品2を内側にして、両方とも2つ折りにする。このとき、折る方向は長手方向又は幅方向のどちらでも構わないが、折りやすさの観点から長手方向に折ることが好ましい。
そして、図5(d)に示すように、新しい吸収性物品1の個包装シート40を剥離して、個包装シート40で使用後の吸収性物品2を包むようにする。これにより、使用後の吸収性物品2は新しい吸収性物品1の個包装シート40で包まれた状態で折りたたまれ、新しい吸収性物品1はバックシート20の非肌当接面側に中央部粘着層51が露出した状態になる。
【0033】
最後に図5(e)に示すように、使用後の吸収性物品2と新しい吸収性物品1が分離した後は、使用後の吸収性物品2は廃棄し、新しい吸収性物品1は中央部粘着層51を下着90に貼り付けて装着する。
【0034】
このように、本発明に係る個包装の吸収性物品1によれば、中央部粘着層51を有する新しい吸収性物品1を個包装シート40の片面に貼り付けた状態で、使用後の吸収性物品2を個包装シート40の他方の面に貼り付けることができ、2つの吸収性物品の取り外しと装着を容易に行うことができる。よって、片方の吸収性物品を一時的に別の場所へ貼り付けたり、置いたりする必要が無くなり、効率的に作業ができる。また、吸収性物品2の汚れた面(トップシート10側)に吸収性物品1の個包装シート40(外周部粘着層52)を貼り付けるため、隠蔽性もあり、取り外す際に衛生的に作業を行うことができる。
【0035】
なお、個包装シート40は、フィルム、紙、不織布又はそれらを積層したものであることが好ましく、中でもフィルム又は紙であることがより好ましい。
個包装シート40の坪量は、強度および加工性の点から、フィルム又は不織布の場合は15g/m以上30g/m以下、紙の場合は30g/m以上70g/m以下程度であることが好ましい。
【0036】
また、バックシート20の非肌当接面側の、中央部粘着層51を除く領域(図3に示す非接着領域60)と、個包装シート40の肌当接面側の、中央部粘着層51と接する領域(図4に示す非接着領域61)には、いずれも剥離剤が塗布されている。剥離剤が塗布されることによって、バックシート20から個包装シート40を剥離したときに、バックシート20の非肌当接面側に中央部粘着層51が、個包装シート40の肌当接面側に外周部粘着層52がそれぞれ確実に残るようになり、吸収性物品1の取り替え作業が行いやすくなる。なお、剥離剤としては、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤であることが好ましい。
なお、図5(d)における、新しい吸収性物品1の個包装シート40を剥離して、個包装シート40で使用後の吸収性物品2を包むときに、新しい吸収性物品1を個包装シート40から剥離しやすくするために、個包装シート40の非肌当接面側の一面にも剥離剤が塗布されていることが好ましい(図示しない)。
【0037】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが、当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0038】
1、2 吸収性物品
10 トップシート
20 バックシート
30 吸収体
40 個包装シート
50、51、52 粘着層
60、61 非接着領域
70 サイドシート
80 立体ギャザー
90 下着
図1
図2
図3
図4
図5