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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112707
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220727BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220727BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220727BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H01L29/78 652G
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652N
H01L29/78 653A
H01L29/78 652L
H01L29/78 658G
H01L29/06 301M
H01L29/06 301V
H01L29/06 301D
H01L29/78 652H
H01L23/50 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008604
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中柴 康隆
(72)【発明者】
【氏名】下村 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】沢田 雅己
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067BE03
5F067EA04
(57)【要約】
【課題】オン抵抗を低減しつつ、製造工程におけるハンドリング性を維持することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る半導体装置は、第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する半導体基板と、第1面に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を介して第1面上に形成されたゲートと、半導体基板の第1面側に形成されたソース領域と、ソース領域に接するように形成され、かつチャネル領域を含むボディ領域と、半導体基板の第2面側に形成されたドレイン領域と、ボディ領域の第2面側及びドレイン領域の第1面側に接するように形成されたドリフト領域とを備える。ゲートは、ゲート絶縁膜を介在させてチャネル領域と対向している。半導体基板は、第2面において、第1面に向かって窪んでいる少なくとも1つの凹部が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面とを有する半導体基板と、
前記第1面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記第1面上に形成されたゲートと、
前記半導体基板の前記第1面側に形成されたソース領域と、
前記ソース領域に接するように形成され、かつチャネル領域を含むボディ領域と、
前記半導体基板の前記第2面側に形成されたドレイン領域と、
前記ボディ領域の前記第2面側及び前記ドレイン領域の前記第1面側に接するように形成されたドリフト領域とを備え、
前記ゲートは、前記ゲート絶縁膜を介在させて前記チャネル領域と対向しており、
前記半導体基板は、前記第2面において、前記第1面に向かって窪んでいる少なくとも1つの凹部が形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板は、単結晶シリコンにより形成されており、
前記第1面及び前記第2面は、前記単結晶シリコンの<100>方向と直交している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの凹部の側壁は、前記第2面に対して、50°以上60°以下の角度をなしている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹部の側壁は、前記単結晶シリコンの<111>方向に直交する面である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの凹部は、平面視において格子状に配列されている複数の凹部である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の凹部の各々は、平面視において、多角形形状又は円形形状を有している、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1面上に形成され、かつ前記ゲートに電気的に接続されているゲート電極をさらに備え、
前記複数の凹部は、平面視において、前記ゲート電極と重ならない位置にある、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の凹部の互いに対向する側壁の間の距離の最小値を隣り合う2つの前記複数の凹部の間のピッチを除した値は、0.1以上0.4以下である、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの凹部は、第1方向に沿って延在しており、かつ前記第1方向に交差している第2方向において互いに間隔を空けて配置されている複数の溝である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1面には、平面視において前記第1方向に沿って延在しているゲートトレンチが形成されており、
前記ゲートトレンチの側壁からは、前記チャネル領域が露出しており、
前記ゲートは、前記ゲート絶縁膜を介在させて前記チャネル領域と対向するように前記ゲートトレンチの内部に形成されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1面上に形成され、かつ前記ゲートに電気的に接続されているゲート電極をさらに備え、
前記複数の溝は、平面視において、前記ゲート電極と重ならない位置にある、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの凹部に充填されている導電体をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの凹部が形成されている位置においては、前記ドレイン領域の厚さが前記ドリフト領域の厚さよりも小さくなっている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
リードフレームと、
前記第2面が前記リードフレーム側を向くように配置されている請求項1に記載の前記半導体装置とを備え、
前記リードフレームは、前記少なくとも1つの凹部の各々に挿入されている少なくとも1つの凸部を有する、半導体パッケージ。
【請求項15】
リードフレームと、
前記第1面が前記リードフレーム側を向くように配置されている請求項1に記載の前記半導体装置とを備える、半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5998833号明細書(特許文献1)に記載の半導体装置は、半導体基板と、ゲート絶縁膜と、ゲートとを有している。半導体基板は、第1面と、第2面とを有している。第2面は、第1面の反対面である。半導体基板は、第1面に位置するソース領域と、第2面に位置するドレイン領域と、ドレイン領域の第1面側に接しているドリフト領域と、ソース領域及びドリフト領域に挟み込まれているチャネル領域を含むベース領域とを有している。
【0003】
第1面には、ゲートトレンチが形成されている。ゲートトレンチの底壁は、ドリフト領域内に位置している。ゲートトレンチの側壁からは、チャネル領域が露出している。ゲートトレンチの側壁上及び底壁上には、ゲート絶縁膜が形成されている。ゲートは、ゲート絶縁膜を介在させてチャネル領域と対向するように、ゲートトレンチの内部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5998833号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の半導体装置において、オン抵抗を低減するための方策として、半導体基板を第2面側から研磨することにより、ドレイン領域を薄くすることが考えられる。しかしながら、この場合、半導体基板全体が薄くなってしまう結果、製造工程におけるハンドリング性が損なわれる。
【0006】
本開示は、オン抵抗を低減しつつ、製造工程におけるハンドリング性を維持することが可能な半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る半導体装置は、第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する半導体基板と、第1面に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を介して第1面上に形成されたゲートと、半導体基板の第1面側に形成されたソース領域と、ソース領域に接するように形成され、かつチャネル領域を含むボディ領域と、半導体基板の第2面側に形成されたドレイン領域と、ボディ領域の第2面側及びドレイン領域の第1面側に接するように形成されたドリフト領域とを備える。ゲートは、ゲート絶縁膜を介在させてチャネル領域と対向している。半導体基板は、第2面において、第1面に向かって窪んでいる少なくとも1つの凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態に係る半導体装置によると、オン抵抗を低減しつつ、製造工程におけるハンドリング性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体装置DEV1の平面図である。
図2図1のII-IIにおける断面図である。
図3図2の領域IIIにおける拡大図である。
図4図1のIV-IVにおける断面図である。
図5】半導体装置DEV1の製造方法を示す工程図である。
図6】準備工程S1における半導体装置DEV1の断面図である。
図7】エピタキシャル成長工程S2における半導体装置DEV1の断面図である。
図8】第1イオン注入工程S3における半導体装置DEV1の断面図である。
図9】第2イオン注入工程S4における半導体装置DEV2の断面図である。
図10】トレンチ形成工程S5における半導体装置DEV1の断面図である。
図11】ゲート絶縁膜形成工程S6における半導体装置DEV1の断面図である。
図12】ゲート形成工程S7における半導体装置DEV1の断面図である。
図13】層間絶縁膜形成工程S8における半導体装置DEV1の断面図である。
図14】基板研磨工程S10における半導体装置DEV1の断面図である。
図15】凹部形成工程S11における半導体装置DEV1の断面図である。
図16】第1電極形成工程S12における半導体装置DEV1の断面図である。
図17】第2電極形成工程S13における半導体装置DEV1の断面図である。
図18】変形例1に係る半導体装置DEV1の断面図である。
図19】変形例2に係る半導体装置DEV1の断面図である。
図20】変形例3に係る半導体装置DEV1の断面図である。
図21】半導体装置DEV2の底面図である。
図22図21のXXII-XXIIにおける断面図である。
図23】変形例1に係る半導体装置DEV2の底面図である。
図24】変形例2に係る半導体装置DEV2の底面図である。
図25】変形例3に係る半導体装置DEV2の底面図である。
図26】半導体装置DEV3の底面図である。
図27図26のXXVII-XXVIIにおける断面図である。
図28】半導体装置DEV4の断面図である。
図29】半導体パッケージPKG1の断面図である。
図30】半導体パッケージPKG2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り替えなさいものとする。
【0011】
(第1実施形態)
以下に、第1実施形態に係る半導体装置(以下「半導体装置DEV1」とする)を説明する。
【0012】
<半導体装置DEV1の構成>
図1は、半導体装置DEV1の平面図である。図2は、図1のII-IIにおける断面図である。図3は、図2の領域IIIにおける拡大図である。図4は、図1のIV-IVにおける断面図である。図1図4に示されるように、半導体装置DEV1は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ゲートGAと、層間絶縁膜ILDと、ソース電極EL1と、ゲート電極EL2と、ドレイン電極EL3とを有している。
【0013】
半導体基板SUBは、第1面FSと、第2面SSとを有している。第1面FS及び第2面SSは、半導体基板SUBの厚さ方向における端面である。第2面SSは、第1面FSの反対面である。
【0014】
半導体基板SUBは、平面視において(第1面FS及び第2面SSに直交する方向から見て)、外周領域R1と、セル領域R2とを有している。外周領域R1は、平面視における半導体基板SUBの外周に位置している部分である。セル領域R2は、平面視において外周領域R1の内側に位置している。セル領域R2は、MOSFET(Metal Oxide Field Effect Transistor)のセル構造が形成されている部分である。
【0015】
セル領域R2において、半導体基板SUBは、ソース領域SRと、ドレイン領域DRAと、ドリフト領域DRIと、ボディ領域BRとを有している。ソース領域SR、ドレイン領域DRA及びドリフト領域DRIの導電型は、第1導電型である。ボディ領域BRの導電型は、第2導電型である。第2導電型は、第1導電型の反対の導電型である。例えば、第1導電型がn型である場合、第2導電型はp型である。ソース領域SR及びドレイン領域DRAにおける不純物濃度は、ドリフト領域DRIにおける不純物濃度よりも高い。
【0016】
ソース領域SRは、第1面FSに位置している。ドレイン領域DRAは、第2面SSに位置している。ドリフト領域DRIは、ドレイン領域DRA上に形成されている。すなわち、ドリフト領域DRIは、ドレイン領域DRAの第1面FS側に接している。ボディ領域BRは、ソース領域SRとドリフト領域DRIとに挟み込まれている。
【0017】
セル領域R2において、第1面FSには、ゲートトレンチGTRが形成されている。ゲートトレンチGTRは、第2面SSに向かって延在している。ゲートトレンチGTRの底壁は、ドリフト領域DRI内に位置している。ゲートトレンチGTRの側壁からは、ソース領域SR、ボディ領域BR及びドリフト領域DRIが露出している。ゲートトレンチGTRから露出しているボディ領域BRの部分を、チャネル領域CHとする。
【0018】
セル領域R2において、第2面SSには、凹部RPが形成されている。凹部RPにおいて、第2面SSは、第1面FS側に窪んでいる。なお、図3に示されるように、凹部RPの一部は、セル領域R2以外に位置する第2面SSに形成されていてもよい。但し、凹部RPは、外周領域R1に位置する第2面SSには形成されていない。
【0019】
半導体基板SUBは、例えば、単結晶シリコンにより形成されている。第1面FS及び第2面SSは、単結晶シリコンの<100>方向と直交していることが好ましい。凹部RPの側壁は、第2面SSと角度θをなしている。角度θは、50°以上60°以下であることが好ましい。凹部RPの側壁は、単結晶シリコンの<111>方向と直交していることが好ましい。なお、単結晶シリコンにおいて、<100>方向と<111>方向とがなす角度は、約55°であり、より具体的には54.7°である。
【0020】
ドリフト領域DRIの厚さを、厚さT1とする。凹部RPが形成されている部分におけるドレイン領域DRAの厚さを、厚さT2とする。凹部RPが形成されていない部分(すなわち、外周領域R1)におけるドレイン領域DRAの厚さを、厚さT3とする。厚さT2は、厚さT3よりも小さい。すなわち、半導体基板SUBは、外周領域R1において、十分な厚さが確保されている。
【0021】
ゲート絶縁膜GIは、ゲートトレンチGTRの側壁上及び底壁上に配置されている。ゲート絶縁膜GIは、例えば、シリコン酸化物により形成されている。ゲートGAは、ゲートトレンチGTR内に配置されている。ゲートGAとゲートトレンチGTRの側壁及び底壁との間には、ゲート絶縁膜GIが介在されている。すなわち、ゲートGAは、ゲート絶縁膜GIにより絶縁されながら、チャネル領域CHと対向している。ゲートGAは、例えば、ポリシリコンにより形成されている。
【0022】
層間絶縁膜ILDは、第1面FS上に配置されている。層間絶縁膜ILDは、例えば、シリコン酸化物により形成されている。
【0023】
ソース電極EL1及びゲート電極EL2は、層間絶縁膜ILD上に配置されている。ソース領域SR及びゲートGAは、それぞれ、層間絶縁膜ILD中に形成されたコンタクトプラグ(図示せず)により、ソース電極EL1及びゲート電極EL2と電気的に接続されている。ソース電極EL1は、セル領域R2と重なるように配置されている。ゲート電極EL2は、セル領域R2と重ならないように配置されている。ドレイン電極EL3は、第2面SS上に形成されている。ソース電極EL1、ゲート電極EL2及びドレイン電極EL3は、例えば、アルミニウムにより形成されている。
【0024】
<半導体装置DEV1の製造方法>
図5は、半導体装置DEV1の製造方法を示す工程図である。図5に示されるように、半導体装置DEV1の製造方法は、準備工程S1と、エピタキシャル成長工程S2と、第1イオン注入工程S3と、第2イオン注入工程S4と、トレンチ形成工程S5と、ゲート絶縁膜形成工程S6と、ゲート形成工程S7と、層間絶縁膜形成工程S8と、コンタクトプラグ形成工程S9とを有している。半導体装置DEV1の製造方法は、さらに、基板研磨工程S10と、凹部形成工程S11と、第1電極形成工程S12と、第2電極形成工程S13と、個片化工程S14とを有している。なお、第1イオン注入工程S3及び第2イオン注入工程S4は、トレンチ形成工程S5、ゲート絶縁膜形成工程S6及びゲート形成工程S7の後に行われてもよい。
【0025】
準備工程S1では、半導体基板SUBが準備される。図6は、準備工程S1における半導体装置DEV1の断面図である。図6に示されるように、準備工程S1で準備される半導体基板SUBは、ドレイン領域DRAのみを有している。
【0026】
エピタキシャル成長工程S2では、エピタキシャル層EPIが形成される。図7は、エピタキシャル成長工程S2における半導体装置DEV1の断面図である。図7に示されるように、エピタキシャル層EPIは、ドレイン領域DRA上に形成される。エピタキシャル層EPIは、第1導電型を有している。エピタキシャル層EPIは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成される。
【0027】
図8は、第1イオン注入工程S3における半導体装置DEV1の断面図である。図8に示されるように、第1イオン注入工程S3では、ボディ領域BRが形成される。図9は、第2イオン注入工程S4における半導体装置DEV2の断面図である。図9に示されるように、第2イオン注入工程S4では、ソース領域SRが形成される。ボディ領域BR及びソース領域SRの形成は、イオン注入により行われる。ボディ領域BR及びソース領域SRが形成されなかったエピタキシャル層EPIの部分は、ドリフト領域DRIとなる。
【0028】
図10は、トレンチ形成工程S5における半導体装置DEV1の断面図である。図10に示されるように、トレンチ形成工程S5では、ゲートトレンチGTRが形成される。ゲートトレンチGTRの形成は、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチングにより行われる。図11は、ゲート絶縁膜形成工程S6における半導体装置DEV1の断面図である。図11に示されるように、ゲート絶縁膜形成工程S6では、ゲート絶縁膜GIが形成される。ゲート絶縁膜GIの形成は、例えば熱酸化により行われる。
【0029】
図12は、ゲート形成工程S7における半導体装置DEV1の断面図である。図12に示されるように、ゲート形成工程S7では、ゲートGAが形成される。ゲートGAの形成においては、第1に、ゲートGAを構成している材料が、ゲートトレンチGTR内に埋め込まれる。第2に、ゲートトレンチGTRからはみ出したゲートGAを構成している材料が、エッチバック、CMP(Chemical Mechanical Polishing)等により除去される。
【0030】
図13は、層間絶縁膜形成工程S8における半導体装置DEV1の断面図である。図13に示されるように、層間絶縁膜形成工程S8では、層間絶縁膜ILDが形成される。層間絶縁膜ILDの形成は、例えば、CVD法により行われる。
【0031】
コンタクトプラグ形成工程S9では、コンタクトプラグが形成される。コンタクトプラグの形成においては、第1に、層間絶縁膜ILD中にコンタクトホールが形成される。コンタクトホールは、厚さ方向に沿って層間絶縁膜ILDを貫通している。コンタクトホールの形成は、例えば、RIE等のドライエッチングにより行われる。第2に、コンタクトプラグを構成している材料が、CVD法により、コンタクトホール内に埋め込まれる。第3に、コンタクトホールからはみ出したコンタクトプラグを構成している材料が、エッチバック、CMP等により除去される。
【0032】
図14は、基板研磨工程S10における半導体装置DEV1の断面図である。図14に示されるように、基板研磨工程S10では、半導体基板SUBの第2面SS側に対して研磨が行われる。これにより、ドレイン領域DRAの厚さは、厚さT3となる。
【0033】
図15は、凹部形成工程S11における半導体装置DEV1の断面図である。図15に示されるように、凹部形成工程S11では、凹部RPの形成が行われる。凹部RPの形成においては、第1に、第2面SS上にマスクが形成される。マスクは、例えば、シリコン酸化物を第2面SS上にCVD等で成膜するとともに、成膜されたシリコン酸化物をパターンニングすることにより形成される。
【0034】
第2に、マスクの開口から半導体基板SUBがエッチングされることにより、凹部RPが形成される。このエッチングは、好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いたウェットエッチングにより行われる。TMAHを用いたウェットエッチングを単結晶シリコンに対して行った場合には、結晶方位によりエッチング速度が著しく異なる。そのため、第2面SSが単結晶シリコンの<100>方向と直交している場合、凹部RPの側壁からは単結晶シリコンの<111>方向に直交している面が露出し、角度θが50°以上60°以下となる。
【0035】
凹部形成工程S11が行われる結果、凹部RPが形成されている部分において、ドレイン領域DRAが薄くなり、ドレイン領域DRAの厚さが厚さT3から厚さT2となる。すなわち、凹部形成工程S11が行われる結果、ドレイン領域DRAの厚さは、凹部RPが形成される位置において、凹部RPが形成されていない位置(すなわち、外周領域R1)よりも薄くなる。
【0036】
図16は、第1電極形成工程S12における半導体装置DEV1の断面図である。図16に示されるように、第1電極形成工程S12においては、ソース電極EL1及びゲート電極EL2の形成が行われる。
【0037】
ソース電極EL1及びゲート電極EL2の形成においては、第1に、ソース電極EL1(ゲート電極EL2)を構成している材料が、スパッタリング等により、層間絶縁膜ILD上に成膜される。第2に、成膜されたソース電極EL1(ゲート電極EL2)を構成している材料がパターンニングされることにより、ソース電極EL1及びゲート電極EL2が形成される。
【0038】
図17は、第2電極形成工程S13における半導体装置DEV1の断面図である。図17に示されるように、第2電極形成工程S13では、ドレイン電極EL3が形成される。ドレイン電極EL3の形成は、例えば、スパッタリング法、めっき法等により行われる。個片化工程S14では、半導体装置DEV1の個片化が行われる。この個片化は、例えばダイシングブレードを用いて行われる。以上により、図1図4に示される構造の半導体装置DEV1が製造される。
【0039】
<半導体装置DEV1の効果>
半導体装置DEV1では、凹部RPが形成されている部分において、ドレイン領域DRAの厚さが薄くなっているため、オン抵抗が低減されている。例えば、ドリフト領域DRIの厚さを5μm、ドリフト領域DRIの抵抗率を0.12Ω・cm、ドレイン領域DRAの抵抗率を0.8mΩ・cmとし、凹部RPを形成することによりドレイン領域DRAの厚さを150μmから5μmまで薄くすると、オン抵抗を20パーセント程度低減することができる(ドレイン領域DRAの厚さが150μmである場合のオン抵抗は0.12Ω・cm×5μm+0.8mΩ・cm×150μm≒7.2mΩ・mmとなり、ドレイン領域DRAの厚さを5μmまで減少させた場合のオン抵抗は0.12Ω・cm×5μm+0.8mΩ×5μm≒6.0mΩ・mmとなる)。
【0040】
他方で、凹部RPが形成されていない部分、すなわち、外周領域R1において、ドレイン領域DRAの厚さが維持されているため、製造工程におけるハンドリング性が維持されている。
【0041】
すなわち、外周領域R1においても凹部RPの厚さが薄くなっている場合は、個片化工程S14においてダイシングブレードを用いて半導体基板SUBを切断することは困難であるが、半導体装置DEV1では、外周領域R1におけるドレイン領域DRAの厚さが維持されているため、ダイシングブレードを用いて半導体基板SUBを切断することができる。このように、半導体装置DEV1によると、オン抵抗を低減しつつ、製造工程におけるハンドリング性を維持することができる。
【0042】
第2面SSが単結晶シリコンの<100>方向と直交している場合、TMAHを用いて凹部RPのウェットエッチングを行うことにより、角度θを50°以上60°以下にすることができる。すなわち、この場合、テーパ形状の凹部RPを形成することができる。その結果、ドレイン電極EL3を形成する際、局所的にドレイン電極EL3が薄くなる(ドレイン電極EL3に段切れが生じる)ことを抑制できる。
【0043】
<変形例1>
図18は、変形例1に係る半導体装置DEV1の断面図である。図18に示されるように、半導体基板SUBには、ゲートトレンチGTRが形成されていなくてもよい。すなわち、半導体装置DEV1は、トレンチゲート型のMOSFETではなく、プレーナゲート型のMOSFETであってもよい。なお、変形例1では、第1面FSに露出しているチャネル領域CH上にゲート絶縁膜GIが配置されており、ゲート絶縁膜GI上にゲートGAが配置されている。
【0044】
図19は、変形例2に係る半導体装置DEV1の断面図である。図19に示されるように、半導体基板SUBは、ピラー領域PRを有していてもよい。ピラー領域PRは、ボディ領域BRから第2面SS側に向かって延在している。ピラー領域PRの導電型は、第2導電型(p型)である。すなわち、半導体装置DEV1は、スーパージャンクション構造を有するMOSFETであってもよい。この場合、ドリフト領域DRIの不純物濃度が相対的に高く設定されるため、凹部RPが形成されている位置においてドレイン領域DRAが薄くなっていることによるオン抵抗の低減効果が、相対的に大きくなる。
【0045】
第1面FS及び第2面SSは、単結晶シリコンの<110>方向と直交している。図20は、変形例3に係る半導体装置DEV1の断面図である。この場合、図20に示されるように、TMAHを用いて凹部RPのウェットエッチングを行うことにより、角度θは、概ね90°となる。
【0046】
(第2実施形態)
以下に、第2実施形態に係る半導体装置(以下「半導体装置DEV2」とする)を説明する。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0047】
<半導体装置DEV2の構成>
図21は、半導体装置DEV2の底面図である。図22は、図21のXXII-XXIIにおける断面図である。図21及び図22に示されるように、半導体装置DEV2は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ゲートGAと、層間絶縁膜ILDと、ソース電極EL1と、ゲート電極EL2と、ドレイン電極EL3とを有している。セル領域R2において、第2面SSには、凹部RPが形成されている。これらの点に関して、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と共通している。
【0048】
半導体装置DEV2では、凹部RPの数は、複数である。半導体装置DEV2では、複数の凹部RPが、平面視において、格子状に配列されている。この格子状の配列は、例えば、正方格子配列である。これらの点に関して、半導体装置DEV2の構成は、半導体装置DEV1の構成と異なっている。なお、凹部RPは、平面視において、例えば、矩形形状を有している。
【0049】
隣り合う2つの凹部RPとの間のピッチを、ピッチPとする。互いに対向している凹部RPの側壁の間の距離の最小値を、幅Wとする。ピッチPは、好ましくは幅Wよりも大きい。幅WをピッチPで除した値は、好ましくは、0.1以上0.4以下である。凹部RPは、好ましくは、平面視においてゲート電極EL2と重ならない位置に形成されている。なお、ゲート電極EL2は、平面視においてセル領域と重ならない位置にある。
【0050】
<半導体装置DEV2の効果>
ソース電極EL1及びゲート電極EL2には、ワイヤボンディングが行われることがある。半導体装置DEV1では、相対的に大きな凹部RPが1つ形成されているため、このワイヤボンディングが行われる際に半導体基板SUBが撓むような荷重が加わり、半導体基板SUBが割れてしまうおそれがある。
【0051】
他方で、半導体装置DEV2では、相対的に小さな凹部RPが格子状に複数形成されているため、凹部RPの間にある第2面SSにより、ワイヤボンディング時に加わる荷重を支持することができる。そのため、半導体装置DEV2によると、ワイヤボンディング時に加わる荷重により半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。
【0052】
幅WをピッチPで除した値が0.1以上0.4以下である場合、凹部RP形成に伴うオン抵抗の低減を行いつつ、ワイヤボンディング時の荷重に対する強度確保を行うことができる。
【0053】
凹部RPがゲート電極EL2と平面視において重ならない位置に配置されている場合、ゲート電極EL2に対するワイヤボンディングが行われる際の荷重により、半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。なお、ゲート電極EL2は、セル領域R2と平面視において重ならない位置にあるため、ゲート電極EL2と平面視において重なる位置に凹部RPが形成されていなくても、オン抵抗は殆ど増加しない。
【0054】
<変形例1>
図23は、変形例1に係る半導体装置DEV2の底面図である。図23に示されるように、凹部RPは、正方格子状に配列されていなくてもよい。凹部RPは、例えば、千鳥格子状に配列されていてもよい。
【0055】
図24は、変形例2に係る半導体装置DEV2の底面図である。図25は、変形例3に係る半導体装置DEV2の底面図である。図24及び図25に示されるように、凹部RPの平面形状は、矩形形状でなくてもよい。図24に示されるように凹部RPの平面形状は矩形形状以外の多角形形状であってもよく、図25に示されるように凹部RPの平面形状は円形(又は楕円)形状であってもよい。
【0056】
(第3実施形態)
以下に、第3実施形態に係る半導体装置(以下「半導体装置DEV3」とする)を説明する。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0057】
<半導体装置DEV3の構成>
図26は、半導体装置DEV3の底面図である。図27は、図26のXXVII-XXVIIにおける断面図である。図26及び図27に示されるように、半導体装置DEV3は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ゲートGAと、層間絶縁膜ILDと、ソース電極EL1と、ゲート電極EL2と、ドレイン電極EL3とを有している。これらの点に関して、半導体装置DEV3の構成は、半導体装置DEV1の構成と共通している。
【0058】
半導体装置DEV3では、凹部RPとして、複数の溝TRが形成されている。この点に関して、半導体装置DEV3の構成は、半導体装置DEV1の構成と異なっている。
【0059】
溝TRは、平面視において、第1方向DR1に沿って延在している。複数の溝TRは、第2方向DR2において互いに間隔を空けて配置されている。第2方向DR2は、第1方向DR1に直交している方向である。溝TRは、好ましくは、平面視においてゲート電極EL2と重ならない位置に形成されている。
【0060】
ゲートトレンチGTRの延在方向は、平面視において、第1方向DR1に沿っていることが好ましい。すなわち、ゲートトレンチGTRの延在方向は、溝TRの延在方向と平行であることが好ましい。但し、ゲートトレンチGTRの延在方向は、第2方向DR2に沿っていてもよい。
【0061】
<半導体装置DEV3の効果>
半導体装置DEV3では、溝TRが複数形成されているため、溝TRの間にある第2面SSにより、ワイヤボンディング時に加わる荷重を支持することができる。そのため、半導体装置DEV3によると、ワイヤボンディング時に加わる荷重により半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。溝TRの延在方向がゲートトレンチGTRの延在方向に沿っている場合、オン抵抗をさらに低減することができる。
【0062】
(第4実施形態)
以下に、第4実施形態に係る半導体装置(以下「半導体装置DEV4」とする)を説明する。ここでは、半導体装置DEV1と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0063】
<半導体装置DEV4の構成>
図28は、半導体装置DEV4の断面図である。図28に示されるように、半導体装置DEV3は、半導体基板SUBと、ゲート絶縁膜GIと、ゲートGAと、層間絶縁膜ILDと、ソース電極EL1と、ゲート電極EL2と、ドレイン電極EL3とを有している。セル領域R2において、第2面SSには、凹部RPが形成されている。これらの点に関して、半導体装置DEV3の構成は、半導体装置DEV1の構成と共通している。
【0064】
半導体装置DEV4は、導電体CBをさらに有している。この点に関して、半導体装置DEV4の構成は、半導体装置DEV1の構成と異なっている。導電体CBは、凹部RPに埋め込まれている。導電体CBは、例えば、銀粒子の焼結体により形成されている。但し、導電体CBは、これに限られるものではない。
【0065】
<半導体装置DEV4の効果>
半導体装置DEV3では、凹部RPに導電体CBが埋め込まれているため、ワイヤボンディング時に加わる荷重は、導電体CBによっても支持される。そのため、半導体装置DEV4によると、ワイヤボンディング時に加わる荷重により半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。
【0066】
(第5実施形態)
以下に、第5実施形態に係る半導体パッケージ(以下「半導体パッケージPKG1」とする)を説明する。
【0067】
<半導体パッケージPKG1の構成>
図29は、半導体パッケージPKG1の断面図である。図29に示されるように、半導体パッケージPKG1は、半導体装置DEV1と、リードフレームLFとを有している。リードフレームLFは、ダイパッドDPを有している。ダイパッドDPは、凸部PPを有している。リードフレームLFは、例えば、銅、銅合金等により形成されている。
【0068】
半導体装置DEV1は、第2面SSがリードフレームLF(ダイパッドDP)に対向するように配置される。その結果、凹部RPに、凸部PPが挿入される。なお、図示されていないが、ドレイン電極EL3とリードフレームLF(ダイパッドDP)とは、例えばハンダにより接続されている。ソース電極EL1及びゲート電極EL2には、ボンディングワイヤBWが接続されている。
【0069】
<半導体パッケージPKG1の効果>
半導体パッケージPKG1では、ボンディングワイヤBWのソース電極EL1及びゲート電極EL2に対するワイヤボンディングが行われる際の荷重が、凸部PPによっても支持されているため、ワイヤボンディング時に加わる荷重により半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。
【0070】
(第6実施形態)
以下に、第6実施形態に係る半導体パッケージ(以下「半導体パッケージPKG2」とする)を説明する。
【0071】
<半導体パッケージPKG2の構成>
図30は、半導体パッケージPKG2の断面図である。図30に示されるように、半導体パッケージPKG1は、半導体装置DEV1と、リードフレームLFとを有している。リードフレームLFは、ダイパッドDPを有している。ダイパッドDPは、第1部分DP1と、第2部分DP2とに分割されている。
【0072】
半導体装置DEV1は、第1面FSがリードフレームLF(ダイパッドDP)と対向するように配置されている。ソース電極EL1及びゲート電極EL2は、それぞれ、第1部分DP1及び第2部分DP2に接続されている。ソース電極EL1と第1部分DP1との接続及びゲート電極EL2と第2部分DP2との接続は、例えば、ハンダ(図示せず)により行われている。ボンディングワイヤBWは、凹部RPの底壁上に位置するドレイン電極EL3の部分に接続されている。
【0073】
<半導体パッケージPKG2の効果>
半導体パッケージPKG2では、ソース電極EL1及びゲート電極EL2に対するワイヤボンディングが行われないため、ワイヤボンディング時の荷重により半導体基板SUBが割れてしまうことを抑制できる。
【0074】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
BR ボディ領域、BW ボンディングワイヤ、CB 導電体、DEV1,DEV2,DEV3,DEV4 半導体装置、DP ダイパッド、DP1 第1部分、DP2 第2部分、DR1 第1方向、DR2 第2方向、DRA ドレイン領域、DRI ドリフト領域、EL1 ソース電極、EL2 ゲート電極、EL3 ドレイン電極、EPI エピタキシャル層、FS 第1面、GA ゲート、GI ゲート絶縁膜、GTR ゲートトレンチ、III 領域、ILD 層間絶縁膜、LF リードフレーム、P ピッチ、PKG1,PKG2 半導体パッケージ、PP 凸部、PR ピラー領域、R1 外周領域、R2 セル領域、RP 凹部、S1 準備工程、S2 エピタキシャル成長工程、S3 第1イオン注入工程、S4 第2イオン注入工程、S5 トレンチ形成工程、S6 ゲート絶縁膜形成工程、S7 ゲート形成工程、S8 層間絶縁膜形成工程、S9 コンタクトプラグ形成工程、S10 基板研磨工程、S11 凹部形成工程、S12 第1電極形成工程、S13 第2電極形成工程、S14 個片化工程、SR ソース領域、SS 第2面、SUB 半導体基板、T1 厚さ、T2 厚さ、T3 厚さ、TR 溝、W 幅。
図1
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