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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112709
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20220101AFI20220727BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20220727BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
F24H1/10 Z
F24H1/14 D
F28F9/26
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008606
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森 真也
【テーマコード(参考)】
3L034
3L065
【Fターム(参考)】
3L034BA32
3L034BB06
3L065FA21
(57)【要約】
【課題】高精度な温度制御が可能となる給湯システムを提供する。
【解決手段】本発明の給湯システム1は、温水供給通路2から供給された温水W1と加熱流体F1との間の熱交換により熱水W2を生成して熱水供給通路4に供給する熱交換ユニットUTを備えている。熱交換ユニットUTは、第1および第2熱交換ユニットUT1,UT2からなる。各熱交換ユニットUT,UT2は、温水W1と加熱流体F1との間の熱交換が行われる熱交換器10,20と、熱交換器10,20に加熱流体F1を供給する加熱流体供給通路12,22と、加熱流体供給通路22,24に設けられて熱交換器10,20に供給される加熱流体F1の量を調節する加熱流体調節弁14,24とを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水通路から供給された被加熱水と加熱流体との間の熱交換により熱水を生成して熱水供給通路に供給する熱交換ユニットを備えた給湯システムであって、
複数の前記熱交換ユニットが設けられ、
前記各熱交換ユニットは、被加熱水と加熱流体との間の熱交換が行われる熱交換器と、前記熱交換器に前記加熱流体を供給する加熱流体供給通路と、前記加熱流体供給通路に設けられて前記熱交換器に供給される前記加熱流体の量を調節する加熱流体調節弁とを有している給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、複数の前記熱交換ユニットが直列に配置されている給湯システム。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、複数の前記熱交換ユニットが並列に配置されている給湯システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の給湯システムにおいて、前記加熱流体供給通路の通路面積が異なっている給湯システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の給湯システムにおいて、さらに、前記熱交換ユニットをバイパスして、前記温水供給通路と前記熱水供給通路とを連通するバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられて、前記バイパス通路を開閉する開閉弁と、を備えた給湯システム。
【請求項6】
請求項5に記載の給湯システムにおいて、さらに、前記バイパス通路から分岐して、隣接する前記熱交換ユニットを接続する接続通路に連通する連通路を備えた給湯システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の給湯システムにおいて、前記加熱流体が蒸気である給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水と加熱流体との間の熱交換により熱水を生成する熱交換ユニットを備えた給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷水または温水を蒸気のような加熱流体で加熱することにより、温水または熱水を生成する給湯システムが知られている(例えば、特許文献1)。生成された温水または熱水はユーザに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5103495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給湯システムでは、熱交換ユニットの加熱流体調節弁を制御して、熱交換器に供給される加熱流体の量を調整することで、給湯温度が制御される。しかしながら、調節弁の分解能には限界があり、温度制御の精度に限界がある。
【0005】
本発明は、高精度な温度制御が可能となる給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の給湯システムは、給水通路から供給された被加熱水と加熱流体との間の熱交換により熱水を生成して熱水供給通路に供給する熱交換ユニットを備えた給湯システムであって、前記熱交換ユニットが複数設けられ、前記各熱交換ユニットは、被加熱水と加熱流体との間の熱交換が行われる熱交換器と、前記熱交換器に前記加熱流体を供給する加熱流体供給通路と、前記加熱流体供給通路に設けられて前記熱交換器に供給される前記加熱流体の量を調節する加熱流体調節弁とを有している。前記加熱流体は、例えば、蒸気である。また、温水は常温の水も含む。
【0007】
複数の熱交換ユニットは、直列に配置されていてもよく、並列に配置されていてもよい。ここで、「熱交換ユニットが直列に配置される」とは、隣接する熱交換ユニットの熱交換器において、温水の流れ方向の上流側の熱交換器の出口と、下流側の熱交換器の入口とが接続通路により接続されていることをいう。また、「熱交換ユニットが並列に配置される」とは、温水供給通路の出口が各熱交換ユニットの熱交換器の入口に接続され、各熱交換ユニットの熱交換器の出口が熱水供給通路の入口に接続されていることをいう。
【0008】
この構成によれば、複数の熱交換器が設けられ、各熱交換器に供給される加熱流体の量を調整する加熱流体調節弁が設けられている。このため、熱交換器が1つの場合に比べて、各加熱流体調節弁で調整される熱交換量の範囲が小さくなる。その結果、同じ分解能の調節弁を用いた場合でも、熱交換器が1つの場合に比べて、小さいスパンで熱交換量を制御できる。したがって、高精度な温度制御が可能となる。
【0009】
本発明において、前記加熱流体供給通路の通路面積が異なっていてもよい。3つ以上の熱交換ユニットが設けられる場合、すべての加熱流体供給通路の通路面積が異なっている必要はなく、少なくとも一つの加熱流体供給通路の通路面積が他の加熱流体供給通路と異なっていればよい。この構成によれば、通路面積の大きな加熱流体供給通路に設けられた加熱流体調節弁を制御して温水を急速に加熱し、通路面積の小さな加熱流体供給通路に設けられた加熱流体調節弁を制御して水温を微調整することで、高精度な温度制御が可能となる。
【0010】
本発明において、さらに、前記熱交換ユニットをバイパスして前記温水供給通路と前記熱水供給通路とを連通するバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられて前記バイパス通路を開閉する開閉弁とを備えていてもよい。熱交換ユニットに流入する給水量の変動や、使用先のバルブ変動による給湯量の変動があった場合、給湯温度が一時的に高温になることがある。この構成によれば、給水量の減少や、給湯温度の上昇を検知した場合に、開閉弁を開弁させることで、温水が熱交換器を介さずに熱水供給通路に供給される。このため、給湯温度が不所望に高くなるのを防ぐことができる。
【0011】
この場合、さらに、前記バイパス通路から分岐して、隣接する前記熱交換ユニットを接続する接続通路に連通する連通路を備えていてもよい。給湯システムでは、加熱流体調節弁や熱交換器が故障すると、給湯が不可能となり、設備全体に多大な影響を及ぼす可能性がある。この構成によれば、加熱流体調節弁または熱交換器が故障した場合でも、バイパス通路と連通路を組み合わせて、故障した熱交換ユニットを介さずに給湯が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の給湯システムによれば、複数の加熱流体調節弁で加熱流体の量が調整されるので、高精度な温度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る給湯システムを示す概略構成図である。
図2】同給湯システムにおいて第2熱交換ユニットが故障した状態を示す概略構成図である。
図3】同給湯システムにおいて第1熱交換ユニットが故障した状態を示す概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る給湯システムを示す概略構成図である。
図5】同給湯システムにおいて第2熱交換ユニットが故障した状態を示す概略構成図である。
図6】同給湯システムにおいて第1熱交換ユニットが故障した状態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る給湯システム1を示す概略構成図である。給湯システム1は、温水供給通路2から供給された被加熱流体である温水W1と加熱流体F1との間の熱交換により熱水W2を生成して熱水供給通路4に供給する熱交換ユニットUTを備えている。本実施形態では、加熱流体F1として、蒸気が用いられている。ただし、加熱流体F1は、蒸気に限定されず、例えば、高温高圧水であってもよい。
【0015】
ユーザに供給される熱水W2は、例えば、98℃に設定されている。このような熱水W2は、例えば、食品メーカの生産設備における殺菌、滅菌等の作業に用いられる。また、温水W1は、常温(25℃程度)の水も含む。
【0016】
以下の説明において、「上流」、「下流」とは、水(温水W1、熱水W2)の流れ方向の上流、下流、または加熱流体F1の流れ方向の上流、下流をいう。
【0017】
本実施形態の熱交換ユニットUTは、上流側の第1熱交換ユニットUT1と、下流側の第2熱交換ユニットUT2とからなる。各熱交換ユニットUT1,UT2は、熱交換器10,20と、加熱流体供給通路12,22と、加熱流体調節弁14,24とを有している。つまり、第1交換ユニットUT1が、第1熱交換器10と、第1加熱流体供給通路12と、第1加熱流体調節弁14とを有し、第2熱交換ユニットUT2が、第2熱交換器20と、第2加熱流体供給通路22と、第2加熱流体調節弁24とを有している。
【0018】
第1および第2熱交換器10,20において、温水W1と加熱流体F1との間の熱交換が行われる。つまり、第1および第2熱交換器10,20は、温水入口10a,20a、温水出口10b,20b、加熱流体入口10c,20cおよび加熱流体出口10d,20dを有している。加熱流体F1は、第1および第2加熱流体供給通路12,22により第1および第2熱交換器10,20にそれぞれ供給される。つまり、第1および第2加熱流体供給通路12,22が、第1および第2熱交換器10,20の加熱流体入口10c,20cにそれぞれ接続されている。
【0019】
本実施形態では、第1および第2加熱流体供給通路12,22の通路面積が異なっている。詳細には、第2加熱流体供給通路22の通路面積が、第1加熱流体供給通路12の通路面積よりも小さく設定されている。例えば、第1加熱流体供給通路12の口径が50mm程度で、第2加熱流体供給通路22の口径が20mm程度である。第1および第2加熱流体供給通路12、22の大きさはこれに限定されない。また、第1および第2加熱流体供給通路12、22の通路面積が同じであってもよい。
【0020】
第1および第2加熱流体供給通路12,22の上流端は、共通の加熱流体メイン通路6に接続されている。加熱流体メイン通路6に圧力センサ8が設けられている。圧力センサ8は、加熱流体メイン通路6を流れる加熱流体F1の圧力を検出する。
【0021】
第1および第2加熱流体調節弁14,24は、第1および第2加熱流体供給通路12,22にそれぞれ設けられ、第1および第2熱交換器10,20に供給される加熱流体F1の量を調節する。本実施形態では、第1および第2加熱流体調節弁14,24として電動ボール弁が用いられている。ただし、第1および第2加熱流体調節弁14,24は電動ボール弁に限定されない。本実施形態では、第1および第2加熱流体調節弁14,24は、同じ分解能のバルブが使用されている。
【0022】
第1および第2熱交換ユニットUT1,UT2は直列に配置されている。つまり、上流側の第1熱交換ユニットUT1の第1熱交換器10の温水出口10bと、下流側の第2熱交換ユニットUT2の第2熱交換器20の温水入口20aとが接続通路30により接続されている。
【0023】
熱交換ユニットUTは2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の熱交換ユニットが直列に配置される。3つ以上の熱交換ユニットUTが設けられる場合、加熱流体供給通路の通路面積はすべて異なっていてもよく、少なくとも一つの加熱流体供給通路の通路面積が他の加熱流体供給通路と異なっていてもよく、すべて同じであってもよい。
【0024】
第1および第2熱交換器10,20の加熱流体出口10d,20dに第1および第2加熱流体排出通路16,26の上流端がそれぞれ接続されている。加熱流体入口10c,20cから第1および第2熱交換器10,20に流入した加熱流体F1は、第1および第2熱交換器10,20内において温水W1との間で熱交換して温水W1を加熱した後、加熱流体出口10d,20dから第1および第2加熱流体排出通路26,28に導出される。
【0025】
第1および第2加熱流体排出通路16,26の下流端に、スチームトラップ18,28がそれぞれ設けられている。スチームトラップ18,28により、第1および第2加熱流体排出通路16,26中の復水(ドレン)F2がドレン通路32から排出される。
【0026】
加熱流体メイン通路6の下流端に、ドレン取出用通路34が接続されている。ドレン取出用通路34の下流端にもスチームトラップ36が設けられており、このスチームトラップ36によりドレン取出用通路34中の復水(ドレン)F2がドレン通路32から排出される。
【0027】
温水供給通路2には、例えば、タンク(図示せず)に貯留された温水W1がポンプ(図示せず)により供給される。温水供給通路2に、第1温度センサ38および流量計40が設けられている。第1温度センサ38は、温水供給通路2内の温水W1の温度(温水温度)を検出する。流量計40は、温水供給通路2を流れる温水W1の流量、つまり、熱交換ユニットUTに供給される温水W1の流量を検出する。
【0028】
温水供給通路2の下流端が、第1熱交換器10の温水入口10aに接続されている。一方、第2熱交換器20の温水出口(熱水出口)20bに熱水供給通路4の上流端が接続されている。第1熱交換器10の温水入口10aから第1熱交換器10に流入した温水W1は、第1熱交換器10内において加熱流体F1との間で熱交換され、温水出口10bから接続通路30に導出される。接続通路30に導出された温水W1は、温水入口20aから第2熱交換器20に流入して、第2熱交換器20内において加熱流体F1との間で熱交換されて熱水W2となる。生成された熱水W2は、温水出口20bから熱水供給通路4に導出される。熱水供給通路4に導出された熱水W2はユーザに供給される。
【0029】
温水供給通路2における第1熱交換器10の上流側に第1開閉弁42が設けられている。また、熱水供給通路4における第2熱交換器10の下流側に第2開閉弁44が設けられている。本実施形態では、第1および第2開閉弁42,44として手動弁が用いられているが、電磁弁であってもよい。熱水供給通路16に、第2温度センサ46が設けられている。第2温度センサ46は、熱水供給通路4内の熱水W2の温度を検出する。
【0030】
本実施形態の給湯システム1は、熱交換ユニットUTをバイパスして温水供給通路2と熱水供給通路4とを連通するバイパス通路50を有している。バイパス通路50の上流端は、温水供給通路2における第1温度センサ38と第1開閉弁42との間に接続されている。一方、バイパス通路50の下流端は、熱水供給通路4における第2開閉弁44と第2温度センサ46との間に接続されている。
【0031】
バイパス通路50に、バイパス通路50を開閉するバイパス開閉弁52が設けられている。本実施形態では、バイパス開閉弁52は、上流側の第1バイパス開閉弁54と、下流側の第2バイパス開閉弁56とを有している。第1および第2バイパス開閉弁54,56は、例えば、電磁弁である。ただし、第1および第2バイパス開閉弁54,56は、電磁弁に限定されず、例えば、エア式または油圧式のON-OFFバルブであってもよい。
【0032】
本実施形態の給湯システム1は、さらに、バイパス通路50から分岐して接続通路30に連通する連通路60を備えている。連通路60は、バイパス通路50における第1バイパス開閉弁54と第2バイパス開閉弁56との間から分岐している。連通路60はなくてもよい。その場合、バイパス開閉弁52は1つでよい。
【0033】
熱交換ユニットUTが3つ以上設けられる場合、接続通路30は複数設ける必要がある。この場合、接続通路30と同じ数だけ連通路60が必要となり、熱交換ユニットUTと同じ数だけバイパス開閉弁52が必要となる。例えば、熱交換ユニットUTが3つの場合、接続通路30および連通路60が2つ設けられ、バイパス開閉弁52は3つ設けられる。この場合、接続通路30における連通路60が接続される部分よりも下流側に開閉弁が設けられることが好ましい。
【0034】
給湯システム1の各機器は、制御装置70により制御されている。具体的には、第1および第2温度センサ38,46、圧力センサ8、流量計40等の出力値は制御装置70に入力される。また、第1および第2バイパス開閉弁54,56、第1および第2加熱流体調節弁14,24等の機器は制御装置70の指令により動作する。制御装置70は、リレー等からなる電気回路であってもよく、プログラムが実装された演算装置であってもよい。
【0035】
つぎに、本実施形態の循環式給湯システム1の動作について説明する。図1の通常状態では、第1および第2開閉弁42,44が開状態で、第1および第2バイパス開閉弁54,56が閉状態である。温水W1は、温水供給通路2から第1および第2熱交換器10,20で熱交換されて熱水W2となり、熱水供給通路4に供給される。
【0036】
このとき、第1および第2加熱流体調節弁14,24で加熱流体F1の流量を調整することで、熱水W2の温度が調整される。詳細には、口径の大きな第1加熱流体調節弁14を用いて温水W1は急速に加熱され、口径の小さな第2加熱流体調節弁24を用いて水温が微調整される。これにより、高精度な温度制御が実現される。
【0037】
例えば、第1加熱流体供給通路12の口径が50mmで、第2加熱流体供給通路22の口径が20mmの場合、加熱流体F1の圧力が0.1MPaG程度のときの熱交換量は、口径50mmの配管で600~1000kW、口径20mmの配管で100~150kW程度となる。加熱流体調節弁14,24の分解能を1:500とすると、口径50mmの配管で1.2~2.0kW、口径20mmの配管で0.2~0.3kWが調整可能な最小値となる。ここで、給湯流量を100L/minとすると、口径50mmの配管で0.17~0.29℃、口径20mmの配管で0.03~0.04℃が温度調整可能な最小値となる。このように、本実施形態では、第2加熱流体調節弁24により高精度な温度制御が可能である。
【0038】
例えば、水の使用量の急変によって、給水量の流量計40が流量の減少を検知したり、熱水側の第2温度センサ46が給湯温度の上昇を検知したりした場合、制御装置70は、第1および第2バイパス開閉弁54,56を開弁させる。これにより、図1に破線矢印で示すように、温水W1の一部が熱交換器10,20を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0039】
図2に示すように、第2熱交換ユニットUT2が故障した場合、第2開閉弁44および第1バイパス開閉弁54を閉状態とし、第1開閉弁42および第2バイパス開閉弁56を開状態とする。これにより、温水W1は、第1熱交換ユニットUT1により熱交換されて熱水W1となり、給湯が維持される。図2の場合でも、流量の減少や、給湯温度の上昇が検知された場合、第1バイパス開閉弁54を開弁することで、図2に破線矢印で示すように、温水W1の一部が第1熱交換器10を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0040】
図3に示すように、第1熱交換ユニットUT1が故障した場合、第1開閉弁42および第2バイパス開閉弁56を閉状態とし、第2開閉弁44および第1バイパス開閉弁54を開状態とする。これにより、温水W1は、第2熱交換ユニットUT2により熱交換されて熱水W1となり、給湯が維持される。図3の場合でも、流量の減少や、給湯温度の上昇が検知された場合、第2バイパス開閉弁56を開弁するとで、図3に破線矢印で示すように、温水W1の一部が第2熱交換器20を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0041】
上記構成によれば、2つの熱交換器10,20が直列に配置され、各熱交換器10,20に供給される加熱流体F1の量を調整する加熱流体調節弁14,24が設けられている。このため、熱交換器が1つの場合に比べて、各加熱流体調節弁14,24で調整される熱交換量の範囲が小さくなる。その結果、熱交換器が1つの場合に比べて、小さいスパンで熱交換量を制御できる。したがって、高精度な温度制御が可能となる。
【0042】
また、第1および第2加熱流体供給通路12,22の通路面積が異なっている。これにより、通路面積の大きな第1加熱流体調節弁14を制御して温水W1を急速に加熱し、通路面積の小さな第2加熱流体調節弁24を制御して水温を微調整することで、高精度な温度制御が可能となる。
【0043】
熱交換ユニットUTに流入する給水量の変動や、使用先のバルブ変動による給湯量の変動があった場合、給湯温度が一時的に高温になることがある。上記構成では、バイパス通路50と、バイパス通路50を開閉するバイパス開閉弁52が設けられているので、給水量の減少や、給湯温度の上昇を検知した場合に、バイパス開閉弁52を開弁させることで、温水W1が熱交換器10,20を介さずに熱水供給通路4に供給される。このため、給湯温度が不所望に高くなるのを防ぐことができる。
【0044】
給湯システム1では、加熱流体調節弁や熱交換器が故障すると、給湯が不可能となり、設備全体に多大な影響を及ぼす可能性がある。上記構成では、加熱流体調節弁14および熱交換器10、または加熱流体調節弁24および熱交換器20が故障した場合でも、バイパス通路50と連通路60を組み合わせて、故障した側の熱交換ユニットUT1またはUT2を介さずに給湯が可能である。
【0045】
加熱流体F1に蒸気を用いることで、第1および第2熱交換器10,20による温水W1の昇温を迅速に行うことができる。
【0046】
図4は、本発明の第2実施形態に係る給湯システム1Aを示す概略構成図である。第2実施形態において、前述の第1実施形態と同様の構成については共通の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0047】
第2実施形態では、第1および第2熱交換ユニットUT1,UT2は並列に配置されている。つまり、第1熱交換ユニットUT1の第1熱交換器10の温水入口10aおよび第2熱交換ユニットUT2の第2熱交換器20の温水入口20aと、温水供給通路2の出口2aが第1および第2接続通路80,82によりそれぞれ接続されている。さらに、上流側の第1熱交換ユニットUT1の第1熱交換器10の温水出口(熱水出口)10bおよび下流側の第2熱交換ユニットUT2の第2熱交換器20の温水出口(熱水出口)20bと、熱水供給通路4の入口2aが第3および第4接続通路84,86によりそれぞれ接続されている。
【0048】
熱交換ユニットUTは2つに限定されず、3つ以上であってもよい。この場合、3つ以上の熱交換ユニットが並列に配置される。3つ以上の熱交換ユニットUTが設けられる場合、加熱流体供給通路の通路面積はすべて異なっていてもよく、少なくとも一つの加熱流体供給通路の通路面積が他の加熱流体供給通路と異なっていてもよく、すべて同じであってもよい。
【0049】
第1および第2接続通路80,82に、第1および第2流量計40A,40Bがそれぞれ設けられている。第1および第2流量計40A,40Bは、第1および第2熱交換ユニットUT1,UT2にそれぞれ供給される温水W1の流量を検出する。第1接続通路80における第1熱交換器10の上流側で第1流量計40Aの下流側に第1開閉弁42Aが設けられている。同様に、第2接続通路82における第2熱交換器20の上流側で第2流量計40Bの下流側に第1開閉弁42Bが設けられている。
【0050】
第3および第4接続通路84,86に、第3温度センサ45A,45Bが設けられている。第3温度センサ45A,45Bは、第3および第4接続通路84,86内の熱水W2の温度をそれぞれ検出する。第3接続通路84における第1熱交換器10の下流側で第3温度センサ45Aの上流側に第2開閉弁44Aが設けられている。同様に、第4接続通路86における第2熱交換器20の下流側で第3温度センサ45Bの上流側に第2開閉弁44Bが設けられている。本実施形態では、第1開閉弁42A,42Bおよび第2開閉弁44A,44Bとして手動弁が用いられているが、電磁弁であってもよい。
【0051】
給湯システム1Aの各機器は、制御装置70により制御されている。具体的には、第1~第3温度センサ38,45A,45B,46、圧力センサ8、流量計40A,40B等の出力値は制御装置70に入力される。また、バイパス開閉弁52、第1および第2加熱流体調節弁14,24等の機器は制御装置70の指令により動作する。制御装置70は、リレー等からなる電気回路であってもよく、プログラムが実装された演算装置であってもよい。
【0052】
つぎに、本実施形態の循環式給湯システム1Aの動作について説明する。図4の通常状態では、第1開閉弁42A,42Bおよび第2開閉弁44A,44Bが開状態で、バイパス開閉弁52が閉状態である。温水W1は、温水供給通路2から第1および第2接続通路80,82を介して第1および第2熱交換器10,20で熱交換されて熱水W2となり、第3および第4接続通路84,86を経由して熱水供給通路4に供給される。
【0053】
このとき、第1および第2加熱流体調節弁14,24で加熱流体F1の流量を調整することで、熱水W2の温度が調整される。詳細には、口径の大きな第1加熱流体調節弁14を用いて温水W1は急速に加熱され、口径の小さな第2加熱流体調節弁24を用いて水温が微調整される。これにより、高精度な温度制御が実現される。
【0054】
例えば、水の使用量の急変によって、給水量の流量計40A,40Bが流量の減少を検知したり、熱水側の第2温度センサ46が給湯温度の上昇を検知したりした場合、制御装置70は、バイパス開閉弁52を開弁させる。これにより、図4に破線矢印で示すように、温水W1の一部が熱交換器10,20を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0055】
図5に示すように、第2熱交換ユニットUT2が故障した場合、第2熱交換ユニットUT2の第1および第2開閉弁42B,44Bとバイパス開閉弁52を閉状態とし、第1熱交換ユニットUT1の第1および第2開閉弁42A,44Aを開状態とする。これにより、温水W1は、第1熱交換ユニットUT1により熱交換されて熱水W1となり、給湯が維持される。図5の場合でも、流量の減少や、給湯温度の上昇が検知された場合、バイパス開閉弁52を開弁することで、図5に破線矢印で示すように、温水W1の一部が第1熱交換器10を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0056】
図6に示すように、第1熱交換ユニットUT1が故障した場合、第1熱交換ユニットUT1の第1および第2開閉弁42A,44Aとバイパス開閉弁52を閉状態とし、第2熱交換ユニットUT2の第1および第2開閉弁42B,44Bを開状態とする。これにより、温水W1は、第2熱交換ユニットUT2により熱交換されて熱水W1となり、給湯が維持される。図6の場合でも、流量の減少や、給湯温度の上昇が検知された場合、バイパス開閉弁52を開弁することで、図6に破線矢印で示すように、温水W1の一部が第2熱交換器20を介さずに熱水供給通路4に供給される。これにより、熱水W2が過度に高温となるのを防ぐことができる。
【0057】
第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。本発明の給湯システムは、循環式の給湯システムにも、循環式でない給湯システムにも適用可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1,1A 給湯システム
2 温水供給通路(給水通路)
4 熱水供給通路
10,20 熱交換器
12,22 加熱流体供給通路
14,24 加熱流体調節弁
30 接続通路
50 バイパス通路
52 バイパス開閉弁
60 連通路
F1 加熱流体
UT 熱交換ユニット
W1 温水(被加熱水)
W2 熱水
図1
図2
図3
図4
図5
図6