IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三甲株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図1
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図2
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図3
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図4
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図5
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図6
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図7
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図8
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図9
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図10
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図11
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図12
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図13
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図14
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図15
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図16
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図17
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図18
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図19
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図20
  • 特開-蓋体及び蓋付き容器 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112723
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】蓋体及び蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/24 20060101AFI20220727BHJP
   B65D 6/18 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B65D6/24 D
B65D6/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008630
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】籔田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】和田 吉弘
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA05
3E061AB09
3E061AD04
3E061BB12
3E061CA02
3E061DA08
3E061DA09
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】蓋側ロック孔及び容器側ロック孔が設けられた対向壁同士が離れている場合であっても、ロック部材の差し込み作業を容易にすることが求められる。
【解決手段】本開示の蓋付き容器10では、蓋体30の蓋側ロック孔36近傍に、挿入ガイド部40が形成されている。挿入ガイド部40は、蓋側ロック孔36の開口縁のうち天板31側の長辺部分から下方へ延びるガイド壁41を備えている。ガイド壁41は、下方へ向かうにつれて外方へ進むように傾斜していて、その下端は、コンテナ側ロック孔26の内側端部寄り位置に配されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開放の容器に被せられ、前記容器の容器側ロック孔と共にロック部材が抜け止め状態に差し込まれる蓋側ロック孔を備える蓋体において、
前記容器に当接し、前記蓋側ロック孔が形成された蓋側対向壁部を前記容器側ロック孔が形成された容器側対向壁部から離れた状態に保持する蓋側当接部と、
前記蓋側ロック孔の開口縁から前記容器側対向壁に向けて突出し、前記ロック部材を前記容器側ロック孔に案内する挿入ガイド部と、を備える蓋体。
【請求項2】
前記容器側対向壁部は、前記容器の上面開口から外方へ張り出し、
前記蓋側ロック孔と前記容器側ロック孔とは上下方向で並び、
前記挿入ガイド部は、前記蓋側ロック孔の開口縁のうち前記上面開口側部分から延び、下方に向かうにつれて前記上面開口から離れるように傾斜するガイド傾斜部を備える請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蓋体と、前記容器と、を有する蓋付き容器であって、
前記容器は、底壁と、上枠との間に、前記上枠と前記底壁とにヒンジ連結されて2つ折りに折り畳み可能な第1側壁と、前記上枠にヒンジ連結されて跳ね上げて折り畳み可能な第2側壁と、を有する折り畳み容器であり、
前記ロック部材は、前記蓋側ロック孔及び前記容器側ロック孔を挿通する挿通部と、前記挿通部の先端部に配され、前記容器側ロック孔を通過して前記容器側ロック孔の開口縁に前記蓋側ロック孔と反対側から対向する対向部と、を備え、
前記容器側ロック孔は、前記上枠に形成され、
前記上枠と、前記蓋側ロック孔の下方に位置する前記第1側壁又は前記第2側壁と、の間には、前記ロック部材から切り離された前記挿通部が収容されるロック収容部を備える蓋付き容器。
【請求項4】
前記ロック収容部は、前記第1側壁又は前記第2側壁が前記上枠に対して折り畳まれるように回動されると、前記挿通部を排出するように下向きに開放される請求項3に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
前記蓋側ロック孔と前記容器側ロック孔とは上下方向で並び、
前記第1側壁又は前記第2側壁は、前記ロック収容部の下側壁をなし、外方へ向けて下るように傾斜した排出ガイド壁を備え、
前記排出ガイド壁の内側端部は、前記挿入ガイド部の下端部と同一平面内又は前記挿入ガイド部の下端部より前記容器の内側に配されている請求項4に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
前記排出ガイド壁は、内側端部から鉛直上方に延びた起立部を有している請求項5に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、上面開放の容器に被せられる蓋体及び蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋体として、容器の容器側ロック孔と共にロック部材が抜け止め状態に差し込まれる蓋側ロック孔を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3005198号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の蓋体及び蓋付き容器では、蓋側ロック孔及び容器側ロック孔が設けられた対向壁同士が離れていると、ロック部材を容器側ロック孔まで挿通する際にロック部材が容器側ロック孔からずれやすくなり、ロック部材の差し込み作業が困難になることが懸念される。よって、蓋側ロック孔及び容器側ロック孔が設けられた対向壁同士が離れている場合であっても、ロック部材の差し込み作業を容易にすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明は、上面開放の容器に被せられ、前記容器の容器側ロック孔と共にロック部材が抜け止め状態に差し込まれる蓋側ロック孔を備える蓋体において、前記容器に当接し、前記蓋側ロック孔が形成された蓋側対向壁部を前記容器側ロック孔が形成された容器側対向壁部から離れた状態に保持する蓋側当接部と、前記蓋側ロック孔の開口縁から前記容器側対向壁に向けて突出し、前記ロック部材を前記容器側ロック孔に案内する挿入ガイド部と、を備える蓋体である。
【0006】
請求項2の発明は、前記容器側対向壁部は、前記容器の上面開口から外方へ張り出し、前記蓋側ロック孔と前記容器側ロック孔とは上下方向で並び、前記挿入ガイド部は、前記蓋側ロック孔の開口縁のうち前記上面開口側部分から延び、下方に向かうにつれて前記上面開口から離れるように傾斜するガイド傾斜部を備える請求項1に記載の蓋体である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の蓋体と、前記容器と、を有する蓋付き容器であって、前記容器は、底壁と、上枠との間に、前記上枠と前記底壁とにヒンジ連結されて2つ折りに折り畳み可能な第1側壁と、前記上枠にヒンジ連結されて跳ね上げて折り畳み可能な第2側壁と、を有する折り畳み容器であり、前記ロック部材は、前記蓋側ロック孔及び前記容器側ロック孔を挿通する挿通部と、前記挿通部の先端部に配され、前記容器側ロック孔を通過して前記容器側ロック孔の開口縁に前記蓋側ロック孔と反対側から対向する対向部と、を備え、前記容器側ロック孔は、前記上枠に形成され、前記上枠と、前記蓋側ロック孔の下方に位置する前記第1側壁又は前記第2側壁と、の間には、前記ロック部材から切り離された前記挿通部が収容されるロック収容部を備える蓋付き容器である。
【0008】
請求項4の発明は、前記ロック収容部は、前記第1側壁又は前記第2側壁が前記上枠に対して折り畳まれるように回動されると、前記挿通部を排出するように下向きに開放される請求項3に記載の蓋付き容器である。
【0009】
請求項5の発明は、前記蓋側ロック孔と前記容器側ロック孔とは上下方向で並び、前記第1側壁又は前記第2側壁は、前記ロック収容部の下側壁をなし、外方へ向けて下るように傾斜した排出ガイド壁を備え、前記排出ガイド壁の内側端部は、前記挿入ガイド部の下端部と同一平面内又は前記挿入ガイド部の下端部より前記容器の内側に配されている請求項4に記載の蓋付き容器である。
【0010】
請求項6の発明は、前記排出ガイド壁は、内側端部から鉛直上方に延びた起立部を有している請求項5に記載の蓋付き容器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、蓋側当接部によって容器側対向壁部から離れた状態に保持される蓋側対向壁部の蓋側ロック孔の開口縁から容器側対向壁に向けて挿入ガイド部が突出していて、蓋側ロック孔に差し込まれたロック部材が挿入ガイド部により容器側ロック孔に案内されるので、ロック部材の差し込み作業が容易になる。
【0012】
請求項2の発明によれば、ロック部材が、容器の上面開口から離れるように、即ち、容器の外方へ向かって差し込まれるので、容器の収容物が傷つくことが防がれる。
【0013】
請求項3の発明によれば、蓋体を外すときにロック部材から切り離された挿通部が、上枠と第1側壁又は第2側壁との間に備えられるロック収容部に収容されるので、容器の収容物と混ざることが防がれる。
【0014】
請求項4の発明によれば、容器を折り畳む際に挿通部が排出されるので、挿通部の取り出しが容易になる。
【0015】
請求項5の発明によれば、排出ガイド壁の内側端部が、挿入ガイド部の下端部と同一平面内又は挿入ガイド部の下端部より容器の内側に配されているので、ロック部材から切り離された挿通部が排出ガイド壁に受け止められ、容器の内側に落ちることが防がれる。
【0016】
請求項6の発明によれば、排出ガイド壁に、内側端部から鉛直上方に延びた起立部が設けられているので、ロック部材から切り離された挿通部が容器の内側に落ちることがより防がれる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示に係る蓋付き容器の斜視図
図2】折り畳みコンテナの斜視図
図3】折り畳み状態の折り畳みコンテナの斜視図
図4】折り畳み途中の折り畳みコンテナの斜視図
図5】上枠の斜視図
図6】上枠の下面側斜視図
図7】第2側壁の外面側斜視図
図8】第2側壁の内面側斜視図
図9】蓋体の斜視図
図10】蓋体の下面側斜視図
図11】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図12】ロック部材の斜視図
図13】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図14】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図15】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図16】挿入ガイド部近傍の拡大図
図17】挿入ガイド部近傍の拡大断面図
図18】挿入ガイド部近傍の拡大図
図19】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図20】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
図21】コンテナ側ロック孔及び蓋側ロック孔近傍の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図21を参照して本開示の蓋付き容器10について説明する。図1に示すように、蓋付き容器10は、折り畳みコンテナ10A(特許請求の範囲中の「容器」に相当する)の上面開口10B(図2参照)を蓋体30にて閉塞可能になっている。折り畳みコンテナ10Aと蓋体30とは共に合成樹脂により構成されている。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の折り畳みコンテナ10Aは、平面形状が長方形で上面が開放した直方体状をなしている。折り畳みコンテナ10Aは、上端部と下端部とに備えた上枠20と底壁11との間に、短辺方向で対向する1対の第1側壁13と長辺方向で対向する1対の第2側壁14とが組み付けられてなり、図2に示される組み立て状態と、図3に示される折り畳み状態とに変形可能である。
【0020】
図2及び図4に示すように、底壁11は、外縁部全体から起立する外縁突壁11Aを有している。底壁11の短辺部分の外縁寄り位置には、上方に起立した1対の係止突片11Bが設けられている。この係止突片11Bと外縁突壁11Aとの間は、第2側壁14の下端部を受容する係合凹部11Cとなっている。また、底壁11の長辺部分には、複数のヒンジ受容凹部11Dが形成されている。
【0021】
図5及び図6に示すように、上枠20は、枠状の上壁21(特許請求の範囲中の「容器側対向壁部」に相当する)と、その外縁の略全体から垂下した外壁22と、を有し、この上枠20の内側が、折り畳みコンテナ10Aの上面開口10Bをなす。上枠20の長辺部は、上壁21の内縁から長辺内壁23Aが垂下した角溝状をなしている。長辺内壁23Aの下端は、外壁22の下端よりも僅かに上方に位置している。また、外壁22と長辺内壁23Aとの間は、複数のリブ20Lで連絡されている。
【0022】
上枠20の短辺部は、上壁21の内縁から突出した短辺内壁23Bを有している。短辺内壁23Bの上壁21からの突出量は、長辺内壁23Aの上壁21からの突出量の1/4~1/6程である。上壁21の4隅は、陥没した段積み凹部21Uとなっていて、折り畳みコンテナ10A同士を段積みする際に、底壁11の下面に形成されて段積み突部(図示せず)と係合する。
【0023】
上枠20の短辺部には、両端部に、上枠20の長辺部の外壁22を内側へ膨出させた回動支持部25が形成されている。回動支持部25には、長辺方向に延び、第1側壁13を連結するための第1貫通孔25Aと、短辺方向に延び、第2側壁14を連結するための第2貫通孔25Bと、が形成されている。また、上枠20の短辺部には、上壁21から垂下した複数のリブ20Lが設けられ、それらリブ20Lにも、第2側壁14を連結するためのヒンジ受容部20Jが形成されている。なお、上枠20の短辺部の中央には、外側角部をC面取りしてなる面取り部20Mが形成され、蓋体30を付けずに折り畳みコンテナ10Aのみを上枠20を掴んで持ち上げる際に手に角が当たることが防がれる。
【0024】
図2及び図4に示すように、第1側壁13は、上下方向の略中央で上側第1側壁13Aと下側第1側壁13Bとに2分割されている。これら上側第1側壁13Aと下側第1側壁13Bとは、中間ヒンジ部13Cを介して互いに回動可能に連結されている。また、第1側壁13では、上側第1側壁13Aの上端に設けられたヒンジ部(図示せず)が上枠20の第1貫通孔25Aに回動可能に連結されている一方、下側第1側壁13Bのヒンジ部13Hが底壁11のヒンジ受容凹部11Dに回動可能に連結されている。これにより、第1側壁13は、上下方向の略中央を起点に2つ折りに折り畳み可能になっている。
【0025】
図2及び図3に示すように、第2側壁14は、上枠20に回動可能にヒンジ連結されていて、内側へ跳ね上げるように折り畳み可能になっている。詳細には、図7に示すように、第2側壁14は、主板14Aと、主板14Aの上端から外方へ突出した上端リブ14Bと、上端リブ14Bより上方に突出した上方突部15と、を有している。上方突部15は、短辺方向の中央に配された中央上方突部15Aと、両端部に配された端部上方突部15Bと、中央上方突部15Aと端部上方突部15Bとの間に配された中間上方突部15Cと、に分割されていて、各上方突部15A~15Cの側端面には、上枠20の第2貫通孔25Bやヒンジ受容部20Jに連結するヒンジ軸15Jが設けられている。
【0026】
また、上方突部15のうち端部上方突部15Bと中間上方突部15Cとは、第2側壁14の主板14Aから面一に延びた内側壁15Mを備え(図8参照)、中央上方突部15Aは、上端リブ14Bの外側端部から起立した外側壁15Nを備えている(図7参照)。
【0027】
折り畳みコンテナ10Aの組み立て状態において、第2側壁14は、その下端部が底壁11の係合凹部11Cに受容され、内側から当接する係止突片11Bにより回動を規制されている(図2参照)。また、第2側壁14は、1対の第1側壁13の間に挟まれ、第1側壁13が内側へ折り畳まれることを規制する。
【0028】
折り畳みコンテナ10Aは、以下のようにして折り畳むことができる。まずは、1対の第2側壁14を内側に強く押し込んで係止突片11Bと第2側壁14との係合を解除させ、1対の第2側壁14を跳ね上げて上枠20内に折り畳む。次いで、1対の第1側壁13を内側に2つ折りに折り畳む(図4参照)。すると、底壁11の外縁突壁11Aの上に上枠20が重なり、折り畳みコンテナ10Aが折畳状態になる(図3参照)。
【0029】
折り畳みコンテナ10Aを組立状態にするには、上枠20を底壁11に対して上方に持ち上げる。すると、1対の第1側壁13の上側第1側壁13Aと下側第1側壁13Bとが開き、第2側壁14が自重で下方に回動して1対の第1側壁13の間に入り込む。そして、第2側壁14を内側から押圧して下方まで回動させると、第2側壁14に底壁11の係止突片11Bが係止して第2側壁14が起立姿勢に保持されると共に、第2側壁14が間に入り込むことにより第1側壁13が起立姿勢に保持され、折り畳みコンテナ10Aが組立状態になる。
【0030】
図9図11に示すように、蓋体30は、天板31と、天板31を包囲する土手部32を有している。土手部32は、天板31の外縁から板厚3~4枚分程起立した内側壁32Aと、蓋体30の外縁に位置する外側壁32Bと、内側壁32Aと外側壁32Bとの間を連絡する上壁33と、を有している。外側壁32Bの上端は、内側壁32Aの上端よりも板厚3~4枚分程上方に位置し、外側壁32Bの下端は、内側壁32Aの下端よりも板厚1枚分程上方に位置している。
【0031】
上壁33は、高さの異なる外側壁32Bと内側壁32Aとを連絡するために段付き状になっている。詳細には、上壁33は、外側壁32Bの上端のうち土手部32の4隅を除いた部分から内側へ内側壁32A寄り位置まで張り出した上段上壁33A(特許請求の範囲中の「蓋側対向壁部」に相当する)と、内側壁32Aの上端から外方へ張り出した下段上壁33Bと、上段上壁33Aと下段上壁33Bとを連絡する段差部33Cと、を有している。図10に示すように、土手部32には、段差部33Cと外側壁32Bとの間を連絡する土手リブ32Lが複数設けられており、この土手リブ32Lの下端面は、下段上壁33Bの下面と面一になっている。これら下段上壁33B及び土手リブ32Lが特許請求の範囲中の「蓋側当接部」に相当する。なお、土手部32の4隅では、下段上壁33Bは、外側壁32Bの上端寄り位置に接続されている(図9参照)。
【0032】
図11に示すように、蓋体30が折り畳みコンテナ10Aに被せられると、蓋体30の土手部32のうち内側壁32Aから内側部分が折り畳みコンテナ10Aの上面開口10Bに嵌合すると共に、折り畳みコンテナ10Aの上枠20が蓋体30の土手部32のうち下段上壁33Bより下方部分に嵌合する。また、下段上壁33B及び土手リブ32Lが、上枠20の上面に当接し、上段上壁33Aが上枠20の上壁21から離れた状態に保持される。
【0033】
さて、本実施形態の蓋付き容器10では、ロック部材50により、蓋体30を折り畳みコンテナ10Aに固定することが可能となっている。図12に示すように、ロック部材50は、円板状のフランジ部51と、フランジ部51の中央から垂下した挿通部52と、を有している。挿通部52は、断面長方形状をなし、先端に、断面長手方向の両方へ斜め上へ延びた返し部52A(特許請求の範囲中の「対向部」に相当する)を有した矢印状になっている。返し部52Aの上端面は水平に延び、その両端間の長さはフランジ部51の直径よりも大きくなっている。また、挿通部52におけるフランジ部51寄り位置には、断面長手方向へ突出した側方突出部52Bが設けられている。側方突出部52Bは上面が水平に延び、下面が下方に向かうにつれて挿通部52に近づくように傾斜している。側方突出部52Bの両端間の長さは、フランジ部51の直径よりも小さくなっている。
【0034】
図5及び図9に示すように、折り畳みコンテナ10Aの上枠20と蓋体30とには、短辺部の中央に、ロック部材50を差し込むためのコンテナ側ロック孔26(特許請求の範囲中の「容器側ロック孔」に相当する)と蓋側ロック孔36とが貫通形成されている。コンテナ側ロック孔26は平面視円形をなし、蓋側ロック孔36は平面視長方形状をなしている。図13に示すように、蓋側ロック孔36の長手方向の長さは、側方突出部52Bを含む挿通部52をちょうど受容可能な大きさになっている。また、コンテナ側ロック孔26及び蓋側ロック孔36は、返し部52A及びフランジ部51よりも小さくなっている。
【0035】
ロック部材50は、蓋体30が折り畳みコンテナ10Aに被さり、コンテナ側ロック孔26と蓋側ロック孔36とが上下方向に並んだ状態で、上方から差し込まれる。詳細には、蓋側ロック孔36の長手方向とロック部材50の挿通部52の断面の長手方向(返し部52Aが突出する方向)とを合わせてロック部材50の先端を蓋側ロック孔36に宛てがい、ロック部材50を押し込むと、返し部52Aが弾性変形しながらロック部材50がコンテナ側ロック孔26及び蓋側ロック孔36を挿通していく。そして、返し部52Aがコンテナ側ロック孔26を通過すると返し部52Aが弾性復帰して、返し部52Aの上端面がコンテナ側ロック孔26の開口縁に対向すると共に、フランジ部51が蓋側ロック孔36の開口縁に対向(当接)して、ロック部材50が抜け止め状態となり、蓋体30が折り畳みコンテナ10Aに固定される(図13及び図14参照)。このとき、フランジ部51は上段上壁33Aより僅かに内側にはみ出た状態となる。また、側方突出部52Bが蓋側ロック孔36の内面に当接することで、ロック部材50が回り止めされる。
【0036】
蓋体30を外すときは、図15に示すように、ロック部材50を上方へ持ち上げ、フランジ部51と側方突出部52Bとの間の挿通部52をカッター等で切断することで、蓋体30を折り畳みコンテナ10Aから取り外し可能となる。
【0037】
ここで、本実施形態の蓋付き容器10では、図16に示すように、蓋体30の蓋側ロック孔36近傍に、挿入ガイド部40が形成されている。挿入ガイド部40は、蓋体30の上段上壁33Aにおける蓋側ロック孔36の天板31側の隣に配されている。挿入ガイド部40は、蓋側ロック孔36の開口縁のうち天板31側の長辺部分から下方へ延びるガイド壁41(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」に相当する)と、蓋側ロック孔36の開口縁における短辺部のうち天板31側部分から垂下した1対のサイド壁42と、を備え、サイド壁42がガイド壁41と段差部33Cとを連絡するブロック状をなしている。
【0038】
図11及び図16に示すように、ガイド壁41は、下方へ向かうにつれて外方へ進むように傾斜していて、その下端は、コンテナ側ロック孔26の内側端部寄り位置に配されている。ガイド壁41の下端面は、上枠20の上壁21の上面と略同一面内に配されている。また、蓋側ロック孔36の開口縁のうち外側の長辺部と、ガイド壁41の下端部との間の内外方向の間隔は、ロック部材50の挿通部52の断面の短手方向の幅と略等しくなっている。
【0039】
図16及び図17に示すように、サイド壁42の外側端辺は、下方に向かうにつれて僅かに内側に寄りながら延び、サイド壁42のうちガイド壁41から外方へ突出した突出量は、上方へ向かうにつれて大きくなっている。また、図16及び図18に示すように、段差部33Cと下段上壁33Bとの間の連絡部において、1対のサイド壁42に挟まれた部分は、他の部分よりも丸みを帯びている。
【0040】
図11に示すように、折り畳みコンテナ10Aには、第2側壁14の中央上方突部15Aの外面を内側へ膨出させてロック収容部11Kが設けられている。具体的には、図7に示すように、中央上方突部15Aの中央部に、外側壁15Nの高さ方向の途中から上方へ向かうにつれて内側へ近づくように傾斜した排出ガイド壁16と、排出ガイド壁16の内側端部から上方へ起立した起立部17と、が形成されている。起立部17の外側面は、コンテナ側ロック孔26の開口縁の内側端部と略同一平面上に配されていて、ガイド壁41の下端部より内側に配されている。これら排出ガイド壁16及び起立部17と、上枠20の外壁22、上壁21及び短辺内壁23Bと、に囲まれた部分がロック収容部11Kとなっている。なお、起立部17の上端と上枠20の短辺内壁23Bの下端との間の隙間は板厚1枚分程になっている。
【0041】
図11に示すように、コンテナ側ロック孔26及び蓋側ロック孔36にロック部材50が差し込まれると、ロック部材50の下端部(挿通部52の下端部)が排出ガイド壁16の上端寄り位置より板厚1枚分程上方に配される。そして、ロック部材50から挿通部52が切り離されると、切り離された挿通部52は、排出ガイド壁16に誘導されて挿通部52の下端部が外方へ滑り、図19に示されるように、下端部が排出ガイド壁16と上枠20の外壁22とのなす角部に位置し、上端部が上枠20の短辺内壁23Bに当接するように斜めになった状態でロック収容部11Kに収容される。なお、挿通部52は、ロック収容部11K内に外壁22側で横たわった状態で収容されてもよい。
【0042】
そして、この状態で第2側壁14が内側へ跳ね上げるように回動すると、排出ガイド壁16と上枠20の外壁22との間の隙間が徐々に広がることで、図20に示すように、ロック収容部11Kが下方へ向けて開放され、挿通部52がロック収容部11Kから排出される(図21参照)。
【0043】
本実施形態の蓋付き容器10の構成は以上である。次に、蓋付き容器10の作用効果について説明する。上述したように、本実施形態の蓋付き容器10では、コンテナ側ロック孔26と蓋側ロック孔36とにロック部材50を差し込むことで、ロック部材50が抜け止め状態となり、蓋体30が折り畳みコンテナ10Aに固定される。そして、ロック部材50を上方へ持ち上げ、フランジ部51と側方突出部52Bとの間の挿通部52を切断することで、蓋体30を折り畳みコンテナ10Aから取り外し可能となる。
【0044】
ところで、蓋付き容器10では、上述したように、蓋体30に土手リブ32Lを有する土手部32が設けられ、土手リブ32Lが、上枠20の上面に当接する構成になっている。これにより、蓋体30が補強されて強固になる一方、蓋側ロック孔36を備える上段上壁33Aがコンテナ側ロック孔26を備える上枠20の上壁21から離れた状態になるので、ロック部材50を差し込む際に、ロック部材50の先端がコンテナ側ロック孔26からずれ、ロック部材の差し込み作業が困難になることが懸念される。
【0045】
これに対して、本実施形態の蓋体30は、蓋側ロック孔36の開口縁からコンテナ側ロック孔26へ向けて延びるガイド壁41を有する挿入ガイド部40を備えているので、このガイド壁41に沿ってロック部材50を挿入することで、ロック部材50がコンテナ側ロック孔26へ案内されるので、ロック部材50の差し込み作業が容易になる。さらに、挿入ガイド部40には、ガイド壁41を挟むサイド壁42も形成されているので、ロック部材50が横方向でズレることも防がれる。
【0046】
また、挿入ガイド部40のガイド壁41は、下方へ向かうにつれて外方へ向かうように(即ち、上面開口10Bから離れるように)延びているので、ロック部材が、折り畳みコンテナ10Aの外方へ向かって差し込まれ、折り畳みコンテナ10A内の収容物が傷つくことが防がれる。
【0047】
また、挿通部52を切断するためにロック部材50を持ち上げるときに、ロック部材50のフランジ部51が上段上壁33Aより僅かに内側にはみ出た状態となっているので、そのはみ出た部分を指に引っ掛けることでロック部材50を持ち上げやすくなる。
【0048】
そして、挿通部52が切断されると、挿通部52がロック収容部11Kに収容されるので、挿通部52が折り畳みコンテナ10A内の収容物と混ざることが防がれる。さらに、ロック収容部11Kの下側壁をなす第2側壁14の排出ガイド壁16の内側端部は、挿入ガイド部40の下端部より折り畳みコンテナ10Aの内側(上面開口10Bの近く)に配されているので、ロック部材50から切り離された挿通部52が排出ガイド壁16に受け止められやすくなり、折り畳みコンテナ10A内に落ちることが防がれる。しかも、排出ガイド壁16の内側端部から鉛直上方に延びた起立部17が設けられているので、ロック部材50から切り離された挿通部52が折り畳みコンテナ10A内に落ちることがより防がれる。
【0049】
また、上枠20の外壁22と短辺内壁23Bとの間で斜めになったり、外壁22側で横たわった挿通部52に対してコンテナ側ロック孔26が小さく、コンテナ側ロック孔26からロック収容部11K内の挿通部52を取り出すことが困難である。これにより、例えば、第三者がいたずらでロック部材50から挿通部52を切り離して蓋体30を開け、再度蓋体30を閉めて別のロック部材50を取り付けたとすると、1つのロック収容部11Kから挿通部52が2つ排出されることになり、第三者が蓋体30を開けたことが分かる。
【0050】
また、折り畳みコンテナ10Aを折り畳む過程で、第2側壁14を内側へ跳ね上げるように回動させると、ロック収容部11Kが下方へ向けて開放され、挿通部52がロック収容部11Kから排出されるので、挿通部52の取り出しを容易に行うことができる。しかも、排出ガイド壁16が外方へ向けて下るように傾斜しているので、第2側壁14を内側へ回動させるときに、ロック収容部11Kが大きく開放され、挿通部が排出されやすくなる。
【0051】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、蓋側ロック孔36及びコンテナ側ロック孔26が上下方向に並んでいたが、例えば、蓋体30の外側壁32Bと上枠20の外壁22とに設けられて内外方向で並んでいてもよい。この場合、ロック部材50は外側から差し込まれる。
【0052】
(2)上記実施形態では、挿入ガイド部40が蓋側ロック孔36における折り畳みコンテナ10Aの内外方向の内側に配されていたが、内外方向の外側に配されていてもよい。
【0053】
(3)上記実施形態では、挿入ガイド部40は、ブロック状をなしていたが、ガイド壁41のみから構成されてもよい。
【0054】
(4)上記実施形態では、蓋体30が折り畳みコンテナ10Aに被せられるものであったが、折り畳み不能な容器に被せられるものであってもよい。また、蓋体30は、容器にヒンジ連結されていてもよい。
【0055】
(5)上記実施形態では、ロック部材50が挿通部52を切断して用いる使い捨てタイプのものであったが、例えば、南京錠のように繰り返し使用可能なものであってもよい。
【0056】
(6)上記実施形態では、ロック部材50から切り離された挿通部52を収容するロック収容部11Kが設けられていたが、ロック収容部11Kを有さずに、ロック部材50から切り離された挿通部52が、折り畳みコンテナ10A内又は折り畳みコンテナ10Aの外に落ちる構成であってもよい。
【0057】
(7)上記実施形態では、ロック収容部11Kが第2側壁14を回動させると、下方へ開放する構成であったが、下方へは開放されず、挿通部52が溜まっていく構成であってもよい。
【0058】
(8)上記実施形態では、コンテナ側ロック孔26から挿通部52を取り出しにくい構成であったが、コンテナ側ロック孔26を大きくして、コンテナ側ロック孔26から挿通部52を取り出しやすい構成としてもよい。例えば、コンテナ側ロック孔26を、コンテナ側ロック孔26の短辺方向に小さく、内外方向に大きい長方形状又は長孔状とし、蓋側ロック孔36の開口縁により回り止めされたロック部材50は取り出せないが、蓋体30が外れた状態では、挿通部52を回転させて取り出し可能とすることが考えられる。また、切り離された挿通部52の上端部がコンテナ側ロック孔26から突出するように構成されてもよい。
【0059】
(9)蓋側ロック孔36及びコンテナ側ロック孔26は、蓋体30及び折り畳みコンテナ10Aの長辺部、即ち、第1側壁13の上方に配されていてもよい。
【0060】
(10)排出ガイド壁16の内側端部が、挿入ガイド部40のガイド壁41の下端部と同一平面内に配されていてもよい。
【0061】
(11)挿入ガイド部40(特にガイド壁41及びサイド壁42)は、下端が、上枠20の上壁21より上方に配される構成であってもよい。
【0062】
(12)上記実施形態では、「蓋側対向壁部」から離れた状態に保持され、「容器側ロック孔」が形成された「容器側対向壁部」が、上枠20の上壁21であったが、それ以外の部位であってもよく、例えば、容器がロックパーツやレバーパーツ、持ち手パーツなどを備える構成の場合、それらパーツの部位であってもよい。
【0063】
(13)上枠20の上壁21の下方に、ロック部材50の返し部52Aより小さい貫通孔が形成された補助部材を配し、ロック部材50をその補助部材まで差し込む構成であってもよい。この場合、蓋側ロック孔36及びコンテナ側ロック孔26は、返し部52Aより大きくてもよい(この場合、補助部材が「容器側対向壁部」に相当し、補助部材の貫通孔が「容器側ロック孔」に相当する)。
【0064】
(14)差し込まれたロック部材50の返し部52Aが折り畳みコンテナ10Aから外方へ突出する構成とし、フランジ部51と返し部52Aとを切り離して残る挿通部52のみがロック収容部11Kに収容される構成であってもよい。
【0065】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0066】
10 蓋付き容器
10A 折り畳みコンテナ(容器)
10B 上面開口
11 底壁
11K ロック収容部
13 第1側壁
14 第2側壁
16 排出ガイド壁
17 起立部
20 上枠
21 上壁(容器側対向壁部)
26 コンテナ側ロック孔(容器側ロック孔)
30 蓋体
32L 土手リブ(蓋側当接部)
33A 上段上壁(蓋側対向壁部)
36 蓋側ロック孔
40 挿入ガイド部
41 ガイド壁(ガイド傾斜部)
50 ロック部材
51 フランジ部
52 挿通部
52A 返し部(対向部)
52B 側方突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21