(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112727
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】水分検知タグ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/04 20060101AFI20220727BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220727BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G01N27/04 B
G06K19/07 170
G06K19/077 144
G06K19/07 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008635
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 格
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AC01
2G060AE12
2G060AF07
2G060AG03
2G060EA06
2G060FA01
2G060HC15
2G060JA06
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】発生した水分を検知しやすくする。
【解決手段】防水シート20bに積層されたインレットシート10に設けられたアンテナ12及び検知用配線13a,13bと、検知用配線13a,13b間の導通状態を検出し、その検出結果をアンテナ12を介して非接触送信するICチップ11とを有し、防水シート20bは、水分検知タグ1が被検知領域に取り付けられた場合に被検知領域に対向して当接する取付部24a~24dと、取付部24a~24dに折り部を介してそれぞれ折り畳み可能に連接した脚部25a,25bを具備し、水分検知タグ1が被検知領域に取り付けられた場合に起立した状態となるゲート状の突出部23とを有し、検知用配線13a,13bが、その端部が突出部23の端辺のうち脚部25a~25d間の端辺に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知領域に取り付けられ、前記被検知領域における水分の発生を検知する水分検知タグであって、
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記2本の検知用配線の一端部にそれそれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記ベース基材は、
当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記被検知領域に対向して当接する取付部と、
前記取付部に折り部を介して折り畳み可能に連接した脚部を具備し、当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記脚部以外の領域が前記被検知領域に当接せずに起立した状態となる突出部とを有し、
前記アンテナ及び検出手段が前記突出部に設けられ、前記検知用配線の前記検出手段と接続された前記一端部と反対側の端部が、前記突出部の前記脚部以外の領域のうち、当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記被検知領域に対向する端辺に配置されている、水分検知タグ。
【請求項2】
請求項1に記載の水分検知タグにおいて、
前記突出部は、二つ折り可能に構成され、
前記取付部は、前記突出部の前記二つ折りされた2つの領域のそれぞれに前記折り部を介して連接し、
前記ベース基材は、少なくとも前記突出部の該突出部が二つ折りされた場合に互いに対向する面に接着層が積層されている、水分検知タグ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水分検知タグにおいて、
耐水性を具備し、前記アンテナ及び検出手段を覆うように前記ベース基材上に積層された保護層を有する、水分検知タグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知領域に取り付けられ、被検知領域にて水分が発生した場合にその旨を検知する水分検知タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、マンション等の集合住宅や一般的なビル等の建物においては、空調等に用いられる配管が天井裏や壁間に配設されており、この配管を用いて水等の流体の供給や排出が行われている。このような配管は、上述したように天井裏や壁間に配設されるため、建物の構造に応じてジョイント等の接合部材を用いて繋ぎ合わされることになる。ところが、このジョイント等による接合部分においては、シリコン等によってシーリングされているものの、シーリングが不完全な場合、漏水が生じる虞れがある。また、キッチンや洗面所等の流し台の下においても、流し台につながれた配管から漏水が生じる虞がある。
【0003】
ここで、特許文献1には、ベース部材の一方の面上に一対の導電パターンを形成しておき、水分が発生した場合にその水分によって一対の導電パターン間を短絡させ、一対の導電パターン間が絶縁状態であるか導通状態であるかをアンテナを介して読み出すことで水分の発生を検知する水分検知センサが開示されている。この技術を用いることで、上述したような漏水を検知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたものにおいては、一対の導電パターン間が水分によって短絡することで水分の発生を検知するものであるところ、一対の導電パターンがベース部材の一方の面上に形成されているため、一対の導電パターンが形成された面が上方を向くように取り付けられた場合、水分がベース部材上に乗り上げてこなければ水分の発生を検知することができないという問題点がある。また、被検知領域との取付面においては、発生した水分が流れにくくなっており、それにより、発生した水分が導電パターンに付着しにくく、水分の発生を検知しにくいという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被検知領域に取り付けられ、被検知領域にて水分が発生した場合にその旨を検知する水分検知タグにおいて、発生した水分を検知しやすくすることができる水分検知タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
被検知領域に取り付けられ、前記被検知領域における水分の発生を検知する水分検知タグであって、
ベース基材と、
前記ベース基材に設けられたアンテナ及び2本の検知用配線と、
前記アンテナ及び前記2本の検知用配線の一端部にそれぞれ接続されて前記ベース基材に設けられ、前記2本の検知用配線間の導通状態を検出し、その検出結果を前記アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記ベース基材は、
当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記被検知領域に対向して当接する取付部と、
前記取付部に折り部を介して折り畳み可能に連接した脚部を具備し、当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記脚部以外の領域が前記被検知領域に当接せずに起立した状態となる突出部とを有し、
前記アンテナ及び検出手段が前記突出部に設けられ、前記検知用配線の前記検出手段と接続された前記一端部と反対側の端部が、前記突出部の前記脚部以外の領域のうち、当該水分検知タグが前記被検知領域に取り付けられた場合に前記被検知領域に対向する端辺に配置されている。
【0008】
上記のように構成された本発明においては、被検知領域に取り付けられた場合、ベース基材の突出部の脚部以外の領域において被検知領域と水分検知タグとの間に空隙が生じる。そのため、被検知領域に発生した水分がこの空隙を流れるようになるが、水分の発生を検知するための検知用配線の端部が、突出部の脚部以外の領域のうち、水分検知タグが被検知領域に取り付けられた場合に被検知領域に対向する端辺に配置されていることで、被検知領域にて発生した水分が検知しやすくなる。
【0009】
また、突出部が二つ折り可能に構成され、取付部が、突出部の二つ折りされた2つの領域のそれぞれに折り部を介して連接したものにおいて、ベース基材のうち少なくとも突出部の該突出部が二つ折りされた場合に互いに対向する面に接着層が積層されていれば、突出部の互いに対向する面を接着層によって互いに接着することで、突出部が起立した状態を保持しやすくなる。
【0010】
また、耐水性を具備し、アンテナ及び検出手段を覆うようにベース基材上に積層された保護層を有する構成とすれば、アンテナ及び検出手段がさらに水分から保護される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被検知領域に取り付けられた場合、ベース基材の突出部の脚部以外の領域において被検知領域と水分検知タグとの間に空隙が生じることで、被検知領域に発生した水分がこの空隙を流れるようになり、水分の発生を検知するための検知用配線の端部が、突出部の脚部以外の領域のうち、水分検知タグが被検知領域に取り付けられた場合に被検知領域に対向する端辺に配置されていることにより、発生した水分を検知しやすくすることができる。
【0012】
また、突出部が二つ折り可能に構成され、取付部が、突出部の二つ折りされた2つの領域のそれぞれに折り部を介して連接したものにおいて、ベース基材のうち少なくとも突出部の該突出部が二つ折りされた場合に互いに対向する面に接着層が積層されているものにおいては、突出部の互いに対向する面を接着層によって互いに接着することで、突出部が起立した状態を保持しやすくすることができる。
【0013】
また、耐水性を具備し、アンテナ及び検出手段を覆うようにベース基材上に積層された保護層を有するものにおいては、アンテナ及び検出手段をさらに水分から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の水分検知タグの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シートを取り除いた構成を示す図である。
【
図2】
図1に示した水分検知タグの使用形態の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した水分検知タグが
図2に示したように床面に取り付けられた状態にて配管から水漏れが発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は配管から水漏れが発生していないときの状態を示す図、(b)は配管から水漏れが発生したときの状態を示す図である。
【
図4】
図1に示した水分検知タグを用いて配管からの水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したシステムにおいて
図1に示した水分検知タグが
図2に示したように床面に貼着された場合の配管からの水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の水分検知タグの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シートを取り除いた構成を示す図である。
【
図7】
図6に示した水分検知タグの使用形態の一例を示す図である。
【
図8】
図7に示した水分検知タグが
図7に示したように床面に取り付けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の水分検知タグの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20aを取り除いた構成を示す図である。
【0017】
本形態における水分検知タグは
図1に示すように、防水シート20bの一方の面の一部にインレットシート10が積層されるとともに、インレットシート10の防水シート20bとの積層面とは反対側の面の一部に防水シート20aが積層されて構成され、さらに防水シート20bのインレットシート10の積層面とは反対側の面に剥離紙40が剥離可能に貼着されて構成された水分検知タグ1である。
【0018】
防水シート20bは、本願発明にてインレットシート10とともにベース基材を構成するものである。防水シート20bは、耐水性を具備する材料から構成されており、長方形の形状から上下の2つの領域が切り欠き部22a,22bとなって切り欠かれたH型の形状を有している。防水シート20bには、折り部となるミシン目21a~21eが形成されている。ミシン目21aは、H型の上下方向における中央部分において防水シート20bの左右の端辺間に延びて形成されている。ミシン目21b,21cは、ミシン目21aと平行となるように切り欠き部22aを介して互いに直列に並んで形成されている。ミシン目21d,21eは、ミシン目21aと平行となるように切り欠き部22bを介して互いに直列に並んで形成されている。このようにミシン目21a~21eが設けられた防水シート20bは、ミシン目21b,21cとミシン目21d,21eとで挟まれた領域が突出部23となり、ミシン目21b~21eと防水シート20bの端辺とで挟まれた領域がそれぞれ取付部24a~24dとなる。また、ミシン目21b,21cが、ミシン目21aと平行となるように切り欠き部22aを介して互いに直列に並んで形成されていることから、突出部23は、ミシン目21b,21cに隣接する領域にミシン目21b,21cを介して取付部24a,24bと折り畳み可能に連接し、切り欠き部22aを介して配置された脚部25a,25bを有している。また、ミシン目21d,21eが、ミシン目21aと平行となるように切り欠き部22bを介して互いに直列に並んで形成されていることから、突出部23は、ミシン目21d,21eに隣接する領域にミシン目21d,21eを介して取付部24c,24dと折り畳み可能に連接し、切り欠き部22bを介して配置された脚部25c,25dを有している。防水シート20bとしては、防水シート20bの一方の面に接着層となる粘着層30bが積層された防水タック紙を使用することができる。
【0019】
インレットシート10は、例えばフィルム等の非導電性材料から構成されており、長方形の形状を有し、防水シート20bのミシン目21aとミシン目21d,21eとに挟まれた領域であって、脚部25c,25dと重ならない領域に積層されている。インレットシート10の一方の面には、通信用のアンテナ12及び2本の検知用配線13a,13bが形成されているとともに、検出手段となるICチップ11が搭載されており、アンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面とは反対側の面に積層された粘着層30cによって防水シート20bに貼着されている。
【0020】
アンテナ12は、インレットシート10の一方の面に、2つの二等辺三角形の導体が空隙を介して並ぶようにして形成されている。
【0021】
2本の検知用配線13a,13bは、一方の端部がICチップ11に接続され、そこからインレットシート10の1つの端辺に向かって互いに並行して延び、インレットシート10の端辺にて終端している。この際、検知用配線13a,13bが終端するインレットシート10の端辺は、防水シート20bの脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の端辺に重なる端辺となっている。
【0022】
ICチップ11は、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び検知用端子が設けられた面が搭載面となって、インレットシート10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面に搭載され、異方性導電ペースト(不図示)によって固定されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれアンテナ12に接続され、ICチップ11の検知用端子は、検知用配線13a,13bのそれぞれの一方の端部に接続されており、異方性導電ペーストによって、アンテナ端子がアンテナ12に、検知用端子が検知用配線13a,13bにそれぞれ導通している。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を検知用配線13a,13bに流すことで検知用配線13a,13b間の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて検知用配線13a,13b間の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。
【0023】
防水シート20aは、本願発明にて保護層となるものである。防水シート20aは、インレットシート10のアンテナ12及び検知用配線13a,13bが形成された面において検知用配線13a,13bの端部の一部が表出するように積層され、粘着層30aによって貼着されている。防水シート20aとしては、防水シート20aの一方の面に粘着層30aが積層された防水タック紙を使用することができる。
【0024】
これにより、アンテナ13及びICチップ11が防水シート20aによって覆われた状態となることで、アンテナ12及びICチップを水分から保護することができる。
【0025】
剥離紙40は、剥離台紙(不図示)の一方の面に剥離剤(不図示)が塗布されて構成され、粘着層30bによって防水シート20bに剥離可能に貼着されている。
【0026】
以下に、上記のように構成された水分検知タグ1の使用方法及びその際の作用について説明する。
【0027】
図2は、
図1に示した水分検知タグ1の使用形態の一例を示す図である。
【0028】
図1に示した水分検知タグ1は、例えば
図2に示すように、配管2が設置された被検知領域となる床面3に取り付けられ、配管2からの水漏れを検知するために使用される。その場合、剥離紙40が剥離され、粘着層30bが表出した面が内側となるように防水シート20bがミシン目21aにて二つ折りされるとともに、粘着層30bが表出した面が外側となるように防水シート20bがミシン目21b~21eにて谷折りに折り曲げられる。
【0029】
そして、
図2に示すように、防水シート20bの取付部24a~24dが床面3に対向して当接し、防水シート20bの突出部23が取付部24a~24dから突出して床面3上に起立するようにして粘着層30bによって床面3に貼着、固定される。これにより、突出部23は、脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間が床面3に当接しないゲート状のものとなる。
【0030】
図3は、
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に取り付けられた状態にて配管2から水漏れが発生した場合の作用を説明するための図であり、(a)は配管2から水漏れが発生していないときの状態を示す図、(b)は配管2から水漏れが発生したときの状態を示す図である。なお、
図3においては、説明をわかりやすくするために防水シート20aの図示を省略している。
【0031】
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に貼着された状態で配管2から水漏れが発生していない場合は、
図3(a)に示すように、2本の検知用配線13a,13bが導通しておらず、非導通状態となっている。その際、防水シート20bの突出部23が、脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間が床面3に当接しないゲート状のものであることで、突出部23の脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の領域において床面3と水分検知タグ1との間に空隙4が生じる。
【0032】
一方、
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に貼着された状態において、配管2において水漏れが発生すると、発生した水漏れによる水分が配管2を伝わって床面3に溜まる。その際、突出部23の脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の領域において床面3と水分検知タグ1との間に空隙4が生じているため、
図3(b)に示すように、床面3に発生した水分13cがこの空隙4を流れるようになる。この際、水分13cの発生を検知するための検知用配線13a,13bが、インレットシート10の端辺のうち、突出部23の脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の端辺に重なる端辺にて終端していることで、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部と反対側の端部が、インレットシート10の床面3に対向する端辺に配置されたものとなっている。それにより、2本の検知用配線13a,13b間において、発生した水分13cによって短絡が生じ、2本の検知用配線13a,13bが導通状態となる。そして、この検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、配管2から水漏れが発生した旨が検知されることになる。
【0033】
このように、配管2から水漏れが発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっており、一方、配管2から水漏れが発生している場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態となるため、検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、配管2から水漏れが発生していることを検知することができる。
【0034】
以下に、上述した作用を利用して水分検知タグ1を用いて配管2からの水漏れの発生を検知する具体的な方法について説明する。
【0035】
図4は、
図1に示した水分検知タグ1を用いて配管2からの水漏れを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0036】
図1に示した水分検知タグ1を用いて
図2に示した配管2からの水漏れを検知するためのシステムとしては、
図4に示すように、水分検知タグ1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0037】
図5は、
図4に示したシステムにおいて
図1に示した水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に貼着された場合の配管2からの水漏れを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図1に示した水分検知タグ1においては、リーダライタ5が水分検知タグ1に近接され、リーダライタ5にて水分検知タグ1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、水分検知タグ1に電力が供給されるとともに、検知用配線13a,13b間の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が水分検知タグ1に対して送信される(ステップ2)。
【0039】
リーダライタ5から供給された電力が水分検知タグ1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が水分検知タグ1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給される。
【0040】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて検知用配線13a,13b間の抵抗値が検出されることで、検知用配線13a,13b間の導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に貼着され、配管2から水漏れが発生していない場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって検知用配線13a,13b間に電流が供給されても、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっていることから検知用配線13a,13b間には電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0041】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、検知用配線13a,13b間が非導通状態になっていると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分13cによって短絡した抵抗値、すなわち、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が非導通状態であると判断するための抵抗値として、ほぼ無限大ではなく、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0042】
一方、水分検知タグ1が
図2に示したように床面3に貼着され、配管2から水漏れが発生している場合は、上述したように、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分13cによって短絡することで導通状態となっているため、ICチップ11においては、検知用配線13aと検知用配線13bとが水分13cが付着した領域間で接続された抵抗値が検出されることになる。
【0043】
検知用配線13aと検知用配線13bとが水分13cによって短絡することで導通状態となっている場合は、上述したように、検出される抵抗値は、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値となることから、ICチップ11においては、検出された抵抗値が、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値以下である場合は、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断され、その判断結果が検知用配線13a,13b間の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、検知用配線13a,13b間が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、上述したようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、検知用配線13a,13b間が導通状態にあると判断するための抵抗値として、検知用配線13aと検知用配線13bとがICチップ11と接続された端部とは反対側の端部にて互いに接続された抵抗値ではなく、それのよりも大きな一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0044】
このように、リーダライタ5においては、水分検知タグ1にて検出された検知用配線13a,13b間の導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0045】
上記のようにして水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0046】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、水分検知タグ1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、配管2から水漏れが発生しているかどうかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、検知用配線13a,13b間が非導通状態である場合は配管2から水漏れが発生していないと判断され、検知用配線13a,13b間が導通状態である場合は配管2から水漏れが発生していると判断されることになる。
【0047】
上述したように本形態の水分検知タグ1においては、床面3に取り付けられた場合、防水シート20bの突出部23の脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の領域において床面3と水分検知タグ1との間に空隙4が生じることで、床面3に発生した水分13cがこの空隙4を流れるようになり、水分13cの発生を検知するための検知用配線13a,13bの一部が、突出部23の端辺のうち脚部25a,25cと脚部25b,25dとの間の端辺に配置されていることにより、発生した水分13cを検知しやすくすることができる。また、水分検知タグ1が床面3に貼着、固定された状態においては、上述したようにインレットシート10が防水シート20bの突出部23に貼着されていることで、水分検知タグ1の周囲の床面3にて発生した水分13cがアンテナ12及びICチップ11に付着しにくくなり、アンテナ12及びICチップ11を水分から保護することができる。
【0048】
また、防水シート20bの取付部24a~24dが床面3に対向して当接し、防水シート20bの突出部23が取付部24a~24dから突出して床面3上に起立するようにして粘着層30bによって床面3に貼着、固定された状態において、二つ折りされた突出部23が、防水シート20bのインレットシート10の積層面とは反対側の面に積層された粘着層30bによって互いに対向する面が互いに接着された状態となることで、突出部23が取付部24a~24dから突出して床面3上に起立した状態を保持しやすくすることができる。
【0049】
なお、本形態においては、防水シート20bの突出部23として、ミシン目21b~21eを介して4つの取付部24a~24dにそれぞれ折り畳み可能に連接した4つの脚部25a~25dを具備することで、水分検知タグ1が床面3に取り付けられた場合に起立した状態となるゲート状のものを例に挙げて説明したが、突出部は、取付部及びこれにミシン目を介して折り畳み可能に連接する脚部の数を増やすことで、水分検知タグ1が床面3に取り付けられた場合に起立した状態となる櫛歯状のものであってもよい。また、水分検知タグが被検知領域に取り付けられた場合に突出部が、脚部以外の領域が被検知領域に当接せずに起立した状態となるものであれば、取付部及びこれに連接する脚部は一組であってもよい。
【0050】
(他の実施の形態)
図6は、本発明の水分検知タグの他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は(a)に示したB-B’断面図、(d)は(a)に示した防水シート20aを取り除いた構成を示す図である。
【0051】
本形態における水分検知タグは
図6に示すように、
図1に示したものに対して、防水シート120bには、一組の取付部124a,124bしか設けられていないとともに、突出部123にも取付部124a,124bに連接した1組の脚部125a,125bしか設けられていない点が異なる水分検知タグ101である。取付部124a,124bと脚部125a,125bとは、ミシン目121a,121bを介して折り畳み可能に連接している。
【0052】
図7は、
図6に示した水分検知タグ101の使用形態の一例を示す図である。
図8は、
図7に示した水分検知タグ101が
図7に示したように床面3に取り付けられた状態を示す図である。なお、
図8においては、説明をわかりやすくするために防水シート20aの図示を省略している。
【0053】
図6に示した水分検知タグ101は、例えば
図7に示すように、
図1に示した水分検知タグ1と同様に、配管2が設置された被検知領域となる床面3に取り付けられ、配管2からの水漏れを検知するために使用される。そして、
図7に示すように、防水シート20bの取付部124a,124bが床面3に対向して当接し、防水シート120bの突出部123が取付部124a,124bから突出して床面3上に起立するようにして粘着層30bによって床面3に貼着、固定される。これにより、
図8に示すように、突出部123は、脚部125a,125b以外の領域が床面3に当接せず、床面3との間に空隙4が生じることとなる。
【0054】
図6に示した水分検知タグ101が
図7及び
図8に示したように床面3に貼着された状態において、配管2において水漏れが発生すると、発生した水漏れによる水分が配管2を伝わって床面3に溜まる。その際、突出部123の脚部125a,125b以外の領域において床面3と水分検知タグ101との間に空隙4が生じていることにより、床面3に発生した水分がこの空隙4を流れるようになる。この際、水分の発生を検知するための検知用配線13a,13bの端部が、インレットシート10の端辺のうち、突出部123の脚部125a,125b以外の領域の端辺に重なる端辺にて終端していることで、検知用配線13a,13bのICチップ11と接続された端部と反対側の端部が、インレットシート10の床面3に対向する端辺に配置されたものとなっている。それにより、2本の検知用配線13a,13b間において、発生した水分によって短絡が生じ、2本の検知用配線13a,13bが導通状態となる。そして、この検知用配線13a,13b間の導通状態を検出することで、配管2から水漏れが発生した旨が検知されることになる。 なお、上述した実施の形態においては、防水シート20b,120bを折り曲げる折り部としてミシン目21a~21e,125a,125bを例に挙げて説明したが、防水シート20b,120bを折り曲げる折り部として、スリットや筋押し等を適用してもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態においては、ベース基材のうち防水シート20b,120bのみに折り部としてミシン目21a~21e,125a,125bが形成されているものを例に挙げて説明したが、インレットシート10として、防水シート20b,120bと同一形状であって、ミシン目21a~21e,125a,125bに対向してミシン目あるいはスリットや筋押し等が形成されたものを用いてもよい。その場合、検知用配線13a,13bについては、その一部が突出部の脚部以外の領域の端辺に配置されていれば、取付部にも形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1,101 水分検知タグ
2 配管
3 床面
5 リーダライタ
6 管理用パソコン
10 インレットシート
11 ICチップ
12 アンテナ
13a,13b 検知用配線
13c 水分
20a,20b,120b 防水シート
21a~21e,125a,125b ミシン目
22a,22b 切り欠き部
23,123 突出部
24a~24d,124a,124b 取付部
25a~25d,125a,125b 脚部
30a~30c 粘着層
40 剥離紙