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特開2022-112734パージガス再利用システム、制御装置、パージガス再利用方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112734
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】パージガス再利用システム、制御装置、パージガス再利用方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B01D53/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008647
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 仁治
(72)【発明者】
【氏名】丹野 厚
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006KE09P
4D006KE12P
4D006KE22Q
4D006KE23Q
4D006MA01
4D006PA02
4D006PB20
4D006PB62
4D006PB63
4D006PC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】貯留槽に貯留されている超純水の純度の低下を抑制するために使われる、窒素シール用の高純度の窒素を再利用するためのシステムを提供する。
【解決手段】パージガス再利用システムは、水封槽100-1~100-n(nは自然数)と、ファン200と、濃度センサ300と、開閉弁400,410と、圧縮機500と、分離膜モジュール600と、制御装置700とを有し、水封槽100-1~100-nそれぞれは、超純水槽から供給された超純水が貯留された水槽であり、超純水および余剰窒素が供給されており、排出されたパージガスを回収し、回収したパージガスを分離膜モジュール600により再利用可能な状態に再生する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを回収し、該回収したパージガスを利用可能な状態に再生するパージガス再利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記貯留槽から排出されたパージガスを空気と共に混合気体として回収するファンと、
前記ファンが回収した混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールとを有するパージガス再利用システム。
【請求項3】
請求項2に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記ファンが回収した混合気体を圧縮する圧縮機を有し、
前記分離膜モジュールは、前記圧縮機が圧縮した混合気体から前記パージガスを抽出するパージガス再利用システム。
【請求項4】
請求項3に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記ファンが回収した混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する濃度センサと、
前記ファンが回収した混合気体の前記分離膜モジュールへの供給を制御する第1の開閉弁と、
前記濃度センサが測定した濃度に基づいて、前記第1の開閉弁の開閉と前記圧縮機の起動とを制御する制御装置と有するパージガス再利用システム。
【請求項5】
請求項4に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記濃度センサは、前記所定の気体として酸素の濃度を測定し、
前記制御装置は、前記濃度センサが測定した前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記第1の開閉弁を開状態とし、前記圧縮機を起動させるパージガス再利用システム。
【請求項6】
請求項5に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記ファンが回収した混合気体の外部への解放を制御する第2の開閉弁を有し、
前記制御装置は、前記濃度センサが測定した前記酸素の濃度が前記第1の閾値以上である場合、前記第2の開閉弁を開状態とするパージガス再利用システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記分離膜モジュールが抽出したパージガスを貯留しておくパージガス貯留槽を有するパージガス再利用システム。
【請求項8】
請求項7に記載のパージガス再利用システムにおいて、
前記ファンが回収した混合気体の所定の経路への排気を制御する第3の開閉弁と、
前記パージガス貯留槽に貯留されたパージガスの圧力を測定する圧力センサとを有し、
前記制御装置は、前記濃度センサが測定した前記酸素の濃度が前記第1の閾値を下回り、且つ前記圧力センサが測定した前記パージガスの圧力が第2の閾値以上である場合、前記第1の開閉弁を閉状態とし、前記第2の開閉弁を閉状態とし、前記第3の開閉弁を開状態とするパージガス再利用システム。
【請求項9】
処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する濃度センサから前記濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得部と、
前記濃度情報取得部が取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する制御部とを有する制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の制御装置において、
前記濃度情報取得部は、前記濃度センサから酸素の濃度を示す濃度情報を取得し、
前記制御部は、前記濃度情報取得部が取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記第1の開閉弁を開状態とする制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記混合気体を圧縮して前記分離膜モジュールへ送り込む圧縮機の起動を制御する制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の制御装置において、
前記制御部は、前記濃度情報取得部が取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記圧縮機を起動させる制御装置。
【請求項13】
処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する測定処理と、
前記測定した濃度を示す濃度情報を取得する取得処理と、
前記取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する開閉処理とを行うパージガス再利用方法。
【請求項14】
請求項13に記載のパージガス再利用方法において、
前記測定処理は、前記所定の気体として酸素の濃度を測定し、
前記開閉処理は、前記取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記第1の開閉弁を開状態とするパージガス再利用方法。
【請求項15】
請求項14に記載のパージガス再利用方法において、
前記混合気体を圧縮して前記分離膜モジュールへ送り込む圧縮機の起動を制御する起動処理を行うパージガス再利用方法。
【請求項16】
請求項15に記載のパージガス再利用方法において、
前記起動処理は、前記取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記圧縮機を起動させるパージガス再利用方法。
【請求項17】
コンピュータに、
処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する測定手順と、
前記測定した濃度を示す濃度情報を取得する取得手順と、
前記取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する開閉手順とを実行させるためのプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムにおいて、
前記測定手順は、前記所定の気体として酸素の濃度を測定し、
前記開閉手順は、前記取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記第1の開閉弁を開状態とするプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムにおいて、
前記混合気体を圧縮して前記分離膜モジュールへ送り込む圧縮機の起動を制御する起動手順を実行させるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のプログラムにおいて、
前記起動手順は、前記取得した濃度情報が示す前記酸素の濃度が第1の閾値を下回った場合、前記圧縮機を起動させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パージガス再利用システム、制御装置、パージガス再利用方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、貯留槽に貯留されている超純水の純度の低下を抑制するために、その超純水の水面と貯留槽の内壁との間の空間(気相部)に高純度の窒素を供給して、窒素シールを行っている。このような貯留槽においては、貯留槽に貯留された超純水の水位が上昇すると、窒素が貯留槽の外に押し出される。押し出された(排出された)窒素は、所定の場所へ廃棄されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-57688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超純水のシールに適用する高純度の窒素は高価であるため、廃棄せずに再利用することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、窒素シールに利用された後の窒素を利用可能に再生することができる窒素再生システム、制御装置、窒素再生方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを回収し、該回収したパージガスを利用可能な状態に再生するパージガス再利用システムである。
【0007】
また、本発明は、処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する濃度センサから前記濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得部と、
前記濃度情報取得部が取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する制御部とを有する制御装置である。
【0008】
また、本発明は、処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する測定処理と、
前記測定した濃度を示す濃度情報を取得する取得処理と、
前記取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する開閉処理とを行うパージガス再利用方法である。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、
処理水が貯留された貯留槽から排出されたパージガスを含む混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する測定手順と、
前記測定した濃度を示す濃度情報を取得する取得手順と、
前記取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、前記混合気体から前記パージガスを抽出する分離膜モジュールに対する前記混合気体の供給を制御する第1の開閉弁の開閉を制御する開閉手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、利用後の窒素を利用可能に再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】超純水が貯留された超純水槽から超純水と余剰窒素とが水封槽に供給される態様の一例を示す図である。
図2】本発明のパージガス再利用システムの第1の実施の形態を示す図である。
図3図2に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
図4図3に示した制御部が行う開閉弁の開閉制御の方法の一例を説明するための図である。
図5】本発明のパージガス再利用システムの第2の実施の形態を示す図である。
図6】本発明のパージガス再利用システムの第3の実施の形態を示す図である。
図7図6に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
図8図7に示した制御部が行う開閉弁の開閉制御の方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、超純水が貯留された超純水槽から超純水と余剰窒素とが水封槽へ供給される態様の一例を示す図である。図1に示すように、超純水が入口から供給され、貯留されている超純水槽10(貯留槽)には、窒素も供給されている。超純水槽10へ供給される窒素は、例えば、99.99%や99.999%の高純度の窒素である。超純水槽10へ超純水が供給されることで、超純水槽10内の窒素が押し出され、押し出された窒素が余剰窒素として超純水槽10から水封槽100へ供給される。超純水槽10から水封槽100へ供給される余剰窒素は、若干の水蒸気を含むため、超純水槽10に供給されたときの窒素よりも純度が低い。超純水槽10からの余剰窒素は、水封槽100内に貯留されている超純水の水面よりも低い高さ(超純水の水中)に位置する配管の口から超純水中に放出され、パージガスとして外部へ押し出される(排出される)。なお、水封槽の容量は、例えば、0.2m3である。一般的に、水封槽の外部へ排出された窒素は廃棄される。超純水槽10に貯留されている超純水は、配管を通して水封槽100の側壁面に設けられた孔部から水封槽100へ供給される。このとき、水封槽100における超純水の水位が一定に保たれるように、水封槽100には超純水の出口が設けられている。また、超純水槽10には、後段の装置へ超純水を供給するための超純水の出口が設けられている。
【0014】
図2は、本発明のパージガス再利用システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態におけるパージガス再利用システムは図2に示すように、水封槽100-1~100-n(nは自然数)と、ファン200と、濃度センサ300と、開閉弁400,410と、圧縮機500と、分離膜モジュール600と、制御装置700とを有する。
【0015】
水封槽100-1~100-nそれぞれは、超純水槽から供給された超純水が貯留された水槽である。水封槽100-1~100-nそれぞれは、図1に示した水封槽100に相当するものであって、図1に示した超純水槽10が1つずつ接続されており、それぞれ接続された超純水槽10から超純水および余剰窒素が供給されている。
【0016】
ファン200は、水封槽100-1~100-nから排出されたパージガスを回収する。このとき、ファン200は、水封槽100-1~100-nの周囲の空気も回収する。つまり、ファン200は、水封槽100-1~100-nから排出されたパージガスを周囲の空気とともに混合気体として回収する。ファン200は、常時運転されている。ファン200の形状は、気体を回収できるものであれば良く、例えば、シロッコファンのようなものでも良い。
【0017】
濃度センサ300は、ファン200が回収した混合気体のうちの所定の気体の濃度を測定する。濃度センサ300は、所定の気体として例えば酸素の濃度を測定する。この場合、濃度センサ300は、酸素センサであっても良い。混合気体に含まれる空気の成分は、窒素と酸素との2つの成分が多いため、濃度センサ300が測定した、混合気体に含まれる酸素の濃度が低い場合、窒素の濃度が高く、混合気体に含まれる酸素の濃度が高い場合、窒素の濃度が低いこととなる。なお、濃度センサ300が所定の気体(例えば、酸素)の濃度を測定するタイミングは、特に規定しない。濃度センサ300は、測定した濃度を示す濃度情報を制御装置700へ送信する。
【0018】
開閉弁400は、ファン200が回収した混合気体の分離膜モジュール600への供給を制御する第1の開閉弁である。開閉弁400は、バルブであっても良い。開閉弁400の開閉制御は、制御装置700が行う。
【0019】
開閉弁410は、ファン200が回収した混合気体の外部への解放を制御する第2の開閉弁である。ここで解放とは、窒素が含まれていない混合気体(窒素を原因とする危険性が無い混合気体)を、特定しない外部へ放出することである。開閉弁410は、バルブであっても良い。開閉弁410の開閉制御は、制御装置700が行う。
【0020】
圧縮機500は、ファン200が回収した混合気体を圧縮する。圧縮機500は、例えば、アンローダー式コンプレッサーであっても良い。圧縮機500は、ファン200が回収した混合気体を、分離膜モジュール600へ供給するための圧力および温度に制御する。例えば、この圧力および温度はそれぞれ、0.7MPaおよび25℃である。
【0021】
分離膜モジュール600は、圧縮機500が圧縮した混合気体から窒素を抽出するガス分離膜モジュールである。分離膜モジュール600は、圧縮された混合気体が流入され、流入された混合気体を酸素(酸素富化空気)と窒素(窒素富化空気)とに分離し、酸素を排気し、窒素を所定の経路へ送る。分離膜モジュール600は、気体成分の透過速度の違いを利用して成分の分離を行う。例えば、分離膜モジュール600は、中空糸膜を酸素が窒素よりも約4倍透過しやすい性質を用いて、中空糸膜を透過した気体を酸素富化空気とし、残りの気体を窒素富化空気とするものであっても良い。分離膜モジュール600が抽出した窒素は低純度窒素であり、その濃度は約97~99%である。
【0022】
制御装置700は、濃度センサ300が測定した濃度に基づいて、開閉弁400,410の開閉および圧縮機500の起動を制御する。図3は、図2に示した制御装置700の内部構成の一例を示す図である。図2に示した制御装置700は図3に示すように、濃度情報取得部710と、制御部720とを有する。なお、図3には、図2に示した制御装置700が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0023】
濃度情報取得部710は、濃度センサ300が測定した濃度を示す濃度情報を濃度センサ300から取得する。この濃度は、例えば酸素の濃度である。濃度センサ300が酸素の濃度を測定した場合、制御部720は、濃度センサ300から酸素の濃度を示す濃度情報を取得する。なお、濃度情報取得部710が濃度センサ300から濃度情報を取得するタイミングは、特に規定しない。
【0024】
制御部720は、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、開閉弁400,410の開閉を制御する。濃度センサ300が酸素の濃度を測定した場合、制御部720は、濃度情報取得部710が測定した濃度情報が示す酸素の濃度に基づいて、開閉弁400,410の開閉を制御する。このとき、制御部720は、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度があらかじめ設定された第1の閾値を下回った場合、開閉弁400を開状態とし、開閉弁410を閉状態とする。また、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度があらかじめ設定された第1の閾値以上である場合、制御部720は、開閉弁400を閉状態とし、開閉弁410を開状態とする。また、制御部720は、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す濃度に基づいて、圧縮機500の起動を制御する。濃度センサ300が酸素の濃度を測定した場合、制御部720は、濃度情報取得部710が測定した濃度情報が示す酸素の濃度に基づいて、圧縮機500の起動を制御する。このとき、制御部720は、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度があらかじめ設定された第1の閾値を下回った場合、圧縮機500を起動させる。第1の閾値は、例えば20%である。
【0025】
濃度センサ300で測定される酸素の濃度は、通常(水封槽100-1~100-nから窒素が排出されていない状態では)、20%程度である。水封槽100-1~100-nから窒素が排出されてくると、ファン200が回収した混合気体に含まれる窒素の濃度が高くなり、酸素の濃度が低くなる。そのため、濃度センサ300が測定した酸素の濃度が所定の閾値を下回った場合、水封槽100-1~100-nから窒素が排出されてきたと判定できる。
【0026】
図4は、図3に示した制御部720が行う開閉弁400,410の開閉制御の方法の一例を説明するための図である。濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度Cがあらかじめ設定された第1の閾値Th1を下回っている場合、制御部720は、開閉弁400を開状態とし、開閉弁410の閉状態とする。また、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度Cが第1の閾値Th1以上である場合、制御部720は、開閉弁400を閉状態とし、開閉弁410を開状態とする。
【0027】
このように、水封槽100-1~100-nから排出された窒素を含む混合気体に含まれる酸素の濃度が所定の閾値を下回る場合、その混合気体を分離膜モジュール600へ送って、分離膜モジュール600が酸素と窒素とに分離する。そのため、水封槽100-1~100-nから排出された窒素を廃棄していた従来の方法と異なり、窒素を有効に再利用可能とすることができる。
(第2の実施の形態)
【0028】
図5は、本発明のパージガス再利用システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態におけるパージガス再利用システムは図5に示すように、水封槽100-1~100-nと、ファン200と、濃度センサ300と、開閉弁400,410と、圧縮機500と、分離膜モジュール600と、制御装置700と、貯留槽800とを有する。水封槽100-1~100-n、ファン200、濃度センサ300、開閉弁400,410、圧縮機500、分離膜モジュール600および制御装置700それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0029】
貯留槽800は、分離膜モジュール600が抽出した窒素を貯留しておくタンク(パージガス貯留槽)である。貯留槽800に貯留された窒素は、必要なタイミングで再利用先へ提供される。
【0030】
このように、分離膜モジュール600が抽出した窒素を貯留槽800に貯留させておき、必要なタイミングで外部へ提供する。そのため、従来、水封槽100-1~100-nから排出されて廃棄していた窒素を必要なタイミングで再利用可能とすることができる。
(第3の実施の形態)
【0031】
図6は、本発明のパージガス再利用システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態におけるパージガス再利用システムは図6に示すように、水封槽100-1~100-nと、ファン200と、濃度センサ300と、開閉弁400,410,420と、圧縮機500と、分離膜モジュール600と、制御装置701と、貯留槽800と、圧力センサ900とを有する。水封槽100-1~100-n、ファン200、濃度センサ300、開閉弁400,410、圧縮機500、分離膜モジュール600および貯留槽800それぞれは、第2の実施の形態におけるものと同じものである。
【0032】
開閉弁420は、ファン200が回収した混合気体の所定の経路への排気を制御する第3の開閉弁である。開閉弁420は、バルブであっても良い。開閉弁420の開閉制御は、制御装置701が行う。
【0033】
圧力センサ900は、貯留槽800に貯留された窒素の圧力を測定する圧力計である。圧力センサ900が測定した圧力値は、制御装置701へ送信される。圧力センサ900が貯留槽800に貯留された窒素の圧力を測定するタイミングは特に規定しない。
【0034】
制御装置701は、濃度センサ300が測定した濃度と圧力センサ900が測定した圧力の値とに基づいて、開閉弁400,410,420の開閉および圧縮機500の起動を制御する。図7は、図6に示した制御装置701の内部構成の一例を示す図である。図6に示した制御装置701は図7に示すように、濃度情報取得部710と、制御部721と、圧力値取得部731とを有する。なお、図7には、図6に示した制御装置701が具備する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。濃度情報取得部710は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0035】
圧力値取得部731は、圧力センサ900が測定した圧力の値を取得する。圧力値取得部731が圧力センサ900から圧力値を取得するタイミングは、特に規定しない。
【0036】
制御部721は、濃度情報取得部710が取得した酸素の濃度が第1の閾値を下回り、且つ圧力値取得部731が取得した圧力の値があらかじめ設定された第2の閾値以上である場合、開閉弁400を閉状態とし、開閉弁410を閉状態とし、開閉弁420を開状態とする。なお、制御部721における圧縮機500の起動制御は、第1の実施の形態の制御部720が行う制御と同じである。
【0037】
図8は、図7に示した制御部721が行う開閉弁400,410,420の開閉制御の方法の一例を説明するための図である。濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度Cがあらかじめ設定された第1の閾値Th1を下回り、且つ圧力値取得部731が取得した圧力の値Pがあらかじめ設定された第2の閾値Th2以上である場合、制御部721は、開閉弁400を閉状態とし、開閉弁410を閉状態とし、開閉弁420を開状態とする。また、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度Cが第1の閾値Th1を下回り、且つ圧力値取得部731が取得した圧力の値Pが第2の閾値Th2を下回る場合、制御部721は、開閉弁400を開状態とし、開閉弁410を閉状態とし、開閉弁420を閉状態とする。また、濃度情報取得部710が取得した濃度情報が示す酸素の濃度Cが第1の閾値Th1以上である場合、制御部721は、開閉弁400を閉状態とし、開閉弁410を開状態とし、開閉弁420を閉状態とする。
【0038】
このように、第1の実施の形態および第2の実施の形態に加えて、貯留槽800に貯留された窒素の圧力を測定し、測定した圧力に応じて、ファン200が回収した混合気体を一般排気へ流すように開閉弁400,410,420を制御する。そのため、貯留槽800への窒素の貯留が不可能となった場合に、窒素を安全に廃棄できるラインに排気することができる。
【0039】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。また、開閉弁400,410,420の開閉状態の制御は、上述したように制御装置700,701が行うもののほか、システムを管理する管理者が行うものも考えられる。
【0040】
上述した濃度センサ300、圧力センサ900および制御装置700,701が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、濃度センサ300、圧力センサ900および制御装置700,701が具備された制御装置にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0041】
10 超純水槽(貯留槽)
100,100-1~100-n 水封槽
200 ファン
300 濃度センサ
400,410,420 開閉弁
500 圧縮機
600 分離膜モジュール
700,701 制御装置
710 濃度情報取得部
720,721 制御部
731 圧力値取得部
800 貯留槽
900 圧力センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8