(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112738
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220727BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
G06F3/041 470
G06F3/041 412
G06F3/041 422
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008654
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
(57)【要約】
【課題】 製造工程時に意図しない部材同士が電気的に接続されるリスクを低減し得る表示装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、第1基板と対向して配置される第2基板と、第1基板と第2基板とを接着し、かつ、画像を表示する表示領域を囲む周辺領域に設けられるシール材と、第1基板上の周辺領域に設けられる第1電極と、第1電極を覆う絶縁膜と、第2基板上の周辺領域に設けられる第2電極と、を備え、シール材は、導電部材を含み、第1電極および第2電極のうちの少なくとも一方は、平面視において、第1電極と、絶縁膜と、シール材と、第2電極とが重畳する領域において、複数の細線部を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向して配置される第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着し、かつ、画像を表示する表示領域を囲む周辺領域に設けられるシール材と、
前記第1基板上の周辺領域に設けられる第1電極と、
前記第1電極を覆う絶縁膜と、
前記第2基板上の周辺領域に設けられる第2電極と、
を備え、
前記シール材は、導電部材を含み、
前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、
平面視において、前記第1電極と、前記絶縁膜と、前記シール材と、前記第2電極とが重畳する領域において、複数の細線部を有する、
表示装置。
【請求項2】
前記第2電極は、
前記シール材に含まれる前記導電部材により、前記第1基板側に設けられる配線と電気的に接続される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1基板上の前記周辺領域、かつ、前記第1電極の下に設けられる複数の配線をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2電極は、前記複数の細線部を有し、
前記第1電極は、前記複数の細線部を有さない、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電極は、前記複数の細線部を有し、
前記第2電極は、前記複数の細線部を有さない、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1電極および前記第2電極は共に、前記複数の細線部を有する、
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1電極の複数の細線部と、前記第2電極の複数の細線部とは、平面視において重畳しない、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記導電部材は、球状の導電パールであり、
前記複数の細線部に含まれる第1細線部と、前記第1細線部に隣接する第2細線部との間隔は、前記導電パールの直径よりも大きい、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2電極は、検出電極である、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1電極は、所定の固定電位を有するシールド電極である、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1電極は、検出電極である、
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2電極は、所定の固定電位を有するシールド電極である、
請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチ検出機能付きの表示装置の1つとして、ウェアラブルデバイス(例えば腕時計型のウェアラブルデバイス、眼鏡型のウェアラブルデバイス等)が徐々に普及してきている。このようなウェアラブルデバイスでは、画像を表示する際の表示品位と、タッチによる優れた操作性との両立が求められており、種々様々な開発が進められている。例えば、画像を表示する表示領域の周囲にタッチセンサが配置された構成のウェアラブルデバイスが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、製造工程時に意図しない部材同士が電気的に接続されるリスクを低減し得る表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板と対向して配置される第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを接着し、かつ、画像を表示する表示領域を囲む周辺領域に設けられるシール材と、前記第1基板上の周辺領域に設けられる第1電極と、前記第1電極を覆う絶縁膜と、前記第2基板上の周辺領域に設けられる第2電極と、を備え、前記シール材は、導電部材を含み、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも一方は、平面視において、前記第1電極と、前記絶縁膜と、前記シール材と、前記第2電極とが重畳する領域において、複数の細線部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る表示装置の別の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係る表示装置のさらに別の構成例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係る表示装置のさらに別の構成例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すA-B線で切断された表示装置の断面を示す断面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図8】
図8は、比較例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、比較例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の別の変形例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る表示装置の一構成例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す分解斜視図である。
【
図15】
図15は、同実施形態に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態の変形例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態の別の変形例に係る表示装置の周辺領域に位置する一部構成を示す平面図である。
【
図18】
図18は、各実施形態に係る表示装置の適用例を示す図である。
【
図19】
図19は、各実施形態に係る表示装置の別の適用例を示す図である。
【
図20】
図20は、自己容量方式によるタッチ検出の原理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0008】
各実施形態においては、表示装置の一例として、タッチ検出機能付きの表示装置について説明する。タッチ検出方式には、光学式、抵抗式、静電容量方式、電磁誘導方式、等の種々の方式がある。上記した各種検出方式のうちの静電容量方式は、物体(例えば指等)の近接または接触に起因して静電容量が変化することを利用する検出方式であり、比較的単純な構造で実現可能である、消費電力が少ない、等の利点を有している。各実施形態では、主に、静電容量方式を利用したタッチ検出機能付きの表示装置について説明する。
【0009】
なお、静電容量方式は、互いに離間した状態で配置された一対の送信電極(駆動電極)と受信電極(検出電極)との間に電界を発生させ、物体の近接または接触に伴う当該電界の変化を検出する相互容量方式と、単一の電極を用いて、物体の近接または接触に伴う静電容量の変化を検出する自己容量方式とを含む。各実施形態では、主に、自己容量方式を利用したタッチ検出機能付きの表示装置について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSP1の一構成例を示す平面図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、および第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していても良い。第1方向Xおよび第2方向Yは、表示装置DSP1を構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSP1の厚さ方向に相当する。本明細書においては、第3方向Zを上と定義し、第3方向Zと反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」および「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接していてもよいし、第1部材から離れて位置していてもよい。また、本明細書では、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置DSP1を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向Xおよび第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを「平面視」と称する。
【0011】
図1に示すように、表示装置DSP1は、表示パネルPNLと、フレキシブル配線基板FPCと、回路基板PCBと、を備えている。表示パネルPNLと、回路基板PCBとは、フレキシブル配線基板FPCを介して電気的に接続されている。より詳しくは、表示パネルPNLの端子部Tと、回路基板PCBの接続部CNとは、フレキシブル配線基板FPCを介して電気的に接続されている。
【0012】
表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAを囲む額縁状の周辺領域SAと、を備えている。表示領域DAは、表示部と称される場合もある。周辺領域SAは、周辺部、額縁部または非表示部と称される場合もある。表示領域DAには画素PXが配置されている。具体的には、表示領域DAには、多数の画素PXが第1方向Xおよび第2方向Yに沿ってマトリクス状に配列されている。
【0013】
本実施形態において、画素PXは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の副画素SPを含む。また、各副画素SPは、複数のセグメント画素SGを有する。各セグメント画素SGは、面積の異なる画素電極を有しており、これら複数のセグメント画素SGの表示/非表示を切り替えることで、副画素SP毎に階調が形成される。
【0014】
図1において拡大して示すように、セグメント画素SGは、スイッチング素子SW、画素回路PC、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC、等を備えている。
【0015】
スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線Gおよび信号線Sと電気的に接続されている。走査線Gは、第1方向Xに並んだセグメント画素SGの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。信号線Sは、第2方向Yに並んだセグメント画素SGの各々におけるスイッチング素子SWと電気的に接続されている。
【0016】
画素電極PEは、画素回路PCを介して、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向し、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動している。なお、本実施形態では、画素電極PEが画素回路PCを介してスイッチング素子SWと電気的に接続される構成を例示したが、画素電極PEは画素回路PCを介さずにスイッチング素子SWと電気的に接続されるとしてもよい。
【0017】
図1に示す複数の同心円のうち、最も内側に位置する円の領域が表示領域DAに相当し、最も外側に位置する円から最も内側に位置する円を除いた領域が周辺領域SAに相当する。つまり、
図1において斜線を付した領域が表示領域DAに相当し、それ以外の領域が周辺領域SAに相当する。
【0018】
なお、本実施形態では、表示領域DAが円形状であり、かつ、表示領域DAを囲む周辺領域SAもまた同系統の形状である場合を例示しているが、これに限定されず、表示領域DAは円形状でなくてもよいし、周辺領域SAは表示領域DAとは異なる系統の形状であってもよい。例えば、表示領域DAおよび周辺領域SAは多角形状であってもよい。さらに、表示領域DAが多角形状の場合に、周辺領域SAが表示領域DAとは異なる系統の形状である円形状であってもよい。
【0019】
表示領域DAには、上記した共通電極CEが全面に亘って配置されている。また、共通電極CEは、
図1に示すように、後述する検出電極Rx3およびRx7の外周近辺まで延出する第1引出配線CELを有している。第1引出配線CELは、表示領域DAから周辺領域SAに向けて延出し、後述するシール材に含まれる導電パール(導電部材)を介して、共通電極CEに給電するための配線(図示せず)と電気的に接続される。なお、第1引出配線CELにより二分される検出電極Rx3のそれぞれは、後述するRx端子部RTを介して電気的に接続される。同様に、第1引出配線CELにより二分される検出電極Rx7のそれぞれは、後述するRx端子部RTを介して電気的に接続される。
【0020】
図1に示すように、周辺領域SAには、複数の検出電極Rx1~Rx8が表示領域DAを囲むように配置されている。
図1では、8個の検出電極Rx1~Rx8を例示しているが、周辺領域SAに配置される検出電極Rxの個数はこれに限定されず、任意の個数の検出電極Rxが表示領域DAを囲むように配置されて構わない。
【0021】
複数の検出電極Rx1~Rx8は、Rx配線(図示せず)を介して、周辺領域SAに配置される端子部Tと電気的に接続される。Rx配線は、例えば、検出電極Rx1~Rx8の外周に沿って延出する。Rx配線は、検出電極Rx1~Rx8への駆動信号Txの供給、および、検出電極Rx1~Rx8からの検出信号RxAFEの出力、のために使用される配線である。
【0022】
また、
図1に示すように、周辺領域SAには、第1シールド電極SE1と第2シールド電極SE2とが表示領域DAを囲むように配置されている。より詳しくは、平面視において、円環状(ドーナツ状)の第1シールド電極SE1が表示領域DAを囲むように配置されている。また、平面視において、第2シールド電極SE2が共通電極CEを囲むように配置されている。第1シールド電極SE1と第2シールド電極SE2とは平面視において少なくとも一部が重畳し、第1シールド電極SE1は第2シールド電極SE2の下に配置されている。
【0023】
第2シールド電極SE2は、
図1に示すように、検出電極Rx2およびRx6の外周近辺まで延出し、後述するシール材に含まれる導電パール(導電部材)を介して、第2シールド電極SE2に給電するための配線(図示せず)と電気的に接続される、第2引出配線SELを有している。なお、第2引出配線SELにより二分される検出電極Rx2のそれぞれは、後述するRx端子部RTを介して電気的に接続される。同様に、第2引出配線SELにより二分される検出電極Rx6のそれぞれは、後述するRx端子部RTを介して電気的に接続される。
【0024】
第1シールド電極SE1と第2シールド電極SE2とには、上記した各種配線を介して、GND電圧(検出電極Rxと同電位)または所定の直流電圧(固定電圧)が印加される。
【0025】
図1に示すように、回路基板PCBには、タッチコントローラTCと、ディスプレイコントローラDCと、CPU1と、等が設けられる。
【0026】
タッチコントローラTCは、表示パネルPNLに配置される複数の検出電極Rx1~Rx8に対して駆動信号Txを出力し、かつ、検出電極Rx1~Rx8からの検出信号(RxAFE信号)の入力を受け付ける(つまり、外部近接物体の近接または接触を検出する)。タッチコントローラTCは検出部と称されてもよい。
【0027】
ディスプレイコントローラDCは、表示パネルPNLの表示領域DAに表示される画像を示す映像信号を出力する。
【0028】
CPU1は、タッチコントローラTCとディスプレイコントローラDCの動作タイミングを規定する同期信号の出力や、タッチコントローラTCにより検出されたタッチに応じた動作の実行、等を行う。
【0029】
なお、
図1では、タッチコントローラTCと、ディスプレイコントローラDCと、CPU1とが1つの半導体チップにより実現されている場合を例示しているが、これらの実装態様はこれに限定されず、例えば
図2に示すように、タッチコントローラTCのみを別体として分けた上で各部を回路基板PCB上に実装するとしてもよいし、
図3に示すように、回路基板PCB上にタッチコントローラTCとCPU1とを分けて実装し、表示パネルPNL上にディスプレイコントローラDCをCOG(Chip On Glass)により実装するとしてもよいし、
図4に示すように、回路基板PCB上にCPU1のみを実装し、表示パネルPNL上にタッチコントローラTCとディスプレイコントローラDCとをCOGにより実装するとしてもよい。
【0030】
図5は、
図1に示すA-B線で切断された表示装置DSP1の断面を示す断面図である。以下では、表示領域DA側の構成と、周辺領域SA側の構成とのそれぞれについて説明する。
【0031】
表示装置DSP1は、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、シール材30と、液晶層LCと、偏光板PLと、カバー部材CMと、を備えている。第1基板SUB1はアレイ基板と称され、第2基板SUB2は対向基板と称されてもよい。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。
【0032】
第1基板SUB1および第2基板SUB2は、平面視において重畳し、シール材30によって接着(接続)されている。液晶層LCは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持され、シール材30によって封止されている。シール材30には、金属でコーティングされた多数の導電パール31が含まれており、これにより、第1基板SUB1側の構成と、第2基板SUB2側の構成とが電気的に接続される。
【0033】
第2基板SUB2の上には偏光板PLが設けられ、当該偏光板PLの上には、カバー部材CMがさらに設けられる。
【0034】
なお、
図5では、表示装置DSP1が、バックライトユニットが配置されない反射型の表示装置である場合を例示しているが、これに限定されず、表示装置DSP1は、有機ELを画素として採用した表示装置や、バックライトユニットが配置された透過型の表示装置であってもよい。あるいは、表示装置DSP1は、反射型と透過型を組み合わせた表示装置であってもよい。バックライトユニットとしては、種々の形態のバックライトユニットが利用可能であり、例えば、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや、冷陰極管(CCFL)を利用したもの、等が利用可能である。なお、バックライトユニットが配置される場合、第1基板SUB1とバックライトユニットとの間(つまり、第1基板SUB1の下)には、偏光板が配置される。
【0035】
表示領域DA側において、第1基板SUB1は、
図5に示すように、透明基板10と、スイッチング素子SWと、画素回路PCと、平坦化膜11と、画素電極PEと、配向膜AL1とを備えている。第1基板SUB1は、上記した構成の他に、
図1に示した走査線Gや信号線S等を備えているが、
図5ではこれらの図示を省略している。
【0036】
透明基板10は、主面(下面)10Aと、主面10Aの反対側の主面(上面)10Bと、を備えている。スイッチング素子SWおよび画素回路PCは、主面10B側に配置されている。平坦化膜11は、少なくとも1つ以上の絶縁膜によって構成されており、スイッチング素子SWおよび画素回路PCを覆っている。
【0037】
画素電極PEは、平坦化膜11の上に配置され、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通って画素回路PCに接続されている。スイッチング素子SW、画素回路PCおよび画素電極PEは、セグメント画素SG毎に配置されている。配向膜AL1は、画素電極PEを覆い、液晶層LCに接している。
【0038】
なお、
図5においては、スイッチング素子SWおよび画素回路PCを簡略化して図示しているが、実際にはスイッチング素子SWおよび画素回路PCは半導体層や各層の電極を含んでいる。また、
図5においては図示を省略しているが、スイッチング素子SWと画素回路PCとは電気的に接続されている。さらに、上記したように、
図5において図示を省略した走査線Gや信号線Sは、例えば、透明基板10と平坦化膜11との間に配置されている。
【0039】
表示領域DA側において、第2基板SUB2は、
図5に示すように、透明基板20と、遮光膜BMと、カラーフィルタCFと、オーバーコート層OCと、共通電極CEと、配向膜AL2と、を備えている。
【0040】
透明基板20は、主面(下面)20Aと、主面20Aの反対側の主面(上面)20Bと、を備えている。透明基板20の主面20Aは、透明基板10の主面10Bと対向している。遮光膜BMは、各セグメント画素SGを区画している。カラーフィルタCFは透明基板20の主面20A側に配置され、画素電極PEと対向し、その一部が遮光膜BMに重なっている。カラーフィルタCFは、赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、等を含む。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。
【0041】
共通電極CEは、複数のセグメント画素SG(複数の画素PX)に亘って配置され、第3方向Zにおいて複数の画素電極PEと対向している。共通電極CEはオーバーコート層OCの上に配置されている。配向膜AL2は、共通電極CEを覆い、液晶層LCに接している。
液晶層LCは、主面10Bと主面20Aとの間に配置されている。
【0042】
透明基板10および20は、例えばガラス基材やプラスチック基板などの絶縁基板である。平坦化膜11は、例えばシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物またはアクリル樹脂などの透明な絶縁材料によって形成されている。一例では、平坦化膜11は、無機絶縁膜および有機絶縁膜を含んでいる。
【0043】
画素電極PEは、反射電極として形成され、例えば、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、銀(Ag)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)の三層積層構造になっている。なお、画素電極PEを上記した反射電極として形成せずに、例えば透明電極により形成された画素電極PEの上に銀(Ag)等の金属が配置される構成であってもよい。共通電極CEは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極である。
【0044】
配向膜AL1およびAL2は、X-Y平面にほぼ平行な配向規制力を有する水平配向膜である。配向規制力は、ラビング処理により付与されてもよいし、光配向処理により付与されてもよい。
【0045】
周辺領域SA側において、第1基板SUB1は、
図5に示すように、透明基板10と、複数の配線Lを含む配線群LGと、平坦化膜11と、第1シールド電極SE1と、Rx端子部RTと、層間絶縁膜12と、配向膜AL1と、を備えている。以下では、表示領域DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0046】
透明基板10の主面10B側には、複数の配線Lを含む配線群LGが配置される。配線群LGに含まれる複数の配線Lは、平坦化膜11により覆われている。なお、
図5では、配線群LGに含まれる複数の配線Lとして、後述する第1シールド配線SL1やRx配線RLを含む6つの配線Lを図示しているが、配線群LGに含まれる複数の配線Lの数はこれに限定されない。配線群LGに含まれる複数の配線Lには、信号線Sや、第2シールド電極SE2に給電するための配線、共通電極CEに給電するための配線、等がさらに含まれてもよい。
【0047】
第1シールド電極SE1は、平坦化膜11の上に設けられ、配線群LGに含まれる複数の配線L(の一部)と対向し、第3方向Zにおいて、当該配線群LGと検出電極Rxとの間に位置するように配置される。このため、第1シールド電極SE1は、表示領域DA側の画素電極PEと同層に配置されており、例えば画素電極PEと同じ透明導電材料によって形成される。
【0048】
第1シールド電極SE1は、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通って、配線群LGに含まれる配線の1つである第1シールド配線SL1に接続される。上記したコンタクトホールは、平面視において、シール材30と重畳する位置に形成される。つまり、第1シールド電極SE1は、周辺領域SAにおいてシール材30が配置されない領域(周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域)から当該シール材30が配置された領域の一部にまで延出し、上記したコンタクトホールを通って第1シールド配線SL1に接続されている。
【0049】
第1シールド電極SE1には、第1シールド配線SL1を介して、GND電圧(検出電極Rxと同電位)または所定の直流電圧(固定電圧)が印加される。これによれば、第1シールド電極SE1は、検出電極Rxが他の構成(例えば、配線群LGに含まれる複数の配線L)と容量結合してしまうことを抑制することが可能である。
【0050】
Rx端子部RTは、平坦化膜11の上に設けられる。Rx端子部RTは、平面視において、シール材30と重畳する位置に設けられ、平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通って、配線群LGに含まれる配線の1つであるRx配線RLに接続される。Rx端子部RTは、シール材30に含まれる導電パール31により、第2基板SUB2側に設けられる検出電極Rxと電気的に接続される。
【0051】
層間絶縁膜12は、第1シールド電極SE1を覆うように設けられる。配向膜AL1は、周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域において、平坦化膜11および層間絶縁膜12を覆い、液晶層LCに接している。
【0052】
周辺領域SA側において、第2基板SUB2は、
図5に示すように、透明基板20と、遮光膜BMと、オーバーコート層OCと、第2シールド電極SE2と、検出電極Rxと、配向膜AL2と、を備えている。以下では、表示領域DA側において既に説明した構成については、その詳しい説明を省略する。
【0053】
透明基板20の主面20A側には、遮光膜BMが配置されている。遮光膜BMは、周辺領域SAのほぼ全面に亘って配置されている。オーバーコート層OCは、表示領域DA側のカラーフィルタCFと共に遮光膜BMを覆っている。
【0054】
第2シールド電極SE2はオーバーコート層OCの上に配置されている。第2シールド電極SE2は、平面視において、検出電極Rxよりも表示領域DAの近くに(検出電極Rxと表示領域DAとの間に)配置されている。第2シールド電極SE2は、表示領域DA側の共通電極CEと同層に配置されており、例えば共通電極CEと同じ透明導電材料によって形成されている。第2シールド電極SE2は、
図5に描かれた断面とは別の断面において、シール材30が配置された領域まで延出し、シール材30に含まれる導電パール31によって、第1基板SUB1側に配置されるシールド端子部(図示せず)および第2シールド配線(図示せず)と電気的に接続される。
【0055】
第2シールド電極SE2には、上記した第2シールド配線、シールド端子部および導電パール31を介して、GND電圧(検出電極Rxと同電位)または所定の直流電圧(固定電圧)が印加される。これによれば、第2シールド電極SE2は、検出電極Rxが他の構成(例えば、表示領域DA側の画素電極PEや共通電極CE)と容量結合してしまうことを抑制することが可能である。
【0056】
図5に示すように、検出電極Rxは、第2シールド電極SE2と同様に、表示領域DA側の共通電極CEと同層に配置されており、例えば共通電極CEと同じ透明導電材料によって形成されている。検出電極Rxは、周辺領域SAにおいてシール材30が配置されない領域(周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域)から当該シール材30が配置された領域まで延出し、シール材30に含まれる導電パール31により、第1基板SUB1側に配置されるRx端子部RTおよびRx配線RLと電気的に接続される。
【0057】
配向膜AL2は、周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域において、オーバーコート層OC、第2シールド電極SE2および検出電極Rxを覆い、液晶層LCに接している。
【0058】
なお、
図5では、液晶層LCに含まれる液晶分子の配向を変化させるための電界の印加方向によって2つに分類される液晶モードが、いわゆる縦電界モードである場合の構成を例示しているが、本構成は、液晶モードがいわゆる横電界モードの場合にも適用可能である。上記した縦電界モードは、例えばTN(Twisted Nematic)モードや、VA(Vertical Alignment)モード等を含む。また、上記した横電界モードは、例えばIPS(In-Plane Switching)モードや、IPSモードの1つであるFFS(Fringe Field Switching)モード等を含む。横電界モードを採用する場合、表示領域DAに設けられる共通電極CEは第1基板SUB1側に設けられ、薄い絶縁層を介して画素電極PEと対向する。
【0059】
図6は、本実施形態に係る表示装置DSP1の周辺領域SAに位置する一部構成を示す分解斜視図であり、
図7は、本実施形態に係る表示装置DSP1の周辺領域SAに位置する一部構成を示す平面図である。なお、
図6および
図7においては、各構成の上下関係や大きさを分かり易くするために、一部構成を実際とは異なる大きさで図示している。
【0060】
図6および
図7に示すように、第1シールド電極SE1は、シール材30が配置されない領域から当該シール材30が配置された領域の一部にまで延出している。なお、
図5を用いて既に説明したため、ここでは図示を省略しているが、第1シールド電極SE1は、平面視において、シール材30と重畳する位置に形成されたコンタクトホールを通って第1シールド配線SL1に接続される。
【0061】
第1シールド電極SE1と同層には、Rx端子部RTが設けられている。Rx端子部RTは、第1シールド電極SE1とは異なり、その全面が平面視においてシール材30と重畳している。第1シールド電極SE1とRx端子部RTとの間には、所定の間隔が設けられている。
【0062】
図6および
図7に示すように、第1シールド電極SE1は、平面視において、層間絶縁膜12と重畳し、当該層間絶縁膜12により覆われている。これによれば、第1シールド電極SE1が、シール材30に含まれる導電パール31を介して、第2基板SUB2側の検出電極Rxと電気的に接続されてしまうことを防ぐことができる。
【0063】
図6および
図7に示すように、検出電極Rxは、周辺領域SAにおいて、シール材30が配置されない領域から当該シール材30が配置された領域まで延出している。検出電極Rxは、平面視において、シール材30、層間絶縁膜12、第1シールド電極SE1と重畳する第1領域A1において、その他の領域である第2領域A2とは異なる形状を有している。より詳しくは、検出電極Rxは、平面視において、シール材30、層間絶縁膜12、第1シールド電極SE1と重畳する第1領域A1においては、複数の細線部からなる形状を有し、その他の第2領域A2においては、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。
【0064】
図6および
図7に示すように、第1領域A1において、検出電極Rxは、互いに交差し、複数の網目を形成するメッシュ状の複数の細線部を有している。複数の細線部により形成される網目の開口部の大きさは、シール材30に含まれる導電パール31の直径よりも大きいことが望ましい。
【0065】
図7に示すように、周辺領域SAにおいて、第1シールド電極SE1およびRx端子部RTの下には、複数の配線Lを含む配線群LGが設けられている。なお、
図7では図面が煩雑になるのを防ぐために、配線群LGに含まれる一部の配線Lのみを詳細に図示し、その他の配線Lについては簡略化して図示している。
【0066】
ここで、比較例を用いて、本実施形態に係る表示装置DSP1の効果について説明する。なお、比較例は、本実施形態に係る表示装置DSP1が奏し得る効果の一部を説明するためのものであって、比較例と本実施形態とで共通する効果を本願発明の範囲から除外するものではない。
【0067】
図8は、比較例に係る表示装置DSP1´の周辺領域SAに位置する一部構成を示す分解斜視図であり、
図9は、比較例に係る表示装置DSP1´の周辺領域SAに位置する一部構成を示す平面図である。
【0068】
比較例における表示装置DSP1´は、
図8および
図9に示すように、検出電極Rxが、第1領域A1においても第2領域A2と同様に、X-Y平面と平行な平板状に形成されている点で、本実施形態の表示装置DSP1の構成と相違している。
【0069】
比較例における表示装置DSP1´においては、検出電極Rxが、第1領域A1においてもX-Y平面と平行な平板状に形成されているため、表示装置DSP1´の製造工程時に層間絶縁膜12にクラックが入ってしまうと、当該クラックにより露出される第1シールド電極SE1と、第2基板SUB2側の検出電極Rxとが、シール材30に含まれる導電パール31を介して電気的に接続されてしまい、ショートしてしまうリスクがある。
【0070】
これに対し、本実施形態に係る表示装置DSP1においては、検出電極Rxが、第1領域A1においてはメッシュ状の複数の細線部になっているため、表示装置DSP1の製造工程時に層間絶縁膜12にクラックが入ってしまったとしても、当該クラックにより露出される第1シールド電極SE1と、第2基板SUB2側の検出電極Rxとが、シール材30に含まれる導電パール31を介して電気的に接続されてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0071】
より詳しくは、検出電極Rxは、第1領域A1においてはメッシュ状の複数の細線部になっているため、上記したクラックにより露出される第1シールド電極SE1が平面視において重畳する検出電極Rxの電極面積を、比較例に係る構成に比べて小さくすることが可能であり、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまい、ショートしてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0072】
なお、第1領域A1において検出電極Rxをメッシュ状の複数の細線部にすることにより、検出電極Rx全体の電極面積を小さくすることができるため、指等の外部近接物体が接触した際に増加する容量が小さくなり、その分だけ時定数を小さくすることも可能である。時定数が小さくなることにより、タッチ検出のためのパルス数を増やしてノイズを減らすことや、タッチ検出のためのタッチ検出期間を減らして画像を表示するための表示期間を増やすこと、信号処理にかかる時間を短縮すること、等が可能である。また、指等の外部近接物体が接触した際に増加する容量が小さくなることにより、当該容量をタッチコントローラTCの検出レンジの上限内に収めることが可能である、あるいは、当該検出レンジの上限にマージンを持たせることが可能である。
【0073】
ここで、本実施形態の変形例として、第1領域A1において検出電極Rxと第1シールド電極SE1とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまうリスクを減らすことが可能な検出電極Rxの別の形状について説明する。
【0074】
(第1実施形態の変形例)
図10は、変形例に係る検出電極Rxの形状を示す平面図である。なお、
図10では、層間絶縁膜12およびシール材30の図示を省略している。
図10に示すように、第1領域A1において、検出電極Rxは、ジグザグ線状の複数の細線部を有していてもよい。ジグザグ線状の複数の細線部は、所定の間隔をおいて並び、互いに交差しないように形成される。上記した所定の間隔、つまり、1つのジグザグ線状の細線部と、当該1つのジグザグ線状の細線部に隣接する他のジグザグ線状の細線部との間隔は、シール材30に含まれる導電パール31の直径よりも大きいことが望ましい。
【0075】
図10に示す形状においても、第1領域A1において、上記したクラックにより露出される第1シールド電極SE1が平面視において重畳する検出電極Rxの電極面積を、上記した比較例に係る構成(第1領域A1において、検出電極Rxが平板状に形成される構成)に比べて小さくすることが可能なため、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0076】
なお、第1領域A1において、検出電極Rxは、上記したジグザグ線状の複数の細線部ではなく、直線状の複数の細線部を有していてもよいし、波線状の複数の細線部を有していてもよい。いずれの場合であっても、第1領域A1における検出電極Rxの電極面積を、上記した比較例に係る構成に比べて小さくすることが可能な点に変わりはないため、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0077】
以上説明した本実施形態においては、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とが導電パール31を介して電気的に接続されるリスクのある第1領域A1において、検出電極Rxが複数の細線部からなる形状を有することにより、当該リスクを減らすことを可能とした。しかしながら、上記したリスクを減らすという観点においては、検出電極Rxではなく第1シールド電極SE1が、第1領域A1において複数の細線部からなる形状を有していてもよい。つまり、第1シールド電極SE1が、第1領域A1において、メッシュ状の複数の細線部を有していてもよいし、ジグザグ線状の複数の細線部を有していてもよいし、直線状の複数の細線部を有していてもよいし、波線状の複数の細線部を有していてもよい。
【0078】
この場合であっても、第1領域A1において、検出電極Rxと平面視において重畳する第1シールド電極SE1の電極面積を小さくすることが可能なため、上記したリスクを減らすことが可能であり、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0079】
なお、第1領域A1において、第1シールド電極SE1が複数の細線部からなる形状を有する場合、当該複数の細線部の隙間においては検出電極Rxが配線群LGに含まれる配線Lと容量結合してしまうことをシールドできないため、第1領域A1における第1シールド電極SE1の下には、配線群LGに含まれる配線Lは設けられない方が望ましい。
【0080】
また、上記したリスクを減らすという観点においては、検出電極Rxと第1シールド電極SE1との双方が、第1領域A1において複数の細線部からなる形状を有していても構わない。この場合、検出電極Rxの複数の細線部と、第1シールド電極SE1の複数の細線部とは、
図11に示すように、平面視において重畳しないように形成されることが望ましい。なお、
図11においても、
図10同様に、層間絶縁膜12およびシール材30の図示を省略している。
【0081】
このため、検出電極Rxの複数の細線部と、第1シールド電極SE1の複数の細線部とは、メッシュ状ではなく、ジグザグ線状、直線状または波線状に形成されることが望ましい。これによれば、第1領域A1において、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とは平面視において重畳しないため、上記したクラックにより第1シールド電極SE1が露出したとしても、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまうことがなくなり、上記したリスクを無くすことが可能である。
【0082】
なお、第1領域A1において、検出電極Rxと第1シールド電極SE1との双方が、複数の細線部からなる形状を有する場合、第1シールド電極SE1の複数の細線部の隙間においては検出電極Rxが配線群LGに含まれる配線Lと容量結合してしまうことをシールドできないため、
図11に示すように、第1領域A1における第1シールド電極SE1の下には、配線群LGに含まれる配線Lは設けられない方が望ましい。
【0083】
以上説明した第1実施形態に係る表示装置DSP1は、検出電極Rxと、シール材30と、層間絶縁膜12と、第1シールド電極SE1とが平面視において重畳する第1領域A1において、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とのうちの少なくとも一方が複数の細線部からなる形状を有する構成を備えている。これによれば、表示装置DSP1の製造工程時に、第1シールド電極SE1を覆う層間絶縁膜12にクラックが入り、当該第1シールド電極SE1の一部が露出してしまったとしても、検出電極Rxと第1シールド電極SE1とがシール材30に含まれる導電パール31を介して電気的に接続されてしまい、ショートしてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0084】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図12は、第2実施形態に係る表示装置DSP2の一構成例を示す平面図であり、
図13は、
図12に示すC-D線で切断された表示装置DSP2の断面を示す断面図である。
【0085】
第2実施形態に係る表示装置DSP2は、
図13に示すように、検出電極Rxが第1基板SUB1側に配置されている点で、上記した第1実施形態の構成と相違している。また、第2実施形態に係る表示装置DSP2は、
図12および
図13に示すように、第1基板SUB1側に第1シールド電極SE1が配置されていない点で、上記した第1実施形態の構成と相違している。以下では、主に、第2実施形態に係る表示装置DSP2にとって特有な構成について説明し、第1実施形態と同様な構成についての説明は省略する。
【0086】
図12に示すように、共通電極CEから引き出される第1引出配線CELは、検出電極Rx3およびRx7の外周まで延出し、シール材30に含まれる導電パール31を介して、共通電極CEに給電するための配線(図示せず)と電気的に接続されている。
【0087】
また、
図12に示すように、平面視において、共通電極CEを囲むように配置される第2シールド電極SE2から引き出される第2引出配線SELは、検出電極Rx2およびRx6の外周まで延出し、シール材30に含まれる導電パール31を介して、後述する第2シールド電極SE2に給電するための配線と電気的に接続される。
【0088】
図13に示すように、検出電極Rxは、平坦化膜11の上に設けられ、当該平坦化膜11に形成されたコンタクトホールを通って、配線群LGに含まれる配線の1つであるRx配線RLに接続される。上記したコンタクトホールは、平面視において、シール材30と重畳する位置に形成される。つまり、検出電極Rxは、周辺領域SAにおいてシール材30が配置されない領域(周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域)から当該シール材30が配置された領域の一部にまで延出し、上記したコンタクトホールを通ってRx配線RLに接続されている。
また、
図13に示すように、検出電極Rxの上には、層間絶縁膜12が当該検出電極Rxを覆うように設けられている。
【0089】
図13に示すように、第2シールド電極SE2は、周辺領域SAにおいてシール材30が配置されない領域(周辺領域SAにおいて液晶層LCが配置された領域)から当該シール材30が配置された領域まで延出し、シール材30に含まれる導電パール31により、第1基板SUB1側に配置されるシールド端子部STおよび第2シールド配線SL2と電気的に接続される。
【0090】
第2シールド電極SE2には、第2シールド配線SL2、シールド端子部STおよび導電パール31を介して、GND電圧(検出電極Rxと同電位)または所定の直流電圧(固定電圧)が印加される。これによれば、第2シールド電極SE2は、検出電極Rxが他の構成(例えば、表示領域DA側の画素電極PEや共通電極CE)と容量結合してしまうことを抑制することが可能である。
【0091】
図14は、本実施形態に係る表示装置DSP2の周辺領域SAに位置する一部構成を示す分解斜視図であり、
図15は、本実施形態に係る表示装置DSP2の周辺領域SAに位置する一部構成を示す平面図である。なお、
図14および
図15においては、各構成の上下関係や大きさを分かり易くするために、一部構成を実際とは異なる大きさで図示している。
【0092】
図14および
図15に示すように、検出電極Rxは、周辺領域SAにおいて、シール材30が配置されない領域から当該シール材30が配置された領域の一部にまで延出している。なお、
図13を用いて既に説明したため、ここでは図示を省略しているが、検出電極Rxは、平面視において、シール材30と重畳する位置に形成されたコンタクトホールを通ってRx配線RLに接続される。
【0093】
検出電極Rxと同層には、シールド端子部STが設けられている。シールド端子部STは、検出電極Rxとは異なり、その全面が平面視においてシール材30と重畳している。検出電極Rxとシールド端子部STとの間には、所定の間隔が設けられている。
【0094】
図14および
図15に示すように、検出電極Rxは、平面視において、層間絶縁膜12と重畳し、当該層間絶縁膜12により覆われている。これによれば、検出電極Rxが、シール材30に含まれる導電パール31を介して、第2基板SUB2側の第2シールド電極SE2と電気的に接続されてしまうことを防ぐことができる。
【0095】
図14および
図15に示すように、第2シールド電極SE2は、周辺領域SAにおいて、シール材30が配置されない領域から当該シール材30が配置された領域まで延出している。検出電極Rxは、平面視において、層間絶縁膜12、シール材30、第2シールド電極SE2と重畳する第1領域A1において、その他の領域である第2領域A2とは異なる形状を有している。より詳しくは、検出電極Rxは、平面視において、層間絶縁膜12、シール材30、第2シールド電極SE2と重畳する第1領域A1においては、複数の細線部からなる形状を有し、その他の第2領域A2においては、X-Y平面と平行な平板状に形成されている。
【0096】
図14および
図15に示すように、第1領域A1において、検出電極Rxは、互いに交差し、複数の網目を形成するメッシュ状の複数の細線部を有している。複数の細線部により形成される網目の開口部の大きさは、シール材30に含まれる導電パール31の直径よりも大きいことが望ましい。
【0097】
図15に示すように、周辺領域SAにおいて、検出電極Rxおよびシールド端子部STの下には、複数の配線Lを含む配線群LGが設けられている。
【0098】
図14および
図15に示すように、第1領域A1において、検出電極Rxがメッシュ状の複数の細線部を有することにより、表示装置DSP2の製造工程時に層間絶縁膜12にクラックが入ってしまったとしても、当該クラックにより露出される検出電極Rxと、第2基板SUB2側の第2シールド電極SE2とが、シール材30に含まれる導電パール31を介して電気的に接続されてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0099】
より詳しくは、検出電極Rxは、第1領域A1においてメッシュ状の複数の細線部を有しているため、上記したクラックにより露出される検出電極Rxの電極面積を小さくすることが可能であり、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまい、ショートしてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0100】
なお、第1領域A1において検出電極Rxをメッシュ状の複数の細線部にすることにより、検出電極Rx全体の電極面積を小さくすることができるため、指等の外部近接物体が接触した際に増加する容量が小さくなり、その分だけ時定数を小さくすることも可能である。つまり、本実施形態に係る表示装置DSP2においても、第1実施形態に係る表示装置DSP1と同様に、短い時間で、指等の外部近接物体によるタッチを検出することが可能である。
【0101】
ここで、本実施形態の変形例として、第1領域A1において検出電極Rxと第2シールド電極SE2とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまうリスクを減らすことが可能な検出電極Rxの別の形状について説明する。
【0102】
(第2実施形態の変形例)
図16は、変形例に係る検出電極Rxの形状を示す平面図である。なお、
図16では、層間絶縁膜12およびシール材30の図示を省略している。
図16に示すように、第1領域A1において、検出電極Rxは、ジグザグ線状の複数の細線部を有していてもよい。ジグザグ線状の複数の細線部は、所定の間隔をおいて並び、互いに交差しないように形成される。上記した所定の間隔、つまり、1つのジグザグ線状の細線部と、当該1つのジグザグ線状の細線部に隣接する他のジグザグ線状の細線部との間隔は、シール材30に含まれる導電パール31の直径よりも大きいことが望ましい。
【0103】
図16に示す形状においても、第1領域A1において、上記したクラックにより露出される検出電極Rxの電極面積を、例えば第2領域A2と同様に平板状に形成される構成に比べて小さくすることが可能なため、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0104】
なお、第1領域A1において、検出電極Rxは、上記したジグザグ線状の複数の細線部ではなく、直線状の複数の細線部を有していてもよいし、波線状の複数の細線部を有していてもよい。いずれの場合であっても、第1領域A1における検出電極Rxの電極面積を、第2領域A2と同様に平板状に形成される構成に比べて小さくすることが可能な点に変わりはないため、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0105】
以上説明した本実施形態においては、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とが導電パール31を介して電気的に接続されるリスクのある第1領域A1において、検出電極Rxが複数の細線部からなる形状を有することにより、当該リスクを減らすことを可能とした。しかしながら、上記したリスクを減らすという観点においては、検出電極Rxではなく第2シールド電極SE2が、第1領域A1において複数の細線部からなる形状を有していてもよい。つまり、第2シールド電極SE2が、第1領域A1において、メッシュ状の複数の細線部を有していてもよいし、ジグザグ線状の複数の細線部を有していてもよいし、直線状の複数の細線部を有していてもよいし、波線状の複数の細線部を有していてもよい。
【0106】
この場合であっても、第1領域A1において、検出電極Rxと平面視において重畳する第2シールド電極SE2の電極面積を小さくすることが可能なため、上記したリスクを減らすことが可能であり、上記した効果と同様な効果を得ることが可能である。
【0107】
また、上記したリスクを減らすという観点においては、検出電極Rxと第2シールド電極SE2との双方が、第1領域A1において複数の細線部からなる形状を有していても構わない。この場合、検出電極Rxの複数の細線部と、第2シールド電極SE2の複数の細線部とは、
図17に示すように、平面視において重畳しないように形成されることが望ましい。なお、
図17においても、
図16同様に、層間絶縁膜12およびシール材30の図示を省略している。
【0108】
このため、検出電極Rxの複数の細線部と、第2シールド電極SE2の複数の細線部とは、メッシュ状ではなく、ジグザグ線状、直線状または波線状に形成されることが望ましい。これによれば、第1領域A1において、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とは平面視において重畳しないため、上記したクラックにより検出電極Rxが露出したとしても、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とが導電パール31を介して電気的に接続されてしまうことがなくなり、上記したリスクを無くすことが可能である。
【0109】
以上説明した第2実施形態に係る表示装置DSP2は、検出電極Rxと、層間絶縁膜12と、シール材30と、第2シールド電極SE2とが平面視において重畳する第1領域A1において、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とのうちの少なくとも一方が複数の細線部からなる形状を有する構成を備えている。これによれば、表示装置DSP2の製造工程時に、検出電極Rxを覆う層間絶縁膜12にクラックが入り、当該検出電極Rxの一部が露出してしまったとしても、検出電極Rxと第2シールド電極SE2とがシール材30に含まれる導電パール31を介して電気的に接続されてしまい、ショートしてしまうリスクを減らすことが可能である。
【0110】
図18は、各実施形態に係る表示装置DSPの適用例を示している。
図18に示すように、表示装置DSPは、例えば腕時計100に適用される。この場合、表示装置DSPの表示領域DAには、時刻等が表示され、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置された検出電極がタッチされることにより所定のジェスチャを検出し(例えば時計の外周部を時計回りに1回転するように触れるジェスチャ、時計の外周部を反時計回りに1回転するように触れるジェスチャ、タップするジェスチャ等)、検出した所定のジェスチャに応じた動作を実現することが可能である。
【0111】
図19は、各実施形態に係る表示装置DSPの別の適用例を示している。
図19に示すように、表示装置DSPは、例えば車載バックミラー200に適用される。この場合、表示装置DSPの表示領域DAには、車両に設置されたカメラにより撮影された車両後方の映像等が表示され、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置された検出電極がタッチされることにより所定のジェスチャを検出し、検出した所定のジェスチャに応じた動作を実現することが可能である。
【0112】
図20は、自己容量方式によるタッチ検出の原理の一例を説明するための図である。電源Vddの電圧を抵抗分割にて分圧した電圧をバイアス電圧として検出電極Rxに供給している。駆動回路300bからは容量結合等により所定の波形の駆動信号が検出電極Rxに供給され、検出電極Rxから所定の波形の検出信号が読み出される。このとき、指等による容量が検出電極Rxに負荷されると検出電極の振幅が変化する。
図20においては検出電極Rxの振幅が低下する。したがって、
図20に例示する等価回路において、検出回路400bにて検出電極Rxの振幅を検出することで指等の外部近接物体の接触または近接の有無を検出する。なお、セルフ検出回路は、
図20に例示する回路に限定されるものではなく、検出電極のみで指等の外部近接物体の有無を検出可能であればどのような回路方式を採用してもよい。
【0113】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、製造工程時に意図しない部材同士が電気的に接続されるリスクを低減し得る表示装置を提供することが可能である。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
DSP1…表示装置、LG…配線群、11…平坦化膜、SE1…第1シールド電極、RT…Rx端子部、12…層間絶縁膜、30…シール材、31…導電パール、Rx…検出電極、SA…周辺領域、A1…第1領域、A2…第2領域。