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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112754
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】自律走行車
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220727BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008678
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松浦 翼
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA03
5H301AA10
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC08
5H301CC10
5H301FF11
5H301GG08
5H301GG09
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】相対的な信頼度を算出でき、その信頼度に基づいて統合した車体の位置座標及び姿勢を算出することができる自律走行車を提供する。
【解決手段】Lidarスキャナ50により取得したデータにより車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出するLidar用自己位置推定部31と、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、Lidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する路面撮影カメラ用自己位置推定部32を備える。制御装置20は、Lidar用自己位置推定部31による車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度と路面撮影カメラ用自己位置推定部32による車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度に基づいて、統合した車体の位置座標及び姿勢を算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設置され、自己位置推定するための第1のデータ取得装置と、
前記車体に設置され、自己位置推定するための第2のデータ取得装置と、
前記車体に設置され、前記第1のデータ取得装置により取得したデータにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する第1の自己位置推定部と、
前記車体に設置され、前記第2のデータ取得装置により取得したデータにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、前記第1の自己位置推定部における信頼度算出アルゴリズムで算出する第2の自己位置推定部と、
前記車体に設置され、前記第1の自己位置推定部による前記車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度と前記第2の自己位置推定部による前記車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度に基づいて、統合した前記車体の位置座標及び姿勢を算出する統合自己位置算出部と、
を備えることを特徴とする自律走行車。
【請求項2】
前記車体に設置され、前記車体の位置座標及び姿勢が対応付けられた地図データを記憶する記憶部を更に備え、
前記第1の自己位置推定部は、前記第1のデータ取得装置により取得したデータと前記地図データを比較することにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出し、
前記第2の自己位置推定部は、前記第2のデータ取得装置により取得したデータと前記地図データを比較することにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、前記第1の自己位置推定部における信頼度算出アルゴリズムで算出することを特徴とする請求項1に記載の自律走行車。
【請求項3】
前記信頼度は、地図データの点群と、データ取得装置により得られた点群との対比において各点についてのずれ量の総和によるものであることを特徴とする請求項2に記載の自律走行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自律走行車において、車体が地図のどの位置に存在するかを把握することは極めて重要である。自己位置検出方法は今日まで、使用するセンサからアルゴリズムを含め、多種多様に存在する。一方で、一つのアルゴリズムだけで、精度のよい自己位置推定が常にできるわけではない。このため、複数のセンサ、アルゴリズム等を用いて、自己位置を推定する方法がある。特許文献1に開示の移動体においては、第1のセンサによって取得された移動体の周囲の情報を用いて移動体の位置を推定することによって、第1の推定位置と、当該第1の推定位置に対応する第1の信頼度とを取得する。また、第2のセンサによって取得された移動体の周囲の情報を用いて移動体の位置を推定することによって、第2の推定位置と、当該第2の推定位置に対応する第2の信頼度とを取得する。さらに、第1及び第2の推定位置と、第1及び第2の信頼度とを用いて、移動体の現在位置を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-17173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のアルゴリズムを併用して自己位置推定を行う場合、信頼度、即ち、どの推定結果が最も確からしいかを表す指標が必要であるが、信頼度はアルゴリズムごとに算出方法や値の範囲が異なる。例えば、第1のアルゴリズムでの信頼度算出方法においては信頼度が0~100の範囲の値をとり、第2のアルゴリズムでの信頼度算出方法においては信頼度が0~1の範囲の値をとる。このため、信頼度を重み付けとした自己位置推定結果の統合(マージ)は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための自律走行車は、車体に設置され、自己位置推定するための第1のデータ取得装置と、前記車体に設置され、自己位置推定するための第2のデータ取得装置と、前記車体に設置され、前記第1のデータ取得装置により取得したデータにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する第1の自己位置推定部と、前記車体に設置され、前記第2のデータ取得装置により取得したデータにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、前記第1の自己位置推定部における信頼度算出アルゴリズムで算出する第2の自己位置推定部と、前記車体に設置され、前記第1の自己位置推定部による前記車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度と前記第2の自己位置推定部による前記車体の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度に基づいて、統合した前記車体の位置座標及び姿勢を算出する統合自己位置算出部と、を備えることを要旨とする。
【0006】
これによれば、第1の自己位置推定部においては、第1のデータ取得装置により取得したデータにより車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する。また、第2のデータ取得装置においては、第2のデータ取得装置により取得したデータにより車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、第1の自己位置推定部における信頼度算出アルゴリズムで算出する。これにより、相対的な信頼度を算出でき、その信頼度に基づいて統合した車体の位置座標及び姿勢を算出することができる。
【0007】
また、自律走行車において、前記車体に設置され、前記車体の位置座標及び姿勢が対応付けられた地図データを記憶する記憶部を更に備え、前記第1の自己位置推定部は、前記第1のデータ取得装置により取得したデータと前記地図データを比較することにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出し、前記第2の自己位置推定部は、前記第2のデータ取得装置により取得したデータと前記地図データを比較することにより前記車体の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、前記第1の自己位置推定部における信頼度算出アルゴリズムで算出するとよい。
【0008】
また、自律走行車において、前記信頼度は、地図データの点群と、データ取得装置により得られた点群との対比において各点についてのずれ量の総和によるものであるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、相対的な信頼度を算出でき、その信頼度に基づいて統合した車体の位置座標及び姿勢を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における自律走行車の側面図。
図2】自律走行車の電気的構成を示すブロック図。
図3】作用を説明するためのフローチャート。
図4】環境と自律走行車の位置を示す図。
図5】(a)取得した点群を示す図、(b)地図データでの点群を示す図。
図6】取得した環境と自律走行車を示す図。
図7】取得した点群と地図データでの点群を重ねた状態を示す図。
図8】取得した点群と地図データでの点群を重ねた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、自律走行車10は、四輪車両であって、車体11と、車体11の下部に配置された駆動輪12と、車体11の下部に配置された操舵輪13と、を備える。自律走行車10は、駆動輪12の回転により走行されるとともに操舵輪13の向きの変更により操舵される。ここで、自律走行車10の進行方向をX方向とし、進行方向(X方向)に直交する方向(自律走行車10の幅方向)をY方向としている。また、水平方向であるX-Y平面に対し直交する上下方向をZ方向としている。
【0012】
図2に示すように、自律走行車10は、制御装置20と、モータドライバ21,22と、走行モータ23と操舵モータ24を備える。制御装置20は、モータドライバ21を介して走行モータ23を制御して駆動輪12を駆動することができるようになっている。制御装置20は、モータドライバ22を介して操舵モータ24を制御して操舵輪13を駆動することができるようになっている。
【0013】
図2に示すように、制御装置20は、処理部30と、記憶部40を備える。記憶部40には、自律走行車10を制御するための種々のプログラムが記憶されている。
制御装置20は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御装置20は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。
【0014】
制御装置20は、記憶部40に記憶されたプログラムに従い、走行モータ23及び操舵モータ24を制御することで、自律走行車10を動作させる。本実施形態の自律走行車10は、搭乗者による操作が行われることなく、制御装置20による制御によって自動で走行、操舵の動作を行う車両である。
【0015】
図1に示すように、自律走行車10は、自己位置推定するためのデータ取得装置として、Lidar(Light Detection and Ranging又はLaser Imaging Detection and Ranging)スキャナ50と、路面撮影カメラ60と、GPS(Global Positioning System)アンテナ70を備える。
【0016】
Lidarスキャナ50は車体11の上面に設置されている。Lidarスキャナ50は、レーザを自律走行車10の周囲に照射する照射部と、その反射光を受光する受光部を有している。そして、レーザの照射から受光までの時間を計測することにより周囲に存在する物体までの距離が検出される。レーザの照射は自律走行車10の進行方向を基準として例えば右側に135度、左側に135度の計270度の範囲にわたりスキャンしながら、その角度に対応付けて物体までの距離が測定される。
【0017】
Lidarスキャナ50は、水平方向での物体検出を行う2次元方式のものでも、水平方向及び上下方向での物体検出を行う3次元方式のものでもよい。
図2に示すように、制御装置20とLidarスキャナ50が接続されている。制御装置20には、Lidarスキャナ50による測定データが取り込まれる。これにより、自律走行車10の周囲環境を把握することができる。
【0018】
図1に示すように、路面撮影カメラ60は、車体11の下面中央部に設置され、車体11の下方の路面Srを撮影することができる。
図1に示すように、自律走行車10は、照明用の光源61,62を備える。光源61,62は、車体11の下面に設置されている。光源61,62は、例えば、発光ダイオード(LED)よりなる。光源61,62は、路面Srにおける路面撮影カメラ60の撮影領域に光を照射するためのものである。光源61,62は、車体11の下面において路面撮影カメラ60の周囲を囲むように配置されている。光源61,62は、路面撮影カメラ60の撮影タイミングに同期して点灯して路面撮影カメラ60の撮影領域に光を照射する。
【0019】
図2に示すように、自律走行車10は、照明ドライバ63を備える。制御装置20は、照明ドライバ63を介して光源61,62を制御することができる。
図1に示すように、GPSアンテナ70は、車体11の上面に設置されている。GPSアンテナ70は、人工衛星から電波を受信することができる。図2に示すように、自律走行車10にはGPS受信機71が搭載されている。GPSアンテナ70は、GPS受信機71を介して制御装置20と接続されている。制御装置20は、GPSアンテナ70による測量情報を取り込むことができる。
【0020】
図2に示すように、制御装置20の処理部30は、Lidar用自己位置推定部31と、路面撮影カメラ用自己位置推定部32と、GPS用自己位置推定部33を備える。
記憶部40には、地図データ41が記憶されている。地図データ41として、周囲環境データが記憶されている。周辺環境データは、地理的位置情報が対応付けられた状態で作成されている。また、地図データ41として、予め路面Srを撮影しておいた地図画像が記憶されている。地図画像は、地理的位置情報が対応付けられた状態で作成されている。
【0021】
このように、自律走行車10は、車体11に設置され、車体11の位置座標及び姿勢が対応付けられた地図データ41を記憶する記憶部40を備える。
Lidar用自己位置推定部31は、Lidarスキャナ50により計測された周囲環境データから抽出された特徴(点群)と、記憶部40の地図データ41から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定することができる。自己位置とは、車体11の位置座標及び姿勢(例えば図6の姿勢角θ参照)である。車体11の位置座標は、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向におけるLidarスキャナ50の設置位置での座標である。詳しくは、現時点での周辺環境(実際の周辺環境)から特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点に対する周りでの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。同様に、予め求めておいた地図データから特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点に対する周りの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。そして、現時点での周辺環境(実際の周辺環境)における各特徴点の特徴量と、予め求めておいた地図データにおける各特徴点の特徴量を比較することにより自律走行車の自己位置を推定する。
【0022】
地図データ(周辺環境データ)41を予め記憶部40に記憶する場合、周辺環境の座標を環境地図として記憶する。環境地図は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)によるマッピングにより作成される。SLAMは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行うものであり、移動体が未知の環境下で環境地図を作成できる。構築した地図情報を使って特定のタスクを遂行する。自己位置推定の際、Lidarスキャナ50で取得した周辺環境と事前に取得した地図データを比較することで自律走行車の自己位置を推定する。
【0023】
路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、路面撮影カメラ60により撮影された路面Srの画像から抽出された特徴(点群)と、記憶部40の地図データ(地図画像)41から抽出された特徴とを比較することにより自律走行車の自己位置を推定することができる。自己位置とは、車体11の位置座標及び姿勢である。車体11の位置座標は、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向における路面撮影カメラ60の設置位置での座標である。詳しくは、現時点での路面画像(実際の画像)である画像から特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点のあるピクセルに対する周りのピクセルでの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。同様に、予め撮影しておいた地図画像から特徴点を検出するとともに、その特徴点についての特徴量、即ち、特徴点のあるピクセルに対する周りのピクセルでの輝度の大きさの程度を表す特徴量を検出する。そして、現時点での路面画像(実際の画像)における各特徴点の特徴量と、予め撮影しておいた地図画像における各特徴点の特徴量を比較することにより自律走行車の自己位置を推定する。
【0024】
地図データ(地図画像)41を予め記憶部40に記憶する場合、路面の模様の座標を環境地図として記憶する。環境地図は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)によるマッピングにより作成される。SLAMは、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行うものであり、移動体が未知の環境下で環境地図を作成できる。構築した地図情報を使って特定のタスクを遂行する。自己位置推定の際、カメラで取得した路面画像と事前に取得した地図画像を比較することで自律走行車の自己位置を推定する。
【0025】
GPS用自己位置推定部33は、GPSアンテナ70による測量情報から自律走行車の自己位置を推定することができる。自己位置とは、車体11の位置座標及び姿勢である。車体11の位置座標は、車体11の一点を示す座標であり、例えば、車体11の水平方向におけるGPSアンテナ70の設置位置での座標である。
【0026】
制御装置20は、地図上での自律走行車10の位置を推定する自己位置推定を行いながら走行モータ23及び操舵モータ24を制御することで、所望の位置に自律走行車10を移動させることが可能である。
【0027】
次に、作用について説明する。
図3に、制御装置20が実行する処理を示す。
前提条件として、3つのアルゴリズムを用いて、自己位置推定を行う。つまり、アルゴリズムAを用いて自己位置推定を行うとともにアルゴリズムBを用いて自己位置推定を行う。さらに、アルゴリズムCを用いて自己位置推定を行う。そして、アルゴリズムAを用いて算出された位置推定結果をLAとするとともに、アルゴリズムBを用いて算出された位置推定結果をLBとする。さらに、アルゴリズムCを用いて算出された位置推定結果をLCとする。
【0028】
具体的には、アルゴリズムAを、Lidarスキャナ50を用いたLidarによる自己位置推定とする。また、アルゴリズムBを、路面撮影カメラ60を用いた路面画像による自己位置推定とする。また、アルゴリズムCを、GPSアンテナ70を用いたGPS測位による自己位置推定とする。
【0029】
制御装置20は、ステップS10において、アルゴリズムごとに自己位置推定を行う。具体的には、Lidarスキャナ50による周辺環境データと地図データを参照して車体11の位置座標及び姿勢を算出する。また、路面撮影カメラ60による路面の撮像画面と地図データを参照して車体11の位置座標及び姿勢を算出する。さらに、GPSアンテナ70による人工衛星からのデータから車体11の位置座標及び姿勢を算出する。
【0030】
制御装置20は、ステップS11において、位置推定結果がLAとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。具体的には、Lidarスキャナ50による周辺環境データに基づく車体11の位置座標及び姿勢について信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。
【0031】
制御装置20は、ステップS12において、位置推定結果がLBとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。具体的には、路面撮影カメラ60による路面の撮像画面に基づく車体11の位置座標及び姿勢について信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。
【0032】
制御装置20は、ステップS13において、位置推定結果がLCとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。具体的には、GPSアンテナ70による人工衛星からのデータに基づく車体11の位置座標及び姿勢について信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。
【0033】
ここまでの処理を経て、アルゴリズムAの観点における、位置推定結果LA、位置推定結果LB及び位置推定結果LCの信頼度が分かる。
制御装置20は、ステップS14において、それぞれの信頼度に基づいて、統合(マージ)した位置推定結果を算出して出力する。具体的には、例えば、重み付き和(重み和)とし、信頼度に応じた重み付けを行い、その総和を自己位置とする。
【0034】
以下、信頼度算出方法の例について説明する。
前提条件として、図4に示すような環境、位置に自律走行車10がいるとする。図4において、周辺環境として、自車の周囲には物体による直線L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8を有する。この場合、図5(a)に示すような点群、即ち、点P1~P36が取得できる。また、図4の環境下で地図作成をあらかじめ行い、図5(b)に示すようなその地図の点群、即ち、点P101~P136も持っているとする。
【0035】
つまり、図4は、自律走行車10のいる環境と位置座標及び姿勢を示している。図5(a)は、自律走行車10が取得した点群(点P1~P36)を示している。図5(b)は、自律走行車10が持っている地図の点群(点P101~P136)を示している。
【0036】
信頼度を算出するときの一例を説明する。
前提条件として、アルゴリズムAをLidarスキャナ50による自己位置推定とし、アルゴリズムBを路面撮影カメラ60による自己位置推定とする。
【0037】
第1段階として、自律走行車10の位置座標及び姿勢が、図6のように推定されたとする。図6は、推定された自律走行車10の位置座標及び姿勢を示しており、図6において、自律走行車10の進行方向(X方向)と所定方位でなす角度が姿勢角θである。図4では姿勢角θ=0である。
【0038】
第2段階として、図7に示すように、第1段階で推定した自律走行車10の位置座標及び姿勢と、持っている地図データを重ねる。
第3段階として、第2段階で重ね合わせた結果に対し、図8に示すように、例えば、点P3に最も近い地図での点P135を見つけてその距離ΔL1を計測してスコア(点数)Scとする。同様に、点P4に最も近い地図での点P136を見つけてその距離ΔL2を計測してスコア(点数)Scとする。以下同様に、各点ごとのスコアScを算出する。
【0039】
このように、アルゴリズムAによる信頼度の算出方法としては、推定された位置にLidarスキャナ50があると仮定した際の実際の入力点それぞれに対し、最も近い地図データの点との距離を算出する。
【0040】
第4段階として、第3段階で求めたスコア(点数)Scを全点に対し計算し、その合計を自律走行車10の位置座標及び姿勢に対する信頼度とする。つまり、実際に入力した点と、地図データ上での点との間の距離を求めて、各距離の合計の値を信頼度とする。これが信頼度(スコアSc)となる。具体的には、Lidarによって算出された位置推定結果をLAとして、この位置でのスコアScを信頼度として算出する。
【0041】
同様に、路面画像によって算出された位置推定結果をLBとして、この位置でのスコアScを信頼度として算出する。位置推定結果LBにおけるスコアScは、同じ時点で得られたLidarの点群データ(アルゴリズムAでは位置推定結果LAと推定されるデータ)を位置推定結果LBに合わせた入力点と、最も近い地図データでの点との距離を算出して求める。
【0042】
そして、Lidarによって算出された位置推定結果LAの信頼度と、路面画像によって算出された位置推定結果LBの信頼度に基づいて統合した位置を算出する。
このように、Lidar用自己位置推定部31は、Lidarスキャナ50により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する。詳しくは、Lidar用自己位置推定部31は、Lidarスキャナ50により取得したデータと地図データ41を比較することにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する。一方、路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する。詳しくは、路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、路面撮影カメラ60により取得したデータと地図データ41を比較することにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する。
【0043】
さらに、Lidar用自己位置推定部31は、Lidarスキャナ50により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定した際の当該推定の結果の信頼度を算出する。また、路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する際に、当該推定の結果の信頼度を、Lidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する。
【0044】
そして、制御装置20は、Lidar用自己位置推定部31による車体11の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度と路面撮影カメラ用自己位置推定部32による車体11の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度に基づいて、統合した車体11の位置座標及び姿勢を算出して出力する。
【0045】
信頼度について、言及する。
車体11におけるデータ取得装置の設置位置により信頼度算出アルゴリズムが使える。同じ位置から見ているので、それぞれの自己位置推定ソフトによって信頼度の求め方が違うが、本実施形態では、異なる方法で求めた自己位置に対して同一の信頼度算出アルゴリズムを使用する。
【0046】
また、図8を用いて説明したように、推定した自己位置における点群と地図データの点群とのずれ量の総和は当該位置座標でこの姿勢だと推定した時のLidarスキャナ50による点群と地図データの点群とのずれ量となる。よって、信頼度は、路面撮影カメラ60の設置位置がLidarスキャナ50の設置位置にあったとすると上記信頼度算出アルゴリズムを使って信頼度を求めることができる。
【0047】
従来、複数のアルゴリズムを併用して自己位置推定を行う場合、信頼度はアルゴリズムごとに算出方法や値の範囲が異なり、例えば、第1のアルゴリズムでの信頼度算出方法においては信頼度が0~100の範囲の値をとり、第2のアルゴリズムでの信頼度算出方法においては信頼度が0~1の範囲の値をとる。このため、信頼度を重み付けとした自己位置推定結果の統合(マージ)は困難であった。本実施形態においては、路面撮影カメラ用自己位置推定部32において、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、Lidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する。よって、信頼度はアルゴリズムごとの値の範囲が等しくなり、相対的な信頼度を算出でき、その信頼度に基づいて統合した車体11の位置座標及び姿勢を算出することができる。
【0048】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)自律走行車10の構成として、車体11に設置され、自己位置推定するための第1のデータ取得装置としてのLidarスキャナ50と、車体11に設置され、自己位置推定するための第2のデータ取得装置としての路面撮影カメラ60を備える。車体11に設置され、Lidarスキャナ50により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する第1の自己位置推定部としてのLidar用自己位置推定部31を備える。車体11に設置され、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、Lidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する第2の自己位置推定部としての路面撮影カメラ用自己位置推定部32を備える。車体11に設置され、Lidar用自己位置推定部31による車体11の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度と路面撮影カメラ用自己位置推定部32による車体11の位置座標及び姿勢の推定結果及びその信頼度に基づいて、統合した車体11の位置座標及び姿勢を算出する統合自己位置算出部としての制御装置20を備える。
【0049】
よって、第1の自己位置推定部としてのLidar用自己位置推定部31においては、Lidarスキャナ50により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する。また、第2のデータ取得装置としての路面撮影カメラ用自己位置推定部32においては、路面撮影カメラ60により取得したデータにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を、第1の自己位置推定部としてのLidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する。これにより、相対的な信頼度を算出でき、その信頼度に基づいて統合した車体11の位置座標及び姿勢を算出することができる。
【0050】
(2)車体11に設置され、車体11の位置座標及び姿勢が対応付けられた地図データ41を記憶する記憶部40を更に備える。第1の自己位置推定部としてのLidar用自己位置推定部31は、第1のデータ取得装置としてのLidarスキャナ50により取得したデータと地図データ41を比較することにより車体11の位置座標及び姿勢を推定するとともに、当該推定の結果の信頼度を算出する。第2の自己位置推定部としての路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、第2のデータ取得装置としての路面撮影カメラ60により取得したデータと地図データ41を比較することにより車体11の位置座標及び姿勢を推定する。また、第2の自己位置推定部としての路面撮影カメラ用自己位置推定部32は、当該推定の結果の信頼度を、第1の自己位置推定部としてのLidar用自己位置推定部31における信頼度算出アルゴリズムで算出する。よって、実用的である。
【0051】
(3)信頼度は、地図データ41の点群と、データ取得装置(Lidarスキャナ50、路面撮影カメラ60)により得られた点群との対比において各点についてのずれ量の総和によるものであるので、実用的である。
【0052】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・上記実施形態ではアルゴリズムは、アルゴリズムA,B,Cの3つ用いたが、アルゴリズムは2つでもよい。また、アルゴリズムは4つ以上でもよい。要は、アルゴリズムは、2以上で実施することができる。
【0053】
例えば、上記実施形態では、自律走行車10は、Lidarスキャナ50と、路面撮影カメラ60と、GPSアンテナ70を備えていた。路面撮影カメラ60に代わり、床面に敷設した反射板を検出する光学素子を設けて、反射板に沿って走行してもよい。
【0054】
・信頼度に基づいたマージ方法(統合する方法)は問わない。重み和以外にも、例えば、カルマンフィルタ等でもよい。
・位置推定結果がLAとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出し、位置推定結果がLBとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出し、位置推定結果がLCとした場合の信頼度をアルゴリズムAに基づいて算出する。その後において、各アルゴリズムで算出された自己位置推定結果を他のアルゴリズムで再度検証(クロスチェック)してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…自律走行車、11…車体、20…制御装置、31…Lidar用自己位置推定部、32…路面撮影カメラ用自己位置推定部、33…GPS用自己位置推定部、50…Lidarスキャナ、60…路面撮影カメラ、70…GPSアンテナ。
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