(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112820
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】スクリーン印刷版テンション測定装置
(51)【国際特許分類】
B41F 15/36 20060101AFI20220727BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20220727BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220727BHJP
G01L 5/102 20200101ALI20220727BHJP
H05K 3/34 20060101ALN20220727BHJP
【FI】
B41F15/36 A
B41F15/08 303E
B41M1/12
G01L5/102
H05K3/34 505D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008785
(22)【出願日】2021-01-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】592173412
【氏名又は名称】株式会社プロセス・ラボ・ミクロン
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 数雅
(72)【発明者】
【氏名】小川 岳夫
(72)【発明者】
【氏名】千葉 秀貴
【テーマコード(参考)】
2C035
2F051
2H113
5E319
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FF06
2C035FF16
2F051AA15
2F051AB09
2H113AA05
2H113BA10
2H113CA17
2H113FA24
5E319AC01
5E319BB05
5E319CC22
5E319CD29
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】
電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷プロセスに用いられるスクリーン印刷版について、使用中や印刷機に設置された状態でも、精度の良い測定が可能であるスクリーン印刷版テンション測定装置を提供する
【解決手段】
スクリーン印刷版テンション測定装置1は、制御部2の処理機能21から所定の時間間隔で送信される測定信号に応じて、計測部3が、テンションセンサー4から、テンションを示す電圧値を取得する。制御部2は、電圧値が記憶機能22に保存されている所定の判定基準を満たしたとき、制御部2の表示部24に表示および通信部25を通じて外部に通知をする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷に用いられるスクリーン印刷版テンション測定装置であって、
制御部と、前記制御部と接続された計測部と、前記計測部と接続されたテンションセンサーと、を備え、
前記テンションセンサーは、前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴い、その電気抵抗が変化することで、前記スクリーン印刷版のテンションを測定し、
前記計測部は、前記テンションセンサーの電気抵抗の変化を、電圧の変化により計測するための計測回路と、前記計測回路に電圧を印加するための、スイッチング回路と、前記計測回路に電力を供給するための、計測用電源と、を有し、
前記計測回路は、前記テンションセンサーの電気抵抗に伴い変化する電圧を計測するブリッジ部と、計測された電圧を増幅させる増幅部を有し、
前記制御部は、前記計測部と協働して、計測結果を取得し、解析をする処理機能と、前記処理機能で処理した結果を記憶する記憶機能を有し、
前記計測部は、所定の時間間隔毎に前記スクリーン版のテンションを、電圧として計測し、前記制御部はその結果を受信し、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、
ことを特徴とする、スクリーン印刷版テンション測定装置。
【請求項2】
前記処理機能は、所定の時間間隔で前記スイッチング回路に測定信号を送信し、
前記スイッチング回路は、前記測定信号に反応して前記計測部の計測用電源を起動させ、
前記計測用電源は、前記計測部の計測回路に電力を供給し、
前記計測回路は、前記ブリッジ部において、メタルマスクに貼付された前記テンションセンサーにより、前記スクリーン印刷版のテンションを電圧として計測し、前記増幅部で所定の倍率に増幅して、その結果を前記処理機能に送信し、
前記処理機能は、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置。
【請求項3】
電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷に用いられるスクリーン印刷版テンション測定装置であって、
制御部と、前記制御部と接続された計測部と、前記計測部と接続されたテンションセンサーと、を備え、
前記テンションセンサーは、前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴い、その電気抵抗が変化することで、前記スクリーン印刷版のテンションを測定し、
前記計測部は、前記テンションセンサーで測定された、前記スクリーン印刷版のテンションを、電圧として計測するための計測回路と、前記テンションセンサーと前記計測回路を電気的に接続・遮断するための、スイッチング回路と、前記計測回路に電力を供給するための、計測用電源と、を有し、
前記計測回路は、前記テンションセンサーの電気抵抗に伴い変化する電圧を計測するブリッジ部と、計測された電圧を増幅させる増幅部を有し、
前記制御部は、前記計測部と協働して、計測結果を取得し、解析をする処理機能と、前記処理機能で処理した結果を記憶する記憶機能を有し、
前記計測部は、所定の時間間隔毎に前記スクリーン版のテンションを、電圧として計測し、前記制御部はその結果を受信し、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、
ことを特徴とする、スクリーン印刷版テンション測定装置。
【請求項4】
前記計測用電源は、前記計測部の計測回路に電力を供給し、
前記処理機能は、所定の時間間隔で前記スイッチング回路に測定信号を送信し、
前記スイッチング回路は、前記測定信号に反応して、メタルマスクに貼付されたテンションセンサーと前記ブリッジ部を導通させ、
前記計測回路は、前記ブリッジ部において前記テンションセンサーが前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴う変形に起因する電圧変化を計測し、前記増幅装置で所定の倍率に増幅して、その結果を前記処理機能に送信し、
前記処理機能は、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置。
【請求項5】
前記判定基準は、前記測定結果が、予め設定または測定し、前記記憶機能に保存された初期値に対して、一定の比率にまで低下することである、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷プロセスに用いられるスクリーン印刷版のテンション測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造や実装においては、プリント配線板等のワークの所定の場所に形成された電極上に導電性ペーストを印刷するために、金属製の枠の内側に、ポリエルテルメッシュを介してメタルマスクとよばれる金属製の孔版を張設した、スクリーン印刷版が広く用いられている。
【0003】
ここで、印刷品質を確保する必要から、メタルマスクには通常ポリエステルメッシュから所定の張力が加えられている。この張力は、一般にテンションといわれ、スクリーン印刷版にとって重要な仕様の一つとなっている。
【0004】
スクリーン印刷版のテンションは、作成直後が最も高く、その後印刷への使用や時間経過とともに徐々に低下していく。そして、テンションの低下が許容された範囲を超えた場合、印刷したパターンの位置ずれや、印刷後にメタルマスクをワークから隔離するために必要な特性である、版離れ性の低下が顕著になり、印刷品質の低下を招くことになる。従って、テンションについては使用前後を含み、日常的な管理が必要とされている。
【0005】
スクリーン印刷版のテンションを測定する装置としては、重りにより一定の荷重を加えて、そのときのメタルマスクの沈み込み量から、間接的にテンションを算出するテンションゲージというものがある(例えば特許文献1参照)。この装置は、簡便かつ手軽にテンション測定ができるものとして普及しているが、前提としてスクリーン印刷版を印刷機から外した状態で使用する必要があり、使用前後のテンションを測定できるだけで、印刷機に設置した状態で、使用中のテンションを測定できるものではなかった。
【0006】
一方で、本願発明者らは、特許文献2のようなIoTデバイスに、ひずみゲージを使用してスクリーン印刷版のテンションを測定できるスクリーン印刷版管理装置を発明した。このスクリーン印刷版管理装置では、印刷状況やメタルマスクの保管場所等の情報とともに、テンションの常時管理が可能とされている。しかしながら特許文献2の様な、長時間の連続測定を起こった場合、電気回路やひずみゲージの発熱により、電気抵抗値に変化が生じて、測定値に影響を与える恐れがあり、実用上問題となっていた。
【0007】
また、長時間連続的に測定した場合、取得するデータも膨大になり、その解析や管理にコストや労力を要することも問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-144232号公報
【特許文献2】特許第6653907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、上記事情に鑑み、連続印刷プロセスに供されるスクリーン印刷版のテンションに関して、使用中や印刷機に設置された状態でも精度の良い測定が可能であるスクリーン印刷版テンション測定装置及び測定方法を提供することである。
【0010】
また、テンション測定のデータ解析や管理の労力とコストを減らすことが可能な、スクリーン印刷版テンション測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷に用いられるスクリーン印刷版テンション測定装置であって、制御部と、前記制御部と接続された計測部と、前記計測部と接続されたテンションセンサーと、を備え、前記テンションセンサーは、前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴い、その電気抵抗が変化することで、前記スクリーン印刷版のテンションを測定し、前記計測部は、前記テンションセンサーの電気抵抗の変化を、電圧の変化により計測するための計測回路と、前記計測回路に電圧を印加するための、スイッチング回路と、前記計測回路に電力を供給するための、計測用電源と、を有し、前記計測回路は、前記テンションセンサーの電気抵抗に伴い変化する電圧を計測するブリッジ部と、計測された電圧を増幅させる増幅部を有し、前記制御部は、前記計測部と協働して、計測結果を取得し、解析をする処理機能と、前記処理機能で処理した結果を記憶する記憶機能を有し、前記計測部は、所定の時間間隔毎に前記スクリーン版のテンションを、電圧として計測し、前記制御部はその結果を受信し、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、ことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置であって、前記処理機能は、所定の時間間隔で前記スイッチング回路に測定信号を送信し、前記スイッチング回路は、前記測定信号に反応して前記計測部の計測用電源を起動させ、前記計測用電源は、前記計測部の計測回路に電力を供給し、前記計測回路は、前記ブリッジ部において、メタルマスクに貼付された前記テンションセンサーにより、前記スクリーン印刷版のテンションを電圧として計測し、前記増幅部で所定の倍率に増幅して、その結果を前記処理機能に送信し、前記処理機能は、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、ことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、電子部品の製造や実装工程において、はんだ等の導電性ペーストの印刷に用いられるスクリーン印刷版テンション測定装置であって、制御部と、前記制御部と接続された計測部と、前記計測部と接続されたテンションセンサーと、を備え、前記テンションセンサーは、前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴い、その電気抵抗が変化することで、前記スクリーン印刷版のテンションを測定し、前記計測部は、前記テンションセンサーで測定された、前記スクリーン印刷版のテンションを、電圧として計測するための計測回路と、前記テンションセンサーと前記計測回路を電気的に接続・遮断するための、スイッチング回路と、前記計測回路に電力を供給するための、計測用電源と、を有し、前記計測回路は、前記テンションセンサーの電気抵抗に伴い変化する電圧を計測するブリッジ部と、計測された電圧を増幅させる増幅部を有し、前記制御部は、前記計測部と協働して、計測結果を取得し、解析をする処理機能と、前記処理機能で処理した結果を記憶する記憶機能を有し、前記計測部は、所定の時間間隔毎に前記スクリーン版のテンションを、電圧として計測し、前記制御部はその結果を受信し、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置であって、前記計測用電源は、前記計測部の計測回路に電力を供給し、前記処理機能は、所定の時間間隔で前記スイッチング回路に測定信号を送信し、前記スイッチング回路は、前記測定信号に反応して、メタルマスクに貼付されたテンションセンサーと前記ブリッジ部を導通させ、前記計測回路は、前記ブリッジ部において前記テンションセンサーが前記スクリーン印刷版のテンションの変化に伴う変形に起因する電圧変化を計測し、前記増幅装置で所定の倍率に増幅して、その結果を前記処理機能に送信し、前記処理機能は、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たすかどうかを判定する、ことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のスクリーン印刷版テンション測定装置であって、前記判定基準は、前記測定結果が、予め設定または測定し、前記記憶機能に保存された初期値に対して、一定の比率にまで低下することである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、使用中や印刷機に設置した状態でも、スクリーン印刷版のテンションの測定が行えるうえに、計測回路への電圧の印加が所定の時間間隔で断続的に行われるため、連続的に通電したときに比べてテンションセンサーや計測回路中の発熱が低減するので、テンションの測定値に対するノイズの発生が抑制されるため、測定精度の向上が可能となる。
【0013】
また、所定の時間間隔でテンションを測定するため、取得するデータも必要最小限のものとなり、データの解析や管理の労力やコストを減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る、スクリーン印刷版テンション測定装置の概略構成ブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る、スクリーン印刷版テンション測定装置の概略図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る、スクリーン印刷版テンション測定装置の概略の使用形態図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る、スクリーン印刷版のテンション測定方法の概略のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、図面において、図面中の各部の構成の大きさ、間隔、数、その他詳細は、視認と理解の助けのために、実際の物から大幅に簡略化・省略化して表現している。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る、スクリーン印刷版テンション測定装置1の概略構成ブロック図であり、
図2は、スクリーン印刷版テンション測定装置1の概略図、
図3は、スクリーン印刷版テンション測定装置1の概略の使用形態図である。まず、スクリーン印刷版テンション測定装置1は、制御部2と、制御部と接続された計測部3と、計測部3と接続されたテンションセンサー4から構成されている。
【0017】
制御部2は、処理機能21と、記憶機能22と、制御部2を操作するためのスイッチ類23と、情報を電気的に表示するための表示部24と、外部通信機器と有線または無線通信をするための通信部から構成される。
【0018】
処理機能21は、アナログ信号をディジタルに変換するA/Dコンバータ及び、コンピュータにおけるCPUに代表されるプロセッサ等からなる回路とであり、計測部3と協働して、テンションの計測結果の取得及び解析を行う。
【0019】
記憶機能22は、コンピュータにおける主記憶装置や補助記憶装置からなる記憶媒体であり、主記憶装置にはSRAMが、補助記憶装置はSDメモリーカードに代表されるフラッシュメモリーが使用されており、OS、制御プログラム等、制御部2を動作させるソフトウェア、及び測定結果等の各種データ、計測信号を発信する時間間隔等の様々な測定条件等を記憶する。
【0020】
スイッチ類23は、制御部2を操作して、スクリーン印刷版テンション測定装置1の機能を選択・実行する設備であり、電源スイッチ、機能選択ボタン、決定ボタン、キャンセルボタン、通信ボタン等から構成されている。本実施の形態では、スイッチ類23は押しボタン式スイッチを使用している。
【0021】
表示部24は、制御部2で解析された情報を電気的に表示するものであり、液晶表示器が使用される。表示部には、現在のテンション値、テンションの変動が所定の条件を満たした場合に発せられるメッセージが表示される。表示する内容の切り替えは、スイッチ類23を操作することで行われる。
【0022】
通信部25は、インターネットNWを介して、テンション値など、制御部2で解析された情報等を送受信するための装置であり、本実施の形態では有線LAN装置が用いられている。
【0023】
なお、本装置の動力は、電源部より供給されるが、本実施の形態では、外部電源からコード(図示略)を通じて供給される電力を使用している
【0024】
接続部26は、制御部2をスクリーン印刷版5の金属枠に設置するための設備であり、制御部2の底面の、本体を設置する向きと同じ方向の1対の辺に2個取り付けられている。接続部26を金属枠に嵌め込んで、制御部2を固定する。
【0025】
計測部3は、テンションセンサー4で測定された、スクリーン印刷版5のテンションを、電圧として計測するための計測回路31と、計測回路31に電圧を印加するための、スイッチング回路32と、計測回路31に電力を供給するための、計測用電源33と、を有する。
【0026】
計測回路31は、電圧を計測するブリッジ部311と、計測された電圧を増幅させる増幅部312とを有する。
【0027】
ブリッジ部311はホイートストンブリッジであり、一般的には、抵抗値が未知の抵抗を含む、4つの抵抗で構成したホイートストンブリッジに電圧を印加したとき、その中間点の間の電位差を測定することで、未知の抵抗値を求めることができるものであり、本実施の形態では、4つのうち2つをひずみゲージとした。ここで、2つのひずみゲージのうち、一個は後述するテンションセンサー4として使用し、もう一個は、テンションセンサー4と同じ仕様のものを、温度補償用ひずみゲージとして使用した。温度補償用ひずみゲージは、テンションセンサー4と温度が均一な場所で、変形しない場所(例えば金属枠など)に固定する。
【0028】
増幅部312は、ブリッジ部311で計測された電圧を、処理機能21で観測可能な程度にまで増幅するためのものであり、本実施の形態では、高精度計装アンプである。ここで、本実施の形態では、高精度計装アンプの増幅率は1051倍に設定した。
【0029】
スイッチング回路32は、処理機能21から所定の時間間隔(測定インターバル)で一定時間(計測時間)送られてくる測定信号に反応して、計測回路31と計測用電源33を導通・遮断させるための回路であり、本実施の形態では、トランジスタを用いたスイッチング用の回路を用いている。
【0030】
計測用電源33は、計測回路31を動作させるための電源であり、制御部2の電源とは別構成となっており、本実施の形態では、1.5Vの乾電池を4本直列に接続し、直流6Vを電源としている。
【0031】
テンションセンサー4は、ゲージ率2の汎用箔ひずみゲージであり、スクリーン印刷版5における、印刷エリア外等のスキージに干渉しない場所に貼付して使用され、テンションの変化によりメタルマスクが伸縮するに伴って変形し、それにより電気抵抗値が変化する。
【0032】
計測部3は、測定インターバル毎に、計測時間の間スクリーン印刷版5のテンションを、電圧として計測し、制御部2は、その結果を受信し、該測定結果が前記記憶機能に保存されている所定の判定基準を満たしたとき、前記表示部に表示および前記通信部を通じて外部に通知をする。本実施の形態では、この判定基準は、測定結果が、予め設定または測定し、記憶機能22に保存された初期値に対して、一定の比率にまで低下することと設定している。ここで、本実施の形態では、制御部2は、計測時間の間計測した電圧値を時間平均して、測定結果としている。
【0033】
次に、本実施の形態に係る、スクリーン印刷版テンション測定装置1の作用である、スクリーン印刷版テンション測定方法について、
図4に基づいて説明する。
【0034】
まず、スクリーン印刷版5を印刷機(図示略)に設置し、それとともに制御部2を、接続部26を金属枠に固定する(ステップS1)。次に、テンションセンサー4を、メタルマスクに貼付する。このとき、テンションセンサー4の向きは、スクリーン印刷版5のテンションを測定する方向と同一方向に向ける(ステップS2)。
【0035】
制御部2の処理機能21は、計測部3のスイッチング回路32に最初の測定信号を送信する(ステップS3)。スイッチング回路32は、測定信号に反応してON状態になり、計測部3の計測用電源33を、計測回路31と導通させ、これにより、計測部3の計測回路31に計測用の電圧が印加される。
【0036】
計測回路31が動作することで、メタルマスクに貼付されたテンションセンサー4にも電圧が印加される(ステップS4)。テンションセンサー4は、スクリーン印刷版5のテンションに伴い、メタルマスクの変形に起因してその電気抵抗が変化する(ステップS5)。計測部3は、ブリッジ部311で計測された電圧を、増幅部3で所定の倍率に増幅して(ステップS6)、処理機能21に送る(ステップS7)。計測時間が経過したら、測定信号が終了してスイッチング回路32がOFF状態になり、計測回路31と計測用電源33は非導通になる。
【0037】
処理機能21は、その測定結果を計測時間で平均して、初期値として記憶する(ステップS8)。次に、測定インターバル経過後(ステップS9)、ステップS3からS7までと同様の手順を繰り返し(ステップS10からS14)、2回目以降の測定値として、記憶機能22に記憶する(ステップS15)。ここで、ステップS9における測定インターバルは、計測回路31またはテンションセンサー4に発生した熱を完全に放出するのに適した時間とするが、本実施の形態では、1分間で設定している。
【0038】
処理機能21は、この測定値が記憶機能22に保存されている所定の判定基準を満たすかどうか判定し(ステップS16)、満たしたとき、テンションが低下したことを表示部24に表示したり、通信部25を通じて外部のパソコンやスマートフォン等の情報端末に通知をしたりする(ステップS17)。一方、判定基準を満たさなかった場合は、ステップS9の直前に戻り、ステップS9からS15の手順を繰り返す(ステップS18)
【0039】
ここで、ステップS15における判定基準として、本実施の形態では、初期値に比べて10%以上低下したことを、テンション低下の基準としている。
【0040】
本実施の形態の発明によれば、使用中や印刷機に設置した状態でも、テンションの測定が行えるうえに、計測回路31への電圧の印加が所定の測定インターバルで断続的に行われるため、連続的に通電したときに比べてテンションセンサー4や計測回路31中の発熱が低減するので、測定値の変動やノイズの発生が抑制されるため、測定精度の向上が可能となる。
【0041】
また、測定インターバルでテンションを測定するため、取得するデータも必要最小限のものとなり、データの解析や管理の労力やコストを減らすことが可能となる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本願発明の範囲は以上の実施の形態に限られるものではなく、これと同視しうる他の形態に対しても及ぶ。
【0043】
例えば、本実施の形態では、スイッチング回路32は、計測用電源33と計測回路31の電気的な接続を制御したが、これに限られず、テンションセンサー4と計測回路31の間に設けて、両者を電気的に接続や遮断させるものとしても、同様の効果が得られる。
【0044】
また、スイッチング回路32は、トランジスタに限られず、リレースイッチを用いても良い。
【0045】
さらに、ステップS15における、判定基準はユーザーの要求に応じて、変更可能とすると、より多様なニーズに応えることが可能となる。例えば、制御部2は計測時間内で一定の時間毎(例えば1秒毎)にデータを取得して、それが一様に初期値に比べて所定の割合以下に低下していたら、テンション低下を判定する、とすることで、より信頼性の高いテンション測定が可能となる。
【0046】
また、スイッチング回路312のON、OFF時のノイズを除去するため、記憶機能22に記憶される測定値は、測定開始直後と終了前の所定の時間に係る部分を除外することで、このようなノイズを除外することが可能となる。
【0047】
さらに、ステップS9におけるインターバル間隔は、ユーザーのニーズに合わせて自由に設定できるようにすることで、より測定条件の最適化を図ることが可能となる。
【0048】
また、特許文献1のスクリーン印刷版管理装置のように、印刷状況や保管場所の管理機能を付与することで、より一層付加価値を高めることが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態のスクリーン印刷版は、メタルマスクをスクリーンメッシュに固着したコンビネーション版であったが、これに限られず、スクリーンメッシュに感光性乳剤でマスクを形成したものや、スクリーンメッシュ部分を持たないフルメタル版に対しても適用が可能である。
【0050】
また、通信部25は、必ずしもインターネットNWを介して通信する必要はなく、例えばBluetoothや赤外線といった、近距離通信を使用することも可能である。
【0051】
さらに、スイッチ類23、表示部24、通信部25は必ずしも全てを制御部2に備えなくとも、本実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。例えば、スイッチ類23及び、表示部24または通信部25のいずれか一方のみであっても、表示部24の画面表示または送信された情報により、テンション情報を得ることは可能である。また、スイッチ類23、表示部24がなくとも、外部からパソコンなどの情報機器を有線または無線で接続して通信できるようにすることで、パソコンから制御部2をコントロールし、パソコン画面で情報を読み取ることも可能である。この場合、専用のアプリケーションを用意すると、より取り扱いが容易となる。
【符号の説明】
【0052】
1 スクリーン印刷版テンション測定装置
2 制御部
21 処理機能
22 記憶機能
23 スイッチ類
24 表示部
25 通信部
3 計測部
31 計測回路
311 ブリッジ回路
312 増幅部
32 スイッチング回路
33 計測用電源
4 テンションセンサー