(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112843
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】媒体供給機構
(51)【国際特許分類】
B65H 3/44 20060101AFI20220727BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B65H3/44 340A
G03G15/00 403
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008832
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 譲
【テーマコード(参考)】
2H072
3F343
【Fターム(参考)】
2H072AA13
2H072AA29
2H072CA01
2H072CB03
3F343FA02
3F343FB01
3F343FB04
3F343FC03
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA07
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3F343KB03
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3F343LA04
3F343LA16
3F343LC19
3F343LD10
3F343MA03
3F343MA15
3F343MA45
3F343MA54
3F343MB03
3F343MB09
3F343MC08
3F343MC26
(57)【要約】
【課題】複数の供給部に連結され経路長が異なる複数の個別搬送路を備える媒体供給機構において、簡素な構成で制御を簡略化する。
【解決手段】媒体供給機構は、第1供給部11に連結された第1個別搬送路P1と、第2供給部12に連結された、第1個別搬送路P1よりも経路長が短い第2個別搬送路P2と、合流搬送路P3と、媒体Mを合流搬送路P3における基準到達位置(例えばレジストセンサS10)に基準到達時間に到達させるように複数の供給部に媒体Mを供給させる制御部151とを備える。制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M(M3)を基準到達位置に到達させる場合で、且つ、第1供給部11の供給開始時間t12が第2供給部12の供給開始時間t21よりも早くなる場合に、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも遅くするように第1供給部11を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を供給する複数の供給部と、
前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、
前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、
前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させる制御部とを備え、
前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、
前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くするように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする媒体供給機構。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第2供給部の前記供給開始時間から、前記媒体を供給する供給部を前記第2供給部から前記第1供給部に切り替えるための切り替え時間分遅れた時間よりも前記第1供給部の前記供給開始時間が早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも前記切り替え時間分以上遅くするように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給機構。
【請求項3】
前記第2供給部から供給された前記媒体が前記第2個別搬送路に進入したことを検知する進入検知センサを更に備え、
前記切り替え時間は、前記第2供給部が前記媒体の供給を開始してから前記進入検知センサによって前記媒体が検知されるまでの進入予定時間を含む
ことを特徴とする請求項2記載の媒体供給機構。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記供給開始時間が前記第2供給部の前記供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を、前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅く且つ前記第2供給部の前記供給開始時間に近づけるように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体供給機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙動作を行う給紙トレイが複数の給紙トレイからプリント1ページごとに交互に選択されて変わる連続プリント時に、前に給紙された用紙に後に給紙される用紙が追い付かないように、給紙開始のタイミングを変えるように制御する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置等の供給先装置に用紙等の媒体を供給する媒体供給機構であって、媒体を供給する複数の供給部と、これらの複数の供給部に連結された複数の個別搬送路と、これらの複数の個別搬送路が合流した合流搬送部とを備える媒体供給機構について考える。
【0005】
このような媒体供給機構において、複数の個別搬送路の経路長が異なると、媒体を供給する供給部を切り替える場合に、供給部における媒体の供給開始時間の順序を、合流搬送経路における基準到達位置(例えばレジストローラ対)に到達する媒体の順序(例えば印刷順序)とは異なる順序に入れ替える必要が生じる場合がある。この供給開始時間の順序の入れ替えは、複数の個別搬送路の経路長の差が大きいほど、或いは、媒体の搬送方向における長さである媒体長が短いほど生じやすい。
【0006】
供給開始時間の順序を基準到達位置に到達する媒体の順序とは異なる順序に入れ替えると、ジャムが生じた場合の再開動作などの制御が複雑になるばかりか、そもそも順序入れ替えのための制御が複雑になる。
【0007】
なお、複数の個別搬送路の経路長が異なる場合に、各個別搬送路の搬送時間の差が短くなるように各個別搬送路において経路長が長いほど搬送速度を速くすることも可能ではある。しかしながら、この場合、経路長の差が大きくなるほど搬送速度を速めることになるため、高性能なモータが必要となってコスト上昇を招いたり、制御が複雑化したりする。
【0008】
本発明の目的は、複数の供給部に連結され経路長が異なる複数の個別搬送路を備える媒体供給機構において、簡素な構成で制御を簡略化することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、媒体供給機構は、媒体を供給する複数の供給部と、前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させる制御部とを備え、前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くするように前記第1供給部を制御する。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、複数の供給部に連結され経路長が異なる複数の個別搬送路を備える媒体供給機構において、簡素な構成で制御を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態における印刷システムの内部構成を示す図である。
【
図2】一実施の形態における媒体供給装置及び印刷装置の制御構成を示す図である。
【
図3】比較例における第1供給部及び第2供給部から供給される媒体の搬送時間を表す図である。
【
図4】一実施の形態における第1供給部及び第2供給部から供給される媒体の搬送時間を表す図である。
【
図5】一実施の形態における媒体サイズごとの到達間隔及び生産性を説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体供給機構について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、印刷システム100の内部構成を示す図である。
【0014】
図2は、媒体供給装置1及び印刷装置101の制御構成を示す図である。
【0015】
なお、
図1に示す前後、上下、及び左右の各方向は、説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、前後方向及び左右方向が水平方向であり、上下方向が鉛直方向である。
【0016】
図1に示す印刷システム100は、媒体供給装置1と印刷装置101とを備える。詳しくは後述するが、本実施の形態における媒体供給機構は、媒体供給装置1と、印刷装置101のレジストローラ対131までの搬送経路の構成(受け入れローラ対132、レジストセンサS10、及び合流搬送路P3)と、印刷装置101の制御部151とを備える。
【0017】
媒体供給装置1は、媒体Mの供給先の一例である印刷装置101のレジストローラ対131に媒体Mを供給する。なお、媒体Mの供給先装置としては、印刷装置101に限られず、搬送装置、後処理装置などの他の装置であってもよい。また、媒体供給装置1は、印刷装置101等の供給先装置に一体に備えられていてもよい。また、媒体Mとしては、例えば用紙(枚葉紙)であるが、フィルム等の他のシート状の媒体などであってもよい。
【0018】
図1に示すように、媒体供給装置1は、第1供給部11と、第2供給部12と、第1個別搬送路P1と、第2個別搬送路P2と、合流搬送路P3と、第1~第9搬送ローラ対21~29と、第1~第4搬送駆動部D1~D4と、第1入口通過検知センサS1と、第1出口通過検知センサS2と、第2入口通過検知センサS3と、第2出口通過検知センサS4とを備える。また、
図2に示すように、媒体供給装置1は、制御部31と、記憶部32と、インターフェース部33とを更に備える。
【0019】
媒体供給装置1は、上段1aと下段1bとに分かれており、第1供給部11が上段1aに配置され、第2供給部12が下段1bに配置されている。このように、第1供給部11及び第2供給部12は、上下に並んで配置されている。第1供給部11及び第2供給部12は、媒体Mを供給する複数の供給部の一例である。この複数の供給部としては、3つ以上の供給部であってもよい。また、複数の供給部が並べられる方向は、前後方向であっても左右方向であってもよく、特に制限されない。
【0020】
第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれは、積載台11a,12aと、吸着搬送部11b,12bとを有する。
【0021】
積載台11a,12aには、複数枚の媒体Mが積載される。第1供給部11の積載台11aと第2供給部12の積載台12aとには、互いに異なる種類(サイズ、材質、色など)の媒体Mが積載される場合がある。この場合には、印刷対象の媒体Mの種類が変更されるときに、媒体Mを供給する供給部が第1供給部11と第2供給部12とで切り替えられる。
【0022】
吸着搬送部11b,12bは、例えば、2つのプーリと、これらのプーリに掛け渡されたベルトとを有し、エア吸引によってベルトに吸着された媒体Mを1枚ずつ繰り出す。吸着搬送部11b,12bは、第1供給部11及び第2供給部12の媒体Mを1枚ずつ繰り出す繰り出し部の一例である。
【0023】
なお、図示はしないが、第1供給部11及び第2供給部12は、積載台11a,12aを上下動させるモータ(アクチュエータの一例)等の積載台昇降駆動部や、吸着搬送部11b,12bの2つのプーリのうちの一方である駆動プーリを回転させるモータ(アクチュエータの一例)等の繰り出し駆動部を有する。
【0024】
また、第1供給部11及び第2供給部12には、積載台11a,12aに積載された最上位の媒体Mを含む複数枚の媒体Mを浮上させる浮上エアを吹き出す浮上エア吹き出し機構や、最上位の媒体Mと下位の媒体Mとを分離させる分離エアを吹き出す分離エア吹き出し機構が配置されているとよい。
【0025】
第1個別搬送路P1は、第1供給部11に連結されている。第2個別搬送路P2は、第2供給部12に連結されている。合流搬送路P3は、第1個別搬送路P1と第2個別搬送路P2とが合流した搬送路であり、印刷装置101のレジストローラ対131まで延びる。なお、第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2は、複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路の一例である。
【0026】
第1個別搬送路P1は、大部分が媒体供給装置1の上段1aに配置され、第2個別搬送路P2は、媒体供給装置1の下段1bに配置されている。第1個別搬送路P1は、下段1bに配置された合流搬送路P3において第2個別搬送路P2と合流する。なお、第2個別搬送路P2は、第1個別搬送路P1よりも経路長(搬送経路における長さ)が短い(例えば半分以下)。
【0027】
第1~第9搬送ローラ対21~29のそれぞれは、互いに対向して配置された駆動ローラ及び従動ローラを有し、媒体Mをニップしながら搬送する。
【0028】
第1~第5搬送ローラ対21~25は、媒体供給装置1の上段1aの第1個別搬送路P1において媒体Mを搬送する。第6及び第7搬送ローラ対26,27は、媒体供給装置1の下段1bの第2個別搬送路P2において媒体Mを搬送する。第8及び第9搬送ローラ対28,29は、媒体供給装置1の下段1bの合流搬送路P3において媒体Mを搬送する。また、後述する印刷装置101の受け入れローラ対132は、印刷装置101の合流搬送路P3において媒体Mを搬送する。なお、第1~第5搬送ローラ対21~25と第6及び第7搬送ローラ対26,27とは、第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2(複数の個別搬送路)において媒体Mを搬送する複数の個別搬送部の一例である。また、第8及び第9搬送ローラ対28,29並びに受け入れローラ対132は、合流搬送路P3において媒体Mを搬送する合流搬送部の一例である。
【0029】
第1~第4搬送駆動部D1~D4は、第1~第9搬送ローラ対21~29の駆動ローラを回転させるモータ(アクチュエータの一例)である。第1搬送駆動部D1は、第1及び第2搬送ローラ対21,22の駆動ローラを回転させる。第2搬送駆動部D2は、第3~第5搬送ローラ対23~25の駆動ローラを回転させる。第3搬送駆動部D3は、第6及び第7搬送ローラ対26,27の駆動ローラを回転させる。第4搬送駆動部D4は、第8及び第9搬送ローラ対28,29の駆動ローラを回転させる。第1及び第2搬送駆動部D1,D2と第3搬送駆動部D3とは、複数の個別搬送部(第1~第7搬送ローラ対21~27)を駆動する個別搬送駆動部の一例である。第4搬送駆動部D4及び受け入れローラ対132を駆動する図示しない搬送駆動部は、合流搬送部(第8及び第9搬送ローラ対28,29並びに受け入れローラ対132)を駆動する合流搬送駆動部の一例である。なお、第1~第9搬送ローラ対21~29による媒体Mの搬送速度は例えば一定である。但し、第1個別搬送路P1と、第2個別搬送路P2と、合流搬送路P3とで搬送速度が異なってもよいし、或いは、第1個別搬送路P1、第2個別搬送路P2、及び合流搬送路P3のうちの少なくとも1つ以上の内部で搬送速度が異なってもよい。
【0030】
第1入口通過検知センサS1、第1出口通過検知センサS2、第2入口通過検知センサS3、及び第2出口通過検知センサS4は、媒体Mの通過を検知する例えば反射型又は透過型の光電センサである。
【0031】
第1入口通過検知センサS1は、第1搬送ローラ対21の搬送方向における下流側において第1搬送ローラ対21に隣接して配置されている。第1出口通過検知センサS2は、第5搬送ローラ対25の搬送方向における下流側において第5搬送ローラ対25に隣接して配置されている。これにより、第1入口通過検知センサS1は、第1個別搬送路P1の入口近傍において媒体Mの通過を検知し、第1出口通過検知センサS2は、第1個別搬送路P1の出口近傍において媒体Mの通過を検知する。
【0032】
第2入口通過検知センサS3は、第6搬送ローラ対26の搬送方向における下流側において第6搬送ローラ対26に隣接して配置されている。第2出口通過検知センサS4は、第9搬送ローラ対29の搬送方向における下流側において第9搬送ローラ対29に隣接して配置されている。これにより、第2入口通過検知センサS3は、第2個別搬送路P2の入口近傍において媒体Mの通過を検知し、第2出口通過検知センサS4は、合流搬送路P3のうち媒体供給装置1の出口近傍において媒体Mの通過を検知する。
【0033】
なお、第1入口通過検知センサS1、第1出口通過検知センサS2、及び第2入口通過検知センサS3は、複数の個別搬送路(第1個別搬送路P1及び第2個別搬送路P2)に配置され、到達検知センサ(後述するレジストセンサS10)に到達する前の媒体Mの通過を検知する複数の通過検知センサの一例である。また、第2入口通過検知センサS3は、第2供給部12から供給された媒体Mが第2個別搬送路P2に進入したことを検知する進入検知センサの一例でもある。この進入検知センサは、第2個別搬送路P2における検知位置が特に制限されないため、第2出口通過検知センサS4であってもよいが、媒体Mに空送が生じているか否かを判定するために用いられるため、第2供給部12の近くに配置されていることが望ましい。
【0034】
図2に示す制御部31は、媒体供給装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、媒体供給装置1の各部を制御する。例えば、制御部31は、後述するインターフェース部33が印刷装置101のインターフェース部153(制御部151)から受ける媒体Mの供給開始信号に基づいて、第1供給部11、第2供給部12、及び第1~第4搬送駆動部D1~D4を制御する。なお、第1供給部11及び第2供給部12の制御は、印刷装置101からの供給開始信号を、第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれに配置された制御部が受ける場合には、これらの制御部によって行われてもよい。また、媒体供給装置1が印刷装置101などの供給先装置に一体に備えられる場合などには、供給先装置の制御部(例えば、後述する印刷装置101の制御部151)が制御部31として機能してもよい。
【0035】
ところで、媒体Mの第1入口通過検知センサS1又は第2入口通過検知センサS3の通過時間が、媒体Mと吸着搬送部11b,12bとの滑りが多いことなどに起因して搬送率が低くなることによって、予め決定された理論値である基準通過時間よりも遅れる場合がある。この場合、制御部31は、媒体Mの遅れを取り戻すために、第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2の間、又は、第2入口通過検知センサS3と第2出口通過検知センサS4との間において、媒体Mを予定よりも速く搬送するように第1~第4搬送駆動部D1~D4を制御するとよい。
【0036】
一方、媒体Mと吸着搬送部11b,12bとの滑りが少ないことなどに起因して搬送率が高くなることによって、媒体Mの第1入口通過検知センサS1又は第2入口通過検知センサS3の通過時間が基準通過時間よりも速くなる場合もある。この場合、制御部31は、第1入口通過検知センサS1と第1出口通過検知センサS2の間、又は、第2入口通過検知センサS3と第2出口通過検知センサS4との間において、媒体Mを予定よりも遅く搬送するように第1~第4搬送駆動部D1~D4を制御するとよい。
【0037】
なお、上述の第1入口通過検知センサS1又は第2入口通過検知センサS3における媒体Mの通過時間のズレは、浮上エアによって浮上し、分離エアによって下位の媒体Mと分離した最上位の媒体Mが吸着搬送部11b,12bによって吸着搬送される場合に限らず、捌き板などによって最上位の媒体Mと下位の媒体Mとを分離させる場合にも、捌き板と媒体Mとの間に働く摩擦などによって生じる。
【0038】
記憶部32は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。なお、媒体供給装置1が印刷装置101などの供給先装置に一体に備えられる場合などには、供給先装置の記憶部(例えば、後述する印刷装置101の記憶部152)が記憶部32として機能してもよい。
【0039】
インターフェース部33は、印刷装置101等の外部機器との間で各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部33は、印刷装置101のインターフェース部153から、媒体Mの供給開始信号などの情報を受け、制御部31は、これらの情報に基づき、媒体供給装置1の各部の動作を制御する。
【0040】
次に、印刷装置101について説明する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、印刷装置101は、印刷部110と、吸着搬送部120と、搬送部130と、レジストセンサS10と、供給先搬送路P11と、循環反転搬送路P12と、反転部140と、制御部151と、記憶部152と、インターフェース部153とを備える。なお、
図1には、合流搬送路P3及び供給先搬送路P11を実線で示し、循環反転搬送路P12を破線で示す。
【0042】
印刷部110は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部110の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0043】
図1に示すように、吸着搬送部120は、印刷部110に対向するように配置されている。吸着搬送部120は、媒体Mを吸着しながら、搬送ベルトによって媒体Mを搬送する。
【0044】
搬送部130は、印刷部110に向けて搬送される媒体Mが突き当てられることで媒体Mの斜行を補正するレジストローラ対131と、媒体供給装置1から続く合流搬送路P3において媒体Mを搬送する受け入れローラ対132と、供給先搬送路P11又は循環反転搬送路P12において媒体Mを搬送する複数の搬送ローラ対133とを有する。レジストローラ対131、受け入れローラ対132、及び複数の搬送ローラ対133は、媒体Mをニップしながら搬送する。なお、レジストローラ対131は、合流搬送路P3における基準到達位置の一例であり、例えば所定間隔の基準到達時間に媒体Mが到達する。この基準到達時間は、幅のある時間であってもよい。また、基準到達時間は、例えば、媒体Mのサイズや印刷内容に対応する印刷部110の印刷時間、連続的に搬送される媒体M間の隙間などに基づいて、媒体Mごとに設定されてもよい。媒体Mがレジストローラ対131に基準到達時間よりも遅れて到達することは、ジャムの判断材料になるとともに、印刷部110による印刷開始時間の遅れや斜行補正の精度のばらつきなどを生じさせる。なお、基準到達位置は、レジストローラ対131以外の任意の位置に設定することも可能である。
【0045】
レジストセンサS10は、レジストローラ対131の搬送方向における上流側の合流搬送路P3においてレジストローラ対131の近傍に配置されている。レジストセンサS10は、合流搬送路P3に配置され、媒体Mの到達タイミングを検知する到達検知センサの一例である。この到達検知センサとしては、媒体供給装置1の合流搬送路P3に配置された上述の第2出口通過検知センサS4であってもよい。なお、上述のように、本実施の形態における媒体供給機構は、媒体供給装置1と、印刷装置101のうちレジストローラ対131までの搬送経路の構成(受け入れローラ対132、レジストセンサS10、及び合流搬送路P3)及び制御部151とを備えるため、受け入れローラ対132及びレジストセンサS10は、媒体供給機構の一部といえる。
【0046】
上述の基準到達位置の一例であるレジストローラ対131には、媒体Mを検知するセンサが設けられていない。そのため、レジストセンサS10の検知結果に基づいて媒体Mがレジストローラ対131に到達したか否かを判別することができる。
【0047】
供給先搬送路P11は、媒体供給装置1から続く合流搬送路P3に連結され、レジストローラ対131から搬送方向における下流側に延びている。
図1に示す印刷システム100において、印刷装置101の搬送方向における下流側に他の印刷装置や媒体排出装置が配置される場合には、これらの装置の搬送路に供給先搬送路P11が連結される。
【0048】
循環反転搬送路P12には、印刷部110によって片面の印刷が行われた媒体Mに対して反対側の面にも印刷が行われる場合などに媒体Mが搬送される。
【0049】
反転部140は、循環反転搬送路P12に搬送された媒体Mの表裏を反転させる反転経路やスイッチバックローラ対などを有する。
【0050】
図2に示す制御部151は、印刷装置101全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、印刷装置101の各部を制御する。詳しくは後述するが、制御部151は、媒体Mをレジストローラ対131に基準到達時間に到達させるように、例えば、供給開始信号を媒体供給装置1に送ることによって、第1供給部11及び第2供給部12に媒体Mを供給させる。
【0051】
記憶部152は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどのメモリを有する。
【0052】
インターフェース部153は、媒体供給装置1や、印刷データを送信するユーザ端末等の外部機器との間で、各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部153は、上述のように、媒体Mの供給開始信号などの情報を媒体供給装置1のインターフェース部33に送る。
【0053】
以下、媒体供給装置1の動作について上述の説明と重複する事項については適宜省略しながら説明する。
【0054】
まず、
図2に示す制御部31は、インターフェース部33が受けた印刷装置101(インターフェース部153)からの媒体Mの供給開始信号に基づいて、
図1に示す第1供給部11の媒体Mと第2供給部12の媒体Mとを切り替えながら、或いは、第1供給部11又は第2供給部12のみの媒体Mを供給するように第1供給部11及び第2供給部12を制御する。或いは、上述のとおり、第1供給部11及び第2供給部12のそれぞれに配置された制御部が印刷装置101から供給開始信号を受ける場合には、第1供給部11及び第2供給部12の制御部によって第1供給部11及び第2供給部12の制御が行われてもよい。
【0055】
制御部31は、第1供給部11から供給された媒体Mを第1個別搬送路P1において搬送するように第1搬送駆動部D1及び第2搬送駆動部D2を用いて第1~第5搬送ローラ対21~25を制御する。媒体Mは、第1個別搬送路P1において搬送される際には、第1入口通過検知センサS1及び第1出口通過検知センサS2によって通過を検知される。
【0056】
また、制御部31は、第2供給部12から供給された媒体Mを第2個別搬送路P2において搬送するように第3搬送駆動部D3を用いて第6及び第7搬送ローラ対26,27を制御する。媒体Mは、第2個別搬送路P2において搬送される際には、第2入口通過検知センサS3によって通過を検知される。
【0057】
そして、制御部31は、第1個別搬送路P1又は第2個別搬送路P2から搬送されてくる媒体Mを合流搬送路P3において搬送するように第4搬送駆動部D4を用いて第8及び第9搬送ローラ対28,29を制御する。媒体Mは、合流搬送路P3において搬送される際には、第2出口通過検知センサS4によって通過を検知される。
【0058】
これにより、媒体Mは、媒体供給装置1の合流搬送路P3に連結された印刷装置101の合流搬送路P3に供給され、レジストローラ対131に突き当てられて斜行が補正された後、印刷部110によって印刷が行われる。媒体Mは、印刷装置101の合流搬送路P3において搬送される際には、レジストセンサS10によって通過(到達)を検知される。
【0059】
次に、印刷装置101の制御部151による供給開始信号を用いた第1供給部11及び第2供給部12の制御について説明する。
【0060】
図3は、比較例における第1供給部11及び第2供給部12から供給される媒体Mの搬送時間を表す図である。
【0061】
図4は、本実施の形態における第1供給部11及び第2供給部12から供給される媒体Mの搬送時間を表す図である。
【0062】
図3に示すように、第1供給部11から供給される媒体M(媒体M1)、第2供給部12から供給される媒体M(媒体M2)、第1供給部11から供給される媒体M(媒体M3)、第2供給部12から供給される媒体M(媒体M4)の順に、媒体Mをレジストローラ対131(
図3における太線及び細線の右端)に所定の到達間隔in(基準到達時間の一例)で到達させる場合について考える。上述のように、この到達間隔inにより決定される基準到達時間は、媒体Mのサイズ、印刷内容(印刷部110における印刷時間)などに応じて、1枚の媒体Mごとに或いは供給部(第1供給部11又は第2供給部12)ごとに変動し得る。
【0063】
1~4枚目の媒体M1~M4をレジストローラ対131に所定の到達間隔inで到達させる場合には、特に、第1個別搬送路P1の経路長が第2個別搬送路P2の経路長よりも例えば2倍以上長いときや、媒体Mの搬送方向における長さ(媒体長)が短いときに、
図3に示すように、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21が3枚目の媒体M3の供給開始時間t12よりも遅くなることがある。このように到達順と供給開始順との相違があると、印刷装置101の制御部151は、供給開始信号を送る供給開始順を到達順ではない順番に入れ替える必要が生じる。
【0064】
この点、本実施の形態では、制御部151は、
図4に示すように、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を2枚目の供給開始時間t21よりも遅くするように、媒体供給装置1に供給開始信号を送ることによって第1供給部11を制御する。これにより、制御部151は、到達順からの供給開始信号を送る順番の入れ替えを回避することができる。なお、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせることによって、2枚目の媒体M2と3枚目の媒体M3との間のレジストローラ対131への到達間隔inが延伸到達間隔in-eに延び、その後に供給される媒体M(4枚目の媒体M4等)の基準到達時間が遅くなることになるが、3枚目の媒体M3と4枚目の媒体M4との間以降の到達間隔inは維持されればよい。
【0065】
換言すると、3枚目の媒体M3の搬送時間が、2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和よりも長くなる場合に、到達間隔inを延伸到達間隔in-eに変更することによって、3枚目の媒体M3の搬送時間が2枚目の媒体M2の搬送時間と延伸到達間隔in-e(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和未満となるようにするとよい。
【0066】
ここで、例えば、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも一瞬遅くても、ほぼ同時であれば、媒体供給装置1が印刷装置101の制御部151からの供給開始信号を識別することができなかったり、或いは、制御部151が供給開始信号を連続的に送ることができなかったりする場合が生じ得る。このような通信上の制約は、印刷装置101に接続された1本の信号線で第1供給部11及び第2供給部12の供給開始信号が送られる場合に生じやすい。
【0067】
そのため、制御部151は、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分以上、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅くなるように第1供給部11を制御するとよい。
【0068】
上述の切り替え時間tcを確保する観点では、
図3に示すように3枚目の媒体Mの供給開始時間t12が2枚目の媒体Mの供給開始時間t21よりも早くなる場合に限らず、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21から切り替え時間tc遅れた時間よりも3枚目の媒体M3の供給開始時間t12が早くなる場合に、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせるとよい。
【0069】
また、上述の切り替え時間tcを確保する観点では、制御部151は、
図4に示すように、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせる際には、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも切り替え時間tc分以上遅くするように第1供給部11を制御するとよい。なお、制御部151が3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を遅らせるほど、印刷枚数(生産性)が減るため、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を、2枚目の媒体M2の供給開始時間t21よりも遅く且つこの供給開始時間t21に近づける(例えば、所定の切り替え時間tc分だけ遅らせた供給開始時間t21の直後など、可能な限り早くする)ことで、延伸到達間隔in-eが必要最小限の間隔となるようにするとよい。
【0070】
換言すると、3枚目の媒体M3の搬送時間と切り替え時間tcとの和が、2枚目の媒体M2の搬送時間と到達間隔in(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和よりも長くなる場合に、到達間隔inを延伸到達間隔in-eに変更することによって、3枚目の媒体M3の搬送時間と切り替え時間tcとの和が2枚目の媒体M2の搬送時間と延伸到達間隔in-e(2枚目の媒体Mと3枚目の媒体Mとの間)との和以下(望ましくは、この和と同一)となるようにするとよい。
【0071】
次に、3枚目の媒体M3の供給開始時間t12を、到達間隔inが延伸到達間隔in-eとなるように遅らせることによる生産性の変化について説明する。
【0072】
図5は、媒体Mサイズごとの到達間隔及び生産性を説明するための表である。
【0073】
図5は、第1供給部11から供給される媒体Mと第2供給部12から供給される媒体Mとが交互に所定の到達間隔in1~in5でレジストローラ対131に到達する場合の例である。なお、媒体Mの長手方向が搬送方向に一致する場合を「縦」、媒体Mの長手方向が搬送方向に直交する場合を「横」として説明する。
【0074】
媒体MのサイズがA3(297mm×420mm)縦の場合には、媒体長が420mmで、到達間隔inが到達間隔in5[ms]となり、通常(上述のような到達間隔inの延伸到達間隔in-eへの変更や切り替え時間tcの確保を行わない場合)、1分あたりの印刷枚数である生産性[ppm]がn5となる。
【0075】
媒体MのサイズがA3縦の場合、サイズが十分に大きいことによって、レジストローラ対131への媒体Mの到達順と供給開始順とに相違がなく、各供給開始時間の間に例えば10[ms]の切り替え時間tc[ms]を確保しても、生産性は変わらず、通常比生産性は100%となる。
【0076】
媒体MのサイズがLetter(216mm×280mm)縦の場合には、媒体長が280mmで、到達間隔inが到達間隔in5よりも短い到達間隔in4[ms]となり、通常の生産性[ppm]がn5よりも少ないn4となる。
【0077】
媒体MのサイズがLETTER縦の場合も、サイズが十分に大きいことによって、レジストローラ対131への媒体Mの到達順と供給開始順とに相違がなく、各供給開始時間の間に切り替え時間tc[ms]を確保しても、生産性は変わらず、通常比生産性は100%となる。
【0078】
次に、媒体MのサイズがB5(182mm×257mm)縦の場合には、媒体長が257mmで、到達間隔inが到達間隔in4よりも短い到達間隔in3[ms]となり、通常の生産性[ppm]がn4よりも少ないn3となる。
【0079】
媒体MのサイズがB5縦の場合、レジストローラ対131への媒体Mの到達順と供給開始順とに相違はないが、各供給開始時間の間に切り替え時間tc[ms]を確保することによって、わずかに生産性が低下し、通常比生産性は99.6%となる。
【0080】
次に、媒体MのサイズがLetter横の場合には、媒体長が216mmで、到達間隔inが到達間隔in3よりも短い到達間隔in2[ms]となり、通常の生産性[ppm]がn3よりも少ないn2となる。
【0081】
媒体MのサイズがLetter横の場合、レジストローラ対131への媒体Mの到達順と供給開始順とに相違が生じるため、上述のように到達間隔inを延伸到達間隔in-eに変更することで到達順と供給開始順とを一致させ、且つ、各供給開始時間の間に切り替え時間tc[ms]を確保することによって、生産性が少し低下し、通常比生産性は92.2%となる。
【0082】
次に、媒体MのサイズがA4(210mm×297mm)横の場合には、媒体長が210mmで、到達間隔inが到達間隔in2よりも短い到達間隔in1[ms]となり、通常の生産性[ppm]がn2よりも少ないn1となる。
【0083】
媒体MのサイズがA4横の場合も、レジストローラ対131への媒体Mの到達順と供給開始順とに相違が生じるため、上述のように到達間隔inを延伸到達間隔in-eに変更することで到達順と供給開始順とを一致させ、且つ、各供給開始時間の間に切り替え時間tc[ms]を確保することによって、生産性が少し低下し、通常比生産性は91.1%となる。
【0084】
上述のように、媒体MのサイズがB5縦、Letter横、及びA4横の場合には生産性が低下するが、いずれの場合にも通常比生産性90%以上を確保しており、大きな生産性の低下は見られない。
【0085】
なお、切り替え時間tcは、第2供給部12が媒体Mの供給を開始してから第2入口通過検知センサS3によって媒体Mが検知されるまでの進入予定時間を含んでもよい。この場合、制御部151は、第2供給部12において空送が生じたときに、第2入口通過検知センサS3の検知結果に基づいて空送を判別し、第1供給部11において次の媒体Mの供給が開始する前に、空送となった媒体Mの再供給を行うことができる。なお、進入予定時間は、他の媒体Mにおける第2入口通過検知センサS3の検知結果などに基づいて予め決定しておけばよい。
【0086】
以上説明した本実施の形態では、媒体供給機構は、媒体Mを供給する複数の供給部と、これらの複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、これらの複数の個別搬送路が合流した合流搬送路P3と、媒体Mを合流搬送路P3における基準到達位置(例えばレジストローラ対131)に基準到達時間(例えば到達間隔inごと)に到達させるように複数の供給部に媒体Mを供給させる制御部151とを備える。複数の個別搬送路は、第1個別搬送路P1と、この第1個別搬送路P1よりも経路長が短い第2個別搬送路P2とを含む。複数の媒体供給部は、第1個別搬送路P1に媒体Mを供給する第1供給部11と、第2個別搬送路P2に媒体Mを供給する第2供給部12とを含む。制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(
図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M(媒体M3)を基準到達位置に到達させる場合で、且つ、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12が第2供給部12の媒体M2の供給開始時間よりも早くなる場合に、
図4に示すように、第1供給部11の媒体M(M3)の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M(M2)の供給開始時間t21よりも遅くするように第1供給部11を制御する。
【0087】
これにより、媒体Mを供給する供給部を、第2個別搬送路P2に媒体Mを供給する第2供給部12から、第2個別搬送路P2よりも経路長が短い第1個別搬送路P1に媒体Mを供給する第1供給部11に切り替える場合に、供給開始時間の順序が、基準到達位置に到達する媒体Mの順序(例えば印刷順序)とは異なる順序に入れ替わることを回避することができる。そのため、供給開始時間の順序を基準到達位置に到達する媒体Mの順序とは異なる順序に入れ替えることに起因して、ジャムが生じた場合の再開動作などの制御が複雑になったり、順序入れ替えのための制御が複雑になったりするのを回避することができる。ここで、複数の個別搬送路の経路長が異なる場合に、媒体Mの供給開始時間の順序を到達順となるように、各個別搬送路で経路長が長いほど搬送速度を速くすることも可能ではある。しかし、このように搬送速度の調整のみで供給開始時間の順序を到達順に一致させる場合、経路長の差が大きくなるほど搬送速度を速めることになるため、高性能なモータが必要となってコスト上昇を招いたり制御が複雑化したりする。この点、本実施の形態では、搬送速度の調整のみで供給開始時間の順序を到達順に一致させるのを回避することができるため、媒体供給機構の構成を簡素にすることができる。よって、本実施の形態によれば、複数の供給部に連結され経路長が異なる複数の個別搬送路を備える媒体供給機構において、簡素な構成で制御を簡略化することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(
図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M3を基準到達位置(例えばレジストローラ対131)に到達させる場合で、且つ、第2供給部12の供給開始時間t21から、媒体Mを供給する供給部を第2供給部12から第1供給部11に切り替えるための切り替え時間tc分遅れた時間よりも第1供給部11の供給開始時間t12が早くなる場合に、
図4に示すように、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも切り替え時間tc分以上(より望ましくは、切り替え時間tc分)遅くするように第1供給部11を制御する。
【0089】
このように供給開始時間t21,t12の間に切り替え時間tcを確保することによって、例えば、媒体供給装置1が印刷装置101の制御部151からの連続的な供給開始信号を識別することができなくなったり、或いは、制御部151が供給開始信号を連続的に送ることができなくなったりするのを回避することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、第2供給部12から供給された媒体Mが第2個別搬送路P2に進入したことを検知する進入検知センサの一例である第2入口通過検知センサS3を更に備え、切り替え時間tcは、第2供給部12が媒体Mの供給を開始してから第2入口通過検知センサS3によって媒体Mが検知されるまでの進入予定時間を含む。
【0091】
これにより、第2供給部12において空送が生じたことを第2入口通過検知センサS3の検知結果に基づいて判別することができるため、空送となった媒体Mの再供給を行うのよりも前に、第1供給部11から供給される媒体Mが基準到達位置に到達し、到達順が入れ替わるのを回避することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、制御部151は、第2供給部12から供給される媒体M(
図3に示す媒体M2)の次に第1供給部11から供給される媒体M(媒体M3)を基準到達位置に到達させる場合で、且つ、第1供給部11の媒体M3の供給開始時間t12が第2供給部12の媒体M2の供給開始時間よりも早くなる場合に、
図4に示すように、第1供給部11の媒体M(M3)の供給開始時間t12を第2供給部12の媒体M(M2)の供給開始時間t21よりも遅く且つ供給開始時間t12に近づけるように第1供給部11を制御する。
【0093】
これにより、第1供給部11の供給開始時間t12を第2供給部12の供給開始時間t21よりも遅らせることによって媒体Mが基準到達位置に到達する到達間隔inが延伸到達間隔in-eに延びても、この延伸到達間隔in-eを必要最小限の間隔とすることができる。そのため、第1供給部11の供給開始時間t12を遅らせることに起因して印刷枚数(生産性)が減るのを抑制することができる。
【0094】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0095】
[付記1]
媒体を供給する複数の供給部と、
前記複数の供給部に連結された、経路長が異なる複数の個別搬送路と、
前記複数の個別搬送路が合流した合流搬送路と、
前記媒体を前記合流搬送路における基準到達位置に基準到達時間に到達させるように前記複数の供給部に前記媒体を供給させる制御部とを備え、
前記複数の個別搬送路は、第1個別搬送路と、当該第1個別搬送路よりも経路長が短い第2個別搬送路とを含み、
前記複数の媒体供給部は、前記第1個別搬送路に前記媒体を供給する第1供給部と、前記第2個別搬送路に前記媒体を供給する第2供給部とを含み、
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記媒体の供給開始時間が前記第2供給部の前記媒体の供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅くするように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする媒体供給機構。
【0096】
[付記2]
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第2供給部の前記供給開始時間から、前記媒体を供給する供給部を前記第2供給部から前記第1供給部に切り替えるための切り替え時間分遅れた時間よりも前記第1供給部の前記供給開始時間が早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を前記第2供給部の前記供給開始時間よりも前記切り替え時間分以上遅くするように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給機構。
【0097】
[付記3]
前記第2供給部から供給された前記媒体が前記第2個別搬送路に進入したことを検知する進入検知センサを更に備え、
前記切り替え時間は、前記第2供給部が前記媒体の供給を開始してから前記進入検知センサによって前記媒体が検知されるまでの進入予定時間を含む
ことを特徴とする付記2記載の媒体供給機構。
【0098】
[付記4]
前記制御部は、前記第2供給部から供給される前記媒体の次に前記第1供給部から供給される前記媒体を前記基準到達位置に到達させる場合で、且つ、前記第1供給部の前記供給開始時間が前記第2供給部の前記供給開始時間よりも早くなる場合に、前記第1供給部の前記供給開始時間を、前記第2供給部の前記供給開始時間よりも遅く且つ前記第2供給部の前記供給開始時間に近づけるように前記第1供給部を制御する
ことを特徴とする付記1記載の媒体供給機構。
【符号の説明】
【0099】
1 媒体供給装置
1a 上段
1b 下段
11 第1供給部
11a 積載台
11b 吸着搬送部
12 第2供給部
12a 積載台
12b 吸着搬送部
21~29 第1~第9搬送ローラ対
31 制御部
32 記憶部
33 インターフェース部
100 印刷システム
101 印刷装置
110 印刷部
120 吸着搬送部
130 搬送部
131 レジストローラ対
132 受け入れローラ対
133 搬送ローラ対
140 反転部
151 制御部
152 記憶部
153 インターフェース部
D1~D4 第1~第4搬送駆動部
in 到達間隔
in-e 延伸到達間隔
M 媒体
P1 第1個別搬送路
P2 第2個別搬送路
P3 合流搬送路
P11 供給先搬送路
P12 循環反転搬送路
S1 第1入口通過検知センサ
S2 第1出口通過検知センサ
S3 第2入口通過検知センサ
S4 第2出口通過検知センサ
S10 レジストセンサ
t11,t12,t21,t22 供給開始時間
tc 切り替え時間