(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112863
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】売買注文支援プログラム、及び売買注文支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20220727BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008864
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】521033767
【氏名又は名称】河村 真砂子
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】河村 真砂子
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB51
(57)【要約】
【課題】外国為替、株、債権、先物等の変動相場において取引される取引対象に対する売買注文を支援する売買注文支援援プログラム及び売買注文支援システムに関し、ストップロス値の指定時に、損失許容リスクを超えない安全な最大のロット数を口座にある資金に基づいて自動的に算出し注文することを可能にする。
【解決手段】ユーザが、損失許容リスク値(404)を指定した後に、例えばチャート401上のSL値水平線501を使ってストップロス値を指定する。ストップロス値の指定が変更される毎に、注文のためのロット数が自動的に算出され、SL値水平線501上に表示される。ユーザが、算出されたロット数での売買注文をエントリすると(601)、変動相場における取引価格がストップロス値に達した時点で売買注文の売り又は買いとは逆の買い又は売りで売買注文のポジションを決済することを指示するストップロス注文が自動的にエントリされる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動相場における売買注文を支援するコンピュータに、
ユーザに損失許容リスク値を指定させた後にストップロス値を可変させながら指定させるストップロス値指定ステップと、
前記ストップロス値の指定が変更される毎に、注文のためのロット数を算出するロット数算出ステップと、
算出した前記ロット数での売買注文を前記ユーザにエントリさせると共に、前記エントリが行われたときに、前記変動相場における取引価格が前記ストップロス値に達した時点で前記売買注文の売り又は買いとは逆の買い又は売りで前記売買注文のポジションを決済することを指示するストップロス注文を自動的にエントリする売買注文ステップと、
を実行させるための売買注文支援プログラム。
【請求項2】
前記ストップロス値指定ステップは、
外部に接続される取引サーバシステムから取引価格情報を取得する取引価格情報取得ステップと、
前記取引価格情報取得ステップで取得した前記取引価格情報に基づいて取引価格の推移を示す、横軸の単位が日時、縦軸の単位が価格である前記変動相場の値動きを示すチャートを生成し、ユーザが利用するディスプレイ装置に表示するチャート生成・更新ステップと、
前記ディスプレイ装置上に、前記損失許容リスク値をパーセント単位で前記ユーザに指定させるための損失許容リスク値指定フォームを表示する損失許容リスク値指定フォーム表示ステップと、
前記ディスプレイ装置上に表示される前記チャートに重ねて、前記横軸方向に水平で、前記縦軸方向にその全体を前記ユーザの指示に基づいて可変移動であって縦軸の停止位置によって前記ストップロス値を指定するストップロス値水平線を表示するストップロス値水平線制御ステップと、
を含む、
請求項1に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項3】
前記ロット数算出ステップは、前記ユーザが前記ディスプレイ装置上で前記ストップロス値水平線を可変移動しながら前記ストップロス値水平線が停止する毎に前記停止の位置に対応する前記縦軸上の価格を前記ストップロス値として取得し、前記ユーザが前記損失許容リスク値指定フォームで指定した値を前記損失許容リスク値として取得し、前記取引価格情報取得ステップが取得した最新の前記取引価格情報が示す価格を取引現値として取得して前記ロット数を算出し、前記算出したロット数を前記ディスプレイ装置上に表示する、
請求項2に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項4】
前記ロット数算出ステップは、前記ストップロス値が前記取引現値よりも小さい場合であって、取引きがクロス円の外貨取引きである場合には、口座残高と、前記損失許容リスク値と、取引現値買値と、前記ストップロス値と、前記取引に対応するロット数換算率とに基づいて、
前記ロット数=前記口座残高×(前記損失許容リスク値/100)
÷(前記取引現値買値-前記ストップロス値)×前記ロット数換算率
の数式が示す演算により前記ロット数を算出する、
請求項3に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項5】
前記ロット数算出ステップは、前記ストップロス値が前記取引現値の値よりも小さい場合であって、取引がクロス円以外の外貨である場合には、口座残高と、前記損失許容リスク値と、取引現値買値と、前記ストップロス値と、前記取引に対応するロット数換算率と、外貨円現値売値とに基づいて、
前記ロット数=前記口座残高×(前記損失許容リスク値/100)
÷(前記取引現値買値-前記ストップロス値)×前記ロット数換算率
×前記外貨円現値売値
の数式が示す演算により前記ロット数を算出する、
請求項3に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項6】
前記ロット数算出ステップは、前記ストップロス値が前記取引現値以上の場合であって、取引がクロス円の外貨取引である場合には、口座残高と、前記損失許容リスク値と、取引現値売値と、前記ストップロス値と、前記取引に対応するロット数換算率とに基づいて、
前記ロット数=前記口座残高×(前記損失許容リスク値/100)
÷(前記ストップロス値-前記取引現値売値)×前記ロット数換算率
の数式が示す演算により前記ロット数を算出する、
請求項3に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項7】
前記ロット数算出ステップは、前記ストップロス値が前記取引価格現値以上の場合であって、取引がクロス円以外の外貨である場合には、口座残高と、前記損失許容リスク値と、取引現値売値と、前記ストップロス値と、前記取引に対応するロット数換算率と、外貨円現値売値とに基づいて、
前記ロット数=前記口座残高×(前記損失許容リスク値/100)
÷(前記ストップロス値-前記取引現値売値)×前記ロット数換算率
×前記外貨円現値売値
の数式に対応する演算により前記ロット数を算出する、
請求項3に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項8】
前記売買注文ステップは、
前記ユーザが前記ディスプレイ装置上で前記ストップロス値水平線を可変移動しながら前記ストップロス値水平線が停止する毎に、
前記停止の位置に対応する前記縦軸上の価格が示す前記ストップロス値が取引現値よりも小さい場合には、買い注文を指示する買い注文ボタンが表示された買い注文フォームを前記ディスプレイ装置上に表示し、前記ユーザが前記買い注文ボタンを押下すると、前記算出したロット数での買い注文をエントリすると共に、売りの前記ストップロス注文を自動的にエントリし、
前記停止の位置に対応する前記縦軸上の価格が示す前記ストップロス値が前記取引現値の値以上の場合には、売り注文を指示する売り注文ボタンが表示された売り注文フォームを前記ディスプレイ装置上に表示し、前記ユーザが前記売り注文ボタンを押下すると、前記算出したロット数での売り注文をエントリすると共に、買いの前記ストップロス注文を自動的にエントリする、
請求項2から7の何れかに記載の売買注文支援プログラム。
【請求項9】
前記ロット数算出ステップは、前記算出したロット数を前記ディスプレイ装置上の前記ストップロス値水平線の直近に表示させる、請求項3又は4に記載の売買注文支援プログラム。
【請求項10】
前記口座残高と前記損失許容リスク値とから算出される最大損失額を、前記ディスプレイ装置上の前記ストップロス値水平線の直近に表示する最大損失額表示ステップを更に備える、請求項2から9の何れかに記載の売買注文支援プログラム。
【請求項11】
サーバ装置とユーザ端末装置とがネットワークで接続され、前記ユーザ端末から前記サーバに前記売買注文を行うことを支援するシステムであって、請求項1から10の何れかに記載の売買注文支援プログラムを実行するコンピュータを備える売買注文支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国為替、株、債権、先物等の変動相場において取引される取引対象に対する売買注文を支援する売買注文支援プログラム及び売買注文支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オンライントレードの普及に伴って、特に個人投資家による外国為替、株、債権、先物等への投資が活発である。これらの投資において、投資家の予測に反した相場の値動きにより大きな損失を受けるのを防止するため注文手法が知られている。例えば外国為替取引では、新規の買い注文が約定した場合に、利益を確定するための「売り決済注文」と共に、損失を一定の幅に抑えるために現値が指定のストップロス値まで下落したら売りの指示を行うための「ロスカット売り決済注文」が行われる。逆に、新規の売り注文が約定した場合に、利益を確定するための「買い決済注文」と共に、損失を一定の幅に抑えるために現値が指定のストップロス値まで上昇したら買いの指示を行うための「ロスカット買い決済注文」が行われる。
【0003】
このとき、新規の買/売建注文が約定した場合に、ストップロス幅を設定するという簡単な操作により、相場の天井/底の近くで反対売買を自動的に行うことができると共に、損失を一定の幅に抑えることができる技術が下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、新規の買/売建注文における注文ロット数と、注文の約定後に現値がストップロス値になったときに発生する損失額との関係を、簡単に予測することができないという問題があった。もし、取引に精通していないユーザが注文時に勘だけでロット数を決定した場合に、ストップロス実行時に大きな損失が発生するリスクがあった。
【0006】
そこで、本発明は、ストップロス値の指定時に損失許容リスクのパーセンテージを指定するだけで、損失許容リスクを超えない安全な最大のロット数を口座にある資金に基づいて自動的に算出し、そのロット数で注文することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
態様の一例の売買注文支援プログラムは、変動相場における売買注文を支援するコンピュータに、ユーザに損失許容リスク値を指定させた後にストップロス値を可変させながら指定させるストップロス値指定ステップと、ストップロス値の指定が変更される毎に、注文のためのロット数を算出するロット数算出ステップと、算出したロット数での売買注文をユーザにエントリさせると共に、エントリが行われたときに、変動相場における取引価格がストップロス値に達した時点で売買注文の売り又は買いとは逆の買い又は売りで売買注文のポジションを決済することを指示するストップロス注文を自動的にエントリする売買注文ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ストップロス値の指定時に損失許容リスクのパーセンテージを指定するだけで、損失許容リスクを超えない安全な最大のロット数を口座残高に基づいて自動的に算出し、そのロット数で注文することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の売買注文支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】売買注文支援システムが実行する売買注文支援プログラムの処理例を示すフローチャート(その1)である。
【
図3】売買注文支援システムが実行する売買注文支援プログラムの処理例を示すフローチャート(その2)である。
【
図4】売買注文支援システムの画面例(初期状態)を示す図である。
【
図5】売買注文支援システムの画面例(SL指定時)を示す図である。
【
図6】売買注文支援システムの画面例(買い注文時)を示す図である。
【
図7】売買注文支援システムの画面例(売り注文時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態の売買注文支援システム100の構成例を示す図である。この売買注文支援システム100は、一例である外国為替証拠金取引(Foreign Exchange:以下「FX」と記載)を行うためのシステムである。この売買注文支援システム100は、FXの取引を実施する取引サーバ121と、ユーザ端末とがインターネット120で接続され、上記ユーザ端末から取引サーバ121に売買注文を行うことを支援する。この売買注文支援システム100は、例えば上記ユーザ端末が売買注文支援プログラムを実行するシステムとして実現される。或いは、この売買注文支援システム100の機能は、ユーザ端末が取引サーバ121上で実行される売買注文支援プログラムが実現する機能に、例えばウェブサーバを介してアクセスする機能として実現されてもよい。以下の説明では、一例として、売買注文支援システム100がユーザ端末であるものとして説明を行う。
【0011】
売買注文支援システム100は、制御部101、取引価格情報取得部102、売買注文部103、ストップロス注文部104、チャート生成・更新部105、ストップロス(SL)値水平線制御部106、及び画像出力部107を備える。101から107の各機能部は、例えばユーザ端末を構成するCPU(中央演算装置)及びメモリを含むコンピュータにおいて、CPUがメモリに記憶された売買注文支援プログラムを実行する機能として、実現される。また、売買注文支援システム100のコンピュータには、キーボード及びマウスなどからなる入力装置110と、例えば液晶ディスプレイであるディスプレイ装置111と、インターネット120へのアクセスを行うネットワーク接続装置112とが接続されている。売買注文支援システム100において、制御部101は、入力装置110からのデータの入力を制御する。画像出力部107は、各部からの出力画像データを画面データに展開し、その画像データをディスプレイ装置111に表示する。
【0012】
図2及び
図3は、売買注文支援システム100が実行する売買注文支援プログラムの処理の例を示すフローチャートである。
【0013】
まず、ストップロス値指定ステップが実行される。このステップでは、ユーザが損失許容リスク値を指定する。このステップにおいて、ユーザは、ストップロス値を任意に可変させながら指定できる。このストップロス値指定ステップは、
図2のステップS201からS207の一連のステップからなる。
【0014】
次に、ロット数算出ステップが実行される。このステップでは、ストップロス値の指定が変更される毎に、注文のためのロット数が算出される。このロット数算出ステップは、
図2のステップS209及びS212に対応する。
【0015】
更に、売買注文ステップが実行される。このステップでは、ユーザは算出されたロット数での売買注文をエントリすることができる。また、このステップでは、上記エントリが行われた後に、変動相場における取引価格がストップロス値に達した時点で、売買注文の売り又は買いとは逆の買い又は売りで売買注文のポジションを決済することを指示するストップロス注文が、自動的にエントリされる。この売買注文ステップは、
図2のステップS208から
図3のステップS220の一連のステップからなる。
【0016】
まず始めに、
図2の取引価格情報取得ステップS201として、インターネット120を介して外部に接続される取引サーバ121から、FX為替情報が取引価格情報として取得される。このステップS201により、
図1の取引価格情報取得部102の機能が実現される。
【0017】
次に、
図2のチャート生成・更新ステップS202として、ステップS201で取得したFX為替情報に基づいて、取引価格であるFXの外国為替価格の値動きを示すチャートが生成され、
図1のディスプレイ装置111に表示される。
図4は、このステップで表示されるチャート401の画面例(初期状態)を示す図である。このチャート401の画面例において、横軸の単位は日時、縦軸の単位は為替価格を示す。この例は、例えば米ドル/円取引のレート(1ドル何円か)の価格変動を示している。画面右端が、最新の為替レート(現値)402を示している。
図4では、例えば1ドル110円であることが示されている。このステップS202により、
図1のチャート生成・更新部105と画像出力部107の機能の一部が実現される。
【0018】
次に、
図2のSL指定(損失許容リスク値指定)フォーム表示ステップS203として、SL指定フォーム403が、
図1のディスプレイ装置111に、
図4に例示されるように表示される。ユーザは、SL指定フォーム403において、損失許容リスク値指定ボックス404を使って、損失許容リスク値をパーセント単位で指定する。損失許容リスク値は、ユーザが口座に保有している運用可能な資金額に対して、何%までの損失を許容するかを指定する値である。本実施形態では、後述するように、まず損失許容リスク値を指定することにより、ユーザは、運用可能な資金額のうちこの損失許容リスク値で指定されるパーセント以上の額が、損失として発生しないようにすることができる。
図4の例では、損失許容リスク値として4%が指定された状態が示されている。また、ユーザは、SL指定フォーム403において、SL指定ボタン405を使って、ストップロス値水平線(以下「SL値水平線」と記載)の表示を指示する。SL指定フォーム403において、オプション設定情報表示領域406には、別途の設定メニューによりユーザが設定した、例えば各種注文方式(成行、指値、利益確定指値指定、建値撤退設定、トレイル設定、タイムストップ設定)などのオプション情報が表示される。SL指定フォーム403において、全決済ボタン407については後述する。
【0019】
続いて、
図2のステップS204で、上記SL指定フォーム403上で、SL指定ボタン405が押下されたか否かが判定される。
【0020】
図2のステップS204の判定がNOならば、制御は、
図2のステップS201の処理に戻り、S201からS203の処理が繰り返し実行される。この結果、新たに取得されたFX為替情報に基づいて、FX為替の価格変動を示す
図4に例示されるチャート401の画面が更新される。
【0021】
SL指定ボタン405が押下されることにより
図2のステップS204の判定がYESになると、
図2のSL値水平線表示ステップS205が実行される。ステップS205では、
図1のディスプレイ装置111において、SL値水平線がチャート401に重ねて表示される。この場合、SL値水平線は、横軸に平行で、縦軸方向の値が最新の為替レート402付近になるように表示される。
図5は、
図4の画面例において、ユーザがSL指定ボタン405を押下した場合に表示される画面例である。ユーザは、例えば
図1の入力装置110の一部であるマウスのポインタ502を操作して、SL指定ボタン405を押下する。
図5では、チャート401に重ねて、SL値水平線501が表示されている。
図5のチャート401は、
図4に示されているものと同じである。
【0022】
ここで、ユーザは、例えば
図1の入力装置110の一部であるマウスのポインタを操作する。この結果、
図5において、矢印503に例示されるように(503は実際には表示されない)、SL値水平線501を縦軸に水平な下方向にドラッグ操作して移動させることができる。或いは、ユーザは、矢印504に例示されるように(504も実際には表示されない)、SL値水平線501を縦軸に水平な上方向にドラッグ操作して移動させることができる。
【0023】
図2のステップS206では、上記SL値水平線501が上述のようにドラッグされたか否かが判定される。
【0024】
SL値水平線501がドラッグされて
図2のステップS206の判定がYESになると、SL値水平線移動・表示ステップS207が実行される。
【0025】
例えば、SL値水平線501が
図5の矢印503に例示されるように下方向にドラッグ操作された場合には、
図2のステップS207で、SL値水平線501が
図6に例示されるように下方向に移動させられて表示される。この結果、SL値として、107円が指定される。
【0026】
また例えば、SL値水平線501が
図5の矢印504に例示されるように上方向にドラッグ操作された場合には、ステップS207で、SL値水平線501が
図7に例示されるように上方向に移動させられて表示される。この結果、SL値として、113円が指定される。
【0027】
以上の
図2のステップS205からS207の一連の処理として、ストップロス値水平線制御ステップが実現され、
図1のSL値水平線制御部106の一部の機能が実現される。
【0028】
続いて、
図2のステップS208で、SL値水平線501が停止したときの縦軸方向の値が、現値(為替レート402)未満であるか否かが判定される。
【0029】
例えば、SL値水平線501が
図6に示されるようにドラッグされることにより、ステップS208の判定がYESになったら、
図2の買い注文ロット数計算・表示ステップS209と買い注文フォーム表示ステップS210が実行される。
【0030】
まず、
図2の買い注文ロット数計算・表示ステップS209では、停止したSL値水平線501の位置に対応する縦軸上の価格がストップロス値(以下「SL値」と記載)として取得される。
図6の例では、SL値として例えば「107円」が取得される。また、ユーザが
図4のSL指定フォーム403上の損失許容リスク値指定ボックス404で指定した値が損失許容リスク値として取得される。この例では、損失許容リスク値として例えば「4%」が取得される。また、ステップS201で取得された最新の買値(BID)為替レート402が取引現値買値として取得される。更に、
図1の取引サーバ121から、口座残高と、取引に対応するロット数換算率が取得される。例えば、1ロット=10,000米ドルで、換算率=1÷10,000=0.0001。そして、取引きがクロス円の外貨取引きである場合には、下記(1)式が示す演算により、ロット数が算出される。
【0031】
ロット数=口座残高×(損失許容リスク値÷100)
÷(取引現値買値-ストップロス値)×ロット数換算率
・・・(1)
【0032】
一方、取引きがクロス円以外の外貨取引きである場合には、更に外貨円現値売値(外貨円現値BID)を加えた、下記(2)式が示す演算により、ロット数が算出される。
【0033】
ロット数=口座残高×(損失許容リスク値÷100)
÷(取引現値買値-ストップロス値)×ロット数換算率
×外貨円現値売値
・・・(2)
【0034】
このようにして算出されるロット数に加えて、買い注文ロット数計算・表示ステップS209では、口座残高に損失許容リスク値が乗算されることにより、最大損失額が算出される。更に、現値からストップロス値までの値幅(Pips)も算出される。そして、以上のようにして算出されたロット数(Lots)、Pips値、及び最大損失額(MAX LOSS)の各値が、SL値水平線501のすぐ上に表示される。例えば
図6に例示されるように、SL値水平線501のすぐ上に「Lots=0.133 Pips=*** MAX LOSS=-4000」などと表示される。これにより、ユーザは、買い注文を行うべきロット数が0.133ロットであり、可能性のある最大損失額が4000円であることを、すぐに認識することができる。
【0035】
今、例えば、口座残高=100,000円、損失許容リスク=4%、取引現値買値=110円、ロット数換算率=0.0001である、米ドル/円取引を考える。ここで、ユーザが、チャート401上でSL値水平線501を表示させ、それをドラッグすることにより、SL値=107円を指定したとする。この結果、買い注文ロット数計算・表示ステップS209において、(1)式の演算により、
ロット数=100,000円×(4%/100)
÷(110円-107円)×0.0001=0.133(1333ドル)
が算出される。これにより、ユーザは、続く買い注文におけるロット数が0.133(1333ドル)になるということが理解できる。また、最大損失は4,000円であることが理解できる。
【0036】
以上の
図2のステップS209の処理として、ロット数算出ステップの一部が実現され、
図1のSL値水平線制御部106の一部の機能が実現される。
【0037】
続いて、
図2の買い注文フォーム表示ステップS210では、
図6に例示されるように、買い注文を指示する買い注文ボタン601が表示された買い注文フォーム600が
図1のディスプレイ装置111に表示される。
【0038】
上記
図2の買い注文フォーム表示ステップS210の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1の売買注文部103の一部の機能が実現される。
【0039】
図2のステップS210の処理の後、又はステップS208の判定がNOの場合に、
図2のステップS211が実行される。ステップS211では、SL値水平線501が停止したときの縦軸方向の値が、現値(為替レート402)以上であるか否かが判定される。
【0040】
例えば、SL値水平線501が
図7に示されるようにドラッグされることにより、ステップS211の判定がYESになったら、
図2の売り注文ロット数計算・表示ステップS212と売り注文フォーム表示ステップS213が実行される。
【0041】
まず、
図2の売り注文ロット数計算・表示ステップS212では、停止したSL値水平線501の位置に対応する縦軸上の価格がSL値として取得される。
図7の例では、SL値として例えば「113円」が取得される。また、ユーザが
図4のSL指定フォーム403上の損失許容リスク値指定ボックス404で指定した値が損失許容リスク値として取得される。この例では、損失許容リスク値として例えば「4%」が取得される。また、ステップS201で取得された最新の為替レート402が取引現値売値として取得される。更に、
図1の取引サーバ121から、口座残高と、取引に対応するロット数換算率が取得される。例えば、1ロット=10,000米ドルで、換算率=0.0001。そして、取引きがクロス円の外貨取引きである場合には、下記(3)式が示す演算により、ロット数が算出される。
【0042】
ロット数=口座残高×(損失許容リスク値/100)
÷(取引現値売値-ストップロス値)×ロット数換算率
・・・(3)
【0043】
一方、取引きがクロス円以外の外貨取引きである場合には、更に外貨円現値売値(外貨円現値BID)を加えた、下記(4)式が示す演算により、ロット数が算出される。
【0044】
ロット数=口座残高×(損失許容リスク値/100)
÷(取引現値売値-ストップロス値)×ロット数換算率
×外貨円現値売値
・・・(4)
【0045】
このようにして算出されるロット数に加えて、売り注文ロット数計算・表示ステップS212では、口座残高に損失許容リスク値が乗算されることにより、最大損失額が算出される。更に、現値からストップロス値までの値幅(Pips)も算出される。そして、以上のようにして算出されたロット数(Lots)、Pips、及び最大損失額(MAX LOSS)の各値が、SL値水平線501のすぐ上に表示される。例えば
図7に例示されるように、SL値水平線501のすぐ上に「Lots=0.133 Pips=*** MAX LOSS=-4000」などと表示される。これにより、ユーザは、売り注文を行うべきロット数が0.133ロットであり、可能性のある最大損失額が4000円であることを、すぐに認識することができる。
【0046】
今、口座残高が100,000円、損失許容リスクが4%、取引現値買値が110円、ロット数換算率=0.0001である、米ドル/円取引の例を考える。ここで、ユーザが、チャート401上でSL値水平線501を表示させ、それをドラッグすることにより、SL値=113円を指定したとする。この結果、売り注文ロット数計算・表示ステップS212において、(3)式の演算により、
ロット数=100,000円×(4%/100)
÷(113円-1110円)×0.0001=0.133(1333ドル)
が算出される。これにより、ユーザは、続く売り注文におけるロット数が0.133(1333ドル)になるということが理解できる。また、最大損失は高々4,000円であることが理解できる。
【0047】
以上の
図2のステップS212の処理として、ロット数算出ステップの一部が実現され、
図1のSL値水平線制御部106の一部の機能が実現される。
【0048】
続いて、
図2の売り注文フォーム表示ステップS213では、
図7に例示されるように、売り注文を指示する売り注文ボタン701が表示された売り注文フォーム700が、
図1のディスプレイ装置111に表示される。
【0049】
上記
図2の売り注文フォーム表示ステップS213の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1の売買注文部103の一部の機能が実現される。
【0050】
図2のステップS213の処理の後、又はステップS211の判定がNOの場合に、
図3のステップS214が実行される。ステップS214では、
図1のディスプレイ装置111に表示される
図6の買い注文フォーム600において、ユーザが買い注文ボタン601を押下することにより買い注文をエントリしたか否かが判定される。
【0051】
ステップS214の判定がYESになると、買い注文発行ステップS215が実行される。このステップS215では、ステップS209で算出されたロット数での買い注文が、
図1の取引サーバ121に対してエントリされる。
【0052】
上記ステップS215の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1の売買注文部103の一部の機能が実現される。
【0053】
続いて、SL売り注文発行ステップ216が実行される。ステップS216では、ステップ215での買い注文と同時に、ストップロス注文が自動的にエントリされる。このストップロス注文により、変動相場における取引価格がユーザが指定したSL値に下落した時点で、上記買い注文のポジションが損切り決済される。このSL値は、例えば
図6のSL値水平線501が示す107円である。この結果、ユーザは、損失を、買い注文時に想定した口座残高に対する損失許容リスク値(
図4と
図6の例では4%)の範囲内に抑えることが可能となる。
【0054】
上記ステップS216の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1のストップロス注文部104の一部の機能が実現される。
【0055】
図3のステップS214の判定がNOの場合には、
図3のステップS217が実行される。ステップS217では、
図1のディスプレイ装置111に表示される
図7の売り注文フォーム700において、ユーザが売り注文ボタン701を押下することにより売り注文をエントリしたか否かが判定される。
【0056】
ステップS217の判定がYESになると、売り注文発行ステップS218が実行される。このステップS218では、ステップS212で算出されたロット数での売り注文が、
図1の取引サーバ121に対してエントリされる。
【0057】
上記ステップS218の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1の売買注文部103の一部の機能が実現される。
【0058】
続いて、SL買い注文発行ステップ219が実行される。ステップS219では、ステップ218での売り注文と同時に、ストップロス注文が自動的にエントリされる。このストップロス注文により、変動相場における取引価格がユーザが指定したSL値に上昇した時点で、上記売り注文のポジションが損切り決済される。このSL値は、例えば
図7のSL値水平線501が示す113円である。この結果、ユーザは、損失を、売り注文時に想定した口座残高に対する損失許容リスク値(
図4と
図7の例では4%)の範囲内に抑えることが可能となる。
【0059】
ステップS219の処理として、売買注文ステップの一部が実現され、
図1のストップロス注文部104の一部の機能が実現される。
【0060】
上記ステップS216又はS219の処理の後、ステップS220で、SL値水平線501の表示が消去される。この結果、ユーザによるSL値の指定が解除される。その後、制御処理は、
図2のステップS204のSL値の指定待ちに戻る。
【0061】
ステップS217の判定がNOの場合、
図3のステップS221で、SL値の指定に関する処理以外のその他の処理が指示されたか否かが判定される。なお、その他の処理には、ユーザによるSL値水平線501の表示キャンセルの処理も含まれる。
【0062】
ステップS221の判定がYESの場合には、ステップS222で上記その他の処理が実行される。その後、制御処理は、
図2のステップS201の処理に戻る。
【0063】
ステップS221の判定がNOの場合には、制御処理は、ステップS206のSL値水平線501のドラッグ待ちに戻る。
【0064】
上述した実施形態において、
図6の買い注文フォーム600又は
図7の売り注文フォーム700上の「全決済」ボタン407が押下されると、表示されているチャート401で保有しているポジションが全て成行きにて決済される。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、ストップロス値の指定時に、損失許容リスクのパーセンテージを指定するだけで、損失許容リスクを超えない安全な最大のロット数を、口座残高に基づいて自動的に算出し注文することが可能となる。
【0066】
より具体的には、本実施形態では、チャート401上に表示したSL値水平線501を動かすだけで、面倒な計算が自動的に実行される。従って、ユーザは、本実施形態のプログラムを起動後、SL値水平線501を動かしてSL値を決めるだけで、売買注文のための最適なロット数を算出することが可能となる。
【0067】
また、売買注文のエントリと同時にストップロス注文も自動的にセットされるので、損失が拡大しているのに損切りできないということも起こらず、最初にセットした損失許容リスク以上の損失が出ないように運用することが可能となる。
【0068】
本実施形態は、FX(外国為替証拠金取引)を例として説明したが、本発明は、株、債権、先物等の他の変動相場取引市場に対しても同様に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
100 売買注文支援システム
101 制御部
102 取引価格情報取得部
103 売買注文部
104 ストップロス注文部
105 チャート生成・更新部
106 SL値水平線制御部
107 画像出力部
110 入力装置
111 ディスプレイ装置
112 ネットワーク接続装置
120 インターネット
121 取引サーバシステム