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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112923
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/065 20060101AFI20220727BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L21/60 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008958
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】大塚 靖夫
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044AA07
5F044FF05
5F044FF06
(57)【要約】
【課題】出力信号の遅延やその減衰を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体装置は、第1面と該第1面に対して反対側の第2面とを有し、第1面上に複数の第1電極パッドを有する第1配線基板と、第1面と対向する第3面と該第3面に対して反対側の第4面を有し、第3面上に複数の第2電極パッドを有する第2配線基板とを備える。複数の第1半導体チップは、第1面と第3面との間において積層されている。第1柱状電極は、第1面および第3面に略垂直な第1方向に対して傾斜方向へ延伸し、複数の第1電極パッドと複数の第2電極パッドとの間を接続する。第1樹脂層は、第1面と第3面との間において複数の第1半導体チップおよび第1柱状電極を被覆する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面に対して反対側の第2面とを有し、前記第1面上に複数の第1電極パッドを有する第1配線基板と、
前記第1面と対向する第3面と該第3面に対して反対側の第4面を有し、前記第3面上に複数の第2電極パッドを有する第2配線基板と、
前記第1面と前記第3面との間において積層された複数の第1半導体チップと、
前記第1面および前記第3面に略垂直な第1方向に対して傾斜方向へ延伸し、前記複数の第1電極パッドと前記複数の第2電極パッドとの間を接続する第1柱状電極と、
前記第1面と前記第3面との間において前記複数の第1半導体チップおよび前記第1柱状電極を被覆する第1樹脂層とを備える半導体装置。
【請求項2】
前記第2配線基板は、前記第3面上に設けられた複数の第3電極パッドを有し、
前記第1半導体チップは、前記第2配線基板の前記第3面に対向する対向面に設けられた第4電極パッドを有し、
前記第3電極パッドと前記第4電極パッドとの間を接続し、前記第1方向に延伸する第2柱状電極をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1配線基板の前記第2面上あるいは前記第2配線基板の前記第4面上に設けられ、前記第1または第2配線基板を介して前記複数の第1または第2電極パッドに電気的に接続された金属バンプをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1方向から見た平面視において、前記第1柱状電極によって接続される前記第1電極パッドと前記第2電極パッドは、互いにずれて配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1配線基板、前記複数の第1半導体チップ、前記第2配線基板および前記第1柱状電極を含む第1パッケージと、
第5面と該第5面に対して反対側の第6面を有し前記第5面上に複数の第5電極パッドを有する第3配線基板、前記第3配線基板の前記第5面の上方に積層された複数の第2半導体チップ、前記第1方向に延伸し前記第2半導体チップに設けられた第6電極パッドと前記第5電極パッドとの間を接続する第3柱状電極、および、前記第5面側において前記複数の第2半導体チップおよび前記第3柱状電極を被覆する第2樹脂層を備える第2パッケージとを備え、
前記第2パッケージは、前記第1配線基板上に積層され、該第1配線基板に電気的に接続されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1方向から見た平面視において、
前記第1電極パッドは、前記第1配線基板上において、行方向にm行、列方向にn列(m、nは1以上の整数かつm≠n)で配列されており、
前記第2電極パッドは、前記第2配線基板上において、前記行方向にn行、前記列方向にm列に配列されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
複数の第1電極パッドを有する第1面と該第1面に対して反対側の第2面とを有する第1配線基板上に複数の第1半導体チップを積層し、
前記第1電極パッドにボンディングし、前記第1面に略垂直な第1方向に対して傾斜方向へワイヤを引き出し、該ワイヤを切断することによって第1柱状電極を形成し、
前記複数の第1半導体チップおよび前記第1柱状電極を第1樹脂層で被覆し、
前記第1樹脂層を研磨して前記第1柱状電極の上端を露出させ、
前記第1樹脂層上に第2配線基板を積層し、前記第2配線基板に設けられた第2電極パッドに前記第1柱状電極を接続する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体チップを樹脂封止して形成された半導体パッケージが開発されている。このような半導体パッケージにおいて、多数の半導体チップが積層された場合、最上段の半導体チップから最下段の配線基板の外部接続端子までの導体経路は、長くなる場合がある。導体経路が長いと、出力信号の遅延や減衰が問題となり、半導体装置の信頼性を低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-172157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力信号の遅延やその減衰を抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体装置は、第1面と該第1面に対して反対側の第2面とを有し、第1面上に複数の第1電極パッドを有する第1配線基板と、第1面と対向する第3面と該第3面に対して反対側の第4面を有し、第3面上に複数の第2電極パッドを有する第2配線基板とを備える。複数の第1半導体チップは、第1面と第3面との間において積層されている。第1柱状電極は、第1面および第3面に略垂直な第1方向に対して傾斜方向へ延伸し、複数の第1電極パッドと複数の第2電極パッドとの間を接続する。第1樹脂層は、第1面と第3面との間において複数の第1半導体チップおよび第1柱状電極を被覆する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態による半導体装置の構成の一例を示す模式断面図。
図2A】配線基板における電極パッドの配置を示す透視平面図。
図2B】配線基板における電極パッドの配置を示す模式平面図。
図3】第2実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図4】第3実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図5】第4実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図6A】配線基板における電極パッドの配置を示す透視平面図。
図6B】配線基板における電極パッドの配置を示す模式平面図。
図7】第5実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図8】第6実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図9】第6実施形態による半導体装置の構成例を示す模式断面図。
図10】第6実施形態によるパッケージの構成例を示す模式平面図。
図11】第6実施形態によるパッケージの構成例を示す模式平面図。
図12】第6実施形態による電極パッドの配置例および柱状電極の構成例を示す模式斜視図。
図13】第1実施形態による半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図14図13に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図15図14に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
図16図15に続く、半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。以下の実施形態において、半導体装置の上下方向は、半導体チップの積層方向を上または下とした場合の相対方向を示し、重力加速度に従った上下方向と異なる場合がある。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による半導体装置1の構成の一例を示す模式断面図である。半導体装置1は、配線基板10と、配線基板12と、半導体チップ11と、柱状電極19と、柱状電極20と、樹脂層22と、金属バンプ13とを備えている。半導体装置1は、例えば、NAND型フラッシュメモリ、LSI(Large Scale Integration)等の半導体パッケージでよい。
【0009】
配線基板10は、第1面F1と、第1面F1に対して反対側の第2面F2とを有する。第1面F1上には、複数の電極パッド18が設けられている。電極パッド18は、配線基板10のいずれかの配線層に電気的に接続されている。配線基板10は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線構造(図示せず)を有する。電極パッド18および配線層には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁部材が用いられる。
【0010】
配線基板12は、第1面F1と対向する第3面F3と、第3面F3に対して反対側の第4面F4とを有する。第3面F3上には、複数の電極パッド15a、15bが設けられている。電極パッド15a、15bは、配線基板12のいずれかの配線層に電気的に接続されている。配線基板12は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線構造(図示せず)を有する。電極パッド15a、15bおよび配線層には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。配線基板10の第1面F1と配線基板12の第3面F3とは、互いに対向しており、 積層された複数の半導体チップ11をその間に挟んでいる。
【0011】
複数の半導体チップ11は、第1面F1と第3面F3との間において積層されている。本実施形態では、複数の半導体チップ11は、配線基板10の第1面F1上に積層されている。各半導体チップ11の表面には、メモリセルアレイ、トランジスタ、キャパシタ等の半導体素子(図示せず)が設けられている。半導体チップ11は、例えば、複数のメモリセルを3次元的に立体配置したNAND型フラッシュメモリのメモリチップでもよいし、あるいは、任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。半導体チップ11は、互いに同一構成を有する半導体チップでもよいが、互いに異なる構成を有する半導体チップであってもよい。
【0012】
複数の半導体チップ11は、積層されており、接着層(図示せず)によって接着されている。接着層としては、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO(p-phenylenebenzobisoxazole)系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。
【0013】
複数の半導体チップ11は、第3面F3に対向する表面に露出された電極パッド16を有する。半導体チップ11上に積層される他の半導体チップ11は、下段の半導体チップ11の電極パッド16に重複しないように、下段の半導体チップ11の電極パッド16が設けられた辺に対して略垂直方向(X方向)にずらされて積層されている。尚、第1面F1および第3面F3に対して略垂直方向(半導体チップ11の積層方向)がZ方向であり、Z方向に対して垂直面内において一方向がX方向であり、Z方向およびX方向に対して直交する方向がY方向である。
【0014】
電極パッド16は、半導体チップ11に設けられた半導体素子のいずれかに電気的に接続されている。電極パッド16には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。
【0015】
柱状電極19は、半導体チップ11の電極パッド16と配線基板12の電極パッド15aとの間に接続され、柱状電極20は、第1面F1および第3面F3に略垂直なZ方向に延伸している。Z方向は、複数の半導体チップ11の積層方向、あるいは、第1面F1と第3面F3との対向方向といてもよい。柱状電極19の下端は、ワイヤボンディング法によって電極パッド15aに接続されている。柱状電極19には、例えば、金ワイヤ等の導電性ボンディングワイヤが用いられる。
【0016】
柱状電極20の一端は、配線基板10の電極パッド18に接続され、その他端は、配線基板12の電極パッド15bに接続されている。即ち、柱状電極20は、電極パッド18と電極パッド15bとの間を接続している。1つの柱状電極20で接続される互いに対応する電極パッド18、15bは、第1方向としてのZ方向から見たときに完全には重複しておらず、X方向またはY方向にずれて配置されている。電極パッド18、15bは、Z方向から見たときに部分的に重複してもよい。従って、柱状電極20は、第1面F1および第3面F3に略垂直なZ方向に対して傾斜方向へ延伸している。また、柱状電極20は、X方向に対しても傾斜している。柱状電極20は、ワイヤボンディング法によって電極パッド18に接続された後、上記傾斜方向へ引き出されて、所定の長さで切断される。柱状電極20となるワイヤは、切断後、傾斜方向へ延伸した状態で自立している。柱状電極20には、例えば、金ワイヤ等の導電性ボンディングワイヤが用いられる。
【0017】
樹脂層22は、第1面F1と第3面F3との間において、積層された複数の半導体チップ11および柱状電極19、20を被覆(封止)している。樹脂層22には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。
【0018】
金属バンプ13は、配線基板10の第2面F2上に設けられている。金属バンプ13は、配線基板10を介して複数の電極パッド18に電気的に接続されている。金属バンプ13は、他の配線基板または他の半導体パッケージと接続するために用いられる。金属バンプ13には、例えば、はんだ等の導電性材料が用いられる。尚、金属バンプ13は、配線基板12の第4面F4上に設けられ、配線基板12を介して電極パッド15a、15bに電気的に接続されていてもよい。
【0019】
図2Aは、配線基板10における電極パッド18の配置を示す透視平面図である。図2Bは、配線基板12における電極パッド15bの配置を示す模式平面図である。図2Aは、配線基板10の第2面F2側から透視した配線基板10の配置を示しており、図2Bは、配線基板12の第3面F3側からみた配線基板12を示している。即ち、図2Aおよび図2Bは、ともにZ方向の上方(図1の矢印A10)からみた模式平面図を示している。また、図1は、図2Aおよび図2Bの矢印A11の方向から見た模式断面図を示している。尚、図2Aおよび図2Bでは、配線基板10、12における電極パッド18、15a、15bの位置を示しており、金属バンプ13等の他の構成要素については図示を省略している。本来、第2面F2側から見ると配線基板10の電極パッド18と半導体チップ11A、11Bは見えないが、図2Aでは模式的に透視図として描写している。半導体チップ11Aは、図1に示す配線基板10に最も近く、最も左端に寄っている半導体チップである。半導体チップ11Bは、図1の中間にあり、最も右端に寄っている半導体チップである。
【0020】
配線基板10、12を図1のパッケージにした場合、図2Aの辺10aと図2Bの辺12aとを対応させ、かつ、図2Aの辺10bと図2Bの辺12bとを対応させる。これにより、図1に示す配置状態となる。Z方向から見た平面視において、辺10aと辺12aはほぼ重複し、辺10bと辺12bもほぼ重複する。電極パッド15b、18は、辺10a、12a側に偏在している。図1は、図2AのA-A線に沿った断面に対応する。図1において辺10a、12aは紙面において手前側に配置されている。半導体チップ11は図1の断面図において本来は見えないが、図1では模式的に描写している。Z方向から見た平面視において、柱状電極20によって接続される電極パッド18と電極パッド15bは、辺10a、12aに沿って略平行に互いにずれて配置されている。これにより、図1に示すように、柱状電極20は、Z方向から傾斜して配線される。
【0021】
第1実施形態では、図2Aに示すように、X方向を行とし、Y方向を列とすると、電極パッド18は、行方向に2行、列方向に10列で配列されている。図2Bに示すように、電極パッド15bも、行方向に2行、列方向に10列で配列されている。これにより、電極パッド18と電極パッド15bは、1対1に対応しており、それぞれ対応した電極パッド18と電極パッド15bとが柱状電極20によって接続される。
【0022】
例えば、図2Aおよび図2Bの(1)、(2)が行を示し、[1]~[10]が列を示すものとする。このとき、(k)行[j]列(k=1、2、j=1~10)の電極パッド18は、(k)行[j]列の電極パッド15bに接続される。電極パッド18、15bは、それぞれほぼ等間隔でXおよびY方向に配列されている。これにより、柱状電極20は、ほぼ等しい角度で傾斜し、互いに接触しない。
【0023】
第1実施形態によれば、配線基板12から金属バンプ13までの電気的な経路は、配線基板12から電極パッド15b、柱状電極20、電極パッド18および配線基板10を介して金属バンプ13へ達する。
【0024】
比較例として、柱状電極20が設けられていない場合について説明する。配線基板12から金属バンプ13までの電気的な経路は、配線基板12から電極パッド15a、柱状電極19、電極パッド16、半導体チップ11および配線基板10(半導体チップ11から配線基板10へは通常のワイヤボンディング等を用いる)を介して金属バンプ13へ達する。このように、比較例として柱状電極20を介さない場合、金属バンプ13から配線基板12までの配線経路には、半導体チップ11およびZ方向に延伸する柱状電極19が介在する。このため、半導体チップ11内の配線を経由する必要があるため、配線経路が長くなるおそれがある。例えば、柱状電極20が設けられていない場合には、或る電極パッド15bから或る電極パッド18までの経路は、図1の破線矢印A1のように迂回することになる。
【0025】
これに対し、第1実施形態による半導体装置1は、配線基板12から金属バンプ13までの配線経路に半導体チップ11を介在さず、配線基板12の電極パッド15bと配線基板10の電極パッド18との間を柱状電極20で直接接続している。柱状電極20は、互いに接続する電極パッド15b、18の相対的な位置に従って傾斜している。これにより、配線基板12から金属バンプ13までの配線経路が短くなる。
【0026】
例えば、図1の実線矢印A2で示すように、電極パッド15bは、傾斜する柱状電極20を介して電極パッド18に接続される。従って、電極パッド15bは、迂回することなく、実線矢印A2のような比較的短い経路で電極パッド18に接続され得る。その結果、半導体チップ11からの出力信号の遅延やその減衰を抑制し、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態による半導体装置1の構成例を示す模式断面図である。第2実施形態では、パッケージP1上に、他のパッケージP2が積層されている。
【0028】
パッケージP1は、配線基板10の第2面F2上に電極パッド18が設けられている点で第1実施形態と異なる。パッケージP1のその他の構成は、第1実施形態の半導体装置1と同じ構成でよい。
【0029】
パッケージP2は、配線基板4と、半導体チップ5と、柱状電極9と、樹脂層21と、金属バンプ6とを備えている。
【0030】
配線基板4は、第5面F5と、第5面F5に対して反対側の第6面F6とを有する。第5面F5上には、複数の電極パッド7が設けられている。配線基板4は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線構造(図示せず)を有する。電極パッド7および配線層は、配線基板12のいずれかの配線層に電気的に接続されている。電極パッド7には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。配線基板4の上方には、積層された複数の半導体チップ5が設けられている。
【0031】
複数の半導体チップ5は、第5面F5上方に積層されている。各半導体チップ5は、半導体チップ11と同様に、メモリセルアレイ、トランジスタ、キャパシタ等の半導体素子(図示せず)を有する。半導体チップ5は、例えば、複数のメモリセルを3次元的に立体配置したNAND型フラッシュメモリのメモリチップでもよいし、あるいは、任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。半導体チップ5は、互いに同一構成を有する半導体チップでもよいが、互いに異なる構成を有する半導体チップであってもよい。
【0032】
複数の半導体チップ5は、互いに接着層(図示せず)によって接着されている。接着層の材料は、上記したとおりである。
【0033】
複数の半導体チップ5は、表面に露出された電極パッド8を有する。半導体チップ5上に積層される他の半導体チップ5は、下段の半導体チップ5の電極パッド8に重複しないように、下段の半導体チップ5の電極パッド7が設けられた辺に対して略垂直方向(X方向)にずらされて積層されている。
【0034】
電極パッド8は、半導体チップ5に設けられた半導体素子のいずれかに電気的に接続されている。電極パッド8には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。
【0035】
柱状電極9は、半導体チップ5の電極パッド8と配線基板4の電極パッド7との間に接続され、第5面F5に略垂直なZ方向に延伸している。柱状電極9の下端は、ワイヤボンディング法によって電極パッド7に接続されている。柱状電極9には、例えば、金ワイヤ等の導電性ボンディングワイヤが用いられる。
【0036】
樹脂層21は、第5面F5側において、積層された複数の半導体チップ5および柱状電極9を被覆(封止)している。樹脂層22には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。
【0037】
金属バンプ6は、配線基板4の第6面F6上に設けられている。金属バンプ6は、配線基板4を介して複数の電極パッド7に電気的に接続されている。金属バンプ6は、パッケージP1の配線基板10の電極パッド18に接続するために用いられる。金属バンプ6には、例えば、はんだ等の導電性材料が用いられる。
【0038】
このように、パッケージP2は、配線基板10の第2面F2上に積層され、配線基板10に電気的に接続されている。
【0039】
第2実施形態のように、複数のパッケージP1、P2を積層させてもよい。このような構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態による半導体装置1の構成例を示す模式断面図である。第3実施形態では、複数のパッケージP1が積層されており、その上に、パッケージP2が積層されている。パッケージP2は、積層された複数のパッケージP1のうち最上段のパッケージP1上に積層されている。パッケージP2は、パッケージP1の上に積層されており、再配線層が不要な場合がある。このような場合には、パッケージP2上には、配線基板を設けない場合がある。第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。これにより、第3実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第4実施形態)
図5は、第4実施形態による半導体装置1の構成例を示す模式断面図である。第4実施形態では、配線基板10の電極パッド18および配線基板12の電極パッド15bの配置が第2実施形態のそれと異なる。それに伴い、第4実施形態の柱状電極20の構成は、第2実施形態のそれと異なる。
【0042】
図6Aは、配線基板10における電極パッド18の配置を示す透視平面図である。図6Bは、配線基板12における電極パッド15bの配置を示す模式平面図である。図6Aは、第2面F2側から透視した配線基板10の配置を示しており、図6Bは、第3面F3側からみた配線基板12を示している。即ち、図6Aおよび図6Bは、ともにZ方向の上方(図1の矢印A10)からみた模式平面図を示している。また、図5は、図5Aおよび図5Bの矢印A11の方向から見た模式断面図を示している。尚、図6Aおよび図6Bでは、配線基板10、12における電極パッド18、15bの位置を示しており、他の電極パッド15aや金属バンプ6等他の構成要素については図示を省略している。本来、第2面F2側から見ると配線基板10の電極パッド18は見えないが、図6Aでは模式的に透視図として描写している。
【0043】
配線基板10、12を図5のパッケージにした場合、図6Aの辺10aと図6Bの辺12aとを対応させ、かつ、図6Aの辺10bと図6Bの辺12bとを対応させる。これにより、図5に示す配置状態となる。Z方向から見た平面視において、辺10aと辺12aはほぼ重複し、辺10bと辺12bもほぼ重複する。
【0044】
一方、電極パッド18は、辺10c側に偏在している。辺10cは、配線基板10の辺10bに隣接する辺であり、辺10bに対して略直行するY方向に延伸する辺である。また、電極パッド15bは、辺12a側に偏在している。Z方向から見た平面視において、柱状電極20によって接続される電極パッド18と電極パッド15bは、辺10c、12aに偏在しているので、互いにずれて配置されている。これにより、柱状電極20は、Z方向からX方向およびY方向に傾斜して配線される。即ち、柱状電極20は、Z方向、X方向およびY方向のいずれに対しても傾斜している。このように、第4実施形態では、半導体チップ11が存在しない角部C10、C18の空間を利用して、柱状電極20を配線する。
【0045】
図6Aに示すように、電極パッド18は、行方向に4行、列方向に5列で配列されている。図6Bに示すように、電極パッド15bも、行方向に4行、列方向に5列で配列されている。これにより、電極パッド18と電極パッド15bは、1対1に対応しており、それぞれ対応した電極パッド18と電極パッド15bとが柱状電極20によって接続される。複数の柱状電極20は、互いに接触することなく、略平行に延伸している。
【0046】
例えば、図6Aおよび図6Bの(1)~(4)が行を示し、[1]~[5]が列を示すものとする。このとき、(k)行[j]列(k=1~4、j=1~5)の電極パッド18は、(k)行[j]列の電極パッド15bに接続される。電極パッド18、15bは、それぞれほぼ等間隔でXおよびY方向に配列されている。これにより、柱状電極20は、ほぼ等しい角度で傾斜し、互いに接触しない。
【0047】
このように、第4実施形態では、半導体チップ11が存在しない角部C10、C18の空間を利用して、柱状電極20を配線する。これにより、柱状電極20は、様々な配置の電極パッド15b、18を接続することができる。
【0048】
第4実施形態の他の構成は、第2実施形態と同様でよい。これにより、第4実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第4実施形態は、第1または第3実施形態に適用してもよい。
【0049】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態による半導体装置1の構成例を示す模式断面図である。第5実施形態では、パッケージP1の下に、他のパッケージP3が設けられている。
【0050】
パッケージP1、P2は、第2実施形態の対応する構成と同じでよい。
【0051】
パッケージP3は、配線基板25、27と、半導体チップ26と、柱状電極34、35と、樹脂層36と、金属バンプ28とを備えている。パッケージP3は、パッケージP1の配線基板の第4面F4側に積層されている。
【0052】
配線基板25は、第7面F7と、第7面F7に対して反対側の第8面F8とを有する。第7面F7上には、複数の電極パッド33が設けられている。電極パッド33は、配線基板25のいずれかの配線層に電気的に接続されている。配線基板25は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線構造(図示せず)を有する。電極パッド33および配線層には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。配線基板25と配線基板27との間には、1または複数の半導体チップ26が設けられている。
【0053】
配線基板27は、第9面F9と、第9面F9に対して反対側の第10面F10とを有する。第9面F9上には、複数の電極パッド29a、29bが設けられている。電極パッド29a、29bは、配線基板27のいずれかの配線層に電気的に接続されている。配線基板27は、複数の配線層と複数の絶縁層とを積層した多層配線構造(図示せず)を有する。電極パッド29a、29bおよび配線層には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。絶縁層には、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。配線基板25の第7面F7と配線基板27の第9面F9とは、互いに対向しており、1または複数の半導体チップ26を挟んでいる。
【0054】
1または複数の半導体チップ26は、第7面F7上に設けられている。各半導体チップ26は、トランジスタ、キャパシタ等の半導体素子(図示せず)を有する。半導体チップ26は、例えば、メモリチップを制御するコントローラあるいは任意のLSIを搭載した半導体チップでもよい。
【0055】
半導体チップ26は、接着層(図示せず)によって配線基板25に接着されている。接着層の材料は、上述したとおりである。
【0056】
電極パッド31は、半導体チップ26に設けられた半導体素子のいずれかに電気的に接続されている。電極パッド31には、例えば、Al、Cu、Au、Ni、Pd、W、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合膜、または、それらのうち2種以上の合金等の低抵抗金属が用いられる。
【0057】
柱状電極35は、半導体チップ26の電極パッド31と配線基板27の電極パッド30との間に接続され、第7面F7および第9面F9に略垂直なZ方向に延伸している。柱状電極35の下端は、ワイヤボンディング法によって電極パッド31に接続されている。柱状電極35には、例えば、金ワイヤ等の導電性ボンディングワイヤが用いられる。
【0058】
柱状電極34の一端は、配線基板25の電極パッド33に接続され、その他端は、配線基板27の電極パッド29bに接続されている。即ち、柱状電極34は、電極パッド33と電極パッド29bとの間を接続している。1つの柱状電極34で接続される互いに対応する電極パッド33、29bは、Z方向から見たときに、X方向またはY方向にずれて配置されている。従って、柱状電極34は、第7面F7および第9面F9に略垂直なZ方向に対して傾斜方向へ延伸している。柱状電極34は、X方向および/またはY方向に対してさらに傾斜してもよい。柱状電極34は、ワイヤボンディング法によって電極パッド33に接続された後、上記傾斜方向へ引き出されて、所定の長さで切断される。柱状電極34となるワイヤは、切断後、傾斜方向へ延伸した状態で自立している。柱状電極34には、例えば、金ワイヤ等の導電性ボンディングワイヤが用いられる。
【0059】
樹脂層36は、第7面F7と第9面F9との間において、半導体チップ26および柱状電極34、35を被覆(封止)している。樹脂層36には、例えば、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、PBO系樹脂、シリコーン系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂等の樹脂、または、これらの混合材料、複合材料等の有機系絶縁材料が用いられる。
【0060】
金属バンプ28は、配線基板27の第10面F10上に設けられている。金属バンプ28は、配線基板27を介して電極パッド29a、29bに電気的に接続されている。金属バンプ28は、他の配線基板または他の半導体パッケージと接続するために用いられる。金属バンプ28には、例えば、はんだ等の導電性材料が用いられる。
【0061】
配線基板27の第8面F8上には、電極パッド32が設けられており、金属バンプ13に接続されている。このように、パッケージP1~P3は積層されており、互いに電気的に接続されている。これにより、例えば、半導体チップ26がコントローラチップであり、半導体チップ5、11がメモリチップである場合、パッケージP3のコントローラチップ26が、他のパッケージP1、P2のメモリチップ5、11を制御することができる。
【0062】
本実施形態によれば、電極パッド29bは、傾斜する柱状電極34を介して電極パッド33に接続される。従って、電極パッド29bは、迂回することなく、比較的短い経路で電極パッド33に接続され得る。その結果、半導体チップ26からパッケージP1、P2の半導体チップへの出力信号の遅延やその減衰を抑制し、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0063】
尚、第5実施形態のパッケージP3は、第1~第4実施形態のいずれのパッケージP1に適用してもよい。
【0064】
(第6実施形態)
図8および図9は、第6実施形態による半導体装置1の構成例を示す模式断面図である。図8は、図10および図11のVIII-VIII線に沿った断面を示す。図9は、図10および図11のIX-IX線に沿った断面を示す。図10は、第6実施形態によるパッケージP2の構成例を示す模式平面図である。図11は、第6実施形態によるパッケージP1の構成例を示す模式平面図である。図11および図12は、ともにZ方向の上方(図8図9の矢印A10)から見た平面を示している。また、図8は、図10および図11の矢印A12の方向から見た断面を示し、図9は、図10および図11の矢印A13の方向から見た断面を示す。
【0065】
第6実施形態では、半導体チップ5a~5c、11a~11cの配置の仕方、配線基板10における電極パッド15c、15dのレイアウト、配線基板12における電極パッド18c、18dのレイアウト、配線基板4における電極パッド7c、7dのレイアウト、並びに、柱状電極20a~20cの構成において第2実施形態と異なる。第6実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0066】
図8図10に示すように、パッケージP2内において、積層された複数の半導体チップ5a~5cは、3つのグループ5a~5cに分かれている。複数の半導体チップのグループ5aは、それぞれ電極パッド8aを有する。グループ5aは、図10に示すように、それぞれの電極パッド8aをパッケージP2の辺4a側に寄せる(近付ける)ように積層される。半導体チップのグループ5bは、グループ5aの下に設けられ、それぞれ電極パッド8bを有する。グループ5bは、図10に示すように、それぞれの電極パッド8bをパッケージP2の辺4d側に寄せる(近付ける)ように積層される。半導体チップのグループ5cは、グループ5bの下に設けられ、それぞれ電極パッド8cを有する。グループ5cは、図10に示すように、それぞれの電極パッド8cをパッケージP2の辺4c側に寄せる(近付ける)ように積層される。
【0067】
図8図9および図11に示すように、パッケージP1内において、積層された複数の半導体チップ11a~11cは、3つのグループ11a~11cに分かれている。半導体チップのグループ11aは、図9に示すように、それぞれ電極パッド16aを有する。半導体チップのグループ11aは、図11に示すように、それぞれの電極パッド16aをパッケージP1の辺10b側に寄せる(近付ける)ように積層される。半導体チップのグループ11bは、グループ11aの下に設けられ、図8に示すように、それぞれ電極パッド16bを有する。グループ11bは、図11に示すように、それぞれの電極パッド16bをパッケージP1の辺10d側に寄せる(近付ける)ように積層される。半導体チップのグループ11cは、グループ11bの下に設けられ、図8および図9に示すように、それぞれ電極パッド16cを有する。グループ11cは、図11に示すように、それぞれ電極パッド16cをパッケージP1の辺10c側に寄せる(近付ける)ように積層される。
【0068】
図11に示すように、Z方向から見た平面視において、半導体チップ11aの電極パッド16aが設けられた第1辺11a_1と該辺11a_1に近いパッケージP1の第4辺10bとの距離をDa_1とする。辺11a_1に対して反対側の半導体チップ11aの第5辺11a_2と辺10bに対して反対側のパッケージP1の第6辺10aとの距離をDa_2とする。このとき、距離Da_1は、距離Da_2よりも短い。同様に、半導体チップ11bの電極パッド16bが設けられた辺11b_1と該辺11b_1に近いパッケージP1の辺10dとの距離をDb_1とする。辺11b_1に対して反対側の半導体チップ11bの辺11b_2と辺10dに対して反対側のパッケージP1の辺10cとの距離をDb_2とする。このとき、距離Db_1は、距離Db_2よりも短い。さらに、半導体チップ11cの電極パッド16cが設けられた辺11c_1と該辺11c_1に近いパッケージP1の辺10cとの距離をDc_1とする。辺11c_1に対して反対側の半導体チップ11cの辺11c_2とパッケージP1の辺10dとの距離をDc_2とする。このとき、距離Dc_1は、距離Dc_2よりも短い。
【0069】
このように、半導体チップの各グループ11a~11cの電極パッド16a~16cをパッケージP1の辺10a~10dのいずれかに寄せて配置することによって、電極パッド16a~16cのある辺11a_1、11b_1、11c_1に対して反対側の辺11a_2、11b_2、11c_2の近傍にスペースRb、Rcが得られる。第6実施形態では、スペースRbは、パッケージP1の辺10aと辺10dとからなる角部に設けられる。スペースRcは、パッケージP1の配線基板10、12の辺10bと10cとからなる角部に設けられる。図8および図9に示す柱状電極20b、20cが接続される電極パッド15d、18dは、スペースRb、Rcに配置される。スペースRb、Rcにおいては、図8に示すように、柱状電極20b、20cは、Z方向に対して傾斜方向へ配線されている。
【0070】
尚、図示しないが、第3実施形態のように積層された複数のパッケージP1がパッケージP2の下に設けられていてもよい。
【0071】
図12は、第6実施形態による電極パッド15d、18dの配置例および柱状電極20の構成例を示す模式斜視図である。電極パッド15d、18dは、それぞれ配線基板10、12に配置されており、例えば、スペースRb、Rcに設けられている。
【0072】
電極パッド15dは、Z方向から見た平面視において、配線基板10上に行方向に3行、列方向に6列で配列されている。電極パッド18dは、Z方向から見た平面視において、配線基板12上に行方向に6行、列方向に3列で配列されている。電極パッド15dと電極パッド18dは、互いに配置(行数および列数)が異なるものの、それらの個数は18個で同じであり1対1に対応している。従って、柱状電極20は、電極パッド15dと電極パッド18dとを1対1で接続することができる。
【0073】
このように、電極パッド15d、18dがそれぞれ異なる行列に配置に構成されても、柱状電極20は、Z方向から傾斜して配線されるので、互いに短絡せずに、電極パッド15dと電極パッド18dとを1対1に接続することができる。このとき、柱状電極20の角度は互いに異なる場合がある。
【0074】
さらに、一般化すると、電極パッド15dは、配線基板10上において、行方向にm行、列方向にn列(m、nは1以上の整数かつm≠n)で配列されてもよい。電極パッド18dは、配線基板12上において、行方向にn行、列方向にm列に配列される。柱状電極20は、Z方向から傾斜方向に延伸しており、互いに短絡せずに、互いに対応する電極パッド15dと電極パッド18dとを1対1で接続することができる。
【0075】
次に、第1実施形態による半導体装置1(パッケージP1)の製造方法について説明する。尚、第2~第6実施形態による半導体装置またはパッケージP1、P2は、第1実施形態の製造方法から容易に理解できるので、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図13図16は、第1実施形態による半導体装置1(パッケージP1)の製造方法の一例を示す模式断面図である。尚、図13図16は、図1とはZ方向に天地逆転して構造を図示している。
【0077】
まず、複数の電極パッド18を有する第1面F1と第1面F1に対して反対側の第2面F2とを有する配線基板10を用意する。次に、図13に示すように、配線基板10の第1面F1上に、複数の半導体チップ11を積層する。半導体チップ11は、電極パッド16を有する。
【0078】
次に、図14に示すように、半導体チップ11の電極パッド16上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤを第1面F1に対して略垂直方向に引き出して柱状電極19を形成する。柱状電極19は、上端において切断され、柱状電極19自体の剛性によってそのまま直立状態を維持する。
【0079】
また、配線基板10の電極パッド18上にワイヤボンディング法で金属ワイヤをボンディングし、この金属ワイヤをZ方向に対して傾斜する方向に引き出して柱状電極20を形成する。柱状電極20は、上端において切断され、柱状電極20自体の剛性によってそのまま傾斜状態を維持する。従って、複数の柱状電極20は、互いに接触しないように傾斜したまま略平行状態を維持する。
【0080】
柱状電極19、20には、例えば、Cu、Ni、W、Au、Ag、Pd、Sn、Bi、Zn、Cr、Al、Ti等の単体、それらのうち2種以上の複合材料、または、それらのうち2種以上の合金等が用いられる。好ましくは、柱状電極19、20の材料として、Au、Ag、Cu、Pdの単体、それらのうち2種以上の複合材料、または、それらのうち2種以上の合金等が用いられる。さらに好ましくは、柱状電極19、20の材料として、それらのうち硬度の高い材料、例えば、Cu、CuPd合金、Cu上にPdを被覆した材料が用いられる。これにより、柱状電極19、20は、樹脂層22で被覆するときに屈曲し難くなり、倒壊し難くなる。
【0081】
次に、図15に示すように、樹脂層22で半導体チップ11の積層体および柱状電極19、20を被覆する。樹脂層22には、例えば、エポキシ系、フェノール系、ポリイミド系、ポリアミド系、アクリル系、PBO系、シリコーン系、ベンゾシクロブテン系などの樹脂、これらの混合材料、複合材料が用いられる。エポキシ樹脂の例としては、特に限定しないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ポリエーテル変性エポキシ樹脂、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂、アニリン型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、CTBN変性エポキシ樹脂、及び、これらの水添化物等が挙げられる。これらの中も、シリコンとの密着性が良いことから、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が好ましい。また、速硬化性が得られやすいことから、ベンゾフェノン型エポキシ樹脂も好ましい。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、樹脂層22の中にはシリカ等のフィラーが含まれていてもよい。
【0082】
次に、樹脂層22は、オーブン等で加熱し、あるいは、UV光を照射することによって硬化させる。
【0083】
次に、CMP法、機械研磨法等を用いて、柱状電極19、20の上端が露出されるまで樹脂層22を研磨する。これにより、図15に示す構造が得られる。
【0084】
次に、図16に示すように、樹脂層22上に配線基板(再配線層)12を積層する。配線基板12の電極パッド15aは、柱状電極19に接続され、電極パッド15bは、柱状電極20に接続される。柱状電極19、20は、電極パッド15a、15bに対応するようにワイヤボンディングにおいて予め引き出される。
【0085】
その後、図1に示すように、配線基板10の第2面F2上に金属バンプ13を形成する。これにより、図1に示す半導体装置1が完成する。
【0086】
第2実施形態では、図5に示すように、パッケージP1の配線基板10上にパッケージP2を積層する。これにより、パッケージP2の配線基板4の金属バンプ6を、パッケージP1の配線基板10の第2面F2上の電極パッド18に接続する。このように第2実施形態による半導体装置1を製造することができる。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 半導体装置、10 配線基板、12 配線基板、11 半導体チップ、19,20 柱状電極、22 樹脂層、13 金属バンプ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16