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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112933
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】面接触型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220727BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H05K7/20 N
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008973
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】藤島 史郎
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA06
5E322AA08
5E322AA11
5E322AB04
5E322EA10
5F136BA07
5F136CB07
5F136DA50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱交換器本体の外面に載置される熱交換対象物と、熱交換器本体の内部に流通する流体との熱伝達を向上させる面接触型熱交換器を提供する。
【解決手段】面接触型熱交換器において、平坦な熱交換器本体5の内部にインナフィン6を配置し、そのインナフィン6の側面部9を一定範囲で伸縮可能にし、熱交換対象物3と接触面4との面接触を向上させる。インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9が互いに略平行であり、かつ、平行二面2に対して斜めに傾いている。熱交換器本体5の外周には、平行二面2の対向方向に伸縮可能な断面蛇腹状部が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する略平行な平行二面(2)を内面側に有し、その少なくとも一方の外面側には熱交換対象物(3)との接触面(4)が形成され、内部に流体(13)が流通する熱交換器本体(5)と、前記平行二面(2)間を締結する締結部と、を具備する面接触型熱交換器において、
前記締結部として、前記平行二面(2)間にインナフィン(6)が配置されており、
前記インナフィン(6)は、前記平行二面(2)に接合され、その平行二面(2)の少なくとも当該一方の面が対向方向に伸縮可能となる弾性変形構造を有することを特徴とする面接触型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン(6)は、コルゲート状であり、その側面部(9)が互いに略平行であり、かつ前記平行二面(2)に対して斜めに傾いていることを特徴とする面接触型熱交換器。
【請求項3】
請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン(6)は、コルゲート状であり、その側面部(9)が互いに略平行であり、かつ前記平行二面(2)に対して斜めに傾いているフィンと、同様であるがそれとは逆の傾きをもつ側面部(9)を有するフィンとを前記平行二面(2)の対向方向に積層したもの1対を単位として構成されていることを特徴とする面接触型熱交換器。
【請求項4】
請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン(6)は、コルゲート状であり、その側面部(9)に折り曲げ部または湾曲部を有し、その折り曲げ部または湾曲部の稜線が前記平行二面(2)と略平行に伸びていることを特徴とする面接触型熱交換器。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれかに記載の面接触型熱交換器において、
前記熱交換器本体(5)の外周に、前記対向方向に伸縮可能な断面蛇腹状部(10)が形成されたことを特徴とする面接触型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面側に取付けられた熱交換対象物と内面側を流通する流体との間で熱交換する面接触型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な面接触型熱交換器は、その内側に、対向する略平行な平行二面を有し、それらの間には流体が流通する流路が形成されている。そして、この平行二面の間には、主に、
流路の内圧に対する耐圧性を確保するために、突部、突条等による締結部が設けられている。
また、当該熱交換器の外面側には、熱交換対象物との接触面が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特に接触面が大きい場合に、接触面の平面度を高く形成することは製作精度の点から困難であり、熱交換対象物との面接触を十分に確保できないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明では、接触面と熱交換対象物との面接触を十分に確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、対向する略平行な平行二面2を内面側に有し、その少なくとも一方の外面側には熱交換対象物3との接触面4が形成され、内部に流体13が流通する熱交換器本体5と、前記平行二面2間を締結する締結部と、を具備する面接触型熱交換器において、
前記締結部として、前記平行二面2間にインナフィン6が配置されており、
前記インナフィン6は、前記平行二面2に接合され、その平行二面2の少なくとも当該一方の面が対向方向に伸縮可能となる弾性変形構造を有することを特徴とする面接触型熱交換器である。
【0006】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9が互いに略平行であり、かつ前記平行二面2に対して斜めに傾いていることを特徴とする面接触型熱交換器である。
【0007】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9が互いに略平行であり、かつ前記平行二面2に対して斜めに傾いているフィンと、同様であるがそれとは逆の傾きをもつ側面部9を有するフィンとを前記平行二面2の対向方向に積層したもの1対を単位として構成されていることを特徴とする面接触型熱交換器である。
【0008】
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の面接触型熱交換器において、
前記インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9に折り曲げ部または湾曲部を有し、その折り曲げ部または湾曲部の稜線が前記平行二面2と略平行に伸びていることを特徴とする面接触型熱交換器である。
【0009】
請求項5に記載の本発明は、請求項1~請求項4のいずれかに記載の面接触型熱交換器において、
前記熱交換器本体5の外周に、前記対向方向に伸縮可能な断面蛇腹状部10が形成されたことを特徴とする面接触型熱交換器である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明において、接触面4は平行二面2の対向方向に弾性伸縮可能となるので、流体13による内圧、熱交換対象物3と接触面4とを面接触させるために機械的に印可された圧力、熱交換対象物3の自重による圧力等により、接触面4が熱交換対象物3の外面に沿って変位、変形することが可能となり、接触面4と熱交換対象物3との面接触が向上する。
なお、流体13の内圧によって、平行二面2が互いに離れる方向に変位、変形した場合、その変位、変形は弾性限界によって抑制されるので、過剰な変位、変形は抑制される。
また、熱交換対象物3と接触面4とを面接触させるために機械的に印可された圧力、または熱交換対象物3の自重による圧力によって、接触面4が熱交換対象物3の外面に沿って変位、変形した場合、過剰な圧力による変位、変形は弾性変形に対する反力によって抑制される。また、熱交換対象物3からの接触面4の浮き、離れも、当該反力によって接触面4が熱交換対象物に押しつけられることによって抑制される。
【0011】
請求項2に記載の発明において、インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9が互いに略平行であり、かつ前記平行二面2に対して斜めに傾いているので、インナフィン6の側面部9の傾斜角度が変化する(側面部9の起き上がる、または、倒れる)ことにより、面接触の向上に有効な弾性が生じる。また、側面部9の傾斜角度が直角となった時点で、前記平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。
【0012】
請求項3に記載の発明において、インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9が互いに略平行であり、かつ前記平行二面2に対して斜めに傾いているフィンと、同様であるがそれとは逆の傾きをもつ側面部9を有するフィンとを前記平行二面2の対向方向に積層したもの1対を単位として構成されているので、インナフィン6の側面部9の傾斜角度の変化により、面接触の向上に有効な弾性が生じる。また、側面部9の傾斜角度が直角となった時点で、前記平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。
さらに、この構成の場合、インナフィン6が前記平行二面2の対向方向に伸縮しても、平行二面2の横ずれ方向の相対位置はほとんど変化しない。
【0013】
請求項4に記載の発明において、インナフィン6は、コルゲート状であり、その側面部9に折り曲げ部または湾曲部を有し、その折り曲げ部または湾曲部の稜線が前記平行二面2と略平行に伸びているので、インナフィン6の側面部9の折り曲げ部の角度または湾曲部の曲率が変化することにより、面接触の向上に有効な弾性が生じる。また、インナフィン6の側面部9の折り曲げ部または湾曲部が平坦となった時点で、前記平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。
また、この構成の場合、インナフィン6が前記平行二面2の対向方向に伸縮しても、平行二面2の横ずれ方向の相対位置はほとんど変化しない。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1~請求項4までのいずれかの構成に加えて、前記熱交換器本体5の外周に、前記対向方向に伸縮可能な断面蛇腹状部10が形成されたものである。
これにより、平行二面2間の対向方向の伸縮が容易になり、接触面4の弾性伸縮も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の面接触型熱交換器の第1実施例の横断面略図。
図2】同熱交換器の第1実施例の分解斜視図。
図3】同熱交換器の第1実施例の要部横断面図。
図4】同熱交換器の第2実施例の要部横断面図。
図5】同熱交換器の第3実施例の要部横断面図。
図6】同熱交換器の第4実施例の要部横断面図(A)及び同熱交換器の分解斜視図(B)。
図7】同熱交換器の第5実施例の要部横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
本発明の面接触型熱交換器は、電気自動車、ハイブリッド自動車等に用いられる電池、インバータ等を冷却する冷却器として好適であるが、熱交換対象物を加熱する加熱器としても利用できる。
【実施例0017】
図1は本発明の第1実施例の面接触型熱交換器の要部横断面略図、図2はその分解斜視図である。
この例の熱交換器本体5は、皿状に形成されたプレートと、その開口を閉塞するプレートを有する。そして、皿状に形成されたプレートの内面側には第2面1bが形成され、その開口を閉塞するプレートの内面側には第1面1aが形成されており、第1面1aと第2面1bとは略平行に対向しており、それらは平行二面2を形成している。そしてその平行二面2間には流体13が流通する流路が形成されている。さらに、平行二面2の少なくとも一方の外面側には、熱交換対象物3の外面と面接触する接触面4が形成されている。
また、熱交換器本体5には一対の孔12が穿設されており、それらの孔12にパイプ11が接続されている。そして、流体13が一方のパイプ11から熱交換器本体5内に流入し、他方のパイプ11から流出する。
【0018】
熱交換器本体5の平行二面2間を締結する締結部としてインナフィン6がそれらの間に接合されている。インナフィン6は、図1に示す如く、頂部7と底部8とそれらをつなぐ側面部9とからなる矩形波状のコルゲートフィンである。インナフィン6は、その頂部7の稜線が、流体13の流通方向と略平行になるように配置される(図2)。
この例では、図1に示す如く、各頂部7は第1面1aに接合され、各底部8は第2面1bに接合されており、側面部9は互いに略平行であり、且つ平行二面2に対して斜めに傾斜している。なお、この例では、側面部9が紙面右側に傾いて傾斜しているが、側面部9を紙面左側に傾いて傾斜してもよい。
ここで、インナフィン6の側面部9の傾斜角度が変化する(起き上がるまたは、倒れる)ことにより、図3に示す接触面4が平行二面2の対向方向Hに弾性伸縮することが可能となる。このインナフィン6の側面部9の傾斜角度が直角となると、平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。
【0019】
この構造により、流体13による内圧、熱交換対象物3と接触面4とを面接触させるために機械的に印可された圧力、熱交換対象物3の自重による圧力等により、接触面4が熱交換対象物3の外面に沿って変位、変形することが可能となり、接触面4と熱交換対象物3との面接触が向上する。その結果、熱交換対象物3と流体13との熱伝達が十分に行われる。
なお、流体13の内圧によって、平行二面2が互いに離れる方向に変位、変形した場合、その変位、変形は弾性限界によって抑制されるので、過剰な変位、変形は抑制される。
また、熱交換対象物3と接触面4とを面接触させるために機械的に印可された圧力、または熱交換対象物3の自重による圧力によって、接触面4が熱交換対象物3の外面に沿って変位、変形した場合、過剰な圧力による変位、変形は弾性変形に対する反力によって抑制される。また、熱交換対象物3からの接触面4の浮き、離れも、当該反力によって接触面4が熱交換対象物に押しつけられることによって抑制される。
【実施例0020】
次に、図4は本発明の第2実施例の熱交換器の要部横断面図である。
この例では、上下一対のインナフィン6が二段に積層されている。両インナフィン6はともに、矩形波状のコルゲートフィンであるが、上側のインナフィン6の平行二面2に対する側面部9の傾きは、下側のインナフィン6の平行二面2に対する側面部9の傾きとは逆向きに形成されている(上下のインナフィン6が互いに面対称に配置されている)。
積層された互いのインナフィン6の接触部は、ろう付等により接続されている。ただし、各インナフィン6の矩形波の周期方向の両端部は、自由端となっている。
第1実施例同様、インナフィン6の側面部9の傾斜角度が変化する(起き上がるまたは、倒れる)ことにより、接触面4が平行二面2の対向方向に弾性伸縮することが可能となる。また、側面部9の傾斜角度が直角となった時点で、平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。そして、インナフィン6が平行二面2の対向方向に伸縮しても、平行二面2の横ずれ方向の相対位置はほとんど変化しない。
なお、この第2実施例は、上下一対のインナフィン6によって構成されているが、それを単位として積層した複数の対によって構成してもよい。
【実施例0021】
次に、図5は本発明の第3実施例の熱交換器の要部横断面図である。
この例のインナフィン6も、コルゲートフィンであるが、その側面部9の、平行二面2の対向方向の中間部に、折り曲げ部が形成されている。そして、その折り曲げ部の稜線は、平行二面2と略平行に伸びている。
この例では、インナフィン6の側面部9の折り曲げ部の角度が変化することにより、接触面4が平行二面2の対向方向に弾性伸縮することが可能となる。また、インナフィン6の側面部9の折り曲げ部が平坦となった時点で、平行二面2が互いに離反する方向の変位、変形は制限される。そして、第2実施例同様、インナフィン6が平行二面2の対向方向に伸縮しても、平行二面2の横ずれ方向の相対位置はほとんど変化しない。なお、この例では、側面部9に紙面左側に凸に曲折された折り曲げ部が形成されているが、この折り曲げ部は紙面右側に凸に形成されていてもよい。また、すべての側面部9の折り曲げ部の曲折の方向が同一である必要はなく、例えば、インナフィン6の1つの波の対向する側面部9の一方側が紙面左側に凸に曲折され、他方側が紙面右側に凸に曲折されている形状でもよい。なお、側面部9の折り曲げ回数は本実施例の1回に限らず、2回以上であってもよい。
【0022】
上記第3実施例の折り曲げ部に替えて、湾曲部を側面部9に形成してもよい。その湾曲部の稜線は、上記第3実施例と同様に、平行二面2と略平行に伸びている。
インナフィン6の側面部9の湾曲部の曲率が変化することにより、接触面4が平行二面2の対向方向に弾性伸縮することが可能となる。
【実施例0023】
次に、図6は本発明の第4実施例の熱交換器であり、この例が前記実施例と異なる点は、熱交換器本体5の外周全周に蛇腹状部10が形成されたことである。
即ち、熱交換器本体5を構成する下面側のプレートの外周に横断面が蛇腹状の周縁部が形成されている。
これにより、当該外周の伸縮が容易となるので、平行二面2間の対向方向の伸縮が容易になり、接触面4の弾性伸縮も容易となる。
なお、蛇腹状部10は図6に示した形状に限らず、図7に示すような蛇腹状部10であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、平板型電池冷却器等の面接触型熱交換器として利用できる。
【符号の説明】
【0025】
1a 第1面
1b 第2面
2 平行二面
3 熱交換対象物
4 接触面
5 熱交換器本体
6 インナフィン
7 頂部
8 底部
9 側面部
10 蛇腹状部
11 パイプ
12 孔
13 流体
H 対向方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7