(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112935
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】支持器及び索道
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220727BHJP
B61B 12/02 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H02G1/02
B61B12/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021008977
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】重松 孝一
(72)【発明者】
【氏名】沖村 成
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AB01
5G352AB03
(57)【要約】
【課題】鉄塔に加工痕を残すことなく取り付けることができる支持器及び索道を提供する。
【解決手段】索道は、鉛直方向に延びる4つの主柱材を有する鉄塔に取り付けられ、主索及び曳索を支持する索道用の支持器であって、4つの主柱材の中央部に配置され、主索及び曳索を支持する本体部と、本体部から4つの主柱材のそれぞれに延びる4つの取付具と、を備える。取付具は、一端が本体部に取り付けられたロープと、主柱材に巻き回し可能な帯ロープと、ロープの他端と帯ロープとを接続し、伸縮自在な伸縮具と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に延びる4つの主柱材を有する鉄塔に取り付けられ、主索及び曳索を支持する索道用の支持器であって、
4つの前記主柱材の中央部に配置され、主索及び曳索を支持する本体部と、
前記本体部から4つの前記主柱材のそれぞれに延びる4つの取付具と、
を備え、
前記取付具は、
一端が前記本体部に取り付けられたロープと、
前記主柱材に巻き回し可能な帯ロープと、
前記ロープの他端と前記帯ロープとを接続し、伸縮自在な伸縮具と、
を備える
支持器。
【請求項2】
さらに4つの前記取付具を備え、
1つの前記主柱材に対し、上下に分かれて2つの前記取付具を取り付け可能となっている
請求項1に記載の支持器。
【請求項3】
前記伸縮具は、ターンバックルである
請求項1又は請求項2に記載の支持器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の支持器と、
複数の前記支持器に支持された主索と、
前記主索に吊るされた搬器と、
複数の前記支持器に支持され、前記搬器と連結する曳索と、
を備えた索道。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、支持器及び索道に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線は、発電所から遠隔地に電力を供給するため、多くの鉄塔に支持されて長距離に亘って延在している。送電線は定期的に保守・点検が行われている。山間部に位置する送電線を保守・点検する場合、送電線に沿った道がなく、交換部品の搬送に困難となる。よって、特許文献1では、索道による搬送が提案されている。具体的には、主索を支持する支持器を各鉄塔に取り付けている。そして、各鉄塔間に主索を架け渡し、主索に搬器を吊す。これにより、送電線に沿って搬器が移動可能となり、交換部品を搬送することができる。また、交換部品の搬送後、各鉄塔から支持器を取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の索道は、締結具により支持器を鉄塔の水平材に固定している。よって、締結具(ボルトの軸部)を貫通させるための貫通孔を水平材に設ける必要がある。そして、水平材に加工痕(貫通孔)が残り、鉄塔の強度が損なわれる。
【0005】
本開示は、前記の課題に鑑みてなされたもので、鉄塔に加工痕を残すことなく取り付けることができる支持器及び索道を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る支持器は、鉛直方向に延びる4つの主柱材を有する鉄塔に取り付けられ、主索及び曳索を支持する索道用の支持器であって、4つの前記主柱材の中央部に配置され、主索及び曳索を支持する本体部と前記本体部から4つの前記主柱材のそれぞれに延びる4つの取付具と、を備える。前記取付具は、一端が前記本体部に取り付けられたロープと、前記主柱材に巻き回し可能な帯ロープと、前記ロープの他端と前記帯ロープとを接続し、伸縮自在な伸縮具と、を備える。
【0007】
本開示の支持器は、帯ロープを主柱材に巻き付けることで、鉄塔に取り付けられる。また、帯ロープを主柱材に巻き付けた後、伸縮具の短縮化を行う。これにより、帯ロープが主柱材を締め付ける力が強くなる。よって、帯ロープが緩んで落ちるということが回避される。また、交換部品を搬送した後、伸縮具を長尺化し、帯ロープの巻き付けを解除することで、支持器を鉄塔から取り外すことができる。以上から、本開示の支持器によれば、鉄塔に貫通孔を設けるという作業が不要となる。よって、鉄塔に加工痕が残らず、鉄塔の強度は保持される。また、鉄塔への取り付けは、帯ロープによる主柱材への巻き付けであるため、主柱材への取り付け位置を上下方向に自由に変更することができる。また、支持器の荷重は、4つの取付具によって4つの主柱材に均等に作用する。このため、1つの主柱材に作用する荷重が小さく、主柱材の補強が不要となる。
【0008】
また、一態様に係る支持器の好ましい態様として、さらに4つの前記取付具を備える。1つの前記主柱材に対し、上下に分かれて2つの前記取付具を取り付け可能となっている。
【0009】
1つの主柱材に対し、1つの取付具を本体部よりも上方に位置するように取り付け、もう1つの取付具を本体部よりも下方に位置するように取り付ける。これによれば、本体部が上下方向に移動せず、支持器の跳ね上がりを防止することができる。よって、搬器が安定して移動する。
【0010】
また、一態様に係る支持器の前記伸縮具は、ターンバックルであってもよい。
【0011】
また、本開示の一態様に係る索道は、複数の前記支持器と、複数の前記支持器に支持された主索と、前記主索に吊るされた搬器と、複数の前記支持器に支持され、前記搬器と連結する曳索と、を備える。
【0012】
本開示の索道によれば、鉄塔に加工痕が残らず、鉄塔の強度は保持される。また、鉄塔への取り付けは、帯ロープによる主柱材への巻き付けであるため、主柱材への取り付け位置を上下方向に自由に変更することができる。また、支持器の荷重は、4つの取付具によって4つの主柱材に均等に作用する。このため、1つの主柱材に対する荷重は小さく、主柱材の補強が不要となる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、鉄塔に加工痕を残すことなく支持器を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係る索道の概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る鉄塔の下部を拡大した拡大図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-IIIで切った断面を矢印方向から視た断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る支持器を正面から視た正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る支持器を側面から視た側面図である。
【
図6】
図6は、
図4の支持器のうち水平板を拡大した拡大図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る取付具であり、主柱材に取り付けられている状態の取付具の斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る搬器を正面から視た正面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る搬器を側面から視た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
図1は、実施形態に係る索道の概略図である。
図2は、実施形態に係る鉄塔の下部を拡大した拡大図である。
図3は、
図2のIII-IIIで切った断面を矢印方向から視た断面図である。実施形態に係る索道1を説明する前に、最初に鉄塔100について
図1から
図3を参照しながら簡単に説明する。
図1に示すように、鉄塔100は、送電線200を支持する送電線用の鉄塔である。鉄塔100は、地上から上方に延びる塔本体110と、塔本体110から水平方向に延びる複数の腕金120と、を備える。腕金120は、送電線200を支持する部位である。腕金120は、塔本体110の上部に設けられ、送電線200が比較的高い位置に吊るされる。
【0017】
図1から
図3に示すように、塔本体110は、上下方向に延びる4つの主柱材111(特に
図3を参照)と、主柱材111同士の間を水平方向に延在する複数の水平材112(特に
図2、
図3を参照)と、主柱材111同士の間を斜め方向に延在する複数の斜材113(特に
図2参照)と、を備える。なお、
図1においては、鉄塔100を見易くするため、水平材112と斜材113を適宜省略している。
【0018】
図1に示すように、主柱材111は、下部側が傾斜し、腕金120が設けられる上部側が鉛直方向に延びている。また、
図3に示すように、主柱材111は、平面視で四角形の頂点に位置するように配置されている。よって、塔本体110を水平方向で切った場合、塔本体110の内部空間は、四角形となる。
【0019】
図2に示すように、水平材112は、上下方向に間隔を空けながら、主柱材111の間に複数配置されている。水平材112の両端部は、主柱材111に連結されている。また、
図3に示すように、塔本体110の内側には、水平材112の長さ方向の中央部同士を連結する4つの対辺補助材114が設けられている。
【0020】
図2に示すように、斜材113は、一端が主柱材111に連結し、他端が水平材112に連結している。斜材113は、水平材112の長さ方向の中央部から上方に延びる2つの第1斜材113aと、水平材112の長さ方向の中央部から下方に延びる2つの第2斜材113bと、を有している。2つの第1斜材113aは、上方に向かうにつれて次第に離隔し、その端部が主柱材111と連結している。また、2つの第2斜材113bは、下方に向かうにつれて次第に離隔し、その端部が主柱材111と連結している。
【0021】
上下方向に隣り合う2つの水平材112の間には、上側の水平材112の中央部から下方に延びる2つの第2斜材113bと、下側の水平材112の中央部から上方に延びる2つの第1斜材113aと、で囲まれた四角形の窓部115が設けられている。この窓部115は、塔本体110に設けられた他の開口部のうち、最も大きい開口部である。窓部115の角部は、上下方向と左右方向(水平方向)を指している。なお、窓部115の下部には、水平方向に延びて2つの第1斜材113a同士を連結する補助材116が設けられることがある(
図2の下側の窓部115を参照)。
【0022】
次に実施形態の索道1について説明する。
図1に示すように、索道1は、各鉄塔100に取り付けられた複数の支持器10と、支持器10に支持された主索2及び曳索3と、交換部品60を搬送する搬器50と、を備えている。
【0023】
主索2は、搬器50が吊るされ、その搬器50を案内する線状部材である。主索2は、各支持器10に支持され、各鉄塔100の間を架け渡しされている。曳索3は、搬器50に固定され、搬器50を引っ張るための線状部材である。なお、主索2及び曳索3の材質について、本開示においては特に限定されないが、高弾性及び高強度であり、軽量化されたロープが好ましい。また、主索2及び曳索3は、送電線200からの誘導電流が生じる可能性があるため、絶縁性の高いものが好ましい。
【0024】
図4は、実施形態に係る支持器を正面から視た正面図である。
図5は、実施形態に係る支持器を側面から視た側面図である。
図6は、
図4の支持器のうち水平板を拡大した拡大図である。
図7は、
図6の水平板を上方から視た平面図である。
図4、
図5に示すように、支持器10は、主索2及び曳索3を支持する本体部11と、本体部11を鉄塔100に取り付けるための複数の取付具30と、を備える。
【0025】
本体部11は、
図3に示すように、塔本体110の内部であって、4つの主柱材111の中央部に配置される。また、
図2に示すように、本体部11の高さは、側面視で、塔本体110の窓部115の上方の角部115aに位置するように配置されている(
図2を参照)。本体部11は、水平方向に延びる水平板12と、水平板12の下面の中央部から下方に延び柱部20と、を備える。なお、本体部11は、強度を確保できれば、材質は特に限定されない。また、本体部11は、強度の高い鉄製であってもよいが、軽量化を図れるアルミ合金又は強化プラスチックであってもよい。
【0026】
図6、
図7に示すように、水平板12は、平面視で四角形状を成し、4つの角部12aを有している。4つの角部12aは、それぞれ、4つの主柱材111の方を指すように配置されている(
図3を参照)。角部12aには、それぞれ、取付具30を固定するためのU字金具13が設けられている。U字金具13は、両端部が本体部11を上下方向から挟むように配置され、締結具14で角部12aに固定されている。
【0027】
図4、
図5に示すように、柱部20の上下方向の中央部には、主索2を支持する支持部21が設けられている。支持部21は、柱部20から水平方向に延び、その端部から上方に折れ曲がるL字状を成している。よって、支持部21から主索2が落ちないようになっている。
【0028】
なお、主索2は、乗り上げ部材22を介して支持部21に支持されている。乗り上げ部材22は、筒状を成し、内部を主索2が貫通している。乗り上げ部材22の外径は、中央部から両端部に向かうにつれて次第に縮径し、樽状を成している。これによれば、搬器50の第2ローラ53が支持器10の支持部21を通過する際、第2ローラ53が乗り上げ部材22に乗り上げる。よって、第2ローラ53と支持部21との接触が回避される。
【0029】
支持部21の下部には、曳索3を支持する第1ローラ23が設けられている。第1ローラ23の外周面には、窪みが設けている。よって、曳索3が第1ローラ23から脱落し難くなっている。また、曳索3が引っ張られた場合、第1ローラ23は、回転して曳索3を送り出す。
【0030】
図8は、実施形態に係る取付具であり、主柱材に取り付けられている状態の取付具の斜視図である。
図8に示すように、取付具30は、ロープ31と、ターンバックル32と、帯ロープ33と、を有している。なお、取付具30を分かりやすくするため、
図1と
図2と
図3では、取付具30を簡略化して図示している。ロープ31は、高強度及び高弾性の線状部材である。ロープ31の一端は、本体部11のU字金具13に繋がれている(
図6、
図7を参照)。ロープ31の他端は、ターンバックル32の第1フック37に引っ掛けられている。
【0031】
ターンバックル32は、全長が伸縮自在な伸縮具である。つまり、ターンバックル32は、短縮化することで、両端に連結するロープ31及び帯ロープ33に張力を与えるための部品である。ターンバックル32は、胴部34と、胴部34に螺合する第1ねじ部35及び第2ねじ部36と、を有している。ターンバックル32は、第1ねじ部35及び第2ねじ部36を固定しつつ、胴部34を回転させると、胴部34から突出する第1ねじ部35及び第2ねじ部36の突出量が変わる。なお、胴部34を固定しつつ、第1ねじ部35及び第2ねじ部36を回転させてもよい。また、第1ねじ部35の頭部は、ロープ31と連結するための第1フック37となっている。第2ねじ部36の頭部は、帯ロープ33と連結するための第2フック38となっている。なお、本開示の伸縮具は、実施形態で示したターンバックル32に限定されない。よって、アンカーロッドを用いた伸縮具やスプリング式のターンバックルなど、特に限定されない。
【0032】
帯ロープ33は、帯状を成しており、両端部33b、33bに環状部が設けられている。帯ロープ33の中央部33aは、主柱材111に巻き付けられている。また、帯ロープ33の両端部33b、33bは、ターンバックル32の第2フック38に引っ掛けられている。そして、帯ロープ33の両端部33b、33bは、ターンバックル32によって本体部11の方に引っ張られている。このため、帯ロープ33の中央部33aが主柱材111を強く締め付け、帯ロープ33が緩むことなく主柱材111に固定される。なお、帯ロープ33は、帯状を成しているため、主柱材111との接触面積が大きい。よって、帯ロープ33と主柱材111との摺動抵抗が大きく、帯ロープ33は主柱材111に対し摺動し難い。
【0033】
図6に示すように、取付具30は、1つのU字金具13に対して2つが設けられている。よって、支持器10は、合計8つの取付具30を有している。なお、
図1においては、4つの取付具30のみ図示している。
【0034】
図2に示すように、1つのU字金具13に設けられた2つの取付具30のうち、1つの取付具30は、主柱材111に対する取付位置が本体部11よりも上方となるように取り付けられている。また、もう1つの取付具30は、主柱材111に対する取付位置が本体部11よりも下方となるように取り付けられる。よって、本体部11は、4つの取付具30によって塔本体110に吊るされた状態に支持されている。また、本体部11は、残りの取付具30によって上方に移動しないように支持されている。さらに、ターンバックル32によってロープ31が張った状態となっている。以上から、本体部11は上下方向に移動しないように固定されている。
【0035】
図9は、実施形態に係る搬器を正面から視た正面図である。
図10は、実施形態に係る搬器を側面から視た側面図である。
図9、
図10に示すように、搬器50は、鉛直方向に延びる柱部51と、柱部51から主索2の延在する方向に延びる長板部52と、長板部52に回転自在に支持された2つの第2ローラ53と、曳索3と連結する連結部54と、柱部51の下部に設けられたフック部55と、を備えている。
【0036】
第2ローラ53は、主索2の上に乗せられ、主索2の上を転動する。また、第2ローラ53は、主索2から脱落しないように外周面が窪んでいる。連結部54は、筒状を成しており、内部に曳索3が挿入され、曳索3と一体化している。フック部55は、搬送したい部品(交換部品60)を引っ掛ける部位である。
【0037】
以上、実施形態の索道1によれば、曳索3を引っ張ると、搬器50の第2ローラ53が主索2上を転動し、搬器50が主索2に沿って移動する。搬器50が鉄塔100を通過する際、鉄塔100の窓部115の内部を通過する。さらに、本体部11は、窓部115の上方の角部115aに位置することから、搬器50も窓部115の上方を追加する。搬器50に吊るされた交換部品60は、窓部115の中央部を通過する(
図2の破線60を参照)。よって、交換部品60は鉄塔100に接触しないようになっている。
【0038】
また、実施形態の索道1において、交換部品60の搬送後、鉄塔100から支持器10の取り外すことができる。支持器10の取り外し方法は、各取付具30のターンバックル32の全長を長尺化させて、第2フック38から帯ロープ33の両端部33b、33bを外す。次に主柱材111から帯ロープ33を外す。これにより、支持器10の取り外しが完了する。
【0039】
以上、実施形態の索道1は、複数の支持器10と、複数の支持器10に支持された主索2と、主索2に吊るされた搬器50と、複数の支持器10に支持され、搬器50と連結する曳索3と、を備える。また、実施形態の支持器10は、鉛直方向に延びる4つの主柱材111を有する鉄塔100に取り付けられ、主索2及び曳索3を支持する索道1用の支持器10であって、4つの主柱材111の中央部に配置され、主索2及び曳索3を支持する本体部11と、本体部11から4つの主柱材111のそれぞれに延びる4つの取付具30と、を備える。取付具30は、一端が本体部15に取り付けられたロープ31と、主柱材111に巻き回し可能な帯ロープ33と、ロープ31の他端と帯ロープ33とを接続し、伸縮自在な伸縮具(ターンバックル32)と、を備える。
【0040】
実施形態の索道1によれば、支持器10を鉄塔100に取り付けるために鉄塔100に貫通孔を開けるという作業が不要である。よって、鉄塔100に加工痕が残らず、鉄塔100の強度は保持される。また、鉄塔100への取り付けは、帯ロープ33による主柱材111への巻き付けである。よって、支持器10の取り付け位置を上下方向に自由に変更することができる。また、支持器10の荷重は、4つの取付具30によって4つの主柱材111に均等に作用する。このため、1つの主柱材111に対する荷重は小さく、主柱材111の補強が不要となる。
【0041】
また、実施形態の支持器10は、さらに4つの取付具30を備える。1つの主柱材111に対し、上下に分かれて2つの取付具30を取り付け可能となっている。
【0042】
これによれば、支持器10の跳ね上がりを防止することができ、搬器50が安定して移動する。
【0043】
また、実施形態で示すように、伸縮具は、ターンバックル32であってもよい。
【0044】
以上、実施形態について説明したが、本開示の支持器及び索道は、実施形態で示した例に限定されない。実施形態では、支持器10の水平板12の1つの角部12aに対し取付具30が2つ設けられているが、取付具30は1つであってもよい。なお、1つの角部12aに対し取付具30が1つの場合、支持器10の跳ね上がりを防止できない。
【0045】
また、第1ねじ部35の頭部及び第2ねじ部36の頭部は、フックでなく、環状のものであってもよい。但し、第1ねじ部35の頭部及び第2ねじ部36の頭部が環状となっている場合には、ロープ31や帯ロープ33を連結するための部品が必要となる。
【符号の説明】
【0046】
1 索道
2 主索
3 曳索
10 支持器
11 本体部
30 取付具
31 ロープ
32 ターンバックル(伸縮具)
33 帯ロープ
50 搬器
100 鉄塔
110 塔本体
111 主柱材
112 水平材
113(113a、113b) 斜材(第1斜材、第2斜材)
115 窓部
120 腕金
200 送電線