(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011294
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/16 20060101AFI20220107BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220107BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A61L9/16 F
F24F7/00 A
F24F7/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112325
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】505317654
【氏名又は名称】三興建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】越智 剛
【テーマコード(参考)】
3L058
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BD05
3L058BE08
3L058BG05
4C180AA07
4C180DD09
4C180HH05
4C180MM06
(57)【要約】
【課題】テーブルの閉塞感を払拭しつつ、ウィルス等を除去して密閉・密集・密接を避けることのできる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】外周面に内部と連通する孔12を備えた複数の筒状体10と、内部にフィルター2を備えた吸引機1と、複数の筒状体10と吸引機1とを連結する連結管3とを有し、複数の筒状体10がテーブルに設置される空気清浄装置100であって、複数の筒状体10の各々が、テーブルの着座位置の間に配置されるようにした。連結管3に消毒液噴霧機4が接続されていることが好ましく、筒状体10が折り曲げ可能であることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に内部と連通する孔を備えた複数の筒状体と、内部にフィルターを備えた吸引機と、前記複数の筒状体と前記吸引機とを連結する連結管とを有し、前記複数の筒状体がテーブルに設置される空気清浄装置であって、
前記複数の筒状体の各々が、テーブルの着座位置の間に配置されることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記連結管に消毒液噴霧機が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記筒状体が折り曲げ可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記筒状体の外周面に垂直方向の仕切板を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空気を浄化するために空気清浄装置が使用されている。空気清浄装置には、防塵等を目的としてフィルターを使用したものや、殺菌等を目的としてコロナ放電を利用したものがある。
【0003】
例えば特許文献1には、防塵フィルター、脱臭フィルター、抗菌フィルターを重ね合わせた積層フィルターを用いて、美術品の展示ケース内で発生する微生物、有害ガスを除去するようにした空気清浄機に関する発明が記載されている。また特許文献2には、イオン風を強くして除菌・殺菌・消臭・集塵効果を高めるようにしたコロナ放電式空気清浄装置に関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-75239号公報
【特許文献2】特開2019-155345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、新型コロナウィルスの影響により飲食店等では、店内の密閉・密集・密接のいわゆる3密を避けるべく対応が求められている。そのため、店内の換気機能を高める他に、例えば
図7に示すように、カウンターのテーブル5の上に間隔を空けてパーテーション9を設け、椅子6に座る客のテーブルのエリアを区分している。
【0006】
しかしながら、パーテーション9は閉塞感を伴うものであり、一人客の場合はまだしも複数客の場合にはコミュニケーションがとりにくいのも事実である。そのため、となりが見えるように透明なアクリル板等を用いたものもあるが、閉塞感の払拭には至っていない。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、テーブルの閉塞感を払拭しつつ、ウィルス等を除去して密閉・密集・密接を避けることのできる空気清浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の空気清浄装置は、外周面に内部と連通する孔を備えた複数の筒状体と、内部にフィルターを備えた吸引機と、前記複数の筒状体と前記吸引機とを連結する連結管とを有し、前記複数の筒状体がテーブルに設置される空気清浄装置であって、前記複数の筒状体の各々が、テーブルの着座位置の間に配置されることを特徴とする。
【0009】
また好ましくは、前記連結管に消毒液噴霧機が接続されていることを特徴とする。
【0010】
また好ましくは、前記筒状体が折り曲げ可能であることを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、前記筒状体の外周面に垂直方向の仕切板を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気清浄装置は、外周面に内部と連通する孔を備えた複数の筒状体と、内部にフィルターを備えた吸引機と、複数の筒状体と吸引機とを連結する連結管とを有しているので、吸引機の吸引力により、筒状体の孔から外部のウィルス等を吸引し、連結管を経由して吸引機の内部のフィルターで除去することができる。そして、複数の筒状体がテーブルに設置されるとともに、複数の筒状体の各々が、テーブルの着座位置の間に配置されるので、テーブルに座った複数の人間が筒状体を境目にして分離されて、個人個人の周囲が清潔な空間に保たれる。また、配置された筒状体はパーテーションのように閉塞感を伴うものではない。
【0013】
また、連結管に消毒液噴霧機が接続されている場合には、吸引されたウィルス等を消毒液で除菌することができる。
【0014】
また、筒状体が折り曲げ可能である場合には、設置状況や使用状況に合わせて清潔にしたい空間を調整することができる。
【0015】
また、筒状体の外周面に垂直方向の仕切板を設けた場合には、仕切板により清潔な空間を細分化することができ、筒状体を取り囲むように複数の人間が座っても、清潔な空間を保つことができる。
【0016】
このように、本発明の空気清浄装置によれば、テーブルの閉塞感を払拭しつつ、ウィルス等を除去して密閉・密集・密接を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1に係る空気清浄装置を示す構成図である。
【
図2】実施形態1に係る空気清浄装置の設置状態を示す図である。
【
図3】実施形態1に係る空気清浄装置の設置状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る空気清浄装置の筒状体を示す斜視図である。
【
図5】実施形態2に係る空気清浄装置の設置状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る空気清浄装置の筒状体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、
図1乃至
図6を参照して、本発明の実施形態に係る空気清浄装置について説明する。本実施形態に係る空気清浄装置は、飲食店等の店内のテーブルに設置されて、密閉・密集・密接を避けることができるものである。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る空気清浄装置100を示す構成図である。空気清浄装置100は、複数の筒状体10、吸引機1及び連結管3を有している。
【0020】
筒状体10は、上端部が閉じられて(閉口し)下端部が開かれた(開口した)内部が空洞の本体部11と、本体部11が載置される台座部13とから構成されている。本体部11の外形は円柱状でもよいし、三角柱状や四角柱状であってもよい。筒状体10の数は特に限定されず、設置状況や使用状況に応じて選択することができる。
【0021】
本体部11の高さは、店内のテーブルに設置したときに、座った客の頭の高さとほぼ同一か、あるいは頭よりも高くなるようにするとよい。これにより、座った客が接する空間を清潔に保つことができる。ただし高すぎると邪魔になるので、例えばテーブルからの高さが50~70cmが好ましく、約60cmであることがさらに好ましい。
【0022】
本体部11の太さは、吸引機の能力や設置する本数等を考慮して定めることができるが、座った客の邪魔にならないように、例えば円柱状であれば4~8cmが好ましく、約6cmであることがさらに好ましい。
【0023】
本体部11の外周面には内部と連通する複数の孔12が設けられている。複数の孔12は、上下方向に等間隔に並んでいるとともに、上から見て四方に等間隔に設けられている。複数の孔12の位置や数は特に限定されるものではないが、上下方向及び水平方向に等間隔に設けることが好ましい。孔12は丸穴であり、大きさは吸引機1の能力や設置する本数等を考慮して定めることができるが、例えば4~8mmが好ましく、約6mmであることがさらに好ましい。
【0024】
また本実施形態では、筒状体10の本体部11が折り曲げ可能になっている。折り曲げ可能な位置は特に限定されないが、例えば上端部を蛇腹状に形成して、折り曲げた状態を保持できるようにすれば、設置状況や使用状況に合わせて本体部11の形状を変更することができる。
【0025】
吸引機1は、内部にフィルター2を備えている。フィルター2は、吸引されたウィルス等を除去するためのものであり、公知の除去フィルターを使用することができる。吸引機1の吸引力は、設置する筒状体10の本数や孔12の大きさ等に合わせて、適宜設定することができる。
【0026】
連結管3は、複数の筒状体10と吸引機1とを連結している。詳細には、複数の筒状体10の本体部11の下端部を順次連結しながら、吸引機1へと繋がっている。なお、筒状体10との連結位置については、筒状体10の内部に連通することができれば下端部に限定されない。
【0027】
以上の構成により、吸引機1の吸引力により、筒状体10の孔12から店内のウィルス等が吸引され、連結管3を経由して吸引機1に吸い込まれ、フィルター2により除去されるようになっている。
【0028】
また、本実施形態では、連結管3に消毒液噴霧機4が接続されている。消毒液噴霧機4は、連結管3内に消毒液を噴霧し、連結管3内を通過するウィルス等を除菌するためのものである。
【0029】
図2及び
図3は、空気清浄装置100の設置状態を示す図である。
図2に示す店内には、カウウンターのテーブル6が設置されており、客はテーブル6の椅子5に同一方向を向いた状態で座るようになっている。空気清浄装置100の複数の筒状体10は、テーブル6に設置されている。そして、筒状体10の各々が、テーブル6の着座位置の間に配置されるようになっており、テーブル6に座った複数の人間が筒状体を境目にして分離されるようになっている。これにより、個人個人の周囲が清潔な空間に保たれる。複数の筒状体10の配置間隔は、例えば70~80cmである。なお、テーブル6への設置は、筒状体10をテーブルの上方に立設することができれば、テーブル上に固定してもテーブル側面に固定してもよい。
【0030】
図3に示す店内には、複数のテーブル7が設置されており、客は各々のテーブル7の椅子5に向かい合った状態で座るようになっている。空気清浄装置100の複数の筒状体10は、各々のテーブル7に設置されている。そして、筒状体10の各々が、各々のテーブル7の着座位置の間に配置されるようになっており、各々のテーブル7に座った複数の人間が筒状体を境目にして分離されるようになっている。これにより、個人個人の周囲が清潔な空間に保たれる。なお、テーブル7への設置は、筒状体10をテーブルの上方に立設することができれば、テーブル上に固定してもテーブル側面に固定してもよい。
【0031】
実施形態1に係る空気清浄装置100は、外周面に内部と連通する孔12を備えた複数の筒状体10と、内部にフィルター2を備えた吸引機1と、複数の筒状体10と吸引機1とを連結する連結管3とを有しているので、吸引機1の吸引力により、筒状体10の孔12から外部のウィルス等を吸引し、連結管3を経由して吸引機1の内部のフィルター2で除去することができる。そして、複数の筒状体10がテーブルに設置されるとともに、複数の筒状体10の各々が、テーブル6(7)の着座位置の間に配置されるので、テーブル6(7)に座った複数の人間が筒状体10を境目にして分離されて、個人個人の周囲が清潔な空間に保たれる。また、配置された筒状体10はパーテーションのように閉塞感を伴うものではない。
【0032】
また、連結管3に消毒液噴霧機4が接続されているので、吸引されたウィルス等を消毒液で除菌することができる。
【0033】
また、筒状体10が折り曲げ可能であるので、設置状況や使用状況に合わせて清潔にしたい空間を調整することができる。
【0034】
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2に係る空気清浄装置の筒状体20を示す斜視図である。筒状体20は、実施形態1に係る空気清浄装置100の筒状体10とほぼ同一の構成であるが、仕切板24を有する点が異なっている。
【0035】
筒状体20は、上端部が閉口し下端部が開口した内部が空洞の本体部21と、本体部21が載置される台座部23とから構成されている。本体部21の外周面には内部と連通する複数の孔22が設けられている。
【0036】
また、筒状体20の本体部21の外周面には、垂直方向に延びて水平方向に突出する4枚の仕切板24が設けられている。仕切板4は、垂直方向の4列に並んだ孔22の各列の間に設けられている。仕切板4の長さ(本体部21に沿った長さ)は特に限定されず、本体部21の一部分に設けることもできるが、仕切板としての効果は長いほど大きく、本体部21の上端部から下端部までの全長部分に設けることが好ましい。また、仕切板4の幅(本体部21からの突出長)は特に限定されないが、仕切板としての効果は長いほど大きい。ただし、幅(突出長)が大きすぎると閉塞感が増すため、本体部21の直径と同一程度の長さが好ましい。
【0037】
図5は、実施形態2に係る空気清浄装置の筒状体20の設置状態を示す図である。
図5に示す店内には、正方形のテーブル8が設置されており、4人の客は1つのテーブル8を囲むようにして椅子5に座るようになっている。店内にはこのような4人掛けのテーブル8が複数設置されている。空気清浄装置の複数の筒状体20は、各々のテーブル8上の中央に設置されている。そして、筒状体20の各々が、各々のテーブル8の着座位置の間に配置されるようになっており、各々のテーブル8に座った複数の人間が筒状体を境目にして分離されるようになっている。これにより、個人個人の周囲が清潔な空間に保たれる。
【0038】
特に、筒状体20は4枚の仕切板24を有しているので、仕切板24が隣り合う客の間を仕切るように配置することで、各々の客から筒状体20に向かう空気の流れを分離することができ、清潔な空間を細分化することができる。
【0039】
このように、実施形態2に係る空気清浄装置は、筒状体20の外周面に垂直方向の仕切板24を設けたので、仕切板24により清潔な空間を細分化することができ、筒状体20を取り囲むように複数の人間が座っても、清潔な空間を保つことができる。
【0040】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る空気清浄装置の筒状体30を示す斜視図である。筒状体30は、実施形態1に係る空気清浄装置100の筒状体10とほぼ同一の構成であるが、孔32の形状が異なっている。
【0041】
筒状体30は、上端部が閉口し下端部が開口した内部が空洞の本体部31と、本体部31が載置される台座部33とから構成されている。本体部31の外周面には内部と連通する複数の孔32が設けられている。孔32は上下方向の長孔である。孔32の長さ(本体部21に沿った長さ)は特に限定されず、吸引力等を試しながら適宜設定することができる。
【0042】
このように、本発明の空気清浄装置によれば、テーブルの閉塞感を払拭しつつ、ウィルス等を除去して密閉・密集・密接を避けることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係る空気清浄装置について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、本実施形態では設置場所を飲食店の店内としたが、事務所内や家庭内など、テーブルが配置される室内であれば、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 吸引機
2 フィルター
3 連結管
4 消毒液噴霧機
5 椅子
6 テーブル
7 テーブル
8 テーブル
9 パーテーション
10 筒状体
11 本体部
12 孔
13 台座部
20 筒状体
21 本体部
22 孔
23 台座部
24 仕切板
30 筒状体
31 本体部
32 孔
33 台座部
100 空気清浄装置