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特開2022-11296ボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011296
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】ボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体
(51)【国際特許分類】
   F16B 41/00 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
F16B41/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112329
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】篠原 努
(72)【発明者】
【氏名】中田 知宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】中田 朋貴
(57)【要約】
【課題】高温で使用可能かつボルトを被締結部材に保持可能なボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体を提供する。
【解決手段】金属からなり、ボルトを被締結部材に保持するボルト保持部材10であって、円筒状の本体部11と、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の内側へ延びる第1係止片12と、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の外側へ延びる第2係止片13と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなり、ボルトを被締結部材に保持するボルト保持部材であって、
円筒状の本体部と、
前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の内側へ延びる第1係止片と、
前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の外側へ延びる第2係止片と、を備えるボルト保持部材。
【請求項2】
前記第1係止片は、
前記本体部の軸方向における一端側に位置し、前記本体部に接続された第1基端部と、
前記本体部の軸方向において前記第1基端部よりも他端側に位置する第1先端部と、を有し、
前記第2係止片は、
前記本体部の軸方向における前記他端側に位置し、前記本体部に接続された第2基端部と、
前記本体部の軸方向において前記第2基端部よりも前記一端側に位置する第2先端部と、を有する、請求項1に記載のボルト保持部材。
【請求項3】
前記第1係止片は、前記本体部の外側へ向かって折れ曲がる第1屈曲部を有し、
前記第2係止片は、前記本体部の内側へ向かって折れ曲がる第2屈曲部を有している、請求項1または請求項2に記載のボルト保持部材。
【請求項4】
前記本体部は、前記軸方向の一端から他端へ延びる隙間を有する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のボルト保持部材。
【請求項5】
前記本体部には、コの字状の第1スリットが形成され、前記第1スリットに囲まれた部分により前記第1係止片が形成され、
前記本体部には、コの字状の第2スリットが形成され、前記第2スリットに囲まれた部分により前記第2係止片が形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボルト保持部材。
【請求項6】
前記第1係止片および前記第2係止片は、それぞれ複数設けられ、かつ、前記本体部の円周方向において交互に設けられている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボルト保持部材。
【請求項7】
ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体であって、
前記ボルトは、
シャンクと、前記シャンクの一端に設けられたヘッドとを有するボルトと、を備え、
金属からなる前記ボルト保持部材は、
円筒状をなし、前記シャンクが挿入された本体部と、
前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の内側へ延び、前記シャンクに当接する第1係止片と、
前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の外側へ延びる第2係止片と、を備える、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体。
【請求項8】
前記第1係止片は、
前記本体部の軸方向における一端側に位置し、前記本体部に接続された第1基端部と、
前記本体部の軸方向における他端側に位置する第1先端部と、を有し、
前記第2係止片は、
前記本体部の軸方向における前記他端側に位置し、前記本体部に接続された第2基端部と、
前記本体部の軸方向における前記一端側に位置する第2先端部と、を有し、
前記本体部の軸方向における一端側には、前記ボルトの前記ヘッドが位置している、請求項7に記載のボルトおよびボルト保持部材の組合せ体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
被締結部材に対して締結されたボルトが抜け落ちるのを防止する保持リングが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の保持リングは、ボルト係合部を有して略有蓋円筒状をなし、被締結部材の、ボルトが挿入される側に対する反対側に形成された取付孔に挿入されて、ボルトのネジ山にボルト係合部を係合させることにより、ボルトの抜けを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表2006-022103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の保持リングは、フッ素ゴム等により構成されている。近年、半導体製造装置で使われる流体の流体温度の高温化により、フッ素ゴムの耐熱温度以上で機器等を加熱する場合、当該保持リングを使用することができない。また、半導体製造装置の小型化に伴い、機器を締結するボルト穴も縮小し、ボルトが入る穴以上に大きな保持用のスペースを持つことが困難である。
【0005】
そこで本開示は、高温で使用可能かつボルトを被締結部材に保持可能なボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様であるボルト保持部材は、金属からなり、ボルトを被締結部材に保持するボルト保持部材であって、円筒状の本体部と、前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の内側へ延びる第1係止片と、前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の外側へ延びる第2係止片と、を備える。
【0007】
前記第1係止片は、前記本体部の軸方向における一端側に位置し、前記本体部に接続された第1基端部と、前記本体部の軸方向において前記第1基端部よりも他端側に位置する第1先端部と、を有し、前記第2係止片は、前記本体部の軸方向における前記他端側に位置し、前記本体部に接続された第2基端部と、前記本体部の軸方向において前記第2基端部よりも前記一端側に位置する第2先端部と、を有してもよい。
【0008】
前記第1係止片は、前記本体部の外側へ向かって折れ曲がる第1屈曲部を有し、前記第2係止片は、前記本体部の内側へ向かって折れ曲がる第2屈曲部を有してもよい。
【0009】
前記本体部には、コの字状の第1スリットが形成され、前記第1スリットに囲まれた部分により前記第1係止片が形成され、前記本体部には、コの字状の第2スリットが形成され、前記第2スリットに囲まれた部分により前記第2係止片が形成されていてもよい。
【0010】
前記本体部には、コの字状の第1スリットが形成され、前記第1スリットに囲まれた部分により前記第1係止片が形成され、前記本体部には、コの字状の第2スリットが形成され、前記第2スリットに囲まれた部分により前記第2係止片が形成されていてもよい。
【0011】
前記第1係止片および前記第2係止片は、それぞれ複数設けられ、かつ、前記本体部の円周方向において交互に設けられていてもよい。
【0012】
本開示の一態様であるボルトおよびボルト保持部材の組合せ体であって、前記ボルトは、シャンクと、前記シャンクの一端に設けられたヘッドとを有するボルトと、を備え、金属からなる前記ボルト保持部材は、円筒状をなし、前記シャンクが挿入された本体部と、前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の内側へ延び、前記シャンクに当接する第1係止片と、前記本体部からその軸方向に対して傾斜するように前記本体部の外側へ延びる第2係止片と、を備える。
【0013】
前記第1係止片は、前記本体部の軸方向における一端側に位置し、前記本体部に接続された第1基端部と、前記本体部の軸方向における他端側に位置する第1先端部と、を有し、前記第2係止片は、前記本体部の軸方向における前記他端側に位置し、前記本体部に接続された第2基端部と、前記本体部の軸方向における前記一端側に位置する第2先端部と、を有し、前記本体部の軸方向における一端側には、前記ボルトの前記ヘッドが位置していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、高温で使用可能かつボルトを被締結部材に保持可能なボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】流体制御装置の正面図である。
図2A】流体制御装置の一系統の流路を構成する部分的な組立体の側面図である。
図2B図2AのIIB-IIB線に沿った断面図である。
図3】ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体の斜視図である。
図4A】ボルト保持部材の斜視図である。
図4B】ボルト保持部材の上面図である。
図4C図4BのIVC-IVC線に沿った断面図である。
図5】ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体の正面図であって、ボルト保持部材は断面を示している。
図6A】組合せ体により、開閉弁を継手ブロックに連結する方法の説明図であって、組合せ体を開閉弁のボディの貫通孔に挿入した状態を示す図である。
図6B】組合せ体により、開閉弁を継手ブロックに連結する方法の説明図であって、組合せ体により、開閉弁を継手ブロックに連結した状態を示す図である。
図7A】変形例に係るボルト保持部材の斜視図である。
図7B】変形例に係るボルト保持部材の上面図である。
図8A】変形例に係るボルトおよびボルト保持部材の組合せ体の斜視図である
図8B】変形例に係るボルト保持部材の斜視図である。
図8C】変形例に係るボルト保持部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の一実施形態によるボルト保持部材、および、ボルトおよびボルト保持部材の組合せ体について、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態のボルト保持部材10、および、ボルト1およびボルト保持部材10の組合せ体20は、例えば、流体制御装置100に用いられる。
【0018】
図1は、流体制御装置100の正面図である。
流体制御装置100は、金属製のベースプレート110を有し、当該ベースプレート110上に複数本(図1では一本のみ図示)のレール部120が設けられている。複数本のレール部120のいずれかには、複数の継手ブロック130、140および各種流体制御機器150A~150Eが設置されている。複数の継手ブロック130、140によって、上流側から下流側に向かって流体が流通する流路がそれぞれ形成されている。
【0019】
ここで、「流体制御機器」とは、流体の流れを制御する流体制御装置に使用される機器であって、流体流路を画定するボディを備え、このボディの底面で開口する少なくとも2つの流路口を有する機器である。具体的には、開閉弁(2方弁)150A、レギュレータ150B、プレッシャーゲージ150C、開閉弁(3方弁)150D、マスフローコントローラ150E等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0020】
流体制御装置100の各系統の流路には、例えば、導入管161を通じてアンモニアガス等のプロセスガスが導入される。各プロセスガスは、供給管160を通じて、図示せぬ処理チャンバに供給される。
【0021】
図2A、2Bは、流体制御装置100の一系統の流路を構成する部分的な組立体50であって、図2Aは側面図、図2B図2AのIIB-IIB線に沿った部分断面図である。
【0022】
図2A、2Bに示すように、組立体50は、レール部材120、このレール部材120上に配置された継手ブロック140、140、当該継手ブロック140、140上に配置された、流体制御機器としての開閉弁150Aを有している。また、開閉弁150Aのボディ153と継手ブロック140、140との間には、シール部材としてのガスケット170、170が設けられている。さらに、組立体50は、開閉弁150Aのボディ153を継手ブロック140、140に連結するためのボルト1およびボルト保持部材10からなる組合せ体20を有している。
【0023】
レール部材120は、例えば、ステンレス合金等の金属製の長尺の部材であり、断面が矩形状をなしている。レール部材120の上面には、長手方向に沿って溝状のガイド部121が形成されている。
【0024】
各継手ブロック140は、ステンレス合金等の金属製の部材であり、直方体形状をなしている。各継手ブロック140の底面には、長手方向に沿って延びる嵌合部141が設けられている。各嵌合部141は、ガイド部121に嵌合可能な形状を有する。各継手ブロック140は、レール部材120の長手方向の両端部からそれぞれ挿入可能である。
【0025】
各継手ブロック140には、略U字状の流体流路140aが形成されている。各継手ブロック140の上面143に、流体流路140aの2つの流路口140b、140cが開口している。各流体流路140aの水平部分は、各継手ブロック140の側面に開口している。当該開口には、閉塞部材142が設けられ、各開口を塞いでいる。
【0026】
各継手ブロック140には、長手方向において、上面143で開口し底面側に向けて延びる2つのネジ穴144、145が形成されている。ネジ穴144、145は、上面143で開口する2つの流路口140b、140cの間に位置する。ネジ穴144、145は、例えば、M5で少なくとも3つのネジ山を有し、深さが3mm程度であるがこれに限定されるわけではない。継手ブロック140の寸法仕様は、例えば、幅が10mm程度、長さが30mm程度、流体流路140aの直径が2.6mm程度、高さが13mm程度であるが、これに限定されるわけではない。継手ブロック140およびレール部材120の幅は、約10mmで略一致している。
【0027】
開閉弁150Aは、アクチュエータ部151、バルブ部152およびボディ153を有し、継手ブロック140を介してレール部材120に支持される。ボディ153の幅は、継手ブロック140の幅と整合しており、例えば、10mm程度であるが、これに限定されるわけではない。
【0028】
ボディ153は、各継手ブロック140の流体流路140aに連通する図示せぬ流体流路を画定している。ボディ153の長手方向の両端部には、組合せ体20(ボルト1およびボルト保持部材10)を挿通するための貫通孔154がそれぞれ形成されている。貫通孔154の直径は5.5mm程度で、ボルト1のみ挿通した際のクリアランスが0.5mm程度である。
【0029】
次に、ボルト保持部材10、および、ボルト1およびボルト保持部材10の組合せ体20について、図面を参照して説明する。
【0030】
図3は、ボルト1およびボルト保持部材10の組合せ体20の斜視図である。
ボルト1は、ヘッド2と、シャンク3とを有し、シャンク3の外周部には、ネジ部4が形成されている。ボルト保持部材10は、ボルト1のシャンク3の外周に装着されている。
【0031】
図4A図4Cは、ボルト保持部材10を示す図であって、図4Aは斜視図であり、図4Bは上面図であり、図4C図4BのIVC-IVC線に沿った断面図である。
【0032】
ボルト保持部材10は、一枚の金属薄板(例えばステンレスのバネ鋼)を円筒状に丸めることにより形成され、貫通孔154に組合せ体20を挿通するため、厚さは0.1mm程度の薄板であるが、強度やバネ性等を満たすのであればこれに限定されるわけではない。ボルト保持部材10は、本体部11と、複数の第1係止片12と、複数の第2係止片13とを備える。
【0033】
本体部11は、円筒状をなしている。本体部11の円周方向の両端は接合されておらず、軸方向の一端から他端へ延びる隙間11aを有する。本体部11には、複数(本実施形態では3本)のコの字状の第1スリット11bおよび複数(本実施形態では3本)のコの字状の第2スリット11cが、円周方向において交互に形成されている。各第1スリット11bと、各第2スリット11cとは、上下方向において互いに逆向きに形成されている。すなわち、各第1スリット11bは、そのコの字の開口が本体部11の軸方向の上端側に位置し、各第2スリット11cは、そのコの字の開口が本体部11の軸方向の下端側に位置している。
【0034】
各第1係止片12は、略矩形状をなし、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の内側へ延びている。各第1係止片12は、各第1スリット11bに囲まれた部分により形成されている。各第1係止片12は、本体部11の軸方向における上端側に位置し本体部11に接続された第1基端部12Aと、本体部11の軸方向において第1基端部12Aよりも下端側に位置する第1先端部12Bとを有する。各第1係止片12は、その第1基端部12Aにおいて、本体部11の内側へ折り曲げられている。第1先端部12Bは自由端である。各第1係止片12は、本体部11の上端側から下端側へ向かって延びている。第1係止片12は、第1基端部12Aと第1先端部12Bとの間に本体部11の外側へ向かって折れ曲がる第1屈曲部12Cを有している。
【0035】
各第2係止片13は、略矩形状をなし、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の外へ延びている。各第2係止片13は、各第2スリット11cに囲まれた部分により形成されている。各第2係止片13は、本体部11の軸方向における下端側に位置し、本体部11に接続された第2基端部13Aと、本体部11の軸方向において第2基端部13Aよりも上端側に位置する第2先端部13Bとを有する。各第2係止片13は、その第2基端部13Aにおいて、本体部11の外側へ折り曲げられている。第2先端部13Bは自由端である。各第2係止片13は、本体部11の下端側から上端側へ向かって延びている。第2係止片13は、第2基端部13Aと第2先端部13Bとの間に本体部11の内側へ向かって折れ曲がる第2屈曲部13Cを有している。
【0036】
本体部11の内径は、ボルト1のネジ部4の外径(ネジ山径)よりも大きく、本体部11の外径は、貫通孔154の内径よりも小さく構成されている。図4Bに示すように、3本の第1係止片12の最内端部(第1屈曲部12C)により形成される仮想円C1の直径は、ボルト1のネジ部4の外径(ネジ山径)よりも小さく構成されている。3本の第2係止片13の最外端部(第2屈曲部13C)により形成される仮想円C2の直径は、貫通孔154の内径よりも大きく構成されている。
【0037】
図5は、ボルト1およびボルト保持部材10の組合せ体20の正面図であって、ボルト保持部材10は断面を示している。
【0038】
図5に示すように、組合せ体20において、本体部11には、ボルト1のシャンク3が挿入されている。当該状態において、第1係止片12は、シャンク3(ネジ部4)に弾性力を持って当接している。詳細には、第1係止片12の第1屈曲部12C付近が、シャンク3(ネジ部4)に当接し、第1係止片12の第1先端部12Bは、シャンク3(ネジ部4)から離間している。第1係止片12は板バネとして機能している。
【0039】
次に、組合せ体20により、開閉弁150Aを継手ブロック140、140に連結する方法について説明する。
【0040】
図6A図6Bは、組合せ体20により、開閉弁150Aを継手ブロック140、140に連結する方法の説明図であって、図6Aは、組合せ体20を開閉弁150Aのボディ153の貫通孔154に挿入した状態を示す図であり、図6Bは、組合せ体20により、開閉弁150Aを継手ブロック140、140に連結した状態を示す図である。
【0041】
図6Aに示すように、組合せ体20は、ボディ153の貫通孔154に挿入されている。この状態において、第2係止片13は、貫通孔154を画定する面に弾性力を持って当接している。詳細には、第2係止片13の第2屈曲部13C付近が、貫通孔154を画定する面に当接し、第2係止片13の第2先端部13Bは、貫通孔154を画定する面から離間している。第2係止片13は板バネとして機能している。
【0042】
図6Bに示すように、組合せ体20が装着された開閉弁150Aのボディ153を、継手ブロック140、140に接触させて、各ボルト1を回転させ、各ボルト1のネジ部4を各ネジ穴144に螺合させる。このようにして、組合せ体20により、開閉弁150Aは継手ブロック140、140に連結される。
【0043】
以上のように、本実施形態のボルト保持部材10によれば、円筒状の本体部11と、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の内側へ延びる第1係止片12と、本体部11からその軸方向に対して傾斜するように本体部11の外側へ延びる第2係止片13と、を備える。かかる構成によれば、本体部11にボルト1を挿入したときに、第1係止片12をボルト1のシャンク3に弾性力を持って当接させることができる。ボルト保持部材10が装着されたボルト1を、開閉弁150Aのボディ153の貫通孔154に挿入したときに、第2係止片13を貫通孔154を画定する面に弾性力を持って当接させることができる。
【0044】
このため、ボルト1が被締結部材である開閉弁150Aのボディ153に保持され、組立体50の組立時の作業性を向上させることができる。また、ボルト保持部材10は、金属により構成されているので、高温で使用される流体制御機器にも適用することができる。また、ボルト保持部材10により、ボルト1を保持するための大きなスペースを必要とすることなく、ボルト1をボディ153に保持させることができる。
【0045】
第1係止片12は、本体部11の軸方向における上端側に位置し本体部11に接続された第1基端部12Aと、本体部11の軸方向において第1基端部12Aよりも下端側に位置する第1先端部12Bとを有する。第2係止片13は、本体部11の軸方向における下端側に位置し、本体部11に接続された第2基端部13Aと、本体部11の軸方向において第2基端部13Aよりも上端側に位置する第2先端部13Bとを有する。
【0046】
このため、ボルト1を本体部11の上側から第1係止片12が延びる方向(第1基端部12Aから第1先端部12Bへ向かう方向)に沿って挿入することにより、第1係止片12がボルト1のネジ部4に引っかかるのを抑制することができる。よって、ボルト1を本体部11に容易に挿入することができる。さらに、ボルト保持部材10を開閉弁150Aのボディ153に挿入させるときには、ボルト保持部材10に対するボディ153の移動方向が、第2係止片13が延びる方向(第2基端部13Aから第2先端部13Bへ向かう方向)と同じであるので、第2係止片13が貫通孔154を画定する面に引っかかるのを抑制することができる。よって、ボルト保持部材10をボディ153の貫通孔154に容易に挿入することができる。
【0047】
第1係止片12は、本体部11の外側へ向かって折れ曲がる第1屈曲部12Cを有し、第2係止片13は、本体部11の内側へ向かって折れ曲がる第2屈曲部13Cを有している。かかる構成によれば、ボルト1をボルト保持部材10から引き抜く必要が生じた場合に、ボルト1をボルト保持部材10から容易に引き抜くことができる。また、ボルト保持部材10をボディ153の貫通孔154から引き抜く必要が生じた場合に、ボルト保持部材10をボディ153の貫通孔154から容易に引き抜くことができる。
【0048】
本体部11は、軸方向の一端から他端へ延びる隙間11aを有するので、本体部11は拡径および縮径することができる。よって、ボルト1を本体部11にさらに容易に挿入することができ、ボルト保持部材10をボディ153の貫通孔154にさらに容易に挿入することができる。
【0049】
本体部11には、コの字状の第1スリット11bおよび第2スリット11cが形成され、第1スリット11bに囲まれた部分により第1係止片12が形成され、第2スリット11cに囲まれた部分により第2係止片13が形成されている。このため、本体部11に対し、第1係止片12および第2係止片13を容易に設けることができる。
【0050】
第1係止片12および第2係止片13は、それぞれ複数設けられ、かつ、本体部11の円周方向において交互に設けられている。このため、ボルト1はボルト保持部材10に対し、バランスよく保持され、ボルト保持部材10は、ボディ153の貫通孔154に対し、バランスよく保持される。
【0051】
なお、本開示は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0052】
例えば、上記の実施形態におけるボルト保持部材10の本体部11は、本体部11の円周方向の両端は接合されておらず、軸方向の一端から他端へ延びる隙間11aを有していたが、図7A図7Bに示す、ボルト保持部材10Aに示すように、本体部11の円周方向の両端を接合して、本体部11は隙間を有していなくてもよい。ボルト保持部材10Aは、隙間を有さない以外は、ボルト保持部材10と同様の構成を有する。かかる構成のボルト保持部材10Aによっても、上記のボルト保持部材10とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0053】
図8Aは、変形例に係るボルト1およびボルト保持部材10Bの組合せ体20Aの斜視図である。
図8B変形例に係るボルト保持部材10Bの斜視図である。
図8C変形例に係るボルト保持部材10Bの上面図である。
【0054】
図8A図8Cに示すように、ボルト保持部材10Bの各第1係止片12および各第2係止片13は、屈曲部を有しておらず、各第1係止片12は第1基端部12Aから第1先端部12Bへ平坦に延び、各第2係止片13は第2基端部13Aから第2先端部13Bへ平坦に延びている。図8Cに示すように、3本の第1係止片12の最内端部(第1先端部12B)により形成される仮想円C3の直径は、ボルト1のネジ部4の外径(ネジ山径)よりも小さく構成されている。3本の第2係止片13の最外端部(第2先端部13B)により形成される仮想円C4の直径は、貫通孔154の内径よりも大きく構成されている。
【0055】
本変形例では、組合せ体20Aにおいて、各第1係止片12はシャンク3(ネジ部4)に弾性力を持って当接し、第1先端部12Bがネジ部4の山よりも谷側へ進入するので、ボルト1がボルト保持部材10Bから抜けるのをより抑制することができる。
【0056】
組合せ体20Aにより、開閉弁150Aを継手ブロック140、140に連結する方法は、上記の実施形態の組合せ体20により、開閉弁150Aを継手ブロック140、140に連結する方法と同様である。
【0057】
上記の実施形態では、各第1係止片12および各第2係止片13は、本体部11の周方向に直交して延びていたが、直交していなくてもよく、周方向に対し傾斜していればよい。
【符号の説明】
【0058】
1:ボルト
2:ヘッド
3:シャンク
10、10A,10B:ボルト保持部材
11:本体部
11a:隙間
11b:第1スリット
11c:第2スリット
12:第1係止片
12A:第1基端部
12B:第1先端部
12C:第1屈曲部
13:第2係止片
13A:第2基端部
13B:第2先端部
13C:第2屈曲部
20、20A:組合せ体

図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C