IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-回転電機 図1
  • 特開-回転電機 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112960
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20220727BHJP
   H02K 1/27 20220101ALI20220727BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K1/27 501A
H02K1/27 501M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009016
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】浅井 満季
(72)【発明者】
【氏名】宮重 敬太
(72)【発明者】
【氏名】水野 峻史
(72)【発明者】
【氏名】片桐 慶大
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 康
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA25
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE18
5H601EE27
5H601FF02
5H601GA02
5H601GA37
5H601GA39
5H601JJ05
5H601KK14
5H622AA03
5H622CA01
5H622PP01
(57)【要約】
【課題】回転電機の信頼性を維持しつつも、回転電機の出力を向上させること。
【解決手段】永久磁石20は、第1突出部22を有している。よって、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、永久磁石20の本体部21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第1突出部22に鎖交する。第1突出部22は、第1軸部材30の第1嵌合部31に形成された第1凹部33内に配置されている。よって、永久磁石20が第1突出部22を有していても、第1嵌合部31における筒部材16の軸線方向の長さL2が短くなってしまうといった問題が回避される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のステータコア、及び前記ステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、
前記ステータの内側に配置されるロータと、を備え、
前記ロータは、
筒部材と、
前記筒部材内に配置された磁性体と、
前記筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに、前記軸線方向で前記磁性体と隣り合った状態で前記筒部材の内周面に嵌合される嵌合部を有する軸部材と、を有する回転電機であって、
前記磁性体は、
前記筒部材の内周面に固定される本体部と、
前記本体部の端面から前記軸線方向に突出する突出部と、を有し、
前記突出部における前記軸線方向の端部は、前記ステータコアの端面よりも前記軸線方向に突出し、
前記嵌合部における前記磁性体と前記軸線方向で対向する端面には、凹部が形成され、
前記突出部は、前記凹部内に配置されていることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記軸部材は、前記筒部材の前記軸線方向の両端部にそれぞれ設けられており、
前記軸部材のうちの少なくとも一つは、駆動力を出力する出力軸であり、
前記出力軸の前記嵌合部は、前記凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記軸部材は、前記筒部材の前記軸線方向の両端部にそれぞれ設けられており、
前記各軸部材の前記嵌合部は、前記凹部をそれぞれ有し、
前記突出部は、前記本体部の両端面から前記軸線方向にそれぞれ突出しており、
前記各突出部は、前記各凹部内にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、筒状のステータコア、及びステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、ステータの内側に配置されるロータと、を備えている。特許文献1に記載のロータは、筒部材と、筒部材内に配置された磁性体と、筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに筒部材の軸線方向で磁性体と隣り合った状態で筒部材の内周面に固定される軸部材と、を有している。軸部材は、例えば、筒部材の内周面に嵌合されることにより固定されている。したがって、軸部材は、筒部材の内周面に嵌合される嵌合部を有している場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-112849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、磁性体の両端がステータコアの内側に位置している場合、ステータコアの端面における筒部材の軸線を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、磁性体に鎖交せずに磁性体の端部よりも筒部材の軸線方向の外側を通過する漏れ磁束が生じる場合がある。このような漏れ磁束が生じると、磁性体に鎖交する磁束が減少するため、回転電機の出力が低下する原因となる。
【0005】
そこで、このような漏れ磁束を磁性体に鎖交させるために、磁性体における筒部材の軸線方向の長さを長くすることが考えられる。しかし、筒部材の軸線方向の長さが一義的に決められている場合、磁性体における筒部材の軸線方向の長さを長くすると、軸部材の嵌合部における筒部材の軸線方向の長さが、磁性体における筒部材の軸線方向の長さを長くした分だけ短くなってしまう。嵌合部における筒部材の軸線方向の長さは、筒部材に対する軸部材の嵌合長である。このように、筒部材に対する軸部材の嵌合長が短くなると、軸部材を筒部材に対して安定的に固定し難くなるため、回転電機の信頼性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための回転電機は、筒状のステータコア、及び前記ステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、前記ステータの内側に配置されるロータと、を備え、前記ロータは、筒部材と、前記筒部材内に配置された磁性体と、前記筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに、前記軸線方向で前記磁性体と隣り合った状態で前記筒部材の内周面に嵌合される嵌合部を有する軸部材と、を有する回転電機であって、前記磁性体は、前記筒部材の内周面に固定される本体部と、前記本体部の端面から前記軸線方向に突出する突出部と、を有し、前記突出部における前記軸線方向の端部は、前記ステータコアの端面よりも前記軸線方向に突出し、前記嵌合部における前記磁性体と前記軸線方向で対向する端面には、凹部が形成され、前記突出部は、前記凹部内に配置されている。
【0007】
これによれば、例えば、ステータコアの端面における筒部材の軸線を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、磁性体の本体部の端面よりも筒部材の軸線方向の外側を通過する磁束を磁性体の突出部に鎖交させることができる。よって、磁性体に鎖交する磁束を増やすことができるため、回転電機の出力を向上させることができる。
【0008】
また、嵌合部における磁性体と筒部材の軸線方向で対向する対向面に凹部を形成し、突出部を凹部内に配置した。これによれば、磁性体に鎖交する磁束を増やすために、磁性体が、本体部の端面から筒部材の軸線方向に突出する突出部を有していても、嵌合部における筒部材の軸線方向の長さが短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、磁性体の本体部の端面から突出部を突出させても、筒部材に対する軸部材の嵌合長が短くならないため、軸部材を筒部材に対して安定的に固定することができ、回転電機の信頼性が維持される。以上により、回転電機の信頼性を維持しつつも、回転電機の出力を向上させることができる。
【0009】
上記回転電機において、前記軸部材は、前記筒部材の前記軸線方向の両端部にそれぞれ設けられており、前記軸部材のうちの少なくとも一つは、駆動力を出力する出力軸であり、前記出力軸の前記嵌合部は、前記凹部を有しているとよい。
【0010】
これによれば、例えば、磁性体に鎖交する磁束を増やすために、磁性体が、本体部の端面から出力軸に向かって筒部材の軸線方向に突出する突出部を有していても、出力軸の嵌合部における筒部材の軸線方向の長さが短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、負荷のかかり易い出力軸において、出力軸を筒部材に対して安定的に固定することができるため、回転電機の信頼性を向上させることができる。
【0011】
上記回転電機において、前記軸部材は、前記筒部材の前記軸線方向の両端部にそれぞれ設けられており、前記各軸部材の前記嵌合部は、前記凹部をそれぞれ有し、前記突出部は、前記本体部の両端面から前記軸線方向にそれぞれ突出しており、前記各突出部は、前記各凹部内にそれぞれ配置されているとよい。
【0012】
これによれば、例えば、筒部材の両端部にそれぞれ設けられた2つの軸部材のうちの一方の嵌合部が凹部を有しておらず、磁性体の本体部の両端面のうち、2つの軸部材のうちの一方側に位置する端面から突出部が突出していない構成に比べて、磁性体に鎖交する磁束をさらに増やすことができる。したがって、回転電機の出力をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、回転電機の信頼性を維持しつつも、回転電機の出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における回転電機を説明するための断面図。
図2】ロータの一部分を破断して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、回転電機を具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機10は、筒状のハウジング11内に収容されている。ハウジング11は、筒状の第1ハウジング構成体12と、第1ハウジング構成体12に連結される板状の第2ハウジング構成体13と、を備えている。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は金属製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0016】
第1ハウジング構成体12は、板状の端壁12aと、端壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有している。第2ハウジング構成体13は、周壁12bにおける端壁12aとは反対側の開口を閉塞した状態で第1ハウジング構成体12に連結されている。
【0017】
第1ハウジング構成体12の端壁12aの内面には、円筒状のボス部12cが突出した状態で設けられている。ボス部12cの軸線は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。また、第2ハウジング構成体13の内面には、円筒状のボス部13aが突出した状態で設けられている。ボス部13aの軸線は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。よって、両ボス部12c,13aの軸線は一致している。
【0018】
回転電機10は、ステータ14と、ロータ15と、を備えている。ステータ14は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの内周面に固定される円筒状のステータコア14aと、ステータコア14aに巻回されるコイル14bと、を有する。ロータ15は、ハウジング11内において、ステータ14の径方向内側に回転可能な状態で配置されている。
【0019】
図2に示すように、ロータ15は、筒部材16と、磁性体である永久磁石20と、軸部材としての第1軸部材30及び第2軸部材40と、を有している。本実施形態においては、筒部材16はインコネル製である。筒部材16は、筒部材16の軸線A1が直線状に延びる筒状である。なお、以下の説明において、筒部材16の軸線A1が延びる方向を、「筒部材16の軸線方向」と記載する。
【0020】
永久磁石20は、中実円柱状である。永久磁石20は、筒部材16内に配置されている。永久磁石20の軸線は、筒部材16の軸線A1と一致している。永久磁石20は、永久磁石20の径方向に着磁されている。
【0021】
永久磁石20は、本体部21と、突出部としての第1突出部22及び第2突出部23と、を有している。本体部21は、円柱状である。本体部21の軸線は、筒部材16の軸線A1と一致している。本体部21は、筒部材16の内周面160に圧入されることにより固定されている。本体部21における永久磁石20の軸線方向の長さは、筒部材16における筒部材16の軸線方向の長さよりも短い。本体部21における筒部材16の第1端部16a寄りの第1端面21aは、ステータコア14aの第1端面140aと同一平面上に位置している。本体部21における筒部材16の第2端部16b寄りの第2端面21bは、ステータコア14aの第2端面141aと同一平面上に位置している。
【0022】
第1突出部22は、円柱状である。第1突出部22は、本体部21の第1端面21aから筒部材16の軸線方向に突出している。第1突出部22の軸線は、本体部21の軸線と一致している。第1突出部22の端面22aは、筒部材16の内側に位置している。よって、筒部材16の第1端部16aは、第1突出部22の端面22aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。第1突出部22の端面22aは、ステータコア14aの第1端面140aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。したがって、第1突出部22における筒部材16の軸線方向の端部は、ステータコア14aの第1端面140aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。
【0023】
第2突出部23は、円柱状である。第2突出部23は、本体部21の第2端面21bから筒部材16の軸線方向に突出している。したがって、本実施形態において、突出部は、本体部21の両端面から筒部材16の軸線方向にそれぞれ突出している。第2突出部23の軸線は、本体部21の軸線と一致している。したがって、本体部21の軸線、第1突出部22の軸線、及び第2突出部23の軸線は、それぞれ一致している。第2突出部23の端面23aは、筒部材16の内側に位置している。よって、筒部材16の第2端部16bは、第2突出部23の端面23aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。第2突出部23の端面23aは、ステータコア14aの第2端面141aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。したがって、第2突出部23における筒部材16の軸線方向の端部は、ステータコア14aの第2端面141aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。
【0024】
第1軸部材30は、筒部材16の第1端部16aに設けられている。第2軸部材40は、筒部材16の第2端部16bに設けられている。したがって、本実施形態の回転電機10は、軸部材が、筒部材16の軸線方向の両端部にそれぞれ設けられている。第1軸部材30及び第2軸部材40は、例えば、チタン製である。
【0025】
第1軸部材30は、嵌合部としての第1嵌合部31と、第1軸部32と、を有している。第1嵌合部31は、円柱状である。第1嵌合部31は、筒部材16の内周面160に嵌合されている。よって、第1軸部材30は、第1嵌合部31が筒部材16の内周面160に嵌合されることにより筒部材16に固定されている。第1嵌合部31における永久磁石20と筒部材16の軸線方向で対向する第1対向面31aは、永久磁石20の本体部21の第1端面21aに対して筒部材16の軸線方向で対向している。したがって、第1軸部材30の第1嵌合部31は、筒部材16の軸線方向で永久磁石20と隣り合った状態で筒部材16の内周面160に嵌合されている。第1対向面31aには、凹部としての第1凹部33が形成されている。
【0026】
第1凹部33は、円孔状である。第1凹部33は、永久磁石20に向けて開口するとともに永久磁石20の本体部21から遠ざかる方向へ延びている。第1凹部33の内周面33aは、第1軸部材30の軸線方向に延びている。第1凹部33の端面33bは、第1軸部材30の軸線方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第1凹部33の内径は、第1突出部22の外径よりも僅かに大きい。
【0027】
第1凹部33における第1軸部材30の軸線方向の長さL1は、第1嵌合部31における第1軸部材30の軸線方向の長さL2よりも短い。また、第1突出部22は、第1凹部33内に配置されている。第1凹部33における第1軸部材30の軸線方向の長さL1は、第1突出部22における永久磁石20の軸線方向の長さL3よりも僅かに短い。第1嵌合部31における第1軸部材30の軸線方向の長さL2は、筒部材16に対する第1軸部材30の嵌合長である。
【0028】
なお、第1嵌合部31の外周面と筒部材16の内周面160とは接着剤によって接着されている。また、第1嵌合部31の第1対向面31aと永久磁石20の本体部21の第1端面21aとは接着剤によって接着されている。第1凹部33の内周面33aと第1突出部22の外周面とは接着剤によって接着されている。さらに、第1凹部33の端面33bと第1突出部22の端面22aとは接着剤によって接着されている。
【0029】
図1に示すように、第1軸部32は、第1フランジ部34と、第1軸本体部35と、を有している。第1フランジ部34は、円柱状である。第1フランジ部34は、第1嵌合部31における永久磁石20の本体部21とは反対側の端部に連続している。第1フランジ部34の外径は、第1嵌合部31の外径よりも大きい。第1軸本体部35は、円柱状である。第1軸本体部35は、第1フランジ部34における第1嵌合部31とは反対側の端部に連続している。第1軸本体部35の外径は、第1フランジ部34の外径よりも小さい。
【0030】
図2に示すように、第2軸部材40は、嵌合部としての第2嵌合部41と、第2軸部42と、を有している。第2嵌合部41は、円柱状である。第2嵌合部41は、筒部材16の内周面160に嵌合されている。よって、第2軸部材40は、第2嵌合部41が筒部材16の内周面160に嵌合されることにより筒部材16に固定されている。第2嵌合部41における永久磁石20と筒部材16の軸線方向で対向する第2対向面41aは、永久磁石20の本体部21の第2端面21bに対して筒部材16の軸線方向で対向している。したがって、第2軸部材40の第2嵌合部41は、筒部材16の軸線方向で永久磁石20と隣り合った状態で筒部材16の内周面160に嵌合されている。第2対向面41aには、凹部としての第2凹部43が形成されている。したがって、各軸部材の嵌合部は、凹部をそれぞれ有している。
【0031】
第2凹部43は、円孔状である。第2凹部43は、永久磁石20に向けて開口するとともに永久磁石20の本体部21から遠ざかる方向へ延びている。第2凹部43の内周面43aは、第2軸部材40の軸線方向に延びている。第2凹部43の端面43bは、第2軸部材40の軸線方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第2凹部43の内径は、第2突出部23の外径よりも僅かに大きい。
【0032】
本実施形態では、第2凹部43における第2軸部材40の軸線方向の長さL4は、第2嵌合部41における第2軸部材40の軸線方向の長さL5よりも短い。また、第2突出部23は、第2凹部43内に配置されている。第2凹部43における第2軸部材40の軸線方向の長さL4は、第2突出部23における永久磁石20の軸線方向の長さL6よりも僅かに短い。第2嵌合部41における第2軸部材40の軸線方向の長さL5は、筒部材16に対する第2軸部材40の嵌合長である。
【0033】
なお、第2嵌合部41の外周面と筒部材16の内周面160とは接着剤によって接着されている。また、第2嵌合部41の第2対向面41aと永久磁石20の本体部21の第2端面21bとは接着剤によって接着されている。第2凹部43の内周面43aと第2突出部23の外周面とは接着剤によって接着されている。さらに、第2凹部43の端面43bと第2突出部23の端面23aとは接着剤によって接着されている。
【0034】
図1に示すように、第2軸部42は、第2フランジ部44と、第2軸本体部45と、を有している。第2フランジ部44は、円柱状である。第2フランジ部44は、第2嵌合部41における永久磁石20の本体部21とは反対側の端部に連続している。第2フランジ部44の外径は、第2嵌合部41の外径よりも大きい。第2軸本体部45は、円柱状である。第2軸本体部45は、第2フランジ部44における第2嵌合部41とは反対側の端部に連続している。第2軸本体部45の外径は、第2フランジ部44の外径よりも小さい。
【0035】
第1軸部材30の第1軸部32の第1軸本体部35は、ボス部13aの内側を通過するとともに第2ハウジング構成体13を貫通してハウジング11の外へ突出している。ボス部13aの内周面と第1軸本体部35の外周面との間には、第1軸受51が設けられている。そして、第1軸部材30は、第1軸本体部35が第1軸受51を介してボス部13aに支持されることにより、ハウジング11に回転可能な状態で支持されている。
【0036】
第1軸部材30の第1軸本体部35における第1フランジ部34とは反対側の端部には、インペラ53が取り付けられている。インペラ53は、第1軸部材30と一体回転可能である。よって、インペラ53は、第1軸部材30の回転が駆動力として伝達されることにより駆動する。したがって、インペラ53が取り付けられた第1軸部材30は、駆動力を出力する出力軸である。そして、本実施形態において、出力軸の嵌合部は、凹部を有している。
【0037】
第2軸部材40の第2軸部42の第2軸本体部45は、ボス部12cの内側に挿入されている。ボス部12cの内周面と第2軸本体部45の外周面との間には、第2軸受52が設けられている。そして、第2軸部材40は、第2軸本体部45が第2軸受52を介してボス部12cに支持されることにより、ハウジング11に回転可能な状態で支持されている。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、図2において二点鎖線B1で示すように、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、永久磁石20の本体部21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が生じる場合がある。このとき、永久磁石20は、第1突出部22を有しているため、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、本体部21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第1突出部22に鎖交する。また、第1突出部22は、第1嵌合部31の第1凹部33内に配置されているため、永久磁石20が第1突出部22を有していても、筒部材16に対する第1軸部材30の嵌合長が短くならない。このため、第1軸部材30が筒部材16に対して安定的に固定されている。
【0039】
また、図2において二点鎖線B2で示すように、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、永久磁石20の本体部21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が生じる場合がある。このとき、永久磁石20は、第2突出部23を有しているため、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、本体部21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第2突出部23に鎖交する。また、第2突出部23は、第2嵌合部41の第2凹部43内に配置されているため、永久磁石20が第2突出部23を有していても、筒部材16に対する第2軸部材40の嵌合長が短くならない。このため、第2軸部材40が筒部材16に対して安定的に固定される。
【0040】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)永久磁石20が第1突出部22を有している。これによれば、例えば、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、永久磁石20の本体部21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束を永久磁石20の第1突出部22に鎖交させることができる。また、永久磁石20が第2突出部23を有している。これによれば、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、永久磁石20の本体部21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束を永久磁石20の第2突出部23に鎖交させることができる。よって、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすことができるため、回転電機10の出力を向上させることができる。
【0041】
そして、第1嵌合部31における永久磁石20と筒部材16の軸線方向で対向する第1対向面31aに第1凹部33を形成し、第1突出部22を第1凹部33内に配置した。これによれば、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすために、永久磁石20が、本体部21の第1端面21aから筒部材16の軸線方向に突出する第1突出部22を有していても、第1嵌合部31における筒部材16の軸線方向の長さL2が短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、永久磁石20の本体部21の第1端面21aから第1突出部22を突出させても、筒部材16に対する第1軸部材30の嵌合長が短くならないため、第1軸部材30を筒部材16に対して安定的に固定することができ、回転電機10の信頼性が維持される。
【0042】
さらに、第2嵌合部41における永久磁石20と筒部材16の軸線方向で対向する第2対向面41aに第2凹部43を形成し、第2突出部23を第2凹部43内に配置した。これによれば、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすために、永久磁石20が、本体部21の第2端面21bから筒部材16の軸線方向に突出する第2突出部23を有していても、第2嵌合部41における筒部材16の軸線方向の長さL5が短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、永久磁石20の本体部21の第2端面21bから第2突出部23を突出させても、筒部材16に対する第2軸部材40の嵌合長が短くならないため、第2軸部材40を筒部材16に対して安定的に固定することができ、回転電機10の信頼性が維持される。以上により、回転電機10の信頼性を維持しつつも、回転電機10の出力を向上させることができる。
【0043】
(2)出力軸である第1軸部材30の第1嵌合部31は、第1凹部33を有している。これによれば、第1突出部22を有していても、第1軸部材30の第1嵌合部31における筒部材16の軸線方向の長さL2が短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、負荷のかかり易い出力軸において、第1軸部材30を筒部材16に対して安定的に固定することができるため、回転電機10の信頼性を向上させることができる。
【0044】
(3)第1軸部材30の第1嵌合部31は、第1凹部33を有し、第2軸部材40の第2嵌合部41は、第2凹部43を有している。第1凹部33内には、第1突出部22が配置され、第2凹部43内には、第2突出部23が配置されている。これによれば、例えば、第1軸部材30の第1嵌合部31が第1凹部33を有しておらず、永久磁石20の本体部21の第1端面21aから第1突出部22が突出していない構成に比べて、永久磁石20に鎖交する磁束をさらに増やすことができる。したがって、回転電機10の出力をさらに向上させることができる。
【0045】
(4)第1凹部33の内周面33aと第1突出部22の外周面とが接着剤によって接着されており、第1凹部33の端面33bと第1突出部22の端面22aとが接着剤によって接着されている。これによれば、第1嵌合部31の第1対向面31aに第1凹部33が形成されておらず、さらには、本体部21の第1端面21aから第1突出部22が突出しておらず、第1嵌合部31の第1対向面31aと本体部21の第1端面21aとを接着剤で接着する場合に比べると、第1軸部材30と永久磁石20との接着面積を大きくすることができる。したがって、第1軸部材30と永久磁石20との固定強度を高めることができる。さらに、第2凹部43の内周面43aと第2突出部23の外周面とが接着剤によって接着されており、第2凹部43の端面43bと第2突出部23の端面23aとが接着剤によって接着されている。これによれば、第2嵌合部41の第2対向面41aに第2凹部43が形成されておらず、さらには、本体部21の第2端面21bから第2突出部23が突出しておらず、第2嵌合部41の第2対向面41aと本体部21の第2端面21bとを接着剤で接着する場合に比べると、第2軸部材40と永久磁石20との接着面積を大きくすることができる。したがって、第2軸部材40と永久磁石20との固定強度を高めることができる。その結果として、永久磁石20から筒部材16に作用する応力を緩和することができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
○ 実施形態において、第1嵌合部31の第1対向面31aと永久磁石20の本体部21の第1端面21aとが接着剤によって接着されておらず、第1嵌合部31の第1対向面31aと永久磁石20の本体部21の第1端面21aとの間に隙間があってもよい。また、第2嵌合部41の第2対向面41aと永久磁石20の本体部21の第2端面21bとが接着剤によって接着されておらず、第2嵌合部41の第2対向面41aと永久磁石20の本体部21の第2端面21bとの間に隙間があってもよい。
【0048】
○ 実施形態において、第1凹部33の端面33bと第1突出部22の端面22aとが接着剤によって接着しておらず、第1凹部33の端面33bと第1突出部22の端面22aとの間に隙間があってもよい。要は、第1突出部22が第1凹部33内に配置されていればよい。また、第2凹部43の端面43bと第2突出部23の端面23aとが接着剤によって接着されておらず、第2凹部43の端面43bと第2突出部23の端面23aとの間に隙間があってもよい。要は、第2突出部23が第2凹部43内に配置されていればよい。
【0049】
○ 実施形態において、第1凹部33における第1軸部材30の軸線方向の長さL1は、第1嵌合部31における第1軸部材30の軸線方向の長さL2よりも短かったが、これに限らない。例えば、第1凹部33における第1軸部材30の軸線方向の長さL1は、第1嵌合部31における第1軸部材30の軸線方向の長さL2以上であってもよい。また、第2凹部43における第2軸部材40の軸線方向の長さL4は、第2嵌合部41における第2軸部材40の軸線方向の長さL5よりも短かったが、これに限らない。例えば、第2凹部43における第2軸部材40の軸線方向の長さL4は、第2嵌合部41における第2軸部材40の軸線方向の長さL5以上であってもよい。
【0050】
○ 実施形態において、第1凹部33の内周面33aと第1突出部22の外周面とが接着剤によって接着されておらず、第1凹部33の内周面33aと第1突出部22の外周面との間に隙間があってもよい。また、第2凹部43の内周面43aと第2突出部23の外周面とが接着剤によって接着されておらず、第2凹部43の内周面43aと第2突出部23の外周面との間に隙間があってもよい。
【0051】
○ 実施形態において、出力軸である第1軸部材30の第1嵌合部31には、第1凹部33が形成され、第1凹部33内に第1突出部22が配置されていたが、第1凹部33内には、第1突出部22が配置されていなくてもよい。
【0052】
○ 実施形態において、例えば、第1軸部材30の第1嵌合部31が第1凹部33を有しておらず、永久磁石20の本体部21の第1端面21aから第1突出部22が突出していなくてもよい。
【0053】
○ 実施形態において、例えば、第2軸部材40の第2嵌合部41が第2凹部43を有しておらず、永久磁石20の本体部21の第2端面21bから第2突出部23が突出していなくてもよい。
【0054】
○ 実施形態において、第1凹部33と第1突出部22とは接着剤によって接着されていなくてもよい。そして、例えば、第1突出部22が第1凹部33に圧入されていてもよい。また、第2凹部43と第2突出部23とは接着剤によって接着されていなくてもよい。そして、例えば、第2突出部23が第2凹部43に圧入されていてもよい。
【0055】
○ 実施形態において、第2軸部材40の第2軸部42における第2嵌合部41とは反対側の端部にもインペラ53が取り付けられる構成であってもよい。インペラ53は、第2軸部材40と一体回転可能である。よって、インペラ53は、第2軸部材40の回転が駆動力として伝達されることにより駆動する。したがって、インペラ53が取り付けられた第2軸部材40は、駆動力を出力する出力軸である。要は、第1軸部材30及び第2軸部材40のうちの少なくとも一つが、駆動力を出力する出力軸であればよい。
【0056】
○ 実施形態において、ロータ15は、例えば、第2軸部材40が設けられていない構成であってもよい。要は、ロータ15は、筒部材16の軸線方向の両端部の少なくとも一方に軸部材が設けられている構成であればよい。
【0057】
○ 実施形態において、第1突出部22及び第2突出部23が先端に向かうにつれて先細りとなる段差形状であってもよい。
○ 実施形態において、筒部材16は、インコネル製であったが、これに限らない。筒部材16は、例えば、非磁性の金属製であってもよいし、炭素繊維強化プラスチック製であってもよい。
【0058】
○ 実施形態において、磁性体としては、永久磁石20に限らず、例えば、積層コア、アモルファスコア、又は圧粉コア等であってもよい。
○ 実施形態において、第1軸部材30及び第2軸部材40は、チタン製に限らず、例えば、非磁性の金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…回転電機、14…ステータ、14a…ステータコア、14b…コイル、15…ロータ、16…筒部材、20…磁性体である永久磁石、21…本体部、22…突出部としての第1突出部、23…突出部としての第2突出部、30…軸部材であるとともに出力軸である第1軸部材、31…嵌合部としての第1嵌合部、33…凹部としての第1凹部、40…軸部材である第2軸部材、41…嵌合部としての第2嵌合部、43…凹部としての第2凹部。
図1
図2