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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112961
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20220727BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20220727BHJP
   H02K 1/27 20220101ALI20220727BHJP
【FI】
H02K1/22 A
H02K1/28 A
H02K1/27 501A
H02K1/27 501M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009017
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】門脇 渉
【テーマコード(参考)】
5H601
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA25
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE18
5H601EE27
5H601FF02
5H601GA37
5H601GA39
5H601JJ05
5H601KK14
5H622AA03
5H622CA01
5H622PP01
(57)【要約】
【課題】回転電機の出力を向上させること。
【解決手段】永久磁石20は、第1永久磁石21と、第2永久磁石22,23と、を含む。そして、第1軸部材30は、第2永久磁石22を収容する第1凹部33を有し、第2軸部材40は、第2永久磁石23を収容する第2凹部43を有している。よって、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第2永久磁石22に鎖交する。また、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第2永久磁石23に鎖交する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のステータコア、及び前記ステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、
前記ステータの内側に配置されるロータと、を備え、
前記ロータは、
筒部材と、
少なくとも一部が前記筒部材内に配置された磁性体と、
前記筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに、前記筒部材の内周面に固定される軸部材と、を有している回転電機であって、
前記磁性体は、
前記筒部材の内周面に固定される第1磁性体と、
前記軸部材に設けられる第2磁性体と、を含み、
前記軸部材は、前記第2磁性体を収容する収容部を有していることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
前記軸部材は、
前記筒部材の内周面に嵌合される嵌合部と、
前記嵌合部に連続するとともに前記筒部材の外側に位置する軸部と、を有し、
前記収容部は、前記嵌合部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記収容部は、前記嵌合部における前記第1磁性体と対向する面に形成される凹部であり、
前記第2磁性体は、前記凹部内に配置されており、
前記嵌合部における前記第1磁性体と対向する面と前記第2磁性体における前記第1磁性体と対向する面とは、同一平面上に位置することを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、筒状のステータコア、及びステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、ステータの内側に配置されるロータと、を備えている。特許文献1に記載のロータは、筒部材と、筒部材内に配置された磁性体と、筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに、筒部材の内周面に固定される軸部材と、を有している。磁性体は、少なくとも一部が筒部材内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-112849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、磁性体の両端がステータコアの内側に位置している場合、ステータコアの端面における筒部材の軸線を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、磁性体に鎖交せずに磁性体の端部よりも筒部材の軸線方向の外側を通過する漏れ磁束が生じる場合がある。このような漏れ磁束が生じると、磁性体に鎖交する磁束が減少するため、回転電機の出力が低下する原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための回転電機は、筒状のステータコア、及び前記ステータコアに巻回されるコイルを有するステータと、前記ステータの内側に配置されるロータと、を備え、前記ロータは、筒部材と、前記筒部材内に配置された磁性体と、前記筒部材の軸線方向の両端部の少なくとも一方に設けられるとともに、前記筒部材の内周面に固定される軸部材と、を有している回転電機であって、前記磁性体は、前記筒部材の内周面に固定される第1磁性体と、前記軸部材に設けられる第2磁性体と、を含み、前記軸部材は、前記第2磁性体を収容する収容部を有している。
【0006】
これによれば、第2磁性体は、収容部に収容されることにより、第1磁性体の端面よりも筒部材の軸線方向の外側に配置されるため、例えば、ステータコアの端面における筒部材の軸線を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1磁性体の端面よりも筒部材の軸線方向の外側を通過する磁束を第2磁性体に鎖交させることができる。したがって、磁性体に鎖交する磁束を増やすことができるため、回転電機の出力を向上させることができる。
【0007】
上記回転電機において、前記軸部材は、前記筒部材の内周面に嵌合される嵌合部と、前記嵌合部に連続するとともに前記筒部材の外側に位置する軸部と、を有し、前記収容部は、前記嵌合部に形成されているとよい。
【0008】
ステータコアの端面における筒部材の軸線を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1磁性体の端面よりも筒部材の軸線方向の外側を通過する磁束は、筒部材の軸線方向において、第1磁性体に近いほど多くなる。そこで、収容部を嵌合部に形成し、第2磁性体が嵌合部に設けられるようにした。これによれば、例えば、収容部が軸部材の軸部に形成されることにより、第2磁性体が軸部に設けられている構成に比べて、筒部材の軸線方向において、第2磁性体を第1磁性体の近くに配置することができる。したがって、第2磁性体に鎖交する磁束を増やすことができる。その結果、磁性体に鎖交する磁束をさらに増やすことができ、回転電機の出力をさらに向上させることができる。
【0009】
上記回転電機において、前記収容部は、前記嵌合部における前記第1磁性体と対向する面に形成される凹部であり、前記第2磁性体は、前記凹部内に配置されており、前記嵌合部における前記第1磁性体と対向する面と前記第2磁性体における前記第1磁性体と対向する面とは、同一平面上に位置するとよい。
【0010】
これによれば、筒部材の軸線方向において、第2磁性体を第1磁性体の極力近くに配置することができる。したがって、第2磁性体に鎖交する磁束をさらに増やすことができる。その結果、磁性体に鎖交する磁束をさらに増やすことができ、回転電機の出力をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、回転電機の出力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における回転電機を説明するための断面図。
図2】ロータの一部分を破断して示す断面図。
図3】ロータの断面図。
図4】別の実施形態におけるロータの一部分を破断して示す断面図。
図5】ロータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、回転電機を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、回転電機10は、筒状のハウジング11内に収容されている。ハウジング11は、筒状の第1ハウジング構成体12と、第1ハウジング構成体12に連結される板状の第2ハウジング構成体13と、を備えている。第1ハウジング構成体12及び第2ハウジング構成体13は金属製であり、例えば、アルミニウム製である。
【0014】
第1ハウジング構成体12は、板状の端壁12aと、端壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bと、を有している。第2ハウジング構成体13は、周壁12bにおける端壁12aとは反対側の開口を閉塞した状態で第1ハウジング構成体12に連結されている。
【0015】
第1ハウジング構成体12の端壁12aの内面には、円筒状のボス部12cが突出した状態で設けられている。ボス部12cの軸線は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。また、第2ハウジング構成体13の内面には、円筒状のボス部13aが突出した状態で設けられている。ボス部13aの軸線は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの軸線と一致している。よって、両ボス部12c,13aの軸線は一致している。
【0016】
回転電機10は、ステータ14と、ロータ15と、を備えている。ステータ14は、第1ハウジング構成体12の周壁12bの内周面に固定される円筒状のステータコア14aと、ステータコア14aに巻回されるコイル14bと、を有する。ロータ15は、ハウジング11内において、ステータ14の径方向内側に回転可能な状態で配置されている。
【0017】
図2に示すように、ロータ15は、筒部材16と、磁性体である永久磁石20と、軸部材としての第1軸部材30及び第2軸部材40と、を有している。本実施形態においては、筒部材16はインコネル製である。筒部材16は、筒部材16の軸線A1が直線状に延びる筒状である。なお、以下の説明において、筒部材16の軸線A1が延びる方向を、「筒部材16の軸線方向」と記載する。
【0018】
筒部材16は、ステータコア14aの内側を貫通している。筒部材16の第1端部16aは、ステータコア14aの第1端面140aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。筒部材16の第2端部16bは、ステータコア14aの第2端面141aよりも筒部材16の軸線方向に突出している。したがって、筒部材16の軸線方向の長さは、ステータコア14aの軸線方向の長さよりも長い。
【0019】
永久磁石20は、第1磁性体である第1永久磁石21と、第2磁性体である第2永久磁石22,23と、を含む。第1永久磁石21は、円柱状である。第1永久磁石21は、径方向に着磁されている。第1永久磁石21の軸線は、筒部材16の軸線A1と一致している。第1永久磁石21は、筒部材16の内周面160に圧入されることにより固定されている。したがって、第1永久磁石21は、筒部材16内に配置されている。第1永久磁石21における永久磁石20の軸線方向の長さは、筒部材16における筒部材16の軸線方向の長さよりも短い。第1永久磁石21の第1端面21aは、ステータコア14aの第1端面140aと同一平面上に位置している。第1永久磁石21の第2端面21bは、ステータコア14aの第2端面141aと同一平面上に位置している。
【0020】
第2永久磁石22は、円柱状である。第2永久磁石22は、径方向に着磁されている。第2永久磁石22の軸線は、第1永久磁石21の軸線と一致している。第2永久磁石22の外径は、第1永久磁石21の外径よりも小さい。第2永久磁石22は、筒部材16の第1端部16aの内側に位置している。第2永久磁石22は、筒部材16の軸線方向で第1永久磁石21の第1端面21aと隣り合った状態で、筒部材16内に配置されている。第2永久磁石22の端面22aは、筒部材16の第1端部16aの内側に位置している。第2永久磁石22は、ステータコア14aの第1端面140aよりも筒部材16の軸線方向に突出した位置に配置されている。
【0021】
第2永久磁石23は、円柱状である。第2永久磁石23は、径方向に着磁されている。第2永久磁石23の軸線は、第1永久磁石21の軸線と一致している。したがって、第1永久磁石21の軸線、第2永久磁石22の軸線、及び第2永久磁石23の軸線は、それぞれ一致している。第2永久磁石23の外径は、第1永久磁石21の外径よりも小さい。第2永久磁石23は、筒部材16の第2端部16bの内側に位置している。したがって、第2永久磁石23は、筒部材16の軸線方向で第1永久磁石21の第2端面21bと隣り合った状態で、筒部材16内に配置されている。よって、本実施形態では、永久磁石20全体が筒部材16内に配置されている。第2永久磁石23の端面23aは、筒部材16の第2端部16bの内側に位置している。第2永久磁石23は、ステータコア14aの第2端面141aよりも筒部材16の軸線方向に突出した位置に配置されている。
【0022】
第1軸部材30は、筒部材16の第1端部16aに設けられている。第2軸部材40は、筒部材16の第2端部16bに設けられている。第1軸部材30及び第2軸部材40は、例えば、チタン製である。
【0023】
第1軸部材30は、嵌合部としての第1嵌合部31と、軸部としての第1軸部32と、を有している。第1嵌合部31は、円柱状である。第1嵌合部31は、筒部材16の内周面160に嵌合されている。よって、第1軸部材30は、第1嵌合部31が筒部材16の内周面160に嵌合されることにより筒部材16に固定されている。第1嵌合部31における第1永久磁石21と筒部材16の軸線方向で対向する面である第1対向面31aは、第1永久磁石21の第1端面21aに対して筒部材16の軸線方向で対向している。したがって、第1軸部材30の第1嵌合部31は、筒部材16の軸線方向で第1永久磁石21と隣り合った状態で筒部材16の内周面160に嵌合されている。
【0024】
第1対向面31aには、凹部としての第1凹部33が形成されている。第1凹部33は、円孔状である。第1凹部33の軸線は、第1嵌合部31の軸線と一致している。第1凹部33は、第1永久磁石21に向けて開口するとともに第1永久磁石21の第1端面21aから遠ざかる方向へ延びている。第1凹部33の内周面33aは、第1軸部材30の軸線方向に延びている。第1凹部33の端面33bは、第1軸部材30の軸線方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第1凹部33の内径は、第2永久磁石22の外径よりも僅かに大きい。
【0025】
図2及び図3に示すように、第2永久磁石22は、第1凹部33内に配置されている。よって、第1凹部33は、第2永久磁石22を収容する収容部である。したがって、第1軸部材30は、第2永久磁石22を収容する収容部を有している。第2永久磁石22は、第1凹部33内に収容されることにより、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置されている。また、第1対向面31aと、第2永久磁石22における第1永久磁石21と対向する面である端面22bとは、同一平面上に位置している。第1対向面31a及び端面22bと第1永久磁石21の第1端面21aとは、僅かに離間している。
【0026】
なお、第1嵌合部31の外周面と筒部材16の内周面160とは接着剤によって接着されている。また、第1嵌合部31の第1対向面31aと第1永久磁石21の第1端面21aとは接着剤によって接着されている。第1凹部33の内周面33aと第2永久磁石22の外周面220とは接着剤によって接着されている。さらに、第1凹部33の端面33bと第2永久磁石22の端面22aとは接着剤によって接着されている。
【0027】
図1に示すように、第1軸部32は、円柱状である。第1軸部32は、第1嵌合部31に連続するとともに筒部材16の外側に位置している。第1軸部32の軸線は、第1嵌合部31の軸線と一致している。第1軸部32は、ボス部13aの内側を通過するとともに第2ハウジング構成体13を貫通してハウジング11の外へ突出している。ボス部13aの内周面と第1軸部32の外周面との間には、第1軸受51が設けられている。そして、第1軸部材30は、第1軸部32が第1軸受51を介してボス部13aに支持されることにより、ハウジング11に回転可能な状態で支持されている。
【0028】
図2に示すように、第2軸部材40は、嵌合部としての第2嵌合部41と、軸部としての第2軸部42と、を有している。第2嵌合部41は、円柱状である。第2嵌合部41は、筒部材16の内周面160に嵌合されている。よって、第2軸部材40は、第2嵌合部41が筒部材16の内周面160に嵌合されることにより筒部材16に固定されている。第2嵌合部41における永久磁石20と筒部材16の軸線方向で対向する面である第2対向面41aは、第1永久磁石21の第2端面21bに対して筒部材16の軸線方向で対向している。したがって、第2軸部材40の第2嵌合部41は、筒部材16の軸線方向で第1永久磁石21と隣り合った状態で筒部材16の内周面160に嵌合されている。
【0029】
第2対向面41aには、凹部としての第2凹部43が形成されている。第2凹部43は、円孔状である。第2凹部43の軸線は、第2嵌合部41の軸線と一致している。第2凹部43は、永久磁石20に向けて開口するとともに第1永久磁石21から遠ざかる方向へ延びている。第2凹部43の内周面43aは、第2軸部材40の軸線方向に延びている。第2凹部43の端面43bは、第2軸部材40の軸線方向に対して直交する方向に延びる平坦面状である。第2凹部43の内径は、第2永久磁石23の外径よりも僅かに大きい。
【0030】
第2永久磁石23は、第2凹部43内に配置されている。よって、第2凹部43は、第2永久磁石23を収容する収容部である。したがって、第2軸部材40は、第2永久磁石23を収容する収容部を有している。第2永久磁石23は、第2凹部43内に収容されることにより、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置されている。また、第2対向面41aと、第2永久磁石23における第1永久磁石21と対向する面である端面23aとは、同一平面上に位置している。第2対向面41a及び端面23bと第1永久磁石21の第2端面21bとは、僅かに離間している。
【0031】
なお、第2嵌合部41の外周面と筒部材16の内周面160とは接着剤によって接着されている。また、第2嵌合部41の第2対向面41aと第1永久磁石21の第2端面21bとは接着剤によって接着されている。第2凹部43の内周面43aと第2永久磁石23の外周面230とは接着剤によって接着されている。さらに、第2凹部43の端面43bと第2永久磁石23の端面23aとは接着剤によって接着されている。
【0032】
図1に示すように、第2軸部42は、円柱状である。第2軸部42は、第2嵌合部41に連続するとともに筒部材16の外側に位置している。第2軸部42の軸線は、第2嵌合部41の軸線と一致している。第2軸部42は、ボス部12cの内側に挿入されている。ボス部12cの内周面と第2軸部42の外周面との間には、第2軸受52が設けられている。そして、第2軸部材40は、第2軸部42が第2軸受52を介してボス部12cに支持されることにより、ハウジング11に回転可能な状態で支持されている。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
ところで、図2において二点鎖線B1で示すように、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が生じる場合がある。このとき、第2永久磁石22は、第1凹部33内に収容されることにより、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置されている。このため、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第2永久磁石22に鎖交する。
【0034】
また、図2において二点鎖線B2で示すように、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が生じる場合がある。このとき、第2永久磁石23は、第2凹部43内に収容されることにより、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置されている。このため、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束が第2永久磁石23に鎖交する。
【0035】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)永久磁石20は、第1永久磁石21と、第2永久磁石22,23と、を含む。そして、第1軸部材30は、第2永久磁石22を収容する第1凹部33を有し、第2軸部材40は、第2永久磁石23を収容する第2凹部43を有している。これによれば、第2永久磁石22は、第1凹部33内に収容されることにより、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置される。このため、例えば、ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束を第2永久磁石22に鎖交させることができる。また、第2永久磁石23は、第2凹部43内に収容されることにより、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側に配置される。このため、例えば、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束を第2永久磁石23に鎖交させることができる。したがって、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすことができるため、回転電機10の出力を向上させることができる。
【0036】
(2)ステータコア14aの第1端面140aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第1端面21aよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束は、筒部材16の軸線方向において、第1永久磁石21に近いほど多くなる。そこで、第1凹部33を第1嵌合部31に形成し、第2永久磁石22が第1嵌合部31に設けられるようにした。これによれば、例えば、第2永久磁石22を収容する収容部が第1軸部材30の第1軸部32に形成されることにより、第2永久磁石22が第1軸部32に設けられている構成に比べて、筒部材16の軸線方向において、第2永久磁石22を第1永久磁石21の近くに配置することができる。
【0037】
また、ステータコア14aの第2端面141aにおける筒部材16の軸線A1を挟んだ両側に位置する部位それぞれの間で、第1永久磁石21の第2端面21bよりも筒部材16の軸線方向の外側を通過する磁束は、筒部材16の軸線方向において、第1永久磁石21に近いほど多くなる。そこで、第2凹部43を第2嵌合部41に形成し、第2永久磁石23が第2嵌合部41に設けられるようにした。これによれば、例えば、第2永久磁石23を収容する収容部が第2軸部材40の第2軸部42に形成されることにより、第2永久磁石23が第2軸部42に設けられている構成に比べて、筒部材16の軸線方向において、第2永久磁石23を第1永久磁石21の近くに配置することができる。したがって、両第2永久磁石22,23にそれぞれ鎖交する磁束を増やすことができる。その結果、永久磁石20に鎖交する磁束をさらに増やすことができる。したがって、回転電機10の出力をさらに向上させることができる。
【0038】
(3)第1嵌合部31における第1永久磁石21と対向する第1対向面31aと第2永久磁石22における第1永久磁石21と対向する端面22bとが同一面上に位置している。また、第2嵌合部41における第1永久磁石21と対向する第2対向面41aと第2永久磁石23における第1永久磁石21と対向する端面23bとが同一面上に位置している。これによれば、筒部材16の軸線方向において、両第2永久磁石22,23を第1永久磁石21の極力近くにそれぞれ配置することができる。したがって、両第2永久磁石22,23に鎖交する磁束をさらに増やすことができるため、永久磁石20に鎖交する磁束をさらに増やすことができる。
【0039】
(4)第1凹部33を第1嵌合部31に形成し、第2永久磁石22を第1凹部33内に配置した。これによれば、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすために、第1軸部材30に第2永久磁石22を設けたとしても、第1嵌合部31における筒部材16の軸線方向の長さが短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、第1軸部材30に第2永久磁石22を設けたとしても、筒部材16に対する第1軸部材30の嵌合長が短くならないため、第1軸部材30を筒部材16に対して安定的に固定することができる。また、第2凹部43を第2嵌合部41に形成し、第2永久磁石23を第2凹部43内に配置した。これによれば、永久磁石20に鎖交する磁束を増やすために、第2軸部材40に第2永久磁石23を設けたとしても、第2嵌合部41における筒部材16の軸線方向の長さが短くなってしまうといった問題を回避することができる。したがって、第2軸部材40に第2永久磁石23を設けたとしても、筒部材16に対する第2軸部材40の嵌合長が短くならないため、第2軸部材40を筒部材16に対して安定的に固定することができる。その結果として、回転電機10の信頼性を確保することができる。
【0040】
(5)第1永久磁石21と第2永久磁石22とが別体である。これによれば、例えば、第1永久磁石21と第2永久磁石22とが一体形成されている場合に比べて、製造し易い。また、第1永久磁石21と第2永久磁石23とが別体である。これによれば、例えば、第1永久磁石21と第2永久磁石23とが一体形成されている場合に比べて、製造し易い。
【0041】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
図4及び図5に示すように、第2永久磁石22は、円筒状であってもよい。この場合、第2永久磁石22が収容される第1凹部33は、円環状であってもよい。また、第2永久磁石23は、円筒状であってもよい。この場合、第2永久磁石23が収容される第2凹部43は、円環状であってもよい。
【0043】
○ 実施形態において、第1凹部33の端面33bと第2永久磁石22の端面22aとが接着剤によって接着しておらず、第1凹部33の端面33bと第2永久磁石22の端面22aとの間に隙間があってもよい。要は、第2永久磁石22が第1凹部33内に配置されていればよい。また、第2凹部43の端面43bと第2永久磁石23の端面23aとが接着剤によって接着されておらず、第2凹部43の端面43bと第2永久磁石23の端面23aとの間に隙間があってもよい。要は、第2永久磁石23が第2凹部43内に配置されていればよい。
【0044】
○ 実施形態において、第1嵌合部31の第1対向面31aと第2永久磁石22の端面22bとは、同一平面上に位置していなくてもよい。例えば、第2永久磁石22の端面22bが第1嵌合部31の第1対向面31aよりも筒部材16の軸線方向で外側に位置していてもよい。また、例えば、第2永久磁石22の端面22bが第1嵌合部31の第1対向面31aよりも第1永久磁石21寄りに位置していてもよい。
【0045】
○ 実施形態において、第2嵌合部41の第2対向面41aと第2永久磁石23の端面23bとは、同一平面上に位置していなくてもよい。例えば、第2永久磁石23の端面23bが第2嵌合部41の第2対向面41aよりも筒部材16の軸線方向で外側に位置していてもよい。また、例えば、第2永久磁石23の端面23bが第2嵌合部41の第2対向面41aよりも第1永久磁石21寄りに位置していてもよい。
【0046】
○ 実施形態において、第1凹部33が、第1嵌合部31の第1対向面31aに形成されておらず、第1嵌合部31の外周面に形成されていてもよい。
○ 実施形態において、第2凹部43が、第2嵌合部41の第2対向面41aに形成されておらず、第2嵌合部41の外周面に形成されていてもよい。
【0047】
○ 実施形態において、第1凹部33が第1嵌合部31に形成されていなくてもよい。そして、例えば、第2永久磁石22を収容する収容部が第1軸部32に設けられていてもよい。この場合、例えば、第1軸部32に設けられる収容部は、第1軸部32の外周面に形成される凹部である。
【0048】
○ 実施形態において、第2凹部43が第2嵌合部41に形成されていなくてもよい。そして、例えば、第2永久磁石23を収容する収容部が第2軸部42に設けられていてもよい。この場合、例えば、第2軸部42に設けられる収容部は、第2軸部42の外周面に形成される凹部である。
【0049】
○ 実施形態において、例えば、ロータ15は、第2永久磁石22を備えていない構成であってもよい。また、例えば、ロータ15は、第2永久磁石23を備えていない構成であってもよい。
【0050】
○ 実施形態において、第1凹部33と第2永久磁石22とは接着剤によって接着されていなくてもよい。そして、例えば、第2永久磁石22が第1凹部33に圧入されていてもよい。また、第2凹部43と第2永久磁石23とは接着剤によって接着されていなくてもよい。そして、例えば、第2永久磁石23が第2凹部43に圧入されていてもよい。
【0051】
○ 実施形態において、ロータ15は、例えば、第2軸部材40が設けられていない構成であってもよい。要は、ロータ15は、筒部材16の軸線方向の両端部の少なくとも一方に軸部材が設けられている構成であればよい。
【0052】
○ 実施形態において、筒部材16は、インコネル製であったが、これに限らない。筒部材16は、例えば、非磁性の金属製であってもよいし、炭素繊維強化プラスチック製であってもよい。
【0053】
○ 実施形態において、磁性体としては、永久磁石20に限らず、例えば、積層コア、アモルファスコア、又は圧粉コア等であってもよい。
○ 実施形態において、第1軸部材30及び第2軸部材40は、チタン製に限らず、例えば、非磁性の金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…回転電機、14…ステータ、14a…ステータコア、14b…コイル、15…ロータ、16…筒部材、20…磁性体である永久磁石、21…第1磁性体である第1永久磁石、22,23…第2磁性体である第2永久磁石、30…軸部材である第1軸部材、31…嵌合部としての第1嵌合部、32…軸部としての第1軸部、33…収容部である第1凹部40…軸部材である第2軸部材、41…嵌合部としての第2嵌合部、42…軸部としての第2軸部、43…収容部である第2凹部。
図1
図2
図3
図4
図5