(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022112984
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 15/06 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
B60C15/06 C
B60C15/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009053
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】畠中 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BA04
3D131BB01
3D131BC05
3D131BC15
3D131GA15
3D131GA17
3D131GA19
3D131HA32
3D131HA33
3D131HA35
3D131HA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コーナリングパワーの低下を抑制し得る、空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りタイヤ1は、一対のビード部2に埋設された一対のビードコア2aと、一対のビードコア間にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカス3と、を備える。ビードコアのタイヤ径方向外側にビードフィラ2bが配置され、ビードフィラのタイヤ幅方向外側に、ゴムチェーファ8を備え、ビードフィラの貯蔵弾性率をE1´とし、ゴムチェーファ8の貯蔵弾性率をE2´とするとき、比E2´/E1´は、0.4≦E2´/E1´≦1を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部に埋設された一対のビードコアと、
前記一対のビードコア間にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、を備えた空気入りタイヤであって、
前記ビードコアのタイヤ径方向外側にビードフィラが配置され、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向外側に、ゴムチェーファを備え、
前記ビードフィラの貯蔵弾性率をE1´とし、前記ゴムチェーファの貯蔵弾性率をE2´とするとき、比E2´/E1´は、
0.4≦E2´/E1´≦1
を満たすことを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記比E2´/E1´は、
0.6≦E2´/E1´≦1
をさらに満たす、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ゴムチェーファのタイヤ径方向の長さは、30~60mmである、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ゴムチェーファのタイヤ径方向外側端は、リム離反点よりもタイヤ径方向外側に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ゴムチェーファのタイヤ径方向内側端は、前記ビードコアのタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気入りタイヤにおいては、コーナリングパワーを増大させることが望まれている。
【0003】
特に近年は、サイドウォール部のゴムを薄くしたり、ビードフィラの高さを小さくしたりする(例えば、特許文献1)など、タイヤ構造を簡素化して軽量化することによって燃費性を向上させるような場合もある。このような場合には、特に、横バネ係数の減少によりコーナリングパワーが低下してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、コーナリングパワーの低下を抑制し得る、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部に埋設された一対のビードコアと、
前記一対のビードコア間にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、を備えた空気入りタイヤであって、
前記ビードコアのタイヤ径方向外側にビードフィラが配置され、
前記ビードフィラのタイヤ幅方向外側に、ゴムチェーファを備え、
前記ビードフィラの貯蔵弾性率をE1´とし、前記ゴムチェーファの貯蔵弾性率をE2´とするとき、比E2´/E1´は、
0.4≦E2´/E1´≦1
を満たすことを特徴とする、空気入りタイヤ。
【0007】
ここで、「貯蔵弾性率」とは、JIS K7244に準拠し、温度25℃で測定したものをいうものとする。
【0008】
(2)前記比E2´/E1´は、
0.6≦E2´/E1´≦1
をさらに満たす、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
【0009】
(3)前記ゴムチェーファのタイヤ径方向の長さは、30~60mmである、上記(1)又はは(2)に記載の空気入りタイヤ。
【0010】
(4)前記ゴムチェーファのタイヤ径方向外側端は、リム離反点よりもタイヤ径方向外側に位置する、上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
ここで、「リム離反点」とは、空気入りタイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態において、タイヤの外表面がリムフランジから離れる点をいうものとする。
【0011】
ここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指す(即ち、上記の「リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含む。「将来的に記載されるサイズ」の例としては、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズを挙げることができる。)が、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。
また、「規定内圧」とは、上記JATMA等に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)を指し、上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。
【0012】
(5)前記ゴムチェーファのタイヤ径方向内側端は、前記ビードコアのタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に位置する、上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コーナリングパワーの低下を抑制し得る、空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向部分断面図である。
【
図2】ビード部に作用する面外曲げについて模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に例示説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤ(以下、単にタイヤとも称する)のタイヤ幅方向部分断面図である。
図1は、上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面を示している。
【0017】
このタイヤ1は、一対のビード部2に埋設された一対のビードコア2aと、該一対のビードコア2a間にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカス3と、を備えている。
【0018】
ビード部2において、ビードコア2aのタイヤ径方向外側にはビードフィラ2bが配置されている。ビードコア2aは、この例では、周囲をゴムにより被覆された複数のビードワイヤを備える。ビードワイヤは、この例では、スチールコードによって形成されている。ビードフィラ2bは、この例では、ゴム等で構成され、タイヤ径方向外側に向けて厚みが減少する断面略三角形状の形状をなしている。
【0019】
ここで、ビードフィラ2bの高さ(タイヤ径方向に計測する)は、本例のように、8~25mmとすることが好ましくい。ビードフィラ2bの高さを8mm以上とすることにより、製造時のエア入りを抑制することができ、一方で、ビードフィラ2bの高さを25mm以下とすることにより、タイヤの軽量化を図ることができるからである。同様の理由により、ビードフィラ2bの高さは、10~15mmとすることがより好ましい。
【0020】
カーカス3は、本例では、該一対のビード部2間にトロイダル状に跨るカーカス本体部3aと、該カーカス本体部3aからビードコア2aの周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されてなるカーカス折り返し部3bとからなる。カーカスコードは、例えば、PET等の有機繊維、又は、2種の有機繊維コード(例えばナイロンとアラミド)を撚り合わせてなるハイブリッドコード等を用いることができる。また、上述の通り、カーカスプライは、ラジアル配列コードのプライである。
【0021】
本例では、カーカス折り返し部3bのタイヤ径方向外側端は、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置し、ビードフィラ2bのタイヤ径方向外側端よりはタイヤ径方向外側に位置している。このような構成によれば、さらにタイヤの軽量化を図ることができる。
【0022】
図1に示すように、カーカス3のクラウン部のタイヤ径方向外側には、1層以上の(図示例では2層の)ベルト層4a、4bからなるベルト4を有している。ベルト層4a、4bのベルトコードは、層間で互いに交差するように、タイヤ周方向に対して、本例では、30°~60°の傾斜角度で傾斜して延びている。ベルトコードには、スチールコードを用いることができるが、軽量化のために有機繊維コードを用いることもできる。ベルト4のタイヤ径方向外側には、トレッドゴムからなるトレッド部5が配置されている。
【0023】
図1に示すように、一対のビード部2とトレッド部5との間には、一対のサイドウォール部6が連なっている。ここで、本例のように、タイヤ最大幅位置におけるゴムゲージ(上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面において、サイドウォール部6の外表面に直交する方向に測ったゴムの厚さ)は、1mm以上3mm以下であることが好ましい。タイヤ最大幅位置におけるゴムゲージを1mm以上とすることにより、最低限の耐サイドカット性を確保することができ、一方で、タイヤ最大幅位置におけるゴムゲージを3mm以下とすることにより、タイヤの軽量化を図ることができるからである。
【0024】
ここで、
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ最大幅位置を含むタイヤ径方向領域であって、カーカス3のタイヤ幅方向外側に、タイヤ径方向に対して傾斜して延びる、補強部材7を備えている。なお、図示例では、補強部材7は、この断面でカーカス本体部3aに沿った円弧状の形状をなしているが、直線状等他の形状とすることもできる。ここで、「タイヤ最大幅位置」とは、上記基準状態におけるタイヤ幅方向断面にて、空気入りタイヤのタイヤ幅方向の幅が最大となる位置をいう。
【0025】
本例では、補強部材7は、有機繊維コードである。有機繊維コードとしては、PET等の有機繊維、又は、2種の有機繊維コード(例えばナイロンコードとアラミドコード)を撚り合わせてなるハイブリッドコード等を用いることができる。補強部材7のコードのヤング率(JIS L1017 8.5 a) (2002)にて試験を行い、JIS L1017 8.8(2002)に準拠して求めるものである。)は、特には限定されないが、3000~50000GPaとすることができ、補強部材7のコードの打ち込み数は、20~70本/50mmとすることができ、補強部材7のコードのコード径は0.3~0.9mmとすることができる。補強部材は1層配置することが軽量化の観点から好ましいが、2層以上配置することもでき、その場合は、ヤング率、打ち込み数、コード径を小さくして、剛性及び軽量化の観点から1層の場合と同程度となるように調整することが好ましい。
【0026】
本例のように、補強部材7は、タイヤ径方向に対して、30°~60°の角度で傾斜して延びていることが好ましく、タイヤ径方向に対して、40°~50°の角度で傾斜して延びていることがより好ましい。
【0027】
また、補強部材7のタイヤ径方向の長さは、タイヤ断面高さの10~40%であることが好ましい。10%以上とすることによりコーナリングパワーを向上させることができ、一方で、40%以下とすることにより重量増を抑えることができるからである。
【0028】
ここで、
図1に示すように、本実施形態のタイヤ1は、ビードフィラ2bのタイヤ幅方向外側に、ゴムチェーファ8を備えている。ゴムチェーファ8のタイヤ径方向の長さは、30~60mmであることが好ましい。
【0029】
ゴムチェーファ8のタイヤ径方向外側端は、リム離反点よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。また、ゴムチェーファ8のタイヤ径方向内側端は、ビードコア2aのタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に位置することが好ましい。本例では、
図1に示すように、ゴムチェーファ8は、本例では、タイヤ径方向領域において、ビードベースライン(ビードベースを通りタイヤ幅方向に平行な仮想線)付近からリムガードの頂点よりもタイヤ径方向外側まで延在している。
【0030】
本実施形態において、ゴムチェーファ7は、高弾性のゴムからなり、具体的には、ビードフィラ2bの貯蔵弾性率をE1´とし、ゴムチェーファ7の貯蔵弾性率をE2´とするとき、比E2´/E1´は、
0.4≦E2´/E1´≦1
を満たす。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
【0031】
本実施形態の空気入りタイヤでは、まず、ビードフィラ2bの高さは、25mm以下である(本例では、さらにカーカス折り返し部3bのタイヤ径方向外側端を、タイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置させ、且つ、タイヤ最大幅位置におけるゴムゲージを3mm以下とし、且つ、カーカスコードの材質をPET等の有機繊維や2種類の有機繊維のハイブリッドコードとしている)ため、タイヤを軽量化することができる。上述したように、このようなタイヤでは、横バネ係数が減少してコーナリングパワーが低下するおそれがある。
これに対し、本発明者らが検討したところ、
図2に模式的に示すように、ビード部2に面外曲げが作用して(特に、上記のようなビードフィラ2bの高さを25mm以下とした場合にビード部の剛性が低下して面外曲げが大きくなる)、横変位の並進成分、回転成分、曲げ成分のうち、特に回転成分が増大してしまうことが、横バネ係数が減少してしまう原因であることを突き止めた。さらに、
図2に模式的に示すように、上記の面外曲げは、ビード部2のタイヤ内面側では引張の力として作用し、ビード部2のタイヤ外面側では圧縮の力として作用するが、とりわけ、ビード部2のタイヤ外面側(曲げの内側)の圧縮の力に対抗することで、横バネ係数の減少を抑制し得ることを見出した。そこで、上記のように、ビードフィラ2bのタイヤ幅方向外側に、高剛性の(0.4≦E2´/E1´≦1である)ゴムチェーファ8を配置している。これにより、ビード部2のタイヤ外面側に圧縮の力が作用した場合であっても、高剛性のゴムチェーファ8により横変位の回転成分の増大を抑えることができるため、横バネ係数の減少を抑制して、コーナリングパワーの低下を抑制することができる。
比E2´/E1´が0.4未満だと、横変位の回転成分の増大を抑える効果を十分に得ることができない。一方で、比E2´/E1´が1超だと、リムとの接触部での摩擦係数が小さくなってリム外れの懸念が生じてしまう。
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤによれば、タイヤを軽量化しつつも、コーナリングパワーの低下を抑制することができる。
なお、本実施形態のように、上記のような軽量化した構成において特に有効ではあるものの、上記のような軽量化した構成でない場合であっても、高剛性のゴムチェーファ8により、ビード部2のタイヤ外面側に作用する圧縮の力による横変位の回転成分の増大を抑えることができるため、コーナリングパワーの低下を抑制する効果を得ることができる。
【0032】
ここで、上記と同様の理由により、比E2´/E1´は、
0.6≦E2´/E1´≦1
をさらに満たすことが好ましい。
【0033】
ゴムチェーファのタイヤ径方向の長さは、30~60mmであることが好ましい。30mm以上とすることにより、横変位の回転成分の増大を抑える効果をより十分に得ることができ、60mm以下とすることにより、ゴムチェーファの配置による重量増を極力抑えることができる。
【0034】
ゴムチェーファのタイヤ径方向外側端は、リム離反点よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。面外曲げが作用する領域を広くカバーして、横変位の回転成分の増大を抑える効果をより十分に得ることができるからである。
【0035】
ゴムチェーファのタイヤ径方向内側端は、ビードコアのタイヤ径方向内側端よりもタイヤ径方向内側に位置することが好ましい。面外曲げが作用する領域を広くカバーして、横変位の回転成分の増大を抑える効果をより十分に得ることができるからである。
【0036】
ここで、本開示におけるタイヤは、乗用車用空気入りラジアルタイヤとすることが好ましい。
【0037】
このタイヤは、一例として、タイヤの断面幅SWが165(mm)未満であり、タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODは、0.26以下であり、狭幅・大径の形状をなしている。タイヤの断面幅SWをタイヤの外径ODに比して狭くすることにより、空気抵抗を低減することができ、且つ、タイヤの外径ODをタイヤの断面幅SWに比して大きくすることにより、タイヤの接地面付近でのトレッドゴムの変形を抑制して、転がり抵抗を低減することができ、これらにより、タイヤの燃費性を向上させることができる。上記SW/ODは、0.25以下とすることが好ましく、0.24以下とすることがより好ましい。
上記比は、タイヤの内圧が200kPa以上である場合に満たされるものであることが好ましく、220kPa以上である場合に満たされるものであることがより好ましく、280kPa以上である場合に満たされるものであることがさらに好ましい。転がり抵抗を低減することができるからである。一方で、上記比は、タイヤの内圧が350kPa以下である場合に満たされるものであることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
ここで、タイヤの断面幅SWは、接地面積を確保する観点からは、上記比を満たす範囲において、105mm以上とすることが好ましく、125mm以上とすることがより好ましく、135mm以上とすることがさらに好ましく、145mm以上とすることが特に好ましい。一方で、タイヤの断面幅SWは、空気抵抗を低減する観点からは、上記比を満たす範囲において、155mm以下とすることが好ましい。また、タイヤの外径ODは、転がり抵抗を低減する観点からは、上記比を満たす範囲において、500mm以上とすることが好ましく、550mm以上とすることがより好ましく、580mm以上とすることがさらに好ましい。一方で、タイヤの外径ODは、空気抵抗を低減する観点からは、上記比を満たす範囲において、800mm以下とすることが好ましく、720mm以下とすることがより好ましく、650mm以下とすることがさらに好ましく、630mm以下とすることが特に好ましい。また、リム径は、転がり抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記比を満たすとき、16インチ以上とすることが好ましく、17インチ以上とすることがより好ましく、18インチ以上とすることがさらに好ましい。一方で、リム径は、空気抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記比を満たすとき、22インチ以下とすることが好ましく、21インチ以下とすることがより好ましく、20インチ以下とすることがさらに好ましく、19インチ以下とすることが特に好ましい。また、タイヤの扁平率は、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記比を満たすとき、45~70とすることがより好ましく、45~65とすることがより好ましい。
具体的なタイヤサイズは、特に限定されるものではないが、一例として、105/50R16、115/50R17、125/55R20、125/60R18、125/65R19、135/45R21、135/55R20、135/60R17、135/60R18、135/60R19、135/65R19、145/45R21、145/55R20、145/60R16、145/60R17、145/60R18、145/60R19、145/65R19、155/45R18、155/45R21、155/55R18、155/55R19、155/55R21、155/60R17、155/65R18、155/70R17、155/70R19のいずれかとすることができる。
【0038】
また、他の例として、タイヤは、タイヤの断面幅SWが165(mm)以上であり、タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)は、関係式、
OD(mm)≧2.135×SW(mm)+282.3
を満たしており、狭幅・大径の形状をなしている。
上記の関係式を満たすことにより、空気抵抗を低減することができ、且つ、転がり抵抗を低減することができ、これらにより、タイヤの燃費性を向上させることができる。
なお、第2の態様において、タイヤの断面幅SW及び外径ODは、上記の関係式を満たした上で、比SW/ODが0.26以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.24以下であることがさらに好ましい。タイヤの燃費性をさらに向上させることができるからである。
上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が200kPa以上である場合に満たされるものであることが好ましく、220kPa以上である場合に満たされるものであることがより好ましく、280kPa以上である場合に満たされるものであることがさらに好ましい。転がり抵抗を低減することができるからである。一方で、上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が350kPa以下である場合に満たされるものであることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
ここで、タイヤの断面幅SWは、接地面積を確保する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、175mm以上とすることが好ましく、185mm以上とすることがより好ましい。一方で、タイヤの断面幅SWは、空気抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、230mm以下とすることが好ましく、215mm以下とすることがより好ましく、205mm以下とすることがさらに好ましく、195mm以下とすることが特に好ましい。また、タイヤの外径ODは、転がり抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、630mm以上とすることが好ましく、650mm以上とすることがより好ましい。一方で、タイヤの外径ODは、空気抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、800mm以下とすることが好ましく、750mm以下とすることがより好ましく、720mm以下とすることがさらに好ましい。また、リム径は、転がり抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、18インチ以上とすることが好ましく、19インチ以上とすることがより好ましい。一方で、リム径は、空気抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、22インチ以下とすることが好ましく、21インチ以下とすることがより好ましい。また、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、タイヤの扁平率は、45~70とすることが好ましく、45~65とすることがより好ましい。
具体的なタイヤサイズは、特に限定されるものではないが、一例として、165/45R22、165/55R18、165/55R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/65R19、165/70R18、175/45R23、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/45R22、185/50R20、185/55R19、185/55R20、185/60R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20、195/60R19、205/50R21、205/55R20、215/50R21のいずれかとすることができる。
【0039】
また、別の例として、タイヤは、タイヤの断面幅SW(mm)及び外径OD(mm)は、関係式、
OD(mm)≧-0.0187×SW(mm)2+9.15×SW(mm)-380
を満たしており、狭幅・大径の形状をなしている。
上記の関係式を満たすことにより、空気抵抗を低減することができ、且つ、転がり抵抗を低減することができ、これらにより、タイヤの燃費性を向上させることができる。
なお、第3の態様において、タイヤの断面幅SW及び外径ODは、上記の関係式を満たした上で、比SW/ODが0.26以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましく、0.24以下であることがさらに好ましい。タイヤの燃費性をさらに向上させることができるからである。
上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が200kPa以上である場合に満たされるものであることが好ましく、220kPa以上である場合に満たされるものであることがより好ましく、280kPa以上である場合に満たされるものであることがさらに好ましい。転がり抵抗を低減することができるからである。一方で、上記関係式及び/又は比は、タイヤの内圧が350kPa以下である場合に満たされるものであることが好ましい。乗り心地性を向上させることができるからである。
ここで、タイヤの断面幅SWは、接地面積を確保する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、105mm以上とすることが好ましく、125mm以上とすることがより好ましく、135mm以上とすることがさらに好ましく、145mm以上とすることが特に好ましい。一方で、タイヤの断面幅SWは、空気抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、230mm以下とすることが好ましく、215mm以下とすることがより好ましく、205mm以下とすることがさらに好ましく、195mm以下とすることが特に好ましい。また、タイヤの外径ODは、転がり抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、500mm以上とすることが好ましく、550mm以上とすることがより好ましく、580mm以上とすることがさらに好ましい。一方で、タイヤの外径ODは、空気抵抗を低減する観点からは、上記関係式を満たす範囲において、800mm以下とすることが好ましく、750mm以下とすることがより好ましく、720mm以下とすることがさらに好ましい。また、リム径は、転がり抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、16インチ以上とすることが好ましく、17インチ以上とすることがより好ましく、18インチ以上とすることがさらに好ましい。一方で、リム径は、空気抵抗を低減する観点からは、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記関係式を満たすとき、22インチ以下とすることが好ましく、21インチ以下とすることがより好ましく、20インチ以下とすることがさらに好ましい。また、タイヤの扁平率は、タイヤの断面幅SW及び外径ODが上記比を満たすとき、45~70とすることがより好ましく、45~65とすることがより好ましい。
具体的なタイヤサイズは、特に限定されるものではないが、一例として、105/50R16、115/50R17、125/55R20、125/60R18、125/65R19、135/45R21、135/55R20、135/60R17、135/60R18、135/60R19、135/65R19、145/45R21、145/55R20、145/60R16、145/60R17、145/60R18、145/60R19、145/65R19、155/45R18、155/45R21、155/55R18、155/55R19、155/55R21、155/60R17、155/65R18、155/70R17、155/70R19、165/45R22、165/55R18、165/55R19、165/55R20、165/55R21、165/60R19、165/6R19、165/70R18、175/45R23、175/55R18、175/55R19、175/55R20、175/55R22、175/60R18、185/45R22、185/50R20、185/55R19、185/55R20、185/60R19、185/60R20、195/50R20、195/55R20、195/60R19、205/50R21、205/55R20、215/50R21のいずれかとすることができる。
【0040】
ここで、上述したように、上記のような軽量化した構成のタイヤでは、横バネ係数が減少してコーナリングパワーが低下するおそれがある。本発明者らが検討したところ、荷重直下に横方向の変位が集中し、周辺が荷重方向に引っ張られて周上で剪断変形が増大してしまうことが、横バネ係数が減少してしまう原因となっていることを突き止めた。そこで、本実施形態のタイヤでは、タイヤ最大幅位置を含むタイヤ径方向領域であって、カーカス3のタイヤ幅方向外側に、タイヤ径方向に対して傾斜して延びる、補強部材7を設けている。これにより、剪断変形時に補強部材7に対して反対方向に引っ張り合う力が作用することにより剪断変形を抑制することができる。これにより、横バネ係数の減少を抑制して、コーナリングパワーの低下をさらに抑制することができる。なお、本実施形態のように、上記のような軽量化した構成において特に有効ではあるものの、上記のような軽量化した構成でない場合であっても、剪断変形時に補強部材7に反対方向に引っ張り合う力が作用するため、コーナリングパワーの低下をさらに抑制する効果を得ることができる。
【0041】
ここで、補強部材は、有機繊維コードであることが好ましい。有機繊維は剛性に比して軽量であるため、補強部材の追加による重量増を極力抑えることができるからである。
【0042】
補強部材は、タイヤ径方向に対して、30°~60°の角度で傾斜して延びることが好ましく、40°~50°の角度で傾斜して延びることがより好ましい。
図4で模式的に示した剪断変形を抑制する効果は、補強部材のタイヤ径方向に対する傾斜角度が約45°に近い場合に最も効果があるため、上記の範囲とすることにより、コーナリングパワーの低下をより一層抑制し得るからである。
【0043】
補強部材のタイヤ径方向の長さは、タイヤ断面高さの10~40%であることが好ましい。10%以上とすることにより、コーナリングパワーの低下を抑制する効果をより一層得ることができ、一方で、40%以下とすることにより、補強部材の追加による重量増を極力抑えることができるからである。一例としては、補強部材のタイヤ径方向外側端は、ビードベースライン(ビードベースを通るタイヤ幅方向に平行な仮想線)からタイヤ断面高さの50~80%のタイヤ径方向位置とすることができ、また、補強部材のタイヤ径方向内側端は、ビードベースラインからタイヤ断面高さの15~40%のタイヤ径方向位置とすることができる。特には限定されないが、補強部材のタイヤ径方向の長さは、15mm~40mmとすることができる。
【実施例0044】
本発明の効果を確かめるため、発明例、比較例、及び従来例にかかるタイヤを試作し、その性能を評価した。各タイヤは、一対のビード部に埋設された一対のビードコアと、一対のビードコア間にトロイダル状に跨る1枚以上のカーカスプライからなるカーカスと、を備え、ビードコアのタイヤ径方向外側にビードフィラが配置され、ビードフィラのタイヤ幅方向外側に、ゴムチェーファを備えたものである。各タイヤの諸元は、以下の表1にまとめている。表1において、「サイド部」とは「サイドウォール部」を意味し、「サイド部ゲージ」は、タイヤ最大幅位置におけるゴムゲージを意味する。また、「BF」はビードフィラ、「GC」は、ゴムチェーファの略である。横バネ係数は、各タイヤをリムに装着し、室内試験器を用いて、撓み量を測定し、荷重4kNでの接線勾配より横バネ係数を測定した。また、各タイヤのリム組前の重量を測定した。表1においては、従来例を100とした指数で評価結果を示している。
【0045】