(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113007
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】締結具の接合装置、締結具の送給方法、接合方法、及び接合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 39/00 20060101AFI20220727BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20220727BHJP
B21J 15/28 20060101ALI20220727BHJP
B21D 39/03 20060101ALI20220727BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
B21D39/00 B
B23K11/11 540
B21J15/28 N
B21D39/03 Z
B65G47/14 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009080
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】000248886
【氏名又は名称】有限会社新城ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 哲
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真三樹
(72)【発明者】
【氏名】仲宗根 健司
【テーマコード(参考)】
3F080
4E165
【Fターム(参考)】
3F080AA03
3F080BA02
3F080BC02
3F080CB02
3F080CB09
3F080CF02
3F080DB09
3F080EA09
4E165AB02
4E165AB23
4E165BA11
4E165BB02
4E165BB12
(57)【要約】
【課題】機構を複雑にすることなく多数の締結具を迅速に供給でき、接合体の生産効率を高められる締結具の接合装置、締結具の送給方法、接合方法、及び接合体の製造方法を提供する。
【解決手段】接合装置10は、中空の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構100と、送り出された締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構200と、締結具を搬送する締結具搬送部300と、送給側コントローラ40及び接合側コントローラ50とを備える。締結具接合機構200の到着センサによる締結具の非検出時に、締結具送り機構100から1個の締結具を締結具搬送部300へ送り出し、締結具搬送部300の途中に設けた通過検出センサが、送り出された締結具の通過を検出すると、締結具搬送部300の搬送路内へ加圧エアを供給して、締結具搬送部300内の締結具を締結具接合機構200に向けて圧送する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続され、前記締結具を搬送する締結具搬送部と、前記締結具送り機構及び前記締結具接合機構の駆動を制御するコントローラと、
を備え、
前記締結具送り機構は、
収容された多数の前記締結具を1列に整列させるパーツフィーダと、
整列された前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分けて前記締結具搬送部へ送る切り分け機構と、
前記締結具搬送部の途中に配置され、前記締結具接合機構に向けて送り出された前記締結具の通過を検出する通過検出センサと、
を有し、
前記締結具接合機構は、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止めるレシーバ部と、
前記レシーバ部に前記締結具が到着したかを検出する到着センサと、
を有し、
前記コントローラは、前記到着センサによる前記締結具の非検出時に、前記切り分け機構から1個の前記締結具を前記締結具搬送部へ送出させ、前記通過検出センサが、送り出された前記締結具の通過を検出すると、前記締結具搬送部の搬送路内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の接合装置。
【請求項2】
前記切り分け機構は、下方に向けて傾斜する搬送レールに設けられ、切り分けた1つの前記締結具を重力によって搬送方向下流側へ滑り落とす請求項1に記載の締結具の接合装置。
【請求項3】
前記切り分け機構は、前記搬送レールに沿って一列に配列された複数の前記締結具のうち、先頭の締結具の搬送方向上流側に配置された第1ストッパと、前記先頭の締結具の搬送方法下流側に配置された第2ストッパと、を有し、
前記第1ストッパは、前記先頭の締結具以降の締結具の搬送方向下流側への移動を停止させ、
前記第2ストッパは、前記先頭の締結具の搬送方向下流側への移動を停止させ、
前記第2ストッパのストッパ解除により、前記先頭の締結具のみを搬送方向下流側に移動させる、請求項2に記載の締結具の接合装置。
【請求項4】
前記第1ストッパは、第1ロッドと、前記第1ロッドを前記搬送レールに進退動作させる第1プランジャとを備え、
前記第2ストッパは、第2ロッドと、前記第2ロッドを前記搬送レールに進退動作させる第2プランジャとを備える請求項3に記載の締結具の接合装置。
【請求項5】
前記通過検出センサは、前記締結具送り機構との接続側における、前記締結具搬送部の下方へ向けて傾斜した範囲内に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の締結具の接合装置。
【請求項6】
前記通過検出センサは、磁気センサである請求項1~5のいずれか1項に記載の締結具の接合装置。
【請求項7】
前記締結具は、円板状の頭部と、頭部の外径より小径な軸部とを有し、軸長が前記軸部の直径よりも短い請求項1~6のいずれか1項に記載の締結具の接合装置。
【請求項8】
前記締結具接合機構は、前記レシーバ部により前記締結具を受け止める待避位置から、前記締結具を前記接合用部材に接合する接合位置へ押し出す押し出し部を備える請求項1~7のいずれか1項に記載の締結具の接合装置。
【請求項9】
前記レシーバ部は、前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具の搬送路の両脇に配置され、前記搬送路の幅方向中央に向けて互いに接近及び離反可能に支持された1対のレシーバ片と、
1対の前記レシーバ片を前記搬送路の幅方向中央に向けて付勢する弾性体と、を備える請求項1~8のいずれか1項に記載の締結具の接合装置。
【請求項10】
前記締結具接合機構は、
ダイと、
前記ダイに向けて移動自在に配置されたパンチと、
前記パンチを前記ダイに向けて移動させるパンチ駆動機構と、
を備え、
前記ダイと前記パンチとの間に押し出された前記締結具と、前記ダイとの間に前記接合用部材を挟み込んで、前記パンチ駆動機構により前記締結具を前記接合用部材に打ち付ける請求項8又は9に記載の締結具の接合装置。
【請求項11】
前記締結具接合機構は、一端部に前記ダイが配置され、他端部に前記パンチと前記パンチ駆動機構が配置されたC型フレームを備える請求項10に記載の締結具の接合装置。
【請求項12】
中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続されて前記締結具を搬送する締結具搬送部と、を備える接合装置により、前記締結具を前記接合用部材に接合する締結具の送給方法であって、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止める前記締結具接合機構のレシーバ部に、前記締結具が到着したかを検出する到着センサが、前記締結具を検出していない場合に、
前記締結具送り機構で前記締結具を1列に整列させた前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分け、該切り分けた前記締結具を前記締結具搬送部へ送り出し、
前記締結具搬送部の途中に配置された通過検出センサが、送り出された前記締結具を検出すると、
前記締結具搬送部の搬送路内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の送給方法。
【請求項13】
請求項12に記載の締結具の送給方法により前記締結具接合機構に搬送された前記締結具を、前記レシーバ部により前記締結具を受け止める待避位置から、ダイ及びパンチが配置された接合位置に押し出し、前記接合位置で前記締結具を前記接合用部材に接合する、接合方法。
【請求項14】
請求項13に記載の接合方法により、前記締結具と前記接合用部材が接合された中間接合体と、他の接合用部材とをスポット溶接する、接合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結具の接合装置、締結具の送給方法、接合方法、及び接合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リベット等の締結具を用いた金属材同士の接合方法として、リベットとのかしめにより複数の部材を機械的に接合する方法、SPR(Self-Pierce Riveting)により接合する方法、リベットを電極で挟んで溶接する方法、及び中空のリベットをMIG溶接して接合する方法等がある(特許文献1~3)。
【0003】
これらの接合方法において、リベット等の締結具を給装する装置として、C型フレーム内にフィード導管を通して締結具を搬送し、フィード導管の端部の弾性付勢されたキャッチエレメントで締結具を受け取り、この締結具を1個ずつ打ち込み部に供給するものがある(特許文献4)。この装置では、キャッチエレメントを押し広げるために、後続の締結具をキャッチエレメントに向けて押し込む必要がある。また、複数の締結具を重ねて配置し、下から1個ずつ接合部に供給するものもある(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-207898号公報
【特許文献2】国際公開第2018/042472号
【特許文献3】国際公開第2018/123716号
【特許文献4】特許第4355380号公報
【特許文献5】特開2018-108621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3に記載の接合方法は、自動車のルーフ等の薄板部分の接合に広く採用されている。このような部分に適用する締結具は、側面視した形状(締結具の頭部と軸部との全体形状)が略平板状であり、通常のボルトやリベットに比べて軽量で反転しやすいため、そのハンドリングが非常に難しい。
【0006】
さらに、従来の打込み装置のように、複数の締結具を重ねた状態から締結具を1個ずつ分離させるには、締結具の分離機構が必要となる。しかし、接合部の付近にこのような分離機構を設けると、機構が複雑化して装置の重量が重くなり、更には駆動源となるシリンダー等の部分がかさばり、分離機構を多軸ロボットのアーム等に取り付けて施工することが困難となる。仮に取り付けたとしても、装置の干渉によって接合作業の自由度が阻害され、生産性を低下させる要因となる。
【0007】
そこで本発明は、機構を複雑にすることなく多数の締結具を迅速に供給でき、接合体の生産効率を高められる締結具の接合装置、締結具の送給方法、接合方法、及び接合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記の構成からなる。
(1) 中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続され、前記締結具を搬送する締結具搬送部と、前記締結具送り機構及び前記締結具接合機構の駆動を制御するコントローラと、
を備え、
前記締結具送り機構は、
収容された多数の前記締結具を1列に整列させるパーツフィーダと、
整列された前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分けて前記締結具搬送部へ送る切り分け機構と、
前記締結具搬送部の途中に配置され、前記締結具接合機構に向けて送り出された前記締結具の通過を検出する通過検出センサと、
を有し、
前記締結具接合機構は、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止めるレシーバ部と、
前記レシーバ部に前記締結具が到着したかを検出する到着センサと、
を有し、
前記コントローラは、前記到着センサによる前記締結具の非検出時に、前記切り分け機構から1個の前記締結具を前記締結具搬送部へ送出させ、前記通過検出センサが、送り出された前記締結具の通過を検出すると、前記締結具搬送部の搬送路内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の接合装置。
(2) 中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続されて前記締結具を搬送する締結具搬送部と、を備える接合装置により、前記締結具を前記接合用部材に接合する締結具の送給方法であって、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止める前記締結具接合機構のレシーバ部に、前記締結具が到着したかを検出する到着センサが、前記締結具を検出していない場合に、
前記締結具送り機構で前記締結具を1列に整列させた前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分け、該切り分けた前記締結具を前記締結具搬送部へ送り出し、
前記締結具搬送部の途中に配置された通過検出センサが、送り出された前記締結具を検出すると、
前記締結具搬送部の搬送路内内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の送給方法。
(3) (2)に記載の締結具の送給方法により前記締結具接合機構に搬送された前記締結具を、前記レシーバ部により前記締結具を受け止める待避位置から、ダイ及びパンチが配置された接合位置に押し出し、前記接合位置で前記締結具を前記接合用部材に接合する、接合方法。
(4) (3)に記載の接合方法により、前記締結具と前記接合用部材が接合された中間接合体と、他の接合用部材とをスポット溶接する、接合体の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、機構を複雑にすることなく多数の締結具を迅速に供給でき、接合体の生産効率を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、接合装置の概略的な全体構成図である。
【
図4】
図4は、締結具送り機構の全体構成図である。
【
図5】
図5は、整列搬送機構及び切り分け機構の要部拡大図である。
【
図6】
図6は、搬送ホースの断面形状を示す概略図である。
【
図7】
図7は、エンドエフェクタの拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、レシーバ、押し出し部の要部構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すレシーバのIX-IX線断面、及びダイ、パンチを示す概略断面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示すブロックを取り外した状態のレシーバ部の斜視図である。
【
図12】
図12は、締結具送り機構の駆動手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、切り分け機構における締結具の切り分け手順を(A)~(E)に示す工程説明図である。
【
図14】
図14は、搬送ホースを用いて締結具を圧送する手順を(A)~(C)に段階的に示す工程説明図である。
【
図15】
図15は、締結具接合機構の駆動手順を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、締結具接合機構における締結具の移送から接合までの手順を(A)~(D)で示す工程説明図である。
【
図17】
図17は、締結具が打ち込まれた接合用部材がスポット溶接される様子を(A)~(C)に段階的に示す工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る接合装置の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[接合装置の構成]
図1は、接合装置の概略的な全体構成図である。
接合装置10は、締結具送り機構100と、締結具接合機構200と、締結具搬送部300とを備える。接合装置10は、締結具を接合用部材に打ち込んで、締結具と接合用部材とを接合する。締結具と接合用部材とが一体化された中間接合体は、他の接合用部材とスポット溶接されることで所望の構造の接合体となる。
【0013】
締結具送り機構100は、多数個が供給された締結具の中から締結具を1個ずつ締結具搬送部300に送り出す。締結具搬送部300は、締結具送り機構100と締結具接合機構200とを接続する搬送ホース301を有し、搬送ホース301の管内で、締結具送り機構100から送り出された締結具を締結具接合機構200に搬送する。締結具接合機構200は、締結具送り機構100から搬送されてくる締結具を受け取り、受け取った締結具を接合用部材に打ち込む。
【0014】
締結具送り機構100は、送給側コントローラ40に接続され、送給側コントローラ40から出力される駆動信号に応じて駆動制御される。また、締結具接合機構200は、接合側コントローラ50に接続され、接合側コントローラ50から出力される駆動信号に応じて駆動制御される。送給側コントローラ40及び接合側コントローラ50は、CPU等の演算部、メモリやストレージ等の記憶部を備えるコンピュータ装置であって、互いに通信可能に接続される。送給側コントローラ40及び接合側コントローラ50のそれぞれは、記憶部に予め記憶されたプログラム、入力された駆動プログラム、入力情報等に応じて、締結具送り機構100と締結具接合機構200の各部を駆動する。
【0015】
ここでは、送給側コントローラ40と接合側コントローラ50とを個別のコントローラとした構成例を示しているが、これに限らず、2つのコントローラを1つのコントローラに纏めてもよく、3つ以上のコントローラを組み合わせた構成にしてもよい。
【0016】
<締結具>
図2は、締結具20の一例を示す斜視図であり、
図3は、
図2に示す締結具20の断面図である。
締結具20は、頭部21と軸部23とを有する。頭部21の形状は、軸部23より大径の円板状であり、軸部23の形状は、頭部21の中心から軸方向に突出する略円柱形状である。頭部21と軸部23との接続部には、軸部23の全周に沿って環状溝25が設けられる。環状溝25は、頭部21における軸部23より径方向外側に張り出したフランジ21aに形成される。また、軸部23の先端面には、プロジェクションとなる突起27が形成される。締結具20は、その軸長が軸部23の直径よりも短く、側面視形状が略平板状となっている。締結具20は、中空部を有しない中実な構造であり、後で述べる到着センサ209で、待機位置P1で停止した締結具20を検出できる。
【0017】
以下、締結具送り機構100,締結具接合機構200、締結具搬送部300の詳細を順次説明する。
<締結具送り機構>
図4は、締結具送り機構100の全体構成図である。
締結具送り機構100は、ホッパ110と、パーツフィーダ130と、整列搬送機構150と、切り分け機構170と、通過検出センサ190とを備える。
【0018】
ホッパ110は、多数の締結具20を貯留し、所定のタイミングでパーツフィーダ130へ所定量の締結具20を投入する。パーツフィーダ130は、振動を利用して締結具20を自動的に一定の姿勢で整列させる。ここでは、締結具20を、
図2に示す頭部21が上、軸部23が下になる姿勢にして整列させる。パーツフィーダ130の外周の一部から延びる出口部131には、整列搬送機構150の搬送レール151が水平方向から傾斜して接続される。搬送レール151は、締結具20のフランジ21aの下側面を支持することで、締結具20を一定の姿勢で保持するとともに、パーツフィーダ130からの締結具20を一列にしたまま、搬送方向下流側へ送る。このように、整列搬送機構150は、パーツフィーダ130により整列された締結具20を、傾斜した搬送レール151上で、重力によって傾斜に沿って滑らせながら切り分け機構170へ送る。
【0019】
図5は、整列搬送機構150及び切り分け機構170の要部拡大図である。
切り分け機構170は、傾斜した搬送レール151に沿って配置され、搬送方向上流側(上方)の第1ロッド171を有する第1プランジャ173と、搬送方向下流側(下方)の第2ロッド175を有する第2プランジャ177とを有する。第1ロッド171と第1プランジャ173は第1ストッパを構成し、第2ロッド175と第2プランジャ177は第2ストッパを構成する。
【0020】
第1ロッド171と第2ロッド15とは、第1プランジャ173と第2プランジャ177の駆動により、それぞれ個別に搬送レール151に進退動作され、締結具20を搬送レール151上で停止又は通過させるストッパとして機能する。切り分け機構170は、搬送レール151上で整列された締結具20の列から1つの締結具20を切り分けて、搬送ホース301へ送り出す。切り分け機構170においても、締結具20は重力によって傾斜に沿って移動する。
【0021】
切り分け機構170の排出口179には、締結具搬送部300の搬送ホース301の一端部が接続される。排出口179の近傍には、搬送ホース301が下方に向けて傾斜する範囲内の位置に、通過検出センサ190が設けられる。通過検出センサ190は、切り分け機構170の締結具搬送方向の下流側に設けられ、搬送ホース301内の締結具接合機構200に向けて送り出された締結具20の通過を検出する。
【0022】
通過検出センサ190は、ここでは搬送ホース301を囲んで配置される円環状の磁気センサを用いているが、これに限らず、他の方式、形状のセンサを用いてもよい。
【0023】
<締結具搬送部>
締結具搬送部300は、長尺状の搬送ホース301を備える。
図6は、搬送ホース301の断面形状を示す概略図である。
搬送ホース301には、その長手方向に沿って締結具20を搬送する搬送路303(貫通孔)が形成される。搬送路303の断面形状は、搬送される締結具20が搬送路内303で反転することなく一定の姿勢を保持しつつ、搬送ホース301の一端部から他端部まで搬送可能な形状であればよく、特に限定されない。一例として、
図6に締結具20の最大高さ及び最大幅よりも僅かに大きい断面四角形状の搬送路303を示している。搬送路303は、気密に形成されており、搬送路303内に供給される加圧エアによって、締結具20を反転させることなく搬送ホース301の一端部から他端部まで搬送する。
【0024】
搬送ホース301には、軽量で柔軟性を有し、フレキシブルな配置が可能な樹脂製のホースが適用できるが、これに限らない。例えば、締結具搬送部300の少なくとも一部に、搬送経路が固定された金属製又は硬質樹脂製等の搬送用部材が含まれていてもよい。
【0025】
また、切り分け機構170と締結具搬送部300との間には、搬送ホース301の搬送路303に加圧エアを供給するエアポンプ181と、バルブ183とを有するエア供給流路180とが接続されている。エア供給流路180は、バルブ183の開閉によってエアポンプ181で発生させた加圧エアを所定のタイミングで搬送路303に供給する。
【0026】
<締結具接合機構>
締結具接合機構200は、
図1に示すように、多軸ロボット201と、多軸ロボット201に先端軸に設けたエンドエフェクタ203と、を備える。エンドエフェクタ203には、一端部が締結具送り機構100に接続された搬送ホース301の他端部が接続される。エンドエフェクタ203の位置及び姿勢は、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能となっている。
【0027】
図7は、エンドエフェクタ203の拡大斜視図である。
エンドエフェクタ203は、C型フレーム205と、レシーバ部207と、到着センサ209と、押し出し部211と、接合部213と、を備える。レシーバ部207は、搬送ホース301を通じて搬送されてくる締結具20(不図示)を受け止める。到着センサ209は、レシーバ部207に締結具20が配置されたかを検出する。押し出し部211は、レシーバ部207に配置された締結具20を、接合部213のダイ215とパンチ217との軸線上に(
図9の待機位置P1から接合位置P2に)押し出す。接合部213では、接合待機位置の締結具を接合用部材に打ち込み、締結具と接合用部材とを接合する。レシーバ部207、押し出し部211、接合部213は、それぞれC型フレーム205に固定される。
【0028】
接合部213は、接合用部材に当接させるダイ215と、ダイ215との間に接合用部材を挟んで配置されるパンチ217と、パンチ217をダイ215に向けて移動させて締結具を接合用部材に打ち込むパンチ駆動機構219と、を備える。ダイ215は、C型フレーム205の一端部205aに固定され、パンチ217とパンチ駆動機構219は、共にC型フレーム205の他端部205bに配置される。これにより、パンチ動作時に高い剛性が確保される。レシーバ部207と押し出し部211とは、C型フレーム205のフレーム内側で、フレーム外側へ突出せずにコンパクトに収納される。
【0029】
図8は、レシーバ部207、押し出し部211の要部構成を示す斜視図である。
図9は、
図8に示すレシーバ部207のIX-IX線断面、及びダイ215、パンチ217を示す概略断面図である。
【0030】
図8、
図9に示すように、レシーバ部207の締結具搬送路221には搬送ホース301が傾斜して接続され、搬送ホース301から締結具搬送路221に締結具20が1個ずつ供給される。締結具搬送路221には、締結具20の頭部21(フランジ21a)を支持する一対の連続溝221a(
図9には片側の連続溝221aのみ図示)が形成され、締結具20が一対の連続溝221aによって頭部21を上側にした姿勢を保ったまま搬送される。
【0031】
図9に示すように、レシーバ部207には、軸223を中心に揺動可能なレバー225と、ブロック220に設けられた圧縮スプリング227と、到着センサ209とが、締結具搬送路221の締結具搬送方向に沿ってこの順で配置される。圧縮スプリング227は、レバー225の先端部225aを締結具搬送路221に向けて付勢する。到着センサ209は、締結具搬送路221に沿って搬送されてきた締結具20を検出する。
【0032】
レバー225は、締結具搬送路221を移動する締結具20の頭部21を圧縮スプリング227の弾性力により押し当てて、締結具20を減速させる。レバー225による締結具20の押し当て力は、締結具20の種類(形状、サイズ、素材等)に応じて、圧縮スプリング227の弾性、レバー225の回り止めとなる調整ピン229の位置等の調整により適宜設定される。
【0033】
図10は、
図9に示すブロック220を取り外した状態のレシーバ部207の斜視図である。
レバー225によって減速された締結具20は、締結具搬送路221の両脇に配置された1対のレシーバ片243に突き当たり、停止する。1対のレシーバ片243は、それぞれ軸245を中心に揺動自在に支持され、搬送方向下流側が互いに接近する向きに屈曲した形状を有する。レシーバ片243の搬送方向下流側における互いの対向面の反対側となる外側面には、ばね(弾性体)247が当接して配置される。ばね247は、搬送方向下流側のレシーバ片243同士を接近させる方向に付勢する(矢印Rc)。これにより、1対のレシーバ片243は、搬送方向下流側の締結具搬送路221の幅を、締結具20の頭部21の幅より小さくして、締結具20の通過を阻止する。
【0034】
図9に示すように、到着センサ209は、締結具20の待機位置P1の上方に配置される。本構成の到着センサ209は、レシーバ部207に形成された貫通孔231を通じて締結具20の到着(有無)を検出する。到着センサ209としては、例えば、レーザ光を利用したレーザセンサ等の非接触センサを採用できるが、これに限らない。到着センサ209がレーザセンサである場合は、貫通孔231を通して待機位置P1に配置された締結具20へ検出光を照射する。そして、締結具20で反射した反射光を受光し、その受光した反射光に応じて、待機位置P1における締結具20の有無を検出する。
【0035】
待機位置P1における締結具20の軸部23側(
図9の下側)の空間235には、押し出し部211のプッシャ233が矢印K1の方向へ移動可能に配置される。プッシャ233がK1方向に移動すると、締結具20が矢印K2の方向に押し出される。このとき、
図10に示す1対のレシーバ片243が、搬送方向下流側に押し出された締結具20によって、ばね247の弾性力に抗して軸245を中心に矢印Rcの逆方向に回転する。これにより、搬送方向下流側のレシーバ片243が互いに離反されて、締結具搬送路221の幅が拡がり、締結具20が待機位置P1から接合位置P2に押し出される。
【0036】
接合位置P2においては、
図9に示すように、前述したダイ215とパンチ217が配置される。パンチ217は、中空の円筒形状であり、
図7に示すパンチ駆動機構219の駆動によってダイ215に向けて移動可能にC型フレーム205に支持される。パンチ217のパンチ基端側(ダイ215側先端の反対側)には、接合位置P2の締結具20を検出するセンサ(パンチセンサ237)が配置される。
【0037】
接合位置P2に押し出された締結具20は、ストッパ部材239に突き当たり、位置決めされる。パンチセンサ237は、パンチ217の貫通孔217aを通じて接合位置P2に押し出された締結具20の有無を検出する。パンチセンサ238としては、到着センサ209と同様に、例えばレーザ光を利用した非接触センサ等が採用されるが、これに限らない。
【0038】
[接合装置の駆動手順]
次に、上記構成の接合装置10の駆動手順について順次説明する。
<締結具送り機構による締結具の移送手順>
図11は、接合装置10の制御ブロック図である。
図12は、締結具送り機構100の駆動手順を示すフローチャートである。
まず、送給側コントローラ40がパーツフィーダ130に駆動信号SPFを送信し、パーツフィーダ130は、振動によってホッパ110(
図4)から供給された締結具20を整列搬送機構150へ一列に整列させて送り出す(S11)。
【0039】
整列搬送機構150に送られた締結具20は、整列搬送機構150の搬送レール151に沿って切り分け機構170に送られる。
図13は、切り分け機構170における締結具20の切り分け手順を(A)~(E)に示す工程説明図である。
【0040】
切り分け機構170では、
図13の(A)に示すように、搬送方向上流側の第1プランジャ173の第1ロッド171が搬送レール151の搬送路から引き戻され(PASS位置)、搬送方向下流側の第2プランジャ177の第2ロッド175が搬送レール151の搬送路に押し出された(STOP位置)状態にされる。この状態で複数の締結具20が切り分け機構170に到着すると、先頭の締結具20-1が第2ロッド175に当接して停止する。これにより、整列搬送機構150から送られた複数の締結具20が、切り分け機構170に配置された状態になる(S12)。
【0041】
ここで、
図9、
図11に示す前述の到着センサ209が出力する、待機位置P1(
図9)に締結具20が存在しているか否かを表す到着信号SREを確認して(S13)、待機位置P1に締結具20が存在する場合は、待機位置P1の締結具20を接合位置P2に送り出して取り除き、待機位置P1から排出する(S14)。到着信号SREの確認と締結具20の排出処理は、送給側コントローラ40と接合側コントローラ50との間の通信により実施される。
【0042】
待機位置P1に締結具20が存在しないことを確認できたら、切り分け機構170から1つの締結具20を締結具接合機構200に向けて送り出す(S15)。このときの1つの締結具20を切り分け機構170によって切り分ける具体的な手順を説明する。
【0043】
複数の締結具20が切り分け機構170に到着した後、送給側コントローラ40は第1プランジャ173に駆動信号SP1を出力する。第1プランジャ173は、駆動信号SP1を受けて、
図13の(B)に示すように、第1ロッド171をSTOP位置に押し出す。これにより、
図13の(C)に示すように、先頭の締結具20-1を第1ロッド171と第2ロッド175との間に挟んだ状態にする。
【0044】
次いで、送給側コントローラ40は第2プランジャ177に駆動信号SP2を出力する。第2プランジャ177は、駆動信号SP2を受けて、
図13の(D)に示すように、第2ロッド175をPASS位置に引き戻し、先頭の締結具20-1のみを搬送方向下流側に送り出す。その後、第2プランジャ177は、
図13の(E)に示すように、第2ロッド175をSTOP位置に押し出し、第1プランジャ173は、
図13の(A)に示すように、第1ロッド171をPASS位置に引き戻す。これにより、次に送る締結具20が第1ロッド171に当接して停止する。
【0045】
以上の動作を繰り返し、整列搬送機構150から送られてくる複数の締結具20を、1つずつ切り分けて、所定のタイミングで搬送方向下流に向けて送り出す。そして、切り分け機構170から送り出された先頭の締結具20-1は、搬送ホース301を通じて締結具接合機構200に向けて搬送される。なお、
図13に示す切り分け機構170の構成及び動作は一例であって、この方式に限らない。
【0046】
図14は、搬送ホース301を用いて締結具20を圧送する手順を(A)~(C)に段階的に示す工程説明図である。
図14の(A)に示すように、切り分け機構170に複数の締結具20が配置された状態から、
図14の(B)に示すように、送給側コントローラ40が第2プランジャ177に駆動信号SP2を出力して、第2プランジャ177が第2ロッド175をPASS位置にすると、先頭の締結具20-1が搬送レール151を滑り落ち、搬送ホース301の搬送路303内を移動する。締結具20-1が通過検出センサ190の位置を通過すると、通過検出センサ190が締結具20-1の通過を検出して、通過検出信号STUを送給側コントローラ40に出力する。
【0047】
送給側コントローラ40は、通過検出信号STUが入力されると(S16)、
図14の(C)に示すように、バルブ183に駆動信号SPOを出力する。バルブ183は、駆動信号SPOを受けて、エアポンプ181により発生させた加圧エアを搬送ホース301の搬送路303に送る。すると、搬送路303を移動中の締結具20-1が、供給された加圧エアにより加速され、締結具接合機構200へ迅速に圧送される(S17)。
【0048】
<締結具接合機構による締結具の移送及び接合手順>
次に、締結具接合機構200による締結具の移送及び接合手順を説明する。
図15は、締結具接合機構200の駆動手順を示すフローチャートである。
前述したように、締結具20が、締結具送り機構100から搬送ホース301を通じて1つずつ締結具接合機構200の待機位置P1(
図9参照)に搬送されてくる。待機位置P1の締結具20は、接合位置P2に押し出され、1つずつ接合用部材30に打ち付けられる。
【0049】
図16は、締結具接合機構200における締結具20の移送から接合までの手順を(A)~(D)で示す工程説明図である。
図16の(A)に示すように、搬送されてきた締結具20(前述した先頭の締結具20-1)は、
図16の(B)に示すように、圧縮スプリング227により付勢されたレバー225との接触により減速され、1対のレシーバ片243に挟まれて待機位置P1で停止する。待機位置P1に配置された到着センサ209は、待機位置P1で停止した締結具20を検出して(S21)、検出した場合に到着信号SREを接合側コントローラ50に出力する(
図11参照)(S22)。
【0050】
接合側コントローラ50は、締結具20が待機位置P1に到達すると、パンチセンサ237からの締結具20の検出信号の出力を確認する(S23)。パンチセンサ237が締結具20を検出した場合、接合位置P2に締結具20が残っている状態なので、押し出し部211を駆動して、その締結具20を接合位置P2から排出する(S24)。
【0051】
パンチセンサ237が締結具20を検出しない場合、接合側コントローラ50は、押し出し部211に駆動信号SPUを出力する。すると、
図16の(C)に示すように、押し出し部211は駆動信号SPUを受け、プッシャ233を接合位置P2に向けて移動させ、待機位置P1の締結具20を接合位置P2に押し出す(S25)。
【0052】
このとき、締結具20は、
図10に示すストッパ部材239に押し当てられて停止し、接合位置P2に位置決めされる。パンチセンサ237は、締結具20の検出信号SPTを出力する。また、プッシャ233は、元の待避位置に戻される。
【0053】
そして、接合側コントローラ50は、パンチセンサ237が出力する締結具20の検出信号SPTを受けて、接合位置P2に締結具20がセットされたことを認識する(S26)。
【0054】
次に、接合側コントローラ50は、
図1に示す多軸ロボット201に駆動信号SRBを出力して、エンドエフェクタ203の位置及び姿勢を変更し、接合用部材30を、接合位置P2の締結具20とダイ215との間に挟み込む。つまり、パンチ217とダイ215との間に締結具20と接合用部材30とを挟み込む(S27)。
【0055】
そして、接合側コントローラ50は、パンチ駆動機構219に駆動信号SPSを出力する。すると、
図16の(D)に示すように、パンチ駆動機構219は駆動信号SPSを受け、パンチ217をダイ215に向けて押し込む。これにより、締結具20の軸部23が接合用部材30を打ち抜いて、接合用部材30と一体にされる(S28)。
【0056】
以上の手順により、1つの締結具20が接合用部材30に固定される。なお、上記した締結具20の接合用部材30への接合方法は、これに限らず、他の公知の接合方法であってもよい。
【0057】
次に、締結具20が打ち込まれた接合用部材30のスポット溶接手順を説明する。
<スポット溶接>
図17は、締結具20が打ち込まれた接合用部材30がスポット溶接される様子を(A)~(C)に段階的に示す工程説明図である。
【0058】
図17の(A)に示すように、締結具20が打ち込まれた接合用部材30は、締結具20の環状溝25に材料30aが塑性流動して入り込み、強固にかしめ接合される。この締結具20と接合用部材30との中間接合体60は、締結具20が接合用部材30から抜け落ちることがないため、中間接合体60のハンドリング性が高められる。
【0059】
図17の(B)に示すように、上記した中間接合体60と他の接合用部材33とを、板厚方向に重ね合わせ、締結具20の頭部21の位置を一対の溶接電極01,403同士の間に挟み込む。そして、一対の溶接電極401,403間に溶接電流Iを流す。これにより、
図17の(C)に示すように、締結具20の軸部23の先端と接合用部材33との間にナゲットNが形成された、接合体70が得られる。
【0060】
ここでは、締結具20を1箇所に設けた例を示しているが、締結具20は任意の位置に任意の数だけ設けることができる。
【0061】
上記構成の接合装置10によれば、締結具送り機構100が締結具20を1つずつに切り分けて搬送ホース301に送り出す動作が、締結具接合機構200の到着センサが締結具20を検出しない場合に実行される。そのため、締結具接合機構200へ締結具20が二重に送られることを未然に防止できる。
【0062】
また、締結具接合機構200に送られた締結具20は、待機位置に配置された後、押し出し機構によって接合位置に送られる。空き状態となった待機位置には、次の締結具20が締結具送り機構100から送られて配置される。接合位置で締結具20が接合用部材に接合されると、待機位置から次の締結具20が空き状態となった接合位置に送られる。このようして、締結具20が接合位置から接合に供されると、待機位置から直ちに次の締結具20が接合位置に供給されるため、締結具20の搬送待ち時間が大幅に短縮される。そして、締結具20は連続供給可能なため、接合点数によらずに常に均一なタイミングで装填が可能となる。一方、接合位置付近で一定数の締結具を単位としてストックする従来の方式では、一定数の接合後に次の1単位の締結具の装填作業が必要となるため、接合点数に応じた装填のタイミングをフレキシブルに設定できない。
【0063】
そして、従来の方式のように接合位置付近に締結具の切り分け機構を設ける必要がないため、締結具接合機構200が複雑な構成にならず、軽量化が図れて施工性を向上できる。よって生産効率を高められる。
【0064】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0065】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続され、前記締結具を搬送する締結具搬送部と、前記締結具送り機構及び前記締結具接合機構の駆動を制御するコントローラと、
を備え、
前記締結具送り機構は、
収容された多数の前記締結具を1列に整列させるパーツフィーダと、
整列された前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分けて前記締結具搬送部へ送る切り分け機構と、
前記締結具搬送部の途中に配置され、前記締結具接合機構に向けて送り出された前記締結具の通過を検出する通過検出センサと、
を有し、
前記締結具接合機構は、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止めるレシーバ部と、
前記レシーバ部に前記締結具が到着したかを検出する到着センサと、
を有し、
前記コントローラは、前記到着センサによる前記締結具の非検出時に、前記切り分け機構から1個の前記締結具を前記締結具搬送部へ送出させ、前記通過検出センサが、送り出された前記締結具の通過を検出すると、前記締結具搬送部の搬送路内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、締結具送り機構により締結具を1つずつ切り分けて締結具接合機構に送るため、締結具接合機構の構成を簡単化でき、しかも、任意の接合点数に対応できるため生産性を向上できる。
【0066】
(2) 前記切り分け機構は、下方に向けて傾斜する搬送レールに設けられ、切り分けた1つの前記締結具を重力によって搬送方向下流側へ滑り落とす(1)に記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、締結具を搬送方向下流側に移動させる駆動源が不要となり、機構を簡略化できる。
【0067】
(3) 前記切り分け機構は、前記搬送レールに沿って一列に配列された複数の前記締結具のうち、先頭の締結具の搬送方向上流側に配置された第1ストッパと、前記先頭の締結具の搬送方法下流側に配置された第2ストッパと、を有し、
前記第1ストッパは、前記先頭の締結具以降の締結具の搬送方向下流側への移動を停止させ、
前記第2ストッパは、前記先頭の締結具の搬送方向下流側への移動を停止させ、
前記第2ストッパのストッパ解除により、前記先頭の締結具のみを搬送方向下流側に移動させる、(2)に記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、第2ストッパにより複数の締結具を搬送レールにストックさせ、第1ストッパにより第1ストッパと第2ストッパとの間で先頭の締結具を切り分けて、第2ストッパを解除することで、先頭の締結具以外を第1ストッパで堰き止めながら、先頭の締結具を搬送方向下流側に送給できる。
【0068】
(4) 前記第1ストッパは、第1ロッドと、前記第1ロッドを前記搬送レールに進退動作させる第1プランジャとを備え、
前記第2ストッパは、第2ロッドと、前記第2ロッドを前記搬送レールに進退動作させる第2プランジャとを備える(3)に記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、第1ロッドと第2ロッドとが第1プランジャと第2プランジャとの駆動により搬送レールに挿入又は退出させることで、搬送レールを通る締結具が堰き止めたり、通過させたりすることが簡単に行える。
【0069】
(5) 前記通過検出センサは、前記締結具送り機構との接続側における、前記締結具搬送部の下方へ向けて傾斜した範囲内に配置される(1)~(4)のいずれか1つに記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、締結具搬送部の傾斜範囲内で締結具の通過を検出するため、締結具搬送部内の締結具を確実に検出できる。
【0070】
(6) 前記通過検出センサは、磁気センサである(1)~(5)のいずれか1つに記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、非接触で確実に締結具の検出が行える。
【0071】
(7) 前記締結具は、円板状の頭部と、頭部の外径より小径な軸部とを有し、軸長が前記軸部の直径よりも短い(1)~(6)のいずれか1つに記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、軸長が軸部の直径よりも短い平板状の締結具を接合用部材に接合できる。
【0072】
(8) 前記締結具接合機構は、前記レシーバ部により前記締結具を受け止める待避位置から、前記締結具を前記接合用部材に接合する接合位置へ押し出す押し出し部を備える(1)~(7)のいずれか1つに記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、締結具切り分け機構から送られてくる締結具を待避位置で一旦ストックさせておき、ストックした待機位置の締結具を接合位置に供給される。これにより、締結具切り分け機構から接合位置へ直接供給する場合と比較して、締結具を迅速に接合位置に供給できる。
【0073】
(9) 前記レシーバ部は、前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具の搬送路の両脇に配置され、前記搬送路の幅方向中央に向けて互いに接近及び離反可能に支持された1対のレシーバ片と、
1対の前記レシーバ片を前記搬送路の幅方向中央に向けて付勢する弾性体と、を備える(1)~(8)のいずれか1つに記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、弾性付勢されたレシーバ片によって、搬送されてくる締結具を停止させ、搬送路に後戻りさせずに保持できる。
【0074】
(10) 前記締結具接合機構は、
ダイと、
前記ダイに向けて移動自在に配置されたパンチと、
前記パンチを前記ダイに向けて移動させるパンチ駆動機構と、
を備え、
前記ダイと前記パンチとの間に押し出された前記締結具と、前記ダイとの間に前記接合用部材を挟み込んで、前記パンチ駆動機構により前記締結具を前記接合用部材に打ち付ける(8)又は(9)に記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、ダイとパンチに挟まれた接合用部材に締結具の軸部が打ち付けられ、締結具が接合用部材に接合される。
【0075】
(11) 前記締結具接合機構は、一端部に前記ダイが配置され、他端部に前記パンチと前記パンチ駆動機構が配置されたC型フレームを備える(10)に記載の締結具の接合装置。
この締結具の接合装置によれば、ダイとパンチがC型フレームに配置されるため、高い剛性で安定した加工が行える。
【0076】
(12) 中実の締結具を1個ずつ送り出す締結具送り機構と、送り出された前記締結具を接合用部材に接合する締結具接合機構と、前記締結具送り機構と前記締結具接合機構に接続されて前記締結具を搬送する締結具搬送部と、を備える接合装置により、前記締結具を前記接合用部材に接合する締結具の送給方法であって、
前記締結具搬送部から搬送されてくる前記締結具を受け止める前記締結具接合機構のレシーバ部に、前記締結具が到着したかを検出する到着センサが、前記締結具を検出していない場合に、
前記締結具送り機構で前記締結具を1列に整列させた前記締結具の列から1つの前記締結具を切り分け、該切り分けた前記締結具を前記締結具搬送部へ送り出し、
前記締結具搬送部の途中に配置された通過検出センサが、送り出された前記締結具を検出すると、
前記締結具搬送部の搬送路内へ加圧エアを供給して、前記搬送路内の前記締結具を前記締結具接合機構に向けて圧送する、
締結具の送給方法。
この締結具の送給方法によれば、締結具送り機構により締結具を1つずつ切り分けて締結具接合機構に送るため、締結具接合機構の構成を簡単化でき、しかも、任意の接合点数に対応できるため生産性を向上できる。
【0077】
(13) (12)に記載の締結具の送給方法により前記締結具接合機構に搬送された前記締結具を、前記レシーバ部により前記締結具を受け止める待避位置から、ダイ及びパンチが配置された接合位置に押し出し、前記接合位置で前記締結具を前記接合用部材に接合する、接合方法。
この接合方法によれば、締結具切り分け機構から送られてくる締結具を待避位置で一旦ストックさせておき、ストックした待機位置の締結具を接合位置に供給する。これにより、締結具切り分け機構から接合位置へ直接供給する場合と比較して、締結具を迅速に接合位置に供給できる。
【0078】
(14) (13)に記載の接合方法により、前記締結具と前記接合用部材が接合された中間接合体と、他の接合用部材とをスポット溶接する、接合体の製造方法。
この接合体の製造方法によれば、締結具と他の接合用部材とをスポット溶接することで、多様な接合用部材同士の溶接を簡単に行える。
【符号の説明】
【0079】
10 接合装置
20 締結具
21 頭部
21a フランジ
23 軸部
25 環状溝
27 突起
30 接合用部材
40 送給側コントローラ
50 接合側コントローラ
60 中間接合体
70 接合体
100 締結具送り機構
110 ホッパ
130 パーツフィーダ
131 出口部
150 整列搬送機構
151 搬送レール
170 切り分け機構
171 第1ロッド(第1ストッパ)
173 第1プランジャ(第1ストッパ)
175 第2ロッド(第2ストッパ)
177 第2プランジャ(第2ストッパ)
179 排出口
180 エア供給流路
181 エアポンプ
183 バルブ
190 通過検出センサ
200 締結具接合機構
201 多軸ロボット
203 エンドエフェクタ
205 C型フレーム
207 レシーバ部
209 到着センサ
211 押し出し部
213 接合部
215 ダイ
217 パンチ
217a 貫通孔
217b パンチ先端
219 パンチ駆動機構
220 ブロック
221 締結具搬送路
221a 連続溝
223 軸
225 レバー
225a 先端部
227 圧縮スプリング
229 調整ピン
231 貫通孔
233 プッシャ
235 空間
237 パンチセンサ
239 ストッパ部材
243 レシーバ片
245 軸
247 ばね
300 締結具搬送部
301 搬送ホース
303 搬送路
401 溶接電極
403 溶接電極