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特開2022-113015シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法
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  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図1
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図2
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図3
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図4
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  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図6
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図7
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図8
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図9A
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図9B
  • 特開-シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法 図9C
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113015
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 15/00 20060101AFI20220727BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20220727BHJP
   E05B 63/08 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
E05B15/00 B
E05B65/06 B
E05B63/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009093
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕太
(72)【発明者】
【氏名】江原 祐介
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝博
(72)【発明者】
【氏名】畝川 真梨子
(57)【要約】
【課題】意匠性を向上できるシリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法を提供すること。
【解決手段】シリンダー錠5の取付構造は、シリンダー部51と、ボックス錠部53と、サムターン部55と、を有するシリンダー錠5と、シリンダー錠5を取付可能なシリンダー錠取付部3と、を備え、シリンダー部51は、筒状の胴体部511と、胴体部511から胴体部511の軸方向に突出すると共に胴体部511の直径よりも小さいシリンダー先端部512と、を有し、室内側開口部311は、胴体部511の直径よりも大きく形成され、室外側開口部321は、胴体部511の直径よりも小さく且つシリンダー先端部512を配置可能な大きさに形成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸体の施解錠を行うことが可能なシリンダー錠であって、シリンダー部と、ボックス錠部と、サムターン部と、を有するシリンダー錠と、
前記シリンダー錠を取付可能であって、室内側開口部が形成された室内側板部と、前記室内側板部に対向して配置され室外側開口部が形成された室外側板部と、前記室内側板部と前記室外側板部とを接続すると共に側方開口部が形成された側方板部と、を有するシリンダー錠取付部と、を備え、
前記シリンダー部は、筒状の胴体部と、前記胴体部から前記胴体部の軸方向に突出すると共に前記胴体部の直径よりも小さいシリンダー先端部と、を有し、
前記室内側開口部は、前記胴体部の直径よりも大きく形成され、
前記室外側開口部は、前記胴体部の直径よりも小さく且つ前記シリンダー先端部を配置可能な大きさに形成される、シリンダー錠の取付構造。
【請求項2】
前記胴体部の先端を前記室外側板部に仮固定する仮固定部を備える、請求項1に記載のシリンダー錠の取付構造。
【請求項3】
前記仮固定部は、前記胴体部の先端に前記胴体部と一体又は別体で設けられる第1磁性体と、前記室内側板部と一体又は別体で設けられ且つ磁力により前記第1磁性体に接続可能な第2磁性体と、により構成される、請求項2に記載のシリンダー錠の取付構造。
【請求項4】
前記仮固定部は、粘着テープにより構成される、請求項2に記載のシリンダー錠の取付構造。
【請求項5】
前記シリンダー先端部と前記室外側開口部との間の隙間を前記室外側板部の外側から覆うカバー部材を更に備える、請求項1~4のいずれかに記載のシリンダー錠の取付構造。
【請求項6】
戸体の施解錠を行うことが可能なシリンダー錠をシリンダー錠取付部に取り付けるシリンダー錠の取付方法であって、
前記シリンダー錠は、シリンダー部と、ボックス錠部と、サムターン部と、を有し、
前記シリンダー錠取付部は、室内側開口部が形成された室内側板部と、前記室内側板部に対向して配置され室外側開口部が形成された室外側板部と、前記室内側板部と前記室外側板部とを接続すると共に側方開口部が形成された側方板部と、を有し、
前記シリンダー部は、筒状の胴体部と、前記胴体部から前記胴体部の軸方向に突出すると共に前記胴体部の直径よりも小さいシリンダー先端部と、を有し、
前記室内側開口部は、前記胴体部の直径よりも大きく形成され、
前記室外側開口部は、前記胴体部の直径よりも小さく且つ前記シリンダー先端部を配置可能な大きさに形成され
前記シリンダー部を前記室内側板部の室内側から前記室内側開口部を通して前記室内側板部と前記室外側板部との間に挿入して前記室外側開口部に前記シリンダー先端部を配置した状態で前記室外側板部に取り付けるシリンダー部取付工程を含む、シリンダー錠の取付方法。
【請求項7】
前記シリンダー部取付工程は、前記胴体部の先端を前記室外側板部に仮固定する仮固定工程を含む、請求項6に記載のシリンダー錠の取付方法。
【請求項8】
前記シリンダー部取付工程の後に、前記シリンダー先端部と前記室外側開口部との間の隙間を前記室外側板部の外側から覆うカバー部材を室外側から取り付けるカバー部材取付工程を含む、請求項6又は7に記載のシリンダー錠の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダー錠の取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。シリンダー錠は、シリンダー錠の取付構造により、戸体に取り付けられている。シリンダー錠は、錠機構を有するボックス錠と、シリンダー部と、サムターン部と、を備える。戸体は、シリンダー錠を取付可能であって、室内側開口部が形成された室内側板部と、室内側板部に対向して配置され室外側開口部が形成された室外側板部と、室内側板部の端部と室外側板部の端部とを接続すると共に側方開口部が形成された側方板部と、を有する。
【0003】
従来、シリンダー錠を戸体に取り付ける場合には、ボックス錠を側方開口部から戸体の内部に挿入して配置した後に、ボックス錠を室内外方向に挟み込むように、サムターン部を室内側板部の室内側から室内側開口部を通して戸体の内部に挿入してボックス錠の室内側に配置すると共に、シリンダー部を室外側板部の室外側から室外側開口部を通して戸体の内部に挿入してボックス錠の室外側に配置する。これにより、戸体の室内外方向において、ボックス錠がシリンダー部とサムターン部とにより挟み込まれた状態で、シリンダー錠は、戸体に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-204226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシリンダー錠の取付構造においては、シリンダー錠のシリンダー部は、径が大きいシリンダー部が戸体の室外側に突出して配置されているため、意匠性の観点から改善される余地がある。意匠性を向上できるシリンダー錠の取付構造が求められている。
【0006】
本開示は、意匠性を向上できるシリンダー錠の取付構造及びシリンダー錠の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、戸体の施解錠を行うことが可能なシリンダー錠であって、シリンダー部と、ボックス錠部と、サムターン部と、を有するシリンダー錠と、前記シリンダー錠を取付可能であって、室内側開口部が形成された室内側板部と、前記室内側板部に対向して配置され室外側開口部が形成された室外側板部と、前記室内側板部と前記室外側板部とを接続すると共に側方開口部が形成された側方板部と、を有するシリンダー錠取付部と、を備え、前記シリンダー部は、筒状の胴体部と、前記胴体部から前記胴体部の軸方向に突出すると共に前記胴体部の直径よりも小さいシリンダー先端部と、を有し、前記室内側開口部は、前記胴体部の直径よりも大きく形成され、前記室外側開口部は、前記胴体部の直径よりも小さく且つ前記シリンダー先端部を配置可能な大きさに形成される、シリンダー錠の取付構造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態のシリンダー錠が取り付けられた建具を示す図である。
図2】シリンダー錠が取り付けられた戸体を室外側から見た場合の斜視図である。
図3】シリンダー錠が取り付けられた戸体を室内側から見た場合の斜視図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】室外側から見た場合のシリンダー錠の取付構造の分解斜視図である。
図6】室内側から見た場合のシリンダー錠の取付構造の分解斜視図である。
図7】シリンダー部を戸体に取り付けた状態を示す拡大断面図である。
図8】室外側板部に取り付けられたシリンダー部の先端にシリンダー先端カバー部材を取り付ける状態を示す斜視図である。
図9A】シリンダー部取付工程を説明するための図である。
図9B】ボックス錠取付工程を説明するための図である。
図9C】サムターン部取付工程及びシリンダーキャップ取付工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、建具1は、建物に固定される枠体2と、枠体2に対して開閉可能に取り付けられる戸体3と、上側シリンダー錠5及び上側錠受け部6を有する上側シリンダー錠装置4と、下側シリンダー錠8及び下側錠受け部9を有する下側シリンダー錠装置7と、を備える。建具1は、建物の玄関用として設けられる。上側シリンダー錠装置4及び下側シリンダー錠装置7により、施解錠を行うことが可能である。
【0010】
枠体2は、建物の開口部の四周に沿って設けられる。枠体2は、横枠としての上枠21及び下枠22と、吊元側の縦枠23と、戸先側の縦枠24と、により矩形に枠組みされる。戸先側の縦枠23には、上側シリンダー錠装置4の上側錠受け部6と、下側シリンダー錠装置7の下側錠受け部9と、が設けられる。
【0011】
戸体3は、吊元側の縦枠23に固定される蝶番25を介して枠体2の内側に吊り込まれる開き戸である。戸体3は、枠体2に対して、戸元側に設けられる蝶番25の回転軸を中心に回転可能に構成され、閉じた状態から室外側に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。
【0012】
戸体3の戸先側には、室外側から見た場合に、上側から下側に向かって順に、上側シリンダー錠5、ハンドル部11、下側シリンダー錠8が配置される。上側シリンダー錠5及び下側シリンダー錠8は、シリンダー錠の取付構造により、戸体3に取り付けられている。本実施形態においては、上側シリンダー錠装置4及び下側シリンダー錠装置7は、同様の構成であるため、上側シリンダー錠装置4の構成について詳細に説明し、下側シリンダー錠装置7の構成についての詳細な説明を省略する。
【0013】
図1に示すように、上側シリンダー錠装置4は、上側シリンダー錠5(シリンダー錠)と、上側錠受け部6と、を備える。上側錠受け部6は、枠体2の戸先側の縦枠24の内部に配置される。上側シリンダー錠5は、図2及び図3に示すように、シリンダー錠の取付構造により、戸体3に取り付けられている。
【0014】
本実施形態においては、戸体3は、上側シリンダー錠5及び下側シリンダー錠8を取付可能なシリンダー錠取付部を構成する。図2図4に示すように、戸体3は、上側シリンダー錠5を取付可能な構成として、室内側開口部311が形成された室内側板部31と、室内側板部31に対向して配置され室外側開口部321が形成された室外側板部32と、室内側板部31の戸先側の端部と室外側板部32の戸先側の端部とを接続すると共に側方開口部331が形成された側方板部33と、端面開口部341が形成された戸先側端面枠34と、を有する。本実施形態においては、室内側板部31及び室外側板部32は、例えば、鋼板により構成されている。
【0015】
上側シリンダー錠5は、図4図6に示すように、シリンダー部51と、シリンダー先端カバー部材52(カバー部材)と、ボックス錠部53と、側部プレート54と、サムターン部55と、仮固定部56と、を備える。
【0016】
シリンダー部51は、図4図6に示すように、建具1の室内外方向に延びる円筒状の胴体部511と、胴体部511の軸方向の先端から胴体部511の軸方向に突出するシリンダー先端部512と、胴体部の基端に設けられる一対のフランジ部513と、を有する。シリンダー部51は、戸体3の戸先側において、胴体部511が戸体3の内部に配置されると共に、シリンダー先端部512が戸体3の室外側板部32の室外側開口部321に配置された状態で、室外側板部32の室内側の面に取り付けられている。
【0017】
シリンダー先端部512は、図7に示すように、胴体部511の室外側の端部に設けられる。本実施形態においては、シリンダー先端部512は、円板状に形成され、厚さの分だけ、胴体部511の先端から突出する。シリンダー先端部512の直径Rc2(外径)は、胴体部511の直径Rc1(外径)よりも小さい大きさに形成される。シリンダー先端部512には、鍵穴512aが形成される。
【0018】
シリンダー先端部512は、図7及び図8に示すように、シリンダー部51が戸体3に取り付けられた状態において、戸体3の室外側板部32の室外側開口部321の内側に配置される。シリンダー先端部512と室外側開口部321との間に隙間Sが形成された状態で、シリンダー部51は、戸体3に取り付けられる。
【0019】
本実施形態においては、図4に示すように、戸体3の室内側板部31の室内側開口部311の直径Ra1は、シリンダー部51の胴体部511の直径Rc1よりも大きく形成される。これにより、シリンダー部51を、戸体3の室内側から、戸体3の室内側板部31の室内側開口部311を通して、戸体3の室内側板部31と室外側板部32との間に挿入できる。
【0020】
また、戸体3の室外側板部32の室外側開口部321の直径Rc2は、シリンダー部51の胴体部511の直径Ra1よりも小さく且つシリンダー先端部512を配置可能な大きさに形成される。本実施形態においては、シリンダー先端部512の直径Rc2を、戸体3の室外側板部32の室外側開口部321の直径Ra2よりも小さくすることで、室外側開口部321の直径Rc2を、シリンダー先端部512を配置可能な大きさに形成している。
【0021】
これにより、図5及び図6に示すように、シリンダー部51は、戸体3の室内側板部31の室内側開口部311の室内側から戸体3の内部に挿入されて、胴体部511が戸体3の内部に配置されると共に、シリンダー先端部512が室外側板部32の室外側開口部321に配置された状態で、室外側板部32に取り付けられる。この状態において、図7及び図8に示すように、シリンダー部51は、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間に円環状の隙間Sが形成された状態で、戸体3に取り付けられている。
【0022】
図7に示すように、仮固定部56は、胴体部511の先端を室外側板部32に仮固定する。仮固定部56は、シリンダー部51の胴体部511の先端におけるシリンダー先端部512の径方向の外側に設けられた磁石部561(第1磁性体)と、磁力により磁石部561に接続可能な戸体3の室外側板部32の一部により構成される鋼板562(第2磁性体)と、により構成される。鋼板562は、室外側板部32と一体で設けられている。
【0023】
仮固定部56は、シリンダー部51を室外側板部32の室外側開口部321に取り付ける場合に、シリンダー部51を戸体3に本固定する前に、シリンダー部51の先端と戸体3の室外側板部32の室内側の面とを磁力により接続することで、シリンダー部51から手を離しても落下しないように、シリンダー部51を室外側板部32に仮固定する。
【0024】
シリンダー先端カバー部材52は、図7及び図8に示すように、シリンダー先端部512と室外側板部32の室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うように、シリンダー部51の先端に取り付けられる。シリンダー先端カバー部材52は、円環状の円環状平面部521と、円環状平面部521の内周縁からシリンダー部51側に突出する円環状の円環状突出部522と、を有する。
【0025】
シリンダー先端カバー部材52がシリンダー部51の先端に取り付けられた状態においては、円環状突出部522は、シリンダー部51のシリンダー先端部512と室外側開口部321との間の円環状の隙間Sに配置される。円環状平面部521は、円環状突出部522の室外側の端部から、円環状突出部522の径方向の外側に延びる。そのため、円環状平面部521は、シリンダー部51のシリンダー先端部512と室外側開口部321との境界部分を覆うことができる。これにより、シリンダー先端カバー部材52は、図7及び図8に示すように、シリンダー先端部512と室外側板部32の室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うことができる。
【0026】
ボックス錠部53は、図4図6に示すように、側方板部33及び戸先側端面枠34の側方から、側方開口部331及び端面開口部341を通して、室内側板部31と室外側板部32との間に挿入されて配置される。ボックス錠部53は、ケース部531と、フック状のデッド鎌部534と、を有する。ケース部531は、ケース本体531aと、ケース本体531aの側方の外側の端部に形成される取付板531bと、を有する。ケース本体531aは、戸体3の内部に配置され、縦長の直方体形状に形成される。
【0027】
ケース部531には、図4図6に示すように、円柱状に凹む室内側凹部532と、円柱状に凹む室外側凹部533と、が形成される。室内側凹部532には、サムターン部55(後述)の室外側の端部が配置される。室外側凹部533には、シリンダー部51(後述)の室内側の端部が配置される。側部プレート54は、ボックス錠部53の取付板531bを覆うように、戸体3の戸先側の端面に取り付けられる。
【0028】
デッド鎌部534は、図5及び図6に示すように、ケース部531の側面から側方に突出可能に配置される。デッド鎌部534は、施錠時において先端が下方に突出する鎌形状に形成される。デッド鎌部534の鎌534aは、上側錠受け部6(図1参照)に係合可能である。サムターン部55が操作されることで、デッド鎌部534の鎌534aが突出して上側錠受け部6に係合して施錠される位置(図1参照)と、デッド鎌部534の鎌534aが収容されて上側錠受け部6からデッド鎌部534の鎌534aの係合が外れて解錠される位置(図示せず)とに、移動可能に構成される。
【0029】
サムターン部55は、図4図6に示すように、戸体3の戸先側において、戸体3の室内側板部31の室内側開口部311の室内側から戸体3の内部に挿入されて配置される。サムターン部55は、ボックス錠部53に対して回転可能に設けられる。サムターン部55の回転操作により、デッド鎌部534の施解錠の操作が行われる。
【0030】
サムターン部55は、図4図6に示すように、サムターン本体551と、サムターン土台部552と、を有する。サムターン本体551は、操作部551aと、操作部551aの室外側の面から室外側に延びる軸部551bと、を有する。
【0031】
操作部551aは、室内側が塞がれた円筒の短筒状に形成され、人の操作により回転可能に構成される。操作部551aを人が回転操作することで、室内外方向に延びる軸部551bが回転される。これにより、人の操作によりサムターン部55が回転され、サムターン部55の回転動作に伴ってボックス錠部53を介してデッド鎌部534により施解錠することができる。
【0032】
サムターン土台部552は、サムターン本体551の室外側に配置される。サムターン土台部552は、筒状に形成され、筒状の内部には、サムターン本体551の軸部551bが貫通して配置される。サムターン土台部552は、室外側の先端がボックス錠部53のケース部531の室内側凹部532に配置され、サムターン本体551を回転可能に支持する。
【0033】
次に、上側シリンダー錠5を戸体3に取り付ける方法について説明する。
【0034】
まず、戸体3にシリンダー部51を取り付ける。図9Aに示すように、シリンダー部51を室内側板部31の室内側から室内側開口部311を通して、室内側板部31と室外側板部32との間に挿入して、図9Bに示すように、室外側開口部321にシリンダー先端部512を配置した状態で室外側板部32に取り付ける(シリンダー部取付工程)。この場合に、仮固定部56により、胴体部511の先端を室外側板部32に仮固定する(仮固定工程)。
【0035】
本実施形態においては、仮固定部56は、シリンダー部51の胴体部511の先端におけるシリンダー先端部512の径方向の外側の部分に設けられた磁石部561と、磁力により磁石部561に接続可能な戸体3の室外側板部32の一部により構成される鋼板562と、により構成される。そのため、胴体部511の先端に設けられた磁石部561と戸体3の室外側板部32の一部により構成される鋼板562とは、磁力により接続される。これにより、シリンダー部51を戸体3の室外側板部32に仮固定した状態においては、シリンダー部51から手を離しても落下しないため、シリンダー部51を戸体3に取り付ける際の作業性を向上できる。
【0036】
次に、シリンダー部51を室外側板部32に取り付けた後に、図9Bに示すように、ボックス錠部53を、側方板部33及び戸先側端面枠34の側方から、側方開口部331及び端面開口部341を通して、室内側板部31と室外側板部32との間に挿入する。そして、図9Cに示すように、ケース部531の室外側凹部533にシリンダー部51の室内側の端部を配置した状態で、ボックス錠部53をシリンダー部51の室内側に配置する(ボックス錠部取付工程)。
【0037】
続けて、ボックス錠部53を取り付けた後に、図9Cに示すように、サムターン部55を室内側板部31の室内側から室内側開口部311を通して室内側板部31と室外側板部32との間に挿入する。そして、サムターン部55のサムターン土台部552の室外側の端部をケース部531の室内側凹部532に配置することで、サムターン部55をボックス錠部53の室内側に配置した状態で室内側板部31に取り付ける(サムターン部取付工程)。
【0038】
更に、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うように、シリンダー先端カバー部材52を室外側から取り付ける(カバー部材取付工程)。また、側部プレート54を、ボックス錠部53の取付板531bを覆うように、戸体3の戸先側の端面に取り付ける。このようにして、上側シリンダー錠5を戸体3に容易に取り付けることができる。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の上側シリンダー錠5の取付構造は、シリンダー部51と、ボックス錠部53と、サムターン部55と、を有するシリンダー錠5と、シリンダー錠5を取付可能な戸体3と、を備え、シリンダー部51は、筒状の胴体部511と、胴体部511から胴体部511の軸方向に凸状に突出すると共に胴体部511の直径よりも小さいシリンダー先端部512と、を有し、室内側開口部311は、胴体部511の直径よりも大きく形成され、室外側開口部321は、胴体部511の直径よりも小さく且つシリンダー先端部512を配置可能な大きさに形成される。
【0040】
これにより、シリンダー部51を戸体3に取り付ける場合に、シリンダー部51を、室内側から、戸体3の室内側板部31の室内側開口部311に挿入することで、シリンダー先端部512を室外側板部32の室外側開口部321に配置した状態で、胴体部511を戸体3の内部に配置できる。よって、シリンダー部51の胴体部511が戸体3の内部に配置されており、シリンダー部51の胴体部511が外部に配置されないため、意匠性を向上できる。
【0041】
本実施形態においては、胴体部511の先端を室外側板部32に仮固定する仮固定部56を備える。これにより、シリンダー部51から手を離しても落下しないように、シリンダー部51を室外側板部32に仮固定することができる。よって、上側シリンダー錠5を戸体3に取り付ける際の作業性を向上できる。
【0042】
本実施形態においては、仮固定部56は、シリンダー部51の胴体部511の先端におけるシリンダー先端部512の外側の部分に設けられた磁石部561と、磁力により磁石部561に接続可能な戸体3の室外側板部32と一体で設けられた鋼板562と、により構成される。これにより、仮固定部56を簡易な構成で構成でき、かつ、シリンダー部51を室外側板部32に容易に仮固定できる。
【0043】
本実施形態においては、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うシリンダー先端カバー部材52を備える。これにより、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うことができるため、意匠性を向上できる。
【0044】
本実施形態の上側シリンダー錠5の取付方法においては、シリンダー部51を戸体3の室内側板部31の室内側から室内側開口部311を通して室内側板部31と室外側板部32との間に挿入して、室外側開口部321にシリンダー先端部512を配置した状態で室外側板部32に取り付けるシリンダー部取付工程を含む。これにより、シリンダー部51の胴体部511が戸体3の内部に配置されており、シリンダー部51の胴体部511が外部に配置されないため、意匠性を向上できる。
【0045】
本実施形態のシリンダー部取付工程は、シリンダー部51の胴体部511の先端を室外側板部32に仮固定する仮固定工程を含む。これにより、シリンダー部51から手を離しても落下しないように、シリンダー部51を室外側板部32に仮固定することができる。よって、上側シリンダー錠5を戸体3に取り付ける際の作業性を向上できる。
【0046】
本実施形態においては、シリンダー部取付工程の後に、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間の隙間Sを室外側板部32の外側から覆うシリンダー先端カバー部材52を室外側から取り付けるカバー部材取付工程を含む。これにより、シリンダー先端部512と室外側開口部321との間の隙間Sを覆う作業を容易に行うことができる。
【0047】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0048】
例えば、シリンダー先端部を、前記実施形態のように胴体部から軸方向に凸状に突出するように形成してもよいし、シリンダー部51の先端において、平坦(平面状)に形成してもよい。
【0049】
前記実施形態では、シリンダー錠を戸体3に設けたが、これに限定されない。例えば、シリンダー錠を戸体の戸先の外側に配置される袖部や縦枠に設けてもよい。この場合には、シリンダー錠取付部を、戸体の戸先の外側に配置される袖部や縦枠などにより構成できる。
【0050】
前記実施形態では、仮固定部56を、シリンダー部51の先端に設けた磁石部561(第1磁性体)と、戸体3の室外側板部32の一部により構成される鋼板562(第2磁性体)と、により構成したが、これに限定されない。例えば、磁石と鋼板とを逆に設けてもよい。また、例えば、仮固定部を、粘着テープにより構成してもよい。
【0051】
また、シリンダー部51の先端に設けた第1磁性体(磁石部561)を、シリンダー部51と一体で設けてもよいし、シリンダー部51と別体で設けてもよい。また、戸体3の室外側板部32の一部により構成される第2磁性体(鋼板562)を、前記実施形態のように戸体3の室外側板部32と一体で設けてもよいし、戸体3の室外側板部32と別体で設けてもよい。
【符号の説明】
【0052】
3 戸体(シリンダー錠取付部)、5 上側シリンダー錠(シリンダー錠)、31 室内側板部、32 室外側板部、33 側方板部、51 シリンダー部、52 シリンダー先端カバー部材(カバー部材)、53 ボックス錠部、55 サムターン部、56 仮固定部、311 室内側開口部、321 室外側開口部、331 側方開口部、511 胴体部、512 シリンダー先端部、561 磁石部(第1磁性体)、562 鋼板(第2磁性体)、S 隙間
図1
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