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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113030
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220727BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220727BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220727BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/10 B
H02J7/10 H
H01M10/48 P
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009121
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 慎司
(72)【発明者】
【氏名】林 紀佳
(72)【発明者】
【氏名】三宅 圭二
(72)【発明者】
【氏名】家岡 昇一
(72)【発明者】
【氏名】前 伸一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA05
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA14
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030BB03
5H030BB21
5H030FF42
5H030FF43
(57)【要約】
【課題】複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、二次電池システムと充電器とをつなぐ充電ケーブルの重量化を抑制しつつ、複数の二次電池の各電圧のばらつきが大きくなることを抑制する。
【解決手段】定電流充電制御後の定電圧充電制御中において、複数の二次電池Bに流れる電流が、一定電流を二次電池Bの個数で除算した値である切替電流以下になると、複数の二次電池Bが互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに複数の二次電池Bに流れる全体電流を一定電流まで大きくさせた後、複数の二次電池Bに流れる電流を徐々に低下させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の二次電池と、
前記複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる切替回路と、
前記切替回路の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数の二次電池の放電中、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御し、
前記複数の二次電池の充電中、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に一定電流を流し、前記複数の二次電池の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると、前記少なくとも1つの電圧を前記所定電圧に保ちつつ前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流が、前記一定電流を前記二次電池の個数で除算した値である切替電流以下になると、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に流れる全体電流を前記一定電流まで大きくさせた後、前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が前記切替電流より小さい終止電流以下になると、前記複数の二次電池に流れる電流をゼロにさせる
ことを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池システムであって、
前記制御部は、前記複数の二次電池の充電中、前記複数の二次電池に流れる電流が前記切替電流以下になると、前記複数の二次電池に流れる電流をゼロにさせた後、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に流れる全体電流を前記一定電流まで大きくさせる
ことを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池システムとして、充電開始時、複数の二次電池を互いに直列接続させるとともに各二次電池に一定電流を流し、各二次電池の電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると、各二次電池に流れる電流を徐々に小さくさせ、各二次電池に流れる電流が、二次電池に供給可能な最大電流値を二次電池の個数で除算した値以下になると、各二次電池を互いに並列接続させ、各二次電池に流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が終止電流以下になると、各二次電池の充電を終了するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、上記二次電池システムでは、二次電池に供給可能な最大電流値を大きくするほど、直列接続から並列接続に切り替わったときに各二次電池に流れる全体電流が大きくなるため、二次電池システムと充電器とをつなぐ充電ケーブルの定格電流を大きくする必要があり、充電ケーブルの重量化が懸念される。
【0004】
また、上記二次電池システムでは、直列接続から並列接続に切り替わった後に各二次電池に流れる全体電流を一定電流より小さくする場合、直列接続から並列接続に切り替わった後に各二次電池にそれぞれ流れる電流が小さくなり各二次電池を互いに並列接続させている期間が短くなるため、各二次電池の電圧のばらつきが大きくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-278635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一側面に係る目的は、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、二次電池システムと充電器とをつなぐ充電ケーブルの重量化を抑制しつつ、複数の二次電池の各電圧のばらつきが大きくなることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一つの形態である二次電池システムは、複数の二次電池と、前記複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる切替回路と、前記切替回路の動作を制御する制御部とを備える。
【0008】
前記制御部は、前記複数の二次電池の放電中、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御し、前記複数の二次電池の充電中、前記複数の二次電池が互いに直列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に一定電流を流し、前記複数の二次電池の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると、前記少なくとも1つの電圧を前記所定電圧に保ちつつ前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流が、前記一定電流を前記二次電池の個数で除算した値である切替電流以下になると、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に流れる全体電流を前記一定電流まで大きくさせた後、前記複数の二次電池に流れる電流を徐々に低下させ、前記複数の二次電池に流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が前記切替電流より小さい終止電流以下になると、前記複数の二次電池に流れる電流をゼロにさせる。
【0009】
これにより、充電ケーブルの定格電流の増大を抑えることができるため、充電ケーブルの重量化を抑制することができる。また、各二次電池を互いに並列接続させる期間が短縮されることを抑えることができるため、各二次電池の電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記複数の二次電池の充電中、前記複数の二次電池に流れる電流が前記切替電流以下になると、前記複数の二次電池に流れる電流をゼロにさせた後、前記複数の二次電池が互いに並列接続されるように前記切替回路の動作を制御するとともに前記複数の二次電池に流れる全体電流を前記一定電流まで大きくさせるように構成してもよい。
【0011】
これにより、各二次電池の充電中において、各二次電池が直列接続から並列接続に切り替わる際に各二次電池に突入電流が流れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の二次電池を互いに直列接続または並列接続させる二次電池システムにおいて、二次電池システムと充電器とをつなぐ充電ケーブルの重量化を抑制しつつ、各二次電池の電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
図2】制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】制御部の動作の変形例を示すフローチャートである。
図4】充電中の二次電池に流れる電流と充電中の二次電池の電圧の一例を示す図である。
図5】実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
図1は、実施形態の二次電池システムの一例を示す図である。
【0015】
図1に示す二次電池システム1は、フォークリフトなどの産業車両や電気自動車などの車両Veに搭載され、走行用モータなどの負荷Loに電力を供給する。
【0016】
また、二次電池システム1は、車両Veの外部に設けられる充電器Chから充電ケーブルCaを介して電力が供給される。
【0017】
また、二次電池システム1は、二次電池B1~B4と、正極側充電端子Tipと、負極側充電端子Tinと、正極側放電端子Topと、負極側放電端子Tonと、第1出力部スイッチS11~S14と、第2出力部スイッチS21~S24と、直列接続用スイッチS31~S33と、スイッチS41、S42と、電流計Si1~Si4と、記憶部2と、制御部3とを備える。
【0018】
なお、第1出力部スイッチS11~S14と、第2出力部スイッチS21~S24と、直列接続用スイッチS31~S33により切替回路を構成する。
また、直列接続用スイッチS31~S33をダイオードに置き換えてもよい。
【0019】
また、二次電池B1~B4を特に区別しない場合、単に、二次電池Bとする。また、第1出力部スイッチS11~S14を特に区別しない場合、単に、第1出力部スイッチS1とする。また、第2出力部スイッチS21~S24を特に区別しない場合、単に、第2出力部スイッチS2とする。また、直列接続用スイッチS31~S33を特に区別しない場合、単に、直列接続用スイッチS3とする。また、電流計Si1~Si4を特に区別しない場合、単に、電流計Siとする。
【0020】
また、二次電池B、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び電流計Siのそれぞれの数は4つに限定されない。また、直列接続用スイッチS3の数は3つに限定されない。例えば、二次電池B、第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、及び電流計Siのそれぞれの数を2つとし、直列接続用スイッチS3を1つとする場合、二次電池システム1は、二次電池B1、B2と、第1出力部スイッチS11、S12と、第2出力部スイッチS21、S22と、電流計Si1、Si2と、直列接続用スイッチS31とを備える。
【0021】
二次電池Bは、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの1つ以上の充放電可能な電池(モジュール)により構成される。
【0022】
第1出力部スイッチS1、第2出力部スイッチS2、直列接続用スイッチS3、及びスイッチS41、S42は、それぞれ、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体スイッチまたは機械式スイッチ(電磁式リレー)により構成される。
【0023】
電流計Si1は、二次電池B1に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部3に送る。また、電流計Si2は、二次電池B2に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部3に送る。また、電流計Si3は、二次電池B3に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部3に送る。また、電流計Si4は、二次電池B4に流れる電流を検出し、その検出した電流を制御部3に送る。
【0024】
すなわち、第1出力部スイッチS11の一方端子が二次電池B1の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS12の一方端子が二次電池B2の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS13の一方端子が二次電池B3の正極端子に接続され、第1出力部スイッチS14の一方端子が二次電池B4の正極端子に接続されている。また、第1出力部スイッチS11~S14のそれぞれの他方端子は互いに接続されている。また、第1出力部スイッチS11~S14のそれぞれの他方端子の接続点は、正極側充電端子Tipを介して充電器Chの正極端子に接続されているとともに、正極側放電端子Topを介して負荷Loの正極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21の一方端子が電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS22の一方端子が電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS23の一方端子が電流計Si3を介して二次電池B3の負極端子に接続され、第2出力部スイッチS24の一方端子が電流計Si4を介して二次電池B4の負極端子に接続されている。また、第2出力部スイッチS21~S24のそれぞれの他方端子は互いに接続されている。また、第2出力部スイッチS21~S24のそれぞれの他方端子の接続点は、スイッチS41及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に接続されているとともに、スイッチS42及び負極側放電端子Tonを介して負荷Loの負極端子に接続されている。また、直列接続用スイッチS31の一方端子が電流計Si1を介して二次電池B1の負極端子に接続され、直列接続用スイッチS31の他方端子が二次電池B2の正極端子に接続されている。また、直列接続用スイッチS32の一方端子が電流計Si2を介して二次電池B2の負極端子に接続され、直列接続用スイッチS32の他方端子が二次電池B3の正極端子に接続されている。また、直列接続用スイッチS33の一方端子が電流計Si3を介して二次電池B3の負極端子に接続され、直列接続用スイッチS33の他方端子が二次電池B4の正極端子に接続されている。
【0025】
記憶部2は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)などにより構成され、後述する、一定電流、所定電圧、所定電流、切替電流、及び終止電流などを記憶している。
【0026】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)またはプログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などにより構成され、切替回路の動作を制御する。
【0027】
<二次電池B1~B2の放電中の切替回路の動作制御について>
制御部3は、二次電池B1~B4の放電中、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに、二次電池B1~B4を負荷Loに接続させる。すなわち、制御部3は、二次電池B1~B4の放電中、第1出力部スイッチS11~S14、第2出力部スイッチS21~S24、スイッチS42を導通させるとともに、直列接続用スイッチS31~S33及びスイッチS41を遮断させる。これにより、二次電池B1の正極端子から第1出力部スイッチS11、正極側放電端子Top、負荷Lo、負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS21、電流計Si1を介して、二次電池B1の負極端子に電流を流すことが可能な状態になる。また、二次電池B2の正極端子から第1出力部スイッチS12、正極側放電端子Top、負荷Lo、負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS22、電流計Si2を介して、二次電池B2の負極端子に電流を流すことが可能な状態になる。また、二次電池B3の正極端子から第1出力部スイッチS13、正極側放電端子Top、負荷Lo、負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS23、電流計Si3を介して、二次電池B3の負極端子に電流を流すことが可能な状態になる。また、二次電池B4の正極端子から第1出力部スイッチS14、正極側放電端子Top、負荷Lo、負極側放電端子Ton、スイッチS42、第2出力部スイッチS24、電流計Si4を介して、二次電池B4の負極端子に電流を流すことが可能な状態になる。このように、二次電池B1~B4の放電中、二次電池B1~B4を互いに並列接続させることにより、二次電池B1~B4の全体の容量を増加させることができる。
【0028】
<二次電池B1~B4の充電中の切替回路の動作制御について>
まず、制御部3は、二次電池B1~B4の充電開始時、二次電池B1~B4が互いに直列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに、二次電池B1~B4を充電器Chに接続させる。すなわち、制御部3は、二次電池B1~B4の充電開始時、第1出力部スイッチS11、直列接続用スイッチS31~S33、第2出力部スイッチS24、及びスイッチS41を導通させるとともに、第1出力部スイッチS12~S14、第2出力部スイッチS21~S23、及びスイッチS42を遮断させる。
【0029】
次に、制御部3は、二次電池システム1に一定電流が流れるように電流指令値を充電器Chに送る。充電器Chは、電流指令値に基づいて、一定電流を二次電池システム1に流す。すると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、二次電池B1、電流計Si1、直列接続用スイッチS31、二次電池B2、電流計Si2、直列接続用スイッチS32、二次電池B3、電流計Si3、直列接続用スイッチS33、二次電池B4、電流計Si4、第2出力部スイッチS24、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に一定電流が流れ、二次電池B1~B4がそれぞれ充電されることにより、二次電池B1~B4の各電圧がそれぞれ上昇する。なお、一定電流は、充電ケーブルCaの定格電流などにより予め決められているものとする。このように、二次電池B1~B4を互いに直列接続させた状態で、二次電池B1~B4を充電させる場合、二次電池B1~B4全体にかかる電圧を比較的高くすることができるため、二次電池B1~B4に流れる電流を比較的小さくすることができる。そのため、充電ケーブルCaを小型化することができるため、ユーザにおける充電作業性を向上させることができる。
【0030】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に一定電流を流しているとき、二次電池B1~B4の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると、その少なくとも1つの電圧を所定電圧に保ちつつ二次電池B1~B4に流れる電流が徐々に小さくなるように電流指令値を充電器Chに送る。
【0031】
そして、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が終止電流になると、二次電池B1~B4のうちの少なくとも1つの二次電池Bが満充電状態になったと判断し、二次電池B1~B4に流れる電流がゼロになるように電流指令値を充電器Chに送り、二次電池B1~B4の充電を終了する。なお、終止電流は、二次電池B1~B4が満充電状態になったことを判断するための電流値である。
【0032】
すなわち、制御部3は、二次電池B1~B4の充電中、定電流充電制御を行った後、定電圧充電制御を行う。
【0033】
ところで、二次電池B1~B4の充電中、二次電池B1~B4の製造ばらつきや経年劣化のばらつきなどの影響により二次電池B1~B4のそれぞれの充電率(満充電容量に対する現在の容量の割合)が互いに異なっていき、二次電池B1~B4の各電圧が互いに異なっていくおそれがある。また、二次電池B1~B4の各電圧が互いに異なっている状態において、二次電池B1~B4を放電させるために二次電池B1~B4を互いに並列接続させると、電圧が高い二次電池Bから電圧が低い二次電池Bに還流電流が流れ、二次電池B1~B4の各充電率(各電圧)が均等化される。そのため、二次電池B1~B4の充電が終了した後に二次電池B1~B4を放電させる場合、放電開始時の二次電池B1~B4の全体の充電率(電圧)が、充電終了直後の二次電池B1~B4の全体の充電率(電圧)に比べて低下するおそれがある。
【0034】
そこで、実施形態の制御部3では、定電流充電制御後の定電圧充電制御中において、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になったとき、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御する。これにより、二次電池B1~B4に互いに等しい電圧がかかり、まだ満充電状態に至っていない二次電池Bに比較的大きな電流が流れ、満充電状態に近い二次電池Bに比較的小さな電流が流れるため、二次電池B1~B4を充電させつつ、二次電池B1~B4の各電圧を均等化させることができる。そのため、充電終了後の放電開始時に二次電池B1~B4の間に流れる還流電流を低減することができ、充電終了後の放電開始時に二次電池B1~B4の全体の充電率(電圧)が低下することを抑制することができる。
【0035】
また、実施形態では、一定電流を二次電池Bの個数で除算した値を切替電流とする。例えば、一定電流を200[A]とする場合、切替電流を50[A]=200[A]/4とする。これにより、二次電池B1~B4が直列接続から並列接続に切り替わるときに二次電池B1~B4に流れる全体電流が一定電流まで大きくなるため、充電ケーブルCaの定格電流を一定電流より大きい値にする必要がなく、充電ケーブルCaの重量化を抑制することができる。
【0036】
また、実施形態の制御部3では、定電圧充電制御中において、二次電池B1~B4を直列接続から並列接続に切り替えた後、二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流まで大きくさせる。例えば、制御部3は、二次電池B1~B4を直列接続から並列接続に切り替えた後、一定電流と同じ値の電流指令値を充電器Chに送る。これにより、二次電池B1~B4が直列接続から並列接続に切り替わった後に二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流より小さくさせる場合に比べて、二次電池B1~B4が直列接続から並列接続に切り替わった後に二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流が小さくならず、定電圧充電制御中において二次電池B1~B4を互いに並列接続させる期間が短くならないため、二次電池B1~B4の各電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0037】
図2は、制御部3の動作の一例を示すフローチャートである。
【0038】
制御部3は、二次電池システム1から負荷Loへの電力供給開始指示が入力されると(ステップS1:Yes)、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B4が負荷Loに接続されるようにスイッチS41、S42の動作を制御する(ステップS2)。
【0039】
次に、制御部3は、二次電池システム1から負荷Loへの電力供給終了指示が入力されると(ステップS3:Yes)、スイッチS41、S42を遮断させて二次電池B1~B4の放電を終了させる。
【0040】
また、制御部3は、二次電池B1~B4の充電開始指示が入力されると(ステップS1:No、ステップS4:Yes)、二次電池B1~B4が互いに直列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B4が充電器Chに接続されるようにスイッチS41、S42の動作を制御する(ステップS5)。
【0041】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に一定電流を流す定電流充電制御を行い(ステップS6)、二次電池B1~B4の各電圧が所定電圧Vthより小さい場合(ステップS7:No)、定電流充電制御を継続する。
【0042】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると(ステップS7:Yes)、その少なくとも1つの電圧を所定電圧に保ちつつ二次電池B1~B4に流れる電流を所定電流分低下させる定電圧充電制御を行う(ステップS8)。
【0043】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流より大きい場合(ステップS9:No)、定電圧充電制御を継続する。
【0044】
一方、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると(ステップS9:Yes)、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流まで大きくさせた後(ステップS10)、二次電池B1~B4の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧を所定電圧に保ちつつ二次電池B1~B4に流れる電流を所定電流分低下させる定電圧充電制御を行う(ステップS11)。なお、ステップS8における所定電流とステップS11における所定電流は、二次電池Bの特性や充電時間などにより予め決められる任意の値であって、互いに同じ値でもよいし、互いに異なる値でもよい。
【0045】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流が終止電流より大きい場合(ステップS12:No)、定電圧充電制御を継続する。
【0046】
一方、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が終止電流以下になると(ステップS12:Yes)、二次電池B1~B4に流れる電流をゼロにさせて二次電池B1~B4の充電を終了する(ステップS13)。
【0047】
なお、図3に示す制御部3の動作の変形例のように、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると(ステップS9:Yes)、二次電池B1~B4に流れる電流をゼロにさせた後(ステップS10´)、二次電池B1~B4を互いに並列接続させる(ステップS10)ように構成してもよい。例えば、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると、ゼロを示す電流指令値を充電器Chに送り、電流計Si1~Si4により検出される電流がそれぞれゼロになると、二次電池B1~B4を互いに並列接続させる。このように構成することにより、二次電池B1~B4の充電中において、二次電池B1~B4が直列接続から並列接続に切り替わる際に二次電池B1~B4に突入電流が流れることを防止することができる。
【0048】
図4(a)は、充電中の二次電池B1~B4に流れる電流の変化例を示す図である。なお、図4(a)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電流を示している。また、図4(a)に示す実線は二次電池B1~B4に流れる全体電流を示し、図4(a)に示す破線は二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流のうちの1つの電流(個別電流)を示している。また、図4(b)は、充電中の二次電池B1~B4の各電圧の変化例を示す図である。なお、図4(b)に示す2次元座標の横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。また、図4(b)に示す実線は二次電池B1の電圧を示し、図4(b)に示す破線は二次電池B2の電圧を示し、図4(b)に示す一点鎖線は二次電池B3の電圧を示し、図4(b)に示す二点鎖線は二次電池B4の電圧を示している。
【0049】
まず、制御部3は、時刻t0において、二次電池B1~B4を互いに直列接続させる。
【0050】
次に、制御部3は、時刻t0から時刻t1までの期間において、定電流充電制御を行う。なお、時刻t0から時刻t1までの期間において、二次電池B1~B4の各電圧は徐々に上昇する。また、時刻t1において、二次電池B1の電圧(充電率)が最も大きくなり、二次電池B2の電圧(充電率)が二番目に大きくなり、二次電池B3の電圧(充電率)が三番目に大きくなり、二次電池B4の電圧(充電率)が最も小さくなるものとする。
【0051】
次に、制御部3は、時刻t1において、二次電池B1の電圧が所定電圧以上になると、時刻t1から時刻t2までの期間において、定電圧充電制御を行う。なお、時刻t1から時刻t2までの期間において、二次電池B1の電圧は所定電圧に保たれ、二次電池B2~B4の各電圧は時刻t1における二次電池B2~B4の各電圧と同じ電圧に保たれるものとする。
【0052】
次に、制御部3は、時刻t2において、二次電池B1~B4に流れる電流(個別電流)が切替電流以下になると、二次電池B1~B4を互いに並列接続させるとともに二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流まで大きくさせる。
【0053】
次に、制御部3は、時刻t2から時刻t3までの期間において、定電圧充電制御を行う。このとき、二次電池B4に最も多く充電電流が流れ、二次電池B3に二番目に多く充電電流が流れ、二次電池B2に三番目に多く充電電流が流れ、二次電池B1に最も少なく充電電流が流れる。そのため、二次電池B2~B4の各電圧が二次電池B1の電圧に徐々に近づいていき、二次電池B1~B4の各電圧が均等化される。
【0054】
そして、制御部3は、時刻t3において、二次電池B1~B4に流れる電流(個別電流)が終止電流以下になると、二次電池B1~B4に流れる電流(個別電流)をゼロにさせる。
【0055】
このように、実施形態の二次電池システム1では、定電流充電制御後の定電圧充電制御中において、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流まで大きくさせる構成である。これにより、充電ケーブルCaの重量化を抑制しつつ、二次電池B1~B4の各電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【0056】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0057】
<変形例>
図5は、実施形態の二次電池システムの変形例を示す図である。なお、図5に示す二次電池システム1において、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図5に示す二次電池システム1において、図1に示す二次電池システム1と異なる点は、正極側充電端子Tipが二次電池B1の正極端子と第1出力部スイッチS11の一方端子との接続点に接続されている点と、負極側充電端子Tinが二次電池B4の負極端子と第2出力部スイッチS24の一方端子との接続点に接続されている点である。なお、スイッチS41は、二次電池B4の負極端子と第2出力部スイッチS24の一方端子との接続点と負極側充電端子Tinとの間に接続されているものとする。また、図5に示す二次電池システム1における二次電池B1~B4の放電中の切替回路の動作制御は、図1に示す二次電池システム1における二次電池B1~B4の放電中の切替回路の動作制御と同様であり、その説明を省略する。
【0059】
<二次電池B1~B4の充電中における切替回路の動作制御について>
まず、制御部3は、二次電池B1~B4の充電開始時、直列接続用スイッチS31~S33及びスイッチS41を導通させるとともに、第1出力部スイッチS11~S14、第2出力部スイッチS21~S24、及びスイッチS42を遮断させる。これにより、二次電池B1~B4が互いに直列接続されるとともに、二次電池B1~B4が充電器Chに接続される。
【0060】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に一定電流が流れるように電流指令値を充電器Chに送る。充電器Chは、電流指令値に基づいて、一定電流を二次電池システム1に流す。すると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、直列接続用スイッチS31、二次電池B2、電流計Si2、直列接続用スイッチS32、二次電池B3、電流計Si3、直列接続用スイッチS33、二次電池B4、電流計Si4、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して充電器Chの負極端子に一定電流が流れ、二次電池B1~B4がそれぞれ充電されることにより、二次電池B1~B4の各電圧がそれぞれ上昇する。
【0061】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に一定電流を流しているとき、二次電池B1~B4の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧が所定電圧以上になると、その少なくとも1つの電圧を所定電圧に保ちつつ二次電池B1~B4に流れる電流が徐々に小さくなるように電流指令値を充電器Chに送る。
【0062】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると、第1出力部スイッチS11~S14、第2出力部スイッチS21~S24、スイッチS41を導通させるとともに、直列接続用スイッチS31~S33及びスイッチS42を遮断させる。これにより、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるとともに、二次電池B1~B4が充電器Chに接続される。なお、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると、一旦、二次電池B1~B4に流れる電流をゼロにさせ、その後、二次電池B1~B4を互いに並列接続させるように構成してもよい。
【0063】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4に流れる全体電流が一定電流まで大きくなるように電流指令値を充電器Chに送る。充電器Chは、電流指令値に基づいて、一定電流を二次電池システム1に流す。すると、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、二次電池B1、電流計Si1、第2出力部スイッチS21、第2出力部スイッチS24、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して、充電器Chの負極端子に電流が流れる。また、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS12、二次電池B2、電流計Si2、第2出力部スイッチS22、第2出力部スイッチS24、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して、充電器Chの負極端子に電流が流れる。また、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS13、二次電池B3、電流計Si3、第2出力部スイッチS23、第2出力部スイッチS24、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して、充電器Chの負極端子に電流が流れる。また、充電器Chの正極端子から正極側充電端子Tip、第1出力部スイッチS11、第1出力部スイッチS14、二次電池B4、電流計Si4、スイッチS41、及び負極側充電端子Tinを介して、充電器Chの負極端子に電流が流れる。
【0064】
次に、制御部3は、二次電池B1~B4の各電圧のうちの少なくとも1つの電圧を所定電圧に保ちつつ二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流が徐々に小さくなるように電流指令値を充電器Chに送る。
【0065】
そして、制御部3は、二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流のうちの少なくとも1つの電流が終止電流になると、二次電池B1~B4にそれぞれ流れる電流がゼロになるように電流指令値を充電器Chに送り、二次電池B1~B4の充電を終了する。
【0066】
なお、図5に示す二次電池システム1では、定電圧充電制御中において二次電池B1~B4が互いに並列接続されているとき、二次電池B2~B4にそれぞれ流れる電流の合計が第1出力部スイッチS11に流れる。そのため、二次電池B2~B4にそれぞれ流れる電流の合計に基づいて、第1出力部スイッチS11の定格電流が決められるものとする。
【0067】
また、図5に示す二次電池システム1では、定電圧充電制御中において二次電池B1~B4が互いに並列接続されているとき、二次電池B1~B3にそれぞれ流れる電流の合計が第2出力部スイッチS24に流れる。そのため、二次電池B1~B3にそれぞれ流れる電流の合計に基づいて、第2出力部スイッチS24の定格電流が決められるものとする。
【0068】
また、図5に示す二次電池システム1では、充電ケーブルCaの定格電流、または、第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流に基づいて、切替電流が決められるものとする。
【0069】
例えば、充電ケーブルCaの定格電流が200[A]であり、第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流が160[A]である場合、切替電流として50[A]=200[A]/4及び40[A]=160[A]/4が考えられる。また、150[A]=50[A]×3及び120[A]=40[A]×3は、どちらも第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流以下である。そのため、50[A]及び40[A]のうち、大きい値である50[A]を切替電流とする。なお、200[A]=50[A]×4を一定電流とする。
【0070】
また、充電ケーブルCaの定格電流が200[A]であり、第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流が120[A]である場合、切替電流として50[A]=200[A]/4及び30[A]=120[A]/4が考えられる。また、90[A]=30[A]×3は、第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流以下であるが、150[A]=50[A]×3は、第1出力部スイッチS11及び第2出力部スイッチS24の定格電流より大きくなってしまう。そのため、50[A]及び30[A]のうちの30[A]を切替電流とする。なお、120[A]=30[A]×4を一定電流とする。
【0071】
このように、図5に示す二次電池システム1においても、定電流充電制御後の定電圧充電制御中において、二次電池B1~B4に流れる電流が切替電流以下になると、二次電池B1~B4が互いに並列接続されるように切替回路の動作を制御するとともに二次電池B1~B4に流れる全体電流を一定電流まで大きくさせる構成である。これにより、充電ケーブルCaの重量化を抑制しつつ、二次電池B1~B4の各電圧のばらつきが大きくなることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 二次電池システム
2 記憶部
3 制御部
B1~B4 二次電池
Ve 車両
Lo 負荷
Ch 充電器
Ca 充電ケーブル
Tip 正極側充電端子
Tin 負極側充電端子
Top 正極側放電端子
Ton 負極側放電端子
S11~S14 第1出力部スイッチ
S21~S24 第2出力部スイッチ
S31~S33 直列接続用スイッチ
S41、S42 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5