(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113068
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび蛍光性を有する物質の認識支援装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20220727BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009192
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】513176650
【氏名又は名称】シンクロア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】小山 光広
(72)【発明者】
【氏名】綾部 華織
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043CA05
2G043EA01
2G043FA06
2G043GA06
2G043JA02
2G043LA05
(57)【要約】
【課題】光を照射することにより認識したい物質を際立たせることができる光源ユニットおよび蛍光性を有する物質の認識支援装置を提供する。
【解決手段】光源ユニット10は、光源12からの光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置用のものである。光源12は、複数の光源部12aを含み、複数の光源部12aのうちの少なくとも2つは、蛍光性を有する物質における複数の種類の励起波長に応じて異なる光を発するものである。複数の光源部12aは、第1の光源部12a1と、第2の光源部12a2とを含み、第1の光源部12a1は、蛍光性物質の第1の励起波長の光を含む光を発するものである。第2の光源部12a2は、蛍光性物質の第2の励起波長の光を含む光を発するものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置用の光源ユニットであり、
前記光源は、複数の光源部を含み、
前記複数の光源部のうちの少なくとも2つは、前記物質における複数の種類の励起波長に応じて異なる光を発するものである光源ユニット。
【請求項2】
光源からの光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置用の光源ユニットであり、
前記光源は、複数の光源部を含み、
前記複数の光源部は、第1の光源部と、第2の光源部とを含み、
前記第1の光源部は、前記物質の第1の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第1の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光し、
前記第2の光源部は、前記物質の第2の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第2の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光するものである光源ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の励起波長は、365nmであり、
前記第2の励起波長は、375nmである光源ユニット。
【請求項4】
請求項3または4において、
前記複数の光源部は、さらに、第3の光源部を含み、
前記第3の光源部は、有機物の第3の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第3の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光するものである光源ユニット。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3の励起波長は、385nmである光源ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記物質は、たんぱく質を含む光源ユニット。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかにおいて、
前記複数の光源部から発した光を出射方向に向けるためのリフレクターが設けられている光源ユニット。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかにおいて、
前記複数の光源部の各々の強度を相対的に変化させることができる出力可変操作部を含む光源ユニット。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかにおいて、
前記複数の光源部の各々の強度を独立的に変化させることができる出力可変操作部を含む光源ユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかにおいて、
可視光および可視可能な紫外線をカットする光抽出器を含む光源ユニット。
【請求項11】
請求項10において、
前記光抽出器は、前記物質の励起波長の透過率が極大となるように設定される光源ユニット。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の光源ユニットを含む蛍光性を有する物質の認識支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を照射して物質を認識するための光源ユニットおよび蛍光性を有する物質の認識支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蛍光性を有する物体を光らせる照射装置(いわゆるブラックライト)が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、光を照射することにより認識したい物質を際立たせることができる光源ユニットおよび蛍光性を有する物質の認識支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の光源ユニットは、
光源からの光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置用の光源ユニットであり、
前記光源は、複数の光源部を含み、
前記複数の光源部のうちの少なくとも2つは、前記物質における複数の種類の励起波長に応じて異なる光を発するものである。
【0006】
本発明の第2の光源ユニットは、
光源からの光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置用の光源ユニットであり、
前記光源は、複数の光源部を含み、
前記複数の光源部は、第1の光源部と、第2の光源部とを含み、
前記第1の光源部は、前記物質の第1の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第1の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光し、
前記第2の光源部は、前記物質の第2の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第2の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光するものである。
【0007】
本発明の第2の光源ユニットにおいて、
前記第1の励起波長は、365nmであり、
前記第2の励起波長は、375nmであることができる。
【0008】
本発明の第2の光源ユニットにおいて、
前記複数の光源部は、さらに、第3の光源部を含み、
前記第3の光源部は、有機物の第3の励起波長の光を含む光を発するものであり、前記物質が前記第3の励起波長の光を吸収した場合に、蛍光が発光するものであることができる。
【0009】
本発明の第2の光源ユニットにおいて、
前記第3の励起波長は、385nmであることができる。
【0010】
本発明において、前記複数の光源部から発した光を出射方向に向けるためのリフレクターが設けられていることができる。
【0011】
本発明において、前記物質は、たんぱく質を含むものであることができる。
【0012】
本発明において、
前記複数の光源部の各々の強度を相対的に変化させることができる出力可変操作部を含むことができる。
【0013】
本発明において、
前記複数の光源部の各々の強度を独立的に変化させることができる出力可変操作部を含むことができる。
【0014】
本発明において、
可視光および可視可能な紫外線をカットする光抽出器を含むことができる。
【0015】
本発明において、
前記光抽出器は、前記物質の励起波長の透過率が極大となるように設定されることができる。
【0016】
本発明の蛍光性を有する物質の認識支援装置は、本発明の光源ユニットを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光を照射して認識したい物質を際立たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る光源ユニットの機能ブロック図を示す。
【
図2】実施の形態に係る光源ユニットを模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置に係る機能ブロック図を示す。
【
図4】実施の形態に係る蛍光性を有する物質を模式的に示す斜視図を示す。
【
図5】実施の形態に係る蛍光性を有する物質を模式的に示す断面図である。
【
図6】実施の形態に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置の構成要素を模式的に示す分解図である。
【
図7】紫外線365nmの波長の光を有する光と、紫外線375nmの光を有する光との混合出力波長を示す。光抽出器による光の透過割合は、紫外線365nmの波長の光を有する光は50%とし、紫外線375nmの光を有する光は100%とした例である。
【
図8】紫外線365nmの波長の光を有する光と、紫外線375nmの光を有する光と、紫外線385nmの光を有する光との混合出力波長を示す。光抽出器による光の透過割合は、紫外線365nmの波長の光を有する光は100%とし、紫外線375nmの光を有する光は60%とし、紫外線385nmの光を有する光は40%とした例である。
【
図9】紫外線365nmの波長の光を有する光と、紫外線375nmの光を有する光との各発光強度スペクトルおよびバンドパスフィルターの透過率のプロファイルを示す。
【
図10】
図9で示したバンドパスフィルターを通過した混合波長の光をキーボードに照射した際のキーボードの写真である。
【
図11】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線365nmを極大波長)を示す。バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
【
図12】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図11の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
【
図13】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線375nmを極大波長)を示す。バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
【
図14】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図13の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
【
図15】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線385nmを極大波長)を示す。バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
【
図16】参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図15の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
【
図17】公知のブラックライトの光のスペクトル(紫外線385nmを極大波長)を示す。バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
【
図18】
図17のブラックライトの光をキーボードに照射した際の写真を示す。
【
図19】
図17のブラックライトの光を電気ポッドに照射した際の写真を示す。
【
図20】
図17のブラックライトの光をトイレ手洗い部に照射した際の写真を示す。
【
図21】
図17のブラックライトの光を皿に照射した際の写真を示す。
【
図22】可視光の光を皿に照射した際の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
1.光源ユニットの基本的考え
いわゆるブラックライト(350~410nm)を蛍光物質に当てると、蛍光物質がブラックライトから照射される紫外線を吸収し、分子レベルで高エネルギー状態になる(励起する)。この励起状態は分子レベルで不安定なため、紫外線を吸収し得られた余分なエネルギーを外部に放出し、蛍光が発する。放出されるエネルギーは電磁波の形であり、その波長が何かの色の付いた光として人間の目に見える範囲の波長のとき、ブラックライトで蛍光物質を照らすと光って見える。蛍光物質が紫外線を吸収した後に出す光の波長は、紫外線の量に寄らず物質ごとに決まっているが、紫外線の量が変わると、出てくる光の量が変わってくる。日常の空間では、ブラックライトよりも弱い紫外線が飛び交っており、蛍光物質は紫外線を吸収して光を出しているが、吸収する紫外線量が弱いため、出している光の量も少なく、量の多い他の色の光にかき消されてしまっている。
【0021】
発光する蛍光体には波長毎に違いがあるため、複数の波長(たとえば、365nm+375nmの組み合わせ、365nm+375nm+385nmの組み合わせ)を目的に合わせてバランスよく合成することで、汚れなどの視認性や性能や特性をコントロールすることができることを見出した。
【0022】
さらに、他の光色(可視光線)を吸収又は、カットできるバンドパスフィルターを使用し、かつ、可視出来る光を発するための照射される紫外線波長のプロファイルを制御することで、汚れ(タンパク・バクテリア等々)の蛍光物質が光って強調されて、視認性が向上することになることを見出した。また、可視光線をカット用のバンドパスフィルターを装着することで、さらに視認性を向上させることができる。
【0023】
2.光源ユニットの具体的構成
光源ユニット10は、光を吸収して蛍光を発する物質の存在認識を支援する認識支援装置100用のものである。
【0024】
光源ユニット10は、
図1に示すように、光源12と、光抽出器14と、リフレクター20と、出力制御部30と、出力可変操作部32とを含むことができる。
【0025】
光源12は、n個(nは2以上)の光源部12az(z=1,2,・・・,n)を有する。光源部12aは、認識しようとする物質の励起波長が選択される。光源部12aが2個以上ある場合には、それぞれ励起波長を変えてもよいし、複数の異なる励起波長を有する限りにおいて、複数の光源部12aが一部またはすべてが同一の励起波長であってもよい。光源部12aは、たとえばLEDであることができる。光源部12aがLEDの場合には、出力値は認識対象物質を際立たせるものであれば特に限定されないが、たとえばたとえば、100mW以上20W以下、設計の容易性や取り扱いの容易性などの観点で好ましくは200mW以上10W以下とすることができる。
【0026】
複数の光源部12の各々で選択される波長および複数の光源部12の出力の相対割合を
図7および
図8に示す。
図7は、紫外線365nmの波長の光を有する光と、紫外線375nmの光を有する光との混合出力波長を示す。
図7において、光抽出器による光の透過割合は、紫外線365nmの波長の光を有する光は50%とし、紫外線375nmの光を有する光は100%とした例である。
図8は、紫外線365nmの波長の光を有する光と、紫外線375nmの光を有する光と、紫外線385nmの光を有する光との混合出力波長を示す。
図8において、光抽出器による光の透過割合は、紫外線365nmの波長の光を有する光は100%とし、紫外線375nmの光を有する光は60%とし、紫外線385nmの光を有する光は40%とした例である。
【0027】
励起波長は、認識対象とする蛍光性を有する物質により異なるが、有機物を検出対象とする場合には、365nm、375nmおよび385nmの少なくともいずれかであることができる。認識対象とする物質としては、汚染状況を調べる際には有機物を認識することが好適であり、有機物としては、たとえば、たんぱく質を含むことができる。
【0028】
光源ユニット10が、複数の光源部12aを有する場合には、一つ又は複数の光抽出器14は、複数の光源部12aの各々の光を透過させ、かつ、可視光および可視可能な紫外線をカットするためのものとすることができる。複数の光源部12aの各々の光のスペクトルの半値幅を15nm以下となるように光を抽出し、透過させるものとすることができる。
図2に示すように、複数の光源部12a,12b,12cの各々に対応させて複数の光抽出器14a,14b,14cを設けてもよい。光抽出器14は、認識対象物質の励起波長の透過率が極大となるように設定されるようにすることで、光を吸収した物質からの発光を強くすることができる。光抽出器14は、光源12から発せられた光のスペクトルの半値幅を15nm以下となるように光を抽出してもよい。光源12から発せられた光のスペクトルの半値幅を15nm以下とすることで、蛍光性を有する物質の視認性をより向上させることができる。光抽出器14は、一つ又は複数であってもよい。光抽出器14は、たとえば、バンドパスフィルタにより構成することができる。
図9にバンドパスフィルタを設けた場合の光源部の光の強度プロファイルW1,W2とバンドパスフィルタ(光抽出器)の透過率のプロファイルの例を示す。
【0029】
光抽出器14は、光源部12aの励起波長の光を通すように構成される。光抽出器14は、通過した光のスペクトルの半値幅は、15nm以下になるように設定するためには、光抽出器14の光透過プロファイルの半値幅が15nm以下に設定される。一枚の基材上に、薄膜蒸着により複数層(たとえば3~4層)を設けたバンドパスフィルタにより構成してもよい。
【0030】
リフレクター20は、光源部12aからの光を所定の方向に向けるためのものであり、公知のものを適用することができる。
【0031】
光源ユニット10は、光源部12aの出力を制御するための出力制御部30と、出力制御部30に対して出力の制御指示を行うための出力可変操作部32とを含むことができる。
【0032】
光源12が複数の光源部12aを含む場合において、出力制御部30は、複数の光源部12aの出力を制御するためのものとすることができ、出力可変操作部32は、複数の光源部12aの出力、および、前記複数の光源部12a間の出力割合の設定を行うことできるものとすることができる。このような出力制御部30により、出力可変操作部32で設定された制御設定に基づき複数の光源部12aの出力を制御することができる。出力可変操作部32は、複数の光源部12の各々の強度を相対的に変化させてもよいし、複数の光源部12の各々の強度を独立的に変化させてもよい。
【0033】
出力可変操作部32は、たとえば、
図2に示すバランスVRなどの可変抵抗器により構成することができる。
【0034】
出力制御部30の起動は、たとえばスイッチにより行うことができる。バッテリーにより出力制御部30に電気を供給することができる。
【0035】
3.蛍光性を有する物質の認識支援装置
蛍光性を有する物質の認識支援装置100は、
図3に示すように、光源(たとえば、UV-LED)12、光抽出器(バンドパスフィルタ)14、リフレクター20、出力制御部30(ドライブ回路)、バッテリーと、スイッチ回路とを含むことができる。
【0036】
図4~
図6を参照しながら、蛍光性を有する物質の認識支援装置100の具体的構成を説明する。
【0037】
蛍光性を有する物質の認識支援装置100は、筐体66を含む。筐体66内には、プラス(+)電極基板65、LED基板63、LEDガード62、リフレクター20、および、光抽出器30が収容される。プラス(+)電極基板65、LED基板63、LEDガード62は、第1の基板固定ケース64に固定される。LEDガード62がLED基板63とリフレクター20との間に設けられている。筐体66は、リチウムイオン電池などの電池67が収められるような空間が設けられている。スイッチ・マイナス(-)電極基板69は、第2の基板固定ケース68に固定される。筐体66の光抽出器30側の先端側には先端キャップ60が設けられている。筐体66のスイッチ・マイナス(-)電極基板69側の後端側にはスイッチケース70が設けられている。先端キャップ60と光抽出器30との間には、第1のOリングパッキン61aが設けられている。光抽出器30とリフレクター20との間に第2のOリングパッキン61bが設けられている。プラス(+)電極基板65と電池67との間に第2のOリングパッキン61cが設けられている。
【0038】
4.効果
本願発明者らは、蛍光性を有する物質の励起波長の光を当該物質に照射するに当たって、複数種類の当該物質の励起波長の光を照射することで、当該物質、特に有機物の存在を認識しやすくなることを見出した。さらに、これらの光の強度を制御し、バランスを変えることで、より当該物質の存在を認識しやすくなることを見出した。
【0039】
図9に示す関係において、紫外線365nmの波長の光を有する光、および、紫外線375nmの光を有する光をキーボードに照射したところ、キーボードの汚れが際立つことを確認した。
【0040】
一方、
図11に示す365nmの光のスペクトルでは、
図12に示すように、キーボードの汚れが際立たない。
図13の光のスペクトルでも、
図14に示すように、キーボードの汚れが際立たず、
図15の光のスペクトルでも、
図16に示すようにキーボードの汚れが際立たない。
【0041】
図11は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線365nmを極大波長)を示す。
図12は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図11の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
図13は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線375nmを極大波長)を示す。
図14は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図13の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
図15は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、有機物に照射した光のスペクトル(紫外線385nmを極大波長)を示す。
図16は、参考例に係る蛍光性を有する物質の認識支援装置をキーボードの有機物の認識に適用した場合の実験結果を説明するための図であり、
図15の光をキーボードに照射した際の写真を示す。
図11、
図13および
図15は、バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
【0042】
図17に示す光のスペクトルを有するブラックライトによれば、
図18(キーボードの例)、
図19(電気ポットの例)、
図20(トイレ手洗い部の例)、
図21(皿の例)に示すように、汚れが際立たない。
図22は、可視光の例であるが、汚れが際立たない。
【0043】
図17は、公知のブラックライトの光のスペクトル(紫外線385nmを極大波長)を示す。バンドパスフィルタが設けられてない認識支援装置から光を照射した例である。
図18は、
図17のブラックライトの光をキーボードに照射した際の写真を示す。
図19は、
図17のブラックライトの光を電気ポッドに照射した際の写真を示す。
図20は、
図17のブラックライトの光をトイレ手洗い部に照射した際の写真を示す。
図21は、
図17のブラックライトの光を皿に照射した際の写真を示す。
図22は、可視光の光を皿に照射した際の写真を示す。
【0044】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 光源ユニット
12 光源
12a 光源部
14 光抽出器
14a 第1の光抽出器
14b 第2の光抽出器
14c 第3の光抽出器
20 リフレクター
20a 第1のリフレクター
20b 第2のリフレクター
20c 第3のリフレクター
30 出力制御部
32 出力可変操作部
50 スイッチ回路
60 先端キャップ
61a~61c 第1~第3のOリングパッキン
62 LEDガード
63 LED基板
64 基板固定ケース
65 プラス(+)電極基板
66 筐体(ケース)
67 リチウムイオン電池
68 基板固定ケース
69 スイッチ・マイナス(-)電極基板
70 スイッチケース