(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113070
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】化合物、高分子架橋剤、架橋高分子化合物、樹脂材料及び硬度調整樹脂材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 271/20 20060101AFI20220727BHJP
C08G 65/333 20060101ALI20220727BHJP
C07D 249/04 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
C07C271/20 CSP
C08G65/333
C07D249/04 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009195
(22)【出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】山口 和夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 淳
(72)【発明者】
【氏名】山本 翔太
【テーマコード(参考)】
4H006
4J005
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AB49
4H006AC56
4H006BB15
4H006RA10
4H006RB04
4J005AA04
4J005AA14
4J005BD05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡便な方法で、硬度を調整することができる樹脂材料、その樹脂材料に用いることができる架橋高分子化合物、その架橋高分子化合物を製造するための高分子架橋剤、その高分子架橋剤に用いることができる化合物、及び硬度調整樹脂材料の製造方法を提供する。
【解決手段】化合物は、式(1)で表される構造を少なくとも1つ備え、XおよびYの少なくとも一方はアミノ基を有し、Zは-OCONH-、-OCOS-、-OCOO-、-NH-、-S-、-O-、-OCO-のいずれかで表される基であり、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備える、化合物。
【化1】
(前記式(1)中、XおよびYの少なくとも一方はアミノ基を有し、
Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【請求項2】
下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備え、XおよびYの一方は、クリックケミストリーによる反応を受ける基を有し、XおよびYのもう一方は、アミノ基を有する、化合物。
【化9】
(前記式(1)中、Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【請求項3】
下記式(9)で表される化合物。
【化17】
(前記式(9)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【請求項4】
下記式(10)で表される化合物。
【化18】
(前記式(10)中、m、nおよびoは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【請求項5】
下記式(11)で表される構造を少なくとも1つ備える、化合物。
【化19】
(前記式(11)中、Xは、アミノ基を有し、
Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【請求項6】
下記式(12)で表される化合物。
【化27】
(前記式(12)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を含む高分子架橋剤。
【請求項8】
高分子化合物の分子鎖が請求項7に記載の高分子架橋剤により架橋されてなる、架橋高分子化合物。
【請求項9】
請求項8に記載の架橋高分子化合物を含む樹脂材料。
【請求項10】
請求項9に記載の樹脂材料に光を照射する硬度調整樹脂材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、高分子架橋剤、架橋高分子化合物、樹脂材料及び硬度調整樹脂材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料は、現在、各種筐体、幅広い製品に応用されている。このような樹脂材料について、マット、座席、オムツ、生理用品、グリップ等、体に接触するような用途では、使用者ごとに好む硬度が異なる場合がある。例えば、マットレスやクッションでは、硬度の高い高反発種と硬度の低い低反発種は、いずれも人気が高く、使用者によって大きく好みが分かれることもある。
【0003】
このように、樹脂材料の硬度が好みによって分かれる場合、例えばボールペンのグリップ等で見られるように、メーカーは硬度のバリエーションを揃えることもある。しかしながら、ユーザー自らが樹脂材料の硬度を調整できれば、ユーザーとしては使用感を追求できるし、メーカーとしては硬度のバリエーションを揃える必要もなくなる。そこで、簡便な操作で硬度を制御することができる樹脂材料が求められている。
【0004】
硬度を変化させることができる樹脂材料として現在応用されているのは、歯科治療、接着剤、パテ、3Dプリンターに応用される光硬化性樹脂が挙げられる。例えば、特許文献1は、ポリチオールを鎖伸長剤として使用したチオール基含有ポリウレタンと、多官能アクリル酸エステル及び光重合開始剤からなる組成物が開示されている。また、特許文献1では、このような組成物に光を照射して得られる硬化物は、強靭性と耐熱性に優れることを開示する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるような光硬化性樹脂では、開始剤を含んでおり、重合反応が早期に進んで硬化するため、ユーザーによって硬度を制御するには適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、簡便な方法で、硬度を調整することができる樹脂材料、その樹脂材料に用いることができる架橋高分子化合物、その架橋高分子化合物を製造するための高分子架橋剤、その高分子架橋剤に用いることができる化合物、及び硬度調整樹脂材料の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備える、化合物。
【化1】
(前記式(1)中、XおよびYの少なくとも一方はアミノ基を有し、
Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0009】
[2] 下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備え、XおよびYの一方は、クリックケミストリーによる反応を受ける基を有し、XおよびYのもう一方は、アミノ基を有する、化合物。
【化9】
(前記式(1)中、Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0010】
[3] 下記式(9)で表される化合物。
【化17】
(前記式(9)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【0011】
[4] 下記式(10)で表される化合物。
【化18】
(前記式(10)中、m、nおよびoは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【0012】
[5] 下記式(11)で表される構造を少なくとも1つ備える、化合物。
【化19】
(前記式(11)中、Xは、アミノ基を有し、
Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基であり、
R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。)
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【0013】
[6] 下記式(12)で表される化合物。
【化27】
(前記式(12)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。)
【0014】
[7] 請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物を含む高分子架橋剤。
【0015】
[8] 高分子化合物の分子鎖が請求項7に記載の高分子架橋剤により架橋されてなる、架橋高分子化合物。
【0016】
[9] 請求項8に記載の架橋高分子化合物を含む樹脂材料。
【0017】
[10] 請求項9に記載の樹脂材料に光を照射する硬度調整樹脂材料の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡便な方法で、硬度を調整することができる樹脂材料、その樹脂材料に用いることができる架橋高分子化合物、その架橋高分子化合物を製造するための高分子架橋剤、その高分子架橋剤に用いることができる化合物、及び硬度調整樹脂材料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、紫外光照射前の架橋ポリエチレングリコールをデジタルカメラで撮影した図である。
【
図2】
図2は、紫外光照射後の架橋ポリエチレングリコールをデジタルカメラで撮影した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は特にこれに限定されない。
【0021】
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、所定の構造を有する化合物を含む高分子架橋剤により架橋されてなる架橋高分子化合物について、光を照射されることによって徐々に架橋構造が切断される性質を有すること、及びそのような架橋高分子化合物を含んでなる樹脂材料は、光の照射によって硬度を調整することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0022】
実施形態の化合物は、下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備える化合物である。
【0023】
【0024】
式(1)中、XおよびYの少なくとも一方はアミノ基を有する。Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基である。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
また、他の実施形態の化合物は、下記式(1)で表される構造を少なくとも1つ備え、XおよびYの一方は、クリックケミストリーによる反応を受ける基を有し、XおよびYのもう一方は、アミノ基を有する化合物である。クリックケミストリーによる反応を受ける基として、例えば、アジドと反応するアルキニル基、アルキンと反応するアジド基、チオールと反応するマレイイミド基、マレイイミドと反応するチオール基などを有する基が好ましいが、これらに限られるものではない。
【0033】
【0034】
式(1)中、Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基である。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
また、他の実施形態の化合物は、下記式(9)で表される化合物である。
【0043】
【0044】
式(9)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。
【0045】
また、他の実施形態の化合物は、下記式(10)で表される化合物である。
【0046】
【0047】
式(10)中、m、nおよびoは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。
【0048】
また、他の実施形態の化合物は、下記式(11)で表される構造を少なくとも1つ備える化合物である。
【0049】
【0050】
式(11)中、Xは、アミノ基を有する。Zは、下記式(2)~式(8)のいずれかで表される基である。R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルキル基もしくはシクロアルキル基、又は置換基としてハロゲン原子を有してもよいアルコキシ基である。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
また、他の実施形態の化合物は、下記式(12)で表される化合物である。
【0059】
【0060】
式(12)中、mおよびnは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。
【0061】
上記化合物に光が照射されると、ニトロベンジル基の作用によって、Z部位が分解切断される。このようにしてZ部位が切断されると、架橋構造が消失し、高分子化合物の硬度が低下する。この反応は、連鎖反応等を伴わない比較的遅い反応であり、容易に制御できる。したがって、照射光の波長や照射強度、照射時間を制御することによって、Z部位の分解切断の反応速度を制御することができ、その分解切断の程度によって、高分子化合物の硬度を制御することができる。
【0062】
式(1)におけるベンゼン環との結合位置について、X部位、-CH(R2)-Z-Y部位及びニトロ基が結合している位置以外であれば、R1はいずれの位置に結合してもよい。
【0063】
R1およびR2におけるアルキル基は、直鎖状のアルキル基でもよいし、分岐状のアルキル基でもよい。また、R1およびR2におけるアルコキシ基は、直鎖状のアルコキシ基でもよいし、分岐状のアルコキシ基でもよい。また、R1およびR2は、後述の環状構造を有してもよい。R1およびR2における炭素数としては、特に限定されず、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることが更に好ましく、12以下であることが特に好ましく、6以下であることが最も好ましい。また、R1およびR2の炭素数としては、例えば、1以上(2以上、4以上、8以上、10以上、15以上等)であってもよい。
【0064】
R1およびR2におけるアルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基は、それぞれ、置換基としてハロゲン原子を有してもよく、有しなくてもよい。R1およびR2が有してもよいハロゲン原子は、特に限定されず、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等であってよい。また、置換するハロゲン原子の数は特に限定されず、例えば、1級炭素に結合した水素原子を、1、2若しくは3つのハロゲン原子に置換してもよく、又は2級炭素に結合した水素原子を、1若しくは2つのハロゲン原子に置換してもよい。
【0065】
式(1)におけるベンゼン環との結合位置について、R1、-CH(R2)-Z-Y部位及びニトロ基が結合している部位以外であれば、X部位はいずれの位置に結合してもよい。
【0066】
≪高分子架橋剤≫
また、上記化合物は、高分子架橋剤として用いることができる。すなわち、実施形態の高分子架橋剤は、上記化合物を含むものである。
【0067】
≪架橋高分子化合物≫
実施形態の架橋高分子化合物は、高分子化合物の分子鎖が上記高分子架橋剤により架橋されてなるものである。上記高分子架橋剤が高分子化合物の分子鎖を架橋することによって、架橋高分子化合物を製造することができる。
【0068】
≪樹脂材料≫
本実施形態に係る樹脂材料は、上述した架橋高分子化合物を含むものである。
【0069】
このような樹脂材料は、当該架橋高分子化合物以外に、所望の目的に応じて他の成分を含有することができる。このような成分としては、架橋高分子化合物以外の樹脂、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、核剤、透明化剤、重金属不活性化剤、難燃剤、帯電防止剤、安定剤、加工性改良剤、滑剤、分散剤、着色剤等が挙げられる。
【0070】
このような樹脂材料の用途としては、特に限定されず、ベースとなる高分子化合物の種類に応じて、容器、筐体、包装、ケース、内装品、バス・トイレ、電子部品、建築材料、車両・船舶の部品、家具、寝具、雑貨、被覆、食器、玩具、楽器、パイプ、フィルム、レンズ、衛生用品、機械部品、フィルム等、あらゆる用途に用いることができる。
【0071】
≪硬度調整樹脂材料の製造方法≫
本実施形態に係る硬度調整樹脂材料の製造方法は、上述した樹脂材料に光を照射することにより行う。
【0072】
上述した樹脂材料が光を照射されると、式(1)で表される構造が分解されて、架橋構造が切断される。光の照射量が多いほど、架橋構造の切断数が増加するため、樹脂材料の硬度が低下する。したがって、光の照射量について、照射時間などによって単位時間あたりの照射量で制御することで、樹脂材料の硬度を制御することができる。
【0073】
樹脂材料に照射する光の波長としては、特に限定されないが、式(1)で表される構造に応じて適宜選択され、例えば200nm以上300nn未満であってよい。また、式(1)で表される構造のうち、ベンゼン環が波長300nm以上400nm以下の光を吸収するものであれば、樹脂材料に照射する光の波長は、200nm以上400nm以下であってよい。
【0074】
なお、上記の化合物、高分子架橋剤、架橋高分子化合物、樹脂材料及び硬度調整樹脂材料の製造方法は、以上で述べた具体的な例に何ら限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲において、適宜変更を加えることができる。
【実施例0075】
以下、実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
<化合物1の合成>
化合物1は、式(1)で表される構造を少なくとも1つ備える。化合物1では、XおよびYの一方は、クリックケミストリーによりアジドと反応するアルキニル基又はアルキンと反応するアジド基を有し、XおよびYの他方は、アミノ基を有する。
【0077】
[Step1:化合物(13)の合成]
300mLナスフラスコに、4-hydroxy-3-methoxyacetophenoneを9.51g(57.2mmol)、アセトンを70mL、炭酸カリウム水溶液を7.92g(57.3 mmol)入れ、室温で30分攪拌した。そして、臭化ベンジルを9.79g(57.2mmol)入れ、80℃で3時間還流しながら攪拌した。次に、濃縮し、水を100mL入れ、抽出(クロロホルム、100mL×4times)を行ない、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、酢酸エチルとヘキサンにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥して、白色固体を得た。
【0078】
【0079】
得られた化合物(13)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 11.3g(43.9mmol,77%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:2.54(3H,s) -C(O)CH
3
3.95(3H,s) -OCH
3
5.23(2H,s) -OCH
2
6.88~6.90(1H,d,J=8.4Hz) Ar-H
7.31~7.55(7H,m) Ar-H
【0080】
[Step2:化合物(14)の合成]
氷浴にて、300mLナスフラスコに、化合物(13)を10.6g(41.3mmol)、酢酸を100mL、発煙硝酸を10mL加え、終夜攪拌した。その後、氷水を200mL加え、吸引ろ過し、酢酸エチルとヘキサンにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥して、黄色固体を得た。
【0081】
【0082】
得られた化合物(14)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 7.23g(24.0mmol,58%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:2.49(3H,s) -C(O)CH
3
3.98(3H,s) -OCH
3
5.22(2H,s) -OCH
2
6.76(1H,s) Ar-H
7.35~7.46(5H,m) Ar-H
7.67(1H,s) Ar-H
【0083】
[Step3:化合物(15)の合成]
300mLナスフラスコに、化合物(14)を6.25g(20.7mmol)、CF3COOHを65mL加え、室温にて終夜攪拌した。次に、濃縮し、5%炭酸水素ナトリウム水溶液を80mL、2N塩酸を30mL入れ、抽出(酢酸エチル、100mL×3times)を行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、酢酸エチルとヘキサンにより再結晶を行い、吸引ろ過、真空乾燥し、黄色固体を得た。
【0084】
【0085】
得られた化合物(15)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 3.24g(15.3mmol,74%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:2.49(3H,s) -C(O)CH
3
4.02(3H,s) -OCH
3
5.93(1H,s) -OH
6.80(1H,s) Ar-H
7.67(1H,s) Ar-H
【0086】
[Step4:化合物(16)の合成]
窒素雰囲気下にした100mL二口ナスフラスコに、化合物(15)を0.210g(0.994mmol)、超脱水アセトニトリルを10mL、炭酸カリウムを0.187g(1.35mmol)加え、室温で1時間攪拌後、3-bromo-1-propyne(沸点89℃)を0.100mL(0.157g、1.32mmol)入れ、100℃で3時間還流しながら攪拌した。次に、濃縮し、水を50mL、2N塩酸を5mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、真空乾燥し、黄色固体を得た。
【0087】
【0088】
得られた化合物(16)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.229g(0.919mmol,92%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:2.51(3H,s) -C(O)CH3
2.61~2.62(1H,t,J=2.4Hz) CH≡C-
3.98(3H,s) -OCH
3
4.86~4.87(2H,d,J=5.5Hz) -CH
2
O-
6.78(1H,s) Ar-H
7.80(1H,s)Ar-H
【0089】
[Step5:化合物(17)の合成]
100mLナスフラスコに、化合物(16)を0.123g(0.494mmol)、テトラヒドロフランを10mL、メタノールを20mL加えた後、さらに、氷浴中で攪拌しながら、少量ずつ水酸化ホウ素ナトリウムを0.129g(3.41mmol)加え、氷浴にて3時間攪拌した。その後濃縮し、水を50mL、2N塩酸を5mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、真空乾燥し、黄色固体を得た。
【0090】
【0091】
得られた化合物(17)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.123g(0.490mmol,99%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:1.55~1.57(3H,m) -CH
3
2.25~2.26(1H,m) -OH
2.57~2.58(1H,t,J=2.4Hz) CH≡C-
4.00(3H,s) -CH
3
4.82~4.83(2H,m) -CH
2
O-
5.58~5.59(1H,m) -CH-
7.34(1H,s) Ar-H
7.75(1H,s) Ar-H
【0092】
[Step6:化合物(18)の合成]
窒素雰囲気下で、100mLナスフラスコに、化合物(17)を0.0879g(0.350mmol)、アセトニトリルを8mL、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)を0.250g(0.977mmol)、トリエチルアミンを0.145mL(0.105g、1.04mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。その後濃縮し、水を30mL、2N塩酸を5mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)し、有機相を洗浄(飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、100mL×3times)し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、褐色固体を得た。
【0093】
【0094】
得られた化合物(18)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.137g(0.349mmol,99%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ:1.76~1.78(3H,d,J=6.4Hz) -CH
3
2.59~2.60(1H,t,J=2.2Hz) CH≡C-
2.81(4H,s) -CH
2
CH
2
-(succinimidyl)
4.06(3H,s) -OCH
3
4.83~4.84(2H,m) -CH
2
O-
6.50~6.55(1H,q,J=6.4Hz) -CH-
7.11(1H,s) Ar-H
7.83(1H,s) Ar-H
【0095】
[Step7:化合物(19)の合成]
20mL二口ナスフラスコに、エチレンジアミン1.54g(25.6mmol)を加え室温にて攪拌させた。その後、化合物(18)0.100g(0.256mmol)をアセトニトリル5.0mLに溶かし、滴下ロートにより60分かけて滴下させた。滴下終了後、減圧留去(25℃)によりエチレンジアミンを取り除いた。その後、水を50mL、2N塩酸を6mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)し、得られた水相に1M水酸化ナトリウム水溶液を10mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)した。さらに、得られた有機相の濃縮物に、再度、蒸留水を50mL、2N塩酸を3mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)した後、得られた水相に1M水酸化ナトリウム水溶液を10mL加え、抽出(クロロホルム、50mL×3times)を行い、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、黄色粘体を得た。
【0096】
【0097】
得られた化合物(19)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.040g(0.119mmol、46%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.26~1.40(2H,br) CH2-NH
2
1.60(3H,d,J=6.4Hz) CH-CH
3
2.58(1H,t) -C-CH
2.81(2H,m) NH-CH
2
-CH2
3.17~3.22(2H,br) CH2-CH
2
-NH2
3.97(3H,s) -OCH
3
4.81(2H,d,J=2.4Hz) C-CH
2
-O
5.26(1H,br) C(O)-NH-CH2
6.39(1H,t,J=2.4Hz) Ar-CH(CH3)-O
7.05(3H,s) Ar-H
7.75(2H,s) Ar-H
【0098】
<化合物2の合成>
化合物2は、式(1)で表される構造を少なくとも1つ備える。化合物2では、XおよびYの一方は、クリックケミストリーによりアジドと反応するアルキニル基又はアルキンと反応するアジド基を有し、XおよびYの他方は、アミノ基を有する。式(10)で表される化合物(化合物(10))を基本骨格とし、m、nおよびoは、それぞれ独立に、1以上25以下の整数である。
【0099】
[Step1:化合物(20)の合成]
200mL二口ナスフラスコに、ポリエチレングリコール600を10.3g(17.1mmol)加え、塩化パラトルエンスルホニル29.7g(156mmol)、トリメチルアミン塩酸塩3.42g(35.8mmol)、トリエチルアミン17.4g(172mmol)、乾燥テトラヒドロフラン70mLを加え、窒素雰囲気下、0℃にて40分攪拌した後、室温にてさらに2日間攪拌した。その後、反応溶液を濃縮し、水250mLを加え、抽出(クロロホルム、150mL×3times)し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液200mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ4cm、直径6.5cm、ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:methanol=9:1)で単離精製し、濃縮し、真空乾燥して、茶色粘体を得た。
【0100】
【0101】
得られた化合物(20)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 10.9g(12.0mmol、70%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=2.45(6H,s)
=3.58~3.70(52H,m)
=4.16(4H,t,J=4.8Hz)
=7.35(4H,d,J=8.2Hz)
=7.80(4H,d,J=8.2Hz)
【0102】
[Step2:化合物(21)の合成]
200mL二口ナスフラスコに、水素化ナトリウム570mg(14.3mmol)を加え、乾燥テトラヒドロフラン10mLで溶解し、2-プロピン-1-オール6.84g(122mmol)を乾燥テトラヒドロフラン50mlで溶解して得た溶液を滴下し、窒素雰囲気下、0℃にて1時間攪拌した。ここに、化合物(20)10.9g(12.0mmol)を乾燥テトラヒドロフラン20mlに溶解した溶液を滴下し、窒素雰囲気下、室温にて48時間攪拌した。その後、反応溶液を濃縮し、水200mLを加え、抽出(クロロホルム、100mL×3times)した。得られた有機相を、飽和塩化ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ15cm、直径5cm、クロロホルム:メタノール=9:1)で精製し、濃縮し、真空乾燥して茶色粘体を得た。
【0103】
【0104】
得られた化合物(21)の収量及び同定結果を以下に示す。なお、回収した化合物(20)の50%には、両末端にアルキニル基を導入した副生成物が含まれているが、下記に示す収量及び収率は、この副生成物を除いた値である。この副生成物は、下記Step3のクロマトグラフィーにて除去した。
・収量 3.92g(5.18mmol、36%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=2.44(1H,m)
3.62~3.71(50H,m)
2.80(2H,t,J=4.8Hz,5.0Hz)
4.21(2H,d,J=2.4Hz)
7.34(2H,d,J=8.0Hz)
7.80(2H,d,J=8.4Hz)
【0105】
[Step3:化合物(22)の合成]
窒素置換した300mL二口ナスフラスコの中で、1-(4-hydroxy-5-methoxy-2-nitrophenyl)ethanol 2.58g(12.1mmol)、炭酸セシウム7.61g(23.4mmol)を乾燥N,N-ジメチルホルムアミド80mLに溶解した。混合物を室温で2時間攪拌した後、化合物(21)7.04g(9.32mmol)を添加し、80℃で24時間攪拌した。その後、反応溶液に、水200mLを加え、抽出(ジクロロメタン100mL×3times)し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液100mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ13cm、直径5cm、ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:メタノール=9:1)で単離精製し、濃縮し、真空乾燥して茶色粘体を得た。
【0106】
【0107】
得られた化合物(22)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 4.33g(5.56mmol、>99%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.55(3H,d,J=6.3Hz)
2.44(1H,t,J=2.3Hz)
2.55(1H,m)
3.63~3.73(64H,m)
3.91(2H,t,J=4.7Hz)
3.98(3H,s)
4.20(2H,d,J=2.3Hz)
4.24(2H,m)
5.56(1H,m)
7.31(1H,s)
7.65(1H,s)
【0108】
[Step4:化合物(23)の合成]
窒素置換した300mL二口ナスフラスコの中で、化合物(22)3.96g(5.11mol)、炭酸ジ(N-スクシンイミジル)1.95g(7.61mol)、トリエチルアミン2.53g(25.5mmol)を乾燥アセトニトリル(100mL)に溶解し、混合物を室温で60時間攪拌した。その後、反応物を濃縮し、反応物をクロロホルム150mLで溶かし、蒸留水200mLを加え、2N塩酸を酸性になるまで加え、水相と有機相に分離させた。得られた水相にクロロホルム150mLを加え有機相を抽出する操作を2回繰り返した。得られた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液150mLで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ13cm、直径5cm、ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:メタノール=13:1)で単離精製し、濃縮し、真空乾燥し、減圧留去して茶色粘体を得た。
【0109】
【0110】
得られた化合物(23)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 3.66g(3.99mmol、78%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.76(3H,d,J=6.3Hz)
2.44 (1H,t,J=2.3Hz)
2.80(4H,s)
3.64~3.74(53H,m)
3.91(2H,t,J=4.75Hz)
4.04(3H,s)
4.20(2H,d,J=2.4Hz)
4.29(2H,t,J=5.0Hz)
6.50(1H,m)
7.01(1H,s)
7.72(1H,s)
【0111】
[Step5:化合物(24)の合成]
窒素置換した300mL二口ナスフラスコの中で、化合物(23)2.84g(2.70mmol)、N-Boc-エチレンジアミン675mg(4.21mmol)、トリエチルアミン1.37g(13.4mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(80mL)に溶解した。混合物を室温で24時間撹拌した。その後、減圧留去(40℃)により溶媒を除去し、水200mLを加え、抽出(クロロホルム100mL×3times)し、有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液200mLで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ=15cm、直径=6.0cm、クロロホルム:メタノール=13:1))により精製し、濃縮し、真空乾燥して黄色粘体を得た。
【0112】
【0113】
得られた化合物(24)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 2.82g(2.67mmol、98%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.43(9H,s)
1.58(3H,d,J=6.3Hz)
2.43(1H,t,J=2.4Hz)
3.29(3H,m)
3.64~3.72(55H,m)
3.89(2H,t,J=4.8Hz)
3.95(3H,s)
4.21(2H,d,J=2.4Hz)
4.23(2H,t,J=4.8Hz)
4.85(1H,br)
5.33(1H,br)
6.38(1H,m)
7.00(1H,s)
7.65(1H,s)
【0114】
[Step6:化合物(25)の合成]
200mLナスフラスコに、化合物(24)1.16g(1.10mmol)を入れ、ジオキサン18mLで溶解させ、4M塩酸18mLを加え、室温で60分攪拌した。その後、減圧留去(60℃)を3時間行い、濃縮した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、シリカ高さ15cm、直径3.0cm、クロロホルム:メタノール=13:1+トリエタノールアミン1%)、濃縮した。得られた濃縮物に、水200mLを加え、抽出(クロロホルム100mL×3times;1回目の抽出の際に5%NaHCO3でpH9に調整)、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、真空乾燥して、茶色粘体を得た。
【0115】
【0116】
得られた化合物(25)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.383g(2.67mmol、37%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)400MHz
δ=1.60(3H,d,J=6.4Hz)
2.45(1H,t,J=2.4Hz)
3.08(1H,br)
3.45(2H,br)
3.36~3.69(54H,m)
3.88(2H,m)
4.02(3H,s)
4.20~4.25(4H,m)
6.38(1H,t,J=6.4Hz)
7.01(1H,br)
7.21(1H,s)
7.64(1H,s)
【0117】
<化合物3の合成>
化合物3は、式(11)で表される構造を少なくとも1つ備える。化合物3では、Xにアミノ基を有する。
【0118】
[Step1:化合物(26)の合成]
50mL二口ナスフラスコに、化合物(19)0.100g(0.300mmol)、3-アジドプロピルアミン0.030g(0.300mmol)、臭化銅(I)0.086mg(0.600mmol)、アセトニトリル30mLを加え、窒素化室温にて3時間撹拌させた。その後、濃縮し、ジクロロメタン50mLに溶解させ、0.065MのEDTA-Na水溶液100mLで5回洗浄して臭化銅(I)を取り除き、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過し、ろ液を濃縮し、黄色粘体を得た。
【0119】
【0120】
得られた化合物(26)の収量及び同定結果を以下に示す。
・収量 0.060g(0.119mmol、43%)
・1H-NMR(CDCl3/TMS)300MHz
δ=1.48(2H,br) CH2-NH
2
1.59(3H,d,J=6.4Hz) CH-CH
3
2.74(2H,t,J=7.2Hz) CH2-CH
2
-CH2
3.19(2H,t,J=6.4Hz) NH2-CH
2
-CH2
3.95(5H,m) CH
3
O,NH-CH
2
-CH2
4.50(2H,t,J=7.2Hz) N-CH
2
-CH2
5.30(4H,m) C-CH
2
-O,CH2-CH
2
-NH2
6.38(1H,q,J=6.4Hz) Ar-CH(CH3)-O
7.03(1H,s) Ar-H
7.69(1H,s) N-CH-C
7.74(1H,s) Ar-H
【0121】
<化合物(26)で架橋されたポリエチレングリコールの合成>
1.5mLエッペンチューブに、N-succinimidyl修飾8-armポリエチレングリコール4mg(0.26mmol)(日油株式会社製、SUNBRIGHT HGEO-150GS)を加え、HEPES緩衝液15μLに溶解させた。次いて、異なる1.5mLエッペンチューブに化合物(26)3mgを加え、HEPES管溶液15μLに溶解させた。次いで、疎水化したガラス上に、N-succinimidyl修飾ポリエチレングリコール(日油株式会社製、SUNBRIGHT HGEO-150GS)の溶液を10μL滴下した後、その溶液の上に化合物(26)の溶液を15μL滴下し、室温で1時間反応させて架橋ポリエチレングリコールを得た。
【0122】
次いで、得られた架橋8-armポリエチレングリコールを波長365nmの紫外光40Jで照射した。
図1は、紫外光照射前の架橋ポリエチレングリコールをデジタルカメラで撮影した図である。
図2は、紫外光照射後の架橋ポリエチレングリコールをデジタルカメラで撮影した図である。
【0123】
得られた架橋8-armポリエチレングリコールを波長365nmの紫外光40Jで照射すると、ピンセットでつまむと崩れるほどゲルは軟化した。また、溶液は黄色く呈色し、光分解反応による架橋剤のゲルからの溶出が示唆された。