(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113096
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】介護スキル判別プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20220727BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20220727BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021123879
(22)【出願日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2021008518
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021020169
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する。
【解決手段】被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムにおいて、介護者の音声を取得する音声取得ステップと、音声取得ステップにおいて取得し音声を自然言語解析することにより得た意味概念に関する意味概念情報を取得する情報取得ステップと、介護者の音声に基づく意味概念に関する参照用意味概念情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【選択図】
図27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムにおいて、
介護者の音声を取得する音声取得ステップと、
音声取得ステップにおいて取得し音声を自然言語解析することにより得た意味概念に関する意味概念情報を取得する情報取得ステップと、
介護者の音声に基づく意味概念に関する参照用意味概念情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする介護スキル判別プログラム。
【請求項2】
被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムにおいて、
介護者による被介護者との間におけるアイコンタクトの成立頻度又は時間を計測することで得られるアイコンタクト情報を取得する情報取得ステップと、
過去において介護者による被介護者との間におけるアイコンタクトの成立頻度又は時間を計測することで得られた参照用アイコンタクト情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得されたアイコンタクト情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする介護スキル判別プログラム。
【請求項3】
被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムにおいて、
介護者による被介護者との間における顔間の距離を計測することで得られる顔間情報を取得する情報取得ステップと、
過去において介護者による被介護者との間における顔間の距離を計測することで得られた参照用顔間情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された顔間情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする介護スキル判別プログラム。
【請求項4】
上記情報取得ステップは、介護者による被介護者への顔の方向を検知した顔方向情報を取得し、
上記判別ステップは、上記参照用顔間情報と、過去において介護者による被介護者への顔の方向を検知した参照用顔方向情報との組み合わせに対する、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された顔間情報及び顔方向情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする請求項3記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項5】
介護者による被介護者への手の接触頻度又は時間を計測することで得られる接触情報を取得する情報取得ステップと、
過去において介護者による被介護者への手の接触頻度又は時間を計測することで得られる参照用接触情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された接触情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする請求項2記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項6】
上記情報取得ステップは、上記介護者の介護動作の姿勢に関する姿勢情報を取得し、
上記判別ステップは、上記参照用意味概念情報と、介護者の姿勢に関する参照用姿勢情報との組み合わせに対する、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報及び姿勢情報に基づき、介護スキルを判別すること
を特徴とする請求項1記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項7】
上記情報取得ステップは、上記介護者の介護動作の姿勢に関する姿勢情報を取得し、
上記判別ステップは、上記参照用アイコンタクト情報と、介護者の姿勢に関する参照用姿勢情報との組み合わせに対する、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得されたアイコンタクト情報及び姿勢情報に基づき、介護スキルを判別すること
を特徴とする請求項2記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項8】
上記情報取得ステップは、上記被介護者へ実際に介護を施す介護者を撮像することにより画像情報を取得し、
上記判別ステップは、上記参照用意味概念情報と、過去において被介護者へ実際に介護を施す介護者を撮像した参照用画像情報との組み合わせに対する、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報及び画像情報に基づき、介護スキルを判別すること
を特徴とする請求項1記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項9】
上記情報取得ステップでは、被介護者が居る環境に関する環境情報をさらに取得し、
上記判別ステップは、上記参照用意味概念情報と、被介護者が居る環境に関する参照用環境情報との組み合わせに対する、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報及び環境情報に基づき、介護スキルを判別すること
を特徴とする請求項1記載の介護スキル判別プログラム。
【請求項10】
上記判別ステップでは、人工知能におけるニューラルネットワークのノードの各出力の重み付け係数に対応する上記連関度を利用すること
を特徴とする請求項1~9のうち何れか1項記載の介護スキル判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における高齢化社会の進展に伴い、見守りが必要な見守り対象者が増加している。これに加えて、身体障害者や子供、乳児、更にはうつ病や認知症の患者等も見守りが必要となる対象者が増加している。
【0003】
見守り対象者が増加する分において、見守り対象者をケアし、注意が必要になったり、或いは危険度が高い場合にはケアをする見守り従事者も必要となるが、近年の人手不足に伴い、人員を確保することができないという問題点があった。このため、少ない見守り従事者で大勢を見守る場合において、見守り従事者の目の届かないところで、注意を喚起したり、ケアが必要なタイミングを自動的に知らせるシステムが必要となる。しかしながら、従来において、このような見守り対象者への注意度を自動的かつ高精度に判別するシステムは提案されていないのが現状であった。これに加えて、被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別し、適材適所の人材配置を行うためのニーズが高まっていたが、これに来応えることができる技術が提案されていないのが現状であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別することが可能な介護スキル判別プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明に係る介護スキル判別プログラムは、被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別する介護スキル判別プログラムにおいて、介護者の音声を取得する音声取得ステップと、音声取得ステップにおいて取得した音声を自然言語解析することにより得た意味概念に関する意味概念情報を取得する情報取得ステップと、介護者の音声に基づく意味概念に関する参照用意味概念情報と、介護スキルとの3段階以上の連関度を参照し、上記情報取得ステップにより取得された意味概念情報に基づき、介護スキルを判別する判別ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
特段のスキルや経験が無くても、被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の動作について説明するための図である。
【
図4】本発明の動作について説明するための図である。
【
図5】本発明の動作について説明するための図である。
【
図6】本発明の動作について説明するための図である。
【
図7】本発明の動作について説明するための図である。
【
図8】本発明の動作について説明するための図である。
【
図9】本発明の動作について説明するための図である。
【
図10】本発明の動作について説明するための図である。
【
図11】本発明の動作について説明するための図である。
【
図12】本発明の動作について説明するための図である。
【
図13】本発明の動作について説明するための図である。
【
図14】本発明の動作について説明するための図である。
【
図15】本発明の動作について説明するための図である。
【
図16】本発明の動作について説明するための図である。
【
図17】本発明の動作について説明するための図である。
【
図18】本発明の動作について説明するための図である。
【
図19】本発明の動作について説明するための図である。
【
図20】本発明の動作について説明するための図である。
【
図21】本発明の動作について説明するための図である。
【
図22】本発明の動作について説明するための図である。
【
図23】本発明の動作について説明するための図である。
【
図24】本発明の動作について説明するための図である。
【
図25】本発明の動作について説明するための図である。
【
図26】本発明の動作について説明するための図である。
【
図27】本発明の動作について説明するための図である。
【
図28】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した認知症兆候判別プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0009】
第1実施形態
図1は、本発明を適用した認知症兆候判別プログラムが実装される認知症兆候判別システム1の全体構成を示すブロック図である。認知症兆候判別システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0010】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する探索装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を探索装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、流量センサ、その他物質や物性を特定することが可能なセンサも含む。情報取得部9は、インターネット上のサイトに掲載されている文字列やデータを自動的に取り込んでくる手段で構成されていてもよい。
【0011】
データベース3は、認知症兆候判別を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。認知症兆候判別を行う上で必要な情報としては、テキストデータ内における代名詞の頻度に関する参照用代名詞頻度情報、音声のトーンに関する参照用トーン情報、被検者の表情を撮像した表情画像情報、アクションを規定するインテントに関する参照用インテント情報、過去の被検者の脳波に関する参照用脳波情報、被検者の属性に関する参照用属性情報等に対して判別された認知症の兆候とのデータセットが記憶されている。
【0012】
つまり、データベース3には、このような参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報と、被検者の認知症の兆候とが互いに紐づけられて記憶されている。
【0013】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。ちなみに、本発明は、このようなデータベース3に記録されたデータセットに基づいて探索装置2が各種判別や制御、提案を行う場合に限定されるものではなく、例えばシステムの末端装置であるエッジデバイスに搭載される人工知能で構成されるものであってもよい。
【0014】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う推定部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0015】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0016】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、推定部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0017】
推定部27は、探索解を推定する。この推定部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この推定部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0018】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0019】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0020】
上述した構成からなる認知症兆候判別システム1における動作について説明をする。
【0021】
認知症兆候判別システム1では、例えば
図3に示すように、参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。
【0022】
参照用代名詞頻度情報は、認知症の兆候を判別する被験者が話をした音声をテキストデータに変換したとき、当該テキストデータ内に代名詞がどの程度含まれているかを示す情報である。例えば、被検者が「私は、明日、藤本君と、新幹線で、13時までに、大阪へ、行く」という話をするのと「私は、明日、あれと、あれで、大阪へ行く」というのでは、前者の方が意味が明確であるのに対して、後者は意味が不明確になってしまう。認知症の患者は、自らが発する音声のテキストデータ中における代名詞の割合が高くなる。これをテキストデータ単位で抽出することで、参照用代名詞頻度情報とする。
【0023】
実際にテキストデータ内の代名詞の頻度を定量化する上で、テキストデータの文節数、単語数、格成分の数、名詞句の数、文字数をカウントすることでテキストデータ全体のボリュームを検出するようにしてもよい。そして、このテキストデータ全体のボリュームに対して、これに含まれる代名詞のボリュームを同様に、文節数、単語数、格成分の数、名詞句の数、文字数等を介してカウントする。そして、テキストデータ全体のボリュームに対する代名詞のボリュームの比率を上述した頻度として検出する。これらのテキストデータ全体並びに代名詞のボリュームを計測する上での単位(文節数、単語数、格成分の数、名詞句の数、文字数等)は互いに共通化させることが前提となる。
【0024】
本発明においては、この参照用代名詞頻度情報を検出する上で、過去の被検者の音声の入力を受け付ける。この入力はマイクロフォン等を介して受け付けるようにしてもよい。そして、この被検者の声をテキストデータに変換してこれを形態素解析することにより、当該テキストデータに含まれる代名詞を抽出する。代名詞は、「あれ」、「それ」、「これ」等の文言を形態素解析を含めた自然言語解析をすることにより抽出する。また、文節構造体(格成分、名詞句等)を抽出する際も同様に形態素解析を利用する。
【0025】
参照用トーン情報とは、過去の被検者から抽出した音声のトーンに関する情報である。この音声のトーンは、例えば、音の高低(音波の1秒間あたりの振動回数、つまり周波数)や音そのもの、或いは音の強弱を指す。音声のトーンは、一般的な音声検出器を通じて、その高低や強弱を検出し、解析するようにしてもよい。
【0026】
参照用トーン情報は、参照用代名詞頻度情報におけるテキストデータと連動させ、紐付けておくようにしてもよい。例えば、「私は、明日、あれと、あれで、大阪へ行く」という文言において、「明日」、「あれと」等の各名詞句(格成分)に対して、それぞれ音声のトーンが紐付けられ、参照用トーン情報とされていてもよい。
【0027】
入力データとしては、このような参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用代名詞頻度情報に対して、参照用トーン情報が組み合わさったものが、
図3に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。この出力においては、認知症の兆候の判別類型A~Eが表示されている。この認知症の兆候の判別類型は、それぞれ認知症の兆候のあらゆる類型を示すものである。認知症の兆候の判別類型は、例えばAは、「異常なし」、Bは、「重度の認知症」、Cは、「認知症ではないが、その兆候がある予備群」等である。認知症の兆候の判別類型は、これ以外に、認知症の症状の大きさや程度を示すものであってもよい。
【0028】
参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、認知症の兆候の判別類型に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報がこの連関度を介して左側に配列し、認知症の兆候の判別類型A、B、C、D、E、・・・が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報に対して、何れの認知症の兆候の判別類型と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報が、いかなる認知症の兆候の判別類型に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、各参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報から、被検者にとって最も該当可能性が高い認知症の兆候の判別類型を選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての認知症の兆候の判別類型と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての認知症の兆候の判別類型と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0029】
【0030】
探索装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で参照用代名詞頻度情報と参照用トーン情報、並びにその場合の認知症の兆候の判別類型の何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。
【0031】
これらのデータを蓄積する過程では、実際に認知症を患った過去の被検者、又は認知症には陥っていない過去の被検者、更には認知症になっていないが、その予備群になっている過去の被検者から、それぞれ参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報を検出する。これと共に、実際にその被検者が、認知症の兆候について専門家や医師により判別された結果を、予め規定された判別類型に当てはめ、これをデータ化し、これと、上述した参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報とのデータセットを学習させるようにしてもよい。
【0032】
なお、この学習データを構築する過程において、実際に被検者からデータを抽出する場合に限定されるものではなく、架空の被検者を想定し、ある参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報であった場合に、実際にどのような認知症の兆候の判別類型に当てはめるかを判断してデータ化し、これを学習させるようにしてもよい。
【0033】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用代名詞頻度情報P01で、参照用トーン情報P16である場合に、その認知症の兆候の判別類型を過去のデータから分析する。Aの事例が多い場合には、このAにつながる連関度をより高く設定し、Bの事例が多く、Aの事例が少ない場合には、Bにつながる連関度を高くし、Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、認知症の兆候の判別類型AとBの出力にリンクしているが、以前の事例から認知症の兆候の判別類型Aにつながるw13の連関度を7点に、認知症の兆候の判別類型Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0034】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0035】
図3に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用代名詞頻度情報P01に対して、参照用トーン情報P14の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Cの連関度がw15、認知症の兆候の判別類型Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用代名詞頻度情報P02に対して、参照用トーン情報P15、P17の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Bの連関度がw17、認知症の兆候の判別類型Dの連関度がw18となっている。
【0036】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから認知症の兆候の判別類型提案のための探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、新たに認知症の兆候の判別類型の提案を行う、新たな被検者から代名詞頻度情報に加え、トーン情報を取得する。このような代名詞頻度情報に加え、トーン情報の取得方法は、上述した参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報と同様である。
【0037】
このようにして新たに取得した代名詞頻度情報、トーン情報に基づいて、最適な認知症の兆候の判別類型を探索する。かかる場合には、予め取得した
図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した代名詞頻度情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、トーン情報がP17と同一かこれに類似する場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、認知症の兆候の判別類型Cがw19、認知症の兆候の判別類型Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い認知症の兆候の判別類型Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる認知症の兆候の判別類型Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0038】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0039】
【0040】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0041】
図4は、上述した参照用代名詞頻度情報と、参照用表情画像情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0042】
参照用表情画像情報は、参照用代名詞頻度情報を取得する被検者の表情の画像に関する情報である。参照用表情画像情報は、カメラにより被検者の表情を撮像することで得られた画像データを解析することで、その認知症を検知する上で特徴的な部分を抽出するようにしてもよい。仮に認知症の患者が表情において特有の笑みを見せる場合があると仮定したとき、その特有の笑みを顔画像を解析することで、その有無を検出するようにしてもよい。また、この参照用表情画像情報は、静止画のみならず動画で構成してもよい。動画の場合には、参照用代名詞頻度情報におけるテキストデータと連動させ、紐付けておくようにしてもよい。例えば、「私は、明日、あれと、あれで、大阪へ行く」という文言において、「明日」、「あれと」等の各名詞句(格成分)に対して、それぞれ動画の内容が時系列的に紐付けられ、参照用表情画像情報とされていてもよい。このような参照用表情画像情報、表情画像情報の取り込み方法は、画像解析以外に、必要に応じてディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。
【0043】
図4の例では、入力データとして例えば参照用代名詞頻度情報P01~P03、参照用表情画像情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用代名詞頻度情報に対して、参照用表情画像情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、認知症の兆候の判別類型が表示されている。
【0044】
参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、認知症の兆候の判別類型に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報がこの連関度を介して左側に配列し、認知症の兆候の判別類型が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報に対して、認知症の兆候の判別類型と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用代名詞頻度情報と参照表情画像情報が、いかなる認知症の兆候の判別類型に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報から最も確からしい各認知症の兆候の判別類型を選択する上での的確性を示すものである。代名詞頻度情報に加え、実際の表情画像がいかなる状態にあるのかに応じて、探索解は変化する。このため、これらの参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報の組み合わせで、最適な認知症の兆候の判別類型を探索していくこととなる。
【0045】
図4の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0046】
探索装置2は、このような
図4に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用代名詞頻度情報と参照用表情画像情報、並びにその場合の認知症の兆候の判別類型が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図4に示す連関度を作り上げておく。
【0047】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用代名詞頻度情報P01で、参照用表情画像情報P20である場合に、その認知症の兆候の判別類型を過去のデータから分析する。例えば中間ノード61aの例では、認知症の兆候の判別類型AとBの出力にリンクしているが、以前の事例から認知症の兆候の判別類型Aにつながるw13の連関度を7点に、認知症の兆候の判別類型Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0048】
図4に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用代名詞頻度情報P01に対して、参照用表情画像情報P18の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Cの連関度がw15、認知症の兆候の判別類型Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用代名詞頻度情報P02に対して、参照用表情画像情報P19、P21の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Bの連関度がw17、認知症の兆候の判別類型Dの連関度がw18となっている。
【0049】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから助言を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した代名詞頻度情報に加え、新たに認知症の兆候の判別類型を検査する被検者に関する表情画像情報を取得する。表情画像情報は、参照用表情画像情報に対応したものである。
【0050】
このようにして新たに取得した代名詞頻度情報、表情画像情報に基づいて、信用度を探索する。かかる場合には、予め取得した
図4(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した代名詞頻度情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、表情画像情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、認知症の兆候の判別類型Cがw19、認知症の兆候の判別類型Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い認知症の兆候の判別類型Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる認知症の兆候の判別類型Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0051】
なお、参照用代名詞頻度情報の代替として、以下に説明する参照用インテント情報を利用するようにしてもよい。この参照用インテント情報とは、テキストデータに含まれる処理動作単位で管理される情報であり、アクション名を規定するものである。
【0052】
インテントは、通常、業務処理(処理動作)を特定するアクションを規定するものである。例えば、「ゴミ箱に捨てる」、「ご飯を食べる」、「テレビを見る」、「買い物に行く」、「電車に乗る」、「音楽を聴く」等、あらゆるアクションがインテントとして規定されている。
【0053】
テキストデータを形態素解析し、これらに対してそれぞれインテントを割り当てる。このインテントの割り当ては、予め作成して保存したインテントテーブルを参照する。
【0054】
インテントテーブルには、形態素解析をした文言がいずれのインテントに含まれるかが定義されている。例えばインテント「買い物に行く」であれば、これに含まれる形態素解析した文言として「買い物に行く」以外に「物買いに行く」「お使いに行って来る」「買いに行く」「調達してくる」等、様々なものが含まれる。同様にインテント「電車に乗る」であれば、これに含まれる形態素解析した文言としては「山手線で行く」「中央線に乗る」「電車を使う」「電車を利用する」等、様々なものが含まれる。
【0055】
インテントテーブルには、このような各インテントに対して形態素解析した様々な文言が紐付けられて記録されており、これを読み出すことで、形態素解析した文言それぞれにインテントを割り当てることが可能となる。
【0056】
図5に示すように、このような各インテントからなる参照用インテント情報と、参照用表情画像情報との組み合わせと、出力データとしての、認知症の兆候の判別類型が互いに中間ノード61の連関度を介して関連付けられて学習させておく。
【0057】
そして、新たに被検者からインテント情報と表情画像情報とを抽出し、これに対応する参照用インテント情報を介して探索解としての認知症の兆候を分析する。
【0058】
なお、参照用インテント情報と、参照用トーン情報との組み合わせと、出力データとしての、認知症の兆候の判別類型が互いに中間ノード61の連関度を介して関連付けられて学習させておくことで、新たに被検者からインテント情報と、トーン情報が入力された場合に、同様に探索解を探索することも可能となる。
【0059】
図6は、上述した参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報に加えて、更に参照用脳波情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0060】
参照用脳波情報は、被検者の脳波に関する情報である。被検者の脳波は、市販されている脳波計から計測することができる。このような参照用脳波情報を組み合わせて判断することで認知症の兆候を把握することができる場合もあることから、これを説明変数として加えている。この参照用脳波情報は、時系列的な変化を捉えた情報で構成してもよい。係る場合には、参照用代名詞頻度情報におけるテキストデータと連動させ、紐付けておくようにしてもよい。例えば、「私は、明日、あれと、あれで、大阪へ行く」という文言において、「明日」、「あれと」等の各名詞句(格成分)に対して、時系列的な脳波の変化が紐付けられ、参照用代名詞頻度情報とされていてもよい。
【0061】
かかる場合において、連関度は、
図6に示すように、参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報と、参照用脳波情報との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a~61eとして表現されることとなる。
【0062】
例えば、
図6において、ノード61cは、参照用代名詞頻度情報P02が連関度w3で、参照用トーン情報P15が連関度w7で、参照用脳波情報Wが連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用代名詞頻度情報P03が連関度w5で、参照用トーン情報P15が連関度w8で、参照用脳波情報Vが連関度w10で連関している。
【0063】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに検査対象の被検者から取得した代名詞頻度情報と、トーン情報と、脳波情報に基づいて、認知症の兆候を判別する。
【0064】
この認知症の兆候の判別類型を判別する上で予め取得した
図6に示す連関度を参照する。例えば、代名詞頻度情報が参照用代名詞頻度情報P02に同一又は類似で、取得したトーン情報が参照用トーン情報P15と同一、類似であることが特定でき、更に取得した脳波情報が、参照用脳波情報Wであることが特定できた場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、認知症の兆候の判別類型Bが連関度w17で、また認知症の兆候の判別類型Dが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際にその新たに代名詞頻度情報と、トーン情報と、脳波情報とから認知症の兆候の判別類型を求めていくことになる。
【0065】
参照用代名詞頻度情報の代替として、参照用インテント情報を用いる場合も同様に買い探索を行うことができる。
【0066】
図7は、上述した参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報に加えて、更に参照用属性情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0067】
参照用属性情報は、被検者の属性を示す情報である。被検者の属性とは、被検者の年齢、性別、職業、現在行っている社会活動、過去から現在に至るまでの認知症に関係する行動や言動に関する情報、認知症以外の各種疾患等に関する情報も含まれる。
【0068】
かかる場合において、連関度は、
図7に示すように、参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報と、参照用属性情報との組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a~61eとして表現されることとなる。
【0069】
例えば、
図7において、ノード61cは、参照用代名詞頻度情報P02が連関度w3で、参照用トーン情報P15が連関度w7で、参照用属性情報Wが連関度w11で連関している。同様にノード61eは、参照用代名詞頻度情報P03が連関度w5で、参照用トーン情報P15が連関度w8で、参照用属性情報Vが連関度w10で連関している。
【0070】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに被検者から取得した代名詞頻度情報と、トーン情報と、属性情報に基づいて判別する。
【0071】
この認知症の判別類型を判別する上で予め取得した
図7に示す連関度を参照する。例えば、代名詞頻度情報が参照用代名詞頻度情報P02に同一又は類似で、取得したトーン情報が参照用トーン情報P15と同一、類似であることが特定でき、更に取得した属性情報が、参照用属性情報Wであることが特定できた場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、判別類型Bが連関度w17で、また判別類型Dが連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際にその新たに代名詞頻度情報と、トーン情報と、属性情報とに基づき、新たな被検者の判別類型を求めていくことになる。
【0072】
また、
図8に示すように、参照用情報Uとして、参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報で構成し、参照用情報Vとして、参照用情報Uと組み合わせて連関度を構成する参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報とし、これらの組み合わせの連関度に基づいて判別するようにしてもよい。出力解は、上述した各認知症の兆候の判別類型に該当する。
【0073】
このとき、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報Uについて、出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力を探索するようにしてもよい。
【0074】
なお本発明は、探索解として、判別類型を探索する場合に限定されるものではなく、
図9に示すように、判別類型に応じた処方を予め学習させておくことで、処方を探索解として出力することができる。いかなる判別類型に対していかなる処方が効果的かを予め検証した上で、判別類型毎に効果的な処方を紐付けておく。そして、上述と同様に判別類型を探索し、探索した判別類型に紐付けられた処方を判別類型と共に、或いは判別類型の代替として出力してするようにしてもよい。また、判別類型の代替として、この処方そのものを上述した参照用情報とのデータセットとして学習させるようにしてもよい。これにより、被検者から取得した入力データが入力された場合、より効果的な処方がストレートに出力されることとなる。
【0075】
図9は、参照用代名詞頻度情報と、参照用トーン情報との組み合わせにより連関度を形成する場合の例を示しているが、これに限定されるものではなく、上述した全ての参照用情報を入力データとした連関度についても同様に、処方そのものを上述した参照用情報とのデータセットとして学習させるようにしてもよいことは勿論である。
【0076】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0077】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に認知症の判別類型の探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0078】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0079】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0080】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいてより信用度に関する信憑性が高く、誤認の低い信用度を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。
【0081】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0082】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0083】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また代名詞頻度情報、トーン情報、表情画像情報、インテント情報、脳波情報、属性情報に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0084】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0085】
また、この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【0086】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0087】
第2実施形態
第2実施形態においては、参照用代名詞頻度情報のみから、認知症の兆候の判別類型を判別する。例えば
図10に示すように、過去において取得した参照用代名詞頻度情報と、その過去において実際に判別した認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用する。
【0088】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判別する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、代名詞頻度情報を新たに取得する。その取得方法は、第1実施形態と同様である。
【0089】
このようにして新たに取得した代名詞頻度情報に基づいて、認知症の兆候の判別類型を判別する。かかる場合には、予め取得した
図10に示す連関度を参照する。具体的な認知症の兆候の判別類型の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0090】
また第2実施形態においては、参照用インテント情報のみから、認知症の兆候の判別類型を判別するようにしてもよい。かかる場合には、例えば
図11に示すように、過去において取得した参照用インテント情報と、その過去において実際に判別した認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用する。
【0091】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判別する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、インテント情報を新たに取得する。その取得方法は、第1実施形態と同様である。
【0092】
このようにして新たに取得したインテント情報に基づいて、認知症の兆候の判別類型を判別する。かかる場合には、予め取得した
図11に示す連関度を参照する。具体的な認知症の兆候の判別類型の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0093】
また第2実施形態においては、参照用トーン情報のみから、認知症の兆候の判別類型を判別するようにしてもよい。かかる場合には、例えば
図12に示すように、過去において取得した参照用トーン情報と、その過去において実際に判別した認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用する。
【0094】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判別する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、トーン情報を新たに取得する。その取得方法は、第1実施形態と同様である。
【0095】
このようにして新たに取得したトーン情報に基づいて、認知症の兆候の判別類型を判別する。かかる場合には、予め取得した
図12に示す連関度を参照する。具体的な認知症の兆候の判別類型の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0096】
なお、第2実施形態においても同様に、探索解として、判別類型を探索する場合に限定されるものではなく、判別類型に応じた処方を予め学習させておくことで、処方を探索解として出力するようにしてもよいことは勿論である。
【0097】
また、第1実施形態~第2実施形態ともに、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図13に示すように、基調となる参照用情報と、認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用代名詞頻度情報等であるが、これに限定されるものでは無く、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報等)も適用可能である。
【0098】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0099】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0100】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0101】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用トーン情報P14において、以前において認知症の兆候の判別類型としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用トーン情報P14に応じたトーン情報を新たに取得したとき、認知症の兆候の判別類型としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば認知症の兆候の判別類型としての探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0102】
例えば、他の参照用情報Gが、より認知症の兆候の判別類型としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より認知症の兆候の判別類型としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、認知症の兆候の判別類型としての探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、認知症の兆候の判別類型としての探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、認知症の兆候の判別類型につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、認知症の兆候の判別類型を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての認知症の兆候の判別類型にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0103】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する認知症の兆候のある判別類型につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0104】
同様に、
図14に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、認知症の兆候の判別類型との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外の第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0105】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用代名詞頻度情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外の1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0106】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、認知症の兆候の判別類型を推定することができる。このとき、上述した
図13に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、認知症の兆候の判別類型を修正するようにしてもよい。
【0107】
第2実施形態においても、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0108】
なお、上述した探索解としては、認知症の兆候の判別類型の代替として、認知症の処方を探索解として探索するようにしてもよい。かかる場合には、上述した基調となる参照用情報と他の参照用情報との組み合わせに対する認知症の処方との3段階以上の連関度を通じて関連付けたデータを用意しておくことで同様に探索解を探索することができる。
【0109】
第3実施形態
第3実施形態において、
図15、16に示すように、基調となる参照用情報と、認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用する場合における、参照用の様々なバリエーション展開の例について説明をする。
【0110】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者について脳磁図検査を行った参照用脳磁図情報がある。この参照用脳磁図情報は、MEG(脳磁図検査)により得られる画像データで構成されていてもよいし、脳についてスキャニングしたMRIデータで構成されていてもよい。参照用脳磁図情報は、さらにこれらの画像データについて周知のディープラーニング技術を利用し、特徴的な部分を抽出したデータで構成されていてもよい。認知症の程度とこれらの脳磁図情報は相関があると考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0111】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、脳磁図情報を新たに取得する。
【0112】
新たに取得する脳磁図情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用脳磁図情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0113】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の食事内容に関する参照用食事内容情報がある。この参照用食事内容情報は、過去の被検者が実際に摂取した食事の内容(献立等)、食事の量、食事の時間、3食をとる時間間隔、摂取した栄養素やカロリー数である。この参照用食事内容は、1日、1週間、1か月等の期間に区切って取得してもよい。
【0114】
認知症の程度とこれらの食事内容に関する情報は相関があると考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0115】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、食事内容情報を新たに取得する。
【0116】
新たに取得する食事内容情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用食事内容情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0117】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の睡眠状態に関する参照用睡眠情報がある。この参照用睡眠情報は、過去の被検者が実際にした睡眠に関するあらゆる情報であり、例えば、睡眠時間や睡眠の深さ、睡眠中に目が覚める回数やその時間帯、睡眠時の体動に関するあらゆるデータが含まれる。認知症の患者は睡眠が分断されたり、中途覚醒が多い等のデータがあることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0118】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、睡眠情報を新たに取得する。
【0119】
新たに取得する睡眠情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用食事内容情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0120】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の運動状態に関する参照用運動情報がある。この参照用運動情報は、過去の被検者が実際にした運動に関するあらゆる情報であり、例えば、単位時間当たりの歩数、外出時間や外出回数、歩いた距離、走った距離等で構成されていてもよい。また、参照用運動情報は、実際に被検者に装着した加速度センサを通じて腕の振りや足の動き、歩く速さ等を計測した情報で構成してもよい。また、参照用運動情報は、体に装着した心拍計を通じて検出された心拍数、さらにはGPS等を通じて検出された位置情報を介した実際の活動範囲を示すものであってもよい。
【0121】
認知症の患者は運動量と相関があると考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0122】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、運動情報を新たに取得する。
【0123】
新たに取得する運動情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用運動情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0124】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の生活時間帯に関する参照用生活時間情報がある。この参照用生活時間情報は、過去の被検者が実際にした生活時間帯に関するあらゆる情報であり、例えば、トイレの電気使用時間を介してトイレの時間帯を取得するようにしてもよいし、部屋の電気の使用時間を介して実際に起きている時間、睡眠時間を検出するようにしてもよい。またドアの開閉センサを介してどの部屋に何時間滞在していたかを検出するようにしてもよい。電気の使用時間は、住宅に設定される電気使用メータを介して検出してもよいし、いわゆるスマートハウス等に設置されている電気メータを介して検出するようにしてもよい。
【0125】
認知症の患者は生活時間と相関があると考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0126】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、生活時間情報を新たに取得する。
【0127】
新たに取得する生活時間情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用生活時間情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0128】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の家屋内における各種操作に関する参照用操作情報がある。この参照用操作情報は、過去の被検者が実際に家屋内にある電気製品(テレビ、エアコン、PC、ビデオ、掃除機、冷蔵庫、洗濯機)、照明のスイッチ、風呂のガススイッチ、システムキッチンの操作ボタンやレバー等、押しボタン式で開閉する窓の操作等、家屋の住人であればだれもが操作する可能性があるあらゆるものが対象となる。これらの参照用操作情報は、電気製品や家屋内の照明のスイッチ、風呂のガススイッチ、システムキッチンの操作ボタンやレバー等、押しボタンに設置されているIoTセンサを通じて検出してもよい。いわゆるスマートハウス等に設置されている電気メータを介して検出するようにしてもよい。
【0129】
認知症の患者はボタン等の操作をする際に押し間違い頻度や押圧時間、さらには押圧強度等と相関があると考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0130】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、操作情報を新たに取得する。
【0131】
新たに取得する操作情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用操作情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0132】
基調となる参照用情報の例としては、過去の被検者の視線の動きに関する参照用視線画像情報がある。この参照用視線画像情報は、出題された問題に対する過去の被検者の視線を撮像したものである。視線の画像解析を行う上では、ディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。また赤外線カメラを利用し、被検者の視線の動きを高度に検出するようにしてもよい。
【0133】
出題される問題としては、例えば様々な形状の図形を同時に表示し、同じものがいくつ存在するかを数えさせたり、画面中に表示される目印を移動させる際の視線を解析したり、或いは、いわゆる間違え探しをさせるような問題等、空間認知能力や判断力等を試す問題とされていてもよい。
【0134】
認知症の患者は、このような問題に対して特徴的な視線の動きをするものと考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0135】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、視線画像情報を新たに取得する。
【0136】
新たに取得する操作情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者に出題された問題に対する視線の動きを撮像したものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用操作情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0137】
基調となる参照用情報の例としては、単位時間あたりの会話量に関する参照用会話量情報がある。単位時間とは、1分、10分、60分、3時間、一日等、いかなる時間単位であってもよい。会話量は、単に音声を発している時間、つまり、所定音量を超える音声が検出された時間を単位時間で割った値で構成されていてもよい。また、会話量は被検者の音声をテキストデータに変換したとき、当該テキストデータ内の各品詞(動詞、形容詞、目的語、代名詞、副詞等)を定量化し、その品詞の単位時間当たりの量で構成してもよい。また、会話量は、音声をテキストデータ化して、その文節数、単語数、格成分の数、名詞句の数、文字数をカウントすることでテキストデータ全体のボリュームを検出するようにしてもよい。そして、このテキストデータ全体のボリュームの単位時間当たりの量を会話量としてもよい。これらのテキストデータ全体並びに代名詞のボリュームを計測する上での単位(文節数、単語数、格成分の数、名詞句の数、文字数等)は互いに共通化させることが前提となる。
【0138】
認知症の患者の症状の程度は、このような会話量と関係することが考えられることから、これらが互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0139】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、会話量情報を新たに取得する。
【0140】
新たに取得する会話量情報は、新たに認知症の兆候を判別する被検者の音声をテキストデータに変換し、単位時間あたりの会話量を上述と同様に求める。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0141】
また、第1実施形態~第3実施形態ともに、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図13に示すように、基調となる参照用情報と、認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用代名詞頻度情報等であるが、これに限定されるものでは無く、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報等)も適用可能である。
【0142】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0143】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0144】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0145】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用生活時間情報P14において、以前において認知症の兆候の判別類型としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用生活時間情報P14に応じたトーン情報を新たに取得したとき、認知症の兆候の判別類型としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば認知症の兆候の判別類型としての探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0146】
例えば、他の参照用情報Gが、より認知症の兆候の判別類型としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より認知症の兆候の判別類型としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、認知症の兆候の判別類型としての探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、認知症の兆候の判別類型としての探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、認知症の兆候の判別類型につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、認知症の兆候の判別類型を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての認知症の兆候の判別類型にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0147】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する認知症の兆候のある判別類型につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0148】
同様に、
図14に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、認知症の兆候の判別類型との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、第1実施形態~第3実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外の第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0149】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用脳磁図情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外の1実施形態~第3実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0150】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、認知症の兆候の判別類型を推定することができる。このとき、上述した
図13に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、認知症の兆候の判別類型を修正するようにしてもよい。
【0151】
第3実施形態においても、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0152】
なお、上述した探索解としては、認知症の兆候の判別類型の代替として、認知症の処方を探索解として探索するようにしてもよい。かかる場合には、上述した基調となる参照用情報と他の参照用情報との組み合わせに対する認知症の処方との3段階以上の連関度を通じて関連付けたデータを用意しておくことで同様に探索解を探索することができる。
【0153】
第4実施形態
第4実施形態においては、参照用行動パターン情報のみから、認知症の兆候の判別類型を判別する。例えば
図17に示すように、過去において取得した参照用行動パターン情報と、その過去において実際に判別した認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用する。
【0154】
ここでいう参照用行動パターン情報は、過去の被検者の行動のパターンに関するあらゆる情報である。この行動のパターンは予め類型化されているものであってもよく、例えば、歩く、座る、立つ、階段を上る、といった一般的な動作に加えて、のけ反る、身震いする、きょろきょろする、挙動不審になる、頷く、同じところを行ったり来たりする、一度行った場所にすぐに戻る、等、あらゆる行動のパターンが類型化されていてもよい。この参照用行動パターン情報は、過去の被検者の行動を撮像した画像を上記予め類型化された行動パターンに当てはめることにより得るようにしてもよい。かかる場合には、取得した動画像又は静止画像を解析することで得るようにしてもよい。また画像解析以外に、必要に応じてディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。
【0155】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに認知症の兆候を判別する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、新たな被検者から行動パターン情報を新たに取得する。その取得方法は、参照用行動パターン情報と同様である。
【0156】
このようにして新たに取得した行動パターン情報に基づいて、認知症の兆候の判別類型を判別する。かかる場合には、予め取得した
図17に示す連関度を参照する。具体的な認知症の兆候の判別類型の推定方法は、第1実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0157】
また
図18は、上述した参照用行動パターン情報と、参照用シチュエーション情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度が設定されている例を示している。
【0158】
参照用シチュエーション情報は、過去の被検者の行動する際のシチュエーションに関するあらゆる情報である。ここでいうシチュエーションは、被検者が行動する周囲における状況を示すものであり、例えば周囲に話し相手がいたか、また親しい間柄の人又は見知らぬ人がいたか、その周囲における部屋の明るさ、屋外における明るさや天気、周囲における音声や騒音、周囲がきちんと整理整頓された美麗な環境であるか、あるいは散らかっている環境であればそれがどの程度のものか、更にはその被検者に対して他人が介助したり、手を貸したり、ちょっかいを出してたりしている状況なのか、或いは他人に話しかけられている状況にあるのかを示すものであってもよい。
【0159】
参照用シチュエーション情報を取得する上で現在がいかなる状況にあるのかは、被検者の周囲を画像により撮像し、これを解析することで得るようにしてもよい。各シチュエーションは、予め類型化されていてもよく、解析した画像を各類型に当てはめることにより、参照用シチュエーション情報を得るようにしてもよい。また画像解析以外に、必要に応じてディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。
【0160】
図18の例では、入力データとして例えば参照用行動パターン情報P01~P03、参照用シチュエーション情報P18~21であるものとする。このような入力データとしての、参照用行動パターン情報に対して、参照用シチュエーション情報が組み合わさったものが、
図18に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、認知症の兆候の判別類型が表示されている。
【0161】
参照用行動パターン情報と参照用シチュエーション情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、認知症の兆候の判別類型に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用行動パターン情報と参照用シチュエーション情報がこの連関度を介して左側に配列し、認知症の兆候の判別類型が連関度を介して右側に配列している。
【0162】
探索装置2は、このような
図18に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用行動パターン情報と参照用シチュエーション情報、並びにその場合の認知症の兆候の判別類型が何れが好適であったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図18に示す連関度を作り上げておく。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。
【0163】
図18に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用行動パターン情報P01に対して、参照用シチュエーション情報P18の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Cの連関度がw15、認知症の兆候の判別類型Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用行動パターン情報P02に対して、参照用シチュエーション情報P19、P21の組み合わせのノードであり、認知症の兆候の判別類型Bの連関度がw17、認知症の兆候の判別類型Dの連関度がw18となっている。
【0164】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから解探索を行う際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、上述した行動パターン情報に加え、新たに認知症の兆候の判別類型を検査する被検者に関するシチュエーション情報を取得する。シチュエーション情報は、参照用シチュエーション情報に対応したものである。
【0165】
このようにして新たに取得した行動パターン情報、シチュエーション情報に基づいて、信用度を探索する。かかる場合には、予め取得した
図18(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した行動パターン情報がP02と同一かこれに類似するものである場合であって、シチュエーション情報がP21である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、認知症の兆候の判別類型Cがw19、認知症の兆候の判別類型Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い認知症の兆候の判別類型Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる認知症の兆候の判別類型Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0166】
なお、第4実施形態においても、
図13に示すように、基調となる参照用情報と、認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた認知症の兆候の判別類型との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用行動パターン情報等であるが、これに限定されるものでは無く、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報等)も適用可能である。
【0167】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0168】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0169】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報等)に該当する。
【0170】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する認知症の兆候のある判別類型につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0171】
同様に、
図14に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、認知症の兆候の判別類型との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、参照用行動パターン情報であるとした場合、他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報等)の何れかが該当する。この基調となる参照用情報は、参照用シチュエーション情報であってもよい。
【0172】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、認知症の兆候の判別類型を推定することができる。このとき、上述した
図13に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、認知症の兆候の判別類型を修正するようにしてもよい。
【0173】
第4実施形態においても、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0174】
なお、上述した探索解としては、認知症の兆候の判別類型の代替として、認知症の処方を探索解として探索するようにしてもよい。かかる場合には、上述した基調となる参照用情報と他の参照用情報との組み合わせに対する認知症の処方との3段階以上の連関度を通じて関連付けたデータを用意しておくことで同様に探索解を探索することができる。
【0175】
第5実施形態
なお、本発明は、上述した認知症の兆候を判別する場合に加え、認知症の患者の見守りが必要な場合において、その見守り対象者への注意度を判別するものであってもよい。ここでいう見守り対象者とは、認知症の患者又はその疑いのある者以外に、見守りが必要なあらゆる対象者が含まれる。この見守り対象者の例としては、高齢者、身体障害者や子供、乳児、介護が必要な被介護者、更にはうつ病や認知症の患者、その他あらゆる病気に疾患した患者も含まれる。
【0176】
第5実施形態において、
図19、20に示すように、基調となる参照用情報と、見守り対象者への注意度との3段階以上の連関度を利用する場合における、参照用の様々なバリエーション展開の例について説明をする。
【0177】
基調となる参照用情報の例としては、上述した第1実施形態~第4実施形態において説明したあらゆる参照用情報が含まれる。そのうち、例えば参照用行動パターン情報を例に挙げる場合、これと見守り対象者への注意度との間で互いに関連付けられたデータセットを学習させることにより、上述した連関度を予め構築する。
【0178】
ここでいう見守り対象者への注意度とは、見守り対象者に対してどの程度の注意を払わなければならないかを示すものである。この注意度は、単に注意すべきか否かの2値で表される場合もあれば、注意喚起の度合いを10段階、100段階等、3段階以上で示すものであってもよい。また見守り対象者の注意度は、具体的にいかなる注意を払わなければならないかの程度を具体的に説明するものであってもよく、乳児であればミルクが必要か、おむつの替えが必要か、或いは子供であればかまってもらいたのか、高齢者であれば即座に救急車を呼ばなければならないか、或いは話し相手になってもらいたいのか、を具体的に示すものであってもよい。
【0179】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに注意度を判断する際において、上述した学習済みデータを利用することとなる。かかる場合には、情報(上述の例では、行動パターン情報)を新たに取得する。
【0180】
新たに取得する行動パターン情報は、新たに見守り対象者から取得するものであり、その情報の種類及び取得方法は、上述した参照用行動パターン情報と同様である。具体的な解探索の方法は、第1、第2実施形態と同様であるため以下での説明を省略する。
【0181】
第5実施形態において、
図19、20に示す、基調となる参照用情報の例としては、第1実施形態~第4実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報等)も適用可能である。
【0182】
また参照用情報の他の例としては、参照用バイタル情報、参照用環境情報、参照用位置情報、参照用移動態様情報、参照用使用情報、参照用天候情報等も適用可能である。
【0183】
参照用バイタル情報、バイタル情報は、見守り対象者の生体データに関するあらゆる情報が含まれる。この参照用バイタル情報、バイタル情報は、体温、呼吸や脈拍、心拍数、運動量(歩数)等、見守り対象者に取り付けた生体センサを介して取得可能なデータで構成してもよい。特に体温はサーモセンサを通じて自動計測するようにしてもよい。参照用バイタル情報、バイタル情報は、見守り対象者自身により入力された自身の体調、又は見守り対象者以外の見守り従事者、医師や介護者、家族等により入力された見守り対象者の体調の情報で構成してもよい。
【0184】
参照用環境情報、環境情報は、見守り対象者が居る環境に関するあらゆる情報で構成されている。見守り対象者が屋内に居るのであればその屋内の温度、湿度、騒音、照度、部屋の整頓度合い、清掃がどの程度行き届いているか等を示すものである。見守り対象者が屋外に居る場合であっても、屋内の温度、湿度、騒音、照度に加え、その屋内の危険度(車両の通行量が多い、繁華街の近く等)を示すものであってもよい。屋内においては例えば浴室の湯舟の水温、浴室の温度に対する浴室を出た直後にある脱衣室の温度を検出することでヒートショックの危険性を示すものであってもよい。これらの参照用環境情報、環境情報は、温度センサや音量センサ、照度センサで測定したデータに加え、清掃がどの程度行き届いているかを画像解析により取得してもよいし、マニュアル入力するようにしてもよい。
【0185】
参照用位置情報、位置情報は、見守り対象者の現在位置情報を示すものである。参照用位置情報、位置情報は、GPSにより測定した位置データで構成してもよいが、これ以外に屋内外に設置されたカメラによる撮像画像により特定した位置情報、その他センサによりセンシングされることで特定される位置情報で構成してもよい。この位置情報を通じて見守り対象者が現在どこにいるかが分かり、また現在いかなる生活行為を営んでいるかが分かる。例えばダイニングルームに居るのであれば食事中、寝室にいるのであれば睡眠中、トイレに居るのであれば、用便中、浴室に居れば入浴中であることを把握することができる。このようにして取得した参照用位置情報、位置情報から、上述した参照用生活時間情報、生活時間情報を取得するようにしてもよい。
【0186】
参照用位置情報、位置情報は、人の歩行態様に関するあらゆる情報である。この参照用位置情報、位置情報は、歩行速度、歩く格好(歩き辛そうか、片足を引きずっているか、きちんと歩けているか)等である。歩行速度は速度計や画像解析で、歩く格好は、画像解析から取得するようにしてもよい。
【0187】
参照用使用状況情報、使用状況情報は、屋内に居る人が電気、ガス、水道の何れか1以上の使用状況を示すものである。これらの使用状況は月間の使用量に基づくものであってもよいし、時、分、秒単位で検出した電気、ガス、水道の使用量から検出するものであってもよい。電気については、具体的にいかなる部屋の照明による消費電力か、テレビや洗濯機、冷蔵庫等のいかなる家電に使用された消費電力か、いかなるエアコンによる消費電力かを示すものであってもよい。これらの参照用使用状況情報、使用状況情報は、各家屋や、各部屋に設けられたメータや家電毎に取り付けられたセンサ、更には一般の住宅に設置されつつあるスマートハウス用の各メータからのデータを利用してもよい。
【0188】
参照用天候情報、天候情報は、晴れ、曇り、雨、雪等の、現時点における天候を示す情報である。これらの参照用天候情報、天候情報は、気象庁や民間の気象予測が取得した予報データやリアルタイムの天候データから取得するようにしてもよい。天気がいい場合には、散歩をしたり、或いは雨が降ってきたら洗濯物を取り込むなどのアクションを起こす場合があるが、これらが行動パターンと連動しているかで注意度を判別するものである。
【0189】
また、第5実施形態は、例えば
図21に示すように、基調となる参照用情報と、見守り対象者への注意度との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた見守り対象者への注意度との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、例えば参照用代名詞頻度情報等であるが、これに限定されるものでは無く、第1実施形態~第5実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報、参照用バイタル情報、参照用環境情報、参照用位置情報、参照用移動態様情報、参照用使用情報、参照用天候情報等)も適用可能である。
【0190】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0191】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0192】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報、参照用バイタル情報、参照用環境情報、参照用位置情報、参照用移動態様情報、参照用使用情報、参照用天候情報等)に該当する。
【0193】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用生活時間情報P14において、以前において見守り対象者への注意度としてBが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用生活時間情報P14に応じた生活時間を新たに取得したとき、見守り対象者への注意度としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば見守り対象者への注意度としての探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0194】
例えば、他の参照用情報Gが、より見守り対象者への注意度としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より見守り対象者への注意度としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、見守り対象者への注意度としての探索解Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、見守り対象者への注意度としての探索解Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、見守り対象者への注意度につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、見守り対象者への注意度を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての見守り対象者への注意度にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0195】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する認知症の兆候のある判別類型につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0196】
同様に、
図22に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、見守り対象者への注意度との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、第1実施形態~第5実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用代名詞頻度情報、参照用トーン情報、表情画像情報、参照用インテント情報、参照用脳波情報、参照用属性情報、参照用脳磁図情報、参照用食事内容情報、参照用睡眠情報、参照用運転情報、参照用操作情報、参照用視線画像情報、参照用会話量情報、参照用生活時間情報、参照用シチュエーション情報、参照用行動パターン情報、参照用バイタル情報、参照用環境情報、参照用位置情報、参照用移動態様情報、参照用使用情報、参照用天候情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外の第1実施形態~第5実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0197】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用行動パターン情報であれば、他の参照用情報としては、これ以外の1実施形態~第5実施形態におけるいかなる参照用情報が含まれる。
【0198】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、見守り対象者への注意度を推定することができる。このとき、上述した
図21に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、見守り対象者への注意度を修正するようにしてもよい。
【0199】
第5実施形態においても、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0200】
なお、上述した探索解としては、見守り対象者への注意度の代替として、見守り対象者に対する必要なケアを提案する見守り対象者ケア提案プログラムとして具現化するものであってもよい。かかる場合には、上述した基調となる参照用情報と他の参照用情報との組み合わせに対する見守り対象者に対する必要なケアとの3段階以上の連関度を通じて関連付けたデータを用意しておくことで同様に探索解を探索することができる。
【0201】
見守り対象者に対する必要なケアとは、見守り対象が乳児であればミルクの摂取、おむつの替え、高齢者や持病を持っている人であれば即座に救急車を呼ぶ、食事の世話をする、或いは話し相手になる等、いかなるものであってもよい。
【0202】
第6実施形態
第6実施形態では、見守り対象者である被介護者を介護する介護者が、自ら介護した内容を記録する介助記録を自動的に付けるものである。
【0203】
第6実施形態においては、
図23に示すように基調となる参照用情報と介護動作が互いに紐付けられている連関度を使用するか、或いは
図24に示すように基調となる参照用情報と他の参照用情報の組み合わせに対する介護動作の連関度を使用する。
【0204】
ここでいう介護動作は、予め類型化されている。介護動作は、例えば、被介護者の排泄を手伝う、歩行を手伝い、食事の補助をする、話し相手になる、髪を洗う等、介護に関するあらゆる動作が予め類型化されている。
【0205】
第6実施形態では、介護者又は被介護者から取得した各種情報から、この介護動作を判別する。そして、判別した介護動作を介助記録に付けていく。
【0206】
介助記録は、紙媒体に印刷されたものである必要はなく、電子データ化されたものであってもよい。この電子データ化された介助記録に実際に各時間帯ごとに、また各介護者につき、実際に行った介護の記録が付けられる。実際には、各介護者について判別した介護動作をそのまま介助記録に記録してもよいし、判別した各介護動作に応じた、又はこれらの直接紐付けられた情報を記録するようにしてもよい。
【0207】
基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、参照用意味概念情報、参照用被介護者意味概念情報、参照用姿勢情報、参照用排泄情報、参照用画像情報に加え、上述した第1実施形態~第5実施形態において説明したすべての参照用情報を適用するようにしてもよい。
【0208】
参照用意味概念情報とは、介護者が発した音声に含まれる意味概念に関する情報である。この参照用意味概念情報は、例えば、動詞に係り受けする名詞句又は名詞、形容詞、副詞、その他動詞を除くあらゆる文の構成要素を構成する格成分か、動詞か、又は動詞及びこれに係り受けする格成分の組み合わせで構成される。例えば、風呂、磨く、ご飯、排泄をする等、あらゆる参照用意味概念情報が、上述した介護動作との間で、3段階以上の連関度を通じて紐付けられている。
【0209】
実際に参照用意味概念情報が介護動作との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には、介護者の音声を取得する。そして、取得した音声を自然言語解析することにより、上述した参照用意味概念情報と同様に、格成分か、動詞か、又は動詞及びこれに係り受けする格成分の組み合わせで構成される意味概念情報を取得する。そして、この連関度を参照し、この意味概念情報に対応する参照用意味概念情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0210】
参照用被介護者意味概念情報とは、被介護者が発した音声に含まれる意味概念に関する情報である。この参照用被介護者意味概念情報は、被介護者に発せられた格成分か、動詞か、又は動詞及びこれに係り受けする格成分の組み合わせで構成される。
【0211】
実際に参照用被介護者意味概念情報が介護動作との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には、被介護者の音声を取得する。そして、取得した音声を自然言語解析することにより、上述した参照用被介護者意味概念情報と同様に、格成分か、動詞か、又は動詞及びこれに係り受けする格成分の組み合わせで構成される被介護者意味概念情報を取得する。そして、この連関度を参照し、この被介護者意味概念情報に対応する参照用被介護者意味概念情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0212】
参照用姿勢情報とは、介護者、又は被介護者の姿勢に関する情報である。実際に介護者が被介護者に対して各種介護のための動作を行っている時点における介護者、又は被介護者の姿勢に関する情報を抽出する。この参照用姿勢情報及び姿勢情報の抽出は、介護者、又は被介護者の各姿勢を撮像した画像から人の姿勢を線だけで表し、いかなる動作をしようとしているのかを判定するようにしてもよい。かかる場合には、周知のいかなる解析技術を利用してもよい。
【0213】
またかかる場合には、介護者、又は被介護者の各姿勢を撮像した画像と、姿勢を線だけで表した情報又は、いかなる動作をしようとしているかを類型化した情報との間で、互いに機械学習させ、前者の画像を入力、後者の情報を出力とした人工知能による学習済みモデルを予め構築しておくようにしてもよい。そして判定時において、この学習モデルを利用し、姿勢を撮像した画像から参照用姿勢情報、姿勢情報を抽出するようにしてもよい。
【0214】
実際に参照用姿勢情報が介護動作との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には介護者、又は被介護者から姿勢情報を取得する。そして、この連関度を参照し、この姿勢情報に対応する参照用姿勢情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0215】
参照用排泄情報、排泄情報は、被介護者が排泄を行った頻度や日時に加え、実際の排泄物の量やそのデータを含む。この参照用排泄情報、排泄情報は、被介護者又は介護者等の人間による手入力で得るようにしてもよいが、排泄物を検出し、検査機関を通じて検査してもらった結果を入力するようにしてもよい。またこれ以外には、いわゆるスマートトイレを通じて排泄物を自動的に測定することができる機能を利用して取得するようにしてもよい。このスマートトイレにおける排泄物のデータ検出は、周知のいかなる技術を利用するようにしてもよい。
【0216】
実際に参照用排泄情報が介護動作との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には排泄情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、この排泄情報に対応する参照用排泄情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0217】
参照用画像情報、画像情報は、被介護者へ実際に介護を施す介護者を撮像したものである。このとき、介護者のみならず、介護を受けている被介護者を含めて撮像するようにしてもよいし、介護者のみを撮像するようにしてもよい。この参照用画像情報、画像情報は、画像解析以外に、必要に応じてディープラーニング技術を利用し、解析画像の特徴量に基づいて自動判別し、データ化してもよい。
【0218】
実際に参照用画像情報が介護動作との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には介護者、又は被介護者から画像情報を取得する。そして、この連関度を参照し、この画像情報に対応する参照用画像情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0219】
第6実施形態においても同様に、
図21に示すように、連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0220】
第6実施形態においても、
図24に示す他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0221】
なお、第6実施形態においては、探索解として、介護動作の代替として、失踪可能性を判別するものであってもよい。被介護者の中では、メンタル面等の各種事情により失踪してしまう場合があるが、その兆候が見えた段階で未然に見守りを強化することで失踪を防止することができる。このため、探索解として失踪可能性を出すことにより、兆候を事前に判別することができる。
【0222】
失踪可能性は、百分率またはそれ以上の微細なレベルで示してもよいが、10段階、5段階評価、3段階評価等の数段階レベルで出すようにしてもよく、更には失踪可能性があるか否かの2段階で示すものであってもよい。
【0223】
この失踪可能性を探索する際における基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、上述に加え、参照用歩様情報を関連付けするようにしてもよい。
【0224】
この参照用歩様情報は、被介護者の歩様に関するあらゆる情報である。この被介護者の歩様に関する情報とは、被介護者の歩く速度、歩く姿勢、歩く量等で構成される。参照用歩様情報、歩様情報の取得方法としては、歩数計や加速度センサ、速度計等を通じて測定してもよい。歩く姿勢としては、被介護者の歩く姿勢を撮像した画像と、類型化した歩く姿勢との間で、互いに機械学習させ、前者の画像を入力、後者の情報を出力とした人工知能による学習済みモデルを予め構築しておくようにしてもよい。そして判定時において、この学習モデルを利用し、姿勢を撮像した画像から参照用歩様情報、歩様情報を抽出するようにしてもよい。
【0225】
実際に参照用歩様情報が失踪可能性との間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には歩様情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、この歩様情報に対応する参照用歩様情報を介して、探索解としての失踪可能性を探索する。
【0226】
なお、この失踪可能性の代替として、転倒可能性を探索するようにしてもよい。被介護者の中では、健康上やメンタル面等の各種事情により転倒してしまい、事故につながる場合があるが、その兆候が見えた段階で未然に見守りを強化することで転倒を防止することができる。このため、探索解として転倒可能性を出すことにより、兆候を事前に判別することができる。
【0227】
転倒可能性は、百分率またはそれ以上の微細なレベルで示してもよいが、10段階、5段階評価、3段階評価等の数段階レベルで出すようにしてもよく、更には転倒可能性があるか否かの2段階で示すものであってもよい。
【0228】
この転倒可能性を探索する際においても同様に、上述した参照用情報と転倒可能性との間で連関度を形成することで解探索を行うことが可能となる。
【0229】
第7実施形態
第7実施形態では、見守り対象者である被介護者を介護する介護者の介護プランを提案するものである。
【0230】
第7実施形態においては、
図25に示すように基調となる参照用情報と介護プランが互いに紐付けられている連関度を使用するか、或いは
図26に示すように基調となる参照用情報と他の参照用情報の組み合わせに対する介護プランの連関度を使用する。
【0231】
ここでいう介護プランは、一の介護者、又は複数の介護者に対して提供する介護のプランに関するあらゆる情報を含むものである。この介護プランは例えば、被介護者毎にプランニングされていてもよいし、被介護者のグループ毎にプランニングされていてもよい。介護プランは、例えば、各曜日、または各時刻につき、いかなる介護メニューを施すかスケジューリングされるものであってもよいし、曜日や時刻毎に細かくスケジューリングされるものではなくても大まかな介護メニューが被介護者毎に割り当てられるものであってもよい。
【0232】
基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、第1実施形態~第6実施形態において説明したすべての参照用情報が適用可能である。
【0233】
第7実施形態においても同様に、実際に介護プランとの間で連関度が構成されている参照用情報に応じた情報を介護者、又は被介護者から取得する。そして、この連関度を参照し、取得した情報に対応する参照用情報を介して、探索解としての介護動作を探索する。
【0234】
第7実施形態においても同様に、
図21に示すように、連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0235】
第8実施形態
第8実施形態では、見守り対象者である被介護者を介護する介護者の介護スキルを判別するものである。介護スキルは、例えば、被介護者にかける言葉や被介護者へのアイコンタクトの頻度や時間、被介護者との顔間の距離、被介護者への顔の方向等により評価することができる。
【0236】
第8実施形態においては、
図27に示すように基調となる参照用情報と介護スキルが互いに紐付けられている連関度を使用するか、或いは
図28に示すように基調となる参照用情報と他の参照用情報の組み合わせに対する介護スキルの連関度を使用する。
【0237】
ここでいう介護スキルは、介護者の被介護者に対する介護のスキルを評価したものであり、例えば百分率またはそれ以上の微細なレベルで示してもよいが、10段階、5段階評価、3段階評価等の数段階レベルで出すようにしてもよく、更には介護スキルがあるか否かの2段階で示すものであってもよい。
【0238】
基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、第1実施形態~第7実施形態において説明したすべての参照用情報が適用可能である。
【0239】
この介護スキルを探索する際における基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、上述以外に、参照用アイコンタクト情報を関連付けするようにしてもよい。
【0240】
参照用アイコンタクト情報は、介護者による被介護者との間におけるアイコンタクトの成立頻度又は時間を計測することで得られる情報である。アイコンタクトの成立頻度や時間に関しては、例えば眼鏡型端末等に実装されている周知のアイトラッキング技術を適用するようにしてもよい。かかる場合には、例えば、眼鏡型端末を介護者に装着させ、被介護者の視線を画像計測することで特定するとともに、介護者の視線はアイトラッキング技術を利用して測定し、互いの視線の一致度を判別するようにしてもよい。かかる場合には、被介護者の目の画像と視線とを互いに機械学習させ、前者の画像を入力、後者の視線を出力とした人工知能による学習済みモデルを予め構築しておくようにしてもよい。そして判定時において、この学習モデルを利用し、撮像した画像から被介護者の視線を判別するようにしてもよい。アイコンタクトの成立頻度や成立時間は、眼鏡型端末等に実装されている周知の時間計測技術を利用する。
【0241】
実際に参照用アイコンタクト情報が介護スキルとの間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合にはアイコンタクト情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、このアイコンタクト情報に対応する参照用アイコンタクト情報を介して、探索解としての介護スキルを判別する。
【0242】
この介護スキルを探索する際における基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、上述以外に、参照用顔間情報を関連付けするようにしてもよい。
【0243】
参照用顔間情報は、介護者による被介護者との間における顔間の距離を計測することで得られる情報である。顔間の距離については、例えば赤外センサによる実測や、介護者と非介護者を含むように撮像して得られた画像を解析することにより得るようにしてもよい。赤外センサによる実測は、眼鏡型端末を介護者に装着させ、眼鏡型端末に設けられた赤外センサを通じて距離を計測するようにしてもよい。
【0244】
実際に参照用顔間情報が介護スキルとの間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には顔間情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、この顔間情報に対応する参照用顔間情報を介して、探索解としての介護スキルを判別する。
【0245】
この介護スキルを探索する際における基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、上述以外に、参照用顔方向情報を関連付けするようにしてもよい。
【0246】
参照用顔方向情報は、介護者による被介護者との間における互いの顔の方向を計測することで得られる情報である。顔の方向の計測に関しては、例えば眼鏡型端末等に実装されている周知の頭の向きを検出する技術を適用するようにしてもよい。かかる場合には、例えば、眼鏡型端末を介護者に装着させ、被介護者の視線を画像計測することで特定するとともに、介護者の顔の向きは頭の向きを検出する技術を利用して測定し、互いの視線の一致度を判別するようにしてもよい。かかる場合には、被介護者の目の画像と視線とを互いに機械学習させ、前者の画像を入力、後者の視線を出力とした人工知能による学習済みモデルを予め構築しておくようにしてもよい。そして判定時において、この学習モデルを利用し、撮像した画像から被介護者の視線を判別するようにしてもよい。
【0247】
実際に参照用顔方向情報が介護スキルとの間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には顔方向情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、この顔方向情報に対応する参照用顔方向情報を介して、探索解としての介護スキルを判別する。
【0248】
この介護スキルを探索する際における基調となる参照用情報、および他の参照用情報としては、上述以外に、参照用接触情報を関連付けするようにしてもよい。
【0249】
参照用接触情報は、介護者による被介護者への手の接触頻度又は時間を計測することで得られる情報である。介護者が被介護者に適度なタイミングで手を触れることで、被介護者に対して安心感が生まれ、その安心感をいかにうまく作り出すかも介護スキルの一つとなる。
【0250】
手の接触頻度や時間については、介護者と非介護者を含むように撮像して得られた画像を解析することにより得るようにしてもよいし、周知の接触センサ、近接センサを用いるようにしてもよい。
【0251】
実際に参照用接触情報が介護スキルとの間で連関度が構成されている場合に解探索をする場合には接触情報を取得する。その取得方法は、上述と同様である。そして、この連関度を参照し、この接触情報に対応する参照用接触報を介して、探索解としての介護スキルを判別する。
【符号の説明】
【0252】
1 認知症兆候判別システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 推定部
28 記憶部
61 ノード