IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 合豐自動化股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特開2022-113104電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ
<>
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図1
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図2
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図3
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図4
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図5
  • 特開-電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113104
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20220727BHJP
   H02K 24/00 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
H02K7/06 Z
H02K24/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021166402
(22)【出願日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】110102567
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】518435873
【氏名又は名称】東佑達自動化科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】No.55, Xinji 3rd Rd., Annan Dist., Tainan City, 70947 Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】521445775
【氏名又は名称】合豐自動化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】曾坤成
(72)【発明者】
【氏名】曾▲はお▼文
(72)【発明者】
【氏名】王裕立
(72)【発明者】
【氏名】楊博超
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB09
5H607BB14
5H607BB26
5H607CC01
5H607CC03
5H607CC07
5H607CC09
5H607DD01
5H607DD04
5H607DD07
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE51
5H607HH01
5H607HH03
5H607HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電動シリンダのモータ及び該モータ用のエンコーダを提供する。
【解決手段】モータ本体20、エンコーダ22、回転子結合部44、エンコーダ固定部58を含む。該モータ本体20は、ハウジング32内に収容される回転子34、固定子コイル36、回転子34に結合される回転子磁石38を含む。該エンコーダ22は、モータ本体20に取り付けられており、回転軸18に固定される固定リング48と、固定リング48と結合される磁石固定ベース50と、エンコーダ磁石52と、磁気センサ54とを含む。該磁石固定ベース50は、エンコーダ磁石52の磁気センサ54に対する磁極位置を調整するために、固定リング48に対して回動可能となっている。該回転子結合部44は、回転子34に設けられかつ該回転軸18と第1の対応位置で固定され、該エンコーダ固定部58は、固定リング48に設けられかつ該回転軸18と第2の対応位置で固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に沿って延在しかつモータ側回転軸部を有する回転軸を含み、該モータ側回転軸部に互いに離間する回転軸結合部と回転軸固定部が設けられた電動シリンダのモータであって、
ハウジングと、該ハウジング内に収容される回転子と、固定子コイルと、該回転子に結合される回転子磁石とを含むモータ本体であって、該回転子は、該回転軸のモータ側回転軸部が貫通するように該縦方向に沿って延在する軸孔を有し、該回転子磁石は、少なくとも一対の磁極を有し、該回転子は、該固定子コイルに対して該回転軸の中心軸線周りに回動可能にしているモータ本体と、
該モータ本体に取り付けられており、固定リングと、磁石固定ベースと、エンコーダ磁石と、磁気センサとを含むエンコーダであって、該回転軸のモータ側回転軸部は該固定リングを貫通し、該磁石固定ベースは該固定リングに回動可能に結合され、該エンコーダ磁石は該磁石固定ベースに取り付けられかつ少なくとも一対の磁極を有し、該磁気センサは該縦方向において該磁石と離間して対向し、該磁石固定ベースは該固定リングと固定可能にしているエンコーダと、
該回転子に設けられ、該回転軸結合部と位置合わせされかつ結合部材により該回転軸結合部と結合される回転子結合部と、
該固定リングに設けられ、該回転軸固定部と位置合わせされかつ固定部材により該回転軸固定部と固定されるエンコーダ固定部と、
を備えることを特徴とする電動シリンダのモータ。
【請求項2】
該回転軸固定部は、該モータ側回転軸部の外周に設けられかつ該縦方向に沿って延在する第1のキー溝であり、該固定リングは、該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該エンコーダ固定部は該貫通孔の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する凹溝であり、該固定部材は該第1のキー溝及び該凹溝内に入れられる第1のキーであることを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダのモータ。
【請求項3】
該回転軸結合部は該モータ側回転軸部の外周に設けられかつ該縦方向に沿って延在する第2のキー溝であり、該回転子結合部は該軸孔の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する溝であり、該結合部材は該第2のキー溝及び該溝内に入れられる第2のキーであることを特徴とする請求項2に記載の電動シリンダのモータ。
【請求項4】
該回転軸結合部は、該縦方向において離間しかつ該回転軸周方向において対向する2つのスリットを含み、該回転子結合部は該回転子の両端にそれぞれ位置しかつ回転子の周方向において対向する2つのノッチを含み、該結合部材は、固定シートと2つのネジとからなる組み合わせを2つ含み、該2つのノッチはそれぞれ該2つのスリットに対応し、該結合部材の2つの固定シートはそれぞれ該2つのスリット内に当接され、該結合部材の2つのネジはそれぞれ該2つの固定シートを貫通し該回転子の2つのノッチ内に螺入されることを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダのモータ。
【請求項5】
該固定リングは、該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該磁石固定ベースは、本体部と、該本体部の内側から外方へ突出する位置決め部とを含み、該エンコーダ磁石は該本体部に取り付けられ、該位置決め部は該固定リングの貫通孔内に結合され、位置決め部材が該固定リングに設けられた位置決め孔を貫通しかつ該位置決め部に当接されることにより、該磁石固定ベースが該固定リングと固定されることを特徴とする請求項1に記載の電動シリンダのモータ。
【請求項6】
回転軸と接続されるモータに適用され、該回転軸の回転を検出するためのモータ用のエンコーダであって、
該回転軸に固定される固定リングと、
該固定リングと結合される磁石固定ベースと、
該磁石固定ベースに取り付けられかつ少なくとも一対の磁極を有するエンコーダ磁石と、
該エンコーダ磁石と縦方向において離間して対向する磁気センサと、
を備え、
該磁石固定ベースは、該エンコーダ磁石の該磁気センサに対する磁極位置を調整するために、該固定リングに対して回動可能となっていることを特徴とするモータ用のエンコーダ。
【請求項7】
該固定リングは該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該回転軸は該貫通孔を貫通し、該磁石固定ベースは本体部と、該本体部から外方へ突出する位置決め部とを含み、該エンコーダ磁石は、該本体部に取り付けられ、該位置決め部は該固定リングの貫通孔内に結合され、位置決め部材が該固定リングに設けられた位置決め孔を貫通しかつ該位置決め部に当接されることにより、該磁石固定ベースが該固定リングと固定されることを特徴とする請求項6に記載のモータに適用されるモータ用のエンコーダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シリンダに関し、特に電動シリンダに用いられる中空モータ及び該中空モータ用のエンコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工業用マシーンに広く応用される電動シリンダまたはスライドテーブル装置は、モータによる動力を利用して、回転軸(スクリュー)の伝動により、負荷端がリニア移動可能にしている。一般の電動シリンダは、主にリニアレール、該リニアレールに設けられたスライドユニット、モータを含む。該スライドユニットは、該モータの軸心とカプラーを介して接続された回転軸を有する。該モータの回転時に該カプラーを介して該回転軸が駆動されることで、該スライドユニットは該リニアレールに対して縦方向に沿って往復移動可能となるため、該スライドユニットに取り付けられた搭載部材はリニア移動するように駆動される。しかしながら、長時間にわたって使用すると、カプラーは損壊または脱落しやすくなる。また、カプラーの設置によって電動シリンダの縦方向長さは長くなり、体積が大きくなるため、スペースを効果的に節約できず、軽量化の目的を達成することができない。
【0003】
上述したカプラーを介する回転軸の接続によって生じた課題を解決するために、軸心を有しない中空モータは提案されている。該中空モータは、ハウジング、該ハウジング内に収容される中空回転子、該回転子に結合される磁石、固定子コイル、エンコーダを含む。改良された中空回転子には、電動シリンダの回転軸が直接挿通接続される。従って、カプラーの使用を省略することができる。該中空モータの回転子の回転時に回転軸が駆動されるため、該スライドユニットは、該リニアレールに対して縦方向に沿って往復移動可能となる。該中空モータが軸心を有しないため、該電動シリンダの縦方向長さを低くすることができ、さらに該電動シリンダの体積を小さくすることができる。しかしながら、磁極角度位置合わせの完成は中空モータと回転軸とが組み立てられた後に完成する。該中空モータの部品が損壊したり磁石が消磁したりする場合、該中空モータを交換する組み立ては極めて煩雑となり、ユーザ側は一般に自ら交換できず、電動シリンダ全体をメンテナンスのために工場に送り戻す必要があり、非常に手間が掛かることになる。具体的には、該中空モータと回転軸との組み立てが完成した後、モータの運転が行われる前に、該回転子に結合される回転子磁石の磁極位相は、固定子コイルとの位置合わせを予め完成する必要がある。この位置合わせ作業は、一般に、固定子コイルに対して送電し、該回転子が固定子コイルに対して初期位置まで回転した後に停止することで、位置合わせが完成する。また、該エンコーダのエンコーダ磁石の磁極位置も、該コンコーダの磁気センサとの位置合わせ作業を予め完成する必要がある。しかしながら、該エンコーダの磁石は、磁極位置の調整作業が行われている場合、該固定子コイルに対して送電するほか、該磁石の該磁気センサに対する磁極位置を人力で調整する必要があり、位置合わせの調整作業には極めて手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、主に電動シリンダのモータであって、軸心を有しない中空モータでありかつ電動シリンダの回転軸と接続可能な中空回転子を有する電動シリンダのモータを提供することを目的とする。該モータの構造上の設計特徴として、メーカは工場内において回転子磁石の磁極位相と固定子コイルとの位置合わせを予め完成するとともに、該エンコーダ磁石の磁極位置と該エンコーダの磁気センサとの位置合わせを完成することができるため、ユーザ側が電動シリンダのモータを交換する場合には回転子磁石とエンコーダ磁石との磁極位置合わせの問題がなく、ユーザ側はモータの交換や組み立てを迅速、簡単且つ精確に行うことができ、電動シリンダの競争力の向上を奏することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例は、回転軸を含む電動シリンダに適用されるモータであって、モータ本体、エンコーダ、回転子結合部、エンコーダ固定部を含む。該モータ本体は、ハウジング、該ハウジング内に収容される回転子、固定子コイル、該回転子に結合される回転子磁石を含む。該回転子は、該回転軸が貫通する軸孔を有し、該回転子磁石は、少なくとも一対の磁極を有し、該回転子は、該固定子コイルに対して該回転軸の中心軸線周りに回動する。該エンコーダは、該モータ本体に取り付けられており、該回転軸に固定される固定リング、該固定リングと結合される磁石固定ベース、エンコーダ磁石、磁気センサを含む。該エンコーダ磁石は、該磁石固定ベースに取り付けられ、該磁気センサはエンコーダ磁石と離間して対向する。該磁石固定ベースは、該該エンコーダ磁石の該磁気センサに対する磁極位置を調整するために、該固定リングに対して回動可能となっている。該回転子結合部は、該回転子に設けられかつ該回転軸と第1の対応位置で固定され、該エンコーダ固定部は、該固定リングに設けられかつ該回転軸と第2の対応位置で固定されている。
【0006】
また、本発明の一実施例は、回転軸と接続されるモータに適用され、該回転軸の回転を検出するためのエンコーダであって、固定リング、磁石固定ベース、エンコーダ磁石、磁気センサを含む。該固定リングは該回転軸に固定されている。該磁石固定ベースは、該固定リングと結合される。該エンコーダ磁石は該磁石固定ベースに取り付けられ、少なくとも一対の磁極を有する。該磁気センサは該エンコーダ磁石と該縦方向において離間して対向する。該磁石固定ベースは、該エンコーダ磁石の該磁気センサに対する磁極位置を調整するために、該固定リングに対して回動可能となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るモータによれば、組み立て専門を有する生産メーカは、工場内において回転子磁石の磁極位相と固定子コイルとの位置合わせを予め完成するとともに、エンコーダ磁石の磁極位置とエンコーダの磁気センサとの位置合わせを完成することができるため、ユーザ側は、モータの交換を迅速かつ簡単に完成することができ、電動シリンダ全体をメンテナンスのために工場に送り戻す必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施例に係るモータが電動シリンダに適用される断面模式図を示す。
図2図1の電動シリンダの局所分解模式図である。
図3図1のエンコーダの一部の素子の分解図である。
図4図2のモータ本体を回転軸に組み立てる模式図である。
図5】本発明の第2の実施例に係るモータが電動シリンダに適用される断面模式図である。
図6図5の電動シリンダの局所分解模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一つの例とするがそれに限定されない具体的な実施例について、図面を参照しながら本発明の技術内容を説明する。
【0010】
図1ないし図4は、本発明の第1の実施例に係る電動シリンダ12に適用されるモータ10を示す。電動シリンダ12は、リニアレール14、スライドユニット16、回転軸18、モータ本体20、エンコーダ22を含む。リニアレール14は縦方向(X)に沿って延在し、スライドユニット16はリニアレール14に取り付けられる。回転軸18は、スライドユニット16と結合されるスライド側回転軸部24と、モータ本体20と結合されるモータ側回転軸部26とを含む。モータ10の回転時に、回転軸18は、スライドユニット16がリニアレール14に対して該縦方向(X)に沿って往復移動するように駆動される。リニアレール14及びスライドユニット16の構造は従来技術であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0011】
モータ側回転軸部26は、スライドユニット16の外側に延出し、回転軸結合部28と、回転軸固定部30とが設けられている。回転軸結合部28は、該縦方向(X)において負荷側回転軸部24と回転軸固定部30との間に位置する。実行可能な実施例において、回転軸結合部28及び回転軸固定部30はそれぞれ少なくとも1つのキー溝または少なくとも1つのスリットからなる。この実施例において、回転軸固定部30は、回転軸18の外周に設けられた第1のキー溝30aであり、回転軸結合部28は、回転軸18の外周に設けられた第2のキー溝28aである。該2つのキー溝28a、30aは、回転軸18の中心軸線に平行する方向に沿って延在しかつ該縦方向において面一となる。即ち、該2つのキー溝28a、30aは、回転軸18の周方向における角度のずれはない。実行可能な実施例において、該2つのキー溝28a、30aは、回転軸18の周方向に所定の角度(例えば90または180度)だけずらしているが、該2つのキー溝28a、30aは該縦方向において面一となるように構成されているため、回転軸18における回転軸結合部28と回転軸固定部30の作成に有利になる。
【0012】
本発明に係るモータ10は、モータ本体20と、エンコーダ22とを含む。モータ本体20は、ハウジング32、ハウジング32内に収容される回転子34、固定子コイル36、回転子34に結合される回転子磁石38、内周に軸受41が設けられた後蓋40を含む。回転子34は、モータ側回転軸部26が貫通するように該縦方向に沿って延在する軸孔42を備える。回転子34には回転子結合部44が設けられている。実行可能な実施例において、回転子結合部44は、少なくとも1つの溝または少なくとも1つのノッチからなる。この実施例において、回転子結合部44は、軸孔42の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する溝44aであり、回転子結合部44は、回転軸結合部28と位置合わせされ、例えばキー(第2キー)の結合部材46により回転軸結合部28(キー溝28a)及び回転子結合部44(溝44a)内に位置制限のために入れられることで、回転子結合部44が回転軸結合部28と結合固定されるため、回転子34は回転軸18とともに回転軸18の中心軸線回りに回転可能となる。また、例えば位置決めねじである位置制限部材47が回転子34を貫通するとともに結合部材46に当接することで、回転子34の回転軸18に対する該縦方向に沿う移動を制限する。固定子コイル36は、ハウジング32の内周壁に結合されている。回転子磁石38は、回転子34の外周に結合され、何対もの磁極(N極とS極)を有する。固定子コイル36に通電する場合、回転子34は、回転軸18とともに固定子コイル36に対して所定の角度だけ回転する。
【0013】
エンコーダ22は、回転軸18の回転数、回転方向及び回転角度等を検出するためにモータ本体20に取り付けられている。エンコーダ22は、固定リング48、磁石固定ベース50、エンコーダ磁石52、及び磁気センサ54を含む。この実施例において、固定リング48は、モータ側回転軸部26の外端57が貫通するように該縦方向に沿って延在する貫通孔56を有し、外端57は、比較的に小さい外径を有し、モータ本体20のハウジング32外に突出している。回転軸固定部30は外端57に設けられている。固定リング48には少なくとも1つのエンコーダ固定部58が設けられている。実行可能な実施例において、エンコーダ固定部58は、少なくとも凹溝または少なくともノッチからなる。この実施例において、エンコーダ固定部58は、貫通孔56の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する凹溝58aであり、エンコーダ固定部58は、回転軸固定部30と位置合わせされ、例えばキー(第1キー)である固定部材60により回転軸固定部30(キー溝30a)及びエンコーダ固定部58(凹溝58a)内に位置制限のために入れられることで、エンコーダ固定部58が回転軸固定部30と結合固定されているため、エンコーダ磁石52は回転軸18とともに回転軸18の中心軸線周りに回転可能となる。また、例えば位置決めねじである位置制限部材61が固定リング48を貫通し固定部材60に当接されることにより、固定リング48の回転軸18に対する該縦方向に沿う移動を制限する。
【0014】
磁石固定ベース50は、固定リング48に回動可能に結合されている。この実施例において、磁石固定ベース50は、本体部62、本体部62の内側から外方へ突出する位置決め部64、本体部62と位置決め部64との間に位置する当接部66を含む。本体部62及び位置決め部64は、それぞれ当接部66から離間する第1の凹部68及び第2の凹部70を有する。エンコーダ磁石52は、本体部62の第1の凹部68内に取り付けられている。位置決め部64は、固定リング48の貫通孔56内に入れられ、モータ側回転軸部26の外端57は、第2の凹部70内に挿入されるとともに当接部66に当接されている。この実施例において、例えば位置決めねじである位置決め部材72が固定リング48に設けられた位置決め孔74を貫通し位置決め部64に当接されることにより、磁石固定ベース50と固定リング48とが固定される。位置決め部材72が解放される場合、固定リング48に対して磁石固定ベース50を回動させてエンコーダ磁石52の磁極位置を調整することができる。この実施例において、磁気センサ54は、回路板76に取り付けられ、回路板76は2つの支持柱78を介してモータ本体20の後蓋40に固定されている。磁気センサ54とエンコーダ磁石52とは該縦方向において離間して対向し、エンコーダ磁石52の回転時に磁気センサ54はエンコーダ磁石52を検出することができる。磁石固定ベース50の固定リング48に対する回転時に、エンコーダ磁石52の磁気センサ54に対する磁極位置を調整することができる。
【0015】
本発明に係るモータ10と回転軸18との組み立ては、まずモータ側回転軸部26が回転子34の軸孔42を貫通し回転子34の回転子結合部44と回転軸18の回転軸結合部28とが面一となるように、回転子結合部44と回転軸結合部28とを結合部材46により結合させることで、回転子34と回転軸18との間の第1の対応位置が固定される。次に、固定子コイル36が収容されたハウジング32を回転子34の外周に取り付けかつ電動シリンダ12のエンドカバー84(図4参照)に固定する。その後、磁石固定ベース50が結合された固定リング48をモータ側回転軸部26に取り付けるとともにエンコーダ固定部58を回転軸固定部30と面一となるようにさせ、エンコーダ固定部58と回転軸固定部30とを固定部材60により結合させることで、固定リング48と回転軸18との間の第2の対応位置が固定される。最後に、エンコーダ22の回路板76を支持柱78でハウジング32に取り付ける。モータ10と回転軸18との組み立てが完成すると、固定子コイル36に送電することができ、回転子34は、固定子コイル36に対して所定の位置まで回転した後に停止して回転子磁石38の磁極位相と固定子コイル36との位置合わせが完成する。次に、磁石固定ベース50を固定リング48に対して回動させることで、エンコーダ磁石52の磁極位置と磁気センサ54とが位置合わせされる。その後、磁石固定ベース50を位置決め部材72により固定リング48に固定結合させることで、エンコーダ磁石52の磁気センサ54に対する磁極位置は変動することはない。回転軸18に組み立てられたモータ10が上述した位置合わせ工程を完成した後、モータ10は、電動シリンダの回転軸18の回転を駆動するように運転することができ、エンコーダ22は回転軸18の回転を検出することができる。
【0016】
本発明に係るモータ10の構造は、従来技術にはない進歩特徴を有する。この特徴として、組み立て専門を有する生産メーカは、工場内において回転子磁石38の磁極位相と固定子コイル36との位置合わせを予め完成するとともに、エンコーダ磁石52の磁極位置とエンコーダ52の磁気センサ54との位置合わせを完成することができるため、ユーザ側は、モータ10の交換を迅速かつ簡単に完成することができ、電動シリンダ全体をメンテナンスのために工場に送り戻す必要がない。具体的には、磁極位置の位置決め工程を完成したモータ10が回転軸18から取り外された後、さらにモータ10の回転子34を回転子34と回転軸18との間の第1の対応位置に応じて回転軸18に組み立てるとともにモータ10のエンコーダ22を固定リング48と回転軸18との間の第2の対応位置に応じて回転軸18に組み立てる場合は、回転子磁石38の磁極位相とエンコーダ磁石52の磁極位置が変動することはない。このため、ユーザ側のモータ10に損壊したり磁石が消磁したりモータ10の交換が必要である場合、生産メーカは工場内において位置合わせ工程が完成したモータ10をユーザに提供することができる。ユーザは位置合わせされた回転子34の回転子結合部44(溝44a)を回転軸18の回転軸結合部28(キー溝28a)に対応させ結合部材(キー)46により結合し、次に、固定リング48のエンコーダ固定部58(凹溝58a)を回転軸18の回転軸固定部30(キー溝30a)に対応させ固定部材(キー)60により結合するだけで、モータ10の交換を完成することができ、ユーザ側では回転子磁石とエンコーダ磁石との磁極位置合わせの問題はない。
【0017】
図5及び図6は、本発明の第2の実施例に係るモータ10を示す。この実施例において、モータ側回転軸部26に設けられた回転軸結合部28は、該縦方向において離間してかつ回転軸18の周方向において対向する2つのスリット28bを含み、回転子34に設けられた回転子結合部44は、回転子34の両端にそれぞれ位置しかつ回転子34の周方向において対向する2つのノッチ44bを含み、結合部材46は、固定シート80と2つのネジ82とからなる組み合わせを2つ含む。モータ側回転軸部26が回転子34の軸孔42を貫通した後、回転子34上の2つのノッチ44bは、それぞれモータ側回転軸部26の2つのスリット28bに対応し、該2つの固定シート80により該2つのスリット28b(回転軸結合部28)内にそれぞれ当接され、ネジ82が固定シート80を貫通し回転子34の2つのノッチ44b(回転子結合部44)内に螺入され、モータ側回転軸部26が回転子34と結合されることで、回転子34は回転軸18とともに回転軸18の中心軸線周りに回転するとともに、回転子34の回転軸18に対する縦方向に沿う移動を制限することができる。この実施例における回転軸固定部30、エンコーダ固定部58及び固定部材60は、第1の実施例の回転軸固定部30、エンコーダ固定部58及び固定部材60と構造が同一であり、回転軸固定部30を構成するキー溝30a及び回転軸結合部28を構成する2つのスリット28bは、予め決められた相対位置関係を有し、例えば第1のキー溝30aと一方のスリット28bは該縦方向において面一となる。ここで説明しておきたいのは、この実施例における回転軸固定部30、エンコーダ固定部58及び固定部材60をこの実施例における回転軸結合部28、回転子結合部44及び結合部材46と同一の構造としてもよい点である。
【0018】
上記のように、これらの実施の形態は本発明の好ましい実施例のみであり、本発明の特許請求の範囲に基づいてなされる等価の変更や修飾は、本発明の技術範囲に入るものである。
【0019】
以上のように、本発明では、縦方向に沿って延在しかつモータ側回転軸部を有する回転軸を含み、該モータ側回転軸部に互いに離間する回転軸結合部と回転軸固定部が設けられた電動シリンダのモータであって、ハウジングと、該ハウジング内に収容される回転子と、固定子コイルと、該回転子に結合される回転子磁石とを含むモータ本体であって、該回転子は、該回転軸のモータ側回転軸部が貫通するように該縦方向に沿って延在する軸孔を有し、該回転子磁石は、少なくとも一対の磁極を有し、該回転子は、該固定子コイルに対して該回転軸の中心軸線周りに回動可能にしているモータ本体と、該モータ本体に取り付けられており、固定リングと、磁石固定ベースと、エンコーダ磁石と、磁気センサとを含むエンコーダであって、該回転軸のモータ側回転軸部は該固定リングを貫通し、該磁石固定ベースは該固定リングに回動可能に結合され、該エンコーダ磁石は該磁石固定ベースに取り付けられかつ少なくとも一対の磁極を有し、該磁気センサは該縦方向において該磁石と離間して対向し、該磁石固定ベースは該固定リングと固定可能にしているエンコーダと、該回転子に設けられ、該回転軸結合部と位置合わせされかつ結合部材により該回転軸結合部と結合される回転子結合部と、該固定リングに設けられ、該回転軸固定部と位置合わせされかつ固定部材により該回転軸固定部と固定されるエンコーダ固定部と、を備えることを特徴とする電動シリンダのモータとするものである。
【0020】
また、該回転軸固定部は、該モータ側回転軸部の外周に設けられかつ該縦方向に沿って延在する第1のキー溝であり、該固定リングは、該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該エンコーダ固定部は該貫通孔の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する凹溝であり、該固定部材は該第1のキー溝及び該凹溝内に入れられる第1のキーであるものとする。
【0021】
また、該回転軸結合部は該モータ側回転軸部の外周に設けられかつ該縦方向に沿って延在する第2のキー溝であり、該回転子結合部は該軸孔の孔壁に設けられかつ該縦方向に沿って延在する溝であり、該結合部材は該第2のキー溝及び該溝内に入れられる第2のキーであるものとする。
【0022】
また、該回転軸結合部は、該縦方向において離間しかつ該回転軸周方向において対向する2つのスリットを含み、該回転子結合部は該回転子の両端にそれぞれ位置しかつ回転子の周方向において対向する2つのノッチを含み、該結合部材は、固定シートと2つのネジとからなる組み合わせを2つ含み、該2つのノッチはそれぞれ該2つのスリットに対応し、該結合部材の2つの固定シートはそれぞれ該2つのスリット内に当接され、該結合部材の2つのネジはそれぞれ該2つの固定シートを貫通し該回転子の2つのノッチ内に螺入されるものとする。
【0023】
また、該固定リングは、該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該磁石固定ベースは、本体部と、該本体部の内側から外方へ突出する位置決め部とを含み、該エンコーダ磁石は該本体部に取り付けられ、該位置決め部は該固定リングの貫通孔内に結合され、位置決め部材が該固定リングに設けられた位置決め孔を貫通しかつ該位置決め部に当接されることにより、該磁石固定ベースが該固定リングと固定されるものとする。
【0024】
また、回転軸と接続されるモータに適用され、該回転軸の回転を検出するためのモータ用のエンコーダであって、該回転軸に固定される固定リングと、該固定リングと結合される磁石固定ベースと、該磁石固定ベースに取り付けられかつ少なくとも一対の磁極を有するエンコーダ磁石と、該エンコーダ磁石と縦方向において離間して対向する磁気センサと、を備え、該磁石固定ベースは、該エンコーダ磁石の該磁気センサに対する磁極位置を調整するために、該固定リングに対して回動可能となっているものとする。
【0025】
また、該固定リングは該縦方向に沿って延在する貫通孔を有し、該回転軸は該貫通孔を貫通し、該磁石固定ベースは本体部と、該本体部から外方へ突出する位置決め部とを含み、該エンコーダ磁石は、該本体部に取り付けられ、該位置決め部は該固定リングの貫通孔内に結合され、位置決め部材が該固定リングに設けられた位置決め孔を貫通しかつ該位置決め部に当接されることにより、該磁石固定ベースが該固定リングと固定されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るモータによれば、組み立て専門を有する生産メーカは、工場内において回転子磁石の磁極位相と固定子コイルとの位置合わせを予め完成するとともに、エンコーダ磁石の磁極位置とエンコーダの磁気センサとの位置合わせを完成することができるため、ユーザ側は、モータの交換を迅速かつ簡単に完成することができ、電動シリンダ全体をメンテナンスのために工場に送り戻す必要がない。
【符号の説明】
【0027】
10 モータ
12 電動シリンダ
14 リニアレール
16 スライドユニット
18 回転軸
20 モータ本体
22 エンコーダ
24 スライド側回転軸部
26 モータ側回転軸部
28 回転軸結合部
28a 第2のキー溝
28b スリット
30 回転軸固定部
30a 第1のキー溝
32 ハウジング
34 回転子
36 固定子コイル
38 回転子磁石
40 後蓋
41 軸受
42 軸孔
44 回転子結合部
44a 溝
44b ノッチ
46 結合部材
47 位置制限部材
48 固定リング
50 磁石固定ベース
52 エンコーダ磁石
54 磁気センサ
56 貫通孔
57 外端
58 エンコーダ固定部
58a 凹溝
60 固定部材
61 位置制限部材
62 本体部
64 位置決め部
66 当接部
68 第1の凹部
70 第2の凹部
72 位置決め部材
74 位置決め孔
76 回路板
78 支持柱
80 固定シート
82 ネジ
84 エンドカバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6